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財務副大臣としての議事録公開2022年02月01日

昨日のネット配信に続き、今朝の産経新聞が10年前の日本銀行政策決定会合について報道し、私のインタビューも掲載されました。歴史的円高を日銀が止められなかった、といった見出しで、現在の黒田総裁の日銀を肯定するかのような組み立てですが、状況は今の方が深刻と思われます。
 ネット版での、黒田総裁に対する私の以下のコメントが朝刊では削除されていたのが残念です。
「マイナス金利政策は、借金をした方がもうかる政策となっており、銀行の金融仲介機能を抑制し、日本の産業力や実体経済の劣化につながった重大な問題だと考えている。」
 当時の私の発言部分を、以下紹介させて頂きます。皆さんの評価を頂きたいと思います。

2011年9月6、7日 日銀金融政策決定会合
●追加緩和を見送り。円高の進行や欧米経済の減速懸念の強まりから、日銀が追加緩和に踏み切るかどうかが焦点となっていたが、日銀の白川方明総裁は会合後の会見で「前回(8月)会合で思い切った緩和をした」と、見送った背景を強調した。
会合では政策金利を年0~0・1%とするゼロ金利政策や、総額50兆円規模の金融資産の買い入れ基金などの現行の政策を維持した。日銀は先月4日、金融資産買い入れ基金を10兆円増額する金融緩和に踏み切っており、その効果を見極める必要があると判断した。

●藤田幸久・財務副大臣の発言
一昨日、財務副大臣を拝命した藤田幸久である。今後、金融政策決定会合に出させて頂いて、色々と勉強させて頂きたいと思うので宜しくお願いする。
我が国の経済情勢をみると、色々持ち直しの状況にあるが、東日本大震災の影響により、依然として厳しい状況にある。また、海外景気の下振れ懸念が強まっていることや円高の進行、株価の変動等により、景気が下振れするリスクに注意が必要である。
政府としては、当面の最優先の課題として、東日本大震災からの復旧・復興に全力を挙げるとともに、昨今の急激な円高により、国民や企業の先行きに対する不安が高まっていることを踏まえ、今後の市場動向等も踏まえながら円高への対応策にも適切に取り組んでいく必要があると考えている。
先般、9 月2 日の野田内閣初閣議においては、総理から各省大臣に対し、平成23 年度第3 次補正予算の編成についての指示があり、震災からの復旧・復興に併せ、過度な円高の影響による産業の空洞化等への対応についても、各省大臣において検討することとされた。併せて、経済財政政策担当大臣には、規制・制度の改革も含めて、関係大臣と協力して、円高への対応策を取り纏めるよう指示があったところである。なお、財務省としては、円高への対応策として、既に去る8 月24 日、1,000 億ドルの円高対応緊急ファシリティの創設を含む「円高対応緊急パッケージ」を公表している。
大震災の影響等により依然として厳しい我が国の経済状況を踏まえると、今後のマクロ経済運営には細心の注意を払う必要があると考えており、政府としては引き続き日本銀行と一体となって取り組んでいきたいと考えている。
日本銀行におかれても、現下の厳しい経済状況に対する認識を政府と共有し、内外経済の動向や足許の円高の進行が我が国経済に与える影響等を踏まえながら、果断な金融政策対応をお願いしたいと考えている。宜しくお願いする。以上である。

2011年10月6、7日
●主な決定事項は、事実上のゼロ金利維持と東日本大震災の被災地支援制度を4月まで延長。

●藤田幸久・財務副大臣の発言
我が国の経済情勢をみると、持ち直ししているものの、急速な円高の進行・高止まり、さらには欧米経済の停滞感の高まりが、景気を下振れさせる重大なリスクとなっており、政府として強い懸念を持っている。また、周知のように、米国等においてデモが広がっているとの報道などもあり、私としては、欧米における不安心理の高まりを感じている。
急速な円高等による産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくためには、あらゆる政策手段を講じていく必要があると考えている。私自身、円高や空洞化に苦しむ叫びを直接聞いて、強い危機感を持っている。政府としては、第3 次補正予算等を活用し、一つ、中小企業金融のさらなる充実など円高の「痛み」を緩和すること、二つ、立地補助金の思い切った拡充などにより産業空洞化を防ぎ、リスクに負けない強靭な経済を構築すること、三つ、日本企業による海外企業の買収や資源権益の獲得など、円高メリットを徹底活用すること等を早急に進めることが重要だと考えている。
こうした考え方のもと、9 月20 日に中間報告を公表した「円高への総合的対応策」についても、可能な限り早急に最終取り纏めを進めていく。
なお、現下の厳しい経済状況を踏まえれば、第3 次補正予算の成立を待たずとも可能なものについては、景気下振れリスクに先手を打って、迅速に対応することが重要であり、円高の痛みを緩和する観点から、円高に対応した雇用調整助成金の要件緩和等を、円高メリット活用の観点から、海外M&Aや資源確保等の促進等を直ちに着手・実施することとした。
本日、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」の延長が提案されたことについては、震災の復旧・復興に資する取組みであると評価している。
政府としては、円高の進行と欧米経済の停滞懸念による景気下振れリスクが急速に高まりつつあることなどを踏まえ、今後のマクロ経済運営にはより一層細心の注意を払う必要があると考えており、引き続き日本銀行と一体となって取り組んでいきたいと考えている。
日本銀行におかれても、現下の厳しい経済状況に対する認識を政府と共有し、欧米経済の動向や為替市場を含む金融資本市場の変動が我が国経済に与える影響等を踏まえながら、果断な金融政策対応をお願いしたいと考えている。以上である。__

2011年10月27日
●主な決定事項は、社債や国債などの金融資産を買い入れる基金を5兆円程度積み増し、55兆円程度に増額する追加金融緩和。

●藤田幸久・財務副大臣の発言
我が国の経済情勢をみると、持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている。こうした中、急速に円高が進行し、その高止まり傾向がみられる。また、先週の金曜日の夜以降には、短時間に急激な変動が生じる局面がみられ、足許では史上最高値を更新するなど、一方に偏った動きが強まっている。さらには、欧州債務問題に対する懸念が再燃しており、これによる海外経済の停滞感の高まり等が、景気を下振れさせる重大なリスクとなっており、政府として大変懸念している。
政府としては、現下の円高等による景気の下振れや産業空洞化リスクの急激な高まりに対し、機を逸することなく、適切に政策対応していくことが極めて重要な課題であると考えている。こうした観点から、先般10 月21 日、一、中小企業金融のさらなる充実など円高による「痛み」の緩和、二、立地補助金の思い切った拡充など、リスクに負けない強靭な経済の構築、三、日本企業による海外企業の買収や資源確保など円高メリットの徹底活用、を柱とした「円高への総合的対応策」を閣議決定した。今後、この対応策に沿って、我が国経済を自律的な回復軌道に乗せ、東日本大震災からの本格的な復興に対する歩みを止めないよう、この対応策の実行に全力を挙げていく。
また、これに併せ、平成23 年度第3 次補正予算の概算を決定した。その中では、東日本大震災からの復興のために真に必要な施策を重点的に措置するとともに、「日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」との認識のもと、最近の過度な円高の影響による産業の空洞化等への対応も盛り込んでいる。明日10 月28 日、国会に提出することとしており、今後、成立に向けて全力で取り組んでいく。
本日、さらなる金融緩和について提案されたことは、現下の厳しい経済状況を踏まえた適切な対応と評価する。政府としては、今後とも海外経済の動向や為替市場を含む金融資本市場の変動が我が国経済に与える影響等を踏まえながら、果断な金融政策対応をお願いしたいと考えている。以上である。

2011年11月15、16日
●政府・日銀は10月30日、日本経済を直撃した急激な円高を食い止めようと、外国為替市場で単独の為替介入を実施し、円売りドル買いの攻防を続けた。介入で円相場は、31日朝にオセアニア市場で付けた戦後最高値の1㌦=75円32銭から4円近く戻し、東京市場では79円20銭前後で数時間にわたって膠着した。

主な決定事項は、景気の現状判断を「持ち直しの動きが続いているものの、海外経済の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」とし、従来の「持ち直しの動きが続いている」から下方修正。政策金利を年0~0・1%とするゼロ金利政策や総額55兆円規模の金融資産の買い入れ基金について現行政策は維持。

●藤田幸久・財務副大臣の発言
我が国の経済情勢をみると、持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている。こうした中、最近の為替市場における投機的な動き、無秩序な動きのため、足許では歴史的な円高が急速に進行している。さらに、欧州債務問題に対する懸念が再燃し、これによる海外経済の停滞感の高まり等が、景気を下振れさせる重大なリスクとなっており、政府として大変懸念している。また、タイの洪水の影響についても注視していく必要がある。
政府としては、為替市場の投機的な動き、無秩序な動きへの対応に万全を期し、日本経済への下振れリスクを具現化させないため、先般、為替介入を実施した。引き続き市場動向を注視しつつ、適切に対応していく。また、本格的な復興予算である平成23 年度第3 次補正予算については、現在、国会で審議が行われているところである。被災地の復興、原発事故の収束、そして円高による空洞化等のリスクへの対応など、日本経済の立て直しを大きく加速するため、一日も早く第3 次補正予算とその関連法案を成立させて頂き、実行に移していくことが重要と考えている。
政府としては、円高の進行と海外経済の停滞懸念による景気下振れリスクが非常に高いことなどを踏まえ、今後のマクロ経済運営においては、引き続き、細心の注意を払いつつ、機を逸することなく適切に対応していくことが重要であり、日本銀行と一体となって取り組んでいきたいと考えている。
日本銀行におかれても、現下の厳しい経済状況に対する認識を政府と共有し、海外経済の動向や為替市場を含む金融資本市場の変動が我が国経済に与える影響等を踏まえながら、果断な金融政策対応をお願いしたいと考えている。以上である。

2011年11月30日
●日米欧6中央銀行がドル資金供給を拡充する協調対応を決め日の臨時会合では、欧州債務危機を受けた国際金融市場の混乱を警戒。「市場が一段と不安定化した場合、その影響がわが国の金融システムや金融環境に及ぶ可能性は否定できない」との見解で一致

●藤田幸久・財務副大臣の発言
欧州債務問題に対する懸念の高まりは、我が国経済を下振れさせる重大なリスクとなっており、政府として大変懸念している。本日提案された米ドル資金供給オペの拡充は、各国の中央銀行が協調して金融の安定化に向けて取り組まれる措置の一環をなすものであり、欧州の米ドル短期金融市場における緊張が高まっている現下の情勢に鑑み、適切な措置であると評価する。日本銀行におかれては、引き続き内外の金融資本市場の動向を注視するとともに、海外経済の動向や為替市場が我が国経済に与える影響等を踏まえながら、果断な対応をお願いしたいと考えている。以上である。

2011年12月20、21日
●景気判断を下方修正。前回は「持ち直しの動きが続いているものの、海外経済の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」との判断を示したが、今回は「海外経済の減速や円高の影響などから、持ち直しの動きが一服している」とし、事実上、景気回復が足踏みする「踊り場」に入ったとの認識を示した。
ゼロ金利政策や総額兆円規模の金融資産の買い入れ基金については現行の政策維持。

●藤田幸久・財務副大臣の発言
我が国の経済情勢をみると、持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている。円高や欧州債務問題に対する懸念による海外経済の停滞感の高まり等が、引き続き景気を下振れさせる重大なリスクとなっており、政府として大変懸念している。
本格的な復興予算である平成23 年度第3 次補正予算が先月成立した。
第3 次補正予算は、過度な円高への対応にも資する施策を盛り込んでおり、速やかに執行することで、我が国経済社会の再生を実現していく。さらに昨日20 日、平成23 年度第4 次補正予算の概算について閣議決定した。これは、義務的経費等の追加やその他の追加財政需要に対応するためのものであり、公債の追加発行を行わずに編成している。
また、先般12 月10 日、「平成24 年度税制改正大綱」を閣議決定した。
この中では、成長戦略に資する税制措置、税制の公平性確保と課税の適正化、平成23 年度税制改正の積み残し事項への対応等の措置を図ることとしている。今後、この大綱に沿った、所要の法案を国会に提出することとしている。
政府としては、円高や海外経済の停滞懸念による景気下振れリスクが非常に高いことなどを踏まえ、今後のマクロ経済運営においては、引き続き、細心の注意を払いつつ、適切に対応していくことが重要と考えており、日本銀行と一体となって取り組んでいきたいと考えている。日本銀行におかれても、引き続き、現下の厳しい経済状況に対する認識を政府と共有し、海外経済の動向や為替市場を含む金融資本市場の変動が我が国経済に与える影響等を踏まえながら、果断な金融政策対応をお願いしたいと考えて
いる。以上である。
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