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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2017年04月06日

活動報告

2017年4月6日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

 
○藤田幸久君 民進党の藤田幸久でございます。
 四月は桜の季節でございますが、桜の季節になった途端に、昨日でございますけれども、北朝鮮の弾道ミサイルが発射をされました。元々、質問通告では、この日中次官級協議で中国側に対して日本側の方からいろいろ働きかけをしてきたんでしょうという質問をする予定でございましたが、その前に、今朝、安倍総理がトランプ大統領と電話会談をされたと。で、全ての選択肢をテーブルの上に置いてというふうにトランプ大統領がおっしゃったと。で、安倍総理の方からは、突っ込んだ意見交換をされたということでございますけれども、この弾道ミサイル発射に関してどういう突っ込んだ意見交換をされたのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 本日朝、安倍総理はトランプ大統領と約三十五分間電話会談を行いました。その内容ですが、昨五日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射の強行は危険な挑発行為であり、我が国の安全保障上重大な脅威であるということで一致をした次第であります。安倍総理からは、米国の強いコミットメントを背景に、北朝鮮に対して更なる挑発行動の自制、安保理決議等の遵守を強く求めていきたいとの考えを伝達しました。
 また、米中首脳会談、四月六日と七日に予定されていますが、米中首脳会談を控える中、安倍総理からは、北朝鮮問題に関する中国の対応を日本として注目している、こうしたことを伝達し、その上で、トランプ大統領からは、全ての選択肢がテーブルの上にある、米国は同盟国日本を一〇〇%支える、こういった発言がありました。
 あわせて、拉致問題についても、安倍総理から理解、協力を求め、大統領から支持を得た、こうしたやり取りがあった次第であります。
○藤田幸久君 で、日中次官級協議でいろいろ中国側にも要請をしてきた、そして今朝はトランプ大統領に直接要請をしたと。
 それで、突っ込んだ意見交換の部分についてお聞きしたいという質問でございますので、その部分について、今まで読み上げられたことはテレビでもぶら下がり等で聞いている話で、その先を聞いておりますので、突っ込んだ意見交換についてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 突っ込んだ意見交換ということにつきましては、米国においては、北朝鮮問題の政策の見直しを行っている中、先般から両国の間においては様々なすり合わせを行ってきております。そうしたこの日米両国における政策のすり合わせについても意見交換が行われたわけですし、また、先ほど申し上げましたが、四月の六日、七日、米中首脳会談、これは国際社会が注目する会談であります。この会談に向けて中国の役割について具体的な意見交換を行ったという次第であります。
 それ以上具体的なことについては、これはこうした場で明らかにすることは我が国の立場として控えなければならないと考えます。総理自身が突っ込んだやり取りを行ったと実感できるようなやり取りであったと認識をしております。
○藤田幸久君 その日米で見直し、すり合わせをされているということですが、それに至るには、総理も何回かおっしゃっておられますように、あるいは大臣もおっしゃっているように、新たな脅威、最近のこのミサイル発射等については、とおっしゃっておりますけれども、新たな脅威というのはどういうことを意味するんでしょうか。例えばそのミサイルの数なのか、あるいはそのいわゆる燃料の多様化なのか、あるいはその射程距離が延びているのか、つまり新たな脅威ということはどういうことを指しているんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) これは、質量とも新たな段階に入っているということを認識していること、昨年からの動き等を踏まえて申し上げております。
 昨年二回の核実験の強行、そして二十数発の弾道ミサイルの発射、そして今年に入ってからもう既に三回弾道ミサイルが発射されています。こうした数ももちろんでありますが、その内容につきましても、ミサイルの発射が移動式発射台を利用するSLBM、潜水艦からの発射の実験が行われるなど技術的にも進歩が指摘をされているわけです。三発あるいは今年に入って四発同時に弾道ミサイルを発射する、そして我が国の排他的経済水域に落下をする、こうしたことを考えますときに、新たな段階の脅威であるという認識に立ち、我が国の考え方を表明している次第であります。
○藤田幸久君 つまり、新たな段階の新たな脅威に関して日米で見直しをしているということは、当然この軍事的な様々な攻撃の様態等についての見直しについて協議をしているということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 日米で見直しをしているというのではなくして、米国政府が北朝鮮政策について見直しを行っているということであります。その際、我が国としまして米国のこの政策としっかりすり合わせを、政策上しっかりとすり合わせをしておかなければならない、これは当然のことでありまして、そうした観点から両国でしっかりと意思疎通を図っているということであります。
○藤田幸久君 米国の安全保障、軍事的な見直しに対して、実際にいろいろな作戦が起こった場合に、近隣国の日本としての様々な人道的な影響、あるいは何か軍事的な作戦が強化された場合には、避難民の問題とか、あるいは韓国も中心としたこの近隣の様々な生活、安全保障に対する影響があると思うわけですが、具体的にアメリカが見直しをしているということについては、日本側もそれに想定した様々なすり合わせ、意見交換をしているということでよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 米国においては北朝鮮問題における政策の見直しを行っています。そして、今後様々な事態が想定されるわけでありますが、当然のことながら我が国としてあらゆる事態を想定して対応できるように備えておかなければなりません。
 具体的なことについては、予断を持ってこうした公の場で申し上げることは控えなければなりませんが、様々な事態に万全な体制で備えなければならない、これは我が国として当然のことであると思います。だからこそ、米国のこの政策の見直しについて日米間でしっかりとすり合わせを行い、政策上一致しておかなければならない、こういったことから意思疎通を図っている次第であります。
○藤田幸久君 次に、尖閣諸島の施政権と領有権について質問したいと思います。
 本年二月の安倍総理とトランプ大統領の首脳会談において、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されるということが確認をされたということでございます。これは今までもある意味じゃ何回も確認をされておるわけですが、一方で、岸田外務大臣は国会の委員会の中で、尖閣諸島の領有権についてはアメリカは明確な表明はなされていないと承知していると答弁をされています。
 日本政府はその施政権適用を度々強調するわけですが、日本にとっては領有権こそ重要でありまして、アメリカ側からしっかりとしたコミットメントを得るべき事項ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、先般二月十日の日米首脳会談の際の、御指摘の安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されるということの確認でありますが、日米の首脳会議の後の共同文書において、文書の形でこのことが確認されたというのは今回が初めてであると認識をしております。その意味は大きいものがあると考えます。
 その上で、今領有権について御質問がありました。この領有権については、我が国の立場として、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、解決すべき領有権の問題はそもそも存在していないというものであります。米国政府は、同盟関係にある日米両国の日頃からの緊密な意思疎通を通じて、米国政府は尖閣諸島が我が国固有の領土であるという日本の立場、これは十分理解していると認識をしております。
○藤田幸久君 資料一を御覧いただきたいと思いますが、下の方に、外務省のウエブサイトにあります尖閣諸島に関するQアンドAというところで、アンダーラインの下のところに行きます。
 つまり、施政権は第二次大戦後米国の施政権に置かれて、それが一九七二年の沖縄返還のときに尖閣諸島を含めて返還されたわけですが、その下の行に行きますけれども、その間においても、尖閣諸島が日本の領土であって、サンフランシスコ平和条約によって米国が施政権の行使を認められていたことを除いては、いかなる外国もこれに対して権利を有しないという同諸島の法的地位、つまり領有権ですね、琉球列島米国民政府及び琉球政府による有効な支配を通じて確保されています。
 つまり、アメリカは領有権をずっと持ってきたということがこれ外務省のウエブサイトに書いてありますが、つまり、アメリカ、これ琉球列島米国民政府が領有権を持ってきたということで間違いないですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 尖閣諸島は、第二次世界大戦後、サンフランシスコ平和条約に基づいて日本が放棄した領土の一部には含まれておらず、日本の南西諸島の一部として米国の施政下に置かれ、一九七二年発効の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還されたと認識をしています。
 この領有権について申し上げるならば、サンフランシスコ講和条約におけるダレス米国代表の発言、あるいは一九五七年の岸信介総理とアイゼンハワー大統領との間の共同コミュニケ等において、我が国が南西諸島に対して残存する主権を有することを認めることが明示されていると認識をしています。
○藤田幸久君 いや、ですから、お答えください、これ。
 外務省のウエブサイトで、これ素直に読めば、この先ほど引用しましたところで、同諸島の法的地位は、琉球列島米国民政府及び琉球政府により有効な支配を通じて確保されています、つまり、領有権はこれ米国政府が確保している。つまり、施政権は一旦戦後アメリカの元に行って戻ってきているわけですが、その間もずっと領有権はこれアメリカ政府が有していると、法的地位は有効な支配を通じて確保されていますと。ですから、領有権はずっと残っているわけですよね、日本は放棄していないわけですから。ですから、ずっと領有権はそのまま日本のもので来ているという、書いてありますよね。
○国務大臣(岸田文雄君) はい、結論から申しますと、委員のおっしゃるとおりであります。領有権は日本にあり、施政権が米国に移っているという解釈であります。
 一九五一年のダレス米国代表の発言の中にも残存主権という言葉が使われています。一九五七年の岸総理とアイゼンハワー大統領の共同コミュニケの中においても、潜在的、日本がこれらの諸島に対する潜在的主権を有するという米合衆国の立場を再確認した、こうした表現が盛り込まれています。
○藤田幸久君 ですから、ここで書いてあることは、日本の領有権は米国政府が支配を通じて確保してきているわけですから、当然、米国政府は日本の領有権があるということを認めて確保してきているわけですね。それ以外あり得ませんね。
○国務大臣(岸田文雄君) そのとおりであります。先ほど紹介させていただきました文書等において明らかになっていると考えます。
○藤田幸久君 明らかになっていることを何か紛らわしく、しょっちゅう密接なコミュニケーションを取ったという話がここに書いてあるわけだから、このとおりですよねと断定していいはずですね。何で断定しないんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は断定しております。
 尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領土問題はそもそも存在しない、これは何度も強調しているところであります。
○藤田幸久君 いや、答えてください。
 つまり、アメリカが施政権を持って有効支配をしてきたときに日本の領有権が存在しているわけですから、当然、アメリカは日本に領有権があるということを認めて施政してきたと。だから、アメリカがこの日本の領有権を認めているという、これは具体的な事実ですね。言葉以上に、日本が領有権を持っているこの尖閣諸島をアメリカがアドミニストレーションしてきているわけですね、立法、司法、行政。ということは、領有権をアメリカが認めないで施政権を行使するはずありませんよね。ですから、アメリカがこの日本の領有権を認めているという、これ事実として確認してよろしいんですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども幾つかの例を示させていただきました。そして、その後も日米の間においてはしっかりとした意思疎通が行われています。この意思疎通を通じて米国政府は、尖閣諸島が我が国固有の領土であるという日本の立場、これを十分理解していると認識をしております。
○藤田幸久君 二枚目の資料を御覧いただきたいと思いますが、これ、済みません、経費節約で白黒にしちゃったので若干分かりにくいんですが、要は、この一旦アメリカが施政権を持ったこの地域、この六角形のような部分、一旦アメリカに施政権が移りましたが、これは全部日本の領有権であります、放棄していないわけで。それが沖縄返還のときに日本に施政権戻ってきているわけですが、この中に沖縄も、もちろん尖閣諸島も入っているわけです。したがって、ここはずっと日本の領有権持っていたわけで、アメリカはその前提で施政権を行使するわけですね。
 ですから、理解をしているとかいうことじゃなくて、実態としてアメリカはこの日本の領有権を、領有権を持つ日本の領土を実効支配してきたということで、これは議論の余地がない、領土問題が存在するしないではなくて、これは議論の余地がなくアメリカが認めてきたという事実がありますねということをなぜ確認できないんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) なぜ確認できないのかという御質問ですが、いや、我が国は、我が国の固有の領土であるということを明言しているわけですし、それを国際社会にしっかりと明らかにしています。米国からそれに対して何かそれに反するような発言はないと承知をしております。
○藤田幸久君 では、岸田外務大臣が、先ほど引用いたしましたけれども、尖閣諸島の領有権についてはアメリカは明確な表明はなされていないと承知しているという答弁を撤回していただけませんか。
○国務大臣(岸田文雄君) その発言については、別に事実に反するものではないと思います。今申し上げたのが実態であり、改めて米国から何か発言があったということは承知はしておりません。
○藤田幸久君 これだけはっきりしていることをなぜアメリカに求めないんですか。何か求めちゃいけないような、おびえてとか、あるいはそんたくをしているのか、何か主従関係なのか。なぜアメリカに領有権を求めないのか。同盟国ならば、当然のことながら、これ、だから実態として領有権を持った日本の領土をアメリカが実効支配してきているわけですから、それをなぜ求めないんですか。おかしいですね。非常におかしい。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の立場はもう明らかであります。それを国際社会にしっかりと表明しています。領土問題そのものが存在しないわけでありますから、改めて何か求めるというようなことは考えておりません。
○藤田幸久君 ちょっと別の視点で言います。
 施政権、施政権ということを強調されておりますけれども、施政権を強調するということは、次の三ページの資料、これは国会図書館の資料をそのまま借用して持ってまいりました。上から四つ目の領土、失礼しました、支配状況というのは施政権ですけれども、尖閣については日本が有効に支配していると、これが先ほど確認をされた施政権。ところが、竹島は韓国が占領、北方領土はロシアが占領と。
 ですから、施政権を、領有権は余り強調せずに施政権を強調するということは、逆に言うと、竹島と北方領土は韓国あるいはロシアが施政権を持っていると、実効支配しているということのある意味では確認になりませんか。
○国務大臣(岸田文雄君) 尖閣諸島において施政権というものが盛んに議論されるのは、日米安保条約のこれまでの経緯に関わっていると思っています。
 日米安保条約第五条の日本国の施政下にある領域という表現は、第一義的には、一九六〇年の日米安全保障条約締結時にはこれ小笠原、沖縄が米国の施政下にあったため、これを条約の対象区域に含めないこととするために用いられたと承知をしております。
 こうした経緯があるために、日米安保条約においてこの第五条のような表現が使われ、そしてその後も施政権ということが取り沙汰されるわけでありますが、竹島及び北方四島については我が国固有の領土であり、北方四島はロシアに法的根拠のない形で占領されており、韓国による竹島の占拠、これは不法占拠である、これを明確にしております。
 よって、この施政権云々を議論することによって実効支配を認めることになるのではないか、こういった指摘は当たらないと考えています。
○藤田幸久君 この国会図書館の資料で更にいきますと、上から六つ目ぐらいのところ、米国の対応というところがあります。その一番右行きまして、北方領土ですけれども、これアメリカは、領有権について日本の立場を支持するとはっきり言っているんです。
 北方領土についてアメリカがはっきり支持すると言っていて、それを今までもかなり糧としてきたのに、この尖閣に関しては、その領土問題についてアメリカ側が新たに表明することを求めないというのは、これはおかしいじゃないですか。北方領土については領有権をアメリカが認めるのを多としていながら、尖閣についてはそれをあえて言わない。アメリカは、少なくとも沖縄が返還された一九七二年までは先ほど引用されたダレスさんあるいはアイゼンハワーさんの言葉があったわけですが、沖縄返還されてからアメリカがぼやかしてきていると。それに対してやっぱり日本ははっきりと物を申していくべきではないかと。
 北方領土についてははっきりアメリカが領有権言っているのに、尖閣については日本側から求めないと、これは何か変な外交姿勢じゃないですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 北方領土と尖閣のこの違いですが、北方領土問題については、御案内のとおり、日ロの間で今議論が続いています。そして、その中で北方領土については、米国はこれまで日本の立場を一貫して支持しているということであります。一方、尖閣諸島については我が国固有の領土であるということで、そもそも領土問題は存在しないというのが我が国の立場であります。違いはこの点にあると考えます。
○藤田幸久君 そういう言い訳をしていますと、実態として、施政権を強調すれば、実態として竹島あるいは北方領土についてはほかの国の施政権を、あるいは実効支配を認めるということに実態的になるわけで、それで領有権については求めないということが、結局そういう姿勢になってしまうということが明らかになっておりますので、やはり領有権についてもしっかり求めていくという一貫性のある姿勢が重要だろうと思っております。
 それからもう一つ、この施政権に関して、仮に日本の施政権が損なわれた場合はアメリカ側が対日防衛義務を行うということをアメリカ側に確認をする必要があるんだろうと。つまり、今回初めて文書が出たんだというふうに高らかにおっしゃいますけれども、ということはその第五条の対象になって施政権ということになりますと、アメリカが対日防衛義務を果たすと、これは損なわれた場合には対応するとあるわけですけれども。
 そうすると、アメリカの場合には戦争権限法の適用を含めた米国の対日防衛義務が実際に実行されるということを確認をする必要があると思いますけれども、その確認の部分はどう対応しているのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の領土、領海、領空は我が国自身として断固として守り抜くとの一貫した方針、これは改めてしっかり強調しておかなければなりません。その上で、政府の立場から、委員おっしゃるように、我が国の施政下の領域が他国に占拠され、要は施政権が害された、害されるというようなことを甘受するかのような、こういった前提で議論する、これは適当ではないと思います。
 その上で、同盟国として平素から日米間でしっかり連携していく、これは当然のことであり、米国は累次の機会に、日米安保条約五条は尖閣諸島に適用されること、そして日米安保条約の下での米国の条約上の義務へのコミットメント、これを確認している次第です。先ほど紹介しました今年の二月の日米首脳会談においても、文書において初めてこのことも確認された次第です。
 日本政府としては、米国がこの日米安保条約の義務を果たすことに信頼を置いています。引き続き、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの方針の下、毅然かつ冷静に対処してまいります。
○藤田幸久君 安全保障環境が悪くなってきたのでいわゆるこの安保法制等をやってきたということがあるわけで、そちらの方ばかり言っておきながら、実際にこういう状況になった場合にアメリカがちゃんと来てくれるのかというのを確認しておかないということは非常におかしいんだろうと思っておりますけれども、ちなみにその関係でいいまして、では、同盟国ということを強調されるわけですが、アメリカが、例えば第二次大戦以降で結構ですけれども、同盟国に対する攻撃があった、例えば日本のような国、日本以外の国で、アメリカが同盟国に対する攻撃があった場合に、それに対して安保条約に基づいて防衛した事例というのはあるんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御案内のとおり、集団的自衛権を行使した場合には、その国は国連に報告することが義務付けられています。米国がこの国連安保理に集団的自衛権の行使としてとった措置、報告したのは今まで五件あると承知をしています。一九五八年のレバノンに対する支援、一九六五年のベトナム共和国に対する支援、一九八八年のホンジュラスに対する支援、一九九〇年のペルシャ湾地域への兵力の展開、そして二〇一四年のいわゆるISILに対する軍事作戦、この五件であります。
 ただ、その五件のうちいずれ、どれが条約上の義務に基づくものであるかどうか、これについては、我が国は当事者ではありませんので、ちょっとお答えするのは難しいと考えます。
○藤田幸久君 つまり、明示的にそういった例示をお答えできないというふうに理解をいたしましたので、そういう観点からも、実際に戦争権限法を含めたアメリカが対日防衛義務を果たすのかについてしっかりとこれから詰めていただきたいと思いますけれども、そういう意思はないんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 日米同盟については、平和安全法制あるいは日米ガイドラインの改定等により、より緊密な、強固なものになっていると認識をしています。その中にあって、平素から両国間において緊密な意思疎通を図っていく、これは大変重要なことであり、その中で様々な事態に対しても日米間で意思疎通を図っていくことが重要であると考えます。ただ、具体的な内容について公の場で明らかにする、これは控えなければならない部分があると考えます。
○藤田幸久君 具体的な対応をしてほしいと思っています。
 次の質問に移ります。
 次の資料に、一月の日本経済新聞の記事を持ってまいりました。要は、最近もいろいろ言われておりますけれども、日々の動静を見ておりますと、外務官僚の方が直接官邸に行っていることが圧倒的に多い。外務官僚は結局、岸田大臣の頭越しとは言いませんけれども、直接安倍総理と外交案件を処理し、それが大臣の方に報告されているなという印象が非常に強いんです。
 最も最近の例は核兵器禁止条約でございますけれども、昨年、岸田外務大臣は、唯一の被爆国として主張すべきことはしっかりと主張していきたいと考えているとおっしゃっておりましたけれども、今度三月二十七日からこの交渉会議が始まりますと、会には参加いたしましたと、岸田大臣、参加をして主張をいたしましたと、ただ、今後の交渉については参加しないということですと、消極的な立場に変わっています。
 これ、広島出身の国会議員でありますところの岸田大臣は、昨年のオバマ大統領の広島訪問も始め、私どもはそういった流れは支援をしてきた中で非常に残念なわけですけれども、こういう形で官邸が直接外交をやって結果報告をされているのかなという印象すらあるわけですが、こういうふうに岸田外務大臣が何か豹変されるように消極的になってしまっている、これはどういう経緯ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、外務省の官僚、関係者が頻繁に官邸を訪れ、そして説明を行う、これは、政府全体として、政府一丸となって外交を進めるという意味においてこれは歓迎すべきこと、どんどんと進めるべきことであると思います。そのことが、外務大臣の頭越しに外交が進んでいるのではないかという御指摘については、官邸にも頻繁に外務官僚は足を運んでいますが、私は平素から同じ建物の中にこの外務省の幹部といるわけですから、それ以上に頻繁に様々な説明を受けております。これは当然のことでありますし、これは内容において頭越しに物事が決められているということにはならないと考えています。
 そして、その上で、今回の核兵器禁止条約交渉における我が国の立場ですが、我が国の立場、これは従来からも、そしてこれからも全く一貫をしています。核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識をしっかり持った上で、核兵器国と非核兵器国の協力の下に現実的、実践的な取組を積み重ねていく、この方針は全く変わらないわけです。
 そして、私が主張すべきことは主張すべきであると言っていたではないか、意見が変わったのではないかという御指摘ですが、それも当たらないと思っています。今申し上げてきた主張をしっかりとこれからも訴えていかなければならない。ただ、核兵器禁止条約交渉においては、それが可能なのかどうか、方式や環境についてしっかり確認をした上で政府の対応を決定していく、こういったことも併せて申し上げてきたと思います。
 そして、今回、この交渉、三月二十七日の初日において我が国は参加をし、我が国の立場を表明しました。ただ、初日、蓋を開けてみますと、その会議においては五つの核兵器国は出席をしていない、それ以外にも、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮、こういった国々は参加していない。また、我が国とともにこの核軍縮・不拡散に取り組んできた中道国、ドイツですとかカナダですとかオーストラリア、これも全て参加をしていない。こういった中では我が国のこの主張を訴えていくことは難しい、こうした核軍縮・不拡散に資さないのみならず、核兵器国と非核兵器国の亀裂、対立をより深刻にさせてしまう、逆効果である、こういった判断に基づいて、それ以後の参加を控えることにしたということであります。
 我が国としてどうあるべきなのか、唯一の戦争被爆国としての態度を慎重に十分に検討した結果であります。
○藤田幸久君 私もいろんな外務省の方とお付き合いございますが、外務官僚がこれだけ官邸に行っているということは、外務省がある意味では頭越しに官邸からの指示で振り回されているということを非常に心配している外交官の方もいらっしゃる。是非、リベラルな岸田外務大臣が是非御自身の御主張をしっかりされながら外交をやっていただきたいということと、長嶺大使が昨日ですか、韓国に帰られましたけれども、これも外務省の現場の皆さんが本当にその帰還を政策としてよしとしておったのか、そうでもない考えの方もいたというふうに聞いておりますけれども、いずれにしても、是非大臣の御自身の姿勢を生かしてやっていただくことが、外務官僚にとってもあるいは外国にいる外務省の方々にとっても励みになると思いますので、頑張っていただきたいという意味でこの質問をさせていただきました。
 ACSAに移りたいと思っています。
 次の資料を御覧いただきたいと思います。
 これは今回の日米ACSAと日豪、英のACSAとのちょっと違いをまとめてみました。それで、左側が日米ACSAでございますけれども、いわゆるこの四角で囲みました重要影響事態、武力攻撃事態等というのは四条、五条、六条に入っております。これがどこにあるのかということを日豪、日英で調べてみましたところ、右側のいわゆる我が国の防衛に対する情報の収集の下のところに入っているわけですね。これは各国の法令で認められるその他の活動の中に入っているんですね。
 要するに、この左側にあったものをちゃんと書いておけばいいものを、右側の方にその他の国内法令でというふうに、まあ言わば隠すような形で、しかしながら、答弁とすれば対処は同じですと、何でこういうふうに四つの事態を隠すような構成の法律にしたんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 何でこのように対象を隠すような書き方にしたのかということですが、そういった意図は全くありません。これは条文の作り方、書き方の問題でありまして、新しい日豪ACSA、そして日英ACSA、この条文の構成や規定ぶりについては現行の日豪ACSAの構成を踏襲する、これは相手国との交渉の中で確認をし、ですから、現状の日豪ACSAのこの構成をそのまま取り入れたということであります。
 内容においては、国内法において認められている範囲の中でACSAは決済手続等、手続を円滑化させるものである、このことは全く日米ACSAにおいても日豪ACSAにおいても日英ACSAにおいても変わらないと認識をしています。
○藤田幸久君 もう一つ、一つ飛ばして質問いたしますが、日米ACSAの第六条、その他の目的については付表があります。付表二に関連する法令の条文名、自衛隊法百条の六とかを記載して、要するに歯止めが存在するんです。ところが、日豪、日英のACSAの一条一eには、各国の法令で認められるその他の活動と規定されているだけで、これ無制限に適用対象を認めることができる。
 ですから、私はやっぱり日豪、日英におきましても、この付表なりを付けて歯止めを設けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ACSAというものは、自衛隊による外国軍隊への物品、役務の提供や受領そのものを法的に可能にするというものではありません。あくまでも締約国それぞれの国内法の規定に基づいて実施される物品、役務相互提供に適用される決済手続の枠組みを定めるものであります。ですから、国内法に認められている範囲を逸脱することはあり得ませんし、それを規定するものでもないということであります。
 ですから、歯止めについては、あくまでも基本となる国内法の議論、国会でしっかり御議論いただいて決まる、その結果によってACSAの適用範囲が決まるわけですので、歯止めがなくなるという御指摘は当たらないと考えています。
○藤田幸久君 弾薬の提供についてお聞きをいたします。
 安保法制において弾薬の提供が認められた際に、政府は、現行法の制定時にはニーズがなかったために支援内容から除いており、武力行使の一体化の関係から除いたものではないと説明しておりましたが、新たなACSAの締結に当たって、アメリカ、オーストラリア、イギリスに対して、弾薬の提供についてニーズを確認したんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 豪州そして英国の場合は、ACSAの交渉の時点で既に平和安全法制は成立をしておりました。この平和安全法制が成立をしている、その内容を踏まえた上で自衛隊から両国の軍隊への弾薬の提供が行われ得ること、こうしたことを説明し、そしてこのACSAの適用を行う、このことを両国の間でしっかり確認をしたということであります。
 そして、日米については、これはもう一昨年の平和安全法制の際に随分と議論をさせていただきました。このニーズに基づいて平和安全法制の議論が行われ、国会の御了解をいただいた、こういったことであると認識をしております。
○藤田幸久君 次に、時間の関係で、次の資料の六に行きたいと思いますけれども。
 先週ですかね、ああ、おとついの外交防衛委員会において、ACSAがない場合に物品、役務提供の手続が煩雑になり無償供与等ができなくなるという説明がありました。
 一昨年の十二月、南スーダンにおいて自衛隊は無償で弾薬を韓国に譲渡しましたけれども、これは資料の十二月二十三日のところを見ていただきますと、NSCが弾薬の譲渡を決めてから二時間以内に自衛隊からUNMISSに譲渡が行われているんですね。ですから、おとついの説明のようなACSAがない場合に手続が煩雑だということと違う実態があったのではないでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今委員御指摘の国連南スーダンミッションに対する弾薬の提供は、韓国隊の隊員等の生命、身体を保護するために必要なものとして、国連からの緊急の要請を受け、当時のPKO法第二十五条、現行第三十条の規定に基づく物資協力として実施をしたものです。この物資協力は、国連PKO等の活動に必要な物品を国連等に無償又は時価よりも低い対価で譲渡することを可能にする枠組みです。
 一方、ACSAは、実施に閣議決定を要する物資協力とは異なり、あらかじめ定めた枠組みの下で、自衛隊と相手国の軍隊間の物品、役務の相互提供を円滑に行うために用いられるものです。また、ACSAは、国連PKOに限らず、平素の共同訓練を始めとして様々な場面に適用される枠組みです。さらに、ACSAによる物品提供の決済手続は、物資協力として行う無償又は時価よりも低い対価での譲渡とは異なり、無償貸付けを原則といたしております。
 このように、ACSAとPKO法上の物資協力はその枠組みを異にしているため、ACSAがない場合の物品、役務の提供をPKO法上の物資協力により代替できるものではありません。
 いずれにいたしましても、委員への答弁でお答えしたとおり、ACSAがなければ、平素の共同訓練を始めとする様々な場面における物品の相互提供に煩雑な手続を要し、これを円滑に行うことが困難になるものというふうに考えているところでございます。
○藤田幸久君 武力行使の一体化の関係で一つ質問いたしますが、安保法制の審議の際に、大森元内閣法制局長官は、戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油、整備は、私が参事官から報告を聞いたところでは、もう典型的な一体化事例であると、だから認められないよということを何度も何度も言い続けたようですと。それで、最終的には、ニーズがないから別表の備考に書いて、書くことによって収めたと思いますということで、それは表面上ニーズがないということにして収めたということですと発言しました。
 ということは、この戦闘行為のための発進準備中の航空機の給油についても、これは新たな日米ACSAの枠組みが適用されるのか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油及び整備については、一昨年の平和安全法制の際に随分と議論をさせていただきましたが、米国のニーズが確認されたことを前提に改めて慎重に検討した結果、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動を実施しないという一体化回避の考え方が適用できると判断して、この平和安全法制においてそのような給油及び整備を実施することができるよう法整備が行われました。新たな日米ACSAは、このような協力を含む平和安全法制で実施可能になった自衛隊から米軍への物品、役務の提供も協定の適用対象としております。
 ただ、いずれにせよ、米国、米側から物品、役務提供の要請がある場合には、平和安全法制を始めとする我が国の法律に加え、我が国の政策あるいは関連条約等の整合性を検討した上で、自衛隊の部隊等における装備品の保有状況や支援を提供する必要性、緊急性等を踏まえて、個々の要請の都度、我が国として主体的に判断するということになると理解をしております。
○藤田幸久君 時間の関係で質問の順番を変えまして、文部科学副大臣お越しいただいておりますので、質問をさせていただきます。最後の資料を御覧いただきたいと思います。昨日の衆議院の文部科学委員会の速記録でございます。
 宮崎衆議院議員が松野文科大臣に質問をしております。教育勅語から派生をしていって、アドルフ・ヒットラーの「わが闘争」という本、この内容は別にして、部分的に教科書として使用することは可能ですねという質問に対して、松野大臣は基本的に使用が可能であるというふうにおっしゃっております。したがって、どの部分、どういうふうにということは別にして、学校において教材として「わが闘争」を使うということは可能ということでよろしいですね、文部科学省の見解として。
○副大臣(義家弘介君) お答えいたします。
 昨日の衆議院文部科学委員会において、「わが闘争」の文言の一つが道徳的なものであれば使っても否定すべきではないということかという趣旨の質問に対し、松野大臣から、「わが闘争」に書かれている内容の精神をそのまま生徒児童に教える目的を持ってこれが使用されるということであれば、当然のことながら適切でないとする一方で、民族差別的な発想があったという歴史的な時代があったということに関して皆さん方はこのことについてどうお考えですかということを討論させるとか、教材として使用に関しては、その教職員の判断の自由があるという答弁でございます。
 これは、同委員会において質問者よりヒトラーの著書を例に出して教材として扱うことについてのお尋ねがあったのでこれを例にお答えしましたが、大臣の答弁は、全ての教科書等の教材に共通する考え方を述べたものでございます。
○藤田幸久君 稲田防衛大臣、防衛大学校においてこの「わが闘争」を使うことも、これ部分的に、解釈、使い方は別にして、これ可能ですね。
○国務大臣(稲田朋美君) 教育内容に関しては防衛大臣の所管ではなく、お答えすることは差し控えたいと思います。
○藤田幸久君 防衛大学校の内容は防衛大臣の所管じゃないんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今お答えをいたしましたのは、その教育内容、さらには教材に関してお答えする立場にはないということでございます。(発言する者あり)
○委員長(宇都隆史君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(宇都隆史君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(稲田朋美君) 今副大臣がお答えになったとおり、松野大臣から、「わが闘争」に書かれている内容の精神をそのまま生徒児童に伝える目的を持ってこれが使用されるというのであれば、当然のことながら適切でないという一方で、民族差別的な発想があった歴史的な時代があったということに関して皆さん方はどうお考えですかという討論をさせるとか、教材としての使用に関しては、その教員の判断の自由があるということが当てはまるのではないかというふうに思います。
○藤田幸久君 今は、防衛庁設置法に基づく解釈として大臣はお答えになったという理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 防衛大学校の所管大臣として今の御答弁をさせていただいたということでございます。
○藤田幸久君 教育内容は、防衛庁設置法に基づく解釈として、教育内容については大臣の所管ですか、所管じゃないんでしょうか、防衛大学校の教育内容は。
○委員長(宇都隆史君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(宇都隆史君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(稲田朋美君) それについては所管だということでございます。
○藤田幸久君 防衛庁設置法上の所管として教育内容について権限があるということでよろしいですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今の先生の質問がどういう趣旨で問われているのか明確ではありませんが、今の防衛省設置法上の防衛大学校の教育という意味において防衛大臣の所管であるということは、そのとおりでございます。
○藤田幸久君 この「わが闘争」を防衛大学校の教員がしたがって使うことが可能であるということでよろしいですね。
○国務大臣(稲田朋美君) その御質問については先ほど副大臣が答弁し、私が先ほど引用したとおりでございます。
○藤田幸久君 外務大臣にちょっとお伺いしますが、教育勅語の学校での教材使用ということを認めたというだけでもう昨今、アメリカを始めとする世界中でこれが話題になっております。今日以降、日本の学校及び防衛大学校においてその「わが闘争」も使用が可能であるということ、まあこれユダヤ教の関係の方も含めて、トランプさんのお婿さんも今イラクに行っていらっしゃいますが、ユダヤ教の方でございますけれども、こういう、つまり、日本において、学校において、その「わが闘争」のようなものも使用が可能だということが世界に伝わるということについての外交的な影響についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 教育勅語については、戦後、我が国の国会において廃止が決議されるなどされた文書であると承知をしております。また、「わが闘争」につきましては、国際的に大変厳しい取扱いが行われている実例があるということも承知をしております。
 その上で、我が国として様々な場面でこの問題をどう取り扱うか、これは先ほど来、防衛大臣、文科副大臣の方から答弁があったとおりであると考えます。
○藤田幸久君 稲田大臣に、短い時間、二つ御質問をいたします。
 国会において記憶違いで誤った答弁を何回か繰り返されておりますが、自衛隊の新しい入所者あるいは新しい隊員の皆さんに訓示をされることが近々あるんでしょうか。その際に、国会で記憶違いでこういう実は結果的に誤った答弁を繰り返したということについて、どういうふうに新しい隊員に御説明されますか。
○国務大臣(稲田朋美君) 入ってくる、入所する隊員に対して、先日もお話をする機会がありました。その際には、私は、やはりこれから様々我が国を取り巻く課題が大きい中で、この自衛隊・防衛省の役割は大きくなっていく、しっかりと日本らしい活動を、活躍を海外でもしていますし、また、この難局に直面をして、しっかりと取り組んでいただきたいというふうな趣旨のことを申し上げたところでございます。
 また、今御指摘の私の国会での答弁、まさしく十三年前のこの森友学園の、本件としては関係のない土地の抵当権抹消に関して記憶に基づいて断定的なことを申し上げたこと、これについてはしっかりと今後とも誠実な答弁に努めたいというふうに考えておりますし、また、誠実に職務に邁進していきたいというふうに考えているところでございます。
○藤田幸久君 つまり、そういう国会で御自分が結果的にされたことについては新しい隊員の前ではお話しになっていないということですね。あるいは、襟を正すというようなことについては新しい隊員にはおっしゃっていないということですね。
○国務大臣(稲田朋美君) まさしく、私の覚悟としても、この我が国を取り巻く環境の中で緊張感を持って職務に邁進をしたいということは申し上げているところでございます。
○藤田幸久君 もう一つ、南スーダンで活躍をされて、大変な苦労をして帰ってこられる自衛官の皆さんに今回の日本の隠蔽問題について、これはどういうふうに、現場で苦労してきて、これだけ生々しい状況を伝えた方に対してどういうふうに説明されるんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今回の日報に関しては、日報の取扱い自体は、一年未満、用済み後廃棄というルールにのっとって廃棄、施設隊では廃棄をしていたものでございます。そして、一旦は不存在、そして不開示としたものを、私の指示で自発的に探索をして全て公表をいたしているところでございます。
 しかしながら、報道を受けまして、そして指示をして破棄をさせたというような報道がありましたので、その真偽も含めて特別防衛監察で徹底的に事実調査をし、改善すべき体質があるのであれば、それをしっかりと改善をしていくということでございます。
 そういったことなどを私は必要に応じて説明はしていきたいというふうに考えております。
○藤田幸久君 大臣の命令で命を懸けて南スーダンに行った自衛官の皆さん、そして新しく希望を持って大臣の下で命を懸けて職務をしようとする自衛官の皆さんに対して、そういう人ごとのような話じゃなくて、命を懸ける司令官としての、最高責任者としての大臣からしっかりそういった方々に対するメッセージを発してほしいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。