ブログ

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2013年11月07日

活動報告

2013年11月7日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。一昨日に続き、質問させていただきます。小野寺防衛大臣が官邸の方で会議があるということでございますので、先に質問をさせていただきます。
 一昨日の続きでございますが、いわゆる2プラス2の普天間問題に関する声明の件でございますが、昨年四月二十七日の共同発表では「これまでに特定された唯一の有効な解決策」と、「これまでに特定された」とありますが、ということは、これまでに特定されていない解決策もあるというふうに読めるわけですが、それでよろしいのかということが一つと、それから、当時、アメリカのマケイン上院議員、委員長ほか、三名の方がいわゆる新嘉手納案等の提案をしておられましたけれども、その可能性をどう評価をされるか。二点についてお答えをいただきたいと思います。
国務大臣(小野寺五典君) 委員には御配慮ありがとうございます。
 今御質問がありました昨年四月の2プラス2共同発表案における、これまで特定された唯一の有効な解決策との表現ということであります。これは当時の民主党政権下のことでもありますので、私、再度当時の担当者にも確認をさせていただきましたが、議員から御指摘のあるような特定されていない解決策もあるということを意味するものではなく、唯一の解決策であるということが今でも変わりないということでありました。
 それから、当時の嘉手納統合案の可能性でございますが、これも当時様々検討され、嘉手納統合案につきましては日米間で議論をされたということでありますが、過去の検討におきまして、騒音増加の問題、有事等における混雑による基地機能低下の問題などがあったことから合意に至らず、キャンプ・シュワブへの移設が唯一の解決策である旨、日米間で確認されたということであります。
藤田幸久君 嘉手納統合案が、あるいは新しい嘉手納案がいいかどうかという評価の一つの背景として、いわゆる沖縄県の知事の許可が要らないわけですね。それから、既存の米軍基地の中での移転という点がシュワブとは違っておると思うんですが、その点について、つまり知事の許可が要らない、あるいは既存の米軍基地の中の移転であるという部分についてはどうお考えになりますでしょうか。
国務大臣(小野寺五典君) これは、キャンプ・シュワブも既存の米軍基地内への移転ですが、埋立てをするということで嘉手納とは違うということだと思っております。
 その中で、この議論が出た中からも、地元嘉手納町を始め様々な議論が出ておりましたし、また米側としても有事等における混雑で基地機能の低下が行われるということで、米側としても合意に至らずということでありましたので、これはやはり、現在日米で合意しておりますキャンプ・シュワブ沖への埋立てということが唯一の現在の解決策であるという方向は変わらないと思っております。
藤田幸久君 今、現在のとおっしゃいましたけれども、それから、今年の十月三日の声明の方では「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」と出ておりますが、ということは、これを普通、素直に読みますと、辺野古案が実現されなければ普天間は継続使用されるというふうに日本語では読めるわけですが、それでよろしいでしょうか。
国務大臣(小野寺五典君) 私どもとしては、普天間の固定化はあってはならないということで、これらの計画を進めさせていただいております。
藤田幸久君 ならないというのは、それは主観でありまして、文章上は、つまり実現しなければ継続使用されるというふうに日本語では読めますが、それでよろしいですね。
国務大臣(小野寺五典君) 繰り返しになりますが、私どもは普天間の固定化はあってはならないという姿勢で進めさせていただいております。
藤田幸久君 答えてください。
国務大臣(小野寺五典君) 繰り返しになりますが、普天間の固定化はあってはならないという姿勢で進めさせていただいております。
藤田幸久君 十分でお立ちになっていただきたいと思っておりますけれども、お答えになりませんと、私も答えを求めなければいけないということになってしまうわけですが。
 この文章の意味は、つまり実現されなければ継続使用される、普天間は、というふうに明らかに英語でも日本語でも書いてあるわけですから、その内容はそのとおりでよろしいんですね。
国務大臣(小野寺五典君) 2プラス2の共同声明の文書は、「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」ということであります。
藤田幸久君 十分で出ていただきたいと思いますけれども、答えていただきたいと思いますが、考えていただいている間に、一昨日、この案について、沖縄の皆さんの理解を得られる努力を行うというふうに私の質問に答えていただきましたが、どのような努力をされていくんでしょうか。
国務大臣(小野寺五典君) 沖縄の中に様々な声があるということは、先日の委員の質問でも私ども重々受け止めております。
 その中で、一日も早いキャンプ・シュワブへの移設、普天間飛行場の返還ができるように、引き続き政府の考えを丁寧に説明し、沖縄の皆さんの理解を得る努力をしていきたいと思いますし、また、このような認識の下、沖縄の負担軽減を目に見える形で進めていくために、今回統合計画に基づく土地の返還、オスプレイの沖縄県外での訓練、ホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除、返還予定地への立入調査のための新たな枠組み、KC130飛行隊の普天間飛行場から岩国飛行場への移駐や在沖海兵隊のグアム移転など、今般の2プラス2に盛り込まれた措置を着実に実施し、負担軽減に努力するというこの姿勢で私どもとしてこれからも進んでまいりたいと思っております。
藤田幸久君 いろいろおっしゃいましたが、沖縄にとっては普天間の継続使用が一番反対の大きな理由じゃないでしょうか。それを説得しない限り、今いろいろなことをおっしゃっても意味がないし、ということは、先ほどの文章と同じでございますけれども、継続使用されない、つまり危険除去をして普天間を移設するということが一番重要なんじゃないでしょうか。それがなければ沖縄の皆さんの理解は得られないと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(小野寺五典君) 繰り返しになりますが、政府としては、普天間の固定化はあってはならないという姿勢でこれからも取り組んでまいりたいと思います。
藤田幸久君 官邸にお越しになりたいのか、委員会に残りたいのかということですが、後で文書でお答えをいただきたいと思いますけれども、あと一問だけ。
 いわゆるアメリカの情報機関による通信傍受に関することでございますが、これも二日ぐらい前でしょうか、小野寺防衛大臣はぶら下がりで、あくまでも報道があったということで、アメリカ政府がそのように言っているとは承知していない、ただ、様々な友好国との信頼を傷つけるような行為は決して望ましいことではないというふうにおっしゃっておられますが、その後、これアメリカ政府の当局者がNHKの取材に対して、NSAが日本国内で通信傍受の施設を設けて活動しているということを明らかにしていると言っておりますので、ということは、これは少なくともアメリカの政府の方がおっしゃっているという前提で、この今回の行為についてその後どういうふうに受け止めておられるか、所感を聞かせていただきたいと思います。
国務大臣(小野寺五典君) 今回のNSAによる通信記録の収集問題については、日米間でしかるべく意思疎通をしておりまして、今回の一連の状況も踏まえ、一層緊密に意思疎通するよう米側に申し入れているものと承知をしております。
藤田幸久君 つまり、アメリカ側に照会をしたということでしょうか、意思疎通ということは。
国務大臣(小野寺五典君) 今回の一連の状況も踏まえ、一層緊密に意思疎通するよう米側に申し入れているものと承知をしております。
藤田幸久君 つまり、申し入れたんですね。今、最後の部分は、申し入れたとおっしゃっている。
国務大臣(小野寺五典君) 報道その他については承知をしておりますが、相手国との関係上、報道を前提とした見解を述べることは差し控えさせていただきますが、先ほど来お話をしておりますように、今回の一連の状況も踏まえ、一層緊密に意思疎通するよう米側に申し入れているものと承知をしております。
藤田幸久君 先ほどは申し入れているものと承知しているとおっしゃらずに、意思疎通を申し入れたとお答えになりましたが、申し入れたんですね。
国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のNSAの記録通信の収集問題につきましては、ただいま防衛大臣からお答えさせていただきましたように、米国側に対しまして、これまでもしっかり意思疎通を図ってきましたし、そしてこれからも意思疎通を図ろうと思っております。
 そして、その詳細については申し上げることは控えなければならないと思いますが、この実態把握をするために米国側にしっかりと連絡を取り合っている、こういったことでございます。
藤田幸久君 後で外務大臣とそれ詰めますけれども、防衛大臣、先ほどの件は答えてください。今お答えできないのであるなら文書で出してください。ということで、官邸に行っていただいて結構でございますが、少なくともその答えることだけはしていただきたいと思います。
 ということで、委員長、防衛大臣に退席していただいて結構でございます。
委員長(末松信介君) 最後の答弁は必要ないですか。
藤田幸久君 あれば。
国務大臣(小野寺五典君) 今御指摘がありましたので、文書で出させていただきます。
 どうもありがとうございました。
委員長(末松信介君) じゃ、防衛大臣は御退席していただいて結構でございます。
藤田幸久君 では、外務大臣、条約に関してですけれども、WTOの政府調達市場開放についてでございますが、九六年の現行のWTOの政府調達協定と、それから今回の改正議定書、いずれもWTOの有志国の協定ということにとどまっておりまして、これは全てのWTO加盟国の自由化を意味するものではないわけでございますが、経済成長の著しい新しい国々も含めて全てのWTOの加盟国を対象に対外開放を規律する考え方がなぜ受け入れられないのか、その点について外務大臣からお答えをお願いいたします。
国務大臣(岸田文雄君) この政府調達につきましては、多くの国々におきまして、産業振興ですとかあるいは中小企業政策の一つとしまして、この政府調達におきまして国産品ですとかあるいは国内供給者、こうしたものを優遇してきた、こういった経緯があります。
 したがって、WTO加盟国全体としては、この政府調達というもの、内国民待遇の例外として扱われています。特に途上国におきましては、政策手段としてこのような例外を維持して、そして自国の産業の育成を図りたい、こういった意向は依然根強く存在していると思われます。
 こういった事情から御指摘のような形になっているということでありますが、ただ、改定協定におきましては、開発途上国に対して協定上の義務履行を一定期間猶予するなど、こうした特別な配慮が講じられております。こうしたことによって、今後開発途上国の加入が一層促進されるものと期待されます。
 実際、改正協定交渉の妥結後、開発途上国を中心に、加入交渉を開始する国あるいはオブザーバーとなる国が増えております。現在、モンテネグロ等十か国が加入申請中、あるいはマレーシア、インドネシア、ベトナム、十七か国がオブザーバーとなっております。こういった動きが進んでいるのが現状でございます。
藤田幸久君 先ほどの米国のいわゆる通信傍受活動について外務大臣が先ほどちょっとお答えになりましたけれども、つまり、意思疎通を今までも図ろうとしてきたし、これからも図ろうと思うと、それで実態把握にということでございましたが、これはかなり大きな問題であります。
 ドイツ等も含めて、これは国を挙げての大きな問題になっておりますが、今まで見ておりますと、日本政府は何か他人事といいますか、こんなに重大なことについて何か切迫感が全然ないような気がするんですが、これはすぐに実態把握をもうしていなければいけないことだろうと思いますが、実態把握、つまりアメリカ政府に対しては、誰が、いつ、何を照会をされたのか、教えていただきたいと思います。
国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、こうした情報保全の問題は、外交を始め様々な政策におきまして大変重要な問題だと認識をしております。
 そういったことから、NSAのこの通信記録収集問題、米国に対しましてこれまでこの問題に関しまして意思疎通を図らせていただき、そしてこれからもしっかり意思疎通を図っていかなければいけない、こうした姿勢で臨んでいる次第です。
 そして、この具体的な、何をとか、その内容につきましては、ちょっとここで申し上げるわけにはいきませんが、そういったこの問題の重要性に鑑みて、実態を把握するべく意思疎通を積み重ねている、こういったことでございます。
藤田幸久君 では、日本の外務省において米国大使館に活動を行ったのかどうか、あるいはアメリカの国務省に対して日本の大使館が行動を起こしたのかについて、その二つ、いつの段階で起こしたか、それだけ答えてください。そのぐらい答えられると思いますね。それも答えられないようであるならば、その姿勢とかおっしゃるけれども、何か非常に切迫感が全然ないように、少なくとも、アメリカの国務省に対していつ、日本の米国大使館に対していつ行動を起こしたのか、答えてください。
国務大臣(岸田文雄君) ちょっと具体的な詳細につきましては、今手元にありませんし、そして加えて、こうした詳細についてここで申し上げるのはふさわしくないとは思っております。
 しかし、外交当局間でしっかり、先ほど申し上げました問題意識の下に実態把握のために意思疎通を図っている、こうしたことは申し上げたいと存じます。
藤田幸久君 質問通告で米国政府に対して事実照会をしたかと聞いているわけですから、それで、米国の例えば国務省に対して行ったか、日本の米国大使館に対して行ったかというのは詳細じゃなくて基本じゃないですか。それはもう詳細じゃなくて基本のことですから、これ、佐藤さんなんかも御覧になっておられるけど、これは非常に国の機密に対して重要な話ですから、それを答えていただきたい。答えられないのであるならば文書で出してほしいと思うことと、それから、昨日ですか、今朝のニュースですけれども、ドイツにおいてはドイツの内務大臣が、これはドイツ政府かドイツの議会関係者がロシアに行って直接スノーデン元職員にヒアリングをするということまで言っております。そのぐらいな話だろうと思うんですね。
 これ、同盟国である日本に対してそういった活動をしていたということならばそれだけ重要な話だろうと思いますし、外務大臣にとっても一番優先度の高い話だろうと思うんですが、例えばドイツはそういうことをやっている、日本はほとんどやっていないんじゃないかと思うくらいの今の答弁ですけれども、例えばアメリカの大使館あるいはアメリカの国務省に対してどういう行動をしたのか、それだけでも答えていただきたいと思います。
国務大臣(岸田文雄君) 我々もこの問題に対する重要性、認識、強く持っております。そして、他国の対応につきましてコメントする立場にはありませんが、我が国の立場からこの実態把握のために全力を尽くしているということであります。
 具体的な詳細については、ちょっと手元にありませんし、そしてこの詳細についてここで申し上げるのは控えさせていただきたいと存じます。
委員長(末松信介君) 藤田先生が先ほど文書で事務的に欲しいとおっしゃったこと。
藤田幸久君 では、文書で出していただけますね、手元になくてもあるわけでしょうから。
国務大臣(岸田文雄君) まず、実態はもちろん確認はいたします。そして、このアメリカの意思疎通において、この内容等、公にできるものかどうか、この辺も確認した上で報告をさせていただきたいと存じます。
藤田幸久君 先ほど他国のことは言う立場にないとおっしゃいましたが、これ他国の問題じゃなくて自国民に対することですので、それから、自国民に対する責任ということであれば、先ほど情報保全ということをおっしゃいました。まさに、今日、情報保全についての、衆議院の方でしょうか、審議が始まるわけですが、一般論ですけれども、いわゆるこの今回の特定情報秘密法案というのは国内の日本人の情報漏えいに対する扱いになっているわけですが、一般論ですけれども、情報を漏えいする日本人と、外国あるいは外国政府が不適切な形で日本の情報を取得しようとしている今回の行為ですけれども、どちらがより許し難いのか、お答えいただきたいと思います。
国務大臣(岸田文雄君) 一般論として申し上げれば、国籍等にかかわらず、情報を漏えいする者と、そして情報を不正に入手する者、どちらも罰せられるべきだとは存じますが、どちらの罪が重いか等につきましては、最終的には司法当局が個別のケースを踏まえて判断するということになるかと思いますので、一概にどちらが重いか等については申し上げるのは難しいのではないかと思います。
藤田幸久君 外務大臣というのは、日本の国民の安全と命を守る、そして国を代表して対外関係においてそういう国の、あるいは国民の利益を守る立場の方が、何か人ごとのような話で、つまり、流出流出とおっしゃいましたけど、片方は流出で、あるいは漏えいですけれども、不適切な手段でほかの人あるいはほかの国の情報を取ろうとする、不正な手段でということに対しては、国の生命、財産を守る立場にある外務大臣とすれば、これは最優先で取り組まなければいけない事案だろうと思いますけれども、それに対してそういう対応をしているようには見受けないのですが、いかがでしょうか。
国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたように、一般論として、情報を漏えいする者、そして不正に入手しようとする者、これは共に罰せられなければならない、情報を不正に入手する者に対しても厳しく対応しなければならないと考えております。
 そして、そうした認識の下に、今回の案件につきましても、実態を把握するべく努力をしているということでございます。
藤田幸久君 ということは、不正に入手をしようという行動を他国の政府がしたということが判明、あるいはその態様が判明した場合には、これはその国との関係において極めて重大な影響を及ぼすというふうに考えてよろしいですね。
国務大臣(岸田文雄君) 仮定の問題にお答えするのはいかがかと思いますが、一般論として申し上げれば、そういった実態が把握されれば我が国としてしっかり対応しなければいけないと思います。
藤田幸久君 しっかり対応するのは当たり前でございますけれども、極めて国の存亡にかかわる重要な事件であり、かつ、普通の、何といいますか、刑事事件とか個人の問題についてというよりも、これ、国がかかわっているという可能性がこれだけ報道されているという中で、しかも、その中にいた方から出てきている情報、そしてほかの国の首相にかかわることでほかの国の議会なりが動いているときに、少なくとも、意思疎通というようなちょっと離れたような立場じゃなくて、全外務省の組織を挙げて実態把握に動くというぐらいの、例えば外務大臣がワシントンに飛んでいって実際どうなんだというぐらいのことをしてよろしいんじゃないでしょうか。
国務大臣(岸田文雄君) 意思疎通という言葉を使わせていただきましたが、我々はこの問題につきまして大変重要視しておりますし、実態把握に向けては全力で取り組まなければいけないと思っています。
 あわせて、我が国の情報保全の問題でありますので、実態把握と併せて、そもそも我が国の情報保全に向けてしっかりとした体制を組んでいかなければいけない。この部分につきましてもしっかり努力をしていきたいと考えています。
藤田幸久君 ですから、情報保全もさることながら、これだけ国がかかわる可能性のあったことについては、やっぱり国を挙げて、大臣自身がその調査、解明に動くようなことをしていただきたいと。それから、先ほどの点については文書でお答えいただくということを申し上げて、次の質問に時間がありませんので移りたいと思います。
 昨日の、あるいは今朝の新聞に出ておりますけれども、経団連ほか四団体が、日韓の関係で、日本の企業が戦争中の労働に対して支払を命じられたケース、今年三件ほどございますけれども、こういう問題に対して日韓両国政府及び経済界に対して解決を呼びかける昨日声明を発表いたしましたが、この呼びかけに対して、これは日本政府に対する呼びかけでもございますけれども、日本政府としてどう対応していく考えか、答えていただきたいと思います。
国務大臣(岸田文雄君) 昨日、六日の日ですが、経済三団体及び日韓経済協会、日韓請求権・経済協力協定により日韓間の財産請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されている中、本事案により良好な日韓の経済関係が損なわれる可能性があるとして、深い憂慮を表する旨の声明を連名で発表したこと、当然承知をしております。
 これにつきましては、これまでも、九月の日韓外相会談の場で私からも、本件、直接韓国側に対して提起させていただくなど、外交ルート等を通じましてこの日韓間の財産請求権の問題、これはこの日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるとの我が国の政府の一貫した立場に基づいて様々なレベルで申入れを行ってきております。
 今後とも、こうしたこの我が国の考え方、しっかりと伝えていかなければならないと存じます。適切に対応していきたいと考えています。
藤田幸久君 時間がないので、これは要するに個人請求権の問題だろうと思うんですけれども、それで、ちょっと調べたんですが、一九九一年の参議院の予算委員会、九二年の衆議院の外務委員会で、当時の柳井俊二外務省の条約局長の答弁を見ておりますと、個人の請求権は消滅していないというふうに答えておられますが、これは外務省の見解として今も変わっておりませんか。
国務大臣(岸田文雄君) まず、日韓のこの財産請求権の問題に対する我が国の一貫した立場、先ほど申し上げたとおりであります。協定によりまして完全かつ最終的に解決済みというものでございます。
 そして、御指摘の点ですが、この日韓請求権、そして経済協力協定の下では、個人が裁判所に対して個人として訴えを提起すること自体は妨げられていないものと理解をしています。しかしながら、この協定に基づきまして、このような個人の請求権は法的には救済されないということになるものと理解しております。
藤田幸久君 それは最後の部分を言っているわけですけれども、請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではないということを柳井さんはおっしゃっています。それから、個人として請求を提起することまでは妨げていないと、その後は裁判のことなわけですが。ということは、いわゆる外交保護権は国としてはないけれども、個人がそういうことを訴えることについては妨げていないということだろうと思うんですね。
 ということは、私は今後、ここまで日韓で大変な、カントリーリスクというふうに今朝の新聞に出ていましたけれども、何か知恵を出すべきときではないかと思っているわけです。
 それで、一つは、例えば国際的な司法裁判所等の仲裁を求めるようなお考えは政府としてはあるんでしょうか。
国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国の立場につきましては先ほど説明させていただいたとおりでありますし、これまで一貫しております。そして、一貫した立場に基づいて韓国側には申入れを行っております。この立場は我々変わらないと思っております。この立場に基づいて今後の対応を考えていかなければならないと存じます。企業側ともしっかり連絡を取りながら、我が国の立場に基づいてしっかりと対応していきたいと考えています。
藤田幸久君 通告をしておりますが、ドイツの例があると思います。これはアメリカも含まれて、いわゆる訴訟以外の部分で政治的に解決をした事例だろうと思いますし、これは、最終的なゴールは、企業の法的安定性確保ということがゴールだったんですね。
 昨日、経団連等がこういうことを出したということは、企業活動についての安定性を確保というゴールが、私は非常に知恵があると思いますけれども、そういったやり方、これは当時のクリントン大統領とドイツのシュレーダー首相までかかわってまとめたんですが、そういう経験も参考にしたらいかがかと思いますが、簡単にお答えいただければ幸いです。
国務大臣(岸田文雄君) ドイツの例を御紹介いただきました。要は、基金をつくって対応したと承知しておりますが、そもそもドイツは戦後、東西に分断されていたために、我が国のように国家間で賠償等の問題を一括処理することができなかったことなどの理由によって、結果的にナチスの犯罪の犠牲者への個人補償という形を取った、こういった経緯に基づいて対応されたと承知をしております。我が国の立場は先ほどのとおりであり、これはもう国家間でこの問題を処理したわけであります。こうしたことから、このドイツの例とそして今回の例、これで単純に比較参考にするということは難しい部分があるのではないかとは考えています。
 いずれにしましても、我が国としまして、我が国の立場に基づいて一貫して申入れを行っていきたいと考えています。
委員長(末松信介君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
藤田幸久君 終わります。