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オバマ訪日やTPPなどについて2014年04月25日

4月22日、外交防衛委員会にて以下の質問をし、答弁を得ました。

1. オバマ大統領訪日、靖国参拝、北朝鮮への影響について

 4月の始めに訪米した際、アメリカの政府、議会、そして軍の関係者の方々が異口同音におっしゃるのが、日本の近隣諸国との関係を正してほしいということでした。 この状況下において、安倍総理は昨年靖国神社を訪問し、今回、古屋拉致問題担当大臣も靖国参拝をされました。 北朝鮮を担当している古屋大臣が参拝するということは日朝間だけでなく、日米間の外交関係に影響があると思われるが、岸田大臣の見解はいかがなものかと問い質しました。

 岸田外務大臣は安倍総理の参拝は私的なことであり、政府が見解を述べることではないと答える一方、北朝鮮が靖国参拝に対する批判を表明していることも理解していると答弁しました。 古屋大臣の参拝に対する北朝鮮の報道はまだ確認されていないが、いずれにしても我が国の北朝鮮に対する「対話と圧力」の基本方針は変わらず、「日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、この諸懸案を包括的に解決」する方向で努力したいと答弁しました。 また、対米関係については、日米同盟は揺るぎないもので、大変強固なものであると主張し、米国での動きや動向とのずれを感じました。

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2.TPPについて

 4月21日にアメリカの60名以上の下院議員がフロマン交渉代表とビルサック農務長官宛てに出した書簡があり、それらを説明しました(4月22日のブログにも記載しています)。 アメリカのスタンスとしては、TPP交渉に日本の主要5品目などの例外主張を認めると他国との交渉にも影響が出るとし、例外項目は設けるべきではない。それが実現しないならTPP交渉撤退だと、強く二人の大臣に迫っています。 これらの点について小泉政務官に質問しました。

 小泉政務官は政府としてこの書簡を大変重く受け止めていると答弁。 TPP交渉に関する、新聞社の誤報を認め、甘利大臣から出入り禁止となっていることを明らかにしました。

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3. 防衛出動とネガティブリスト方式について

 前回の外交防衛委員会で小野寺防衛大臣に質問した内容ですが、まともな答弁がありませんでしたので、再質問いたしました。 「隊友」という機関誌の中で、冨澤元陸幕長が「安保法制懇の中で、公海上で平行して航行する米艦の防護について、日本の個別的自衛でもないことを集団的自衛で可能にするというのは元々無理な相談だ」とし、「日本の僚艦が撃たれたとき、それに代わって撃ち返すことを総理大臣の防衛出動が発令される前にはできないことになっている」と言っています。 いわゆる「やってよい」ポジティブリスト方式ではなく、「やってはいけない」ネガティブリスト方式で自衛隊の現場の判断を尊重できるようにすべきではないかと前回質問しています。 具体的に一つ目の質問として、「防衛出動発令前に自衛隊の艦艇が公海上で並行して航行する別の自衛隊艦艇への攻撃に対して反撃することは可能か」と問い質しました。

 小野寺防衛大臣は、「合理的に必要と判断される限度において武器の使用をすることができます」と現場の判断によって反撃はできると答弁しましたが、それでは自衛隊の現場の判断はなかなかできないので、ポジティブリストではなくネガティブリスト方式を検討すべきではないかと問いました。

 小野寺防衛大臣の答弁は形式論のような答弁で、「ポジティブリストでも、ネガティブリストでも自衛隊に必要な権限を付与されることは当然である」とはぐらかした回答しかありませんでした。 イラクに派遣された自衛隊の方々が何をどこまでやるべきなのかの判断で非常に苦しまれた経緯があります。 その苦い経験を踏まえずに、誤魔化した答弁を続けていたので、学者のような考え方ではなく、現場に基づいた考え方で対応するように指摘しました。

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4.グアム協定改正議定書について

1)2012年4月の日米安全保障協議委員会(2+2)共同発表は、民主党政権の下、日米の国内事情等も踏まえ、在沖縄海兵隊のグアム移転及び嘉手納以南の土地の返還と普天間飛行場移設といういわゆるパッケージを切り離した政治決断が特徴でありました。 この切り離しは普天間飛行場移設を早める環境整備に貢献したのか否かを問いかけました。

 岸田外務大臣は切り離しは日米双方の国内問題を解決するためのものであったと答弁しましたが、貢献したのか否かについては答弁されませんでした。 切り離した個々の課題を同時並行で進めなければならないと回答しました。

2)岸田外務大臣は、4月9日の衆議院外務委員会において、「在沖海兵隊が国外に移転しても、日米同盟の抑止力はしっかり維持される」と答弁しているが、在沖海兵隊が日本国外に移転しても抑止力が維持できるなら、普天間飛行場の代替施設の建設も(沖縄県内の)辺野古でなくても抑止力は維持できるのではないか?と質問しました。

 岸田外務大臣は、グアムへの移転、普天間の移設、嘉手納以南の土地の返却などが全体としての抑止力の維持を保つようにしていると答弁しました。 また、政府としては地元の負担軽減にしっかりと取り組むと同時に、1日も早い普天間飛行場の変換が実現できるように全力で取り組むとの答弁がありました。

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3)2012年の2+2共同発表では、普天間基地の代替施設に関して、「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが計画されている普天間飛行場の代替施設が、引き続き、これまでに特定された唯一の有効な解決策であるとの認識を再確認した」とある。これに対し、2013年10月の2+2では、「普天間基地の代替施設(FRF)をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することが、運用上、政治上、財政上及び戦略上の懸念に対処し、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認した」とある。

 この、「これまでに特定された」と「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための」の違いは何か?を問いました。

 岸田外務大臣は「内容に変わりはない」の一点張りで答弁しました。2012年の時は予算面や沖縄の民意や建設期間、辺野古案以外も含めて色々考慮できることが含まれているのですが、2013年の発表は辺野古が実現しなければ普天間基地が固定化すると迫っているのです。

4)グアム移転協定は、日本では国会承認が必要な「国会承認条約」として扱われ、米国では議会を通さない(上院の3分の2の同意を求めない)「行政取り決め」の扱いになっています。米国憲法第2条において、国際約束は、上院の承認を得て締結する条約(トリーティーズ)と、この手続を要せずに行政府限りで締結される行政取り決め(エグゼクティブ・アグリーメント)の2種類があるとされているが(2009.5.12 参議院外交防衛委員会理事会)、米国において国際約束を議会承認とする基準について、改めて政府の説明を求める、と質問しました。

 岸田外務大臣の答弁は、質問の意図をくみ取っていなかったのか、立法府による条約と行政取り決めの違いの説明をアメリカより受けているとの発言しかありませんでしたが、政治的な拘束力の差というものが、例えば米国議会における予算凍結といったことにならないようにしっかりやっていただきたいと指摘しておきました。

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5.ヘーゲル国防長官の発言について

 4月6日に行われた日米防衛相会談後の共同記者会見において、ヘーゲル国防長官は「アメリカは集団的自衛権に関する憲法解釈の再検討を含めまして、世界及び地域の平和と安定に貢献するため、より積極的な役割を果たそうとする日本の取組を歓迎いたします」との発表を行いました。また、その後に記者との質疑応答の際にも集団的自衛権行使の憲法解釈の変更を前提とした日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しに向けた日本側の努力等について「奨励し、支持する」との趣旨を述べています。

 日米防衛相会談においても、ヘーゲル国防長官は小野寺防衛大臣に対して、こうした発言を行ったのでしょうか?また小野寺防衛大臣は集団的自衛権に関する国会の審議の経過や政府の立場に関して長官に説明したのか?と質問しました。

 小野寺防衛大臣は又しても、逃げた答弁に終止しました。 しかし、本件はまだ法制懇で審議が進んでいる中で、集団的自衛権の解釈、すなわち憲法解釈を政府はまだ何も決めていないわけです。 にもかかわらず、会談を行った後の会見でヘーゲル長官がこのような発言を行ったことは重大なことです。 従って私を含む19名の議員はオバマ大統領に対して、「この発言は他国の立憲主義や法の支配を失いかねない」と抗議の書簡を送りました。

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6.イラク派遣自衛官について

 4月16日のNHK「クローズアップ現代」で、イラクに派兵された自衛隊員の活躍ぶりが紹介され死者はゼロでしたが、帰国後の自殺者が28名というのは気の毒で、敬意を表するものです。 「大変危険度の高い地域で、誰かを撃つんじゃなくて、社会の再建をやろうという、そういう仕事をやり抜いた」という五百旗頭防衛大学長の言葉に感動しました。 こうした派遣の際のカウンセリングや支援・教育制度、自殺との関係についても情報開示をもっとしたらよいのではないか?自衛隊入隊志願者やその家族、そして自衛隊に対する国民の理解と支持を得るためにも必要であると、質問しました。

 小野寺防衛大臣は、「カウンセリングだけでなく留守家族に対する支援も必要」と答弁をしましたが、情報開示については答弁がありませんでした。