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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録「幹部自衛官の教育等に関する件について」2008年12月16日

活動報告

2008年12月16日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

幹部自衛官の教育等に関する件について

○委員長(北澤俊美君) 外交、防衛等に関する調査のうち、幹部自衛官の教育等に関する件を議題とし、質疑を行います。

 質疑のある方は順次御発言を願います。

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。

 今日は大変いい経験をさせていただきまして、統合幕僚学校を午前中視察をさせていただきました。防衛大臣始め防衛省の皆さんにまず御礼を申し上げたいと思います。

 今日、質疑をさせていただきますが、冒頭で浜田大臣、前回、私質問をさせていただきましたときに、私の質問に対して数分間、長々といろいろお話をされたこともございましたので、今日は質問に簡潔に、聞いたことのみお答えをいただければ大変有り難いと思います。

 前回、この委員会で谷岡委員の方からこのまさに教育について幾つか質問がございました。その幾つかの続きで、この教育にかかわることでございますので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、その谷岡議員の質問に関して北澎儖�垢了愿Δ發瓦兇い泙靴董�妖賃膺辰呂海療鎚貎静�覲惺残垢旅圓辰織�螢⑤絅薀犧鄒�銈砲弔い涜臺儖箚犬忙廚辰討い襪箸いΔ佞Δ謀柀曚鬚気譴討�蕕譴泙垢韻譴匹癲�燭�箚犬撚燭�簑蠅任△襪箸�佑┐覆里��饌療�砲�悊┐鬚い燭世④燭い隼廚い泙后

○国務大臣(浜田靖一君) この私どもの方のカリキュラムに関しまして、私どもとすれば大変遺憾に思っていると申し上げたのは、いわゆる歴史観・国家観の講師の選定については、講師名のみによって教育が偏向しているか否か論ずるのは適当ではないと思いますけれども、見方によってはこれはバランスを欠いているとの印象を受ける方がいるかもしれないということでございまして、自分としてもこの歴史観・国家観の講師の選定について詳細に分析しているわけでございませんけれども、これが適切であったか等判断することはなかなか難しいのではないかという思いでお答えをさせていただいたわけであります。

○藤田幸久君 今日も実はこの学校の方でその話が出ましたときに、ちょっと一部偏っているんではないかというふうに感じたこともあるというふうにこの学校長のお一人がいみじくもおっしゃっておられました。

 それで、偏っていると、やはりいろいろな立場の方が当然入っているということが非常に重要であるということと、やはりいろんな立場の方の話を聞くことが自衛隊あるいは自衛官にとっても、いろいろな有事に際しても重要ではないかという話も出ておりましたが、いかがでしょうか、大臣。

○国務大臣(浜田靖一君) 確かに、講師は幅広くその知見をお聞きをするという立場でやっております。しかし、それを当然、いろいろな幅広で聞いた中で自分の任務に対して、そこに常に中立でいて、そこで判断をしながら、自分のいる立場、そしてまた自分たちのやろうとしている目的をしっかり判断することが重要だと思っておりますので、その点では確かにそのとおりだと思います。

○藤田幸久君 それから、先週の答弁の中でその人選についても大変問題であるというふうに答弁をされておられますが、だれの人選がどう問題なのか。例えば、どういう方、こういう経歴であった人がいたと、文部省の方からもやはり不適当だと、外された方もいたとかいうことも含めまして、じゃ、だれが問題であったのか、具体的に答えていただきたいと思います。

○国務大臣(浜田靖一君) 特定の人選についてどうかということで私が申し上げているわけではありませんで、要するに、そのお考え等も含めて、一方にバランスを欠いているというふうに取られる、印象を受けた方がいるということで、我々とすれば判断したところでありますので、それ、一体、どなたが問題だとかという意味ではなくて、やはりおっしゃっている論の方が、いろんな歴史観というものが要するにそちらの、なかなか偏った方というか、一方の方に偏り過ぎていたというところに問題があるというふうに思うので、個人的な方に対してそれが問題かどうかということではないというふうに思っております。

○藤田幸久君 それから、そこは当然変えていくべきだというふうに答弁をされておられますが、どこをどういうふうに変えていくというふうにお考えでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 当然これは、今回の、要するにシリーズとしてそれがずっと一つの長さでやっているんではなくて、やはり同じ考えの人だけではなくて、違った考えの人も要するにバランスよく配置をしながら、両方が同じときに聞けるような形というのがいいのかなというふうには思っているところであります。

 ですから、この歴史観の教育というものに対して、今後それをこのまま存続させるのか、しないのかも含めて検討したいというふうに思っているところであります。

○藤田幸久君 その際には、当然だれを外してだれを入れるかということになるんだろうと思いますから、漠然とは変えられないと思いますけれども、その辺もまた後でお聞きするかもしれませんが。

 時間の関係で次に進みますけれども、先週、谷岡議員が示したこの「翼」という機関誌があります。航空自衛隊連合幹部会が出しているということでございます。これが会が出しているのではないかと谷岡さんが聞きましたらば、いや、それでも個人、私的なものだというふうにおっしゃいましたが、実はこれを出している航空自衛隊連合幹部会の会長は田母神俊雄さん本人であります。この出している組織の事務局長が厚生課長であります。しかも、現在は田母神さんの後任の空幕長がなっていらっしゃる。つまり、この団体は私的なものじゃなくて、れっきとした歴代空幕長がやっておられる連合幹部会が出しているということでございます。

 ということは、これは単にプライベートな存在ではなくて、しっかりと、つまり田母神さん個人じゃないんですね、歴代の空幕長がやっている会が、しかも事務方まで厚生課長という現職の人がやっておられるということは、これはやはりプライベートな存在ではなく、一定の組織的な重さと、それから職務を持った人がやっている、そこでこういうことを書いているというふうにこれは扱うのが妥当ではないでしょうか、大臣。

○国務大臣(浜田靖一君) この「翼」に関しましては、基本的に我々の認識の中では、個人、プライベート、要するに私と公の分けの考え方として、要するにこれも強制でやっているわけでもありませんし、そしてまたその中で、プライベートで自分たちでお金を出し合って運営をしているということが基本になっているわけでありますので、確かに今御指摘のように誤解を受けやすい組織であるかもしれません。

 ですから、我々とすれば、今まで私的サークルというか、そういった位置付けというのは我々も思っておりましたが、しかし、今御指摘の点を考えると、我々もこの組織に対しての、私自身、これに対してちょっと問題意識を持つところもありますので、そこはまた対応としては今後考えていきたいというふうに思っています。

○藤田幸久君 先週も谷岡さんも指摘されていますけれども、つまり、この組織の代表である田母神さんのことを、石原都知事をインタビューした方が引用して、まさに我々は航空幕僚長、つまり田母神さんから正しい歴史をもう一度学ぼうというキャッチフレーズの下に、学校教育じゃない正しい歴史をもう一度学ぼうというところの途に就いておりますと。

 そうすると、当時まさに田母神さんがそういう立場であって、しかもこの組織の代表であって、その人に学ぶという形で、言わば自衛隊が、あるいは防衛省が言っているところの正式な教育とは違った教育を学ぼうということを言っているというのは、個人がこの本を仮に出しているというふうに百歩譲っても、これは職務のある人がその職務をやっているときにはこういう教育をしようと言っているのに、同じ人格の人がこれだけしっかりした組織、しかもこの組織の構成員は一万二千人の幹部自衛官が組織構成員であるという、そこでこういうことをやっているということは、これ、大臣として看過できるんですか。

○国務大臣(浜田靖一君) ですから、今申し上げたとおり、そういった御指摘を受け、またそういった誤解を受けやすいということであるならば、これは我々とすれば考えなければならないと思っておるところであります。

○藤田幸久君 今回、田母神さんが空幕長を解かれたのは、今年の五月の論文でしたね、それが対象になっているわけですけれども、ということは、当然、この時期に空幕長である方が代表している組織が出している出版物で政府の見解とまるで反したことを言っていたということが、当時これが分かっていたならば処分対象になっていたんじゃないでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) その点も含め、我々とすれば、これが果たして、これを調べてチェックが甘かったといえばそのとおりだと思いますし、そしてまた、そういったことをこの中で見過ごしてきたというのは我々のチェックが甘さというのがあるわけであります。

 そういったことも含めて、ただ、我々とすれば、これは前から申し上げているように、そういった議論の場としての私的サークルという位置付けの中でやってきたものは間違いのないことでありますので、それが今すぐここで、先生御指摘のように、これはそういったことでもっと処罰の対象になるんじゃないかというような御指摘もありますけれども、我々とすれば今後これをどうしていくかというのは極めて重要だと思いますので、我々とすれば、もう一度そのチェック体制も含めて今後考えていきたいというふうに思っておるところであります。

○藤田幸久君 関連で、前回質問したことですので具体的な質問通告じゃございませんが、平成四年に小池教育局長ですか、がこういったもろもろの機関誌等々についてチェックをするとおっしゃっていたけれども、していないという話がありましたが、ということは、この「翼」とか、これはもうかなり組織的な組織ですね、歴代の空幕長が会長ですから。それから「鵬友」とかですね。

 「鵬友」というのは、幾つかの「鵬友」ございますけど、これ御覧になってお分かりのように、この「鵬友」を出版している出版元の本部が中目黒二の二の一にあるんですね。中目黒二の二の一というのは、今日我々が訪問した統幕学校なんですね。つまり、「鵬友」というのは学校の中に本部がある。この雑誌、現職の方がこれだけいろいろ書いておられたと。

 したがいまして、教育局長が妥当なのか、少なくとも答弁があるわけですから、教育局長を中心としてこうした中身についてしっかりとチェック体制というものを改めて、本来はやるとおっしゃっていたわけですからやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 先ほどから私申し上げていますように、今後そういったチェックも含めて、我々なりにどういったチェック体制をつくっていくかということも含めて考えてまいりたいというふうに思います。

○藤田幸久君 それから、やはり先週の答弁の中で、シビリアンコントロールという面で足りないことがあるならば、私はそこを反省をしておるところでございますというふうに答弁されておられますけれども、じゃ、そのシビリアンコントロールのどういう場面あるいはどういう部分でシビリアンコントロールが足りなかったのかについてお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(浜田靖一君) いわゆるこの歴史観・国家観の講師の選定について、同課目が新設された平成十五年以降、これまでの見直しが検討されてこなかったということが不適切であったとの趣旨を述べたものでございまして、これに対して、いずれにせよ、より幅広くバランスの取れた適切な教育を実施をし得るように、講師の選定を含め、課目、歴史観の見直しについて検討してまいりたいということでございます。

○藤田幸久君 今回の、官房長官にお伺いしたいと思いますが、田母神前空幕長問題に関して、福田前首相が実は田母神さんの言動等については前から懸念を示されておられまして、この事件が明るみになった十月三十一日ごろですか、福田前総理から、官房長官なのか総理なのか分かりませんけれども、電話等が入って、アドバイスの電話が入ったということを承っておりますけれども、具体的にどんなアドバイスでございましたでしょうか。

○国務大臣(河村建夫君) 御指摘のように、十月三十一日付けで空幕長職を解く措置がとられた、そして解任後、辞任を説得したけど拒否されて、迅速な懲戒手続に協力も得られないということで十一月三日付けに退職されたことは承知をしておるのでありますが、この過程において特段のそうした今御指摘のような点についてのアドバイスがあったということは、私は承知しておりません。

○藤田幸久君 それでは、ちょっと次のテーマに移りたいと思いますが、このシビリアンコントロールに関してでございますが、お渡しをいたしました資料の二ページ目に産経新聞の記事、そして三ページ目、四ページ目に平成九年の防衛庁、当時は、の事務次官通達というものが出ております。

 お読みいただく時間があれかもしれませんが、要するに、実は吉田元総理が戦後、保安庁訓令第九号、保安庁というのは自衛隊の前身とも言えるんでしょうか、というものを出しまして、国会対応については、要するに、内局と幕があるけれども内局が担当すべきだというふうな訓令があったと、それを一九九七年に橋本当時の総理の指示もあって久間長官の下でこれが廃止をされたと、したがって、今後は幕の方が国会に来て直接答弁をしたり国会の方が幕の方からの直接の意見を聴取できるようになったという経緯でございます。

 ところが、にもかかわらず、この三枚目、四枚目に書いてございます事務次官通達というものができてしまったということでございます。

 この事務次官通達の一番のポイントは、この二枚紙の二枚目の真ん中辺を御覧いただきたいと思います。真ん中辺の、「特に付言すれば、国会その他の中央官公諸機関との連絡交渉については、事務調整訓令の規定は対外的な対応から各幕等を全て排除しているとの誤解を生じさせ得る面もあったと考えられる。しかしながら、これまでも、国会との連絡交渉については、国会における審議等が主として政策的観点からなされるものであることから、基本的に内部部局が対応し、各幕等は必要に応じ軍事専門的、技術的事項その他権限と責任を有する事項について対応してきたところである。」と。その二行下に行きまして、「組織的一体性・整合性を図る観点から各幕等は基本的事項を所掌する内部部局と連携をとりつつ対応してきているところであり、今後ともこれらの点に変わりはない。」と。

 つまり、橋本総理がせっかく国会審議、つまり国民に安全保障政策等を分かるいい議論を起こすためにそういう排除を解除して、そして幕の方も出てきていただけるようにしたものを、その大臣、当時は長官でしょうか、下にいる事務次官が、変わりはないと断定をして結果的に幕の人が国会に来るのを止めてしまったということだろうと思います。

 これは要するに、シビリアンコントロールというものは国民に選ばれた国会が実力組織である自衛隊なりをコントロールするというのが本来の意味であったものが、途中から、そのいわゆるシビリアンコントロールではなくて、内局コントロールというかビューロクラティックコントロールというか、ある表現によれば、これは借りてきた表現ですが、イビリアンコントロールという言葉も聞きましたけれども。したがって、今問題になっているのは本当の意味でのシビリアンコントロールが必要だろうという意味だろうと思いまして、したがって、今日は実は事務次官も統幕長も要求をしたわけですが、今日お越しいただいていませんけれども。

 大臣、これはやはり本当の、今回のやっぱり、去年以来の守屋事務次官の問題、それからいろいろなイージス艦の問題、それから今回の問題も通して分かっていることは、この通達に書かれている政策的観点ということも大事ですけれども、やっぱり調査、チェック機能、つまり国民の代表としての国会が、内局の方の下での管理ではなくて直接チェック、調査をすることが、今日なんかも明らかでしたけれども、必要ではないかというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 私、この問題、民主党の先生方とも衆議院の方においていろいろ議論をさせていただきました。

 当然、軍事的な部分に対するシビリアンコントロールというのは、国会がやはり当然これは関与すべきだというふうに考えておりますので、そういった意味においては、いろんなこれは受皿の問題もあろうかと思いますけれども、まあ秘の部分をどうするのか、そしてまた各委員会での質問の形式等々、そしてまた実際にいろんなオペレーションの際の日程調整等々、いろいろあろうかと思うわけでありまして、そういった意味合いにおいて、私自身は、事務次官通達はありますけれども、しかしながら、やはり国会というものがそういった受皿をしっかりとつくっていただければ、我々とすればそういった形での自衛官の国会での答弁というのは、私自身はあり得べしというふうに思っているところであります。

○藤田幸久君 今日、統幕長の方も、確かに国会で我々の実態を知っていただくことは意味があると、ただ我々は素人ですから、国会でやっぱり答弁をするとなると大変な準備が要りますと、それがオペレーションに支障がなければいいなというふうに思っておりますというような言い方もされておられましたけれども。

 そうしますと、是非、今の前向きな答弁いただきましたので、そのオペレーションの仕方とか形式とか、あるいはそういう意味での支障がない、まあ優秀な組織ですから、仮に統幕長が出てきてもほかの方々が、オペレーションの方は十分私は対応できるんじゃないかと思いますし、実際に今日の経験なんか見ましても、直接やっぱり聴くということの重要性というものを感じたわけですから、是非、更に今の懸案の事項を考えていただいて、前向きな対応をお願いしたいと思います。

 と同時に、官房長官にも、このせっかく橋本総理まで、ここまでいったものが、シビリアンコントロール、今の防衛省の改革会議も長官の下でやっておられますから、これもシビリアンコントロールが、つまりビューロクラティックコントロールじゃなくてシビリアンコントロールということが一番のポイントだろうと思いますので、そういう観点からも官房長官の所見を承りたいと思います。

○国務大臣(河村建夫君) 今の現職自衛官の委員会への出席の問題もございましたが、これまで少なくとも各委員会の判断でやってきておりますが、約五十年にわたって今のところ出席された例はないと、こういうふうに聞いておるところでございます。

 ただ、ビューロクラティックコントロールとおっしゃいましたが、これ、私考えますに、現在の防衛省も、それから防衛庁の前身である保安庁同様、防衛省設置法に基づいて、これ内部部局が政策の基本的な事項をつかさどって、防衛大臣が行う各幕僚監部に対する指示などを補佐する枠組みというのが基本的にございます。御指摘がありました訓令とか事務次官通達、こうした法律の枠組みの下で内部部局と各幕僚監部の具体的な事務のやり方を明らかにしておるわけでありまして、これら訓令や通達により法律が定めている文民統制の枠組みを変更するものではないというふうに、これは当然だというふうに私は考えております。

 つまり、内部部局が大臣の指示などを補佐するという枠組みは通達ではなくて法律によって定まっておりますから、訓令や通達が内局支配といいますか、ビューロクラティックコントロールの根拠になっておって、これが文民統制を妨げるというようなことは私は当たらないというふうに考えておりますが、もちろんシビリアンコントロールという非常に重要な視点、この視点は当然貫いていかなきゃなりませんので、今申し上げたような考え方によってきちっと大臣の下で内局が補佐をする姿勢を貫いていくと、これが大事だというふうに考えます。

○藤田幸久君 やはり実態の問題だろうと思うんですね。実態的に止められてきたということ、この産経新聞にいみじくも書いてありますけれども、総理が決めたことをひっくり返してしまっている、大臣が出したこの廃止令を通達がひっくり返してしまってきているというやっぱり実態を是非重く受け止めていただきたいと思いますし、と同時に、今いろいろ、その後もこの数年間に本当の意味でのシビリアンコントロールというものがいかに重要かということが、やはり今後の改革の中心であるべきだろうと思っておりますので、是非積極的な、これは党派というよりもやっぱり院のお二人が内閣に入っていらっしゃるわけですから、是非前向きに、積極的に踏み込んで対応していただきたいというふうにお願い申し上げます。

 それからその関連で、私が前回、十一月に質問申しました際に、官房長官に、この四幕僚長の任命についてはやはり国会承認ということも検討すべきではないかというふうに質問いたしましたのに対して、それも検討をするというような答弁が長官から、十一月の上旬でございましたがございましたが、その後、何かその検討について進展はございませんでしょうか。

○国務大臣(河村建夫君) 確かに、十一月六日の外交防衛委員会において委員から御指摘がございました。国会承認事項にすべきかどうか、これについては私の方で該当すべき課題があるかどうかについては検討してみたいというふうに思いますと、こうお答えしたことでございます。

 また、私はその後、これについて意見交換もしながら、全体のことをよく承知していない、突然の御質問でございましたから当然検討すべき課題であろうということでお答えをしたんでありますが、記者会見におきましてもいろいろ御指摘もいただいたんでありますが、これは同意人事については現在対象機関が多過ぎて、あるいは見直し、縮小の議論をしているという段階でもあって、この問題はやっぱり慎重に検討しなきゃいかぬと、こういうふうに私も答えておるところでございます。

 そこで、その後どうかと言われるわけでありますが、私も、しかし、さはさりながら、防衛省においては諸外国の軍隊における幹部人事の制度、運用状況等についても情報収集を今行っておる、防衛省、意を受けておやりになっているということでありますので、そういうものを受けながら、これからの同意人事の在り方、これはまた院の方でもいろいろ御検討をいただく、同意人事を私どもの方は院にお諮りをするという建前になっておりますので、そういうことも踏まえながら更に慎重に検討していきたいと、このように思っております。

○藤田幸久君 是非前向きに、これもやっぱりシビリアンコントロールの重要な要件だろうと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。

 次のテーマでございますが、お配りした資料の最後の三枚ほど、お配りをしております。これは、自衛隊から企業等に部外委託教育、企業研修として人を出しておるという実態でございます。三枚紙になっておりますが、陸自、海自、空自とございます。

 よく見てみますと、過去五年間の陸海空ですけれども、これ見てみますと、毎年産経新聞に人が出ております。この産経新聞に出た方の人数が平成十六年から四十五名。当時の出たときの階級が二佐から一尉の間。そして、この研修を受けた方々が帰ってきた後、階級的にはどこまで上がったかという私の問いに対する答えが、将補とか部隊指揮官まで上がっているということでございます。

 これは、いわゆる官と民との間の交流法、人の交流の法ではなくて、防衛省、かつては庁からこういう企業等に要請をして受け入れていただいているというふうに理解をしておりますが、今まで私が申し上げたことについての確認をしていただきたいと思いますが、これは渡部さんでしょうか。

○政府参考人(渡部厚君) お答え申し上げます。

 これらの民間企業への研修でございますけれども、いわゆる官民交流法という法律に基づいて行っているものではなくて、防衛省の方からそれぞれの民間企業に対しまして一定期間研修をお願いしたいということでやっておるものでございます。

 それから、産経新聞において研修をした実績でございますけれども、今、藤田委員おっしゃいましたように、平成十六年度以降で計四十五名でございまして、陸海空それぞれ十五名ずつということでございます。お配りいただきました資料におきましても、それぞれ各年一名ずつ陸海空、記載されておりますけれども、そういう事実関係になっております。

○藤田幸久君 大臣、産経新聞に行っている方の実態を私もいろいろ聞き取り等いたしましたが、ほぼ常時、総理官邸、つまり官邸クラブに自衛官が産経新聞の記者として取材活動をしているということのようでございますが、もちろん、これをよく見てみますと、一年間の間に何々部、何々部、何々部と移っていますからずっと継続的に行っているんじゃないかもしれないけれども、ほとんどの期間、ある期間は二人の自衛官がいたこともある、陸海空の中から行っていますから。

 ほぼこの期間、大体、間断なく官邸クラブに自衛官が産経新聞の記者として勤務をしていたと理解しておりますが、大臣、いかがでしょうか。

 大臣、浜田大臣にお願いします。

○国務大臣(浜田靖一君) これは記者として産経新聞にお世話になっているわけですから、当然そういったこともあり得べしと思っております。

○藤田幸久君 この官邸番で入っている方、官房長官もいらっしゃいますけれども、いろんな取材の仕方があるようですけれども、この官邸に行っていらっしゃる記者の方々は、総理がいらっしゃって、官房長官がいらっしゃって、官房副長官がいらっしゃって、それから秘書官とかいらっしゃいますけれども、多分、大抵複数の方の担当で日々取材をされておられると思いますけれども、その実態はいかがでしょうか。だれを担当されていますでしょうか。

 じゃ、分かる方。

○政府参考人(渡部厚君) お答えをいたします。

 そこまで細部、確認できておりません。

○藤田幸久君 官邸クラブの実態というのは、日々の動静、それからいろんな記者懇、それから担当して、今申し上げた総理、官房長官それから補佐官等々の取材を。多分、官房長官も御存じないのは、会われる方、これは産経新聞のだれだれですとおっしゃっても、自衛官と自分は言わないんですね。ところが、記者仲間では結構言っているみたいだから、私が数名の記者の方に聞いたらば、官邸にいた経験があるかと、ありますと、そのときに自衛官、産経新聞におりましたかと聞いたら、私が聞いた人、すべておりましたと言ってくれました。

 ということは、記者仲間では分かっているわけですね。ですから、これは実態として間違いないんだろうと思いますけれども、それから、いったん、じゃ事務方に伺いますが、産経新聞の記者として官邸に入っている以外に、官邸施設内で勤務をしている防衛省・自衛隊関係者は何人いらっしゃいますか。

○政府参考人(中江公人君) お答えいたします。

 防衛省から内閣官房に出向しまして総理大臣官邸の施設内で勤務している職員は、現在二十四名でございます。

○藤田幸久君 つまり、もちろん政策的に入って、この部屋にも今日もいらっしゃっていますけれども、防衛省から出向で官邸の任務に当たっている方、医務官の方もいらっしゃるだろう、警護の方もいらっしゃるだろう。だけれども、それ以外に、自分は産経新聞の記者ですという形で自衛官がいらっしゃるわけですね。

 そうすると、危機管理上もやはり、官房長官、こちらを見ていただいて、中にいるということは相当の情報を、当然のことながら、アクセスがあって取るということがあって当たり前と考えるのが危機管理だろうと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(河村建夫君) もちろん、外部から入ってくる場合については、危機管理を我々は十分考えなきゃいかぬということは当然だと思います。

 しかし、これ、幹部自衛官もやはり民間企業の経験をする、このことの有意義さは、今も、先ほど答弁もあったわけでありますが、その際にはきちっとその派遣先の業務に専念をしなきゃいかぬということで、これはもう当然、自衛官としても平素から秘密の保全に必要な知識の徹底、意識の高揚を図る、そうした保全的な教育を受けているという前提で我々は受けておる。と同時に、記者として入ってこられるわけでありますから、今の御指摘のようなケースは記者として入ってこられるわけでありますから、一方では記者としての役割はその間は果たされるということであろうと思います。

 今までのところ、私は今指摘を受けて分かったわけでありますけれども、そういう意味での特に記者仲間の中でこの方が自衛官だから云々ということで違和感を感じるとか、そういうことは一切ございませんでしたから、そういう教育を受けた上で受け入れているものだと、このように理解をしております。

○藤田幸久君 私が調べた限りでは、その産経新聞の記者として官邸にいらっしゃる方の給料は自衛隊の給料を受けていらっしゃいます、その間も。

 したがって、基本的に自衛隊員であります。税金で月々生活をしている自衛隊員であって、それが本務であります。

 そうしますと、例えばシビリアンコントロールの観点からいいましても、まさに今、幕のトップは国会に来れない、実態として。ところが、この一佐なりの方が、一番トップである浜田防衛大臣の上の、ある意味では官房長官、そして総理、最高司令官のところに日々直接取材ができる。このこと自体も、自衛隊の中からしてもこれまさに、さっきからいえば、事務の補佐をするのが事務次官がいるけれども、それ以上の上で直接自衛官が取材をでき、情報が取れる。それから、同じ情報であっても、これ聞いたんですけれども、先に情報が取れるわけですね、産経新聞の記者と言っている自衛官の方が。これは大臣、自衛隊、防衛省の組織的にもそういうことが実態としてあるということは、これは問題じゃありませんか。

○国務大臣(浜田靖一君) いやいや、もうそういう見方をすればそういうふうに言われてしまうかもしれませんけれども、しかし私どもとすれば、記者の研修、要するにいろいろな民間企業の実務を経験することで幅広い視野と積極的で偏りのない立派な社会人としての性格を形成して、将来、任務を遂行するのに有意義なものだというふうに私どもは考えていますので、それが情報が、逆に言うと情報を出す側の方も、逆に言えばそれを知っているからといってそれを漏らすことにはならないわけでありますから、そういう意味では、そこまで私は問題があるとは思っておりません。

○藤田幸久君 シビリアンコントロールからして、それはいいと思うわけですね。

 危機管理からいいますと、可能性があったらその芽を取っておかなければいけない、芽を取っていかなければいけないというのが危機管理でありまして、中にいるということは情報が、全部取っているという前提で、それでいいのかという判断から、これは官房長官、官邸の危機管理の上からも、それから防衛大臣としての危機管理及びシビリアンコントロールの面からも対応していただかないと、例えばほかの国の政府が、実は日本の首相官邸の中に新聞記者という形で制服の人間が勤務をしているとなったらば、それは私は、それこそ信頼して日本政府を相手にしながら防衛政策等々について、信頼ある関係、外交関係というものは非常に難しいんじゃないかと思いますが、これはまず官房長官の方から伺います。

○国務大臣(河村建夫君) そこまでおっしゃると、これはもうマスコミと我々の関係が壊れることになるわけであります。私の方も、国の国家機密に反するようなそういうようなことを記者会見で話すわけにいきませんし、話すわけがない。

 これは、もちろんマスコミはいろんな情報を取ろうといたしておりますが、しかしそこまでのやり取りになり得ない話でありますから、危機管理というのは、また別の意味での危機管理はしなきゃなりませんが、マスコミはやっぱり国民の知る権利をもっていろんな形で取材をしようとする。

 私もそれに私の職務的にできる範囲のことはお答えをしていく。そういうことを、幹部自衛官の皆さんがそういうことで国の方針等々も決まっていくことを勉強される。

 それも、ずっと記者としておられるわけではありません。あそこに来て何か国家機密的なそういうものが取れるというものでもない。やっぱりそういうものがあるということが、日本の国の在り方というものをしっかり勉強していただいて、まさにシビリアンコントロールの原点というものがそういうところにあるんだということを学んでいただく機会だと、そう思って私は派遣されているとして受け入れるべきではないかと、私はそう考えますが。

○藤田幸久君 自衛官です、私がお話をしていますのは。自衛官というのは、国の税金で国の任務を行っている人間でございます。そうしますと、当然、だから自衛官は、任務を受けて仕事をしているわけですから、研修もその一つでございますけれども、そのほかにも本分の任務があるかもしれない。しかも、私が聞いたところでは、幕長の任命によってこの派遣をされているということでございますから、報告もするのが当然であります。

 その報告をする人間が、防衛大臣の先に総理等のところに行って取材をし、先に情報を得て、それから政策決定に関しても、最近でいえばまさに今回の田母神さん問題もそうですし、防衛省の改革会議やっているのは官邸の中ですよね。それから、内閣調査室もこの官邸の関係をしております、警察庁も。そうすると、そこに一義的に直接、しかも、たまたま数か月ある人が行っていたんじゃなくて、これ御覧になっているように、少なくとも十数年継続的に同じ組織から長期行っているということは、ノウハウ、人脈その他の蓄積もあるというふうに考えるのが当たり前じゃないですか。

 そうすると、自衛隊の人間が常時、ある一つのマスコミというのは価値を持った存在でありますから、単に民間企業としての営利企業じゃありませんから、そこを通してこれだけ継続的に行っているということは、これはシビリアンコントロール、それから政策立案、チェック機能からいっても大きな問題ではないかと思いますが、問題じゃないんでしょうか、防衛大臣。

○国務大臣(浜田靖一君) 新聞記者が直接その防衛改革会議の中に入っているわけではなくて、必ずそれは官房長官の取材をして、その要するに記者会見を聞いているだけの話でありますから、その中まで入って要するに自分だけが機微な情報を取れるというわけでもありませんし、逆に言えば、自衛官の立場でそこに研修に行っているということであるならば、やはりそこで自分たちの考え方というのもしっかり持っているはずですから、それが情報の漏えいにつながるようなことにならないと私は思います。

○藤田幸久君 聞いているだけで、情報が大した機微なものが取れないというのであるならば、情報というのはこれはいろんな形で取れるわけで、しかも、中のあのところにいるということは、ぶら下がりから、いろいろな各種の懇談もあるし、中にいる記者の人たち同士の情報交換もあるし、秘書官の方もたくさんいらっしゃる。それでもって、聞いている、外にいるだけだから大した情報が摂取することができないという認識を持っているならば、私は非常に危うい防衛大臣だろうと思いますけれども。

 いろんな情報取れると思いますよ。取れるということを前提に対応していただかなければ、シビリアンコントロールの面からいっても、危機管理の面からいっても極めて危ういと思いますけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(浜田靖一君) 私はそうは思っておりませんで、そういった、逆に言えば、研修という意味で行っているわけでありますから、その意味で言えば、彼自身にも自衛官としての立場があるわけですし、そういったものを自分なりに社会勉強の一つとしてやっていることでありますので、我々、そこで情報が漏れるとか、そういった問題はないと思っています。

○藤田幸久君 漏れるとか漏えいということを度々おっしゃいましたけれども、大臣の方から。

 これは、研修といっても実際にマスコミの記者として入っているわけですから、ふわっと何か社会勉強するようにうろうろうろうろしているわけじゃないんで、やっぱり朝から夜まで実際に取材活動をしているわけですね。基本的に記者ですから、その一年なら一年においては記者としての情報収集活動を当然のことながらしているわけですね。

 その人の本分が実は自衛官であるということについて本当に問題がないと思われるのか、それとも、やはりこれは、この実態を大臣、官房長官を始め御存じなかったようですから、実態を調べられて、これがそういった可能性がなかったのかどうかについて調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。両大臣に伺います。

○国務大臣(浜田靖一君) 基本的に、今先生が言っておられるのは、自衛官として要するに新聞社に行って記者としての研修をというか社会勉強をしているわけですから、自衛官という立場と記者という立場とごっちゃにして考えておられるような気がしてならないんですね。

 〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕

 要するに、給料は自衛官としての給料が出ていて、そこで社会勉強として企業交流で行っているわけですから、その点に関して言えば、当然そこの自分の立場、ポジションというのは分かっているはずですから、そこの面での情報の要するに収集、それから漏えいとかということに直接つながらないと私自身は思っていますので、おっしゃられるように、チェックしろということであればチェックはさせていただきますが、どういうことで今どういった実態でやっているのかも含めて、こちらでチェックはさせていただきます。

○国務大臣(河村建夫君) 防衛省のお話だと、民間企業の研修の一環として、一環としてローテーションで官邸クラブへ研修に来られるということであります。それはマスコミが今御指摘のように知っておられるということでありますから、こういうことについては非常にマスコミも敏感でありますから、その記者さんはやっぱり産経新聞からということで受け入れられておる。

 そこで、私の方は、その中にもしおられたとしても、記者の取材というのは、まさに国民に対する、知る権利といいますか、そういうものの情報をまさに発信をされる場であります。だから、私の方も記者と対応するということは、まさに国民を相手にしているんだという意識でもって対しておりますから、記者の中に自衛官の研修者がおられるとしても、特に問題を感じたことはございません。それがシビリアンコントロールに結び付くんだという考え方は少し飛躍しているのではないかと、私はそのように感じます。

○藤田幸久君 記者の人が、別の職業にある人がそういう形で官邸のようなところに入っているということに関して、これはどんな人間であるかということは把握をした上で行政のトップとして対応されるということが、あらゆる近代国家においても要件として私はどこもやっていることだろうと思いますので、そのことを申し上げまして、時間でございますので、質問を終わります。

 ありがとうございました。