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「はだしのゲン」や災害報道は制限すべきでない 2013年08月23日

漫画「はだしのゲン」が松江市の図書館において読書制限を受けていることが全国的な問題となっています。私は、原爆や戦争がいかに悲惨なものであり、特に、女性や子供などの多くの市民に、しかも次の世代を含め長い間被害を及ぼすという事実を子供の時代から知ってもらうという意味から、制限をすべきでないと思います。

 この問題について、危機管理上も、事実を包み隠さず伝えることが重要であるとの観点を述べたいと思います。

2004年末に起きたスマトラ沖の大地震・津波の被災者支援活動のために、私は民主党国際局長としてインドネシアやスリランカの現地に飛びました。そして、その現地で見た被害状況や映像が、日本国内で見たものよりもはるかに悲惨であることに気がつきました。市販されているDVDを買って帰国しました。津波が、車や家具どころか、家を土台から根こそぎ引き剥がし、街全体をローラーのようにそっくり持ち去っていく破壊力、その流れに巻き込まれたり、漂流していく住民の姿などがリアルに映っていました。他方、日本での映像は、美しい砂浜を高々と打ち寄せる波の映像などばかりです。日本では、津波の破壊力や被害の残酷さが伝わらないのです。そこで、マスコミ関係者や政府関係者に、事実をもっとリアルに伝えるように訴えましたが力不足でした。

2年前の東日本大震災の際、もっと津波の実体を伝えることを強く主張しておけばよかったと後悔しました。実際、3月11日以降に中国を訪問していた日本人が中国で放映される日本の大震災の映像の方が、日本国内のものよりはるかにリアルであったと聞きました。

日本では、リアルな映像は抑制するというテレビ局などの取り決めなどがあるようですが、被害の大きさなどの事実を国民に伝えることこそ本来のあり方ではないでしょうか?見た事実をどう判断するかは国民にあるのであって、それが民主主義の基本だと思います。

行政や放送業界の方で、事実や情報を抑制したり、制限することは国民益や国益にならないことは、歴史が証明しているのではないでしょうか?