ブログ

参議院財政金融委員会における藤田幸久の質疑議事録2010年03月30日

活動報告

2010年03月30日

参議院財政金融委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 今日は、両大臣ほかお越しいただきまして、ありがとうございます。
 法案に入る前に、中小企業金融円滑化法案について、主に亀井大臣にお話を伺いたいと思います。
 お手元の資料で日本経済新聞をお配りしておりますが、三月十六日のこの委員会で大塚副大臣の方から十二月末までの円滑化法案の実績について報告があったわけですが、その後、この日経新聞によりますと、一月末までの返済猶予申請が約三万六千件、それから条件変更が約一万二千件と増えたとなっております。これは、要するに十二月に受付分が対応が増えたということで増えたということになっているわけですが、この数字が出ておりますその左側の方に、三井住友銀行の方のコメントとして、「中小企業の社数ベースでみると二割程度減っている」と。それから、右下の方に行きまして、住宅ローンに関しては、みずほ銀行の方で、「申し込みは増えているが、事前相談の件数は着実に減っている」というふうに報道されておりますが、この二つの銀行の方のコメントですね、この二点について大臣はどういうふうに認識されておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀井静香君) 今、法律施行後の状況を検査官、全国の金融機関について検査等を行っておる最中でありますので、現在どういう状況になっておるかを正確に今の時点で数字として捕捉しておるわけじゃございませんけれども、私、昨日も福岡に参りまして金融機関の方々ともお話をする機会を持ったわけでありますけれども、その前は広島、それから大阪等々とやっておりますけれども、皆さん方がおっしゃることは、従来のペースでの返済猶予の相談、それに比べて大体三倍から四倍、あの法律が施行された後増えたということを皆さん方言っておられました。
 非常に率直なことをおっしゃる方々も何人もいらっしゃいました。自分たちは日ごろからちゃんと御相談に乗って融資をやっておるというつもりで経営者としておったけれども、しかし、あの法律が施行されたことによって、そういう相談、申入れが三、四倍、もう五倍というところもありましたけれども、増えたということは、日ごろ自分たちのやはり融資についてのマターといいますか、それが不十分だったということを、そのことをもってある程度思い知らされたという非常に率直な感慨を述べておられる方がたくさんおられました。
 もう間違いなく、あの法律によって、法律の趣旨が、金融庁の職員も一生懸命PRをいたしました、徹底をし、また金融機関自体が金融機関の社会的責任をやはり痛感をされるところが多くなってきたと。まあ全然なかったわけじゃありませんが。そのことと、法律の趣旨をきっちりと理解をされる金融機関が多くなってこられたということの中で、私は、この法律というのが当時予想しておった返済猶予の相談をすると新規融資が受けれなくなるんではないかという、まあそうした私自身も危惧をしておったわけでありますが、そういう状況はおかげさまで今のところ相当薄らいでおるのが私は実態ではないか。
 それよりも、異口同音に貸し手の立場からおっしゃることは、新規の設備投資についての借入れのそうしたお申出がないと言うんですね。運転資金はあるけれども、新規の借入れのお申出が極端に落ちていると。だから、今おっしゃいますね、大臣、大事なことは、金繰りを楽にする、そういう政策も大事だけれども、やはり仕事が出ていく、そういうことを中小零細企業等におやりにならないと、金繰りを良く幾らされても、実態というのは大変な状況になっていますよということを異口同音に私がお会いしましたそういう経営者の方は言っておられるというのが私は現実だろうと思っております。
○藤田幸久君 昨日、福岡とか広島とか、大臣がお会いになったのは信金、信組の方々が多いというふうに伺っておりますが、ちょっと私、たまたまいろんな県の経営者と最近会っておりまして、東京も含めてでございますが、多分信金、信組以外の金融機関が主かもしれませんが、これは、程度はどの程度か分かりませんが、実は私は借り渋りって話を聞きました。大臣、その借り渋りってお話聞いたかどうか分かりませんが、私も余り聞いていなかったんですが、かなり私、最近お会いした方々でございました。
 今ちょっと大臣がおっしゃったことなんですけれども、つまり、うっかり申し込むとランク付けを下げられるかもしれないんで申し込めないとか、借りたいというだけで疑われるので借り渋りになってしまった。それから、ちょっとこれは極端かもしれないけど、ちょっとしつこく聞いたら、余り無理して聞くとこの円滑化法案について血を見ますよと言われましたと、そうするとどうしてもひるんでしまうということを少なくとも私が十数名の経営者から聞いたんですね。
 ですから、今大臣がおっしゃったように、円滑化法案、大分定着をして実績が上がっている一方で、たまたま制度の不理解と貸し手の方の現場の方の対応の問題等々が混じって、一方で借り渋りというふうに、私が会った経営者の中には、外から見るとかなり実績も収支も良くなってきているけれどもキャッシュフローが困っているというような方も含めてこういう話伺ったんですが、この借り渋りというようなお話とか、こういう実態もあるというようなことについてお耳にされたことございますでしょうか。
○国務大臣(亀井静香君) 委員御指摘のように、そのことは、法律を作る前からそういうことが起きやしないかということを危惧した大きな点でございました。
 そういうことが起きないように、金融機関の窓口といいますか、相談に乗るところがきっちりと対応するように、それをしない場合には、その状況を、金融庁としては業務改善命令その他の処置までとるという非常にある面ではきつい姿勢で臨んでおりますが、別にきつい姿勢だから態度が変わったというわけではございませんけれども、先ほども御説明申し上げましたように、今、当初思っておったような金融機関サイドからの対応は相当変わっている。むしろ、借り手の方に取り越し苦労的な観点から申出をちゅうちょされるという機会もあると思いますが、金融庁として、今後そういう御心配は要りませんと、金融機関も借り手の立場に立って、借り手を育てるという立場でこの対応をする姿勢になっておるからということを我々としても今後大いに啓蒙し、またPRをしていきたいと。
 委員御指摘のようなそういう状況があることは、私自身もよく聞いております。
○藤田幸久君 その関係で、昨日、福岡ですか、大臣行かれまして、例えば中小の金融機関に関する検査については緩和をしてもいいんではないかというふうにおっしゃったということも伺っておりますが、そのことの確認と、それから、いわゆる目利き能力といいますか、つまり、財務だけではなくて、やはりいろんな経過の中で、その企業のいろいろな事業計画も含めた、そして現在の業績も含めた点ももう少し勘案すべきじゃないかというようなことも指導をされておられると思いますが、この検査の緩和と、今の目利き能力等についてどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思いますが。
○国務大臣(亀井静香君) 極めて重要な点を御指摘になっておられると思いますけれども、ただ、担保がどうだとかそういう、また、当面の数字に表れている状況だけじゃなくて、借り手の事業に対する情熱、将来への取組、そういうようなこと全体を評価をして融資に対してやっていただきたいということは私ども強く言っておることでありまして、監督検査マニュアルを改定するときにも当たって、そのことを強くその中に入れておるわけであります。
 また、私は検査官を集めて指示をしておりますことは、検査に備えての詳細な資料を要求をするというようなこと、残念ながらそういう状況があるのが実態なので、この検査についてはそういう過大な負担を掛けないという、そういうことにすべきで、そういう意味でも検査マニュアルも変えておるわけでありますが、この度、さらに中小金融機関についてはそうした検査マニュアルを、またこれをきちっと変える予定にしております。
 それで、私は検査官に強く言っておるのは、書類だけに頼る、数字だけに頼る検査をやるなと。その数字の背後にあるものを見抜く力が君たちになければ本当の検査にならないんだぞということを私は強く言っておるわけでありますが、もう余計な負担、実質的な中身の検査に関係のない負担を掛けないように、私ども、検査官に対して強い教育、また指導等をやっております。
 うちの検査官は非常に優秀でありますから、簡単に言いますと、何でも私は竹中さんのせいにするわけじゃありませんが、当時の金融についての検査姿勢とは金融庁の検査姿勢、がらりと変わったんだということを君たちは認識をして検査をやれということを強くいつも指示をしておるわけであります。
○藤田幸久君 大変力強いお言葉をいただきましたので、是非、更にそうした努力を金融庁全体で取り組んでいただきたいと思います。
 それで、新規に関して、やはり保証協会の関係のことで、これは、貸し手も借り手の方もまだ十分分かっていない部分があって、私も勉強しておるんですが、それで高橋政務官お越しいただいているので、このいわゆる条件変更対応保証制度とそれから景気対応緊急保証で実績としては余り上がっていないというふうにも聞いているんですけれども、なかなかプロパーの融資を借り換えることは難しいと聞いておりますが、実際の状況について御説明いただきたいと思います。
○大臣政務官(高橋千秋君) 三月の中旬に大手三行だけ金融庁から発表されているんですけれども、中小につきましては四半期に一度ということで三月末のものが五月に発表されますので、そこまではまだ分かりませんが、大手三行の十二月の四日から今年の一月末までの実績でいいますと、八千九百二十一件ございました、この条件変更対応がですね。それで、そのうちで断ったというのが三十九件あります。率にすると〇・四%ということで、ほとんど断っていないわけなんですけれども、これ、民間金融機関による条件変更というのは積極的に行われているんではないかなというふうに思います。
 この条件変更対応保証というのは、円滑化法の施行によっても民間金融機関による条件変更が進まない場合に備えていわゆる旧債振替、これが、例外的に認めたというのが亀井大臣の地元の広島銀行で二件だけございます。ただ、現時点での実績は二件ですけれども、民間金融機関による対応が進んでいるのであれば問題ないのではないかというふうに思っております。
 一方で、御指摘のように、公的金融を利用している中小企業者のためどうするのかということですが、公的金融機関にも、積極的に条件変更に応じることが必要だということで、年末と年度末に直嶋大臣の方から積極的な対応を要請をいたしました。その結果、対前年同月比で七割増の実績を上げております。そのほかにもニューマネー、いわゆる条件変更だけじゃなくて、景気対応緊急保証や日本公庫によるセーフティーネット貸付けなど、そういうものを積極的に総動員をしてやっていきたいというふうに考えております。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 せっかく亀井大臣いらっしゃっておりますので、郵政改革案について、まずこの限度額を二千万円に引き上げるということについて、この二十四日のペーパーによりますと、国民の利便性等々、原口大臣とのお二人の談話で述べておられますが、ここに至った経緯、背景を説明いただきたいことと、昨日、福岡で、信用金庫などの状況を見て必要があれば引き下げると、この実施時にとおっしゃっておられますが、この理由と昨日おっしゃったことについて御答弁いただければ有り難い。済みません、通告外でございますが。
○国務大臣(亀井静香君) 郵政改革については、閣議決定後、それを受けまして、まず国民の方々、また各界各層の皆様方の御意見を広く聞く必要があるということで、我々としては相当丁寧にやったつもりであります。さらに、三党の御意見、民主党の方々には政策会議ですね、あれで九回、また社民党、国民新党については数回、意見をいただくという会を丁寧にやってまいりました。そして、その上、原口大臣とこの四月に提出する法案の骨格についても最終的な協議をし、そしてそれを、その結果を総理に御報告申し上げ、オーケーを取った後も、全閣僚ではございませんけれども、関係の深い閣僚にその旨を申し上げ、かつ与党三党の幹事長にそれぞれその状況を報告し了承を得たという経緯で現在進んでおりますが、今日また官房長官から、六時から、非常に大事なこれは法案であり、日本郵政の事業が成功していくためにもう全閣僚の御意見を、今後どう事業展開をしていくべきかというようなことについてお話をいただけるという会も設定をされておりますので、大変有り難いことでありまして、私どもとしては、更にそういう御意見を聴取をして、言わばこれは世紀の改革だと、このように思っております。
 それと、今委員御指摘の、その中で限度額を決めたわけでございますけれども、これについて、先ほど申し上げましたように、相当丁寧に私どもとして御意見を聞き、御要望も聞いたんですが、もう残念ながら、まあ当然かもしれませんが、もう真反対の御意見というのも相当あるわけでございまして、限度額についてもですね。
 実際にこれを施行するときに、この法律成立時にそういう処置をとりますが、その後、預金がどうシフトしていくのか、そういう実態、経済の状況等をしっかりと判断をして、そうして実際の施行時において改めてこれを我々としてはもう一度判断をしたいと。
 総理からも、そのときは、じゃ、上げることも下げることも両方あるんですねというお話でございましたから、もちろんそうでございます、そのまま維持ということもあるかもしれませんけれども、もう一度そうした状況をその時点でしっかりと精査をして対応したいと、こういうことも申し上げたわけでありますが、私どもとしてはそういう考え方で現在進んでおるわけであります。
○藤田幸久君 御丁寧な説明ありがとうございました。
 済みません、もっとお聞きしたいところですが、時間が迫ってまいりましたので、この法案について、絞って二問、菅大臣ほかにお尋ねしたいと思います。
 この日本政策金融公庫法の関係で、JBICに関して、先進国の大型海外プロジェクト受注に関してJBICによる資金支援を解禁する方向で調整に入ったと、この私の二問目の質問でございますが。それで、こういった政策を効果的に進めるためにはJBICの分離独立論というのが出ておりますが、私もどちらかというと賛成でございますが、この点について、まず財務大臣、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 今御指摘のように、このJBICという国際協力銀行、過去の経緯を見ても、いろいろな経緯の中で国内的な案件を扱うところ、海外を扱うところが一緒になって今の基金ができております。
 そういう中で、特にJBICの役割はこれからの新成長戦略などにおいても大変大きいということで、この国際協力銀行を今のままの形でいいのか、場合によってはもう少し海外で活動しやすい形に分離も含めて必要なのか、これは国家戦略室の方でもそういう新成長戦略の検討とも関連して議論されておりますし、また財務省としても多くの皆さんの意見を聞きながら検討してまいりたいと、このように思っております。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 それから次に、資料の二枚目、御覧いただきたいと思いますが、この緊急支援のことについてお伺いしたいと思います。
 今お話ありましたように、このJBICというのは、海外事業支援緊急業務ということで日本企業の資金繰り、これリーマン・ショック以降支えたわけでございますが、それで大変そういう意味では特徴を出してきているわけですが。
 私、前から思っているんですが、この間、私、一月もハイチにも行きましたし、それからスマトラ等も行ったんですけれども、今、日本の援助団体が資金面でも人材面でも伸び切っているんです、どんどん難民も増える、災害も増える。一番重要な部分というのはスタート基金なんですね。普通は、災害が見えた後、被害者を見ながら国民が反応してお金を後から集める。ところが、緊急支援というのは、この間のハイチでもチリでもそうなんですが、遠くに、しかも緊急の機材を持って出ていかなければいけない。その部分を便法的に今補っているのがこのジャパン・プラットフォームという、ピースウィンズ・ジャパンとか入っているわけですが、これはある意味では、政府だけではなかなか難しかったので、便法的に経団連も絡ませて、経団連と政府とNGOで一緒につくっているんですが。
 最近見ておりますと、この最初のその初動調査費用、これが二枚目、そうなんですけれども、やっぱりこの部分は、よいしょと機材を持って危険地域に出ていかなければいけないので、私はこの部分を政府でもう少し手厚くすべきだと思ってきたわけですが、そうしてみますと、このJBICの言わば金融的な緊急措置という面と、それからオールジャパンで支援をするという意味からしますと、こうしたジャパン・プラットフォーム、今のところは外務省が中心なんですけれども、趣旨からしますとJBICの方でこの部分を支援をする。これは、海外の大型プロジェクトの支援なんかに比べますと多分けたが二つ、三つ下の額でできて、しかも非常に効果が多いという気がいたしますが、こういう可能性について御検討いただきたいと思いますが、新しい話でございますけれども、どういうふうにとらえていらっしゃるか、財務大臣の方からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 藤田委員はこういう分野のまさに専門家中の専門家だというふうに私もよく承知しておりまして、そういったところの現場の意見としての大変重要な意見だとお聞きをしております。
 ただ、これまでの経緯を申し上げますと、今言われましたジャパン・プラットフォームなどを含めたこういう分野は外務省の無償資金協力の一環、つまりはODAという形でやっておりまして、このJBICはやはり準商業ベースのもの、我が国の国際協力の維持向上といったもの、あるいは収益性のない案件についてはJBICとしての拠出ということはこれまで一応対象外になっておりまして、こういうもののNGOについては他のODAの仕組みということになっております。
 そういった意味で、趣旨はよく理解できるんですけれども、この分野は、場合によってはODAの枠組みの中に、JICA等の中でもっと強力に対応できることを検討することの方がこれまでの仕組みの延長上ではより好ましいのかなと、このように思っております。
○委員長(大石正光君) 藤田君、時間が終わっておりますので、短めにお願いします。
○藤田幸久君 時間が参りましたので、これまでの仕組みじゃない形の検討の時期に援助体制そのものが世界的になってきたのではないかという問題提起を申し上げまして、御検討をお願いをして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。