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  • 【2006年2月9日】

    活動報告

    2006年2月9日(木)

    国際キリスト教大学/国際協力研究会ワークショップ
    「国連と市民社会:政府、議会、NGOの連携による和解と紛争解決」

    民主党国際局副局長
    前衆議院議員
    藤田 幸久

    1.MRA(Moral Re-Armament、現在はInitiatives of Change,IC)による和解と紛争解決活動
    (1)戦後のドイツとフランスの和解を仲介
     「ドイツを抜きにしてヨーロッパの再建はできない」とのフランク・ブックマン博士(MRA創始者)の信念から、1946年から1950年までに3千人のドイツ人と2千人のフランス人をスイス・コーのMRA国際会議場に招き、寝食を共にしての和解活動を行う。反ナチスの立場であったことが占領当局から証明されたドイツ人のみ出国を許され、両国の政治家、経済人、労組幹部、教育家、青年などの間で劇的で、深い和解が生まれる。息子がゲシュタポに拷問されたフランスの国会議員イレーヌ・ロー夫人が、自分が抱いた憎しみに対してドイツ人に謝罪したことが和解を大きく前進させた。その後、ロー夫人はドイツ10州を訪問し、200箇所で謝罪をして回る。
     これらが、アデナウワー首相(独)とシューマン外相(仏)との信頼関係を育み、アメリカのマーシャルプランの受け皿作り、シューマンプラン(重工業の共同運営)の実施、欧州鉄鋼・石炭共同体の設立に貢献し、やがて今日のEUが実現する。
    (2)日本の国際社会復帰への橋渡し
     1950年に、マッカーサーが出国を認めた戦後初の大型使節が、スイス・コーのMRA会議に参加(石坂泰三東芝社長、中曽根康弘代議士、浜井信三広島市長、大橋傳長崎市長、西巻敏男海員組合委員長など72名。)欧州の戦後の和解と復興に直接触れることができた。
     欧州から米国に渡り、米国議会で北村徳太郎、栗山長次郎議員が謝罪。浜井市長による『過ちは繰り返しませぬから』という広島の原爆記念碑の碑文決定に貢献。
     1953年、東芝河原勤労部長、山村東芝労組委員長が共にコーの会議に参加。大争議後の労使関係改善の契機に。石川島播磨重工労組の柳沢委員長のコー会議参加が、土光敏夫社長との信頼関係に。これらが、日本全体の民主的労使関係の形成に貢献。
     1957年、日韓正常化の橋渡し(岸首相と加藤シヅエ議員の連携によって久保田発言撤回、財産請求権放棄などを実現)。岸首相アジア・太平洋9カ国を歴訪して国会などで謝罪。
     1962年大平正芳外相、金鐘泌会談の機会を提供し、1965年の日韓基本条約締結への環境作り。
     ブックマン博士は、日本、フランス、ドイツ、タイ、ビルマ、イラン、フィリピン等から叙勲を受ける。
    (3)その他の和解・仲介活動
     モロッコ、チュニジアの無血独立の橋渡し。ジンバブエ和平(黒人と白人)。レバノンのキリスト教とイスラム教の対話。
     ボーゲンビル和平。カナダ、ニュージーランド、オーストラリアでの先住民と白人との橋渡し。
     ソマリア各派、アフガニスタン各派の対話の仲介。イスラエルとパレスチナのジュネーブ・イニシアチブ・グループの対話を支援。
    2.対人地雷禁止条約(オタワ条約)調印はNGO、国会議員、在日外交官、マスコミによる連携プレー。
    • 1996年難民を助ける会の絵本「地雷ではなく、花を下さい」の売り上げでカンボジアの地雷除去活動。全ての政党の国会議員が数ヶ月で5千冊購入。
    • 「対人地雷全面禁止推進議員連盟」の結成。7人の首相経験者を含む超党派の国会議員388人がオタワ条約調印賛成の決議に署名。軍縮問題ではなく、人道問題としたことによって、与党も加わり超党派の体制ができた。
    • ダイアナ妃の死去、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)のノーベル平和賞受賞などの追い風。
    • 数人の駐日大使が日本政府に調印を迫る共同記者会見を開催。NGOを中心に政治家、在日外交団、マスコミや官僚を含むネットワークを形成。橋本龍太郎総理、小渕恵三外相も加わり、防衛庁を包囲してオタワ条約調印が実現。
    3.NGO、政府、国会議員の三者協議による政策立案の増大
    • 圧力団体が族議員や関係省庁に働きかけるという従来の政策決定過程が、NGOの台頭で変化。
    • 国会議員が仲立ちをして、NGOが関係省庁と直接政策についてのやりとりを行なう。
    • 現場情報や経験を持つNGOが政府をチェックし、政策提言を行う。
    4.先進諸国では、議会承認に基く公的資金支援による民間の財団等が設立され、議会や政党と連携して、民主化支援や紛争解決に関わっている。
    • ドイツ :エーベルト財団(社民党)、アデナウアー財団(キリスト教民主同盟)など政党別。70年代以来、最も歴史が古い。
    • アメリカ:NED(米国民主主義基金)が窓口となり、共和党、民主党、財界、労働界のNGOに振り分ける。
    • カナダ :ライツ&デモクラシー
    • イギリス:ウェストミンスター民主主義基金が窓口となり、各政党などに振り分ける。
    • フランス:シューマン財団、ジョレス財団など政党別
    • オランダ:超党派のための民主財団
    • 豪州  :民主機関センター
    • 台湾  :台湾民主基金会
    5.緊急援助における政府とNGOとの連携
     インド洋沖大津波やパキスタン大地震の現場で見る、日本政府のNGOに対する支援体制は他国に比べて極めて劣る。ジャパンプラットフォーム(JPF)傘下の財政的支援を受けているNGOは素早い行動がとれるが、これ以外のNGOでは、こうした大規模な緊急人道援助には財政面でも人材面でも追いつかないのが現状だ。
     日本政府による財政支援先の大半が相手国政府や国際機関である。2002年前後の統計によれば、アメリカ政府の緊急援助のNGOに対するODA拠出金額の割合は68%。以下EU62%、イギリス61%、スウェーデン59%、ドイツ30%である。6~7%の日本とは桁が違う。日本政府は、先ず、緊急援助予算の10%程度ほどを、トラウマ支援など中長期的支援を含めたNGOによるプロジェクトに割り当ててはどうか。
     被災国政府に対する拠出の問題点は、昨年1月にインドネシア政府に支払われた146億円のうち、11月現在で16%しか使われていないという実態が国会質疑でも明らかになった。しかも、緊急援助の中心であるべき医薬品や食糧などよりも、道路建設、護岸工事などの建設機械や車輌などの調達が多い。そして、この援助を担当する外務省の外郭団体「日本国際協力システム」(JICS)への「手数料」が3億1千万円と極めて高い。
     スリランカやパキスタンで活躍している日本のNGOは、相手国政府によるNGO登録や労働許可、援助物資の輸入関税の減免措置、購入したテントの輸送などのロジスティックス調整活動で忙殺される。前述の欧米諸国は、NGO支援に関するガイドライン、NGOからの申請に対する迅速な回答、事務費などの間接経費支援など、様々な対応が整備されている。
     こうした分野での態勢作りを急ぐとともに、在外公館もしくはJICAは労働許可、減免措置、ロジスティックス支援での日本のNGO支援体制を整えるべきだ。日本から政府やJICAの専門化を派遣して現地対応することも必要だ。
    6.まとめ
     9.11以後の紛争は、自爆テロなどに顕著なように、より深い憎しみの連鎖を伴っている。これらの和解や紛争解決には、(1)民族や宗教、人種、文化などを超えて紛争当事者双方から信頼が得られるような精神性や道義性。(2)多くの異なる立場の市民を巻き込む幅広い信頼醸成活動。(3)テロのエネルギーである憎しみの武装解除を行うために、その温床となる貧困、飢餓、汚職、犯罪などの根絶。が必要である。
     国連が、自らの改革を進めながら、こうした問題に効果的に取り組むには、市民社会との有機的な役割分担が欠かせない。国連を直接構成する各国政府と、議会、NGOとの効果的な連携と役割分担が不可欠である。

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