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  • 【2009年2月9日】

    活動報告

    質問第二二号

    戦時中の連合国捕虜使役問題に関する質問主意書

    右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

    平成二十一年一月二十九日
    藤田 幸久

    参議院議長 江田 五月 殿

    戦時中の連合国捕虜使役問題に関する質問主意書

     昨年十一、十二月に参議院外交防衛委員会で戦時中の連合国捕虜使役問題について質問し、日本政府の姿勢を質したが、不明な点が多いので、以下質問する。戦後六十四年にもなるのに、高齢に達している元捕虜の当事者やその家族・遺族らと充分な和解ができず、日米・日英・日豪・日蘭などの外交関係においていわば喉に刺さった棘のように現在まで問題を引きずっていることは誠に遺憾である。捕虜問題は、日本が受諾したポツダム宣言の第十項に盛り込まれるほど重大な日本の戦争犯罪であると認識されていた。また捕虜問題は戦争裁判のみならず、サンフランシスコ講和条約第十六条にみられるように戦後の日本政府の対応が求められてきた重大な外交案件である。国連総会で日本も賛成して決議した「国際和解年」である今年、戦後日本外交の「棘」をとりさるためにも、日本政府の誠実な対応を強く求めるものである。

    一 先の大戦中の戦時捕虜に関する資料の保管状況について

     先の大戦中の戦時捕虜に関する資料および関係の文書は、日本政府において戦後どのように扱われ、現在どこに保管されているのか。引継ぎ状況に関しても詳細を説明されたい。

    二 捕虜問題の担当部局および責任者について

     先の大戦時の戦時捕虜に関する諸問題および政策立案を所管する部局は政府のどこか。また所管する責任者は誰か。

    三 捕虜問題の認識について

     連合国捕虜の取扱いをめぐる問題は、対米、英、豪、蘭などとの戦後外交の中で一貫して極めてセンシティブな問題であった。オランダ・ハーグでは今も元捕虜・抑留者が毎月日本大使館前で抗議デモを行い、時に日本の大使も面会に応じ、要望書を受け取り、返書を出したこともあると聞く。

    1.  在豪日本大使館ではなぜ在蘭日本大使館のような誠実な対応を行わず、当事者の声を聞こうとしないのか。
    2.  日本政府としては、現在これらの連合国捕虜問題に関してどのような認識をもっているのか。対応すべき問題と認識していないのか。
    3.  日本政府は当事者にどのようなメッセージを語ろうとしているのか。

    四 豪州元捕虜・家族らの訴えについて

     麻生現総理が外務大臣に就任した二〇〇五年以降、麻生鉱業で使役された豪州の元捕虜や家族から捕虜問題解決を求める訴えが行われ、豪州の地元新聞や放送でも繰り返し取り上げられてきている。

    1.  在豪日本大使館や総領事館はこれらの情報を得ていたものと思われるが、東京の本省や官邸にこれらの情報を伝達していなかったのか。
    2.  日本政府はこれまでに元捕虜、家族から直接手紙や電子メールなどを受け取ったことはないか。受け取った場合は、それらの要望や質問にどのように対応したのか。

    五 麻生鉱業捕虜使役に関する情報の確認について

    1.  外務省は二〇〇六年七月四日の外国プレス記者会見で国際報道官が麻生鉱業の連合国捕虜使役の事実に否定的なコメントを述べたが、いかなる根拠に基づいて否定したのか。
    2.  二〇〇六年十一月十五日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙記事に関しても、昨年十一月十三日、十二月十八日の参議院外交防衛委員会で中曽根外務大臣が「当時外務省において必要な確認を行った」と答弁しているが、具体的にどのような確認作業を行ったのか。
    3.  麻生総理は一月九日の衆議院予算委員会で、「私の事務所を通じて旧麻生鉱業関係者に照会を行ったが、当時そのような情報は見出すことはできなかった」と答弁しているが、いつ旧麻生鉱業の誰に、どのように照会し、どのような回答を得たのか。
    4.  政府として旧麻生鉱業関係資料を精査しなかったのか。

    六 「麻生百年史」における記述と実態について

     当時取締役社長であった麻生総理が発行者であったこの本には朝鮮人労働についての記述がある。

    1.  麻生鉱業で使役されていた朝鮮人の当時の状況について「強制労働」であったとの認識はあるか。
    2.  他方、連合軍捕虜については全く記載がないが、それらについて関係者への照会や文献調査などを行わなかったのか。

    七 ニューヨーク総領事館ホームページでのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙記事への反論について

    1.  ホームページに反論が掲載されたのは正確にいつからいつまでか。
    2.  反論掲載を提起・指示した責任者は誰か。
    3.  また、そのホームページを削除した日はいつか。
    4.  その削除を提起・指示した責任者は誰か。
    5.  麻生総理はその削除の報告を受けていたか。
    6.  一月六日の衆議院本会議、九日の衆議院予算委員会で麻生総理、中曽根外務大臣はインターナショナル・ヘラルド・トリビューン記事には「事実誤認などが種々含まれていたために」と答弁しているが、麻生炭鉱捕虜使役の事実以外の、事実誤認をすべて挙げられたい。また、それらについて何が誤認か明示されたい。

    八 労賃の支払いについて

     元捕虜らが日本政府に対する不信感を払拭できない点は、彼らにとって明示的な謝罪がないという点とともに使役された当時の労賃が支払われておらず、激しい労働を強いられたと感じている点である。日本政府は、在外資産等約五十九億円分を赤十字国際委員会(ICRC)を通じて十四ヶ国に支払ったと主張している。

    1.  日本側が支払いを行ったことを裏付ける資料を明らかにされたい。また海外の当事者にも分かるように説明すべきと思うが、如何か。
    2.  ICRCをとおして支払われた配分金は、各国においてどのように支給されたのかについて、詳細な報告を得ているか。
    3.  それらの報告・資料を請求したことはあるのか。
    4.  米国には配分されていないようであるが、なぜか。米国に配分されない理由を米国人元捕虜らに説明したことはあるか。
    5.  労賃支払いの根拠となる勤務記録などの資料は現在どこに保管されているか。

    九 捕虜問題の解決に向けて

    1.  これらの戦時中の捕虜問題の解決と当事者・家族との和解のために今どのような施策を政府としては考えているのか。
    2.  平成二十一年度予算案の中で、元捕虜およびその家族らを対象とする事業は何か。また予算とその内訳を明らかにされたい。

     右質問する。

    答弁書第二二号

    内閣参質一七一第二二号
    平成二十一年二月六日

    内閣総理大臣 麻生 太郎

    参議院議長 江田 五月 殿

    参議院議員藤田幸久君提出戦時中の連合国捕虜使役問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

    参議院議員藤田幸久君提出戦時中の連合国捕虜使役問題に関する質問に対する答弁書

    一について

     昭和十六年十二月に旧陸軍省に設置された俘虜情報局は、捕虜の留置、移動等の状況の調査、捕虜の銘々票の作成、補修等を行っていた。戦後、当該業務を引き続き実施していた同局が、第一復員省及び総理府を経て、昭和三十二年に廃止されたことに伴い、同局所有の戦時捕虜に関する資料については当時の厚生省に引き継がれ、現在は厚生労働省が保管している。一方、外務省が保管してきた外交記録のうち、終戦前のものは昭和四十六年四月に外務省外交史料館が開設した際に同館に移され、以後、同館が保管し、一般の閲覧に供しているが、こうした外交記録の中には、お尋ねの「戦時捕虜に関する資料及び関係の文書」に関するものも含まれている。

    二について

     御指摘の「先の大戦時の戦時捕虜に関する諸問題および政策立案」は多岐にわたるため、事項に応じて政府において担当する部局が対応している。

    三の1について

    在豪州日本国大使館においては、これまで、豪州人元捕虜等からの要望等に対し、返書を送付するなど、適切に対応してきている。

    三の2及び3について

     捕虜の労働自体は、当時の国際法においても認められていた。一方、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、元捕虜を含め、旧連合国諸国を含む多くの国々の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたとの歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを、これまで様々な機会に表明してきている。

    四の1について

     在豪州日本国大使館及び在豪州日本国総領事館は、関連の報道等について、外務本省に対ししかるべく報告してきている。

    四の2について

     政府はこれまで、豪州人元捕虜等からの手紙等を受け取った場合、面会に応じたり、返書を送付するなど、丁寧に対応してきている。

    五の1について

     平成十八年七月四日に行われた外国プレス記者会見の記録を確認したが、御指摘のようなコメントは確認できなかった。

    五の2及び4について

     外務省が保有している資料で記事の内容に関係するものがないか等について、外務省国際報道官室より、外務省のその他の関係部局に確認を行った。

    五の3について

     平成十八年十一月十五日付のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙記事の報道を受けて、麻生太郎事務所より、旧麻生鉱業に関する情報を有する可能性があると考えられた株式会社麻生に対し、照会を行ったところ、これに対し、同社より麻生太郎事務所に対し、連合軍捕虜の労働に関する資料は確認できなかったとの回答があったと承知している。

    六の1について

     旧麻生鉱業における当時の朝鮮人労働者の労働の実態について把握していないため、お答えすることは困難である。

    六の2について

     御指摘の書物は、麻生内閣総理大臣が内閣総理大臣に就任する前に一個人として発行したものと承知しており、お尋ねについて政府としてお答えする立場にない。

    七の1及び3について

     反論の掲載については、平成十九年一月五日(ニューヨーク時間)に行われた。反論の削除は、平成二十年十二月十七日(ニューヨーク時間)に行われた。

    七の2及び4について

     反論の掲載については 反論の掲載・削除に係る事務は外務報道官が主管している。

    七の5について

     麻生内閣総理大臣は、削除されたことについて報告を受けていた。

    七の6について

     御指摘の記事中の麻生鉱業における捕虜の労働に関する記述以外の事実誤認等については、当時在ニューヨーク総領事館のホームページに掲載した反論の中で明らかにしたとおりである。

    八の1から4までについて

     政府は、連合国の元捕虜及び民間抑留者に対する支払については、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)及びその他関連する条約等に従って誠実に対応してきたところである。連合国の元捕虜については、サンフランシスコ平和条約第十六条に基づき、日本国の捕虜であった間に不当な苦難を被った連合国軍隊の構成員に償いをする願望の表現として、昭和三十年五月二十五日、赤十字国際委員会(以下「ICRC」という。)に対し米貨による支払を含め合計英貨四百五十万ポンド相当の支払を行った。ICRCは、これに利子等を加え、二次にわたりオーストラリア、ベルギー等十四か国に分配をしたと承知している。ICRCの報告書には国別の分配額等が示されているが、各国における分配については各国の裁量に委ねられており、どのように配分されたかについては詳細に報告されていない。

     なお、米国は同条に基づくICRCからの分配を放棄したが、その判断は米国が行ったものであり、お尋ねについて、政府としてお答えする立場にない。

    八の5について

     8の(1)から(4)までについてで述べたとおり、我が国の支払は、サンフランシスコ平和条約第十六条に基づき、連合国の元捕虜が日本国の捕虜であった間に不当な苦難を被ったことに対する償いをする願望の表現として行ったものであって、労賃の支払ではない。

    九の1及び2について

     政府としては、英国及びオランダから元戦争捕虜及び民間人抑留者等を訪日招へいし、対日理解及び相互理解を促進している。平成二十一年度予算案の内訳は、日英平和交流事業九百十二万六千円、日蘭平和交流事業二千三百二十五万四千円である。

    [藤田幸久茨城事務所]

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