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広島サミット岸田総理への提言が実現2023年05月27日

  私は4月21日に岸田文雄総理に広島サミットに関する二つの提案を行いました。私が会長を務める国際IC日本協会の活動を支援する国際IC推進議員連盟の中曽根弘文会長と森山浩行事務局長の計らいでした。 第一は、原爆記念碑の碑文「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」という碑文の英訳の件です。    “Let All The Souls Here Rest In Peace For We Shall Not Repeat The Evil”. このように「過ち」がevilと訳されていますが、mistakeの方が原文に即していることをG7首脳に伝えるという提案をしました。        その理由は、1950年に碑文を決定した浜井信三広島市長と親しかったドイツ人の本には、以下のようにmistakeという訳が使われているからです。“We Shall Not Make The Same Mistake Again, meaning that Japan as well as America was responsible.”また同じく浜井市長と親しかった内外の方々もmistakeと聞いていたと言っています。  Evilという言葉は、単なる善悪の悪という以上に、悪魔、強い悪意などを意味します。しかも日本語には主語が無いのに対し、英語ではWeという主語が入っているので、核保有国を含む首脳達が英訳を見ると、悪魔とみなされているとの誤解すら与えかねないと感じました。加えてロシアのプーチン大統領がウクライナへの侵略を「西側の悪との戦い」と主張していることからもG7がEvilとレッテルを貼られる可能性も回避すべきであると総理に説明しました。      また、同じ内容を松井一実広島市長にも事前に説明しました。 そして、5月19日に松井市長がG7首脳に碑文の説明をしている映像を目にしましたが、後に「過ち」が直訳のmistake と訳されていたことが確認されて、嬉しく思いました。                     第二は、1950年に浜井信三市長が、今のG7にあたる諸国を歴訪したことが碑文作成の決断につながった経緯をG7首脳に紹介することを提案しました。首脳達に碑文の意味を身近に感じてもらえると思ったからです。浜井市長がスイスのMRA(現IC)の国際会議で独仏の和解の現場を見、米国の議会やアーリントンの無名戦士の墓地などを訪問し、イタリアでのローマ法王、ドイツ・アデナウアー首相、フランス・シューマン外相、ロンドン市長、リー国連事務総長他と会談したことが碑文作成の契機となったという歴史的事実です。     ロンドン市長に広島の十字架を贈呈する浜井市長       ドイツ アデナウワー首相と    原爆の投下とは、投下した国だけでなく、被爆国を含めた「全人類の過ちとして、それを繰り返してはならない」という普遍的なメッセージの意味を理解してほしいと思ったからです。 浜井市長がわずか戦後5年の1950年に敗戦国であるドイツとイタリア、戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランスを訪問して至ったこのメッセージは、今日的には、核を使用させないことが「核保有国」と「非保有国」の共同責任であることに通じます。  平和資料館でアメリカのバイデン大統領が記帳した次の言葉が印象に残りました。「この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!」これが、広島サミットの一つの大きな成果であったと思います。       岸田首相はG7終了後の記者会見で以下のように述べました。「世界80億の民が全員、そうして『広島の市民』となった時、この地球上から、核兵器はなくなるでしょう。私はそれを信じています。今回、私は、そうした想いで、ここ広島で世界の首脳たちに集まっていただきました。」 岸田首相が、ウクライナのゼレンスキー大統領、韓国の尹錫悦大統領、インドのモディ首相などを含む首脳達に碑文の意味をどう説明したかはわかりません。しかし、この核不使用と核廃絶の流れを加速してほしいと思います。        ゼレンスキー大統領    尹錫悦大統領   ガンジーの胸像除幕式でのモディ―首相