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外交官の防衛大教授が、911陰謀論を主張2009年03月31日

元外交官で、今日まで防衛大学校教授を務めた孫崎亨教授が、「日米同盟の正体 迷走する安全保障」という野心的な力作を講談社新書から出版した。「アメリカ一辺倒では国益を損なう大きな理由 インテリジェンスのプロだから書けた、日本の外交と安全保障の危機」という帯がついている。

 

 第2章「21世紀の真珠湾攻撃」は、FBIやCIAが、ビン・ラディンが米国の攻撃を計画しているという警告を度々発していたがブッシュ政権はそれを無視した、というアル・ゴア元副大統領の『理性の奪還』の引用から始まっている。

そして、

「9.11同時多発テロはある日突然、過激派のイスラム教徒が行動を起こしたという以上のものがある」。

 「最強の軍事組織の堅持を望むグループが9.11同時多発テロの発生を誘発することはなかったのであろうか」。

 「『孫子』が「故に上兵は謀を伐つ」と述べているように、安全保障の分野では謀略の重要性が極めて高い」と述べる。

 

 次に、米国の保守主義者達が国防費を大幅に増強すべきであると主張する「米国防衛再建計画」から、「新たな真珠湾攻撃のような大惨事を呼びかつ他の現象を引き起こしていく事件がなければ」という箇所を引用して、9.11の当日にブッシュ大統領が「21世紀の真珠湾攻撃」と叫んだ意味を説く。そして、「おそろしい話しであるが、同時多発テロ事件が生じたとき、国防省、国務省の幹部は第二の真珠湾攻撃を歓迎する立場の人々が占めていた。勿論ブッシュ大統領も承知していただろう」と。

 

 次に、孫崎教授は陰謀論の行使には大別して二つある、と解説する。一つは偽旗工作(false flag operationという、敵になりすまして行動し、結果を敵になすりつける。第二は敵が攻撃に出る際、敵の行動を誘発し、間接的にその実現を支援する。真珠湾攻撃は後者に属する。9.11同時多発テロに関しても後者との関連がしばしば指摘される。

 

 さらに孫崎教授は陰謀の例として、アメリカがベトナム戦争に介入する契機となったトンキン湾事件と、米国軍部がキューバ攻撃を意図したノースウッド作戦を挙げている。

 

 教授は、この章の結論として、「日本人は、謀略、陰謀的な動きがでると、それはありえないでしょうと思考を停止する。日本に対して「謀」を仕掛ける国からすれば、日本人が陰謀論、謀を一笑に付して、知識層がそうした戦略に何の考慮も払わないことくらいありがたいことはない」と締めくくっている。

 

私が出版した「9.11テロ疑惑国会追求 オバマ米国は変われるか」では、敢えて「陰謀論」には触れずに、具体的な事実と矛盾を指摘した。しかし、その背景についてプロの外交官であり防衛大学教授であった孫崎さんがここまで踏み込んで書いていただいたのは鬼に金棒である。心からお礼を申し上げたい。

 

 

 

 

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