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衆議院イラク特別委員会で、元自衛官の斉藤さんイラク拘束事件について町村外務大臣に質問2005年05月12日


活動報告

平成17年5月12日(木曜日)
13時30分開議

第162回国会 衆議院

衆議院イラク特別委員会で、元自衛官の斉藤さんイラク拘束事件について町村外務大臣に質問

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藤田幸久 町村外務大臣 大野防衛庁長官

○船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田幸久君。

○藤田幸久 民主党の藤田幸久でございます。
 きょうは、齋藤さんという、イラクにおける拘束事件を中心に、両大臣にお伺いをしたいと思います。

 特に外務省におかれましては、外務大臣、十一月に引き続いて、皆さん不眠不休の努力をされておられるということに敬意を表したいと思いますし、昨年の四月、十一月の人質事件の際もそうでございましたが、民主党の立場とすれば、人命尊重という観点から、情報提供を含め、与野党の壁を超えて政府に協力する用意があるという姿勢で、月曜日の日に早速談話を発表して、私どもも限られた形の中で努力をしているつもりでございます。

 それで、まず外務大臣にお伺いしたいと思いますが、齋藤さん拘束事件の一番最新の情報、特に健康状態、安否等についての最新情報をお聞かせいただきたいと思います。

○町村外務大臣 外務省に対して激励のお言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。限られた能力でございますが、一生懸命取り組んでいるつもりでございます。

 今藤田委員お尋ねの、齋藤氏の安否でございます。先ほど吉川局長が御報告をいたしましたように、齋藤氏は襲撃を受けた際にかなりの負傷を受けた可能性がありますという報告を受けているわけでございますが、どの程度の負傷、そもそもこの情報が正しいかどうかというのを今別途チェックをしているわけでございますが、間違いないこととは思うのでありますが、絶対ということが言えるかどうかはわかりません。また、軽い負傷なのか重い負傷なのかということもわかっておりません。あるいは命に影響があるのかどうか、その程度、問題もまだよくわかっておりません。

 また、どこにいるのかということも、襲撃をしたであろうグループのホームページといいましょうかを見ると、彼らが拘束をしているという可能性が相当程度あるんだろうとは想像できるわけでありますけれども、その点も今各種情報がいろいろありまして、これといって今まだ断定できる状態にはない。大変心配をいたしているところでございまして、安否を含め、情報収集に全力を挙げているところでございます。

○藤田幸久 通告をしておりますが、まず、日本政府、バグダッドの大使館、大使ほかがどういうアプローチをしているのか。恐らく、ハート・セキュリティー社、アメリカ軍、それからイラクの移行政府にアプローチをし、接触して情報収集をしていると思いますけれども、それぞれどういうアプローチをして、どういう情報を得たのか、お答えいただきたいと思います。

○町村外務大臣 ハート・セキュリティー社、米軍関係者、イラク政府、それぞれ、大使あるいは公使、大使館員が、直接会う、あるいは電話で連絡をとる等のことをやっております。

 それぞれどういう情報であったかということは、機微にわたる点もございますので、この人はこう言った、この人はこう言ったという点につきましては、恐縮でございますけれども、今はちょっと申し上げかねるところでございます。私どもなりに、そうしたいろいろな情報あるいはイラク以外の他国の政府からの情報もございます、そうしたものを総合して、まず間違いなくこの情報の収集状態で言えるのはここまでかなというのを先ほど局長の方から御報告し、書き物にして皆様方にお配りをした内容であるということでございます。

○藤田幸久 目撃者証言というのが、これはハート・セキュリティー社の生き残ってといいますか逃れた方の証言だろうと思いますが、そのハート・セキュリティー社のホームページによりますと、全く希望を失っていないけれども、つまり、齋藤さんが生きているということに対して望みを捨てていないけれども、致命的な傷になっていた可能性が高いというような表現だろうと思います。

 外務省の方もこの直接の目撃者と連絡をとったんだろうと思いますが、これは、間接的であってもハート・セキュリティー社の人間に会ったとするならば、ここまでホームページに出ているかなり具体的な記述についての確認をしたはずなんですね。ということは、その確認に基づいて、断定ができないまでも、恐らくそういった望みは捨てていないものの、極めて致命的であろうということについては、それを覆す情報というのはあるんでしょうか。

○町村外務大臣 私どももこのハート・セキュリティー社のホームページを常にウオッチしております。それによりますと、目撃者の報告によると、事件の際にこうむった傷は命にかかわるものであったかもしれない、メイ・ハブ・プルーブド・フェイタル、こういう英語になっておりますので、相当な傷で、命に別状があるおそれもある、こういう表現であります。

 この目撃者というのは一人でございまして、その報告者も、齋藤さんについて最終的な確認というものが必ずしもできていないという状況のようでございます。したがいまして、メイ・ハブ・プルーブドといったようなかなり慎重なというか抑えた表現になっているようでございます。

 ただ、別の情報によると、これとは多少違う他の機関からの情報もあるものですから、ここに書いてありますように、致命的な傷を負った可能性があるとの目撃者証言がありますが、安否その他不明ですという、とりあえず、こういうかなり外務省としても限定をつけた物の言い方に今とどめているところでございます。

○藤田幸久 この現場に、ヒートというところのようですが、大使館員あるいは現地職員を含む館員、あるいは大使館が依頼、委託した人員を現場方面に派遣して情報収集に当たっているかどうかについてはいかがでしょうか。

○町村国務大臣 現地に人を派遣するかどうか、かなり厳しい治安状況にあるということを考えながら慎重に判断する必要があるということでございまして、現時点において、私ども日本政府の大使館員あるいはそれにかわる者を事故の現場に派遣してやっているわけではございません。主としてバグダッド市内において、いろいろな人と会い、あるいはいろいろな機関を訪問するという形をとって情報収集しているところでございます。

○藤田幸久 犯行を名乗ったグループがサイトを出したりしていますけれども、このグループに対するアプローチ、これは、直接接触をする、間接に接触するということばかりではなくて、今回は発信を何もしていない。昨年十一月のケースは、町村大臣自身がアルジャジーラで電波を通じて発信したりしましたが、今回何も発信をしていないと理解しておりますが、なぜでしょうか。

○町村外務大臣 その犯行をしたと称し、彼らのホームページで一たん発表したわけでありますけれども、まあ間違いはないと思うんですが、本当にそのグループがやったかということも実はまだ確証がとれていないわけでございます。そして、その後何ら発信もない状態で、コンタクトがあるかないかということはちょっと差し控えさせていただきますけれども、そういう状態の中で、私どもが直接マスコミを通じて例えば解放を呼びかける、前回そういうことをやったわけでございますが、その手段を今とることが適切かどうなのかということについては、今そのタイミングではないのではないかということで、やっておりません。

 その犯行を犯したであろうと想像されるグループへの何らかの接触をとる努力はいろいろやっておるわけでございますけれども、接触がとれたかとれないか、あるいは先方が何を言っているか言っていないかという点は、今、ちょっとこれは機微にわたる部分でございますので、報告は差し控えさせていただきたいと存じます。

○藤田幸久 昨年の十一月も、あるいは昨年の四月も、犯行グループが特定されていない段階で発信をしていたんだろうと思うんです。それから、今回の違いは、まず、この齋藤さんという人が、つまりフェイタルである可能性とか程度の違いはあっても、要するに傷を負っている可能性が非常に高いという状況の中では、昨年の二回の場合は、自衛隊の撤退とかいう政治的な課題との関係での発信が多かった。つまり、撤退はしないとか、そういった行動に対しては屈しないとかいう意味でのことだった、それから解放しろという話だったんです。

 今重要な発信は、とにかく、相手がだれであっても、齋藤さんという人の治療というか健康というか、人命の尊重をしてほしいという発信は私はできるんだろうと思うんです。これは、グループがだれであっても発信はできるわけです。去年の段階も、相手が特定されなくても、当時は香田さんでしたか、犯行をしているグループにという言い方をしてたしか大臣は発信をしたんだろうと思うんです。

 発信は一方通行ですから、発信をすることは可能であって、今現在重要なことは、解放しろと言う以前に、とにかく人命尊重、それで、もし傷を負っているならば、ぜひ人道的な観点から治療なりしてほしいということの発信だけはできると思いますが、いかがでしょうか。

○町村外務大臣 私、委員の御意見にあえて異を唱えるつもりもありません。それも一つの方法かなと思うのでありますけれども、それをやることの有効性とかやるべきタイミングとか、それは、するなら早くやった方がいいじゃないかという反論も当然返ってくるのかもしれませんけれども、いろいろ検討もしてみたんでありますけれども、今回について言うと、ちょっと前回と事情が違う面もあるのかなと。

 確かに、前回だって、明確にこのグループと最初から特定できていたわけではなかったわけでございますが、その後すぐ追っかけて声明が出たり、あるいは条件といいましょうか、要求というものが出たりしました。

 今回は、その後ぱたっと何もないという状態なものですから、そういう状態の中で委員のおっしゃるようなことを言うという意味は確かにあるのかもしれません。いろいろ考えて、ちょっと私どもそれは今までやっておりませんでしたけれども、今あえて委員の御指摘でございますから、早急に考えてみたいと思います。

○藤田幸久 ありがとうございます。

 つまり、可能性の中で、全くその犯人グループなるものの手になく、どこか路頭で齋藤さんがかなり重い傷を負ってだれも手がつけられないでいるという可能性も含めて、これは、発信というのは放送ですから、それを見た民間人の目に触れるということも含めまして、そういった発信をぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 それから、今回、齋藤さんなる日本人がイラクの中に入っていったということについてなぜ把握できなかったのか。今までの政府の答弁は、要するに、水際といいますか国境でこれがチェックできなかった。つまり、会社がまとめて恐らくビザ等の手配をしたんではないかという話でございますけれども、いろいろ齋藤さんのパスポート、身分証明書等を見ておりますと、DOD、ペンタゴンの身分証明書等もありますし、これは、今のいわゆる民間警備会社等が入る場合にはペンタゴンが、ビザあるいは入国関係も含めて、会社と会社同士でやりとりをしているというふうにも聞いておりますので、したがって、少なくとも米軍は、全部じゃないにしても、かなりの確度で、このハート・セキュリティーほかの民間警備会社等が雇用契約を持っているイラク人以外の人々の入国に関して、少なくとも米軍の段階では情報を持っていたんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○吉川政府参考人 事実関係にわたる御質問、私の方からお答えさせてください。

 先生御指摘されたように、最初の犯行声明の中に、ウエブサイトにいろいろな身分証明書がついております。DOD、アメリカ国防総省の発行による身分証明書というのがあります。それから、アラビア語で書かれたものを読んでみますと、これはイラク政府がどうも発行した武器の携帯証明書というようなものも、私はアラビア語はわかりませんが、読んでみますとそういうことが書いてあるようです。

 したがって、先生がおっしゃったように、例えばアメリカの国防省の発行する身分証明書があるわけですから、米軍は齋藤さんの個人情報を把握していた、多分そうでしょう。それから、イラクについても、その武器の携行証を出しているわけですから、政府・内務省なりは、これは国籍が書いていないですけれども、そういうものがあったということは、個人情報を持っていたでしょう。

 日本政府としては、これは繰り返しお話ししている点ですが、イラクに在住する日本人の居どころ、それを把握しようとする努力はいろいろなルートを通じて最大限やってまいりました。

 齋藤さんにつきましては、去年の十二月以来イラクにおられたようですけれども、まず、御本人から大使館なりに、御家族も含めてですが、一切連絡がなかった。そこが一番大きい点だと思います。さらに、アメリカ軍にしろイラクの政府にしろ、その手続の段階ではわかっていたのかもわかりませんが、それについて日本政府に積極的な情報提供をいただいたというわけではございませんので、そういうことから、結果的には、齋藤さんがイラクにいたというのはこの事件があって初めて知った、そういうことでございます。

○藤田幸久 ということは、ハート・セキュリティーを初めいろいろな、主に欧米系の民間の警備会社がイラクで活動をしておりまして、そのほとんどが米軍基地あるいは米軍の関係機関に出入りをしているわけです。それから、私が知っている範囲では、いわゆる民間警備会社、民間軍事会社はイラクの内務省に登録しています。それから、今吉川局長が答弁していただいたように、武器も登録しているわけです。ですから、大臣、今からでもイラクの内務省及び米軍に照会をすれば、少なくとも、日本語読みをする名前を持った、イラク人以外の人の情報は確実に入るんだろうと思うんです。

 御承知のとおり、米軍は、米軍本土なりからイラクに行く、あるいは外国に行く方々については、DNAから、歯型から、指紋から全部情報を持っているんです。したがって、恐らく、そういう情報管理はイラク内務省、米軍関係はこういう民間警備会社、軍事会社の関係者の情報を持っているはずですから、今からでも、少なくとも第二の齋藤さんが起きないように、調査を積極的に未然防止の観点からもすべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。これは大臣です。

○町村外務大臣 邦人保護、大変大切な我々の仕事だと心得ております。したがいまして、可能なことは何でもやっていかなければいけないと思っております。

 イラク政府あるいは米国防省、国防省の話は今局長がお答えいたしましたけれども、網羅的に、すべて包括的に把握して、しかも、これを関係国に通報するという体制は必ずしもとっていないんだろうと思います。したがって、問い合わせてどれだけの答えが返ってくるかという問題かなと思います。

 今度は、彼らの政府の中でどういう規制なりなんなりがあるかよくわかりません。例えば米国の場合でありますと、個人情報保護というのがかなり徹底した国でありますから、私どもよく、別の委員会で、先般沖縄で起きたヘリコプターの事故のパイロットの名前を明らかにしろという話をしても、米国は、それは米国の国内法制に従ってできませんと言う、その是非は別にしてそういうようなこと。したがいまして、イラク政府がどういう個人情報保護という仕組みをとっているのかよくわかりませんが、日本政府として可能な努力は行っていきたい、こう思っております。

 ただ、基本的に、確かに邦人保護はやらなきゃいけないんですけれども、こういう民間警備会社に働く方々というのは、ある意味では危険だからその場所に行って、高い報酬も得てという部分があるわけでありまして、だからけがをしてもいいとか、そういうことを言うつもりは全くございませんけれども、基本的に、イラクがどういう治安状態にあるかというのは、これらの方々が一番わかっているからこそ、ある意味ではその危険な場所に行くという方々なんだろうと思います。

 したがいまして、そういう方々でも、やはり私どもは邦人の保護という観点から全力を尽くさなきゃいけないと思いますが、仮に、イラクが危険な場所ですよと、我々が普通の一般の方々に情報を提供する、同じことをやってみても、彼らは、もうそのくらいは当然、半ばプロとしてわかり切っている、こういう反応なんだろうなと想像できるわけであります。

 さはさりながら、やはり危険な場所だからできるだけ行かないようにという、渡航を見合わせるような活動はこれからもまた熱心にやっていきたいし、今委員御指摘のような、どれだけの邦人がいるのかというようなことについて特にイラク政府と話し合ってみたい、こう思っております。

○藤田幸久 今大臣がおっしゃった、まさに危険だから高い報酬を求めて行くような方々、だから、危険ですよと言っても、わかり切っているといって現地に行っている民間警備会社をバグダッドの日本大使館は雇っているんですね。バグダッドの日本大使館は、英国のコントロール・リスク社を雇って大使館員を守っているわけです。それから、日本の報道機関も同じ会社を雇って守っているわけです。それから、サマワの宿営地内に住んでいらっしゃる外務省の職員も同じ会社を雇って守っているんです。今まさにおっしゃったその理由で、危険だからこういったプロに守ってもらっているわけです。

 それで、そのバグダッドの、今まさに大臣がおっしゃったような方々の内容、民間、このコントロール・リスクの何人を雇っているのか、どんな国の方々なのか。それから、外務省は、今高い報酬とおっしゃいましたけれども、年間予算、どんな契約内容を持っているのか。これは、民間会社ということですから、契約をしているわけです。その内容についてお答えいただきたいと思います。

○吉川政府参考人 今の先生の御質問に対しましては、次のようにお答えしたいと思います。

 在イラクの大使館に勤務する外務省員、それからサマワで勤務いたします外務省員の安全対策については、民間警備会社の活用を含めまして、なし得る限りの対策を講じて外務省員の安全確保に万全を期すように努めております。その双方におきます民間警備会社の詳細、例えばどういう会社であってどういう国籍の人を何人雇っているのか、これは、言ってみれば我が方の警備能力の手のうちを公表するということにもなりますので、大変申しわけありませんが、安全に支障が及びかねない、そういう観点から、詳細に関しては説明を差し控えさせていただきたいと思います。

 それから、先ほど年間予算額の御質問がございました。恐縮です、私、ちょっと担当しておりませんので、これについては別途お答え申し上げたいと思います。

○藤田幸久 本当は私は詳細でなくてもある程度答えていただかなければいけないと思いますが、時間の関係であれですけれども、少なくとも、大臣が先ほどおっしゃったような理由でこういった民間のイギリスの警備会社を雇っているんだろうと思うんですけれども、それではなぜ、サマワの自衛隊の宿営地の中で活動する外務省の職員にもこういった、まさに危険だから行っているような、高い報酬を払うような民間の警備会社の人が必要なのか。

○吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 私も現場で活動内容を見てまいりましたが、自衛隊の宿営地の外で外務省員が働く場合に、二種類ございます。

 第一種類は、自衛隊の皆さんと一緒に自衛隊の支援にかかわる業務を、外務省員として例えばアラビア語を使うとかそういう格好で御一緒にするときには、自衛隊の部隊と行動をともにしておりますので、自衛隊の部隊の車両に乗車してその管理下で働くという、これが第一のタイプです。

 二番目は、外務省員が任務遂行上独自に動かないといけない、例えば知事さんに会いに行く、市長さんに会いに行く、またODAで独自にやっているような現場を見に行く、こういう場合には、この場合の安全対策は、現地の状況を慎重に見きわめながらやっておりますが、自衛隊の警備なり車両を使うことができませんので、民間警備会社を活用して行っているということでございます。

 それから、先ほどのお答え申し上げられませんでした経費の問題ですが、イラクにおける民間警備会社のために年間予算どのくらい使っているのかということでございますが、一つの数字の目安として申し上げますと、イラクとアフガニスタンにおける身辺警護業務に係る経費の総額は、平成十六年度予算では八億円弱という規模でございます。

○藤田幸久 サマワの話が出てまいりましたので、順番を逆にしまして、大野防衛庁長官にお伺いしたいと思いますが、けさの読売新聞に、サマワの太田群長と外務省の小林所長の記事が出ておりました。私ども委員会のメンバーも、二週間ぐらい前でしょうか、市谷の防衛庁の本部からテレビ電話でこのお二人とも会談をさせていただきました。

 きょうのインタビュー記事を見ていますと、要するに、これから復興を進める上でJICAなどによる民間支援が必要だろうと。それに対して、外務省の方は、まだ民間が出ていける安心できる状況じゃないというのに対して、太田群長は、私は意見が違う、一〇〇%安全ではないけれども、今の治安状況なら宿営地の中に入って我々と一緒に活動することは可能と思う、我々には大きな復興プロジェクトを進めるノウハウがないけれども、JICAやコンサルティング会社だったらやってくれるし、そうした彼らの活動を自衛隊が手助けすることを考えてもいいと思うと。

 私は、よくここまでおっしゃっていただいて、多分そのとおりだろうと思うんです。サマワの中についてはもう少し踏み込んだ活動に変えていってもいいと思って、この太田さんの話は非常に好意的に思ったわけですが、このことについての長官のコメント、それからさらに敷衍をしたお考えをお聞かせいただければ幸いです。

○大野防衛庁長官 我々は、イラクの復興につきまして、自衛隊の行う人道復興支援活動、それからJICA、ODA経済援助、その他の経済援助系統の活動、これを車の両輪だと、この車の両輪でイラクの復興支援をやっていくのだ、こういう御説明をしてまいっております。

 今、太田群長の話あるいは藤田委員のお話は、この車の両輪を一つにして一輪車にしたらどうだ、一つの考え方だと思います。

 しかし、ちょっと待って考えてみなきゃいけない。これはやはり治安の問題ではなかろうか。サマワというのは、イラクの他の地域に比べて比較的治安は安定いたしております。しかしながら、なかなか治安も予断を許さないところがあるし、自衛隊以外の主体が安全に活動を実施し得るのかどうか。私は、まだまだ自衛隊以外のものは安全に実施し得るような状況にはない、このように判断しております。したがってこそ、自衛隊の活動の安全確保は防衛庁長官の責任として、私も真剣に取り組んでいるところでございます。

 全体として見ますと、日本政府として、サマワのあるムサンナ県を含めまして、イラク全土において邦人の退避勧告を出しているわけでございます。ですから、こういうふうに一本になってやる、これも一つの考えだと思いますけれども、私は、今のような状況を十分考えていただきたい、このように思うわけでございます。

 もう一つ申し上げたいのは、これは考えていただきたいのですけれども、自衛隊の活動が日本のメッセージとして本当に、経済援助とか、それはそれの一つのメッセージになりますけれども、人的な支援が一つの住民の共感を呼んでいる。私はこれをソフトパワーと申し上げておるのですが、こういうソフトパワーのメッセージ、それからJICAとかそういうメッセージ、これをどう考えていくか、こういう問題もあろうかと思います。

 民間による支援は大変重要なことでございます。しかしながら、今現在そういう一輪車にするということは少し早いのじゃないか。それと同時に、私が考えますのは、やはり一日も早くイラク全体が復興して、そして治安も安全になって、確保されて、民間による支援が安全にできるような状態になる、このようなことのためにさらに頑張ってまいりたい、このように思っております。

○藤田幸久 時間が参りましたが、治安が大丈夫だというのが太田群長の話だったと理解しております。そのように読んでおります。

 それでは、残念ですが、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。