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第46回IC国際フォーラム報告2024年11月19日

   第46回IC国際フォーラムが、「分断の増す世界に、信頼と和解を」とのテーマで11月10日と11日に東京の国際文化会館で開催され、海外から6名、国内から約90名が参加しました。

   藤田幸久会長(写真2)は開会挨拶で、1976年の産業人会議に源を発し、小田原のMRAアジアセンターでの開催などを経ての46回の開催は、世界の国際ICの中でもスイス・コーの世界大会に次ぐ連続開催であることを報告しました。

また東京倶楽部と財団法人MRAハウスからの助成、ペマ・ギャルポ会員の出席による国際文化会館の会員価格での使用、世界宗教者平和会議による通訳機器の貸与、通訳者への謝意が示されました。

 基調講演を行ったイマド・カラムさんはガザの出身で国際IC本部の専務理事として英国を中心世界中の和解活動の中核を担っています。昨年の10月7日以来、ガザにいる彼の親族70名以上が犠牲になっています。その残酷な現状を紹介するとともに、国際社会が、この戦闘を終結するために、もっと踏み込んだ対応をして欲しいと訴えました。

 映画「平和を築いた人 フランク・ブックマン博士」も上映されました。基調講演を行ったイマド・カラム(写真3)さんが制作したもので、日本の国際社会復帰やアジアとの和解に対するMRA/ICの貢献などを渋沢雅英さん(渋沢栄一曾孫)が語っています。

  白鳥晴弘さん(写真4)は、911同時多発テロで一人息子を失いました。息子を殺害したとされるビン・ラディンを追ってアフガニスタンに飛びます。そこで米軍の空爆で身障者になった少年の復讐心の激しさを見て、復讐の連鎖を止めるためにアフガニスタンの子供支援活動を行っています。現在は経営する居酒屋でウクライナ避難民を受け入れています。話して頂いたこの生き様は、9月9日のNHK「映像の世紀」で放送されました。

  イスラエルのアロン・リール元南アフリカ大使(写真5)は、外交官として、建国以来孤立したイスラエルの国際社会での信頼構築に献身してきました。その立場から、昨年10月以来のガザなどにおける戦闘拡大を阻止するために、イスラエルがパレスチナを国家として認める「二国解決案」を提唱しています。自分の身の危険を顧みず、各国でネタニヤフ政権と正反対の主張をしている勇気ある外交官です。レイチェル・リール夫人(写真6)はイスラエル占領地域でのパレスチナ人の人権なども支援しているNGOの代表で、戦争終結を望む市民の声を高める必要性を強調しました。

   ペマ・ギャルポ岐阜女子大学南アジア研究センター所長(写真6)は、5歳の時にチベットからダライ・ラマ14世とともにインドに亡命して難民生活。12歳の時に来日した際には、日本語もお風呂の入り方も分からない中で多くの日本人が支援して下さいました。そしてダライ・ラマ14世の対中国交渉の主席を務めたお兄さんとともに、MRA/ICで相手に寛容であること、許すことを学んだ体験を話してくれました。

  李柱榮韓国MRA/IC本部総裁(写真7)は、高校1年生の時にMRAに逢って以来、MRAの4つの標準に照らして「誰が正しいか」ではなく「何が正しいか」を考え、裁判官、国会議員5期、海洋水産省長官、国会副議長に至るまで、MRA精神で働いてきたことを語りました。

 そして、今年7月のスイス·コーのMRA大会でMRA/IC韓国本部総裁である私と国際IC日本協会藤田幸久会長が、日韓両国を代表して世界のMRA/ICの指導者が見守るなか、両国の歴史問題による対立について心からの謝罪と許し、和解で解決し、未来志向的に協力することを誓って感動を巻き起こしましたと報告しました。両国の指導者と学生、青少年の交流活動をさらに活発にして、政治が足を引っ張ることがないようMRA/ICがそのかじ取りを担うこと。具体的には、これまで韓国だけで開催してきた「日韓大学生討論会」や「日中韓東北アジア青年フォーラム」を開催国を持ち回りで開催することを提案されました。

 国際IC推進議員連盟会長中曽根弘文会長(元外務大臣、(写真8)は、総選挙後の特別国会初日にあたり、ビデオでの参加になりました。父上の中曽根康弘元首相が1950年にスイスのコーの国際会議に出席したが、浜井信三広島市長も同行していた。ここで、ドイツ人とフランスの劇的な和解などに遭遇したことが、「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」という原爆記念碑の碑文作成の契機となった。この背景について、昨年のG7広島サミットで岸田文雄首相からG7首脳に伝えて頂いたとの紹介がありました。また、MRA/ICは戦後の日韓両国の和解に取り組み、1962年、国交の無かった韓国の金鐘泌中央情報部長が、小田原のMRAアジアセンター開設式への出席を理由に来日し、太平正芳外務大臣と、いわゆる「太平・金メモ」で合意し、1965年の日韓国交正常化への布石となったことを述べました。 

 森山浩行国際IC推進議員連盟事務局長(写真9)は、学生時代からのMRA/ICとの関わりや、様々な青年間交流に参加した経験を語るとともに、分断化した世界における和解活動の重要性を述べました。

    長有紀枝難民を助ける会(AAR)会長(立教大学大学院教授、(写真10)は、「戦乱と災害が激化する時代の人道支援の課題」とのテーマで講演しました。特に、戦時下での人道支援の現場での命懸けの現状を説明してくださいました。①NGOと軍との間のガイドラインの整備 ②紛争当事者の妨害・安全対策 ・援助機関の危機管理能力の強化・危機管理ネットワークの構築 ・軍事組織、民間警護会社による警護の強化? ・遠隔管理方式の採用:国際職員は退避し安全が確保される近隣国から管理するのに対し、現地職員のみで事業実施 →危険の肩代わりという倫理上の問題 →資金管理に関する説明責任の欠如などで、ガザなどでの援助活動の過酷さがわかりました。

  ムーギー・キム(金武貴(写真11)さんは在日韓国人3世の国際金融専門家。「世界中で働き、40年日韓の間で生きて体得した、日・韓・在日コリアンからの視点」とのテーマでお話されました。以下が概要です。「在日2世の父親は、日本での苛烈な民族差別にあい、屈辱的な思いをしていたので、幼少期の自分は、スポーツでも常に日本の相手チームを応援していた。しかしいまでは、日本代表チームを応援している。第一に、経済関係の変化がある。昔は日韓の所得の差が大きかったがいまでは所得水準に差がなくなり、余裕ができた。第二に、海外経験から、歴史認識論争の相対化・一般化ができたこと。海外勤務や世界80か国から学生が集まるフランスとシンガポールでの留学経験で、日韓の歴史論争などが、実はどこの国にもあることを学んだ。第三に、過去の人と現在、将来の人、政治指導者と、政治対立に無関心な一般市民を分けて考え、アプローチも変える必要があると実感することが多かった」

  篠原祥哲世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会事務局長は、2022年9月と本年2月に開催した東京平和円卓会議に対する国際IC協会による後援に謝意を表するとともに、ウクライナ、ロシア、イスラエル、パレスチナをはじめとする紛争地域の宗教指導者が直接出席しての和解活動の重要性を語りました。そして、「ICが歴史的に語り継がれてきたメッセージに、WCRPとの親和性を強く感じます。それは、「自分の生き方を変えることによって国を作り変える」、「社会が変わるためには、人の動機が抜本的に変わらなねばならない」、「軍備ではなく、精神、倫理、道徳の再建」というメッセージが、今求められております。」と語りました。

「分断の増す世界に、信頼と和解を」というICの活動が、世界でも日本の社会でもますます必要となっている時です。この二日間のフォーラムが、参加者お一人お一人にとって、多くの気づき、人との出逢い、そしてご自分でできるイニシアチブへのヒントが得られる実りある場となったことを期待しております。

参加頂いた皆さんにお礼を申し上げます。

 

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