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  • 【2001年9月28日】

    「日米関係のトゲ」に関する藤田幸久の提言、掲載!

    朝日新聞 「私の視点」
    2001年9月28日

    「戦時補償ー米捕虜訴訟の政治的解決を」

    前衆議院議員(民主党)
    国際MRA日本協会理事
    藤田幸久

      日本に独立、民主主義と繁栄を与えたサンフランシスコ講和条約の最大の成果は対日賠償請求権の放棄である。これが日本の早期復興ばかりか、地域の長期的安定を実現したという意味で、20世紀で最も成功した講和条約と言えよう。

      しかし、中国、台湾、韓国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は会議に招かれず、ソ連も講和に反対したため、近隣諸国との講和と過去の清算は遅れた。講和条約はあくまでも国家間の法的解決にすぎず、被害者個々人との和解や道義的解決は先送りされた。

      講和から50年、今のツケが噴出している。日系企業の強制労働に対する米軍元捕虜の訴訟が相次ぎ、米国議会も支援法案を可決。アジア系米国人や欧州の人々も連携し、運動は世界的広がりを見せ始めた。

     一方、世界では「過去の清算」をめざす道義的、人道的潮流が勢いを増している。戦争中の日系人抑留に対する米大統領の謝罪と補償(90年)、フランス大統領(95年)やローマ法王(00年)のユダヤ人迫害に対する謝罪、オーストラリア市民百万人による原住民アボリジニーへの謝罪行進(00年)などである。

      伏されてきた歴史が、情報開示と“現在の正義の基準”に基いて謝罪の対象となり、今日の当事者が過去の歴史を謝罪している。

      こうした潮流にあって、「米軍元捕虜の訴えは講和条約で法的に決着済み」と突っ張る日本は、世界に逆行するイメージを際立たせている。老い先短い元捕虜が望んでいるのは金銭ではなく、こころの傷をいやす謝罪だと聞く。訴訟問題で表面上、日本側の法的立場を支持している米政府も、靖国神社参拝問題などで見られた“過去の清算能力”のない日本にいらだっており、本音では日本主導の政治決着を望んでいる。

      講和条約は個人の請求権を必ずしも否定していないとの学説や、戦時中の中国・朝鮮人の強制連行に関する日本政府の責任を指摘する地方裁判所の判決など、新しい流れも出てきた。

      元米兵がドイツの企業を相手に起こした強制労働訴訟では、ドイツ側は勝訴できたにもかかわらず、「記憶・責任・未来基金」を設立して原告側と和解。しかも、これで最終決着とすることを米独政府に認めさせた。日系企業も裁判では勝訴するだろうが、不買運動や世論の反発による代償は大きい。

      私は来年4月の講和条約発効50周年をめどに、以下の提案をしたい。
    (1) 関係企業の連携による法廷外での和解。
    (2) 元捕虜の生存中の解決。
    (3) 捕虜個人に対する日本政府による謝罪。
    (4) これら解決案に関する米政府との合意。である。

      私は、国際MRA(道徳再武装協会)の役員として「和解への課題」と題するセミナーを提唱し、毎年スイスで紛争当事者間の対話を行っているが、和解の原点は過去の清算と正義の確立であることを痛感した。今回の米同時テロでも、日本は法と正義に基づきテロ集団と対決すると同時に、貧困の除去などの非軍事的手段でテロの温床を断つことに尽力すべきだが、そうした貢献がスムーズに運ぶためにも、過去をきっぱり清算し、世界の信頼を得る必要があると思う。

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