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失われた30年検証研究会で講演2023年06月01日

 5月24日「失われた30年検証研究会」でZOOM講演しました。日本パブリックリレーションズ学会主催の研究会で企画をお手伝いしています。5月11日は静岡県立大学特任教授小川和久さんによる「国際水準から見た日本の平和と安全」でした。6月1日は藤崎一郎元駐米大使がこの30年間のアメリカ、中国、ロシアの変化についてイラスト入りのカラフルな講演でした。
 私の講演テーマは「議会の政策立案・監査機能の日米比較~政府の透明性、説明責任の検証力~」と「日本の世襲議員と地盤-最大の既得権」で、主なポイントは以下の通りです。
一 米国議会は強大な権限を有する
〇米国憲法は法案提出権を議会にのみ与えている(日本では約8割が政府提出)
〇米国議会では、議員一人でも法案提出可(日本では衆議院20人、参議院10人以上)
〇大統領は「予算教書」で予算の青写真を提出するが、議会はこれに拘束されずに予算決議案及び歳出法案の審議を行うことができる。大統領の「予算教書」に対して、議会は予算決議案の形で歳出、歳入、債務上限などの限度額を設定する。議会予算局がこの予算統制の根拠を提示する。
〇政府は、議会の承認なしに他国との通商協定を締結することはできない。                           〇上院は、大統領の条約締結及び政治任命人事に対する承認の権限を有する。
二 民主主義の基盤を支える機能
◆上記の権限は、議会に対して民主主義の基盤を支える以下の機能を付与している
〇国民の代表(議会)が政府を常時、多角的にチェックする機能
〇政府の透明性、説明責任を検証する機能
〇政府に対する対案の提示。政府よりも長期的、戦略的な政策提言が可能
〇利害関係者よりも国民全体の利益を尊重する機能
三 議会を支える機関
(1) 連邦議会図書館(2)議会調査局(3)行政活動監査院(4)議会予算局                               
四 日本の世襲議員と地盤-最大の既得権
〇国会議員の世襲順位。1位タイ、2位フィリピン、3位アイスランド、4位日本。タイとフィリピンは共に世襲議員率が約40%、アイスランド30%。日本27~28%(自民党は約40%)。日本の首相の世襲議員率75%。アメリカ、ドイツ、フィンランド、イタリア、カナダ、イギリス、スイスは約5%。韓国も少ない。金泳三元大統領の次男は公認を得られず、政治家を断念。
〇 世襲議員の問題点
・ 地盤、カバン、看板の無税相続  地盤は日本最大の既得権
・ 支援団体、人脈、スタッフ、ノウハウなど 統一教会など主義主張が異なる団体も
・ 霞が関人脈との閨閥化、官僚支配の温床化
・企業、業界団体、メディア、広告代理店との蜜月化
・霞が関と異なる長期的、戦略的な政策立案が困難に
・沖縄返還密約、日米地位協定、日米原子力協定などの密約的政策の継承?
・民主的方法による現状(status quo)変更、抜本的改革が困難に