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明石康さんを招き、平和構築推進議連開催2009年03月14日
平和構築推進議員連盟(旧ADP支援議員連盟)の第3回の勉強会が3月11日開催されました。明石康さん(元国連事務次長)を迎えての勉強会には、超党派国会議員31人(代理を含む)が参加しました。綿貫民輔会長と亀井久興事務総長の挨拶に続いて、平和構築の仕組みをわかりやすく解説した明石さんに対し、議員からは活発な質問や取組の報告がなされ、実りのある会となりました。以下は、ADP委員会事務局の菅原秀さんの報告です。
【明石康さんのお話の概要】
平和構築は紛争の後に必要な大事な活動領域である。紛争が終焉する前に平和構築活動の準備を迅速に開始しなければならない。それをないがしろにすると新たな紛争の火種が生まれる。ソ連が手を引いた後のアフガニスタンでは平和構築活動が行われなかった、その結果、タリバンの台頭を許してしまうことになったのが悪い例である。
平和構築には二つのプロセスが重要だ。まず初期の段階での平和定着の作業である。クイック・インパクト・プロジェクトと呼ばれ、平和が訪れたことを肌で感じられるようなプロジェクトを行う必要がある。地雷の撤去とともに、村の橋や道路を修復し、診療所などを作る比較的小さなプロジェクトである。次に必要なのはDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)の活動である。兵士が失業者としてあふれれば社会不安の原因となるので、R(リインテグレーション)の活動、社会復帰の支援が特に重要である。
民主化支援については市民社会の強化のために自由選挙が必要なわけだが、紛争後に自由選挙を行うためには条件が必要である。ボスニア、クロアチア、セビルアは3つの民族と3つの宗教がからんで紛争解決が困難だった例だが、こうした場合、少数派を含めた土台に立って普通選挙を行わないと、新たな紛争の火種を作ってしまう。
日本は国連平和構築委員会の初代議長になるなど、国際的に高く評価されている。私がかかわるスリランカの和平交渉では2003年の「スリランカ復興開発に関する東京会議」で参加国から45億ドルの拠出金が約束されるなどの成果を得たが、タミール・イーラムのかたくなな態度によって和平のチャンスを失ってしまった。スリランカの場合はノルウェーのNGOが和平のきっかけを見つけだしている。NGOが地ならしをして政府にバトンタッチするというこうした手法は極めて有効であり、そうした方向をめざす平和構築推進議員連盟の活躍に期待したい。
【参加議員からの質疑応答】
参加議員からは与野党を問わず活発な質問と前向きの発言がなされた。「NGOが主導した例と政府との関係を知りたい」「憲法の制約で軍を出せない日本の特殊事情をどう考えるか」という質問に対しては、ノルウェーやスウェーデンのNGOがこの分野では主導的な役割を行うことが多く、政府がNGOを支援する仕組みができている。また日本が危険なものには参加しないという態度はいかがなものか、カンボジアでは日本、ドイツ、中国が初めて軍を参加させることができた。その後日本は、ドイツと中国に遅れをとっているという回答だった。また参加議員から「カナダのピアソンセンターにならってPKOセンターを作った」「外務省と話し合って職員が平和構築の実践を学ぶプログラムを立ち上げた。将来は日本のNGOをターゲットとしたい」などの実践活動の報告が相次いだ。
さらに「平和構築のための人材を作り出そう」「外務官僚が外の人材を入れたくないという問題をなんとかしなければ」「日本のODAがもっとNGOを支援して日本の存在感をアピールすることが大事だ」などの意見が寄せられた。亀井事務総長からは「この議連が出来たのは国会議員とNGOが協力し合って、政府と別なトラックの民主化支援活動を作り出すためである。海外ではNGO主導の活動が多い、日本もそうした活動に参加するために与野党かかわらず推進していきたい」という解説がなされ、明石さんも「そうした手法はとても重要であり、政府ができない第2、第3のトラックをNGOとともに作り出すことは平和構築のために極めて有効な方法だと思う」と議連の活動を明確に評価して下さった。
最後に中馬弘毅副会長が「今、世界はガタガタだが、日本は1500兆円を持っている。円高なのでODAも使い出がある。日本には力があるという自覚を持ってもっと自信を持ってやっていこう」という元気な挨拶をし、第2回目の勉強会は終了しました。
●平和構築推進議員連盟役員
会長 綿貫民輔(国民新党)
会長代理 羽田孜(民主党)
副会長 中馬弘毅(自由民主党)
事務総長 亀井久興(国民新党)
事務局長 藤田幸久(民主党)
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