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参議院予算委員会における藤田幸久の質疑議事録2016年03月04日

活動報告

2016年03月04日

参議院予算委員会における藤田幸久の質疑議事録

  ○藤田幸久君 おはようございます。民主党・新緑風会の藤田幸久でございます。今日はたくさんの大臣お越しいただきましたが、よろしくお願い申し上げます。  今日は、安倍総理が初めは御出席という予定でございましたが、状況が変わりましたので、初めは特に黒田総裁を中心にお伺いをさせていただきたいと思っております。  まず、黒田総裁、マイナス金利導入を断行されましたが、この目的についてお伺いをしたいと思います。お願いします。 ○参考人(黒田東彦君) 今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入ということは、従来から行ってまいりました量的・質的金融緩和を一段と強化することによって企業や家計の経済活動をサポートし、二%の物価安定の目標の早期実現を目的としたものでございます。  実際にも、マイナス金利付き量的・質的金融緩和導入以降、短期、長期の国債利回りは大幅に低下しております。これを受けて、貸出しの基準となる金利や住宅ローンの金利ははっきりと低下しておりまして、金利面では政策効果が既に現れております。  今後、その効果が実体経済や物価面にも波及していくものと考えておりまして、その状況を注視してまいりたいと思っております。 ○藤田幸久君 そういう面もございますけれども、いろいろ懸念されておりますマイナス面についていろいろの面が出ておりますけれども、このマイナス金利導入によるマイナス面の影響についてどういうふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。 ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、貸出しの基準となる金利や住宅ローンの金利ははっきりと低下しているわけでございます。  一方、預金金利も低下しておりますけれども、既にかなり低い水準にあったために、その低下幅は貸出金利に比べますと小幅なものにとどまっております。また、中央銀行が既にマイナス金利を採用しております欧州諸国の例を見ても、金融機関の個人向けの預金がマイナスとなるとは考えておりません。  なお、金融機関の収益に対する影響につきましては、マイナス金利に限らず、一般的に、金融緩和を進めて企業や家計にとっての金融環境を緩和させようといたしますと、仲介者である金融機関の収益に影響することは避けられないわけでございます。その上で、金融機関の収益を過度に圧迫することによってかえって金融仲介の機能を弱めることがないように、金融機関が日本銀行に保有する当座預金につきまして、いわゆる三段階の階層構造に分割し、その一部にのみマイナス金利を適用する制度設計といたしております。  金融機関の経営環境を好転させるためにも、一日も早くデフレから脱却し、二十年間も続いている低金利環境から脱却できるようにすることが重要ではないかというふうに考えております。 ○藤田幸久君 資料をお配りしておりますが、一枚目に、これ昨日の新聞でございますけれども、元日本銀行副総裁、それからその前は元財務事務次官でございました武藤さん、今オリンピックの事務総長で有名でございますけれども、この方が、ヨーロッパにおける四つの中央銀行の事例を紹介し、株価にはほとんど影響していない、物価はデンマークくらいしか上がっていないとおっしゃっておられます。  ヨーロッパにおいては、つまりマイナス金利導入の効果が上がっていない、リスク資産へのお金の誘導も劇的には起きていないとおっしゃっておられますけれども、そうしますと、この武藤さんの見方は間違っているということでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、このマイナス金利付き量的・質的金融緩和の影響の主たるチャネルといいますか経路というものは、先ほど申し上げたように、イールドカーブ全体を下げ、実質金利を下げ、貸出金利を低下させることによって経済活動にプラスの影響を与えようということでございます。  御指摘のような、いわゆるポートフォリオ・リバランスによって、例えば株に資産選好がシフトしていくことによって株が上がるといった効果もあり得るとは思いますけれども、それはポートフォリオ・リバランスの効果でありまして、実は、欧州におきましてマイナス金利を採用している国は、中央銀行は四つありまして、デンマーク、スイス、スウェーデン、そしてユーロ圏でございますけれども、ポートフォリオ・リバランスの状況はそれぞれの国の投資家の判断等によっていろいろな、区々になっておりまして、武藤元副総裁が言っておられるようなケースもあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、最も典型的にはユーロ圏のECBでございますけれども、私どもと同じように、イールドカーブを下げ、実質金利を下げることによって経済にポジティブな影響を与えようということが、マイナス金利付き、彼らも量的緩和をしておりますけれども、私どものマイナス金利付き量的・質的金融緩和の主要な実体経済に与える影響のチャネルでございます。 ○藤田幸久君 何か歯切れの悪いあれでしたが、そもそも、ヨーロッパのデンマーク等お話が出ましたが、例えばスイスなんかはマイナス金利導入の目的がそもそも違うんではないかと。例えば、マネーロンダリング対策等もございますし、元々、ある意味ではかなり違った目的で導入をしておりますヨーロッパのマイナス金利、それを引用しながら別の目的でマイナス金利の正当化を図っている。ただし、効果はヨーロッパではほとんど上がっていない。  ということは、前例としてヨーロッパを挙げること自体が無理があり、そして無理筋の延長として今回マイナス金利を導入されているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) そういうことではないと思います。  確かに、ヨーロッパの四つの中央銀行のうち、スイスやデンマークは明確に、いわゆるスモール・オープン・エコノミーということで為替の安定と物価の安定がほぼイコールなものですから、彼らの通貨がユーロに対して過度に上昇しないようにということを明確に示してマイナス金利を導入いたしております。  それに対して、大きな経済であるユーロ圏のECBはそういうことを全く申しておりません。我々と全く同様に、マイナス金利というのは、彼らもマイナス金利付きの量的緩和でございますが、これはイールドカーブを下げて、実質金利を下げ、経済にプラスの影響を与えて、インフレ期待を引き上げ、物価上昇率を引き上げていくという私どもと全く同じ考えを持っておりまして、その下でECBにおいても物価の基調は改善しております。もちろん、原油価格がこれだけ下落した下で、いわゆるヘッドラインインフレーションの率はゼロに近いわけでございますけれども、エネルギー等を除いたところでやはり一%程度になっております。 ○藤田幸久君 黒田総裁は、原油価格、最近は政府は原油価格の下落と中国経済のことをいろいろ理由に挙げられますけれども、マイナス金利導入をされる段階は既に原油価格の流れはずっとあったわけで、それから更に継続するということは、これは日本銀行の皆さん方分かっているはずで、それから総裁自身もアジア開発銀行等にいらっしゃったので当然何か、分かっているわけで、その上で決断したんじゃないんですか。だから、原油価格が下がっているということは理由にならない。  何かさっきから、ヨーロッパの話にしても原油価格の下落にしても、理由にならないことを言いながら何か強弁されているように思いますけれども、原油価格が下がっている傾向というのはもう前から、去年から分かっていたんじゃないですか。 ○参考人(黒田東彦君) 日米欧、先進国全てにおいてヘッドラインインフレーション、いわゆる消費者物価の総合の指数がゼロ%近傍にいるということの主要な原因が、原油価格が一昨年の夏以来一年半以上にわたって七〇%以上下落してきたということが主たる原因であるということは多くのエコノミストも認めているところであります。  その上で、その時々の金融政策を決めるに当たりましては、石油価格について一定の前提を置いて経済見通しを作り、そして金融政策を決めております。その際には、他の中央銀行と同様に、足下の原油価格を前提にして、それが、石油の先物市場の価格の動きで延ばして、今後そういう動きになるということを前提にして経済見通しを作り、その前提の下で金融政策を運営してきているわけです。  ただ、結果的に見て、御指摘のように、一年半前から石油価格が先物市場の示したところと違って更に下落してきたということは事実でございます。ただ、これは、各国中央銀行とも、実はIMFも同じでございますけれども、石油価格について独自の見通しを立てて、それに基づいて政策を決定するとか政策のアドバイスするということはしておりません。 ○藤田幸久君 この武藤元副総裁は、今、黒田総裁がいろいろおっしゃっていましたけれども、苦しい答弁をされておられますけれども、これをどこまでも下げ続けることはできない、長期の継続性がどの程度あるか疑問だと。  先ほどの理由でいきますと、これ〇・一を更に下げていかなければいけないと。ずっと下げ続けるか。ただ、下げ続けることはできないのではないかと武藤さんはおっしゃっていますが、どうされるんですか。 ○参考人(黒田東彦君) 欧州の中央銀行はマイナス金利をかなり深掘りをしておりまして、ある中央銀行に至ってはマイナス一・一%ぐらいにしていると思いますけれども、それはともかくとして、私どもはあくまでも現在の経済及びその見通しを前提として適切な経済政策を取っておりまして、現在の石油価格の前提、そして様々な経済指標から見て、今回決定したマイナス金利付き量的・質的金融緩和を実施していくことによって二%の物価安定目標が早期に実現されるというふうに考えております。具体的な見通しとしては、展望レポートにも示しておりますとおり、先ほど申し上げたような石油価格を前提に置けば二〇一七年度前半頃に二%程度に達するのではないかというのが私どもの見通しでございます。  したがいまして、現時点で更にマイナス金利を下げるということは考えておりませんが、いずれにせよ、物価安定をできるだけ早期に実現するために必要があれば、量、質、金利という三つの次元の手段を活用して適切に対処していきたいと思っております。 ○藤田幸久君 二%を二年以内にとおっしゃったのがずれてきて、いろいろ金融緩和されてきて効果がなくて、今度マイナス金利導入。だけれども、事例となるヨーロッパの事例も非常に根拠が薄い。ということは、その更に深掘りをするしかないんだろうと思うんですけれども、それでも本当に今度は先延ばしせずに二%実現をする。今まで聞いておりますと、かなり明示的な理由はない、かなり希望的な、あるいは我田引水的な理由しか聞いておりませんけれども、いかがですか。 ○参考人(黒田東彦君) 私どもとして、先ほど申し上げたような様々な経済の現状と先行きを十分点検し、そして、石油価格について他の中央銀行同様、一定の前提を置いて経済見通しを作り、その下で最も適切な金融政策を運営しております。したがいまして、現状で先ほど申し上げたような見通しを持っているわけでございます。  ただ、経済は生き物でございまして、いろんな動きがあり得ますので、そこは常にリスクを点検して、物価安定目標の実現のために必要であればちゅうちょなく調整をするということ、これ量的・質的金融緩和導入以来、一貫して申し上げております。これは、実際はどこの国の中央銀行も同様な対応をしていると思います。 ○藤田幸久君 先ほど、金融の仲介機能についてお話ありましたが、既に都市銀行はかなり今までこの数年間における蓄積がありますけれども、地方銀行それから生保等は、ほぼ金融機関としての仲介機能が我々から奪われてしまった、あるいは、その裁量権限が金融機関から日銀の方に奪われてしまったという声も聞いております。もう既にそういう実態があるんじゃないでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) 最新時点のデータはまだ明らかになっておりませんけれども、二〇一四年度の金融機関の収益を見ますと、大手行それから地域銀行共に高い収益を上げておりまして、史上最高とは言いませんけれども、それに近いような収益を上げております。  我が国の金融機関は十分な資本を持っておりますし、それから、欧米の金融機関のように、リーマン・ショックとか、あるいは欧州の債務危機によって直接的な影響を受けておりません。したがいまして、我が国の金融機関は、先ほど申し上げたように十分な資本を持っているということ、それから、少なくともこれまでは極めて良好な収益を上げております。  ただ、御指摘のように、地域金融機関、特に一部については、地域経済の動向とも関連して、貸出しはもちろん伸びてはいるんですけれども、その下で業務純益が必ずしもはかばかしくないという金融機関があるということは存じておりまして、そこの点につきましては、むしろ私どもがどうこう言いますよりも、銀行自身や、あるいは金融庁のマターかもしれませんけれども、当然、そういうものに対応してどのように地域の金融機関としての役割を果たしていくかということについては十分考えておられると思いますし、私どもとしても、様々な手段を使ってそれを側面から支援してまいりたいというふうに思っております。 ○藤田幸久君 まあ、メガバンクの収益はこれからそれを出せという話になるかもしれませんけれども、地方銀行等に関しては、これ後は金融庁にお任せでは済まないわけで、大変なこれ深刻な状況になっていると思いますけれども。ということは、ますますこれ地域間格差が広がっていく、ますます、需要がないわけですから、それで地方銀行の方もいわゆる自律的な仲介機能ができない、手を縛っているわけですね。いろいろ、そもそも貸出しが難しい中で今度は吐き出せと言われても非常に難しいというのが実態で、これ、地方銀行と特に生保等は今までの収益とか言っていられない状況に実際にあるんじゃないですか。そんな先ほどのような答弁で済むんですか。 ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、金融機関についても、景気回復を背景にして貸倒れ等に基づく信用コストが大幅に低下しておる等々の理由によりまして、低金利環境にもかかわらず高い収益水準を確保しておりまして、これは地域銀行の当期純利益というものも、先ほど申し上げたように過去最高に迫る水準になっております。なお、貸出しにつきましても、地域銀行の貸出しは比較的順調に伸びておりまして、特に最近は金融機関全体として中小企業に対する貸出しがかなり伸びているということでございます。ただ、御指摘の点につきましては、当然私どもも十分金融機関の収益状況等については注視してまいりたいと思っております。 ○藤田幸久君 先ほど来、こういうマイナス金利、質、量、金利というのを続けることによって目標を達成というふうにおっしゃっていますけれども、これもまた先ほどの武藤元副総裁のコメントに戻りますけれども、日本経済についてはデフレ脱却から程遠い状況にある、物価上昇に頭打ち傾向が出ていると。つまり、今まで質、量、で、今度金利をやっても、これ二%、元々宣言をしたより遅れている、それが早まるという可能性が非常に見えないということを武藤さん自身がおっしゃっているわけですけれども。  つまり、先ほど来聞いておりましても、御自身でこういうふうになるはずだとおっしゃっているけれども非常に根拠が薄いと思うわけですけれども、今までの理由でなくて、本当にそれが達成できるかという、武藤さんですらこういうふうに見ていらっしゃるんですけれども、実際に物価の上昇の頭打ち傾向ははっきりしていますね。それをどういうふうに説明するんですか。 ○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、原油価格が従来見ておりました前提よりもその後ずっと下がってきているということは、これは事実でありまして、その点につきましては、それが主たる原因になって最近の生鮮食品を除く消費者物価指数がゼロ近傍で推移しているということであります。  ただ、先ほど来申し上げているように、経済見通しというのは一定の前提を置かないとできないわけです。その場合に、石油価格について独自の見通しを立てるということはどこの中央銀行もしておりません。やはり、現状と先物市場の動向を踏まえて、一定の石油価格について前提を立てて、その下で見通しを作り、先行きの経済にとって最も適切な金融政策をすると。  もちろん、石油価格がそれ以上に上がったり、それ以上に下がったり、その他様々な経済の変動があった場合には、それに応じてまた必要な調整を行うというのは、これはどこの国の金融政策においてもそのとおりでありまして、先ほど来申し上げているように、現在の石油価格、先物の状況を前提にして私どもとして最善と考える見通しを作って、その下で適切と考えられる金融政策をやっていると、それに変動があった場合には、当然必要に応じて金融政策を調整していくということでありまして、現状、先ほど来申し上げているように、二〇一七年度の前半頃に二%に達する可能性が非常に高いという見通しを私どもは持っているということでございます。 ○藤田幸久君 原油価格については、去年から傾向が続いてきて、そして、一月二十八日、二十九日に決定されたんですよ。それから先のことではなくて、既に下がってきている中で、その状況の中で決めたんですよ、一月の二十八、二十九日に。ですから、今の理由は理由になりませんよね。その先、つまり、一月二十八日、二十九日以降どうなったかというのであれば別ですけれども。ということは、可能性が今高いと、来年の二〇一七年とおっしゃったけれども、可能性が高いということは、原油価格が今後下がっていくということも含めて、それでも二%、可能性が高いとおっしゃっているわけですね。 ○参考人(黒田東彦君) そうしたことは申し上げておりません。  今回の見通し自体が、石油価格について見通しを立てる前の一か月程度の平均値から先物市場で見られる石油価格の今後の動向を踏まえて、経済見通しのところの注に詳しく書いてございますけれども、石油価格が足下の水準から二〇一七年度という見通し期間の終盤にかけて四十ドル台の後半まで緩やかに上昇していく。これは、石油の先物市場の状況をそのまま反映して見通しを立てているわけです。  そういう見通しの下で今回のマイナス金利を導入し、量的・質的金融緩和を更に強化することによって、二〇一七年度前半頃には二%程度に達する可能性が高いという委員の間の経済見通し、物価見通しを示しているわけでございます。 ○藤田幸久君 黒田総裁はジョゼフ・スティグリッツ教授は御存じでしょうか。私も二月の初めニューヨークでお会いをして、一緒にお食事をしてまいりましたけれども、スティグリッツ教授と黒田総裁の今までのお付き合いについておっしゃっていただきたいと思います。 ○参考人(黒田東彦君) いつからかは正確には記憶しておりませんが、アジア開発銀行総裁になる以前、恐らく一橋大学教授だったときからだと思いますけれども、スティグリッツ教授とは面識がございまして、ここ十数年知己であるということは事実でございます。 ○藤田幸久君 スティグリッツ教授が、ちょっと資料として二枚目、三枚目、お配りさせていただきましたけれども、FRBのゼロ金利政策は格差を助長するとおっしゃっておられます。この長期に及ぶゼロ金利政策と債券購入策について、既に大きかった国内の格差を更に拡大したと。次の段落に行きまして、後半の方ですけれども、低金利は実際には不均衡を助長する可能性があるとおっしゃっています。  まさにこの数年間、量的緩和によって日本において格差は拡大していますですね。さらに、このゼロ金利でも格差を助長する、マイナス金利になると更に格差をより助長するという理論だろうと思っていますが、この見解についてどう思われますか。 ○参考人(黒田東彦君) 御指摘の点についてスティグリッツ教授と議論したことはございませんけれども、恐らくスティグリッツ教授は、米国の金融市場の動向あるいは経済の動向、特に金融資産の保有状況等々を前提にしてお話しされているのではないかと思います。  この点についてもいろいろな議論が米国であると思いますけれども、いずれにいたしましても、この点についてスティグリッツ教授と具体的な議論をしたことはございませんし、まして日本の状況についてこういった議論はしたことはまだございません。 ○藤田幸久君 逃げないでいただきたいんですが、私の質問は、スティグリッツ教授と議論したことはありますかという質問じゃなくて、ゼロ金利は格差を助長するという考え方についてどうお考えですか、更に加えれば、マイナス金利はもっと格差を助長するという考え方についてどうお考えですかという質問であります。 ○参考人(黒田東彦君) それは、あくまでもスティグリッツ教授は米国の状況を前提にしてスティグリッツ教授の分析をされているんだと思います。  我が国につきましては、様々な状況を十分踏まえて、そういった傾向があるかどうかということは十分注視してまいりたいと思いますが、従来から我が国において言われていた点は、むしろ緩和されるときには債務者にとってプラスであり、他方で引き締めされるときには債権者にとってプラスであるといった点から、むしろスティグリッツ教授が言われているようなことと逆の議論が行われていたと思いますけれども、今の時点で量的・質的金融緩和、あるいは、特にマイナス金利については二月中旬から適用されたばかりでございまして、実体経済への波及について今後経済にプラスの影響が出てくると思っておりますけれども、そういった点も含めて、委員指摘の点も含めて十分注視してまいりたいと思っておりますが、今から日本においてゼロ金利は所得格差を拡大したとかマイナス金利は拡大するであろうというように決め付けることはできないと思っております。 ○藤田幸久君 私も、総裁が、最近委員会で答弁を聞いておりますと、やっぱり個人に対する負担というものは増えるだろうと、金融機関とか企業は別にして、国民の財布といいますか、実質的な生活はむしろやはり苦しくなるだろうと、国民の皆さんに対する影響は相当あるだろうという答弁されていますけれども、結局、企業はまだしも、国民の皆さんにとってこのマイナス金利というものが物価高、輸入品等も含めてそういうことが更に拡大していくというならば、今から予想ができませんでは済まない話だろうと思うんですが、その点はいかがでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、マイナス金利付き量的・質的金融緩和導入以来、貸出金利、住宅ローンの金利などもはっきりと低下をしておりまして、これは必ずや家計にとっても、また企業にとってもプラスの影響があるだろうと。預金金利は若干低下しておりますけれども、既にかなり低い水準にありますし、マイナスにはなりませんので、そちらのマイナスの影響は貸出金利、住宅ローン金利の低下のプラスの影響よりも小さいと思いますので、私は、家計にとってマイナスになると申し上げたことはございません。 ○藤田幸久君 もう一つの今回の流れの中で、先ほども総裁がおっしゃっておられますけれども、国債の金利が下がっていくと。この国債の金利を下げること自体が今回の実はマイナス金利の大きな目的ではないかというふうにも感じられますが、そのことについてはどうお考えですか。 ○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和自体、長期国債を大量に買い入れることによってイールドカーブ、国債のイールドカーブ全体を引き下げるということが狙いであります。それを通じて貸出金利の低下、あるいは貸出しの増加、その他経済にとってプラスの影響が出るということを狙ってきておりまして、所期の効果を上げていると思います。  今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和というのは、国債のイールドカーブの起点を下げると、一方で量的・質的金融緩和を継続するということで、両者相まって国債のイールドカーブ全体を引き下げ、それが先ほど申し上げたように貸出金利の低下その他を通じて経済にプラスの影響を与えるということを意図したものでありまして、それは所期の効果を上げているというふうに思っております。 ○藤田幸久君 資料の六枚目をちょっとめくっていただきたいと思います。こういう青い棒グラフでございます。  これは、一月の投資家別の国債売買差額でございます。これは一月だけでございます。御覧になって分かりますように、外国人が圧倒的に多いわけであります。これは、この中には投機筋、ヘッジファンド等々も相当入っているというふうに聞いております。  そうすると、まず、マイナス金利であっても本当に物価が上昇するかということもおぼつかない、一方で国債の金利を下げる、これは財政的な目的も含まれていると思いますけれども、ということは、ところが、それにこれだけ投資家が実はこうやって入ってきているという中でございますので、これはデリバティブ取引でドルを円に替えると上乗せ金利が得られるので、マイナスの利回りの国債を買ってでも運用益が出ると。  こういう状況で国債を下げた、結果的に、という中で今こういう状況にあるということは、実体経済が悪い中でこういうある意味では環境をつくっていること自体が中央銀行総裁としては非常にこれは危ない話じゃないかと思いますが、いかがですか。 ○参考人(黒田東彦君) 私は、株につきましても国債につきましても、非居住者、外国人が売ったり買ったりすること自体が何か問題であると思っておりません。  もちろん、我が国の国債につきましては、たしか九割強が、九〇%強が居住者が買っており、一割弱しか外国人が持っていないというふうには思いますけれども、非居住者、外国人が我が国の国債を買うのが好ましくないというふうには私は必ずしも考えておりません。国債市場は自由であって、国内の投資家、国外の投資家が自由に売買の取引をすると、そういう市場であるというふうに思っております。 ○藤田幸久君 自由にできるから国の一番重要な金融あるいは経済そのものが結果的に大変な状況になってしまうということを避けるための危機管理的な意味からも、私は中央銀行総裁の仕事というのは大きいと思っております。  そんな中で、金融政策決定会合について、ここで一旦質問させていただきたいと思います。  私も、財務副大臣させていただいておりましたときに、一年一か月ぐらい金融政策決定会合に参加をさせていただきました。当時、それだけ短い期間でございましたけれども、その日銀の審議委員の中で反対の提案をするといいますか、一人がそういう反対をすること自体が大変なこれは胆力とそれから能力とそれから責任を感じてやっていらっしゃるということを感じました。一週間後にはその概要が出ますし、それから十年後には全部議事録が出ますし、一週間後の概要は英語になって全世界へ飛んでいきます。それから、審議委員になる方というのは審議委員になる前の方が収入が多い方が多くて、ある意味では、家族も犠牲にし、自分の収入も犠牲にして審議委員になる方が多いわけであります。ですから、相当の責任を持っていらっしゃる。  そんな中で、資料を配らせていただきましたが、黒田総裁になられてからの、これは四枚目、五枚目ですけれども、複数の方が反対をした議決が四回ございます。とりわけ一番最近の、これ五枚目でございますけれども、一月二十八日、二十九日、マイナス金利の導入のときには四名の方が反対をされました。黒田総裁になってから、つまり、反対の方が二人以上出るということは私は大変なことだろうと思う。ある意味では、総裁に対する不信任に近いような重い反対の方がいらっしゃる。この四回にわたってこれだけの方が反対をされた理由はどうお考えですか。 ○参考人(黒田東彦君) 本来、日本銀行法に基づきまして、金融政策の決定というものは、金融政策決定会合において九人の委員の方々が、その時々の経済、物価の情勢判断あるいはリスク要因について丹念に議論した上で多数決で決定するというものでございます。今般のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入の決定に限らず、金融政策運営の方針について委員の間で意見が異なる、あるいは採決の結果、賛否が分かれるということはあり得るわけでございまして、それ自体、何か異常なことであると考えておりません。 ○藤田幸久君 五名が賛成しているということは、総裁プラス二人の副総裁で三名で、これ、副総裁は総裁と同じいわゆる執行部であります。ということは、五人が賛成で四人が反対ということは、実質は三人が賛成で四人が反対で、反対が多かったと、実質的には。そういうことになりませんか。 ○参考人(黒田東彦君) そういうことに全くなっておりません。  日本銀行法において、総裁、副総裁もそれぞれ独立して金融政策決定会合においては議論をし決定に参加するということになっておりまして、かつて副総裁が総裁と違う意見、反対をされたということもあったと思いますけれども、いずれにしても、こういう合議体で決定するという場合には、当然十分な議論が必要でありますけれども、それとともに、決定は法律に従って多数決で決定するということでありまして、これは私が申し上げるのは失礼ですけれども、各種の国際機関の理事会もそうですし、各国の議会もそういうことであろうと思っております。 ○藤田幸久君 私が調べた範囲では、一万田総裁以来十四人の日本銀行の総裁いらっしゃいますが、副総裁がこの政策決定会合で反対したのは一回しかありません。  つまり、苦しい答弁されましたけれども、実質的には副総裁というのは総裁と一緒に執行部で提案をされるわけですから、その中でこれだけの反対が出たということは、しかも、この四年間、総裁が総裁に就任されてから四回もこういう反対が出ていると。これは相当の覚悟で皆さん反対されているわけですね。  これだけ反対がなされたというのは、今リスク要因をとおっしゃいましたけれども、リスク要因をこれだけ反対の方が感じたわけですね。先ほど来、総裁は原油価格等についてもそれは事前に動向が分からないというような言い方されていますけれども、これまさにリスク要因を判断をして反対したわけですね、皆さんは。ですから、そのリスク要因ということになりますと、先ほど来、例えば外国の、非居住者がどのくらい国債を買っているか分かりませんけれども、そういうこともリスク要因として考えながら対応するべきではないでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) 従来から、リスク要因という場合には、当然、内外の経済あるいは金融資本市場の動向、それが物価の安定に対してどのようなリスクになっているかという判断でありまして、いろいろな意見が出る際に、追加的な金融緩和について反対される場合には、そういった内外の経済のリスクというのは小さいので、ここで追加的な緩和をする必要はないという御議論が中心だったと思いますけれども、その他様々な議論が行われておりますので、委員御指摘のとおり、次回の金融政策決定会合によって承認されて議事要旨が出ますので、どういった議論の流れだったということはよく分かりますし、さらに、今年から、その前に、金融政策決定会合後にできるだけ早く決定会合で出た様々な意見の中から主要なものを取り上げて主な意見として公表しておりまして、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の決定をされた会合における主な意見も既に公表されております。 ○藤田幸久君 では、今回の一月二十八、二十九日の政策決定会合で総裁が議決された報告をする前にその情報がマスコミに漏れた、その原因は追及、調査はできましたでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、日本銀行内部、そして政府にも協力をいただきまして、その当時情報を知り得た全ての人に、政府の代表が必ず御承知のとおり金融政策決定会合に出ておりますので、その方を通じて政府の関係者が当然御存じなわけでございますので、そういうところも含めて政府の協力も得て、そういった報道をした報道関係者と接触したかどうかを確認いたしましたけれども、誰一人そういう接触をしたという人はおりませんでした。  ただ、こういったことを踏まえて、更に情報についてより厳しく対応することにいたしまして、その対応ぶり等も既に公表いたしております。 ○藤田幸久君 財務副大臣と内閣府の副大臣、政府という場合にはその方だけでございます。その方々は少なくとも控室で携帯電話を置いていっている。  今までこの政策決定会合の情報が公表前に漏れた事例はありますでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) かつて何度か例がございまして、機密の取扱いについて、より厳しくしてまいったわけでございます。  なお、金融政策決定会合には内閣府と財務省の代表が出ておりますけれども、金融政策について変更があるような場合には、そういった政府からの出席者の方がそれぞれの大臣、関係者に御相談をされて、その後にそれを踏まえて政府としての考え方を述べられるというのが例でございます。  そういう政策の変更がない場合にはそういうことはされませんけれども、政策の変更がある場合には通常そういう形にされておりまして、したがいまして、内閣府や財務省から出席されている方以外にも内閣府や財務省でその点を知っておられた方がおられるわけですので、そういう方も含めて内閣府、財務省において調査をしていただいたということでございます。 ○藤田幸久君 つまり人任せ。ある意味ではそれぞれにお願いしたんだろうと思いますが、内閣府あるいは財務省の中から漏れたと、つまり日銀ではないと。したがって、可能性があるとすれば副大臣あるいはその事務方、二つの省庁の関係者から漏れたという理解でよろしいんですか。 ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、政府の、内閣府、財務省でどの方が御存じだったかというのは私どもは分かりません。それは、それぞれ内閣府あるいは財務省で御存じであって、そういう情報を知っておられた方全ての方に確認して、当該報道関係者と接触したことはないという回答をいただいております。 ○藤田幸久君 日本銀行総裁、一万田総裁から十四名でございます。日本銀行の総裁というのは、本当に日本を代表する大変な政策決定をされる方であります。歴史に残るような方がたくさんいらっしゃいます。一万田元総裁はサンフランシスコ講和条約の政府委員でいらっしゃった。あるいは、前川レポートの前川さんとか森永総裁とかいらっしゃいます。  黒田総裁がやがて歴史に残るわけですけれども、どういうふうに黒田総裁が日本銀行総裁として仕事をされ、どういった結果になったか。私は、その政策決定会合でこの四名の方が反対をされたというのは、リスク要因を考えたというのは、恐らく日本銀行の方々の中で多くは、先ほど何か国会のようにいろいろ皆さんの話を聞く、民主的なという話がありましたけれども、無記名で、日本銀行の行員に今の総裁がやっていらっしゃったこの政策、賛成か反対か無記名で投票をされてみたらどうですか。 ○参考人(黒田東彦君) そうしたことは全く考えておりません。  なお、政策委員会のメンバー九名はそれぞれが独立して議論をし決定をするということになっておりまして、むしろ、例えば私が申し上げたこととか提案した案に対して当然賛成してもらわなければならないということはないわけでございまして、むしろこういったことで活発かつ丹念な議論が行われているということを御理解いただきたいと思います。 ○藤田幸久君 総裁、総裁が総裁になられてから取ってこられた政策というものが結果も出ない。そして、これは今までの日本銀行の政策をかなり変えてきたことがあります。そして、この金融政策、そして結果的にこの日本の実体経済が良くならない。そうすると、相当無理筋でやってきたこのやり方は後で相当修復をしなければいけない。そして、修復には随分時間が掛かる。そして、歴史的に黒田総裁というのは今までの総裁と違った評価を私は得るということは非常に残念でございます。  先ほど来お話聞いておりましても、非常に正当性のある理由といいますか、非常に乏しい、非常に苦しい話でございます。どこかでそういったやり方を変えないと、この劇薬といいますか無理筋の手段、手段が先行して実体経済は良くならない。格差が拡大をする。そして、そのツケが余りにも大き過ぎる。そのことについて、本当に総裁は責任を取られるおつもりであるのか。そして、今後も総裁としてそういったことを続けるつもりであるのか。どこかで総裁自身が御自身の責任を判断して、そして決断をされる時期かと思いますが、いかがでしょうか。 ○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、二〇一三年の四月から執行してまいりました量的・質的金融緩和というものは、所期の効果を上げていると考えております。  企業は、中小企業も含め過去最高水準の収益を上げておりまして、失業率は三・二%とほぼ完全雇用の状態にございます。そうした下で、一昨年の労使間の賃金交渉において約二十年ぶりにベースアップが実現し、昨年も多くの企業で一昨年を上回る賃上げが上昇しております。こうした中で、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は、天候要因などの影響を受けておりますけれども、底堅く推移しているということでございます。  そして、消費者物価の前年比は、確かに生鮮食品を除く指数では、これは原油価格の下落でほとんどゼロで世界的に推移しておりますけれども、物価の基調が改善していることは事実でありまして、生鮮食品とエネルギーを除くベースで見た消費者物価の前年比は、量的・質的金融緩和導入以前はマイナスで推移していたわけですけれども、一三年十月にプラスに転じた後、二十八か月連続でプラスを継続しておりまして、最近では一%を上回る水準で推移しております。  このように、物価水準、物価上昇が持続するのは九〇年代後半に日本経済がデフレに陥って以来初めてのことでありまして、先ほど申し上げたように、量的・質的金融緩和は成果を上げているというふうに考えております。  私自身の評価については、これは自分で何か申し上げるのは僣越だと思います。 ○藤田幸久君 時間が大分たってしまったんで、塩崎厚生労働大臣、GPIFについて伺いますけれども、非常にハイイールド債の購入が多いと。これは、政府の説明でもかなりこのハイイールド債というものはデフォルトの可能性もあるとまで出ておりますけれども、これだけそのハイイールド債を購入しているということに対する危険性についてお答えをいただきたいと思います。 ○国務大臣(塩崎恭久君) ハイイールド債につきましてのお尋ねがございましたが、まず、一般の方々にはハイイールド債というのはどういうものかということが御存じじゃないかも分からないので一言だけ申し上げますと、格付の機関によって一定水準以下の格付とされる債券であるわけではございますけれども、流通をしているという意味においては八割方、九割方が大体BB格とB格というところでございます。流通していないものはなかなか購入することができませんので投資することもできないということでありまして、これに関して、どことは申し上げませんけれども、BB格、B格というのは、よく見れば大体皆さん方が御存じの国内の大手の会社の中にもございますし、それから世界の中でもどなたでも御存じのような会社がBB格、B格ということになっているところがあるという、そういうものがハイイールド債の対象になっているということを皆様方にまず御理解を賜れればというふうに思います。  このリスクを抑えつつリターンの向上を図るために分散投資を行うというのが基本的な考え方でありまして、その様々な運用手法の運用機関をバランスよく採用しておりまして、昨年、GPIFが外国債券投資において低格付債も運用対象の一部に組み込むことを可能としたのが今申し上げたような分散投資の考え方からでございます。  GPIFにおいて、運用受託機関ごとの運用状況については、市場への影響に鑑みて、事業年度ごとに作成する業務概況書で公表をしております。現段階において低格付債への投資額や割合などの運用状況は、これは事業年度ごとでございますので直ちにお答えすることは難しいわけでありますけれども、年金積立金の具体的な運用に当たっては、GPIFにおいて、外部の専門的な運用機関も活用しながら、デフォルトリスクも含めたリスク管理を適切に行いながら運用しておりまして、いずれにしても、リスクをきちっと管理し、そのリスクを抑えながらリターンの向上を図るために分散投資をしているということの中で、このハイイールド債と呼ばれているものにも投資の道を開いたということでございます。 ○藤田幸久君 厚労大臣、もう一つ。以前も厚生労働委員会で質問いたしましたが、片目失明者の障害基準について、資料をお配りしておりますけれども、これ六十数年間基準が変わっておりません。片目が失明であっても〇・六以上片方の目が見えると障害者基準に満たさないと。そのことについては今対応を始めていらっしゃるわけですけれども、進行状況についてお聞かせをいただきたいと思います。 ○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十六年の十月に参議院の厚生労働委員会で藤田先生から片目失明者の障害認定基準の見直しについて御指摘をいただきました。その際、私の方から、何分にも古い基準で半世紀以上たっているということで、専門家の方々の御意見をしっかりと伺って検証を重ねることがまず先で、できるだけ早くそのための調査検討に着手をすべきという答弁をしたところでございまして、視覚障害の認定基準については日本眼科学会と日本眼科医会の合同委員会において専門的な見地から検討が進められておりまして、現在その取りまとめの作業が行われているというふうに承知をしているわけでございます。  厚労省としては、この検討結果を待って、御専門の先生方の御意見でございますので、その検討結果を待って、視覚障害の認定基準の在り方全般について関係団体や当事者の御意見もしっかりと伺って、検討を更に進めて結論を出してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○藤田幸久君 時間も少なくなってまいりましたので、官房長官お越しいただいているんですが、二月二十七日の記者会見で菅官房長官は、消費税に関して、税率を上げて税収が上がらないようなところで消費税を引き上げることはあり得ないとおっしゃっておられますが、この真意、そして現在の状況との比較についてお話をいただきたいと思います。 ○国務大臣(菅義偉君) まず、私がそのように申し上げました。それは記者会見で聞かれたんです。記者会見の際に記者の方から、総理は、かねてからリーマン・ショックや震災というような言わば突発的な事情の変更のときは凍結する、しかし、今年になって、税率を上げて税収が上がらなければ意味がないと言っている、さらに、世界経済の収縮という文脈もありましたと。いずれにしろ、その中で、総理の答弁にありましたけれども、税収が上がらないような状況であった場合は凍結法案を出すという余地はあるんですかと聞かれましたので、税率を上げて税収が上がらなければそれは当然のことじゃないですかというふうに私は記者の質問に答えたということであります。 ○藤田幸久君 最後の質問ですが、国土交通大臣お越しいただいております。  昨年の常総市を中心とした堤防の決壊等につきまして明らかになったことは、いわゆる無堤地域が非常に多い、茨城県だけでも四つの河川で無堤防地域が非常に多いと。そして、今回決壊したところも、県の管理の八間堀川も含めて非常に無堤防地域が多いと聞いておりますけれども、その割合とそれに対する対応についてお答えをいただきたいと思います。 ○政府参考人(金尾健司君) お答え申し上げます。  茨城県に関わる国管理河川においての堤防がない区間及び必要な幅があるいは高さが足りない区間の堤防必要延長に対する割合でございますけれども、例えば鬼怒川では五七%、小貝川では三二%、那珂川では六三%、久慈川では七三%ということでございます。 ○国務大臣(石井啓一君) 昨年九月の関東・東北豪雨による災害を踏まえまして、施設では守り切れない洪水は必ず発生するとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、水防災意識社会再構築ビジョンを策定いたしました。今後、このビジョンに沿いまして、茨城県内の直轄河川である鬼怒川、那珂川等におきましても、無堤部の堤防整備を含むハード対策をソフト対策と一体となって取り組んでまいります。  中でも大きな被害を受けました鬼怒川下流域では、国、茨城県、沿川七つの市町による取組を鬼怒川緊急対策プロジェクトとして今年度から実施をスタートしております。このプロジェクトの一環として実施する鬼怒川の河川改修は、今回の出水と同規模の洪水を安全に流すため、堤防整備や河道掘削等を平成三十二年度の完成を目指して進めることとしております。  また、那珂川におきましても、平成三十二年度までに水戸市内の無堤部で約二・五キロメートル区間の堤防整備を実施するなど、今後も引き続き茨城県内の直轄河川における河川整備を進め、地域の安全、安心の確保に努めてまいりたいと存じます。 ○藤田幸久君 まだもうちょっと時間があると分かりましたので、防衛大臣にお伺いしたいと思います。  資料も付けておりますけれども、最後から四枚目ぐらいから、これは小川和久さんという軍事アナリストのメルマガに出ておりますけれども、いわゆる海兵隊のヘリコプター部隊基地と地上部隊訓練場との関係でございますが、実は、いわゆる部隊基地と訓練場との間が、日本では六十五海里以内という話がずっと出ておりますけれども、実はアメリカ国内にもっと離れている場所があるという情報でございます。  アメリカ・カリフォルニア州の海兵隊の地上部隊の訓練場、駐屯地というのは、ヘリ部隊基地のキャンプ・ペンドルトンから八十四海里、ミラマー基地から九十九海里も離れているということをこの西さんという研究家が言っているわけですが、これは事実関係、間違いありませんか。 ○国務大臣(中谷元君) 御指摘の米海兵隊の空地戦闘センターが所在するトゥエンティナイン・パームズ米海兵隊基地とキャンプ・ペンデルトン米海兵隊基地との間の距離は九十・四海里であります。また、トゥエンティナイン・パームズ米海兵隊基地とミラマー米海兵隊航空基地との距離は九十八・五海里と承知しております。 ○藤田幸久君 それから、日本では無給油で二時間以内ということが議論になっておりまして、したがって六十五海里以上には離せないという話だったわけですが、実際には普天間基地の海兵隊には二〇〇八年から無給油で三・三時間の飛行が可能なヘリコプターが配備されているということがこの情報にもありますが、これも間違いございませんか。 ○国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場にUH1Yも配備されたと承知しておりまして、防衛省として最初にそれを配備を把握したのは二〇一二年でございます。 ○藤田幸久君 ということは、二〇一二年まで防衛省は気が付かなかったということでありますけれども、今の段階で考えてみると、アメリカにおいても六十五海里以上のそもそもそういうことが行われていて、今現在、普天間におきましても三・三時間飛行可能なヘリコプターがあるということは、今考えれば、いわゆる訓練の基地というのは六十五海里以上であっても可能ということでよろしいですか。 ○国務大臣(中谷元君) 政府といたしまして、私もそうですが、六十五海里標準というものが基準であったというふうには認識いたしておりません。 ○藤田幸久君 基準であったとは認識していないということは、アメリカ政府が言っている言っていないにかかわらず、当時いろいろ政府内では六十五海里以上は無理だというふうな議論があったことは確かでございますけれども、それを遡って否定をされるということですか。 ○国務大臣(中谷元君) これは前の政権での話でございまして、私といたしましては、この六十五海里が基準であるというふうには認識いたしておりません。 ○藤田幸久君 ということは、今後、日本政府の政策決定において、六十五海里以上、普天間からですね、のところに代替基地を建設をする、あるいはその一部をということも可能であるということですね。 ○国務大臣(中谷元君) 委員も御指摘のように、ヘリコプターの航続距離というのは年々長くなってきておりまして、オスプレイにいたしましても、このUH1Yにいたしましても、当時から比べますと能力は高くなってきておりまして、一概にいずれの距離が基準であるのか、私は、これ米国の決めることでございますので承知いたしておりませんが、そういう六十五海里が基準であるというふうなことも認識いたしておりません。 ○藤田幸久君 したがって、今後は六十五海里以上でも可能だということですね。 ○国務大臣(中谷元君) そのことは米国が決定することでありまして、日本政府としては承知していないということでございます。 ○藤田幸久君 最後に、その関係で、外務大臣、資料の後ろから二枚目ですけれども、これは、原口一博議員がこの間、予算委員会で質問したことに対する外務省からの理事会に出された文書であります。  この六十五海里というものが当時議論になっていたということに対して原口議員が質問したところ、それに対して外務省から出てきた回答でございまして、これは当然大臣も承認をした文書だろうと思いますけれども、要求事項の下の三行の右の方、勝手に怪文書を出して当時の総理を惑わさせたと理解しており、指定期間過ぎたものは開示してほしいとありますが、原口議員は、委員会でそういった質問をしたことはないと言っております。  これ、後に訂正したようでありますけれども、つまり、二月二十四日の段階で大臣はなぜこの文書を許可したんでしょうか。それから、怪文書という意味をお答えいただきたいと思います。 ○国務大臣(岸田文雄君) この要求事項の中身については、今までの様々なやり取りを踏まえて外務省で整理をして文書を作ったわけでありますが、それに対しまして、その御指摘の部分につきましては原口委員の方から指摘がありました。それを受けまして、二月二十六日付けで修正版を提出したと報告を受けております。 ○藤田幸久君 なぜそうなったのか。修正の前、なぜこの文書を出したんですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 今までの様々なやり取りを踏まえて外務省として整理をした文書が当初の文書でありました。その整理した文書について原口委員の方から指摘がありました。この指摘を踏まえて修正版を提出したというのが経緯だと承知をしております。 ○藤田幸久君 終わります。ありがとうございました。