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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2015年04月07日

活動報告

2015年4月7日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 まず、外務省の公務員給与法を取り扱うということになりますと、我々とすれば思い出さなければいけないのが二〇一二年のこの公務員給与法ですが、八月までずれ込んでしまいました。なぜずれ込んだのかということについて、大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 平成二十四年度、二〇一二年の在外公館名称位置・給与法改正案、八月二十八日に参議院外交防衛委員会で、八月二十九日に参議院本会議で、いずれも全会一致で可決され、九月五日に公布されました。
 この法案審議、採決の日程については、その当時の国会における与野党の様々な議論の結果であったと認識をしております。
○藤田幸久君 与野党とおっしゃいましたけれども、多分野党はもっと早くと言ったはずでございますけれども、当時の与党が、これ、八月ということは、外交官の皆さんにとると大変大きな問題だったろうと思いますけれども、今後そういったことがないように要望をしておきたいと思っております。
 在外公館のコンパクト公館、あるいはミニマム公館という言葉が出てきました。警備体制の強化ということでございますけれども、在留邦人にとって在外公館、あるいは、私ハイチに行きましたけれども、そのときは大使館と大使の公邸と両方やられてしまいました。だから両方重要だということを当時感じたわけですが、大使あるいは総領事の公邸を含めまして、コンパクト公館あるいはミニマム公館というふうになった場合にこの警備体制をどう取り組んでいくのかということで、例えばシェルター、退避訓練、装備、通信インフラ、備蓄等についてどう対応されるのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 在外公館は外交活動の基盤であり、在外邦人保護の拠点でもあります。かかる観点から、まず、在外公館及び職員の安全対策については、現地治安情勢等を考慮しつつ、人的、物的両面から、例えば警備員や現地警察官の配置、監視カメラや警報装置の配備など、必要な警備対策を講じています。
 また一方、外務省在外公館として、海外邦人の安全確保、これも大変重要な課題であり、シリアにおける邦人殺害テロ事案を受けて、外務省の警備専門官を中東及び欧州に派遣した際にも、現地の在留邦人や日本人学校と安全対策に係る説明会を実施したり、個別のアドバイスを行うなど、在留邦人の安全性の強化に努めております。
 そして、御質問のコンパクト公館、そしてミニマム公館ですが、その指定に当たりまして、当該在外公館の機能が維持される、これを前提に、定員として当面一定の上限を設けているというものであります。したがって、そのような公館が治安上の脅威度が高い中東やアフリカ地域などに所在する場合には、通常の公館同様、防弾車の配備、あるいは身辺警護員を配置するなどの警備体制の強化、構築を図り、在外公館及び職員の安全対策に万全を期するよう努めてまいります。
○藤田幸久君 私もいろんな国の外交官あるいは大使館訪問したりしておりますが、相当いろんな準備、体制強化しております。東京においても在外公館の警備等は相当な対応を取っておりますし、訓練もしております。是非、日本の外交官、邦人を守るために更に努力をしていただきたいというふうに思っております。
 それで、戦略的対外発信の強化とうたわれておりまして、普通は、何か人を増やすあるいは広報関係を充実するということが挙げられるわけですが、私もつくづく感じますのは、日本の外務省の方というのは、何か人と会う場合も、相手国の公使は公使、領事は領事といった同じ地位や階級の人しかなかなか会わないような傾向が強いのでございますが、内規はどうなっておるか分かりませんが、もっとこれからはいろんな立場の人に会うような柔軟な外交活動をしていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の在外公館におきましては、任国の政府関係者、有識者、ジャーナリスト、あるいは外交団との間で日頃から様々なやり取りを行っていますが、接触する相手や働きかけの内容については本国からの訓令等に応じて個別的に判断をしております。
 しかし、今後、より重要な情報を得、そして広範な情報を得ていくためには、おっしゃるように接触する相手につきましても幅広く接触の範囲を広げていくことは重要なことなのではないかと思います。現地の政府関係者のみならず、民間の関係者あるいはNGOの関係者など様々な関係者との接触は重要なのではないかと認識をいたします。そういった姿勢は大事にしたいと考えます。
○藤田幸久君 訓令からということですが、私も外国の外交官とお会いするんですが、結構ポジション超えて、立場を超えていろんなところに出向いていって接触をすることが多い。最近は、いわゆる承認をしていない勢力、グループ等との交流というものがますます重要だろうと思いますので、その訓令を柔軟にするのか、方法はいろいろとありますけれども、そういうアクティブな外交活動を是非していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。それが戦略的対外発信の強化、外交力につながると思っておりますので、申し上げておきたいと思います。
 時間の関係で、前回、参議院の予算委員会で質問をさせていただきました元BC級戦犯のことについて質問をさせていただきたいと思います。予算委員会で外務大臣は、道義的な立場から、一九五三年から五八年まで見舞金とか生活資金等の措置を講じたということでございますけれども、それについて質問を申し上げたいと思います。
 BC級戦犯というのは、御存じない方もいらっしゃいますが、実は傍聴席に李鶴来さん、またいらっしゃっておりますけれども、第二次大戦中に日本軍の命令で捕虜監視員になったわけです。これは命令です。それで、例えばアメリカとかオーストラリアの捕虜に対する虐待という罪でBC級戦犯の皆さんが受刑され、処刑された方もいらっしゃると。
 ところが、サンフランシスコ講和条約が発効すると、今度は日本国籍がなくなってしまったわけですから、日本政府の補償の措置の対象から外されたと。だから、裁判のときは日本人であるがゆえに裁かれて、今度はサンフランシスコ講和条約が終わってしまいますと、今度は外れて日本で放置されてしまったと。だから、裁判所の方も、これはやはり国政関与者は早期の問題解決を図るべき、立法措置を期待をするというような判決もあったということで前回お聞きをしたわけですが、それで外務大臣の答弁があったわけですが。
 一九五三年から五八年までの細かいことについてまずお聞きしたいと思いますが、朝鮮人の元BC級戦犯何人に、一人幾ら支払われ、総額は幾らだったのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御質問の内容について詳細にお答えするのは厚生労働省なのかもしれませんが、私が承知している範囲で申し上げますならば、戦争犯罪人が収容されていた巣鴨刑務所に入所中は、その家族に対して一年間に一万二千円を支給したとのことでありました。また、出所後の一時居住施設設置のための補助金計一千万円を朝鮮・台湾出身の受刑者の関係団体に交付し、それぞれ三か所の施設が設けられました。また、生業資金として一人五万円を限度に貸付けを行いました。さらに、昭和三十二年度予算で巣鴨刑務所出所者等援護費補助金として総額六百六十万円を計上し、一人五万円の生活資金を支給したほか、昭和三十三年十二月の閣議了解に基づいて、日本在住の朝鮮半島・台湾出身受刑者に対して一人十万円ずつ、計一千二百六十万円の見舞金が交付されました。また、昭和三十五年には、都営住宅への入居あっせん、タクシー会社の設立援助の措置を行いました。
 ちなみに、これらの措置の多くは、朝鮮半島及び台湾出身受刑者と日本人受刑者との間に生じた不均衡の是正や、朝鮮半島及び台湾出身受刑者に対する特別な慰藉のために設けられた制度であり、日本人受刑者には支給されていないものであります。
○藤田幸久君 日本人の元戦犯の方は対象外という今お話でございましたけれども、日本の方は自分の帰る家があり親族もいたわけですが、受刑をされて放り出された異国の方は、育ったのは朝鮮半島ですから、身寄りもなくつらい生活だったということの違いがあるということを是非理解をしていただいて対応をお願いをしたいと思っております。
 それから、軍人恩給ですけれども、勤務年限、階級、職種等によって差があるわけですけれども、日本人の場合は、元軍属で例えば一九四二年に軍務に就いて、終戦のときに戦犯になって、五六年に釈放されたというようなケースでは大体どのぐらい支払われていたのかということを聞いておるんですが、それは答えられますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 恩給の話ですので、担当としては総務省からお答えするべきなのかもしれませんが、その上で私の承知しているところを申し上げるならば、恩給法に基づく軍人恩給については、勤務年限、階級、職種によって差異がありますが、この恩給法は軍属には適用されていないと承知をしております。
 また、戦傷病者戦没者遺族等援護法による援護年金については元軍属が適用対象となっておりますが、これは勤務年限、階級、職種によって差異は設けられておりません。また、同法に基づく支給は対象の障害の有無や程度によって異なるというふうにされておりますので、これ金額について一概にお答えするのは難しいことであると認識をしております。
○藤田幸久君 外務省の方でよくお調べいただきましたが、先ほど大臣がおっしゃったように、多分これは厚労省あるいは総務省の方が直接詳しく答弁をしていただくべき内容なんだと思いますので、是非次回からは担当の部署の方で答えが必要であるならば事前にそのような対応をしていただきたいというふうに申し上げたいと思います。
 資料の一枚目に配っておるわけですが、この間、四月一日に国会でいわゆるBC級戦犯の方々の展示会がございました。それに対して韓国の国会議員の方からメッセージがございまして、これは昨年の韓日・日韓議員連盟のときにも取り上げられて、メッセージとすれば非常に丁寧なメッセージでございますけれども、そこで質問でございますけれども、一九六五年の日韓条約、日韓請求権協定において完全かつ最終的に解決しているということになっているわけですが、この日韓会談の中でいつ、どのような内容でこのBC級戦犯の問題が協議をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました。この認識において安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ考えであります。我が国は、その痛切な反省の上に立って、自由で民主的で基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後七十年にわたり平和国家として歩んできました。
 そこで、この御質問に対する答えですが、日韓のその協議の中で、外務省において把握している限りにおいては、御指摘のような協議を行った事実、あるいは韓国政府から対応を求められた事実、こうした事実は確認されておりません。
○藤田幸久君 二〇〇五年に韓国側が当時の議事録を公開したようでございますけれども、それによりますと、一九五二年の第二十九次予備会談で日本側がこの問題は別途研究したいと提案したと、それきりになっているということが韓国側の議事録が言っているわけですが、日本側には議事録はないんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の点につきまして、外務省において把握している限りにおいては、御指摘のような協議を行った事実、あるいは韓国政府から対応を求められた事実、これは確認されておりません。
○藤田幸久君 議事録はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 議事録は存在すると存じますが、その中で、今申し上げましたように、この協議を行った事実、あるいは対応を求められた事実、これは確認されていないと承知をしています。
○藤田幸久君 議事録というのは、読めばイエスかノーかはっきりするわけで、確認されていないというのは非常に不透明な答えだろうと思いますが、是非その議事録を公開をしていただくと。韓国側は公開しているわけですが、これは日韓関係にとっても重要だろうと思いますので、是非公開をしていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の議事録につきましては、今後、日朝交渉等への影響も想定されます。今、現時点では公開するのは控えるべきだと考えます。
○藤田幸久君 是非、非常に重要なことでございますので、これ、日朝との関係においてもある意味では非常に重要な面もありますから、必要な部分だけでも公開をするということも含めまして、是非この権威ある参議院の外交防衛委員会の方でお取り計らいを、公開についてですね、お取り計らいをいただきたいということを委員長にお願い申し上げたいことと同時に、今回の質問は外務省の方でかなりお調べいただきましたが、本来は厚労省あるいは総務省等も含めてお答えいただくべきことでございますので、ということは、やはり事前に、政府委員を呼ぶ関係がありますので、事前に、理事会の前に、そういう所掌官庁が、ほかの所掌官庁が必要だということを事前に報告いただきたい。
 今回なかったわけですから、その対応について、是非委員会の方でこの対応の可否について御協議をいただきたいと思います。
○委員長(片山さつき君) ただいまの件につきまして後刻理事会において協議いたしたいと思います。
○藤田幸久君 そこで、このBC級戦犯と前後して、これも前回、予算委員会で質問させていただいたことでございますが、アメリカの捕虜の方々、この五年間、外務省の方で呼んでいただいております。これ、自民党の玉澤徳一郎先生とか谷川和穂先生とか大変御尽力いただいて五年間続いているわけですが、去年いらっしゃった方々の平均が九十四歳ぐらいでございました。
 私が把握している限りでは、大体、アメリカの九十五、六歳の平均の方々で日本に来る意思があって物理的に渡航が可能な方が二十数名と聞いておりますけれども、ということは、今年は戦後七十年でございますので、象徴的な日米交流の事業として是非今年、全員をお呼びになったらどうかと前回も予算委員会で申し上げた次第ですが、是非そういう、これは政治的決断でございますので、いわゆる通常予算を数千万円上乗せすればそういう方々、付添いの方も含めて呼べるわけですから、是非政治的決断をしていただきたいと改めて外務大臣に申し上げたいことと、是非それを、安倍総理が今月末にアメリカに行かれるに当たっては、アメリカでそういう発表をされたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 戦後、日本は、痛切な反省に基づき、一貫して平和国家の道を歩んでまいりました。日米両国は、戦後和解して強固な同盟国となり、共に地域と世界の平和と繁栄に貢献してきました。来る総理の訪米におきましては、今後も日米がこのような貢献を継続していくという力強いメッセージを世界に発信していきたいと存じます。
 そして、外務省としましては、今年が戦後七十年という特別な年であることを考慮し、先般も答弁したとおり、平成二十七年度の政府予算において例年の水準以上の米国の元POWの方々の招聘予算を計上したところです。例年の二割増しの予算を用意しております。今後、できるだけ多くの方々にこの事業に参加してもらいたいと考えております。
 委員の方から訪日する意思のある方二十数名というお話もございましたが、一方で、米国のPOW協会によりますと、生存の可能性のある方々三百八十名という数字も聞いております。この辺の実態もよく確認した上で、何よりも被招聘者の方々の希望ですとか健康状態、そしてこの事業の効果、この辺を総合的に勘案しまして、予算を最大限活用する形で適切に対応していきたいと考えております。
○藤田幸久君 御承知のとおり、安倍総理がアメリカ議会で演説するということに対して、フィリピンの捕虜の会の代表の方が、日本は敗戦によりファシズム体制から解放されたと安倍総理が認めるときのみ、ルーズベルト大統領が演説をしたこの議会の演説に招くべきだといったようなことを言っていらっしゃる方もいらっしゃると。やはりこういった、これは感情の問題が一部残っているということも踏まえまして、やはりそういう観点からも、これはサンフランシスコ講和条約あるいはポツダム宣言に関わることでございますので、いわゆる通常予算以上のことをして初めて象徴的な日米関係のいい事業になると思いますので、是非そういう観点から対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) POWの方々を招聘するこの事業は大変意義ある事業であり、これからも大事にしていかなければならないと存じます。こうした認識の下に、限られた予算ではありますが、予算を最大限効果的に効率的に活用する形で、できるだけ大きな結果を出すよう努力を続けていきたいと思っています。
○藤田幸久君 よろしくお願いいたします。
 先ほど糸数議員からも質問が出ていましたが、五年以内の運用停止について質問させていただきたいと思います。
 資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。これは、「五年停止「あり得ぬ」」という、マケイン元大統領候補であり、上院の軍事委員会の委員長に関する記事でございます。
 それで、一番重要なことは、一番上の線を引っ張っている二番目でございますが、グアム移転に関する基本計画書、マスタープランに、普天間は少なくとも二三年まで継続使用しと書いてあるということをおっしゃっていることと、その左の方で、国防総省、ペンタゴンの当局者も、代替施設完成前の運用停止はあり得ない、我々が打診の段階で拒否した案件である、二国間の正式な協議に発展するはずがないと言っておられますが、正式な協議というのは今まで行われたのか、それはいつなのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の新聞記事等を通じてのアメリカの関係者の発言について一々何かコメントするのは控えなければなりませんが、我が国としましては、五年以内の運用停止を含む仲井眞前知事からの要望につきましては、米国の大統領を始め関係者に直接伝え、要請を行い、そして米国側からも負担軽減のコミットメントを示してもらっています。昨年四月の日米首脳会談においてもこの問題をやり取りしていますし、昨年四月の私とヘーゲル国防長官との会談においても協力を要請しておりますし、昨年九月の当時の江渡防衛大臣と当時のヘーゲル国防長官の電話会談の際においてもこうした協力の要請を行っていると承知をしております。
 日米間におきましては、大統領を始め様々なレベルにおいて意思疎通を図っております。こうした要請はしっかり行っているということは確認をさせていただきたいと存じます。
○藤田幸久君 今までいつもそうなんですが、前知事からの強い要請という言い方と、それから今のコミットメントの主語は負担軽減なんですね。ですから、沖縄側が言っている、前知事が言っているのは要請で、アメリカ側の答えは、五年以内の運用停止についてじゃなくて、負担軽減に対するコミットメントと今もお答えをしました。
 それを裏付けするようなことがこの資料の一番最後のページにありまして、これは沖縄県議会における又吉知事公室長の言葉でございます。一番下の段落でございますけれども、同移設計画の進捗にかかわらず、だから、普天間移設が進むか進まないにかかわらず、その次のアンダーラインの、五年以内運用停止の実現を求めていると、政府が求める辺野古移設と県が求めている五年以内運用停止と分けて書いていますね。これはいつも政府が答弁されているのと同じことで、政府が進めているのは辺野古移設であって、県が求めているのは五年以内運用停止、別の話になっているんですね。
 今までの大臣ほかの答弁も、日本政府が五年以内の運用停止を求めたという主語、述語の関係の答弁は一切ないし、私も外務省からこの間聞いて、この議事録等も見ておりますけれども、五年以内の運用停止は沖縄県知事からの要望であって、日本政府からアメリカ政府に言っているということはないんですね。ですから、先ほど私が聞いたのは、正式な協議があったんですかと聞いたのに対しても、正式な協議があったというふうにはお答えになっていない。
 それから、そもそも五年以内の運用停止を協議するということはこれは日米合意に反するんじゃないかというふうにアメリカ側は言っていますけれども、五年以内の運用停止を正式に協議するということはこれは日米合意に反するんじゃないんですか。両立はできないんじゃないですか。王手飛車取りみたいな話だろうと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 五年以内の運用停止、そして仲井眞前知事からの要望につきましては、外交交渉の詳細にまで明らかにすることは通常行われていないことから、できる範囲で公にした部分について説明をしたということで先ほど来の説明をさせていただきました。
 しかし、一つ申し上げておきたいことは、五年以内の運用停止を含むこの四項目の仲井眞前知事からの要望、間違いなくアメリカに伝えております。その内容において、五年以内の運用停止、間違いなく含まれております。これは首脳会談においても同じであります。そうした要望をしっかり伝えながら、日米間で意思疎通を図ったということであります。
○藤田幸久君 交渉の中身のちょうちょうはっしのやり取りを聞いているのではなくて、五年以内の運用停止ということの中身と日米合意ということ自体がそもそも矛盾するんじゃないんですか。両立できるんですか、五年以内の運用停止ということと日米合意。つまり、普天間が辺野古移設が終わらないうちに閉鎖するということが両立できるかということですが、両立できるんですか。これは交渉事じゃなくて、これは基本的な考え方として。
○国務大臣(岸田文雄君) 日米合意と両立し得るのかということでありますが、日米合意は当然存在するわけでありますが、その中にあっても、首脳会談等において五年以内の運用停止について日本側からはっきりと米国に要請を行い、やり取りを行ったということであります。これは矛盾することではないと考えます。
○藤田幸久君 この三ページ目のマケインさんの記事をまた御覧いただきたいと思います。
 「米の立場明確に」という見出しの左側のところをお読みいただきたいと思いますけれども、アメリカ国務省高官も、普天間は日米が合意した二二年度以降の返還が唯一の方法とし、次の言葉ですけれども、五年以内を検討するなら日米合意を見直し、計画自体が遅れると認識と。つまり、両立しないとアメリカの国務省高官が言ったと報じられているわけですが、ということは、アメリカの国務省の高官は、五年以内の検討と日米合意の見直し、これは計画自体が遅れるとおっしゃっているということは、アメリカの国務省高官がこれ仮に言ったとすると、この認識は基本的に間違っているという理解でよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 新聞記事の、そして米国の国務省高官の発言と言われているこの発言、これについて私の立場からこうした参議院の委員会の場で何か申し上げるということは控えなければならないと思います。この新聞記事について一つ一つコメントするのは控えます。
○藤田幸久君 もう一つの側面は、この間も実は城内副大臣に聞いたんですが、五年以内の運用停止ということと、それから普天間基地が閉鎖される間には、これ時差がありますね。それで、運用停止ができた段階で、これは中谷防衛大臣はヘリコプターが飛ばない状況とかおっしゃっていますけれども、要するに、少なくとも運用停止になった段階で危険除去は成立をするんだろうと思いますが、それから数年先のいわゆる閉鎖の間は、これ危険除去というのは騒音軽減以外はほとんど進まないと思うんですが、その認識はよろしいですね。つまり、運用停止で危険除去は起こるけれども、普天間がある限り、まだ負担軽減にはそんなに至らないと思うんですけど、それはよろしいですね、認識は。
○国務大臣(岸田文雄君) 運用停止後の状況について御質問をいただきました。
 運用停止については政府として全力で取り組む、これはもう当然のことでありますが、この運用停止というのはどういう状況を指すのかということにつきましては、今日までも沖縄県の関係者の皆様方と意思疎通を図りながら議論をしてきた課題であります。
 具体的に何がどうなるかということにつきましては、引き続き沖縄の関係者の皆様方としっかりと議論を行い、意思疎通を図っていきたいと考えています。
○藤田幸久君 今日の答弁から、前知事からの要請という言い方に答弁を変えたと思っています。今までは沖縄からの要請と言ってきたと思いますけど、今日の答弁は前知事からの要請となったので、恐らく言い換えがあったんだろうと思いますが、それを確認をしておきたいことと、それと、時間がないので一つ。
 昨年、オバマ大統領が来日をされたときに、尖閣問題に関して、この尖閣の施政権は安保条約の五条の対象になると言ったということで歓迎されたわけですが、もっと重要な点は、オバマ大統領は、領有権に立場を取らない、コミットをしないということをおっしゃったということがはるかに大きいと思うんですが。
 ということは、アメリカは領有権にはコミットしないということは、仮に日中が衝突をしても米軍は軍事的には参画をしないということの意思表明だったんだと思いますけれども、その認識でよろしいかどうか。それで、もし違うと言うならば、アメリカ側に対して、その見方は違うというような申入れなり働きかけを日本側からしたのかどうか、それだけお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、沖縄からの要請につきましては、従来から、五年以内の運用停止を含む仲井眞前知事からの要望について、あるいは四項目の要望についてという言い方で統一をしていたと思います。いずれにしましても、同じことを申し上げております。
 そして、後半の方の質問ですが、米国は累次の機会に、日米安保条約第五条は尖閣諸島にも適用されることや、安保条約の下での米国のコミットメント、これを確認しております。二〇一四年四月のオバマ大統領の訪日時にも、日米首脳間で、日本の施政下にある領土は日米安保条約第五条の適用対象であり、尖閣諸島もそれに含まれること、米国は尖閣諸島に対する施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対すること、これを確認しています。
 日本政府としては、米国が条約上の義務を果たすことに信頼を置いております。そして、米国政府は、尖閣諸島の最終的な領有権について特定の立場は取らないとしつつも、同盟関係にある日米の日頃からの緊密な意思疎通を通じて、尖閣諸島が我が国固有の領土であるという日本の立場自体は十分理解していると認識をしております。
 いずれにしましても、我が国固有の領土である尖閣諸島をめぐり、解決すべき領有権の問題はそもそも存在しておりません。このことは他の国の立場によっていささかも影響を受けるものではないと認識をしております。
○委員長(片山さつき君) 藤田幸久君、時間が来ております。
○藤田幸久君 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。