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「テロや少年兵を助長する小型武器」2001年10月11日

テロや少年兵を助長する小型武器

人を殺す文化を学ぶ子供

 米国の同時多発テロ事件によって浮き彫りになった深刻な問題の一つが小型武器問題である。最近もアフガニスタン・パキスタン国境の武器取引の町で、子どもが死の商人から銃の使い方を習っている衝撃的な映像がテレビで放映された。

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 貧困、麻薬、汚職などがテロの温床となっているが、小型武器は“テロを実行する主要手段”であるとともに、子どもの頃から“人を殺すことをいとわない心理と文化”を提供している。

 私は8月にスイスで開催されたMRA国際会議「和解への課題」に羽田孜元首相(民主党特別代表)、谷川和穗元防衛庁長官(自民党)、相馬雪香難民を助ける会会長などと出席し、国際赤十字や紛争地域の人々と小型武器問題を討議した。
 ソマリアの代表は、「独立後西側諸国は、治安維持のための警察創設に対する援助要請を断り、逆にソ連が周辺国に武器援助を行ったために周辺国との和平が成立せず、地域紛争が拡大した。最近やっとソマリア和平が成立したが、残った大量の武器は周辺地域の内戦へと輸出されている!」と怒りを露わにした。

テロリストと結託する死の商人

 冷戦中に製造された小型武器は7千万丁。20万人とも言われる少年兵の増加もこれが原因だといわれる。小型武器が「事実上の大量破壊兵器」と言われるのは、和平が成立しても、大型兵器と異なり、どんどん次の紛争地域へと輸出されているからである。年間4千億円にのぼる巨大ビジネスが、死の商人、テロリスト、密輸、犯罪組織と結託して世界中で暴利をむさぼっている。

国連を中心に、
(1) 過剰武器の回収・廃棄 
(2) 武装解除と元兵士の動員解除・社会復帰の推進
(3) 輸出制度の確立 
(4) 製造段階での武器の刻印・記録制度の確立
などが進められている。

 日本政府はすでにカンボジアで実施しているODA(政府開発援助)と小型武器の回収をリンクさせたプロジェクトを他国にも拡大する計画だ。
テロや地域紛争ばかりか、日本国内の犯罪拡大の防止のためにも、早急な取り組みが必要である。