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「人の命は地球よりも重い」「政治家は命がけ」2022年07月18日


安倍晋三元総理の死去以来10日が経ちました。殺害も、戦場も、宇宙での出来事も、その現場を世界中の人々がリアルタイムで見れる時代の衝撃でした。私自身にも色々な思いが去来しました。今頭に浮かぶ言葉は「人の命は地球よりも重い」と「政治家は命がけ」です。
「人の命は地球よりも重い」は、1977年日航機がバングラデシュの空港でハイジャックされ、犯人は日本政府に拘置中の仲間の釈放と高額な身代金を要求しました。拒否すれば、人質にした乗員と乗客を殺害すると。当時の福田赳夫首相は「超法規的措置」をとり要求に応じました。その時福田首相が述べた言葉が「人の命は地球よりも重い」でした。また新憲法における死刑の是非が争点となった最高裁判決は「生命は尊貴である 一人の生命は、全地球よりも重い」と述べました。真野毅判事は、明治時代の名著『西国立志編』(中村正直著)の序文から引用したと述べています。
次に浮かんだ言葉は「不条理の死」です。そして、世界中での不条理の死の増大を思い起こさせてくれました。ロシアによるウクライナ侵攻、近年のシリア、アフガニスタン、アフリカや中南米などにおける内戦、アルカイダやイスラム国による殺戮、ミャンマーの軍事政権による市民に対する殺戮などが続いています。
新型コロナによって地球中で636万人もの命が奪われたことも重い現実です。2020年の日本の10代、20代、30代の死因の一位が自殺であったことは、コロナの影響もあったと言われています。多少減ったとはいえ人口比で自殺者が多いのが日本です。しかも、コロナ禍では死に目に逢えない人やお葬式をまともに上げられない人も少なくないことも心を痛めます。
これらのことから人の命を守るために、世界中で取り組むことの大切さをかみしめています。戦争、対立、分断、格差、疎外、難民などが増大しているからです。
「政治家は命がけ」という言葉も思い浮かびました。私は「マスコミ市民6月号」の拙稿「ミャンマー、カンボジアも忘れないで」の中で、「カンボジアやミャンマーの政治家の友人など数名がこの20年余りで命を奪われた。ウクライナの女性議員が銃を持ってキーウに残っている。多くの外国では政治家であることは命がけであるが日本ではそうではない。私が国会議員として身の危険を感じたのは2度しかない。」と書きました。
しかし、今回の安倍晋三元総理は政治家であるがゆえに命を奪われました。戦後は政治家の暗殺は少なくなり、浅沼稲次郎社会党委員長、丹羽兵助自民党衆院議員、石井紘基民主党衆院議員に続くものとのことです。
政治に関わってきた一人として、「命がけで人の命を守るために、ささやかながらも行動していかなければならない」と自分に言い聞かせています。地球が狭くなっているがゆえに、命が地球よりも重いことをリアルに感じながら。