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【IMAJ news】「和解を政治の現場に生かす:コー政治円卓会議の歩み」2002年02月25日

「コー政治円卓会議の歩み」

国際MRA日本協会機関紙 「IMAJ news」 No,99
2002年2月 25日発行

「和解を政治の現場に生かす:コー政治円卓会議の歩み」

MRA推進議員連盟事務局長
国際MRA日本協会理事
藤田幸久

  コー政治円卓会議(PRT)は1997年8月に誕生し、以来毎夏開催されています。前年のコー50周年記念大会に出席した鳩山由紀夫代議士が、「世界の指導者がコーの精神で世界の根本問題を話し合い、解決の努力をしたら素晴らしい」と提唱したのが始まりです。

 第1回円卓会議は、こうした経緯から、前年の世界大会に参加した日本の超党派の国会議員5名が署名をして、招待状が各国に発送されました。現在は赤十字国際委員会前総裁でMRAコー財団のソマルガ理事長一人の署名となっています。

 第1回円卓会議を前に、日本の国会議員は、主催国としての責任を果たすために議員連盟を結成することになり、1997年6月に「MRA推進議員連盟」が設立されました。羽田孜会長、谷川和穂副会長、鳩山由紀夫副会長、狩野安幹事他が役員で、現在の登録議員は45名です。設立総会では、インド独立の父ガンジーの孫でもあるラジモハン・ガンジー元上院議員が記念講演を行い、その模様は産経新聞に連載されました。

 毎年の会議には30~40名が出席しますが、「和解への課題」というMRA世界大会の全体会議に出席する紛争地域の当時者が多く参加することが特色です。カンボジア、ソマリア、レバノン、イスラエル、インド、パキスタンなどの当事者から、政府同士の交渉ではないコーという信頼に満ちた場で、食事の時間も含め、生の情報と紛争解決の努力をオフレコで直接聞けることが最大の特徴です。

 1997年のカンボジアのクーデター直後に参加した、亡命中の国会議員の出席は翌年の総選挙の実現に役立ちました。99年の最貧国債務削減問題の討議は、議員連盟を通して翌年の沖縄サミットで日本政府の政策転換に生かされました。2001年にソマリアの元大使から、小型武器と死の商人の暗躍こそ内戦とテロ活動の元凶であるとの訴えがありましたが、9月11日の同時テロ事件でその意味を実感しました。

  教科書問題や靖国神社問題で日韓関係が荒れた2001年夏の会議では、韓国側議員からその問題についての言及はほとんどなく、むしろMRAを基盤にした日韓関係を築きたい、そしてそのために、日本にならって議員連盟を創設したいとの決意が表明されました。12月にはMRA推進議員連盟の会議に早速、韓国の代表が来日し、本年は韓国の議員連盟の会議に日本側が参加する予定です。

  コーの和解の精神を、もっと政治の現場に生かしていきたいと思います。