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  • 【2009年8月13日】

    残暑御見舞い申し上げます。


     


    さて、先週訪米した際、クリントン元大統領の訪朝、及び、今オバマ大統領が最も熱心に取り組んでいる「ヘルスケア改革」について関係者から意見を聞くことができました。以下、その概要をご紹介させていただきます。


     


     


    1.クリントン元大統領の訪朝について


     


     


     


    ソン・キム六者会合担当特使


    「訪朝後に、スタインバーグ副長官から河村官房長官に電話で報告した。元大統領が金総書記に対して拉致問題解決について言及したことも伝えた。


     今回の訪問に、国務省は直接関係していない。同行者の一人が元国務省のストラウブ韓国デスクだっただけで、他はクリントン財団の関係者だ。北側から今回の人道問題の解決と結びつけた核問題に関する要求はなかった。


     米国の北に対する基本的スタンスは変わっていない。(4月のミサイル発射に対する国連安保理議長声明に至る過程において米、中,朝間で内々の合意があったのではないか、との私の質問に対し)、それはない。また(核保有国としての北の立場は受けいれない日・韓と核拡散の阻止を最大の課題と考えるアメリカとの間に目指す立場の違いがあるとの見方もあるとの私の質問に対し)、そうしたことは全くない。拡散を防ぐ最良の道は、朝鮮半島の非核化だ。


     拉致問題や国交正常化などに取り組む日朝協議も、米朝協議と同じく、6カ国協議の枠の中で行われるべきだ。」


     


    ● 外交問題評議会シニア・フェロー、シーラ・スミス


    (琉球大学教授などを経て、オバマ大統領の選挙を支援。沖縄や朝鮮問題の専門家)


    「平壌は実は米政権の担当者の訪問を望んでいたが、それは論外であった。クリントン元大統領の利点は、彼が平壌のメカニズムを知っているからである。


    ゴア元副大統領は人道問題としては良い特使であるが、平壌の六者協議への復帰に対す


    る米国の真剣さを示すには十分ではなかった。二人のジャーナリストの帰還と北の六者協議への復帰が、全く関連しないということはあり得ない。クリントンを派遣することによって、彼はジャーナリスト問題だけでなく、非核化の問題も話すことができた。平壌がテーブルに復帰すれば、オバマ政権は北と精力的に取り組むことという意思を示す、明確なシグナルであった。


     北朝鮮をテーブルに戻すには何が必要か?クリントンの訪朝を受け入れたということは、北は六者協議への復帰を決断したということだが、復帰までのプロセスはオープンだ。何かの進展が期待できる半面、その期待は現実的でなければならない。北との対応は、六者協議での交渉が唯一の方法だが、オバマ政権は、北はこれまでとは異なる米国側からの譲歩を望んでいることを知っている。ホワイトハウスの担当者は、北との交渉経験もありかなり強硬だ」


     


    2 「ヘルスケア改革」について


     


      


          (右は、大使館の林公使)


     


    ● シャロン・アーノルド保健福祉省メディケア・メディケイドサービスセンター法務部上級アドバイザー


     


    (1)ヘルスケア改革の目的と方向性


    ① 医療費の急伸及び無保険者の存在を踏まえ、効率的な制度構築の必要性が最大の関心事となっている。重要な点は、(i) メディケアの見直しによって、慢性病ケア及び予防ケアにも対応できるような制度を作ること、(ii) 保険のカバー範囲を広げるとともに、外来診療回数といったサービスの量ではなく質に対して支払を行う制度を構築すること、などが挙げられる。保険未加入の主な理由は価格の高さと既往症制限であるが、ヘルスケア改革によってこうした問題を改善して全ての者が保険加入することにより、加入者が増えて結果的にリスク分散にもつながる。


    ②(景気後退の影響について)ヘルスケアのカバー拡大にはコストもかかるが、大きなお金が動くことで雇用創出も期待できる。現在、医療コストは毎年GDPよりも2%程度高い水準で増加している。ヘルスケア改革を通じ、医療コストの低下と経済情勢の改善の双方を実現したい。


    ③(シングルペイヤーシステムに係る議論について)この目的を達成するためにメディケアを拡大することは自然な流れと言えようが、メディケアのみの拡大で対応するのは実行上困難である。というのも、(i) 既存の保険会社のビジネスを奪う結果となること、(ii) 政府が提供する保険では必ずしも十分にカバーしてもらえないと感じる人もあり、民間企業のアイデアを生かしたり、多様な選択肢を確保することもまた重要であること、などの理由がある。


     


    (2)医療費について


    (米国の医療費が高い理由)米国の医療費はGDP比約15%から16%程度。医師の給与が高いことに加え、必ずしもヘルスケアサービスの内容に見合った価格付けになっておらず、費用対効果の点で適正とは言えない。薬価も同様で、例えば、新薬開発会社はそれほど画期的な効果が望めなくても高い値付けをしている。


    病院には保険の加入未加入にかかわらず手当てをする義務が課されているが、コストがかかるのは事実であり、中にはガン患者が家を売り払って治療するような心が痛む話もある。(保険を購入できないような)低所得者層への対策はメディケイドや所得支援制度など様々な制度の組み合わせとなっているが、内容は州によって大きく異なる。年長者(65歳以上)は貧困レベルに関わらずメディケアでカバーされているが、65歳未満では4,000から5,000万人の無保険者がおり、問題となっている。


     


    (3)医師を巡る現状について


    ①(医療現場で実際に無保険者に対面する医師の現状について)医師はヘルスケア改革による保険加入の改善に賛同する立場を取っている。しかし同時に、政府の介入が度を過ぎることには警戒心を抱いている。医師の報酬は複雑な方式に基づいており、外来1件、処置1件、などといった数え方をしている。プロセス全体をひとまとめに数えず、構成部分を分けて算定する方法であり、unbundling (ばら売り)と呼んでいる。


     


    ②(日本における医師不足問題と、米国の状況に関して)米国にも問題はある。高収入を求めて専門医を指向する傾向があるため、特に小児科医やプライマリーケアドクターが不足している。救急車が拒否されるようなことはほとんど起こり得ないが、救急病棟に空きがないという問題は生じつつある。産科に関しては、出産時に医師にかかったほうがよりよいケアを受けられると考える人も多い。米国では自宅出産は稀だが、病院ではなく看護師資格を持つ助産師のいる施設でお産をする人も多い。


     


    ③(民主党英文マニフェストに関して)医師数を50%増加させるとは大変意欲的なプランだ。メディカルスクールの増設や、外国人医師の受け入れによって実現されるおつもりか?(これに対しては、例えば、小さな子供を持つ女性医師に対する優遇などの対策を考えていると説明した。)


     


    (4)米国議会審議の今後の動向について


    自分は楽観している。様々な意見はあるがいずれも改革を止めるほどの強い反対ではなく、保険へのアクセスが重要という点では意見が一致している。慢性病ケア・予防ケアを重く見ると共に、外来診療回数などサービスの量ではなく、サービスの質に対して支払いを行うような仕組みに変わっていこうとしている。多くの人が改革を支持しているが、一方で変化に対する誤解や不安もある。9月の議会の休会明けには数々の会合やプレス対応の動きなども再開されて、この先数ヶ月は興味深い時期となるだろう。


     


     


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