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【北区新聞】ITが主役のアメリカ大統領選挙 藤田幸久 オルブライト国務長官の招きで訪米2000年10月22日

北区新聞 2000年10月22日

ITが主役のアメリカ大統領選挙

前衆議院議員
藤田幸久

私は九月十日から三十日まで、オルブライト国務長官の招きでワシントン、アトランタなど7都市を訪問し、大統領選挙を視察すると共に、ブッシュ、ゴア両候補のブレーンなど六二組の方々と日米の経済問題、安全保障問題などについて一対一の対話を行うことができました。

 この国務省の国際訪問プログラムには、一九六一年以来イギリスのブレア首相、ドイツのシュレーダー首相、韓国の金大中大統領、マレーシアのマハティール首相など世界各国一八六人の大統領、首相経験者が参加しています。
日本からは大江健三郎などの作家やジャーナリストなどの参加は多いものの、政治家の参加は海部元首相、細川元首相など少数に限られ、この十年間はゼロ。本年も国会関係者の参加は私一人という有様でした。

ワシントンでは、黒人学生のメッカといわれるハワード大学の講堂で、ゴア候補の少数派政策を聴くことができました。
舞台上に円形階段状に座る学生を背に、ゴア候補は客席の学生に語りかけ、その反応を確かめるような対話を行いました。
両候補とも、身障者施設視察、環境NGOとの対話集会、自動車工場や石油備蓄基地訪問というような、テーマ別のテレビ向けイベントを毎日、しかも半年以上も続けています。  

国民の側は、ホームページなどで候補者の行動や発言を毎日追いかけ、候補者側は日々世論調査を行いながら政策やイメージ戦略を変えていきます。  
国民と候補者間の双方向の発信によるインターネットの民主主義です。候補者には国民を説得できる説明責任が、国民には候補者を監視する自己責任が要求されます。  

ブッシュ陣営では、ノーベル経済学賞のミルトン・フリードマンやレーガン大統領の元ブレーンのマーティン・フェルドシュタインなど、旧知の大物ブレーンと意見交換ができました。  

フリードマン教授は、「財政黒字が急増したのは、大統領と議会が対立して無駄な予算が使えないからだ。民主党が大統領と議会の両方を握ると予算をバラマキし過ぎ、共和党が両方を握ると減税し過ぎて、何れの場合も黒字は消えてしまう。
大統領と議会は別政党が勝つのが国民に良い」との意見でした。

日本でも宮城県議会と浅野知事、長野県議会と田中康夫新知事との対立が予想されますが、行政と議会とのチェック・&・バランス、健全な政権交代が必要な時代です。  

今回の選挙は大変な接戦で、フォーリー駐日大使も、「賭け事をするなら両方に賭けるしかないですよ!」と私にアドバイスして下さいました。
フェニックス(アリゾナ州)では、ハル知事、バイレス副知事を訪問しました。この州では、他に検事総長も含む六人のトップ・ポスト全部を女性が占めています。
シリコン・バレーに迫るIT(情報技術)の最先端を行き、行政情報や法案のホームページ化、投票方法の機械化などで他州をリードしています。IT成功の理由として、  
1.疑問があれば何でも先生に質問し、議論ができるような環境を子供の時から作っている。  

2.日本にビデオなどで敗れ日本叩きが起きた時、クリントン大統領は、相手を叩くよりも米国が優れている軍事技術のインターネット技術を民間企業に開放した。

という話を聞きました。  
同様に、古い住宅街が新しい商店街に生まれ変わったボストンや、失業者にIT技術を教えたアリゾナなど、市民や経営者が知恵を出し合って街の再生に成功した事例が少なくありません。  
私もホームページ(www.fujita-yukihisa.com)を通して、地域の活性化に尽くしたいと思います。  
サンフランシスコでは高校生と一時間日本に関する対話を行いました。日本人もピザを食べるの? という質問に対して、「私の近所の小渕前総理もピザが好きでした!」と得意げに答えました。

(北区新聞、平成十二年十月二十二日)