ブログ

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2013年11月05日

活動報告

2013年11月5日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。野党に戻りましたのをきっかけにまた外交防衛委員会に戻ってまいりましたので、よろしくお願いいたします。

 最初に、まず、日ごろから活躍に敬意を表しております小野寺防衛大臣にお伺いをしたいと思います。

 十月の三日、日米の防衛大臣、外務大臣による2プラス2の会合が開かれました。この声明におきまして普天間基地の移設に関する記述がございます。今資料をお配りしていると思いますけれども、その資料の一にございます。一方、昨年四月のこの2プラス2の声明におきましてもこの普天間問題についての記述がございますけれども、両方に共通をして唯一の解決策とございますけれども、その形容詞といいますか条件について違いがあるわけでございますが、その違いについて、防衛大臣、お答えをいただきたいと思います。

国務大臣(小野寺五典君) 今、藤田委員から御指摘がありました、その違いについて、済みません、もう一度質問いただけませんでしょうか。

藤田幸久君 資料の一にございますけれども、十月三日におきましては、この二行目でございますけど、日本文の方ですけれども、「運用上、政治上、財政上及び戦略上の懸念に対処し、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」と。他方、昨年の四月におきましては、上から二行目の後半でございますけれども、「これまでに特定された唯一の有効な解決策」とございます。その違いについて。質問通告をしておりますが。

国務大臣(小野寺五典君) 昨年、二〇一二年四月二十七日のこれは2プラス2におきましては、今このお手元の資料で委員の方から、下段の方ですね、御指摘があると思うんですが、この「閣僚は、」の前のところに、「閣僚は、運用上有効であり、政治的に実現可能であり、財政的に負担可能であって、戦略的に妥当であるとの基準を満たす方法で、普天間飛行場の移設に向けて引き続き取り組むことを決意する。」、その後に「閣僚は、」というふうに書いてありますので、私としては、この昨年の2プラス2も今年の2プラス2も内容については大きな違いがないというふうに理解をしております。

藤田幸久君 いや、大きな違いは、昨年は「これまでに特定された」という形容詞が入っておりますが、これは非常に大きな違いがあると思いますし、つまり、「これまでに特定された」という条件の中での「唯一」ということですから、今年の十月三日には「これまでに特定された」というのが入っておりませんから、つまりそれは非常に大きな違いと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小野寺五典君) 済みません、もう一度ちょっと趣旨を御説明いただきたいと思います。

藤田幸久君 昨年の四月の、「これまでに特定された」ということは、つまり今まで検証してきた中で「唯一の」と。それに対して、今年の十月に関しては、「これまでに特定された」と入っておりませんから、つまりこれまでに検証されてきたということが入っていないわけであります。

 つまり、昨年の四月は、多分あの当時のいろいろな分析等の記述で防衛省も分かっていて答えているんだろうと思いますけれども、つまり昨年はアメリカの上院の三人の委員長が予算を止めたわけでありますね。その際に、この政府の中で文章を入れ替えて、「これまでに特定され」、つまり検証してきた以外にも可能性はあるということを残したのがこの「これまでに特定された」と形容詞を入れた大きな違いだろうと思いますが、今年それ抜けているということは、これまでに十六とか十七とか言われておりますけれども、それ以外に可能性があるというのを残したのが去年であるのに対して、今年はそれを取ったということは、そういうものはないというふうに断定したんでしょうか。

国務大臣(小野寺五典君) 今回の共同発表における「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」との表現というのは、昨年四月の共同発表において「普天間飛行場の固定化を避けるため」と表現されているように、同飛行場の固定化を絶対に避けなければならないという決意の下、同飛行場をキャンプ・シュワブに移設することが唯一の解決策である旨述べたものであります。

 また、昨年四月の共同発表における「これまでに特定された唯一の有効な解決策」との表現は、当時、民主党政権下で様々な移転先を検討してきたことを踏まえ、その上で政府として普天間飛行場をキャンプ・シュワブに移設することが唯一の解決策である旨述べたものであります。このように、日米両政府はこれまで累次にわたって現在の移転計画に対する強いコミットメントを表明してきており、この計画を完了させるとの決意に変わりはないということであります。

 地元との関係につきましても、今回の共同発表においても、普天間飛行場をキャンプ・シュワブに移設することが、地元の御理解なくして基地の運営や航空機の運用は困難であるという様々な理由で唯一の解決策であることを確認しておりまして、引き続き丁寧な考え方を沖縄の皆様に説明しながら御理解をいただきたいと思っております。

藤田幸久君 であるならば、この中に例えば「政治上」という形容詞が今回入っておりますけれども、その中に、例えば沖縄の県民の支援を得られるというような記述があってしかるべきであろうと思いますが、そうした記述がないのはなぜでしょうか。

国務大臣(小野寺五典君) これは、あくまでも私どもとして政治的に沖縄の皆様にしっかりとした理解を得る努力を今後とも続けていくというその姿勢には変わりはないということであります。

藤田幸久君 つまり、今後の努力目標であって、この二人の大臣同士の現在における状況とすれば、理解を得ていないので努力をしているというふうに、つまり文章に入っていないということはそういうふうに理解してよろしいでしょうか。

委員長(末松信介君) 解釈として率直に述べていただいたら結構かと思います。

国務大臣(小野寺五典君) 文章の中をずっと読んでいただければ分かるように、今回については、前回、昨年の2プラス2の合意内容について簡潔にまとめたという内容でありまして、その中身について変化はないというふうに私どもは理解をしております。

藤田幸久君 いや、今の質問は、例えば沖縄県民の支援を得られるといった記述がないということについての理由を聞いているわけであります。

国務大臣(小野寺五典君) 済みません。もう一度、質問の趣旨をよく教えていただきたいと思います。

委員長(末松信介君) 藤田先生は政治上というところをちょっとお話しなさったんですけれども。

藤田幸久君 去年も今年も含めて、沖縄の県民の支援を得られるというようなことが、この唯一の解決策の表現として、形容詞として、条件として入れるべきではないかと思いますが、なぜ入れないんでしょうかというのが趣旨であります。

国務大臣(小野寺五典君) 昨年の2プラス2合意にも今年の2プラス2合意にも、今、沖縄の皆さんの理解をということが文章に入っていないという御質問でしょうか。

 そういうことにつきましては、私ども、今回唯一の解決策ということで日米で合意をさせていただいておりますし、今後、政治的にこれは沖縄の皆さんの合意を得るべく努力をしていくということだと思います。

藤田幸久君 つまり、今の段階ではその支援を得られていないと、ゆえに努力も講じているというふうに理解をしておきたいと思います。

 時間が過ぎましたので、今度、防衛大臣から外務大臣にちょっと質問を変えたいと思いますが、同じ2プラス2の関係でございますけれども、資料の二を御覧いただきたいと思います。

 今回の2プラス2の会合で、情報保全について詳細な記載がございます。資料二の三つ、2プラス2の声明を入れておりますが、一番下、つまり今回の十月三日に関しましては、情報保全という一つ項目が起こしてございます。遡って二年前の六月、そして平成十九年の五月、二つ入れてございますけれども、つまり、これまで情報保全についてアメリカ側からの要請を示すような記載がございますけれども、今回は特にこの特定秘密保護法案を提出を前提にしたような内容となっているように見受けられますけれども、これまでアメリカからどういう要請があったのか、お答えをいただきたいと思います。外務大臣。

国務大臣(岸田文雄君) 特定秘密保護法案ですが、安全保障の情報の重要性が高まるとともに情報漏えいの危険性が高まっている昨今の状況の中で、やっぱり一定のものを的確に保護する制度が不可欠だという判断から今検討が進んでいるわけです。一般論として、こうした情報保全が強化されれば信頼関係が高まり、そして両国間の情報共有が質量双方で広がっていく、こうした認識の下に今法案の審議をお願いしているわけです。

 これは、我が国としてそうした問題意識でこうした法案を作り、そして審議をお願いしているわけでありまして、アメリカがこの法案につきまして、今言った両国間の情報共有が質量共に広がっていくという点において注目をしているのは事実でありますが、具体的にアメリカから何か要請を受けた上でこうした法案をお願いしているというものではないと認識をしております。

藤田幸久君 若干関連をいたしますけれども、三ページ目の資料を御覧いただきたいと思います。

 今回の、あるいは前二回も含めまして2プラス2の文書読んでおりましたところ気が付いたことがございますが、その情報保全というものが英語の方ではインフォメーションセキュリティーになっております。ところが、今回の2プラス2を見てみましても、インフォメーションセキュリティーに対してそれだけが情報保全という、保全という訳語になっております。ほかは、ナショナル・セキュリティー・ストラテジーが国家安全保障戦略、それから日本のセキュリティーというのは自国の安全保障、あるいはスペースセキュリティーというのは宇宙の安全となっております。ほかにも政府が使っております政府用語を見てみましても、フードセキュリティーとかソーシャルセキュリティー、社会保障、安全保障、人間の安全保障。ところが、この今回の情報保全ということだけが、インフォメーションセキュリティーのところが保全という言葉になっています。

 そのセキュリティーと保全の違いというものに関してちょっと辞書等を調べてみますと、この資料三の下の方ですけれども、セキュリティーというのは状態が損なわれないようにする、安全、無事とか書いてあるのに対して、保全というものを逆に英語で見ますと、コンサベーションとかプリザベーション。この違いは、セキュリティーという言葉は政策的な意味のある広い意味であるのに対して、この保全というのは極めて技術的なあるいは狭義のテクニカルな用語であると。

 しかも、その保全ということの使い方が、よく見てみますと、例えば、もう一枚、資料の二に戻っていただきますと、それで例えば昨年の六月の2プラス2の真ん中辺へ行きますと、セキュリティークリアランスなんて今度は片仮名で使っているんですね。だから、仮にインフォメーションセキュリティーのセキュリティーが安全保障と言いづらいならば、例えば安全という言葉でもむしろ的確になりますし、場合によってはこのインフォメーションセキュリティーと言った方が妥当な面もある。

 ただ、これだけ保全、保全と確定をしてみますと、その特定秘密保護法案との関係でいいますと、行政がテクニカルに技術的に狭義にこの保全という言葉を使ってしまっていて、かつ一貫性がないわけでございますから、これどう考えてみてもセキュリティーという言葉は保全ではなくて、安全とか安全保障とか、場合によっては片仮名のセキュリティーの方がはるかに、恣意的なあるいは狭義的なテクニカルな使われ方をしないという意味で妥当ではないかと思いますが、これは質問通告をしておりましたけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) まず、先月の2プラス2の共同発表においてインフォメーションセキュリティーという言葉を使っているわけですが、これは、要は情報を的確に保護し、そしてその漏えいを防止するという意味でこの用語を使っております。

 こうした趣旨を的確に表す言葉としてどういった日本語がふさわしいかということですが、今言った趣旨を表す場合、情報の安全保障とか情報の安全という言葉よりは情報の保全という言葉を使った方が的確に内容を表すことになるのではないか、このように考えております。

藤田幸久君 その保全という言葉は、先ほど先に言ってしまいましたけれども、例えば英語との関係でいいますと、コンサベーションとかプリザベーションということがむしろカウンターパートの言葉になっておりまして、極めて技術的な言葉でありまして、元々のセキュリティーという意味は先ほど申しましたようにもう少し政策的な包括的な意味でございますから、日本語だけが保全としてしまいますと、極めて行政が解釈でその情報の意味を確定をし、そしてその解釈に応じて、この保全、つまり今大臣がおっしゃったような的確にとか漏えい防止とかいうことに関して行政が判断をしてしまう保全ということになってしまうのではないか。

 したがって、これはやはり正文が英語でございますから、セキュリティーの意味をより体した、つまり、的確に保護し漏えい防止という以上に広い意味をこのセキュリティーという意味が、食料の安全保障にしても社会保障にしても人間の安全保障にしても意味しているわけですから、私はそうすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 今回の2プラス2に至るまで、様々なレベルにおいて日米間で意思の疎通を図ってきました。事務レベルでも様々な意思疎通を図り、積み上げを図ってきた次第です。そして、その中で、このインフォメーションセキュリティーという言葉につきましては、先ほど申し上げましたように、情報を的確に保護する、そして情報の漏えいを防止する、こういった意味で使っているということについては双方確認をしております。そして、その意味を的確に表す日本語として情報の保全という言葉が一番ふさわしいのではないか、このように認識をしております。

藤田幸久君 ちょっと水掛け論になりますけれども、この辺にしておきたいと思いますが、私が申し上げたことについてもう一度検討していただきまして、これは非常に重要なことでございますので御検討いただきたいと思います。

 時間の関係で次の質問に移りたいと思いますが、もう一つ、この2プラス2に来日をされましたアメリカのケリー国務長官とヘーゲル国防長官が今回、靖国神社ではなく千鳥ケ淵を訪問されました。これは、あのアーリントン墓地の対を成す場所が千鳥ケ淵というふうに認識をして訪問したんではないかという考え方がございますが、そう理解してよろしいんでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 米国のアーリントン国立墓地は、国立墓地及び戦没者の慰霊施設と承知しております。こういった施設は、やはり国によって、歴史、沿革、様々であります、異なるものであります。ですから、このアーリントン国立墓地と千鳥ケ淵戦没者墓苑、これ一概に比較すること、これは困難であると認識をしています。

藤田幸久君 七月に本をいただきました。堀内光雄先生が書かれました本で、「「靖国」と「千鳥ヶ淵」を考える」という本でございます。私も読ませていただいて、大変勉強になりました。

 この千鳥ケ淵に関しましては歴代の総理が全員八月十五日に参拝をしておられるということでございますが、これは岸田外務大臣、御存じでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 済みません、日にちはちょっと定かではありませんが、毎年参拝していることは承知しております。

藤田幸久君 同じこの堀内先生の本によりますと、この千鳥ケ淵の墓苑の意味というのは、いわゆる軍人軍属以外の戦没者あるいは遺骨収集団が収集した御遺骨を含む民間人の御霊を慰霊する墓苑であると。

 ここを、もちろんケリー長官も大変意味あることだろうと思いますが、国防長官であるヘーゲル長官が参拝をされたということは、私は非常に重い、大変敬意を表するべきことだろうと思いますが、この方が訪問された意義について、岸田外務大臣、どうお考えでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のケリー国務長官そしてヘーゲル国防長官、このお二人が千鳥ケ淵戦没者墓苑、訪問されたこの意味について御質問でありますが、本件、この訪問はまず基本的に米国の行事として行われたものですので、私は意味について申し上げる立場にはないと考えておりますが、米側は本件訪問について、日本の戦没者に対する敬意を表するため、こうした説明をしていると承知をしております。

藤田幸久君 私もちょっと調べてみたんですが、例えば極東裁判のコメントで有名なインドのパール判事も参拝をされておられます。それから、ほかの国では閣僚以上では、アルゼンチンの大統領以外は、軍人の方の訪問はあったんですが、閣僚経験者というのは今回のお二人だけのようでございます。

 私は、この堀内先生の本を読ませていただきまして、いわゆる民間の方の墓苑にこういう形で訪問していただくということについては大変有り難いことであり、全戦没者に対する敬意という意味で、これからも日本人の一人として尊重しながら思いをはせていくということを私自身が思い知らされたような気がいたしますが、それについて大臣としてどういうふうに評価を、感想で結構でございますので言っていただきたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君) 千鳥ケ淵のこの戦没者墓苑ですが、さきの大戦で海外における戦没軍人及び一般邦人の遺骨を納めた無名戦没者の墓として昭和三十四年に創建されたと承知をしております。

 こうした墓苑に対しまして、今回、アメリカの国務長官、そして国防長官が日本の戦没者に対する敬意を表するためという説明の下に参拝されたということでございます。

藤田幸久君 その昭和三十四年、まさしくこの墓苑ができたようでございますが、そのときに総理として御挨拶をされたのが当時の岸信介総理だそうでございます。

 では次に、別の質問に移りたいと思いますが、先ほど白眞勲議員の方から、この間の週末の日ロの方の2プラス2について質問がございました。いい雰囲気であった、安保問題にも深まったというその点は私も大変評価をさせていただきたいと思います。

 その上で、四回トップ会談が開かれたという一方で、外務省の次官級の協議に委ねるということは、これはやっぱり日ロのこの問題というのはトップ同士が本気で取り組んで初めて動くべきところまでの積み上げがあるんだろうと思っています。ということは、プーチン大統領自身が本気で取り組もうとしている、つまり、何かほかに外務省の方に投げたようなことではない、何か大統領自身が本気で取り組もうとしているという確証あるいは感触があるのかどうか、外務大臣にお答えいただきたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君) まず、四月の安倍総理の訪ロに際しまして、共同声明が採択されました。その中で安倍総理とプーチン大統領、両首脳の議論に付すため、双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速させるとの指示を自国の外務省に共同で与える、こうした合意をしております。

 こうした合意に基づいて外務省間での協議を深めていくことになるわけですが、先般、バリAPECの際の記者会見でプーチン大統領が、様々な分野における日ロ関係の発展が、平和条約締結を夢見るだけではなく、それに向けた実際の作業を行うための条件をつくり出している、こうしたことを述べられたことにも我が国は注目をしております。こうした発言を受けて様々な作業が進んでいます。また、今回2プラス2を始めとする安全保障分野におきましても協力の強化が確認をされています。

 こうした両国間において様々な分野、全体として協力が進んでいく中にあって、今紹介させていただきましたようなプーチン大統領の発言、これを具体化するべく作業を進める、こうした指示が両国の外務省に出されているわけです。これは、プーチン大統領としましてもこの問題に対しまして真剣に取り組む姿勢を示されているものと理解をしております。

藤田幸久君 ラブロフ外相なんですが、その数か月前だろうと思いますが、経済関係さえ良くなればいわゆる出口としての平和条約は不要であるような発言もされておられるようでございますが、北方領土問題が棚上げされるというようなことがないような確証はございますんでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 平和条約締結問題につきましては、先ほど御紹介させていただきましたプーチン大統領の御発言等を受けて、双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させる、こうした両国首脳の指示が出され、それを踏まえて議論が行われています。今般の2プラス2に先立って行われました日ロ外相会談におきましても、私自身、ラブロフ外相とこの問題につき議論をし、その結果として次回の次官級協議、一月末から二月初めに行う、こういった一致を見たわけであります。

 こうした議論のやり取り、そして今後のスケジュールの策定等を考えますときに、この平和条約締結問題について棚上げする、こういった雰囲気は感じ取ることはできないと考えております。

藤田幸久君 では、雰囲気だけではなく、更に詰めていただきたいと思います。

 それでは、これから捕虜問題、養父母問題、慰安婦問題等について御質問させていただきたいと思います。

 先月、アメリカとオーストラリアの元捕虜の方が来日をされ、それぞれ岸田大臣にお会いをいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。このアメリカの捕虜の方が来日に関しましては、実は自民党の谷川和穂先生とか玉澤徳一郎先生が大変御理解をいただいて進んだことでございます。私どもも超党派の議員のグループで運営をしてきたわけでございます。

 その中で、岸田外務大臣がアメリカ及びオーストラリアの捕虜の方にお会いをされた後の外務省のホームページ等を見ておりますと、過去、去年、おととし、その前の外務大臣のときの応対と違っているかのように出ておりまして、つまり、去年、おととし、その前の外務大臣の場合には、この元捕虜の方々に対する損害あるいは苦痛に対して深い反省等の気持ちを表明したというような言葉が伝えられておりますが、今回はアメリカ、オーストラリアの捕虜に対してそうした言及がなかったかのように報じられておりますが、実際そういった言葉を大臣はお述べにならなかったんでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) まず、十月の二日にオーストラリアの元戦争捕虜の方々、そして十月の十五日に米国の元戦争捕虜の方々に外務省を御訪問いただきまして、その際に私自身お会いさせていただき、私の方から、この招聘プログラムが元戦争捕虜の方々の日本に対する和解と両国間の相互理解に資することを望むということを申し上げさせていただくと同時に、深い反省と心からのおわびの気持ちを含むこの従来の立場、これをしっかり直接伝えさせていただいております。

藤田幸久君 ありがとうございます。

 であれば、そのホームページ等の広報もそういったことが伝わる、特に英語版なんかについてはそういうふうに是非していただきたいと思います。そうでありませんと、そういうのが伝わっておらなかったというふうに理解をしております。

 それから、ということは、この捕虜問題というのは私は非常に重要だろうと思っておりまして、そもそも戦後のポツダム宣言及びサンフランシスコ平和条約においてこの捕虜問題について規定がされておられるわけですが、どのように規定されておられるのか、大臣の方からお答えをいただきたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君) ポツダム宣言、それからサンフランシスコ平和条約におけるこの捕虜問題の対応ですが、ポツダム宣言におきましては、その第十項におきまして、我ら、すなわち連合国ですが、の俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰加えらるべし、すなわち連合国のこの捕虜を虐待した者を厳罰に処すべきというふうに述べています。

 また、サンフランシスコ平和条約におきましては、十六条におきまして、日本の捕虜として不当な苦難を被った連合国軍隊の構成員に償いをする等の観点から、日本はまず、中立国又は連合国と交戦した国に存在する日本国及びその国民の資産等を赤十字国際委員会に引き渡すこと、そして赤十字国際委員会はその資産を金銭化して捕虜であった者及び家族のために適当な国際機関に対して分配する、こうした規定を設けています。

藤田幸久君 ありがとうございます。

 それから、規定に加えまして、サンフランシスコ平和条約においては、この捕虜の取扱いを規定するジュネーブ条約に加入することを義務付けるということがあるはずでございますが、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) そのとおりだと存じます。そして、日本は加入いたしました。

藤田幸久君 つまり、この捕虜の問題というのはそういう日本の外交のある意味では非常に重要な出発点であるということの認識を確認をしていただきたいと思います。

 そんな中で、今年も私もオーストラリアとかアメリカの捕虜の方とお会いをいたしました。そこでびっくりしたのは、数名ずついらっしゃっているんですが、今年、未亡人の方が何人か入っておられました。つまり、相当のお年でございます。これは大臣もお会いになったと思いますけれども、九十歳代の方が非常に多いわけであります。私もちょっといろいろ調べてみましたところ、例えばアメリカなんかに関しましても、実際に当時の捕虜の方であり、日本まで飛行が可能であり、そして来る意思のある方というのは数十人ではないかというふうに聞いております。

 してみますと、例えば再来年というのは戦後七十年でございますので、数人ずつということではなくて、あと三年、四年たってしまいますと、つまり御本人で日本に来られる方が非常に少なくなってしまうのではないかと。でありますので、例えば来年と再来年の向こう二年間、従来の人数を二倍か三倍にしていただければ、該当し、そして日本に、つまり渡航ができるような方々を大体お迎えすることができるんではないかと思いますので、前倒しをしてそういう方々を日本に招聘をされていただくことが大変日米関係あるいは日豪関係の観点からも重要ではないかと思いますが、御提案でございますが、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 元戦争捕虜の方々の招聘事業につきましては、ただいま委員から御提言もいただきました、そうした御提言と併せて、この招聘を受ける方々の希望ですとか、さらに九十歳を超えておられる方も大勢おられますので、健康状態ですとか、それから相手側の意向、さらには政府としてこの政策の効果の判断、こういったものを総合的に勘案して適切に判断していくべきものだと考えます。

 御提案も含めて、今申し上げました様々な点を考慮して招聘事業の在り方は考えていきたいと思います。

藤田幸久君 前向きな御答弁ありがとうございます。是非御努力をいただきたいと思います。

 それから一方、この捕虜の方を対応しておりました、いわゆる俘虜監視員という方々が朝鮮とか台湾から動員をされた青年たちであったということになっておりまして、戦後の軍事法廷でBC級戦犯として訴追をされたりしております。

 それから、いわゆるアジア人の捕虜の方もいらっしゃったわけですが、いわゆる連合国の元捕虜だけではなくて、このアジア人の元捕虜、あるいは逆の立場のBC級戦犯とされた方々に対しても同じような日本としての気持ちの表明と可能な形での支援を行うべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) 我が国は、かつて多くの国々、特にアジア諸国の方々に対しまして多大な被害と苦痛を与えました。この認識におきまして、この安倍内閣も歴代内閣の立場を引き継いでおります。こうした内閣の方針、考え方については、これまでも説明をしてきましたし、これからもしっかりと説明をしていかなければならないと思っています。

 そして、加えて、戦後六十八年にわたりまして我が国は、この反省の上に立って、自由で民主的で、そして基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、平和国家として歩んできました。こうした戦後の歩み、さらには今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方における国際貢献の在り方、こういったものを含めて、我が国の立場とか考え方、方針、今後ともしっかりと伝えていきたいと考えています。

藤田幸久君 先ほどの白さんの質問のときの積極的平和主義に対するお答えよりも、今のお答えの方がより具体的で建設的であったと思いますので、是非進めていただきたいというふうに思います。

 それから、ちょっと時間の関係で一つ飛ばして、中国残留孤児の養父母のことについて質問をさせていただきたいと思います。

 私がこの質問をしたいと思ったきっかけは、先日溺れた日本人の子供を救った中国人の方を安倍総理が表彰すると言っておられます。大変いいタイミングといいますか、対応だろうと思っております。ただ、そこで思い出したんですが、実はその困っている日本人を一番多く救った中国人の方々というのは、この養父母の方だろうというふうに思います。

 私もちょっとお手伝いしたことがありますが、当時、つまり中国という国に日本から兵士が行って戦いをして、その兵士あるいは日本の家族の方々が、いろんな事情にあるにしろ、御自身のお子様を連れて帰れなくなって残した方々が残留孤児の方々でございます。その方々を救ったのが養父母の方でございます。いろいろ読んだことがございますけれども、例えば痩せこけて逃げてきた子供を助けなければ死んでしまうと、子供に敵味方の区別はないといって養父母の方々は、御自身も大変貧乏であったわけでございますけれども、自分の子供ばかりではなくて、このある意味では敵国の兵士あるいは方が残していったお子さんを助けてくださったわけであります。

 いわゆる残留孤児の支援の一環としての養父母の方の支援もございますし、数年前に丹羽大使が表彰状を大使館で養父母の方にされたということはあるんですが、一方で、この是非資料の四ページ目を御覧いただきたいと思いますが、民間の方々が養父母の訪問事業というのをずっと二十年間やってこられました。ハルピンとか黒竜江を訪問されて、この資料の四ページですけれども、非常に感動的な支援をされておられるんです。私は、むしろこういう民間の方々の支援をやっていく方、これも、養父母の方々も大変な年齢の方々でございますから、是非こういった民間による養父母の訪問事業等を支援すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君) まず、日本政府としましては、日中間で協議を重ねた結果として、日中友好、さらには人道的見地から、日本に永住帰国した中国残留孤児の養父母に対しては扶養費の支払を実施してきております。また、日本に永住帰国していない中国残留孤児の中国人養父母に対しては、委員御指摘のように、中国日本国大使から感謝状を授与しております。また、御指摘のように、民間の動きとしましては、東京中国歌劇団、一九九三年以降、中国を訪問し、中国残留孤児養父母に感謝する慰問コンサート等を実施していることを承知をしております。

 引き続き、我が国としましても、中国残留孤児の養父母の置かれた状況を踏まえながら、適切な形で感謝の気持ちを示していくよう努力をしていきたいと考えております。

藤田幸久君 今大臣がおっしゃった東京中国歌舞団のことを先ほど申し上げたんですが、私が確認したところ、政府からの支援ってないんですね。多分こういった方々が一番情報を持っていらっしゃるんです。ハルピンに行ったらこういう方々がいらっしゃる。

 外務省がやっていらっしゃるのは、その表彰状を別にしますと、そういう意味での直接支援がないようですから、是非情報を持ち、一番信頼されている皆さんを政府の方で支援をしていただきたいということを申し上げて、もし御答弁をいただければ答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君) 実際の状況、特に中国残留孤児の養父母の皆様方の置かれた状況、これをいま一度しっかりと確認しながら適切な形は検討したいと存じます。