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参議院予算委員会における藤田幸久の質疑議事録2015年03月27日
活動報告
2015年3月27日
参議院予算委員会における藤田幸久の質疑議事録
○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
今日は戦後七十年に関して大変重要な質問をさせていただきますので、総理中心に簡潔にお答えをいただきたいと思います。
まず、一枚目の資料、パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)これは、戦後七十年における未払債務の調査、昨年、質問主意書、三回往復で得た資料でございます。
例えば、一番のこの郵便貯金・簡易生命保険機構の保管分ですが、約四十六億円、二番目の日本銀行保管分が約四百十七億円、財務省は多いので、件数でございますけれども、百八万件でございます。これは、日銀分以外は要するに国の国民に対する債務でございます。この三年間、それに対して払戻し請求が実際あったのは三年間で七十七件、二十万円だけでございまして、実質的にはほとんど請求がないわけでございます。したがいまして、塩漬け、休眠状態でございます。戦後七十年でございますので、政府としてこの実態を早急に調査をして、国民の理解を得られるような活用の仕方を是非講じていただきたいというふうに思っております。
やはり中心は財務省かと思いますし、この委員会は予算委員会でございますので、最も件数の多い財務省の方に、まず調査をしていただきたい、そしてその活用について御検討いただきたいということで、財務大臣から答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、終戦直後までに生じた未払となっております国の債務のうち財務省所管に係るもので、この軍事郵便貯金、これ総務省の所管ですし、いろいろ違うんですが、最後のところにあります外国債約六千万円。それと引揚者から寄託されました旧日本銀行券、これ国債百八万四千件、正確には百八万四千七百件ということになろうと思いますが。加えて、旧連合国軍の総司令部、GHQから引き渡された旧日本銀行券約八百万円相当。これは海外において邦人がGHQに接収された現金ということだろうと存じますが。旧臨時軍事費特別会計の閉鎖機関、いわゆる外資金庫及び、あのときは横浜正金は今の東京銀行か、正金からの借入金四百十四億二千万円等々がございます。
しかしながら、問題は、閉鎖機関から借りた国の債務の処理を進めるに当たりましては、これは閉鎖機関の有します他の債権債務の処理も必要ですが、旧外地に関するものも多く含まれておりますので処理が極めて難しくなっていること、また、それ以外につきましても債権者や所有者が不明ということでありますことなどから、本件については簡単に解決できる問題ではないということは御理解いただけると存じます。
いずれにいたしましても、財務省としては、例えば所有者が不明なまま寄託をされております旧日銀券や国債等につきまして、所有者が判明をすれば返還を行っていくなど、引き続きそれぞれの債務につきまして地道に対応していくほかはないと、そういうように考えております。
○藤田幸久君 今年の機会なんか逃しますと、実際に遺族の方でもいらっしゃれば申出があるわけで、そうでないとずっとこのまま休眠してしまうわけですから、是非政治的に対応していただきたいというふうに申し上げておきます。
次のパネルでございますが、元連合国側の捕虜の方について質問をいたします。
捕虜の問題というのは、これ実はポツダム宣言とかサンフランシスコ平和条約に極めて関係していることでございますので、その捕虜問題の位置付けについて岸田外務大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ポツダム宣言におきましては、その第十項におきまして、我ら、すなわち連合国でありますが、我らの俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を加えらるべし、すなわち連合国の捕虜を虐待した者を厳罰に処すべきと述べています。
また、サンフランシスコ平和条約におきましては、第十六条におきまして、日本の捕虜として不当な苦難を被った連合国軍隊の構成員に償いをするとの観点から、日本は中立国又は連合国と交戦していた国に存在する日本国及びその国民の資産等を赤十字国際委員会に引き渡す、そして赤十字国際委員会はこの資産を金銭化して、捕虜であった者及びその家族のために適当な国際機関に対して分配すること、これを規定しております。
また、日本はこの同条約の署名に併せて、ジュネーブ諸条約への加入について宣言を行った次第です。
○藤田幸久君 つまり、捕虜問題というのは、いわゆる単なる人道問題ということではなくて、日本外交の戦後義務付けられた対応をしなければいけない位置付けだということでございます。
ところが、例えばアメリカの元捕虜の方に関しましては、ほかの国の捕虜の方々は招聘をしておりましたが、実際始まったのは五年前でございます。これは、実は麻生政権、今財務大臣退席されましたが、の末期でございまして、議員連盟の谷川和穂先生とか玉澤徳一郎先生とかそういう方々が動いていただきまして、アメリカから捕虜の方、招聘がやっと始まったわけでございます。
近年はアメリカとオーストラリアの捕虜の方々が五年ほど来ておられますけれども、その招聘をされた最近の成果について、外務大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 政府はこれまで、米国から累計六十九名、そして豪州から百四名の元戦争捕虜及び関係者を日本に招聘してまいりました。私自身もお会いをさせていただいております。そして、米国の被招聘者からは、この事業を通じて日本に対する親近感や好感を持つことができたなど、本招聘を高く評価する感想が寄せられているところであり、対日理解の促進が着実に図られていると受け止めています。また、米国務省も本事業を高く評価しております。
また、豪州の被招聘者及び全豪退役軍人協会からも例年謝意表明がなされており、本計画は日豪間の相互理解及び友好関係の強化に貢献していると受け止めています。
○藤田幸久君 そこで、去年いらっしゃった方々も平均年齢九十三歳とか四歳ぐらいでございました。今年は戦後七十年でございますが、外務省が調べていただいたと思いますが、例えばアメリカの元捕虜の方で、日本に来る意思があって、そして物理的に旅ができる方は二十六名ぐらいと聞いております。であるならば、七名ぐらいこの五年間来ていらっしゃるわけですが、御高齢でもありますので、戦後七十年ということで、この二十六名ぐらいの方々を、是非今年、戦後七十年の象徴的な事業として招聘をしていただきたいと思いますが、去年も外務大臣が私の質問に対して、被招聘者の希望、健康状態、相手側の意向等を確かめて、この意義は強く感じるので前向きに検討したいということでございましたが、是非今年まとめて招聘をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 本事業は、元POW等の方々を我が国に招聘し、心の和解を促すことを通じて、日米間及び日豪間の相互理解及び友好関係の強化を図ることを目的とした重要な事業であると考えております。そして、外務省としましても、今年は戦後七十年という特別な年であります。こういった点を考慮しまして、今御審議をお願いしております平成二十七年度政府予算におきましても、昨年より二〇%増、三千七百二十一万二千円を計上させていただいております。
ただいま委員の方からも御指摘ありましたように、この被招聘者の方々、それぞれの健康状態もあります。健康状態によっては、この家族の方、そして付添いの方もお招きしなければなりません。そもそも御本人の希望もあります。その辺もしっかり確認しながら、この予算で、上乗せした予算を最大限活用して、できるだけ多くの方々にこの事業に参加していただけるよう努力をしていきたいと考えます。
○藤田幸久君 ところで、この写真まだこのまま掲げておりますのは、これは上の方はバターンというフィリピンの死の行進に参加をされたときの捕虜の方々であります。その下の写真は、その後日本の企業で使役をさせられた写真でございます。この捕虜の方々を監視した方がおります。捕虜の監視員でございます。
次のパネルをお願いしたいと思いますが、実は捕虜の監視をされた方々の中に旧台湾、朝鮮出身の方々がいられます。
その方々が後にいわゆるBC級戦犯という扱いを受けるわけですが、このパネルに説明が書いてありますけれども、要は日本軍の命令で捕虜監視員になったわけであります、朝鮮、台湾出身の方々は。戦後、いわゆる極東軍事裁判において、これは捕虜を虐待したという罪で、これは日本人としてBC級戦犯として認定をされ、百四十八名が有罪になり、二十三名が処刑をされたわけです。ところが、サンフランシスコ平和条約が発効すると、今度は日本国籍が剥奪をされたものですから、日本国籍じゃないので日本政府の援護の対象から排除されたと。
だから、先ほどのパネルにあったような、捕虜の方々に対して厳しい対応をしておったときのことで日本人として裁かれたけれども、途中から日本人でなくなってしまったので何の援助も得られていないと。これに関しては、パネルにも書いておりましたけれども、裁判所、アンダーラインの部分ですが、これは著しい不利益を受けていることは否定できないので、国政関与者らはこの問題の早期解決を図るため適切な立法措置を講じることが期待されると。
それから、福田康夫官房長官、当時でございますが、戦争ということはあったにしても、そのことによって大きな負担を与えたということについて、政府として十分考えていかなければいけないと答弁をされておられます。
実は昨年、岸田外務大臣も会っていただいたオーストラリアの捕虜の方がいらっしゃったときに、河村建夫先生が議連の会長をしております私どものグループで会合しておりましたところに、そのまさに元BC級戦犯の李鶴来さんが出席をして、このオーストラリアの捕虜の方々に自分は捕虜監視員として大変御迷惑をお掛けしたと直接謝罪をされたわけでございます。
今日、李鶴来さん、傍聴席に来ていらっしゃいますけれども、御高齢の方でございますけれども、私は、余りにも気の毒な方々でございますので、このBC級戦犯の皆様にも今年戦後七十年ということで政府としての支援をしていただきたいと思いますが、外務大臣、お願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対しまして多大な損害と苦痛を与えました。その認識において安倍内閣としても同じであり、これまで歴代内閣の立場、全体として引き継いでいく考えを表明してきておりますが、その痛切な反省の上に立って、自由で民主的で、基本的人権あるいは法の支配、こうした基本的な価値を尊ぶ国づくりを進め、戦後七十年間にわたり平和国家として歩んできました。
まず、御指摘の点でありますが、御指摘の件も含め、日韓間の請求権に係る問題につきましては、一九六五年のいわゆる日韓請求権協定により、完全かつ最終的に解決済みであります。
しかしながら、こうしたいわゆるBC級戦犯の方々につきましては、今日まで道義的見地から、一九五三年四月以降、日本人と同様の帰還手当が支給されたほか、一九五八年までの間に見舞金、生活資金の一時支給が行われ、また生業の確保、あるいは公営住宅への、住居について好意的な措置がとられたと承知をしています。こうした取組は重要であると認識をしております。
今回のこのBC級戦犯の方々につきましては、今日まで様々な御苦労されたこと、このことにつきましては私自身も大変心の痛む思いがいたします。是非、こうした思いを胸に、引き続き平和国家としての外交の歩みを進めてまいりたいと考えます。
○藤田幸久君 福田官房長官、それから裁判所の方でも指摘しているような、その五八年当時以降の具体的なことについて、是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
安倍総理、実はこの李鶴来さんのことについて私が最初に伺って支援をしてきたきっかけは末次一郎さんでございます。末次一郎さん、御承知のとおり、沖縄返還の立て役者の一人であり、それから北方領土問題の先頭に立ってきた方でございますが、そういった関係の中での非常に重要な問題でございますので、総理の方におかれましても、是非対応をお願いをしたいというふうに思います。
次のパネルをお願いしたいと思います。
安倍総理の訪米について質問をさせていただきます。
その安倍総理の訪米についていろいろ調べておりましたところ、この二年ぐらいの間に、安倍総理に対する外国首脳あるいはメディアからの反応が随分ございます。例えばワシントン・ポスト、戦前の帝国への郷愁は安倍首相が進める国内での改革や隣国との関係にも悪影響を与える。それから、EUの外相でありますところのアシュトンさんが、日本と近隣諸国との緊張緩和に建設的ではない。ニューヨーク・タイムズ、安倍政権は、軍事力拡張を進める中国に対抗するための防衛費増額などに踏み切った、日本の軍事的な立ち位置を強化することを望んできた。英国の国営BBC放送、安倍首相はナショナリストであり歴史修正主義者と見られている、今回の靖国神社参拝は中国を刺激して怒らせ国外の脅威を強調し、憲法改正などへの支持を確保するための政治的計算に基づく。
次のパネルに行きます。これは、去年、クリントン前国務長官の会見であります。日本の理解者として思うのは、国内の政治の目標を達成することも大切だが、他国から不要な反応を起こさずに国を正しい道に進ませるための戦略を持つことが日本の国益にかなう。これは靖国神社参拝を指すのかという質問に対して、そのとおりだと、私が日本の指導者なら、何が私が抱える最も重要なゴールなのかと自分に問うだろう、違う道にそれてはいけない。
それから、昨年の四月、東京でございます。安倍総理との共同記者会見でのオバマ大統領の、これはアメリカの記者だったと思いますが、尖閣諸島への米軍の軍事介入の可能性について、オバマ大統領は、私が安倍首相に直接述べたのは、この問題を日中間の対話と信頼醸成によるのではなく、エスカレートが続くことは根本的な間違い、プロファウンドミステークだということです。これは、何か同時通訳がちょっと、言い方があったので、一部変な表現になっていましたが、これはプロファウンドミステークであります。私は外交的な解決を支援するために全力を尽くしますとあります。
いろいろ調べたら、こういった外国、欧米の方々からの、首脳及びメディアからの記事が随分あるのでびっくりいたしましたが、こういうことに対して、安倍総理、どういうふうに感じられますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新たな政策に挑んでいく際には、常に批判が伴うものであります。そして、そうした批判の中には的外れなものもあるわけでございますが、同時に、誤解についてはしっかりと正していく必要もあるんだろうと、このように思っております。
また、オバマ大統領とのまさに会談において、米国の大統領として初めて、尖閣が安保条約の五条に適用されると、このように大統領から明言されたわけでございます。その中における質問を今紹介をされたわけでございますが、このエスカレートというのは、別にこれは日本に向けられたものではなくて、エスカレートというのはこれは相互反応なんだろうと、こう思うわけでございます。尖閣については、まさに日本の固有の領土、これは歴史的にも国際法的にも間違いのない事実でありますが、その経済水域、あるいはまた領海に公船が侵入をしてきて大変残念な事実でございますが、我々は、冷静に毅然と、しっかりと領土、領海、領空は守っていきたいと、こう考えているところでございます。
その中におきましても、昨年、習近平国家主席と首脳会談を行いました。その際、我々は、領海そして公海上の上空における連絡メカニズム、これは第一次政権のときに私から中国側に呼びかけ、残念ながら、その後、実行されてきていなかったのでございますが、その後、今回、中国側も対応するということがなされたわけでございます。
こういうことこそ、エスカレートさせないというまさに核心ではないかと思うわけでございまして、私はやるべきことはきっちりとやっているわけでございますし、おおむね首脳の皆さんには御理解をされているんだろうと、このように考えているところでございますが、いずれにいたしましても、今後、こうした誤解を解いていくためにも努力を重ねていきたいと、このように考えているところでございます。
○藤田幸久君 必要な以外のことは、答弁は時間の関係で控えていただきたいと思いますが。
この今のオバマ大統領のをお読みいただきたいと思いますが、主語は、私が安倍首相に直接述べたことはであります。習近平さんにというのは書いていない、私が安倍首相に述べたのはというのが主語であります。それから、いわゆる施政権のことではなくて、軍事介入というのは、領土紛争なりが起きたときに軍事介入はと聞いていますから、違うということを指摘しておきますので、今の総理の答弁というのは的が外れていると思っています。
それから、いずれにいたしましても、一国の首相、歴代の戦後の日本の首相に関して、これだけ他国の指導者が、あるいは他国の有力なメディアが、これだけ一人の首相に対して、これほんの一部ですけれども、言っておられるということは、これは事実として受け止めていただいてやはり対応していただきたいというふうに思っております。
そんな中で、安倍総理が今度ワシントンに行かれるわけですが、おじい様であられる岸総理の、大分前でございますけれども、訪米の状況について調べてみました。それが次の資料でございます。
これは一九五七年六月です。見てみますとびっくりするのは、まずワシントンで副大統領、国務長官、統合参謀本部議長が出迎え、そしてアイゼンハワー大統領とは食事を含めて三回お会いになった上、ゴルフも一緒にされておられる。それから、国務長官とは四回、五回ですか、会っておられて、そして副大統領の午さん会を挟んで、アメリカの議会で二回演説をされておられます。それから、更にびっくりしたのは、一番下のところでございますが、アメリカ本土内におけるサンフランシスコ、ニューヨーク等の移動は大統領専用機をお使いになっていると。
これは、これだけ歓迎をしていただいた訪問というのは、私は、やっぱり戦後、おじい様がいろんな関係でこういう訪米をしたということは大変意味あることだろうと思っておるわけでございますけれども、なぜそういうふうになったかということ。じゃ、次の写真を。
実は、その六月に岸総理がアメリカを訪問する前に、まずアジアを訪問しております。十五か国を訪問しておりますけれども、例えばインドのネルー首相とか当時の台湾の蒋介石総統、それから後半の、これは訪米の後でございますけれども、この間亡くなられたシンガポールのリー・クアンユー首相、インドネシアのスカルノ大統領、これは二十日間行っております。で、アメリカに、先ほど申しました日程の前に、やはりアジアに行っていたということが非常にポイントだろうと思います。
では、次のパネルを御覧いただきたいと思います。
これは、岸総理自身の回想録と回顧録に出ている言葉でございます。私は総理としてアメリカへ行くことを考えていた。それには東南アジアを先に回って、アメリカと交渉する場合に、孤立した日本ということでなしに、アジアを代表する日本にならなければいけないという考え方で行ったわけであります。戦時中いろいろと御迷惑を掛けたり被害を与えたりしたことに対し遺憾の意を表するとともに、首脳者と親しく語り合って云々、これらを踏まえて米国との話合いに臨むことが、より実りのあるものにすると信じていたと。アジアの中心は日本であることを浮き彫りにさせることが、アイク、これはアイゼンハワー大統領のことでございますけれども、に会って日米関係を対等なものに改めようと交渉する私の立場を強化することになるということでございます。
つまり、アジアとの、戦後初めてこれらの国々を回って信頼を得て、いろんなところで謝罪をされ、そして賠償問題等も解決をし、そしてその上でアメリカに乗り込んだということが、これだけアメリカの方がこれだけの遇をしていただいたということになるわけですけれども、今回の安倍さんの訪米はちょっと逆のような気もいたしますけれども、とにかくおじい様がこういうふうに、アジアを回ってアジアの信頼を得て、アメリカに行ってこれだけの訪問をされたということについてはどういうふうにお感じになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 祖父の業績について御紹介をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
その上で申し上げますと、先ほど、マスコミあるいは外国の指導者の一部の発言を取り上げていただいたわけでございますが、同時に、それ以上に私の仕事に対する賛同、支持、称賛も多くあることもございますので、そうしたものも、もし時間があれば御紹介いただければ有り難いなと、こんなように思うところでございます。
その上で申し上げますと、祖父はまさに訪米に際して、当時はまだ賠償が残っておりまして、この賠償を決着をする、これが最大の課題であったんだろうと、このように思います。訪米前、訪米後合わせて多くの国々を訪問したわけでございまして、まさに、こうした地球全体を俯瞰しながら、地球儀を俯瞰しながら外交を進めていく、この手法を私も取っているわけでございます。
これは藤田議員も御承知のとおり、一昨年、私はASEANの全ての国を訪問し、そして、一昨年の暮れに日・ASEANの首脳会議を開いたわけでございます。国内のクーデター等の情勢により、残念ながらインラック、タイの首相は御本人が来ることができませんでしたが、他の全ての国々の首脳は日本に一堂に会したわけでございます。
つまり、こうしたことをしっかりと進めていく中におきまして、日本は多くの国々から期待を集めているんだろうと、このように思いますし、また昨年、シャングリラ会合におきまして、法の尊重、海の法の尊重、法の支配の重要性を訴える三原則、私の三原則を打ち出しまして、多くの国々から賛同を得たところでございます。
日本の考え方を世界の国々とともに共有していく、それこそまさにソフトパワーなんだろうと、こう思う次第でございますが、この度の訪米につきましては、まさに日米同盟の重要性を共有し、そしてアジア太平洋地域の平和と繁栄のために日米同盟が主導する、そのことを発信する、メッセージとして発信する訪米にしていきたいと、こう考えているところでございます。
○藤田幸久君 その際に、東南アジアとは別の重要な地域が韓国そして中国だろうと思っております。
韓国に関しましては慰安婦問題が大きな問題になっているわけでございますけれども、この慰安婦問題に関する今までの歴代の総理の取組を調べてみました。
たくさんありますけれども、まず一つ重要なことは、宮澤大臣が韓国の国会において演説をしております。歴史上の一時期に、我が国が加害者であり、貴国がその被害者だったという事実であります。私は、この間、朝鮮半島の方々が我が国の行為により耐え難い苦しみと悲しみを体験されたことによって、ここに改めて、心からの反省の意とおわびの気持ちを表明いたします。最近、いわゆる従軍慰安婦の問題が取り上げられておりますが、このようなことは実に心の痛むことであり、誠に申し訳なく思っております。
次は、これは四人の総理が元慰安婦の方々に対して、いわゆる見舞金をアジア女性基金にお渡しをしたときの総理の手紙、同じ文章でございます。いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は、内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたり癒やし難い傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。
幾つかある中、小渕総理等とございますけれども、この二つ紹介いたしましたが、この考え方と安倍総理の考え方に違いはあるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 慰安婦問題については、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む思いでございます。この点については、まさに歴代の総理と変わりがないということでございます。
そして、これまでの歴史の中では、多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてきたわけでございます。二十一世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていかなければならないと、こう考えているところでございます。
○藤田幸久君 それで、三つ目の引用でございますが、これは一九九五年の衆議院の決議でございます。また、世界の近代史における数々の植民地支配や侵略行為に思いを致し、我が国が過去に行ったこうした行為や他国民、特にアジア諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する。
これ、当時、衆議院議員安倍晋三議員は欠席をしたと聞いておりますが、理由をお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) たしかあの決議は、新進党は全員欠席ではなかったかと、このように記憶をしております。
同時にまた、決議であるにもかかわらず、当時、自民党においては国会決議をする際には平場で議論を重ねるわけでございますが、残念ながらそれが、我々が要求したにもかかわらず、その議論が重ねられなかったという問題があり、私はその抗議の意味で欠席をしたところでございます。
○藤田幸久君 では、手続問題は別にして、この今読み上げた文面の内容については、これは賛成ですか、反対ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府としては、今般までの、今日までの国会決議、累次の様々な決議が行われておりますが、政府として国会決議を尊重するのは当然のことであろうと、こう思っております。
○藤田幸久君 そうした中で、去年からいわゆる朝日新聞の記事について問題が出ております。これに関して、昨年、日韓・韓日議連総会、ソウルで開かれましたけれども、そのときに自民党の額賀会長ほか我々一緒に参りましたが、そのときに伊吹衆議院議長の祝辞が配られておりました。
その内容は、先般、我が国の報道機関が、いわゆる従軍慰安婦問題について、強制性の有無等に関する従来の報道の一部に裏付けのない、また誤解に基づく報道があったことを認め、過去の報道を修正、撤回しました、しかし、強制性の有無にかかわらず従軍慰安婦の問題は、戦争という究極の暴力と極限の心理状態の中で、女性の尊厳が毀損され、人権が傷つけられた問題として、ヒューマンな心情で両国政府が解決の道筋を付けるべき事案であることに変わりはありませんという衆議院議長の言葉ですが、この内容について安倍総理はどうお考えになるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の考えを申し上げます。
それは、慰安婦問題については、筆舌に尽くし難い、つらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは歴代総理と変わりがないわけでございますし、恐らく伊吹議長もそういう観点から述べられたのではないかと思います。
そして同時に、これまでの歴史の中では多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてまいりました。そのこともまた事実であり、二十一世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていく考えであり、そのことも国連等の場を通じて世界に発信をしているところでございます。
○藤田幸久君 ということであるならば、朴槿恵大統領が度々おっしゃっておられて、総理にも伝わっておられると思いますけれども、現在、五十四名の元慰安婦の方々が韓国にいらっしゃると。その方々の名誉回復、それからその方々が納得できる解決方法、これが日韓の首脳会談にとって重要であり、一番大きな問題として言われておりますけれども、いろいろ、この間も日中韓の外相会議等が行われましたし、いろんな方が韓国に行かれたり、あるいは韓国の方が日本に来て、総理もお会いになっておられますが、この中身について、つまりこの二つの点ですね、名誉回復と納得できる解決方法、これについてどういう努力をされておられるのか。
それから、そもそも、やはり安倍総理自身の決断がなければ、幾ら自民党の方々あるいはいろんな方々が動いても、経済界の方々が動いても進まない話だろうと思いますけれども、これを解決する意思、意欲がおありになるのか、どういう形で解決をしようと思っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、日韓の関係というのは大切な関係であると思います。韓国は重要な隣国であります。
そして、その上について申し上げれば、隣国であるがゆえに様々な課題や問題も抱えているわけでございます。恐らく、世界の多くの国々は隣国との関係において様々な課題が、また歴史があるんだろうと思います。であるからこそ、首脳は前提条件を付けずに胸襟を開いて語り合うべきだろうと、こう思っているわけでございます。まさに、対話の中からこそ真の友好関係は生まれてくるであろうと、対話の中から両国の様々な課題に対する理解が深まり、共通の理解も深まり、そして解決に向かって進んでいくことができるのではないかと、こう考えている次第であります。
昨年、これはマルチの会議の晩さん会の場ではございましたが、朴槿恵大統領とは、その晩さん会を通じて、割と長い時間、かなり率直な意見交換をすることもできました。今後ともこうした努力を続けていきたいと、こう思っております。
○藤田幸久君 隣同士の国が難しいというのは、そのとおりであります。他方、それがゆえに隣同士の国々の首脳は結構会っています。最近でも、いろいろな対立する国々同士の首脳が会った。ウクライナの首脳とロシアあるいはヨーロッパの首脳も結構早めに去年も会っております。
ただ、残念ながら、安倍総理と朴槿恵大統領に関して言えば、オープン、オープンと言いながら先方の方から断られているという実態があるわけですね。ということは、やはりそれは内容を詰めて、安倍総理の方からも、やはり本当に重要だということであるならば、動きをしなければ実際に会談が実現をしない、正式な形でですね。ということは、それはやはり政治的に決断をしていただく時期だろうと思うんですけれども、そうしたお考えはなく、とにかくオープンだと言っていれば、どこかの段階で会えるというふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 問題というのは、会って話をしなければ解決をしないわけであります。私は、これは韓国とということではございませんが、会う会わないということ自体を交渉のカードに私は使うべきではないと。これは基本的な私の交渉姿勢であります。つまり、会う会わないということを交渉の言わば材料として使うということになりますと、つまり、会う前の段階からこれは会いたいと思う方は言わば譲歩を重ねなければならないということになるわけでございまして、基本的には、まず会って話をしながら問題を解決をしていくべきなんだろうと思うわけでございまして、これが基本的な考えでございます。
日本は、これはもう世界に向けても申し上げているところでございますが、常に交渉のドアを開けているわけでございまして、韓国側にも話合いをするという機運が盛り上がってくることを期待したいと、こう思っているところでございます。
○藤田幸久君 先ほど、岸元総理、私は今日、岸元総理の礼賛のために来たわけじゃありませんが、例えば日米安保条約に関しましても、当時の例えば石橋政嗣議員とかの意見を取り上げて、いわゆる片務的な条約の改定になりそうな日米関係についても、かなり双務的な内容に変えていったと。それから、いわゆる事前協議制とかいろいろなことについて実は修正をしながら会っていって、日米関係、アイゼンハワー、それからダレス国務長官とも三回、四回会っているわけですが、そういうふうに、これは譲歩ということじゃないと思うんですね。
やはり、結果的に、会って、そしていい成果を上げるということは私は決して譲歩じゃないというふうに思っておりまして、余りにも、先ほどいろんな記事を紹介いたしましたけれども、この二年間、いろいろな国に行かれた割には、実際に一番近い国々との関係が非常に進んでいないということが非常に明らかだろうと思っております。
そんな中で、次のパネルを見ていただきたいと思います。
このサンフランシスコ平和条約というのが一九五一年にございましたけれども、これに参加をしていない国・地域がございます。近隣諸国でございます。この資料を御覧いただきたいと思いますけれども、中国も参加しておりません。それから、当時は中華民国でございましたけれども、日本は国交ありましたけれども、当時はサンフランシスコ講話条約には参加をしていない。それから、韓国、北朝鮮、これも二つに分かれておりましたが、韓国も北朝鮮も参加をしていない。それから、当時はソ連だったんでしょうか、ソ連はこれは拒否をして参加をしなかった。
ということは、日本が一番戦争中にある意味では御迷惑をお掛けした、ロシアは逆かもしれませんけれども、そういう一番、ある意味では戦後、関係を修復すべき国がサンフランシスコ講和条約に参加をしていなかったと。その後、中国とは一九七二年に国交、それから韓国とは六五年に国交を回復しました。北朝鮮とはいまだに国交がありませんし、ロシアとは国交はあるけれども平和条約がないと。
それで、こういう国々との関係、右側を総理、御覧いただきたいと思いますが、結局、習近平主席とは短時間、習近平主席の顔の表情は別にして、お会いになった。それから、朴大統領とはいわゆる直接なバイの会談は実現をしていないと。それから、北朝鮮は、これは拉致調査の進展がない、したがって国交正常化の見通しも立っていない。それから、プーチン大統領、これはウクライナ問題もあったんだろうと思いますけれども、来日が延期をしていると。先ほどの岸総理の訪問も、台湾を除くとこれらの国には訪問していません。
ですから、日本にとって戦後一番重要な国との実は関係がそもそも遅れているわけです。そして、そもそも遅れているこういう国々との関係が、安倍総理になりましてから、先ほど、いろいろな報道、それからオバマ大統領、クリントン前国務長官等の言動も紹介いたしましたけれども、結局、一番日本が、そもそも七十年の間において一番対応すべき国とが遅れて、そしてその遅れている国々との関係が一番悪くなっているという状況についてどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど藤田委員が、石橋当時の社会党の議員から言われて双務性を持たせたという認識は、それは誤りでありまして、まさに安保条約の改定そのものが双務性を持たせるものでありまして、それを目的に改正をしたものである。そして、日本に対する防衛義務を、言わば五条でありますが、しっかりと入れていくということと、そして地位協定を変えていく、これはまさに、そのためにこれは安保条約を改正したのであり、これは石橋さんに言われたからそれを修正したということではないということは申し上げておきたいと、こう思うところでございます。
その上で申し上げますと、これはこの五か国、五か国というか、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、そして日本の友人である台湾との関係についておっしゃっているんだろうと、こう思うわけでございますが、中国あるいは韓国におきましては、まさに日本にとって重要なそれぞれの国でありまして、関係を改善すべく努力を進めているところでございます。
また、海上連絡メカニズムにおきましては、第一次安倍政権のときに申し出て、その後、民主党政権の三代の総理大臣のときにもそれは実現されていないわけでございますが、今回それが実現される運びとなったということは申し上げておきたいと、こう思うわけでございます。
また、現在、北朝鮮につきましては、拉致問題についてしっかりと調査するよう先方に促しているわけでございます。
ここで、私の考えを申し上げておけば、ただ単にこちらの国益を全部削っていけば、言わば友好という状況というのをつくるのは、それはたやすいことであります。これはまさに本末転倒であって、友好な状況は国益をしっかりと確保するためであります。そのためにしっかりと外交交渉を行っていくのは当然のことであろうと、こう思うわけであります。ただただ単に相手の言いなりに従っていけばいいのかといえば、そんなことはないわけでありまして、その中で我々も努力を続けているわけでございます。
また、ロシアとの関係におきましても、プーチン大統領とは十回以上にわたり首脳会談を行い、信頼関係を構築することができたわけでございますが、その中におきまして、ウクライナの問題が発生する中におきまして、当然、日本もG7の国として、国際社会における責任ある国として、力による現状変更というのは決して許されないということを申し上げているわけでございます。その中で、残念ながら平和条約交渉が進んでいない、これは本当に私も残念なことであろうと、こうは思っているわけでございますが、平和条約が結ばれていないのは異常な状況であるということについては、プーチン大統領と認識を一つにすることができたわけでございます。
こうした国々におきましても、もちろん課題として残っているわけでございますから、日本としても様々な努力を進めていくのは当然なことであろうと、こう思う次第でございます。
しかし、例えば北朝鮮につきましては、そもそも拉致問題が解決をしない限り、また核の問題、そしてミサイルの問題等々があるわけでございますから、そうした問題をただしていくのは当然のことであろうと。その前に国交正常化をするということは、もちろん当然考えられないわけでございます。そうした問題をしっかりと解決をしていくというのが安倍政権の基本的な方針であるということは申し上げておきたいと思います。
また、台湾につきましては、さきの東日本大震災の際には多大な支援をしていただきました。このことを私たちは決して忘れてはならないと、こう思う次第でございます。その中におきまして、我々の政権になりましてから、あの三月十一日における式典の際には礼をもって対応しているところでございます。
○藤田幸久君 いろいろおっしゃいましたけれども、岸総理と比較だけするわけじゃございませんが、あれだけアジアから信頼を受けて、大歓迎を受けて、そしてその立場、ある意味ではアメリカに対して非常に物が言いやすい立場になって、そしてあれだけ歓迎をされた。安倍総理におかれましては、この二年間を振り返りましても、オバマ大統領とアメリカで一回お会いになって、そして昼食もあったようですけれども、共同記者会見もなかった。
この二年間調べてみますと、イギリスのキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、みんな共同記者会見、それから習近平主席は八時間ですか、一緒にお話をされてと。明らかにこの二年間、少なくともオバマ大統領が去年の共同記者会見で先ほど申し上げたようなことまでおっしゃっている。そして、これだけ莫大な、欧米のメディアを中心として一国の総理に対してこれだけ言っておられると。
ということは、今回アメリカに行かれるに当たって、結局、アジアの代表として、アジアの信頼を受けて、特に近隣諸国、それでアメリカに行かれるという形じゃないわけでございまして、そのことをやはり、まずアジアから信頼をされた上でのアメリカ訪問ということが本当に重要だろうということであろうと思いますが、まるで逆の構造ではないかと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この際、私が訪問する際、これは公賓として、準国賓として招待を受けるわけでございます。私は元首ではないわけでございますから国賓にはならないわけでありますが、事実上の国賓待遇を受けて招待をされているわけでございますし、また、日本の総理大臣としては初めて上下両院の議員の前で演説を行うことになるわけでございます。これは、日米同盟関係の中でも今まで日本の総理は行ったことのないわけでございます。これは私にとっても大変光栄なことだと、こう思っております。
また、多くの今上院議員、下院議員が日本を訪問しております。これは、申し訳ないんですが、民主党政権の何倍の数も訪問していただき、私は一々お目にかかってお話をさせていただいているところでございます。藤田議員はもう一部を選んで紹介をしていただいておりますが、多くの議員は日米関係が強化されている。先般もデンプシー統参議長が来日をした際お目にかかったわけでございますが、日米同盟はまさに今大変大きな成果を上げていると、こう言っていただいているわけでございます。
しかし、これは米国から何かを言ってもらうというよりも、まさに日米同盟のきずなを確かなものとし、日本の平和や安定、地域の平和と安定に資するものとしていく、貢献をしていくということが大切なことであろうと、こう思う次第でございます。
我々は、そういう観点の下に、今まで上げている実績を更に積み重ねていきたいと、こう思っている次第でございます。
○藤田幸久君 時間がないので、沖縄の問題に移りたいと思っております。
先ほど来、安倍総理は、とにかく難しい問題があるところに関してはドアをオープンにしてというおっしゃり方をしておりますけれども、であるならば、沖縄の民意が変わり、かつ知事だけではなくて衆議院選挙も含めまして民意がはっきりしたと。ある意味では政権が替わったわけであります。
ということであるならば、難しい問題が起きた新しい体制の国のトップとは、条件を付けずにドアを開けてまずお会いになったらいかがですか、安倍総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 沖縄との関係におきましては、残念ながら、これは鳩山総理が最低でも県外、総理大臣としてそうお約束をされて、それを百八十度変えられた。このことにおいて、言わば政府と地元沖縄との関係がこれ大変悪化をしてしまったわけでございます。言わば、失われた政府の信頼を取り戻す今努力を積み重ねているところでございます。
先般、知事が東京に来られた際には、総選挙、そしてまた組閣などもあり、私自身はこれまで翁長沖縄県知事とお会いする機会はなかったわけでありますが、官邸あるいは政府としてはしっかりと対応してきているところでございます。
今後とも、政府全体で連携して、様々なレベルで地元との対話を行いながら、我が国の安全保障や沖縄の負担軽減の全体像についてお話をする中で、普天間の移設について御理解を得る努力を行っていきたいと考えています。国と地元とが様々な取組について連携を深めていく中で私と知事との対話の機会も設けられていくものと、こう考えているところでございます。
○藤田幸久君 官房長官にちょっとお伺いしたいと思います。
私の茨城の政治家の先輩で梶山静六先生いらっしゃいます。官房長官も大変親しかったというふうに伺っておりますけれども、梶山元官房長官、こういうふうにおっしゃっておられます。自分の案としては、沖合に埋立ての島を造り、その手前に浮体施設を置く。サンゴ礁を守り、島にはマングローブを植えると。
今、逆のことが起こっております。政府と防衛省、あるいは沖縄の立場はちょっと見解が分かれているようでございますが、これ、実際にサンゴ礁が破壊されている現場であります。梶山先生は、そういうわけで、とにかくサンゴ礁を守るということをおっしゃっていたということが非常に重要なんだと思っています。
それからもう一つ、梶山静六先生はこんなことをおっしゃっておられる。住民の目線の高さで基地を見るということが重要だろうと。だから、住民が見る場所から米軍基地を見て回ったと、基地の中に入らずに。例えば、金武町の米軍ブルー・ビーチ訓練場に行くときも、住民と同じように金網伝いに足場の悪い道を歩いてフェンスの向こう側の訓練場を見てきたと。ほかも見て歩いたそうです、外から。恐らく米軍は、梶山官房長官がこうして基地を視察していたことなどは知らなかっただろうということがあります。
私は、したがって、まず会っていただく。しかも、翁長知事は七回上京されて、知事に加えて議長、それからほとんどの沖縄の全市町村長も同行されている。いろいろ知事、全国にいらっしゃるけれども、議長、全市町村長を伴って来られるということは非常に少ない。それでも官房長官はお会いにならない、あるいは総理もお会いになっていないと。
まずはお会いになっていただくということが重要であり、かつ、いろいろ今毎日、政府と沖縄の間でございますけれども、官房長官御自身がいわゆる国民の目線で基地を視察をされるというようなことぐらい汗をかくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 私は、官房長官に就任する前も、何回となく沖縄を訪問して、現場をまさに国民目線の中でかつて視察をいたしております。
そして、翁長知事とは、この予算に一定の見通しが付いた時点でお会いをさせていただきたいというふうに思っています。
それと、今日まで、知事が上京した際に、安倍政権の中で沖縄担当大臣、山口国務大臣でありますけれども、山口国務大臣は複数回お会いをいたしておりますし、そして官邸の中でも官房副長官、沖縄問題の連絡責任者であります杉田副長官がお会いしているということも申し上げたいというふうに思います。
○藤田幸久君 終わります。
是非、七十年問題、政府を挙げて取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。
今日は戦後七十年に関して大変重要な質問をさせていただきますので、総理中心に簡潔にお答えをいただきたいと思います。
まず、一枚目の資料、パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)これは、戦後七十年における未払債務の調査、昨年、質問主意書、三回往復で得た資料でございます。
例えば、一番のこの郵便貯金・簡易生命保険機構の保管分ですが、約四十六億円、二番目の日本銀行保管分が約四百十七億円、財務省は多いので、件数でございますけれども、百八万件でございます。これは、日銀分以外は要するに国の国民に対する債務でございます。この三年間、それに対して払戻し請求が実際あったのは三年間で七十七件、二十万円だけでございまして、実質的にはほとんど請求がないわけでございます。したがいまして、塩漬け、休眠状態でございます。戦後七十年でございますので、政府としてこの実態を早急に調査をして、国民の理解を得られるような活用の仕方を是非講じていただきたいというふうに思っております。
やはり中心は財務省かと思いますし、この委員会は予算委員会でございますので、最も件数の多い財務省の方に、まず調査をしていただきたい、そしてその活用について御検討いただきたいということで、財務大臣から答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、終戦直後までに生じた未払となっております国の債務のうち財務省所管に係るもので、この軍事郵便貯金、これ総務省の所管ですし、いろいろ違うんですが、最後のところにあります外国債約六千万円。それと引揚者から寄託されました旧日本銀行券、これ国債百八万四千件、正確には百八万四千七百件ということになろうと思いますが。加えて、旧連合国軍の総司令部、GHQから引き渡された旧日本銀行券約八百万円相当。これは海外において邦人がGHQに接収された現金ということだろうと存じますが。旧臨時軍事費特別会計の閉鎖機関、いわゆる外資金庫及び、あのときは横浜正金は今の東京銀行か、正金からの借入金四百十四億二千万円等々がございます。
しかしながら、問題は、閉鎖機関から借りた国の債務の処理を進めるに当たりましては、これは閉鎖機関の有します他の債権債務の処理も必要ですが、旧外地に関するものも多く含まれておりますので処理が極めて難しくなっていること、また、それ以外につきましても債権者や所有者が不明ということでありますことなどから、本件については簡単に解決できる問題ではないということは御理解いただけると存じます。
いずれにいたしましても、財務省としては、例えば所有者が不明なまま寄託をされております旧日銀券や国債等につきまして、所有者が判明をすれば返還を行っていくなど、引き続きそれぞれの債務につきまして地道に対応していくほかはないと、そういうように考えております。
○藤田幸久君 今年の機会なんか逃しますと、実際に遺族の方でもいらっしゃれば申出があるわけで、そうでないとずっとこのまま休眠してしまうわけですから、是非政治的に対応していただきたいというふうに申し上げておきます。
次のパネルでございますが、元連合国側の捕虜の方について質問をいたします。
捕虜の問題というのは、これ実はポツダム宣言とかサンフランシスコ平和条約に極めて関係していることでございますので、その捕虜問題の位置付けについて岸田外務大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ポツダム宣言におきましては、その第十項におきまして、我ら、すなわち連合国でありますが、我らの俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を加えらるべし、すなわち連合国の捕虜を虐待した者を厳罰に処すべきと述べています。
また、サンフランシスコ平和条約におきましては、第十六条におきまして、日本の捕虜として不当な苦難を被った連合国軍隊の構成員に償いをするとの観点から、日本は中立国又は連合国と交戦していた国に存在する日本国及びその国民の資産等を赤十字国際委員会に引き渡す、そして赤十字国際委員会はこの資産を金銭化して、捕虜であった者及びその家族のために適当な国際機関に対して分配すること、これを規定しております。
また、日本はこの同条約の署名に併せて、ジュネーブ諸条約への加入について宣言を行った次第です。
○藤田幸久君 つまり、捕虜問題というのは、いわゆる単なる人道問題ということではなくて、日本外交の戦後義務付けられた対応をしなければいけない位置付けだということでございます。
ところが、例えばアメリカの元捕虜の方に関しましては、ほかの国の捕虜の方々は招聘をしておりましたが、実際始まったのは五年前でございます。これは、実は麻生政権、今財務大臣退席されましたが、の末期でございまして、議員連盟の谷川和穂先生とか玉澤徳一郎先生とかそういう方々が動いていただきまして、アメリカから捕虜の方、招聘がやっと始まったわけでございます。
近年はアメリカとオーストラリアの捕虜の方々が五年ほど来ておられますけれども、その招聘をされた最近の成果について、外務大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 政府はこれまで、米国から累計六十九名、そして豪州から百四名の元戦争捕虜及び関係者を日本に招聘してまいりました。私自身もお会いをさせていただいております。そして、米国の被招聘者からは、この事業を通じて日本に対する親近感や好感を持つことができたなど、本招聘を高く評価する感想が寄せられているところであり、対日理解の促進が着実に図られていると受け止めています。また、米国務省も本事業を高く評価しております。
また、豪州の被招聘者及び全豪退役軍人協会からも例年謝意表明がなされており、本計画は日豪間の相互理解及び友好関係の強化に貢献していると受け止めています。
○藤田幸久君 そこで、去年いらっしゃった方々も平均年齢九十三歳とか四歳ぐらいでございました。今年は戦後七十年でございますが、外務省が調べていただいたと思いますが、例えばアメリカの元捕虜の方で、日本に来る意思があって、そして物理的に旅ができる方は二十六名ぐらいと聞いております。であるならば、七名ぐらいこの五年間来ていらっしゃるわけですが、御高齢でもありますので、戦後七十年ということで、この二十六名ぐらいの方々を、是非今年、戦後七十年の象徴的な事業として招聘をしていただきたいと思いますが、去年も外務大臣が私の質問に対して、被招聘者の希望、健康状態、相手側の意向等を確かめて、この意義は強く感じるので前向きに検討したいということでございましたが、是非今年まとめて招聘をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 本事業は、元POW等の方々を我が国に招聘し、心の和解を促すことを通じて、日米間及び日豪間の相互理解及び友好関係の強化を図ることを目的とした重要な事業であると考えております。そして、外務省としましても、今年は戦後七十年という特別な年であります。こういった点を考慮しまして、今御審議をお願いしております平成二十七年度政府予算におきましても、昨年より二〇%増、三千七百二十一万二千円を計上させていただいております。
ただいま委員の方からも御指摘ありましたように、この被招聘者の方々、それぞれの健康状態もあります。健康状態によっては、この家族の方、そして付添いの方もお招きしなければなりません。そもそも御本人の希望もあります。その辺もしっかり確認しながら、この予算で、上乗せした予算を最大限活用して、できるだけ多くの方々にこの事業に参加していただけるよう努力をしていきたいと考えます。
○藤田幸久君 ところで、この写真まだこのまま掲げておりますのは、これは上の方はバターンというフィリピンの死の行進に参加をされたときの捕虜の方々であります。その下の写真は、その後日本の企業で使役をさせられた写真でございます。この捕虜の方々を監視した方がおります。捕虜の監視員でございます。
次のパネルをお願いしたいと思いますが、実は捕虜の監視をされた方々の中に旧台湾、朝鮮出身の方々がいられます。
その方々が後にいわゆるBC級戦犯という扱いを受けるわけですが、このパネルに説明が書いてありますけれども、要は日本軍の命令で捕虜監視員になったわけであります、朝鮮、台湾出身の方々は。戦後、いわゆる極東軍事裁判において、これは捕虜を虐待したという罪で、これは日本人としてBC級戦犯として認定をされ、百四十八名が有罪になり、二十三名が処刑をされたわけです。ところが、サンフランシスコ平和条約が発効すると、今度は日本国籍が剥奪をされたものですから、日本国籍じゃないので日本政府の援護の対象から排除されたと。
だから、先ほどのパネルにあったような、捕虜の方々に対して厳しい対応をしておったときのことで日本人として裁かれたけれども、途中から日本人でなくなってしまったので何の援助も得られていないと。これに関しては、パネルにも書いておりましたけれども、裁判所、アンダーラインの部分ですが、これは著しい不利益を受けていることは否定できないので、国政関与者らはこの問題の早期解決を図るため適切な立法措置を講じることが期待されると。
それから、福田康夫官房長官、当時でございますが、戦争ということはあったにしても、そのことによって大きな負担を与えたということについて、政府として十分考えていかなければいけないと答弁をされておられます。
実は昨年、岸田外務大臣も会っていただいたオーストラリアの捕虜の方がいらっしゃったときに、河村建夫先生が議連の会長をしております私どものグループで会合しておりましたところに、そのまさに元BC級戦犯の李鶴来さんが出席をして、このオーストラリアの捕虜の方々に自分は捕虜監視員として大変御迷惑をお掛けしたと直接謝罪をされたわけでございます。
今日、李鶴来さん、傍聴席に来ていらっしゃいますけれども、御高齢の方でございますけれども、私は、余りにも気の毒な方々でございますので、このBC級戦犯の皆様にも今年戦後七十年ということで政府としての支援をしていただきたいと思いますが、外務大臣、お願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対しまして多大な損害と苦痛を与えました。その認識において安倍内閣としても同じであり、これまで歴代内閣の立場、全体として引き継いでいく考えを表明してきておりますが、その痛切な反省の上に立って、自由で民主的で、基本的人権あるいは法の支配、こうした基本的な価値を尊ぶ国づくりを進め、戦後七十年間にわたり平和国家として歩んできました。
まず、御指摘の点でありますが、御指摘の件も含め、日韓間の請求権に係る問題につきましては、一九六五年のいわゆる日韓請求権協定により、完全かつ最終的に解決済みであります。
しかしながら、こうしたいわゆるBC級戦犯の方々につきましては、今日まで道義的見地から、一九五三年四月以降、日本人と同様の帰還手当が支給されたほか、一九五八年までの間に見舞金、生活資金の一時支給が行われ、また生業の確保、あるいは公営住宅への、住居について好意的な措置がとられたと承知をしています。こうした取組は重要であると認識をしております。
今回のこのBC級戦犯の方々につきましては、今日まで様々な御苦労されたこと、このことにつきましては私自身も大変心の痛む思いがいたします。是非、こうした思いを胸に、引き続き平和国家としての外交の歩みを進めてまいりたいと考えます。
○藤田幸久君 福田官房長官、それから裁判所の方でも指摘しているような、その五八年当時以降の具体的なことについて、是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
安倍総理、実はこの李鶴来さんのことについて私が最初に伺って支援をしてきたきっかけは末次一郎さんでございます。末次一郎さん、御承知のとおり、沖縄返還の立て役者の一人であり、それから北方領土問題の先頭に立ってきた方でございますが、そういった関係の中での非常に重要な問題でございますので、総理の方におかれましても、是非対応をお願いをしたいというふうに思います。
次のパネルをお願いしたいと思います。
安倍総理の訪米について質問をさせていただきます。
その安倍総理の訪米についていろいろ調べておりましたところ、この二年ぐらいの間に、安倍総理に対する外国首脳あるいはメディアからの反応が随分ございます。例えばワシントン・ポスト、戦前の帝国への郷愁は安倍首相が進める国内での改革や隣国との関係にも悪影響を与える。それから、EUの外相でありますところのアシュトンさんが、日本と近隣諸国との緊張緩和に建設的ではない。ニューヨーク・タイムズ、安倍政権は、軍事力拡張を進める中国に対抗するための防衛費増額などに踏み切った、日本の軍事的な立ち位置を強化することを望んできた。英国の国営BBC放送、安倍首相はナショナリストであり歴史修正主義者と見られている、今回の靖国神社参拝は中国を刺激して怒らせ国外の脅威を強調し、憲法改正などへの支持を確保するための政治的計算に基づく。
次のパネルに行きます。これは、去年、クリントン前国務長官の会見であります。日本の理解者として思うのは、国内の政治の目標を達成することも大切だが、他国から不要な反応を起こさずに国を正しい道に進ませるための戦略を持つことが日本の国益にかなう。これは靖国神社参拝を指すのかという質問に対して、そのとおりだと、私が日本の指導者なら、何が私が抱える最も重要なゴールなのかと自分に問うだろう、違う道にそれてはいけない。
それから、昨年の四月、東京でございます。安倍総理との共同記者会見でのオバマ大統領の、これはアメリカの記者だったと思いますが、尖閣諸島への米軍の軍事介入の可能性について、オバマ大統領は、私が安倍首相に直接述べたのは、この問題を日中間の対話と信頼醸成によるのではなく、エスカレートが続くことは根本的な間違い、プロファウンドミステークだということです。これは、何か同時通訳がちょっと、言い方があったので、一部変な表現になっていましたが、これはプロファウンドミステークであります。私は外交的な解決を支援するために全力を尽くしますとあります。
いろいろ調べたら、こういった外国、欧米の方々からの、首脳及びメディアからの記事が随分あるのでびっくりいたしましたが、こういうことに対して、安倍総理、どういうふうに感じられますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新たな政策に挑んでいく際には、常に批判が伴うものであります。そして、そうした批判の中には的外れなものもあるわけでございますが、同時に、誤解についてはしっかりと正していく必要もあるんだろうと、このように思っております。
また、オバマ大統領とのまさに会談において、米国の大統領として初めて、尖閣が安保条約の五条に適用されると、このように大統領から明言されたわけでございます。その中における質問を今紹介をされたわけでございますが、このエスカレートというのは、別にこれは日本に向けられたものではなくて、エスカレートというのはこれは相互反応なんだろうと、こう思うわけでございます。尖閣については、まさに日本の固有の領土、これは歴史的にも国際法的にも間違いのない事実でありますが、その経済水域、あるいはまた領海に公船が侵入をしてきて大変残念な事実でございますが、我々は、冷静に毅然と、しっかりと領土、領海、領空は守っていきたいと、こう考えているところでございます。
その中におきましても、昨年、習近平国家主席と首脳会談を行いました。その際、我々は、領海そして公海上の上空における連絡メカニズム、これは第一次政権のときに私から中国側に呼びかけ、残念ながら、その後、実行されてきていなかったのでございますが、その後、今回、中国側も対応するということがなされたわけでございます。
こういうことこそ、エスカレートさせないというまさに核心ではないかと思うわけでございまして、私はやるべきことはきっちりとやっているわけでございますし、おおむね首脳の皆さんには御理解をされているんだろうと、このように考えているところでございますが、いずれにいたしましても、今後、こうした誤解を解いていくためにも努力を重ねていきたいと、このように考えているところでございます。
○藤田幸久君 必要な以外のことは、答弁は時間の関係で控えていただきたいと思いますが。
この今のオバマ大統領のをお読みいただきたいと思いますが、主語は、私が安倍首相に直接述べたことはであります。習近平さんにというのは書いていない、私が安倍首相に述べたのはというのが主語であります。それから、いわゆる施政権のことではなくて、軍事介入というのは、領土紛争なりが起きたときに軍事介入はと聞いていますから、違うということを指摘しておきますので、今の総理の答弁というのは的が外れていると思っています。
それから、いずれにいたしましても、一国の首相、歴代の戦後の日本の首相に関して、これだけ他国の指導者が、あるいは他国の有力なメディアが、これだけ一人の首相に対して、これほんの一部ですけれども、言っておられるということは、これは事実として受け止めていただいてやはり対応していただきたいというふうに思っております。
そんな中で、安倍総理が今度ワシントンに行かれるわけですが、おじい様であられる岸総理の、大分前でございますけれども、訪米の状況について調べてみました。それが次の資料でございます。
これは一九五七年六月です。見てみますとびっくりするのは、まずワシントンで副大統領、国務長官、統合参謀本部議長が出迎え、そしてアイゼンハワー大統領とは食事を含めて三回お会いになった上、ゴルフも一緒にされておられる。それから、国務長官とは四回、五回ですか、会っておられて、そして副大統領の午さん会を挟んで、アメリカの議会で二回演説をされておられます。それから、更にびっくりしたのは、一番下のところでございますが、アメリカ本土内におけるサンフランシスコ、ニューヨーク等の移動は大統領専用機をお使いになっていると。
これは、これだけ歓迎をしていただいた訪問というのは、私は、やっぱり戦後、おじい様がいろんな関係でこういう訪米をしたということは大変意味あることだろうと思っておるわけでございますけれども、なぜそういうふうになったかということ。じゃ、次の写真を。
実は、その六月に岸総理がアメリカを訪問する前に、まずアジアを訪問しております。十五か国を訪問しておりますけれども、例えばインドのネルー首相とか当時の台湾の蒋介石総統、それから後半の、これは訪米の後でございますけれども、この間亡くなられたシンガポールのリー・クアンユー首相、インドネシアのスカルノ大統領、これは二十日間行っております。で、アメリカに、先ほど申しました日程の前に、やはりアジアに行っていたということが非常にポイントだろうと思います。
では、次のパネルを御覧いただきたいと思います。
これは、岸総理自身の回想録と回顧録に出ている言葉でございます。私は総理としてアメリカへ行くことを考えていた。それには東南アジアを先に回って、アメリカと交渉する場合に、孤立した日本ということでなしに、アジアを代表する日本にならなければいけないという考え方で行ったわけであります。戦時中いろいろと御迷惑を掛けたり被害を与えたりしたことに対し遺憾の意を表するとともに、首脳者と親しく語り合って云々、これらを踏まえて米国との話合いに臨むことが、より実りのあるものにすると信じていたと。アジアの中心は日本であることを浮き彫りにさせることが、アイク、これはアイゼンハワー大統領のことでございますけれども、に会って日米関係を対等なものに改めようと交渉する私の立場を強化することになるということでございます。
つまり、アジアとの、戦後初めてこれらの国々を回って信頼を得て、いろんなところで謝罪をされ、そして賠償問題等も解決をし、そしてその上でアメリカに乗り込んだということが、これだけアメリカの方がこれだけの遇をしていただいたということになるわけですけれども、今回の安倍さんの訪米はちょっと逆のような気もいたしますけれども、とにかくおじい様がこういうふうに、アジアを回ってアジアの信頼を得て、アメリカに行ってこれだけの訪問をされたということについてはどういうふうにお感じになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 祖父の業績について御紹介をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
その上で申し上げますと、先ほど、マスコミあるいは外国の指導者の一部の発言を取り上げていただいたわけでございますが、同時に、それ以上に私の仕事に対する賛同、支持、称賛も多くあることもございますので、そうしたものも、もし時間があれば御紹介いただければ有り難いなと、こんなように思うところでございます。
その上で申し上げますと、祖父はまさに訪米に際して、当時はまだ賠償が残っておりまして、この賠償を決着をする、これが最大の課題であったんだろうと、このように思います。訪米前、訪米後合わせて多くの国々を訪問したわけでございまして、まさに、こうした地球全体を俯瞰しながら、地球儀を俯瞰しながら外交を進めていく、この手法を私も取っているわけでございます。
これは藤田議員も御承知のとおり、一昨年、私はASEANの全ての国を訪問し、そして、一昨年の暮れに日・ASEANの首脳会議を開いたわけでございます。国内のクーデター等の情勢により、残念ながらインラック、タイの首相は御本人が来ることができませんでしたが、他の全ての国々の首脳は日本に一堂に会したわけでございます。
つまり、こうしたことをしっかりと進めていく中におきまして、日本は多くの国々から期待を集めているんだろうと、このように思いますし、また昨年、シャングリラ会合におきまして、法の尊重、海の法の尊重、法の支配の重要性を訴える三原則、私の三原則を打ち出しまして、多くの国々から賛同を得たところでございます。
日本の考え方を世界の国々とともに共有していく、それこそまさにソフトパワーなんだろうと、こう思う次第でございますが、この度の訪米につきましては、まさに日米同盟の重要性を共有し、そしてアジア太平洋地域の平和と繁栄のために日米同盟が主導する、そのことを発信する、メッセージとして発信する訪米にしていきたいと、こう考えているところでございます。
○藤田幸久君 その際に、東南アジアとは別の重要な地域が韓国そして中国だろうと思っております。
韓国に関しましては慰安婦問題が大きな問題になっているわけでございますけれども、この慰安婦問題に関する今までの歴代の総理の取組を調べてみました。
たくさんありますけれども、まず一つ重要なことは、宮澤大臣が韓国の国会において演説をしております。歴史上の一時期に、我が国が加害者であり、貴国がその被害者だったという事実であります。私は、この間、朝鮮半島の方々が我が国の行為により耐え難い苦しみと悲しみを体験されたことによって、ここに改めて、心からの反省の意とおわびの気持ちを表明いたします。最近、いわゆる従軍慰安婦の問題が取り上げられておりますが、このようなことは実に心の痛むことであり、誠に申し訳なく思っております。
次は、これは四人の総理が元慰安婦の方々に対して、いわゆる見舞金をアジア女性基金にお渡しをしたときの総理の手紙、同じ文章でございます。いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は、内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたり癒やし難い傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。
幾つかある中、小渕総理等とございますけれども、この二つ紹介いたしましたが、この考え方と安倍総理の考え方に違いはあるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 慰安婦問題については、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む思いでございます。この点については、まさに歴代の総理と変わりがないということでございます。
そして、これまでの歴史の中では、多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてきたわけでございます。二十一世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていかなければならないと、こう考えているところでございます。
○藤田幸久君 それで、三つ目の引用でございますが、これは一九九五年の衆議院の決議でございます。また、世界の近代史における数々の植民地支配や侵略行為に思いを致し、我が国が過去に行ったこうした行為や他国民、特にアジア諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する。
これ、当時、衆議院議員安倍晋三議員は欠席をしたと聞いておりますが、理由をお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) たしかあの決議は、新進党は全員欠席ではなかったかと、このように記憶をしております。
同時にまた、決議であるにもかかわらず、当時、自民党においては国会決議をする際には平場で議論を重ねるわけでございますが、残念ながらそれが、我々が要求したにもかかわらず、その議論が重ねられなかったという問題があり、私はその抗議の意味で欠席をしたところでございます。
○藤田幸久君 では、手続問題は別にして、この今読み上げた文面の内容については、これは賛成ですか、反対ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府としては、今般までの、今日までの国会決議、累次の様々な決議が行われておりますが、政府として国会決議を尊重するのは当然のことであろうと、こう思っております。
○藤田幸久君 そうした中で、去年からいわゆる朝日新聞の記事について問題が出ております。これに関して、昨年、日韓・韓日議連総会、ソウルで開かれましたけれども、そのときに自民党の額賀会長ほか我々一緒に参りましたが、そのときに伊吹衆議院議長の祝辞が配られておりました。
その内容は、先般、我が国の報道機関が、いわゆる従軍慰安婦問題について、強制性の有無等に関する従来の報道の一部に裏付けのない、また誤解に基づく報道があったことを認め、過去の報道を修正、撤回しました、しかし、強制性の有無にかかわらず従軍慰安婦の問題は、戦争という究極の暴力と極限の心理状態の中で、女性の尊厳が毀損され、人権が傷つけられた問題として、ヒューマンな心情で両国政府が解決の道筋を付けるべき事案であることに変わりはありませんという衆議院議長の言葉ですが、この内容について安倍総理はどうお考えになるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の考えを申し上げます。
それは、慰安婦問題については、筆舌に尽くし難い、つらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは歴代総理と変わりがないわけでございますし、恐らく伊吹議長もそういう観点から述べられたのではないかと思います。
そして同時に、これまでの歴史の中では多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてまいりました。そのこともまた事実であり、二十一世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていく考えであり、そのことも国連等の場を通じて世界に発信をしているところでございます。
○藤田幸久君 ということであるならば、朴槿恵大統領が度々おっしゃっておられて、総理にも伝わっておられると思いますけれども、現在、五十四名の元慰安婦の方々が韓国にいらっしゃると。その方々の名誉回復、それからその方々が納得できる解決方法、これが日韓の首脳会談にとって重要であり、一番大きな問題として言われておりますけれども、いろいろ、この間も日中韓の外相会議等が行われましたし、いろんな方が韓国に行かれたり、あるいは韓国の方が日本に来て、総理もお会いになっておられますが、この中身について、つまりこの二つの点ですね、名誉回復と納得できる解決方法、これについてどういう努力をされておられるのか。
それから、そもそも、やはり安倍総理自身の決断がなければ、幾ら自民党の方々あるいはいろんな方々が動いても、経済界の方々が動いても進まない話だろうと思いますけれども、これを解決する意思、意欲がおありになるのか、どういう形で解決をしようと思っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、日韓の関係というのは大切な関係であると思います。韓国は重要な隣国であります。
そして、その上について申し上げれば、隣国であるがゆえに様々な課題や問題も抱えているわけでございます。恐らく、世界の多くの国々は隣国との関係において様々な課題が、また歴史があるんだろうと思います。であるからこそ、首脳は前提条件を付けずに胸襟を開いて語り合うべきだろうと、こう思っているわけでございます。まさに、対話の中からこそ真の友好関係は生まれてくるであろうと、対話の中から両国の様々な課題に対する理解が深まり、共通の理解も深まり、そして解決に向かって進んでいくことができるのではないかと、こう考えている次第であります。
昨年、これはマルチの会議の晩さん会の場ではございましたが、朴槿恵大統領とは、その晩さん会を通じて、割と長い時間、かなり率直な意見交換をすることもできました。今後ともこうした努力を続けていきたいと、こう思っております。
○藤田幸久君 隣同士の国が難しいというのは、そのとおりであります。他方、それがゆえに隣同士の国々の首脳は結構会っています。最近でも、いろいろな対立する国々同士の首脳が会った。ウクライナの首脳とロシアあるいはヨーロッパの首脳も結構早めに去年も会っております。
ただ、残念ながら、安倍総理と朴槿恵大統領に関して言えば、オープン、オープンと言いながら先方の方から断られているという実態があるわけですね。ということは、やはりそれは内容を詰めて、安倍総理の方からも、やはり本当に重要だということであるならば、動きをしなければ実際に会談が実現をしない、正式な形でですね。ということは、それはやはり政治的に決断をしていただく時期だろうと思うんですけれども、そうしたお考えはなく、とにかくオープンだと言っていれば、どこかの段階で会えるというふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 問題というのは、会って話をしなければ解決をしないわけであります。私は、これは韓国とということではございませんが、会う会わないということ自体を交渉のカードに私は使うべきではないと。これは基本的な私の交渉姿勢であります。つまり、会う会わないということを交渉の言わば材料として使うということになりますと、つまり、会う前の段階からこれは会いたいと思う方は言わば譲歩を重ねなければならないということになるわけでございまして、基本的には、まず会って話をしながら問題を解決をしていくべきなんだろうと思うわけでございまして、これが基本的な考えでございます。
日本は、これはもう世界に向けても申し上げているところでございますが、常に交渉のドアを開けているわけでございまして、韓国側にも話合いをするという機運が盛り上がってくることを期待したいと、こう思っているところでございます。
○藤田幸久君 先ほど、岸元総理、私は今日、岸元総理の礼賛のために来たわけじゃありませんが、例えば日米安保条約に関しましても、当時の例えば石橋政嗣議員とかの意見を取り上げて、いわゆる片務的な条約の改定になりそうな日米関係についても、かなり双務的な内容に変えていったと。それから、いわゆる事前協議制とかいろいろなことについて実は修正をしながら会っていって、日米関係、アイゼンハワー、それからダレス国務長官とも三回、四回会っているわけですが、そういうふうに、これは譲歩ということじゃないと思うんですね。
やはり、結果的に、会って、そしていい成果を上げるということは私は決して譲歩じゃないというふうに思っておりまして、余りにも、先ほどいろんな記事を紹介いたしましたけれども、この二年間、いろいろな国に行かれた割には、実際に一番近い国々との関係が非常に進んでいないということが非常に明らかだろうと思っております。
そんな中で、次のパネルを見ていただきたいと思います。
このサンフランシスコ平和条約というのが一九五一年にございましたけれども、これに参加をしていない国・地域がございます。近隣諸国でございます。この資料を御覧いただきたいと思いますけれども、中国も参加しておりません。それから、当時は中華民国でございましたけれども、日本は国交ありましたけれども、当時はサンフランシスコ講話条約には参加をしていない。それから、韓国、北朝鮮、これも二つに分かれておりましたが、韓国も北朝鮮も参加をしていない。それから、当時はソ連だったんでしょうか、ソ連はこれは拒否をして参加をしなかった。
ということは、日本が一番戦争中にある意味では御迷惑をお掛けした、ロシアは逆かもしれませんけれども、そういう一番、ある意味では戦後、関係を修復すべき国がサンフランシスコ講和条約に参加をしていなかったと。その後、中国とは一九七二年に国交、それから韓国とは六五年に国交を回復しました。北朝鮮とはいまだに国交がありませんし、ロシアとは国交はあるけれども平和条約がないと。
それで、こういう国々との関係、右側を総理、御覧いただきたいと思いますが、結局、習近平主席とは短時間、習近平主席の顔の表情は別にして、お会いになった。それから、朴大統領とはいわゆる直接なバイの会談は実現をしていないと。それから、北朝鮮は、これは拉致調査の進展がない、したがって国交正常化の見通しも立っていない。それから、プーチン大統領、これはウクライナ問題もあったんだろうと思いますけれども、来日が延期をしていると。先ほどの岸総理の訪問も、台湾を除くとこれらの国には訪問していません。
ですから、日本にとって戦後一番重要な国との実は関係がそもそも遅れているわけです。そして、そもそも遅れているこういう国々との関係が、安倍総理になりましてから、先ほど、いろいろな報道、それからオバマ大統領、クリントン前国務長官等の言動も紹介いたしましたけれども、結局、一番日本が、そもそも七十年の間において一番対応すべき国とが遅れて、そしてその遅れている国々との関係が一番悪くなっているという状況についてどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど藤田委員が、石橋当時の社会党の議員から言われて双務性を持たせたという認識は、それは誤りでありまして、まさに安保条約の改定そのものが双務性を持たせるものでありまして、それを目的に改正をしたものである。そして、日本に対する防衛義務を、言わば五条でありますが、しっかりと入れていくということと、そして地位協定を変えていく、これはまさに、そのためにこれは安保条約を改正したのであり、これは石橋さんに言われたからそれを修正したということではないということは申し上げておきたいと、こう思うところでございます。
その上で申し上げますと、これはこの五か国、五か国というか、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、そして日本の友人である台湾との関係についておっしゃっているんだろうと、こう思うわけでございますが、中国あるいは韓国におきましては、まさに日本にとって重要なそれぞれの国でありまして、関係を改善すべく努力を進めているところでございます。
また、海上連絡メカニズムにおきましては、第一次安倍政権のときに申し出て、その後、民主党政権の三代の総理大臣のときにもそれは実現されていないわけでございますが、今回それが実現される運びとなったということは申し上げておきたいと、こう思うわけでございます。
また、現在、北朝鮮につきましては、拉致問題についてしっかりと調査するよう先方に促しているわけでございます。
ここで、私の考えを申し上げておけば、ただ単にこちらの国益を全部削っていけば、言わば友好という状況というのをつくるのは、それはたやすいことであります。これはまさに本末転倒であって、友好な状況は国益をしっかりと確保するためであります。そのためにしっかりと外交交渉を行っていくのは当然のことであろうと、こう思うわけであります。ただただ単に相手の言いなりに従っていけばいいのかといえば、そんなことはないわけでありまして、その中で我々も努力を続けているわけでございます。
また、ロシアとの関係におきましても、プーチン大統領とは十回以上にわたり首脳会談を行い、信頼関係を構築することができたわけでございますが、その中におきまして、ウクライナの問題が発生する中におきまして、当然、日本もG7の国として、国際社会における責任ある国として、力による現状変更というのは決して許されないということを申し上げているわけでございます。その中で、残念ながら平和条約交渉が進んでいない、これは本当に私も残念なことであろうと、こうは思っているわけでございますが、平和条約が結ばれていないのは異常な状況であるということについては、プーチン大統領と認識を一つにすることができたわけでございます。
こうした国々におきましても、もちろん課題として残っているわけでございますから、日本としても様々な努力を進めていくのは当然なことであろうと、こう思う次第でございます。
しかし、例えば北朝鮮につきましては、そもそも拉致問題が解決をしない限り、また核の問題、そしてミサイルの問題等々があるわけでございますから、そうした問題をただしていくのは当然のことであろうと。その前に国交正常化をするということは、もちろん当然考えられないわけでございます。そうした問題をしっかりと解決をしていくというのが安倍政権の基本的な方針であるということは申し上げておきたいと思います。
また、台湾につきましては、さきの東日本大震災の際には多大な支援をしていただきました。このことを私たちは決して忘れてはならないと、こう思う次第でございます。その中におきまして、我々の政権になりましてから、あの三月十一日における式典の際には礼をもって対応しているところでございます。
○藤田幸久君 いろいろおっしゃいましたけれども、岸総理と比較だけするわけじゃございませんが、あれだけアジアから信頼を受けて、大歓迎を受けて、そしてその立場、ある意味ではアメリカに対して非常に物が言いやすい立場になって、そしてあれだけ歓迎をされた。安倍総理におかれましては、この二年間を振り返りましても、オバマ大統領とアメリカで一回お会いになって、そして昼食もあったようですけれども、共同記者会見もなかった。
この二年間調べてみますと、イギリスのキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、みんな共同記者会見、それから習近平主席は八時間ですか、一緒にお話をされてと。明らかにこの二年間、少なくともオバマ大統領が去年の共同記者会見で先ほど申し上げたようなことまでおっしゃっている。そして、これだけ莫大な、欧米のメディアを中心として一国の総理に対してこれだけ言っておられると。
ということは、今回アメリカに行かれるに当たって、結局、アジアの代表として、アジアの信頼を受けて、特に近隣諸国、それでアメリカに行かれるという形じゃないわけでございまして、そのことをやはり、まずアジアから信頼をされた上でのアメリカ訪問ということが本当に重要だろうということであろうと思いますが、まるで逆の構造ではないかと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この際、私が訪問する際、これは公賓として、準国賓として招待を受けるわけでございます。私は元首ではないわけでございますから国賓にはならないわけでありますが、事実上の国賓待遇を受けて招待をされているわけでございますし、また、日本の総理大臣としては初めて上下両院の議員の前で演説を行うことになるわけでございます。これは、日米同盟関係の中でも今まで日本の総理は行ったことのないわけでございます。これは私にとっても大変光栄なことだと、こう思っております。
また、多くの今上院議員、下院議員が日本を訪問しております。これは、申し訳ないんですが、民主党政権の何倍の数も訪問していただき、私は一々お目にかかってお話をさせていただいているところでございます。藤田議員はもう一部を選んで紹介をしていただいておりますが、多くの議員は日米関係が強化されている。先般もデンプシー統参議長が来日をした際お目にかかったわけでございますが、日米同盟はまさに今大変大きな成果を上げていると、こう言っていただいているわけでございます。
しかし、これは米国から何かを言ってもらうというよりも、まさに日米同盟のきずなを確かなものとし、日本の平和や安定、地域の平和と安定に資するものとしていく、貢献をしていくということが大切なことであろうと、こう思う次第でございます。
我々は、そういう観点の下に、今まで上げている実績を更に積み重ねていきたいと、こう思っている次第でございます。
○藤田幸久君 時間がないので、沖縄の問題に移りたいと思っております。
先ほど来、安倍総理は、とにかく難しい問題があるところに関してはドアをオープンにしてというおっしゃり方をしておりますけれども、であるならば、沖縄の民意が変わり、かつ知事だけではなくて衆議院選挙も含めまして民意がはっきりしたと。ある意味では政権が替わったわけであります。
ということであるならば、難しい問題が起きた新しい体制の国のトップとは、条件を付けずにドアを開けてまずお会いになったらいかがですか、安倍総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 沖縄との関係におきましては、残念ながら、これは鳩山総理が最低でも県外、総理大臣としてそうお約束をされて、それを百八十度変えられた。このことにおいて、言わば政府と地元沖縄との関係がこれ大変悪化をしてしまったわけでございます。言わば、失われた政府の信頼を取り戻す今努力を積み重ねているところでございます。
先般、知事が東京に来られた際には、総選挙、そしてまた組閣などもあり、私自身はこれまで翁長沖縄県知事とお会いする機会はなかったわけでありますが、官邸あるいは政府としてはしっかりと対応してきているところでございます。
今後とも、政府全体で連携して、様々なレベルで地元との対話を行いながら、我が国の安全保障や沖縄の負担軽減の全体像についてお話をする中で、普天間の移設について御理解を得る努力を行っていきたいと考えています。国と地元とが様々な取組について連携を深めていく中で私と知事との対話の機会も設けられていくものと、こう考えているところでございます。
○藤田幸久君 官房長官にちょっとお伺いしたいと思います。
私の茨城の政治家の先輩で梶山静六先生いらっしゃいます。官房長官も大変親しかったというふうに伺っておりますけれども、梶山元官房長官、こういうふうにおっしゃっておられます。自分の案としては、沖合に埋立ての島を造り、その手前に浮体施設を置く。サンゴ礁を守り、島にはマングローブを植えると。
今、逆のことが起こっております。政府と防衛省、あるいは沖縄の立場はちょっと見解が分かれているようでございますが、これ、実際にサンゴ礁が破壊されている現場であります。梶山先生は、そういうわけで、とにかくサンゴ礁を守るということをおっしゃっていたということが非常に重要なんだと思っています。
それからもう一つ、梶山静六先生はこんなことをおっしゃっておられる。住民の目線の高さで基地を見るということが重要だろうと。だから、住民が見る場所から米軍基地を見て回ったと、基地の中に入らずに。例えば、金武町の米軍ブルー・ビーチ訓練場に行くときも、住民と同じように金網伝いに足場の悪い道を歩いてフェンスの向こう側の訓練場を見てきたと。ほかも見て歩いたそうです、外から。恐らく米軍は、梶山官房長官がこうして基地を視察していたことなどは知らなかっただろうということがあります。
私は、したがって、まず会っていただく。しかも、翁長知事は七回上京されて、知事に加えて議長、それからほとんどの沖縄の全市町村長も同行されている。いろいろ知事、全国にいらっしゃるけれども、議長、全市町村長を伴って来られるということは非常に少ない。それでも官房長官はお会いにならない、あるいは総理もお会いになっていないと。
まずはお会いになっていただくということが重要であり、かつ、いろいろ今毎日、政府と沖縄の間でございますけれども、官房長官御自身がいわゆる国民の目線で基地を視察をされるというようなことぐらい汗をかくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 私は、官房長官に就任する前も、何回となく沖縄を訪問して、現場をまさに国民目線の中でかつて視察をいたしております。
そして、翁長知事とは、この予算に一定の見通しが付いた時点でお会いをさせていただきたいというふうに思っています。
それと、今日まで、知事が上京した際に、安倍政権の中で沖縄担当大臣、山口国務大臣でありますけれども、山口国務大臣は複数回お会いをいたしておりますし、そして官邸の中でも官房副長官、沖縄問題の連絡責任者であります杉田副長官がお会いしているということも申し上げたいというふうに思います。
○藤田幸久君 終わります。
是非、七十年問題、政府を挙げて取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。
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