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参議院国家安全保障に関する特別委員会における藤田幸久の質疑議事録2013年11月18日

活動報告

2013年11月18日

参議院国家安全保障に関する特別委員会における藤田幸久の質疑議事録

藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 白眞勲さんが詰めていただきましたポイントを更に加えまして、そもそもこの国家安全保障会議、NSCについてお伺いをしたいと思います。
 まず、礒崎総理補佐官がこのNSC設立後にアメリカとイギリスのNSCの幹部との定期会合を設けるとおっしゃっておられますが、それで間違いございませんか、官房長官。
国務大臣(菅義偉君) 今、礒崎補佐官の話の質問でありますけれども、国家安全保障局ができた場合、各国のNSC事務局と相互に交流をし、緊密な意思疎通を図っていくということは、これは極めて重要なことだというふうに私ども考えております。そういう意味において、諸外国の理解を深めるためにも関係各国の安全保障分野における連携というものはしっかり行っていかなきゃならないというふうに思います。
 定期会合でありますけれども、この点につきまして、具体的には、この法案が成立をさせていただいて、さらに、その局が設置した後には各国と具体的に協議をしてまいりたいというふうに考えております。
藤田幸久君 その礒崎さんがおっしゃっているアメリカとイギリスの経緯でございますが、やはりアメリカとイギリスのNSCと緊密にやっていく場合に、そもそもアメリカのNSCというものがどんな経緯で設立をされたかということが非常に重要だろうと思っておるんですが、私が調べましたらば、一九四七年、第二次大戦の後にアメリカのトルーマン大統領が創設をしたわけですが、背景としては、アメリカの陸軍と海軍との間の激しい対立があったと。その軍の暴走を抑えると、まさに文民主導の意味でこのNSCをつくったという経緯があるようでございます。
 一方で、日本の審議等を聞いておりますと、どうも日本のNSCというのは、逆に外交からむしろ武力行使に踏み切るための政策決定の仕組みをつくっているのではないかという印象が強いということで、ニューヨーク・タイムズの十月の記事によりますと、この法律案というものは、安倍内閣の中国との対決姿勢やタカ派的外交姿勢を反映しており、東アジアにおける日本に対する不信を増すであろうというふうにニューヨーク・タイムズはとらえているんですが、これだけ見ますと、アメリカの、つまりトルーマン大統領がつくったNSCと日本で今考えているNSCというのはむしろ逆の方向を向いているんではないかというふうに思われるんですが、官房長官、いかがでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) アメリカのNSCがどういう経緯かというのは、私、よくそこは理解をしておりませんけれども、少なくとも我が国の今回提出をさせていただいていますNSC法案というのは、まさに我が国を取り巻く安全保障の関係が一層、環境が一層厳しさを増す中にあって、国家安全保障会議の設置は官邸における外交、防衛の司令塔機能を果たす意味で極めて大事だというふうに思っていますし、そのことを、今言われたようなニューヨーク・タイムズの対外的に対決姿勢を打ち出すようなものではないということで御理解をいただきたいと思います。
藤田幸久君 いや、理解し難いですね。というのは、礒崎さんは御自分のホームページで、この定期会合、ホットライン、つまり緊密にイギリスとアメリカのNSCとはやっていくと言っているわけですね。その重要なアメリカとイギリスの、そもそもどんな目的でNSCができているかということについて余り理解していないではまずいんだろうと思うんですね。やっぱりしっかり理解をした上で、つまりそれだけコミュニケーションを図っていく上には、そもそもの目的、成り立ちを理解した上で、ホットラインを設けるわけですから、やっていかなければいけないと思うんですが。
 ちなみに、イギリスの場合も、これもっと最近ですけれども、いわゆるブレア首相が側近との話合いを中心にイラク戦争の賛成を踏み切ったということに対して、むしろその制限を掛けるという意味でこのNSCが最近設置されたというふうに言われております。つまり、意思決定の透明性を設けるということがイギリスの場合のNSCの場合には重要であると。
 そうしますと、官房長官、一番日本として緊密に連絡を取り合う相手が、アメリカの場合には、つまり文民統制というものを目標にした、軍の対立を抑制的に図ろうという目的でできている、イギリスの場合には、首相が独走した場合に、それをやはり抑制的に透明性を持って意思決定を合理的に図ろうというふうにできているイギリスとアメリカのNSCに対して、日本がそれを理解した上でやらないと、少なくとも多くの意味で、外国ばかりではなくて、このNSCの何か行け行けどんどん的に伝わっているのは事実でございますから、これはもう一度勉強し直して、そもそもなぜNSCをつくるかということについてもう一度検証が必要なんじゃないでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) 私、理解をしていないという話をさせていただいたのは、先ほど委員からのお話の中で、陸軍と海軍の対立、それに軍の暴走を止めるため、抑えるという意味のことについては理解をしないというふうに私は申し述べました。私どもは、第二次世界大戦の経験を背景にして、まさに軍事戦略と国家安全保障戦略の統合、その調整のためにアメリカのNSCは設立したというふうに私たちは理解をしておりましたけれども、さっき委員の言われたこととは実は違っていたものですから、私はそのように申し上げたところであります。
 そして、私たち、この法案を提出について、アメリカのこのNSC法案というものを、そこは事務方中心に、何回となく事務方にもこれ勉強に行かせましたし、イギリスのNSC、そうしたものも当然、そこは今までの、設立をされて今日に至るまで様々な試行錯誤があって今回のNSCができたということも、そこは理解をしております。
藤田幸久君 ただ、いろいろ答弁を見ておりますと、官房長官の国会答弁で中国や北朝鮮の軍備増強などに対して言及が随分多いようですけれども、やっぱりそういうふうに伝わっているんだろうと思いますけれども、これからいよいよNSCの分担を決めていくわけですが、地域部門の一つが中国・北朝鮮というふうになっていくということでよろしいですね。(発言する者あり)
国務大臣(菅義偉君) 失礼をいたしました。
 私、今中国のことをいろいろ言われましたけど、その趣旨についてどういうことですかという、何回か問われたことに対して答弁しておりますから、その質問が多かったというふうに思います。
 考え方として、国家安全保障局の組織構成でありますけれども、その中において、地域や各種の安全保障政策をテーマに企画立案、総合調整、そしてそのことを行っていくのがこのNSCの役割でありますから、ある意味でその時々によってテーマが変わってくるということも事実だというふうに思います。
藤田幸久君 いや、だけど、テーマごとに部局を変えるわけにいきませんよね。ですから、地域ごとの部局をつくるわけですが、その一つが中国・北朝鮮と。だって、テーマが変わるごとに中国・北朝鮮が今度はASEANとかアフリカとか変えるわけにいきませんけれども、そういう意味で、中国・北朝鮮というのが一つの部局ということで間違いないですね。
国務大臣(菅義偉君) 地域や各種の安全保障政策テーマに応じて企画立案、総合調整を行っていくのがこのNSCの役割でありまして、それを担当するというんですかね、所管する班でありますけれども、具体的に例えば日米関係、アジア太平洋地域、さらに中東アフリカといった地域分担、さらに国家安全保障戦略などの戦略の企画、また個別課題について担当する班が必要というふうに考えております。
藤田幸久君 じゃ、そういう、今の段階では明らかにできないのかもしれませんが、報道されておりますけれども、ただ、やはり中国・北朝鮮に対する言及が多いということで、それで、先ほど来申し上げておりますそもそものアメリカやイギリスのNSCの方向性と違った印象を与えているのは確かであると思っておりますけれども。
 例えば、つい最近も、十月ですか、日中の防衛関係者が中国で議論をした際に、いろんな意味でお互いの国を守るには尖閣問題で軍事衝突は避けるべきだというような極めて冷静な議論が行われたというふうにも聞いております。むしろ、日本におけるNSCというのは、そういう、できるだけ抑制的に、平和憲法あるいは日本の歩んできた道を生かしながら、いろいろな対立構造が増えていく中で抑制的に、効果的に平和に貢献するようなNSCをつくっていくということが、先ほど来紹介をしておりますアメリカやイギリスのNSCとも相まってより重要ではないかと思いますが、そういったニュアンスがほとんど議論から、政府側の方から来ていないと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) 私どもの考え方は、今委員が指摘ありましたけれども、それは当然、世界の平和と安定のためというのは、このNSCの大きな役割であることは間違いないことであります。
藤田幸久君 と今おっしゃったけれども、今までの議論を聞いておりましても、それからイギリスやアメリカ、一番頼りにする、一番一緒にやっていくべきところのNSCと違ったどうも経緯、そして違った方向性を向いて議論が進んでいるということがこれは明らかなわけでございまして、したがって、私は、一緒にアメリカなりイギリスとやっていく場合には、そういうつまり平和に対して、いわゆる積極的平和主義というと何か外で行け行けどんどん的に取られる方もいらっしゃいますけれども、むしろ本当に今までのような流れの中で、日本が地道に陰徳を積みながら、国際貢献をしながら、むしろ仲介役をしていくためのNSCでなければまずいと思いますが、今までの答弁ではむしろ逆の答弁が多いように聞こえますが、いかがでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) そこは、今回のNSC法案というのはやはり平和と安定のためのNSC法案であるということは、ここは間違いないというふうに思いますし、今委員指摘されましたけれども、そうしたことは私は誤解だというふうに思います。
藤田幸久君 もう一つ付け加えますと、アメリカの場合に、やはりルーズベルト大統領が個人的に外交を引っ張ってしまったという反省もあってトルーマンがNSCをつくっていったというような経過、それからイギリスの場合も、ブレア首相に対して後のブラウン首相という流れがあるようでございますけれども。
 長官、例えば安倍総理がかなり積極的に、例えば自衛隊の海外派遣も含めましてそういう兆候が出てきた場合に、NSCの中で、このイギリスやアメリカの経験に生かしたような、客観的に冷静に国際情勢もいろいろなマイナス情報も分析をしながら、いさめて調整をして、そしてこのNSCをしっかり持っていくというような、そういう決意はございますでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) まず、ここで是非御理解をいただきたいんですけれども、近年、我が国を取り巻く安全保障の環境というのは、まさに大量破壊兵器や核・弾道ミサイル、さらにサイバー攻撃、国境を越えるものが極めて増大をしているわけであって、こうした中で、我が国一国だけでは我が国の平和と安定を守ることはできない、そういう中で地域や世界の平和と安定を確保していくことが必要だと。
 そこで、安倍総理は、国際協調主義に基づいて世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献したいという形の中で積極的平和主義を掲げておるわけでありますから、そうしたことに基づいてこのNSC法案も提出をさせていただいて、まさに総理の思いでありますこの積極平和主義を展開していこうということであります。
藤田幸久君 では、ニューヨーク・タイムズに一度是非抗議でもしていただいて、もしそういうことであるならば、そのぐらいのことはすべきではないかということを申し述べまして、次の質問に移りたいと思います。
 資料、何ページかお配りしておりますが、最初の数ページの資料でございます。これは先週、アメリカの民主党系及び共和党系議員、合計百九十数名だろうと思いますけれども、いわゆるファーストトラック、これは追越し車線という意味だそうでございますが、大統領の貿易促進権限に対する反対をする書簡を別々にオバマ大統領に送ったということの書簡でございますけれども、これがTPP交渉にどのような影響を与えるのか。これは外務大臣に答弁をいただきたいと思います。
国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の貿易促進権限、TPAですが、まず米国政府が議会に対してこのTPAを求めているということ、これにつきましては承知をしております。そして、これが、御指摘のこうした動きがTPP交渉にどのような影響を与えるのか、こうした御質問でございますが、このTPAにつきましては、これはまず米国国内の手続の問題です。そして、御案内のように、このTPAにつきましては、米国政府とそして議会が議論をし、交渉してこの内容が決まっていくということであります。過去の例を見ますと、様々な条件が付く等のことが想定されます。
 そういったことからして、この交渉相手の外務大臣がTPAについてちょっと論じるということは適切ではないと考えますし、また、このTPAの動きにつきましては、我が国の交渉戦術にもかかわることでありますので、このことについて触れるのは控えさせていただきたいと存じますが、いずれにしましても、こうした動向につきましては我が国としてしっかりと注視をしていかなければいけない問題だと認識をしております。
藤田幸久君 いや、違います。大臣、これ、要するにアメリカの、今のままでいきますとこのファーストトラックは通らないわけですから、アメリカの議会の中でこのTPPが通る可能性が極めて少なくなってきたという、その事実についての情報を外務省として政府の方に上げていたかどうか。つまり、マイナス情報といいますか、日本にとって芳しくない情報というものを取るのが外務省として非常に重要なわけですから、実際、今これだけの議員の方がこの書簡を送ったということは、年内にこのファーストトラックが認められる可能性は非常に少ないという客観的事実についてはどう思われますか。
国務大臣(岸田文雄君) まず、こうした情報につきましては、外務省としまして様々なルートを通じて情報収集に努め、そして必要な情報につきましては官邸等にしっかり上げる、こういった対応はこれまでもしっかり続けております、行っております。そして、この動きにつきましては大変注視はしておりますが、こうした動き自体、米国国内の動きでありますし、これについて我が国として何か評価するとか言及する、こういったことについては控えるべきではないか、このように申し上げております。
藤田幸久君 先日、衆議院で大串代議士の質問で、ニュージーランドかアメリカにおいてはTPPの内容について国民に情報を開示していると、その指摘に対して実は甘利大臣が随分困っておられましたけれども。
 それから、最近もアメリカは、これは質問通告しておりますけれども、米以外の農産品と工業品の関税の全てを撤廃するよう要求してきたと、これも複数の交渉関係者が明らかにしたと報道されておりますけれども、こういったことが実際に政府、外務省の出先から伝わってきているのか。
 まず、この農産品と工業製品の関税の全ての撤廃と要求ということについて、これは事実ですか。
国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の交渉の具体的な内容については、TPPにおける交渉参加国同士の確認したルールがあります。また、我が国におきましても、担当大臣は甘利大臣でありますので、私からこの具体的な内容についてお答えするのは難しいと考えますが、ただ、一般論で申し上げますならば、このTPP交渉、御指摘の関税撤廃の話につきましても、このTPP交渉、二十一分野の中の関税交渉の中の話であります。関税交渉だけではなくして、労働ですとか環境ですとか、あるいは知的財産権ですとか様々な分野、こうした交渉が並行して行われております。この全体の中でこの交渉の結果が決まっていくと認識をしております。要は、この一分野だけで全てが決まるわけではないと認識をしております。
 是非、どういった要求が行われたとしましても、こうしたTPP交渉の全体のありよう、そしてこうしたマルチ交渉における特徴、こういったものをしっかりと活用しながら、我が国の国益を守るために最大限努力をしなければいけない、こういった課題だと認識をしております。
藤田幸久君 この文書をあえて出しましたのは、この一ページ目の最初のパラの日本語の部分の訳でございますけれども、こう書いてあります。我々は米国の貿易拡大を強力に支援をする、それから、合衆国憲法を強力に支援をする、それで、合衆国憲法においては、連邦議会に貿易の条件を定める権限を与えている、一方で、行政府は外国主権と交渉する憲法上の権限を有している、こういう明白なチェック・アンド・バランスを制定した、これは大統領が一方的に外国と交渉しないように、それから今大臣がおっしゃった、国益に反すると連邦議会がみなすような貿易政策を課さないようにと書いてございます。
 私は、これをそっくり日本の国会と政府との関係に当てはめたいと。つまり、TPPに関しては国会で両院の決議があったわけでございます。国益と今おっしゃった。まさに国益のための決議が出ているわけですから、これを尊重するという、アメリカですらやっている。日本は議院内閣制でありますから、なおさら国会の決議を尊重しなければいけないという意味でもこれは大変貴重な中身であると。
 この次のページの真ん中辺にいきますと、政権は議会に対する信頼を裏切ってきたと。これは最後から二番目のパラでございますけれども、したがって我々は反対をするんだということを言っておりますので、日本におきましても国会の決議、あるいは去年あるいは今年の選挙の前のマニフェストがございますけれども、そういった意味でも、議会のこのいわゆる決議等をしっかりと政府が受け止めていただきたいという意味でもこれは貴重でございますので、是非肝に銘じてこれから国益のためにやっていただきたいということを申しておきたいと思います。
 時間の関係で、次に参りたいと思います。
 したがいまして、このTPPもマルチのことでございますから、担当大臣が誰というよりも、私は、こういった経済外交というのは日本の存立の基盤でございますから、こういったことについてもNSCが取り扱うべきだということを申し上げておきたいと思います。答弁はちょっと時間の関係で、次も同じような質問でございますので、次に移りたいと思います。
 資料の、ページ数打っていないので恐縮ですが、最後から三枚目のページをおめくりをいただきたいと思います。
 横書きで、「IAEAの事業内容と関係行政機関との関係」という実はページがございます。これは質問通告しておりましたけれども、実はIAEAと日本の政府との関係を調べてみましたら、びっくりいたしました。IAEAという国際機関と日本政府がやる場合に、原子力委員会、外務省、文部科学省、経済産業省、原子力規制委員会等々、いろんな分野がIAEAのいろんな部局とやり取りをしている。アポを取るにも非常に難しい。ということは、これはまさに日本の原子力行政が統合的な体制になっていないと。
 一方、先ほどのTPPもそうですが、これ核セキュリティーも含めまして、これ日本にとっての戦略的、広範な政策課題でございますから、アメリカの方でもこのNSCがこういった分野もかかわっておるというふうに聞いておりますので、こういった統合的行政体制におきましては、アメリカもイギリスもNSCというのは多省庁間の統合調整という機能も非常に重要な機能でございますから、これも私は先ほどのTPP、そしてこういったIAEAといったものもNSCとしてかかわるべきではないかと思いますが、長官から答弁をいただきたいと思います。
国務大臣(菅義偉君) 国家安全保障会議の審議事項は、時々の安全保障情勢に応じ、総理が総合的に判断をするものになっております。
 原子力政策についても、仮にそれが国の存立にかかわるような安全保障上の課題であるということの判断をされれば、この安全保障会議で審議することはあり得るというふうに思います。ただし、この国家安全保障会議がかかわる場合は、やはり全体として、今申し上げましたけれども、安全保障というものが、IAEAにおいてもそこがかかわるものということになっていますので、そことの関連性になるんだろうと思います。
藤田幸久君 核セキュリティーを含めて、今のこの原子力行政というのは安全保障に該当しませんか。
国務大臣(菅義偉君) 例えば、放射能物質のテロ事件というのは、私はそこには当たるというふうに思います。
藤田幸久君 是非、私はそういう観点から取り扱っていただきたいと思います。
 時間の関係で、次に森大臣に質問をさせていただきます。
 最後から二枚目の資料を御覧いただきたいと思います。これは先週、日本外国特派員協会から出された、この特定秘密保護法案に対する懸念を示す声明でございます。これ、英語の方がはるかに厳しい表現です。日本語で読みましても非常に厳しい表現でございますが、森大臣、これ御覧になったと思いますが、いかがお感じでしょうか。
国務大臣(森まさこ君) 十一月十一日、ちょうど先週に日本外国特派員協会がお出しになった声明だと承知しております。この中身を見ますと、報道の自由が政府の配慮の対象にすぎないのではないかとか、第二十一条第二項の著しく不当な方法が拡大解釈されるのではないかなどの御懸念が示されていると思います。
 しかしながら、まず本法案第二十一条では拡張解釈を禁止しております。また、国民の知る権利に資する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならないこと及び通常の取材行為は正当業務行為として本法案の処罰とならないことを明記しております。これらの規定は、行政機関はもとより捜査機関や裁判所においても解釈適用の準則となり、本法案の解釈適用に当たる当事者全てが、国民の基本的人権への不当な侵害がないかどうか、報道の自由、取材の自由等に十分に配慮がされているかどうかを判断し、留意することとなります。
 したがって、これらの規定により、報道の自由と取材の自由に十分に配慮した本法案の運用が確保されるものと認識しておりますので、政府としては、引き続き本法案について丁寧に説明をし、皆様の御理解を得るように努力してまいりたいと思います。
藤田幸久君 最後に配慮とおっしゃったんですが、まさにその配慮というのは主観的、恣意的なことが可能であるというんで、この配慮ということに対する懸念が示されているんだろうと思います。
 丁寧に説明ということですが、この外国人特派員協会の皆さんとお会いになりましたか、大臣。
国務大臣(森まさこ君) お会いをしておりません。
藤田幸久君 大臣は英語もお得意でございますし、是非お会いになっていただかなければ、これは、いわゆる外国人特派員協会の方々というのは対外発信の基地でもございますし、昔でございますが、田中角栄総理の関係でもこの外国人特派員協会というのは非常に大きな結果的に役割を果たしたということもございます。
 私、この資料で三行目の一番右側の、起訴や禁錮を可能と書いてあります。あれっと思ったらば、要するに逮捕じゃなくて禁錮、インプリズメントです、アレストではなくて。つまり、そこまでのおそれを、この日本を取材してきた、したがって日本に対しては理解もある方々がここまで書いていらっしゃるということは、この配慮というような主観的なことではなくて、法律の立て付け上可能性があるということに対する懸念だろうと思いますので、それに対しては、今先ほど御説明なさったような主観的な解釈説明ではなくて、法律的にこれはこうなんだということを説明しなければ、私はこういう方々に対して納得は得られないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(森まさこ君) 禁錮につきましては漏えい罪のみでございますので、当たらないということを御丁寧に御説明申し上げていきたいと思います。
藤田幸久君 たまたま私、これを質問しようと思って昨日テレビを見ておりましたらば、野中広務元官房長官と古賀誠元自民党幹事長が出ておられました、「時事放談」。野中元官房長官、こんなことをおっしゃっておられました。この特定秘密法案に関して、戦争の足音が聞こえる、恐ろしい方向へ一歩一歩進んでいくようだ、秘密の扱いを狭くして罪人をつくっていく、善良な人が罰せられる危険性がある。これは……(発言する者あり)やじで分かっていないという話がありましたが、これは、どう国民が受け止めるか、どう外国の方が受け止めるか、それからどうマスコミの方が受け止めるかという、私は非常に重要な事実だろうと思います。
 その観点から、あの特定秘密法案、先ほど来大臣の答弁がいろいろと変わっているというふうに取られているということも含めまして、この法案の立て付けそのもののいろいろな不備といいますか不十分な点があるんじゃないかと思いますが、そして、これだけ一つの法案で内外の方々に不安を与えてしまったという事実があるわけですけれども、それに対してどう改善していこうかというおつもりがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
国務大臣(森まさこ君) 私の答弁は変わったことはございません。これは議事録等を確認をしていただければ分かることです。また、委員会の答弁については全て動画で御覧いただけますので、変わっていないことを確認をいただければと思いますが、いずれにせよ、御懸念をお持ちの方については政府として丁寧に説明を尽くしてまいりたいと思います。
藤田幸久君 それでは、例えば外国人特派員協会の方々とお会いになるおつもりはありませんか。
国務大臣(森まさこ君) まだ面談のお申出を受けておりませんけれども、様々な手段を尽くして御説明を尽くしてまいりたいと思います。
藤田幸久君 ちなみに、今回の法案の英訳あるいは外国語訳はございますでしょうか。
国務大臣(森まさこ君) 概要についてがございます。
藤田幸久君 法律用語でございますから、詳細が重要だろうと思います。私も外交防衛委員会なんかで質問しておりますが、かなり日本の政府の英訳あるいは逆の場合もかなりそのニュアンスの違いがございますので、正確なまず英訳、あるいは私は今回は、いろんな意味で、特にNSCもそうですけれども、これは官房長官というか政府にお願いしたいのは、やっぱり中国語訳あるいは韓国・朝鮮語訳といいますか、これ重要じゃないかと思うんですが、これは今突然の質問ですが、私非常にそれ重要だろうと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) 概要だけはあるようでありますけれども、必要であればそこは考えたいと思います。
藤田幸久君 やはり詳細が重要だろうと思います、特に法律ですから、ニュアンスが非常に重要ですから。ですから、詳細な英訳を含めた、あるいはアジアの方々等にも理解していただくように、早急にこの二つの法案の外国語訳を作っていただきたいと思います。
 そこで、この関係でいいますと、委員長、一つお願いがございますが、この日本外国人特派員協会の代表の方を本委員会に参考人として招致していただくように要請をしたいと思います。
委員長(中川雅治君) 後刻理事会において協議いたします。
藤田幸久君 最後に、この一番最後のページの資料について質問をさせていただきます。
 実は今日、私、谷内内閣官房参与をお呼びしたかったのですが、今日は何か北海道で講演だということで、来ていただけません。
 この内容について外務大臣にお聞きをしたいと思います。
 これは、四年前に当時の谷内正太郎政府代表が北方領土問題に関して三・五島でもいいのではないかと、これ毎日新聞の一面に記事が出ました。これに関して後に、当時の麻生総理も、これは資料でいいますと二つ目の段落について読み上げております、向こうが二島、こちらが四島では進展しないと述べたということで、この四島返還という対ロ外交の基軸を否定するかのように発言をしたというふうにこの意見広告が出ております。
 この意見広告は、御覧になっていただくと分かるんですが、大使経験者十五名であります。それから、事務次官一人。この十五名の方がやはり対ロ交渉の基本的立場を崩してはならないと。よく読んでみますと、これは一番上の左の方の最後のパラですが、政府の首脳及び一部関係者の不用意な発言で国益が取り返しの付かないような損失を被っては困るということと、真ん中辺ですが、具体的な交渉も決まっていないうちに非公開でその内容に関連して妥協を示唆するようなやり方は戦術もまずいだろうということなんです。
 外務大臣にお伺いしたいのは、このいわゆる三・五島論といいますか、この返還論、この考え方については、外務省、外務大臣としてその考え方についてどうお考えですか。
国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の平成二十一年四月十七日付けの毎日新聞の記事につきましては、当時の谷内政府代表に確認をし、そして個人的には三・五島返還でもいいのではないかと考えているといった発言は行っていない旨説明を受けた、このように承知をしております。
 そして、外務大臣として三・五島論をどう思うかという御質問でありますが、御案内のとおり、ロシアとの間において我が国は今交渉を続けている最中であります。こうした問題について私がコメントするということは、まさに交渉自体に影響すると考えますので控えさせていただきたいと存じます。
 我が国の政府としまして、四島の帰属の問題を解決して平和問題を締結する、こうした方針については全く変わっていないということは申し上げたいと存じます。
藤田幸久君 私、当時、たまたま谷内さんに後で質問したので分かっているんですけれども、谷内さん、否定された一方で、毎日新聞に対して、何ら告訴するなりなんなりしないということもおっしゃっておられた。それから、これをベースに外務省のこれだけの大使経験者、事務次官も含めてこれだけ公の声明を出したということは、これは、この方々は少なくとも火のないところに煙で、火を感じたのでここまで出されたという、これは事実でございます。
 その上で、今の政府の立場とは違ったこの三・五島論だろうと思いますけれども、仮にそういうことを発言した方が今度はNSCの局長ということになりますと、そういう方がNSCの局長でいいのかどうかということが一つと、それからもう一つは、冒頭で官房副長官がいらっしゃって、事実無根だけれども新聞報道の記事があったということで調査をするということでございましたけれども、これは人事のことですと、固有名詞も上がっておりますけれども、例えば日銀の総裁人事なんかにおきましては一旦報道された方は外すというようなこともございますけれども、そうすると、名前が出た方で、かつ政府の考え方と違ったような立場のことをおっしゃった方が今度の人事に関して対象になり得るのかということについて、官房長官、いかがお考えでしょうか。
国務大臣(菅義偉君) 局長人事については、これまでも説明をさせていただきましたように、総理大臣が決めるものでありまして、現時点において私は白紙だというふうに考えています。まして法案の審議中ですから、いずれにしろ、この法案が成立をさせていただいて、それから当然人事には入っていくだろうというふうに思います。
藤田幸久君 私の質問は、一般論として、その冒頭の官房副長官の発言との流れでいいますと、仮に報道された固有名詞の方がいて、という方がその人事の対象になり得るのかどうかというのが一つ。それから二つ目は、谷内さん個人にかかわらず、政府の基本的な考え方と違う発言をした、あるいはそれを明確に否定しないで今、今日に至っている方も対象になり得るのか、一般論でその二つについてお答えいただきたいと思います。
 まず第一点は官房長官ですよ、官房長官です、質問は。政策の中身じゃなくて、人事の一般的な考え方のルールの問題です。
国務大臣(菅義偉君) 今申し上げたとおり、人事についてはまだ白紙でありまして、局長は総理大臣が指名するものというふうに考えています。
藤田幸久君 私の、答えは、誰がということを聞いているんじゃなくて、一般論として、報道、固有名詞が出た方というものが、例えば日銀総裁の場合には対象にならないという流れで来ている。それが今回の場合にはどうなのかということが一つ。まずそれについて。
国務大臣(菅義偉君) 日銀総裁とはここは明らかに違うと思います。日銀総裁については国会同意人事でありましたので、そこはたしか議運の中で一つのルールがあったように思っています。
藤田幸久君 したがって、対象になり得るんですね。その報道された人も含めて対象になり得るということでよろしいですね。
国務大臣(菅義偉君) 私は、現時点においては白紙でありますから、当然どなたも、高度な知見を有する方は当然対象になるんだろうというふうに思います。
藤田幸久君 では、政府の基本的な政策と異なることの発言等をしてきた方がそれを否定しないままでいられた場合でも対象になり得るということについては、これも基本的な、ですから官房長官。
国務大臣(菅義偉君) 今委員の御質問の一連の流れですと、谷内さんの話が出ました。そのことを個人は発言をしていないと言っているわけですから、当然そうだというふうに私は思います。
国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の谷内さんの御発言ですが、まさに平成二十一年の五月二十六日、委員御自身がこの参議院の外交防衛委員会で谷内氏本人に政府参考人として御質問をされておられます。その中で明らかに、「それは、そういうことは言っていませんと、これは記憶としてはっきりしているわけであります。」、本人がそのように国会で発言をしております。
藤田幸久君 時間ですからやめますが、それに対して告訴するかというのに対して、しませんというやり取りがあったということを先ほど申し上げたわけでございます。
 終わります。