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タイのシンクタンクで講義2023年03月21日

 3月21日にタイの『公共政策とグッドガバナンス・ドイツ東南アジア・センター』で講義しました。
 ドイツ外務省が設立したシンクタンクです。「日本の新しい安全保障戦略」というテーマで、タイのタマサト大学のキティ・プラシトスク教授と二人で約20か国の官僚、経済人、学者、学生などに話しました。
 反撃能力保持、GDP2%への防衛予算増などの日本政府の防衛力整備計画を説明した後で、戦争は装備と共に「戦争の意思」も重要な要素だが、日本は隣接する5つの国と地域との関係は決して良好ではない。これらの国と地域は第二次大戦を終結したサンフランシスコ講和条約にはロシアが反対し、中国、台湾、韓国、北朝鮮は不参加だった。そして現在でも北朝鮮と台湾とは国交が無く、ロシアとは平和条約が無く、フルに国交のある中国と韓国ともギスギスしてきた、というと皆ビックリしました。
 今回タイとカンボジアの両国で会ったほとんどの政治指導者から日韓首脳会談と両国関係の改善への高い評価が示されました。アジアの緊張関係はロシア、中国、北朝鮮、台湾など北東アジアを巡るもので、その関係改善は、大国間の板挟みになっている東南アジアにとって有難いとの声がズシンと響きました。
国内紛争だらけの国々が陸続きで共存しているASEANよりも日本の方が危険に見えるとの認識でした。
 慶応大学で留学したキティ教授は、近年の東南アジアにおける世論調査を紹介しました(写真3)。左側の信頼度では、1位日本、2位EU、3位米国、4位インド、5位中国。右側の非信頼度では1位中国、2位インド、3位米国、4位EU、5位日本です。好感度と影響力は別ですが、日本としては、これだけ信頼されているのに対し、日本は充分東南アジアを尊重していないと感じました。
 もっと東南アジアの知恵から学ぶべきです。