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衆議院予算委員会で質問2005年02月22日

活動報告

第162回国会 衆議院 予算委員会

平成17年2月22日(火曜日)

午前9時開議

衆議院TVへリンク*『衆議院TV』ではこちらの審議中継をビデオで配信しています

藤田幸久 谷垣財務大臣
町村外務大臣 細田内閣官房長官

○甘利委員長 次に、藤田幸久君。



○藤田幸久 民主党の藤田幸久でございます。



 きょうは、谷垣財務大臣、官房長官ほかに質問をさせていただきたいと思います。



 私、先週、スマトラ沖地震の被災地を視察ということで、私どもの鳩山ネクスト外務大臣ほかと、インドネシアのアチェ、それからスリランカのゴールという南部の地域、それから東海岸、三カ所視察をしてまいりました。



 そこでまず感じたことでございますけれども、余り日本のテレビ局等の映像等に出ていないんですけれども、特にアチェでございますが、実際に行ってまいりまして、今まで報道されている、あるいは政府の関係者の方からお話を伺っている以上に実は大変な被災地であるなという感じを受けました。



 今、理事のお許しをいただきまして、資料をお配りしております。実は、一枚目の紙は、バンダアチェという、スマトラ島の一番北部でアチェ州の首都の地図でございます。国連がつくった地図でございます。



 これはどういうことを意味するかといいますと、まず、一番上の緑の部分が、左下にスケールが出ていますから、海岸から大体三、四キロでございますが、この部分が実は高級住宅街であったり商店街であったりという、鉄筋コンクリートとかあるいはれんがづくりの大変強い家屋であるわけです。その家屋部分が、まるで根こそぎブルドーザーで押しやられたように、広島の原爆被災地、あるいは、もちろん私は生まれておりませんでしたが、東京大空襲の跡のようになってしまった。その写真が二枚目でございます。



 つまり、この部分は、よく映像として、鉄砲水のように建物の間に津波が押し寄せてきて、車がくるくる巻き込まれながら流されてしまったという映像がございますが、実は、その鉄砲水のように家の間をくるくる回ってしまったというのは、戻っていただきますと、この地図で真ん中の紫の部分です。



 ということは、鉄砲水のようにあれだけすごい映像が出てきた津波被害の部分は真ん中の紫でございまして、それ以上に、コンクリートやれんがづくりの強固な建物で、人口密集地、高級住宅街、商店街であった、人がたくさんいたような部分が、海岸から三キロ、四キロぐらいにわたって根こそぎ持っていかれてしまって、そういった建物も、数百メートルとか離れたところまで流されるか、あるいは、この二枚目の写真にございますように、基礎を残して全部持っていかれちゃったというのが状況です。



 したがって、今回の津波のアチェの被害というのは、先ほど申しましたように、広島の原爆被災地あるいは東京大空襲の跡、あるいはドイツのドレスデンのような跡がこの緑の部分である。したがって、人口の半分以上が亡くなってしまった、あるいは、クリントン前大統領、ブッシュ元大統領がおとつい訪問をした地域は、人口の四分の三ぐらいが亡くなってしまった、そっくり持っていかれたというのがこの状況であるということをこの地図及び二枚目の写真でお示ししたいということでございます。



 したがって、きのうも実はあるテレビでお話をしていましたら、なぜこんな映像なりあるいは状況が日本で伝わっていないのだろうかということも含めまして、これは今まで伝えられてきたような対応とは全く違ったレベルでの復興の必要性があるのではないかということを、クリントン大統領も百聞は一見にしかずとおっしゃっておられましたが、私どもも百聞は一見にしかずという認識で帰ってまいりましたということをまず大臣、各委員方にお伝えいたしまして、ぜひそういった意味の情報、現状の確認をまずしていただきたいというふうに思っております。



 その上で、まず財務大臣にお伺いをしたいと思います。



 これだけの被害でございます。それで、これは現地のある大使の言葉によりますと、広島の原爆の三十万倍のエネルギーであった。実は、アチェからコロンボ、スリランカまで、シンガポール経由でございましたが、大体三時間四十分かかりました。ところが、津波は二時間でスマトラからスリランカに到着した。ということは、飛行機よりもはるかに、一・五倍ぐらいのスピードで津波がスリランカ全体を襲ってしまった、それだけのエネルギーということでございます。



 それで、実は日本政府の方も、有名な五億ドルのプレッジをしたということで大変評価を得ているわけですが、先週、ロンドンで国連のパシャ事務次長という方が、復興には、これは私は質問通告のときには数字が間違っておりましたけれども、大体今まで緊急援助は五十億ドルぐらいだろうと思いますが、その二倍以上に当たる百ないし百二十億ドルぐらいの資金が必要であるというふうに述べておられますが、谷垣財務大臣、これはやはり相当な復興費用がかかるのではないかというふうにこれからもうかがわれるわけですが、どういうふうに認識されますでしょうか。



○谷垣財務大臣 藤田さんがわざわざバンダアチェへいらしてこういう調査をしてこられたことに、心から敬意を表したいと思っております。



 それで、我が国は、先ほどおっしゃいましたように、一月の一日でしたか、小泉総理から、当面五億ドルを限度とする無償資金、これをプレッジいたしまして、そのほかに緊急支援物資の供与や各種救援活動を展開する、それから、あと津波の早期警戒といったような、資金、知見、人的貢献、三点でやっていこうということでやらせていただいているわけですが、災害から二カ月たって、今藤田さんのお話にもありましたように、これは我が国の地震なんかでもそうですけれども、全貌なり被害の詳細がわかるのに若干時間が要るわけですね。だんだん全体のすごさというものがわかってきたということだろうと思います。



 そこで、当面やることは、それぞれの国がプレッジしているわけですから、そういう各国、各国際機関が表明した緊急援助の内容を、必ずしも言ったばかりですぐやっているとも限らないところもありますので、まずこれをできるだけ早くやっていく。そして、被災国の中期的な復旧復興も支援していく。我が国としても、それは、やることをやらなきゃいかぬと思います。



 それからもう一つ、この際に申し上げておきたいことは、中長期的な復興になりますと、あの五億ドルの緊急のプレッジということじゃなくて、やはりマルチでの、世銀やあるいはアジア開銀を利用した支援というのも必要だろうと思います。ここには、我が国は、両機関につくっている信託基金を活用して合計四千万ドルの支援を行う旨を既に言っているわけですが、こういうものも利用していただかなきゃいけません。



 それから、今後は、円借款の活用を含めて、中長期的な復旧復興支援策というのを検討しなければならないわけですが、それについては、藤田さんがおっしゃったように、各国や国際機関とまず情報等をよく集めて、被害の全体像、それからどこに実際ニーズがあるのかというようなことをもう少し把握していかなければいけないんではないかと思っております。



○藤田幸久 一月に、実は、国際協力銀行、JBICと世銀とアジ銀が調査をいたしました。それで、厚い文書ですが、その一部だけさっと読んだ限りですが、例えば、インドネシアだけでも四十四億ドルの被害と見積もっています。それから、スリランカに関しては、これから三年間で十五億ドル必要だと。そうすると、単純に足し算にはできませんけれども、インドネシアとスリランカだけでも六十億ドルぐらいというような、これは三機関による、JBICが一番メーンですけれども、そういう数字が出ています。



 そこからしますと、国連の事務次長が先週おっしゃった百ないし百二十億ドルと数字的にはかなり符合するんではないかという気もするんです。ですから、調査を既にされているんですよ、三つの銀行が。それは御存じですか。それで、その辺も踏まえて、大体どの程度というふうにお考えでしょうか。



○谷垣財務大臣 世銀、それからアジア開銀、JBICもやっていたと思いますが、その辺は、我が方は十分連絡をとってやっておりますので、大体そういう報告は承知しております。さらに、具体的には何なのかということもこれからやっていかなければいけないと思っております。



○藤田幸久 それで、先ほどの、つまり、プレッジした国に実行させるということは当然重要で、日本の場合には、国際機関に対しても、それからインドネシア、スリランカ等に対しても、一月の末までにしっかり払い込みをされておられるわけです。そういったことに対しては、大変政府の閣僚等は喜んでおられます。スリランカの外務大臣が、来週ですか、日本からの支援に対するお礼のためにわざわざ来日をされるという話も聞いております。



 そういう意味の評価はあるんですが、日本の場合には、半分が国際機関、半分が相手国政府に行ったということは、国際機関の下で使っているNGOは外国の方が多いんです。ですから、実際に行ってみますと、テントも、オランダのテントがあり、ほかの国のテントがあって、日本の方は非常に少ない。つまり、受益者の手に、直接目に触れるのは、残念ながら日本より多いという現状があるんです。



 これは質問通告のときに、私は広報活動に問題はなかったかというのを書きましたけれども、よく考えてみますと、広報活動以上に、現地に見えるように、現地の人に触れるような方法、国際機関、日本及び外国のNGO等を使ったふうに、せっかくのこの五億ドルを、使い方を単に、いつものようにやり、今までのとおりに国際機関と相手国政府だけを通してやるのではなくて、広報活動も十分ではなかったけれども、そういった方法自体をこれからやはり変えていくいい時期であり、かつ、必要な時期に来ているんではないか。これは非常に大きな政策的な問題ですので、そういうふうな印象を今まで以上に強く持って帰ってきておりますが、その点について、財務大臣、いかがでしょうか。



○谷垣財務大臣 ちょっとその点は、私どもももう少し、せっかく出すわけですから、私どものところにお見えになるのは、確かに、今藤田さんがおっしゃったように、先日もスリランカの財務大臣がおいでになって、非常に我が国の素早い対応には高い評価をしていただいていたわけですけれども、それぞれの国の実際に被害に遭っておられる民衆の方々に対して、日本の貢献というものをどう評価していただくかというのは、もっと意を用いていかなければいけないと思っております。外務省ともよく相談をして、もう少し工夫をしたいと思っております。



○藤田幸久 ありがとうございます。



 それからもう一つ、インドネシアの復興支援を総括する大臣とお会いをしました。総括をするというのは、大統領、副大統領、その次の横断的な責任のある、つまり各省庁の大臣の上の方にお会いをしました。その方が、副大統領と一緒に今回の総括的な災害対策に当たっている方でございます。



 お会いをしましたら、いわゆる外国から受けた資金に関して、インドネシア政府とは独立した国際的な監査機関を設置する、そして、まず外国からいただいたお金をアチェとか各地域にどれだけ使っていくかということを公開します、その上で、それがどういうふうに使われたかということについてチェックをしていくと。したがって、今まで残念ながら汚職についてのうわさもあったけれども、そういったうわさを払拭するためにも、透明性と説明責任を果たせるような独立した機関をつくってチェックしていきたいということを大臣の方から直接おっしゃられました。



 それから、同じように、クリントン、ブッシュのお父さんの前元大統領がユドヨノ大統領に三日ぐらい前にお会いをされたときに、アメリカの大統領経験者の方からも、インドネシア政府に対して、使い道に関してしっかりと透明性のある使い方をしてほしいということをはっきりおっしゃっている。



 そのぐらいこのお金の使い方、インドネシアに関しては大きな政治課題になっているわけですが、そういった中で、インドネシア政府の方から、向こうからそういう独立監査機関をつくるというようなお話がございますが、こういったものに関する評価と、それから、日本政府としてどういうふうに、そういった機関ができ得るならばかかわっていくかということについて、これも財務大臣にお伺いをしたいと思います。



○町村外務大臣 委員が、インドネシアの国民福祉担当調整大臣とおっしゃるそうでありますが、お会いになったというお話でございます。その折の話は、国際的な監査機関という感じではなくて、一つは、諸外国の支援に対して、まずインドネシアみずからがしっかりと会計検査をやる、必要があれば、それぞれの国に会計検査院といったようなものがあるでしょうから、それぞれの国の方々に会計検査に参加していただいてもいいですよという発言があったと私どもは理解をしておりまして、何か、この際、新しい独立の国際的な機関をつくるという趣旨ではなかったと私どもは理解をいたしております。



 いずれにしても、透明性を高めるということは大切なことでございますから、インドネシアについては、今委員お触れになったような、いろいろ汚職等々の話もうわさとしてあるわけでございまして、今回、きっとそういった背景を踏まえてだろうと思いますけれども、インドネシア政府がこういったことを透明にやっていこう、透明性を高めていこうということは大変いいことだと思っておりますし、我々もそういう意味で、被災国や国際機関と協力をしながらモニタリングとか評価をしっかりとやっていきたい、かように考えているところでございます。



○藤田幸久 国際的なというふうに申しましたのは、インドネシアの独立した政府機関であるけれども、国際的なかかわりも認めるということをおっしゃっておられましたのでそういう表現をいたしましたが、私はなぜ、もともと谷垣財務大臣にこの質問を申し上げたかといいますと、外務大臣が答えると、今のようにモニタリングとか経協の方法論の話しか答えないんです。今回のこの調整大臣の話はそれ以上のレベルの話だろうと思って、そうでなければ、クリントン、ブッシュ、大統領経験者がこんな話をしないんです、インドネシア政府に対して。



 今回、インドネシア側が言っていますこの透明性というのは、つまり、そういった汚職的な問題、今までのスハルト時代以来とは違った国際的な経験もあるユドヨノ大統領であると同時に、アチェというものが大変な紛争地域であるので、援助の使い方によっては、この和平の復興の兆しになるものが逆にもなりかねない、そういった思いもあるいは背景もあっての、私はインドネシア政府側の強い意思だろうと思うわけです。



 そういう意味で、非常に政策的に政治的にこれは意味の重いものであるということで財務大臣にお伺いをしようと思ったら、外務大臣が出てこられて経協の方法論的なモニタリングとか、そういうレベルじゃないという、そこまでの踏み込んだ実は意味がある。



 そういう意味で、今後の、せっかくインドネシア側がそういった意思を表明している以上は、今までのいわゆる技術的なレベルを超えた政治的な意味も含めた援助の仕方、そして当該国との、いわゆる援助の受け手と貸し手の関係について、政治的にもより高いレベルで判断をするいいきっかけになり得るのではないかという意味で、財務大臣にお答えいただきたいと思った次第でございますが、いかがでしょうか。



○谷垣財務大臣 確かに、今町村大臣からもお答えがありましたように、インドネシアに対する援助については、いろいろ問題点もあったことだと思います。それから、藤田委員が御指摘になったように、あそこは紛争のあるところでありますから、今回のこの機会がむしろそういうものを乗り越えていくものになってほしいと我々は思っております。



 今、藤田委員がおっしゃったように、向こうからそういう考え方が表明されているとするならば、私どももこれは高く評価するところでありますけれども、外務大臣ともよく連絡をとりまして、日本としても、そういう大きなアジアの安定ということにつながるような対応をこれからさらに研究したいと思っております。



○藤田幸久 それでは、財務大臣、また後で別のことでお伺いをしたいと思いますが、官房長官、今回、私、三カ所ほど被災地を回りまして、ジャパン・プラットフォームの力が一番ある意味では比較優位のある形で活用されたというふうに現場でも感じたわけであります。これは、長官自身がこのジャパン・プラットフォーム創設には大変御尽力をいただいたわけですけれども、私も、ジャパン・プラットフォーム、たまたまアチェにおきましては三人の女性が本当に瓦れきの中で活躍をされておられました。私は、思わずエンゼルが活躍をしているようだというふうに思ったわけであります。



 それから、自衛隊の医療チームも含めまして、いわゆる日本の総合力の、援助のオリンピックのような形で、大変いろいろな方々が活躍をされているというふうに感動したわけであります。しかし、一方で、冒頭で申し上げました被害の大きさから比べますと、焼け石に水と言ってはなんですけれども、まだまだ十分でない、エンゼルも本当に気の毒だなという気がしたわけであります。



 それで、今後は、いわゆる緊急人道支援体制から復旧復興支援へと大きくかじを切る時点になってきていると思います。ジャパン・プラットフォームは、緊急援助の調査から始めて、二十六日に津波が起きた翌日にぱっと飛んでいけた、スターターとしてはいいんですけれども、所期の目的は十分とまでは言わずとも相当果たしたと思っています。



 これからは復旧復興支援になってきますと、まず一つは、前から長官ともお話をしておりますけれども、NGOへの直接資金協力が、やはり規模の面と範囲の面、つまり緊急支援以降についてはカテゴリー的に十分でないということ。それから、申請を前倒しで外務省の方で実質的には受け入れて審査を前倒ししているとか、補正から本予算にかわる際も、執行が早まるような工夫を経協で今やっていただいているということもあるんですけれども、やはりまだまだその部分が薄いと思うんです。



 したがって、もう少し直接資金協力等が、範囲と規模を拡大し、柔軟性が拡大するような検討が必要ではないかと思っておりますけれども、官房長官、いかがでしょうか。



○細田内閣官房長官 藤田議員がこの問題をライフワークの一つとされて本当に御活躍になっていることを、平素、敬意を表するわけでございますけれども、私自身も、通産省におったときに有償無償の援助を担当しておった。そして、自民党外交部会長のときに、コソボの難民問題が起こって、現地に行き、そしてWFPなどの日本の食糧支援が、先ほど委員がおっしゃっていましたが、日の丸がついていない、小麦がどこから出たか、お金がどこから出たかわからないような援助であるということはおかしいんじゃないかというので、そういうことをはっきりさせようじゃないかというようなこともやりました。



 それから、大きなプロジェクトはNGOが出せないということで、政府の制度を改正して、そしてジャパン・プラットフォームというような中核団体を育てて、たくさんの団体も傘下におさめながら、巨額なものも対応できるというような体制は整備したわけでございますけれども、今回のインドネシアあるいはスマトラ沖大地震の関係で言うと、まだまだジャパン・プラットフォームに対する支援は三億六千万円、当時のコソボに二千万円とかという時代から見ると飛躍的ですけれども、実際の資金需要から見るととても足りないわけですね。



 そこで、私は、個人的考え方も含みますけれども、二つあると思います。



 政府は、有償無償にかかわらず、国際的に協力して、これだけの大災害からの復興でございますから、やはり全部が連携をして、そしてしかるべき負担をする。そこにはきちんとした復興計画があって、国際的にどういうお金を投入すべきか、また、日本政府はあるいは日本の企業も含めまして、どういう技術があるか、そこにどう貢献できるかということをしっかり確定することがまず大変大切であると思います。



 それから、このジャパン・プラットフォームを中心とするNGOは、本当に、先ほど天使と言われましたが、個人で貢献されている方もすばらしい方が多くて、現地で献身的な活動をしておられますが、まだまだお金が足りません。政府が、それでは、この三億六千万円をまたふやして幾らになるかというとなかなか大変だと思うんですね。



 私は、日本の国内で余っているお金を寄附してもらったり、そういうお金を集めて、それを例えば税制上の優遇措置などで、それこそ何十億あるいは百億、そういうお金でも国内で集めてもらって、そしてNGO活動をより豊かで建設的なものにすべきじゃないか、政府と民間であわせてやるべきじゃないか。ところが、これは余り政府内で言うとあれですが、なかなかそういう寄附税制もままならないし、いろいろなことが障害になっておる面もあると思います。



 私は、藤田議員のおっしゃることをきちっと国際的にも対応して実現するためには、そういった制度面での改革も必要でなかろうか、私も微力を尽くしてまいりたいと思いますが、そのように考えております。



○藤田幸久 財務大臣、突然の質問なんですが、今官房長官の方から、寄附税制も含めた、つまり三億六千万円、コソボのときよりは大分ふえたけれども、ただこれをふやすというよりも、日本で余っているお金が集まるような寄附税制も含めた対応が必要ではないかというお話なんですが、財務大臣、いかがでしょうか。



○谷垣財務大臣 寄附税制については既に今までいろいろな議論がありまして、例えば、ちょっと今の委員の問題関心とはずれてしまうかもしれませんが、国立大学が独立大学法人になった。それぞれが自分のところの財政的基盤を充実するにはどうしたらいいかというようなことで、やはり寄附税制というものがその背後にあるのじゃないか、大学関係者からもそういうような御指摘をいただいたりしているわけであります。



 それから、ちょっと話を大きく広げますと、いつぞや総理が、憲法八十九条でしたか、私学助成というものが果たして憲法にぴたっと素直に読めるかどうかというような問題提起をされたこともあります。個人的な考え方としては、多分ああいう法制が憲法に入ってきているのは、非常に寄附というようなものに対して前向きの社会、個人の寄附というものに前向きな社会は、ああいう学術であるとか技芸であるとかあるいは宗教というようなものは私人の寄附によって維持できる。そういう制度を持ったところでは、ああいう憲法体制が割合すんなり出てくるんじゃないかというような気もするわけですね。



 その辺も含めて、私ども、寄附税制どうあるか、これはNPO法人の寄附の問題なんかでも随分いろいろ議論がございましたけれども、財政の問題もございますので、直ちに私もここでどうと言うことはできませんけれども、広い観点からさらに議論をしていきたいと思っております。



○藤田幸久 財政のグローバルスタンダードと、一方で、こういった問題に対するグローバルスタンダードということも問われていると思いますので、歴代の財務、大蔵大臣以上に、ぜひ今の点を、ほかの閣僚の方々等も含めて、前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。



 そこで、もう一度細田官房長官にお伺いしたいと思います。



 資金的な支援に続いて、やはり今回、NGOの方々、ピースウィンズ・ジャパンのエンゼルに限らず、AMDAの方とかほかのNGOの方々とお会いをしましたが、NGOのエンゼルが、体が伸び切っちゃっているんです。つまり、アフガニスタンにもヨルダンにも、それから、スーダンからカンボジアからコソボから、伸び切っているんです。ですから、本当に、とっさに、おっ取り刀で十二月二十七日に飛び出していただいたわけですが、結局、ほかの国に行っている人も含めて飛んでいっている。ですから、お金も伸び切っていますし、体も伸び切っちゃっている。



 そうしますと、例えば今回の緊急援助隊、診療チームですが、例えば日本医大のお医者さんがコーディネートしていて、起きたらすぐ翌日飛んでいける体制があるんです。それは、要するに、人材を登録しているんですね、そういったお医者さん、看護婦さん等々が。



 同じように、多分NGOだけでは人材が伸び切っちゃっておりますので、例えば民間企業も含めて、それからJICAとか国際機関の職員、これはOB等も含めて、そういった経験のある人を国際緊急援助隊のように、例えば国際人道支援隊と呼んでもいいし、あるいは国際復興支援隊でも結構ですけれども、予備役と言ってはなんですが、人材バンクのように登録をしておいて、こういった災害復興、あるいは紛争地域、難民支援等が必要になった場合にさっと送れるような、そういう仕組みをつくったらどうか。



 例えば、青年海外協力隊の場合も、一部の民間企業、二年間机をあけていても、帰ってきた後で二年分の昇給も含めてその会社に復帰ができるというような制度がありますが、そういったものを、民間企業、国際機関、JICA等も含めて、人材バンクのように登録をしておく。そうでないと、もう伸び切って、これからも自然災害や紛争は残念ながらまだ続くことが予想される中で、そういった仕組みも必要ではないか。



 それには、雇用の問題、待遇の問題、昇給体制の問題、税制の問題も含めて必要ですが、そういった段階に来ているのではないかと思いますが、官房長官、この点についてお答えいただきたいと思います。



○細田内閣官房長官 詳細は担当の外務大臣にお答えいただきたいと思いますが、こういう大規模自然災害の場合は、国際緊急援助隊の派遣というものが非常に大きく機能します。そのうち医療チームについては登録制をとっておって、医療関係者六百八十八名が登録されている。



 いわゆるスマトラを含む東南アジアの特に南部の場合は、一つ大きな問題がありまして、医療とセットでなきゃなりません。つまり、非常にマラリアの多い地域でもあるし、コレラのある地域でもあるし、医療的にしっかりと面倒を見ながら、またNGOの人が活躍しなきゃならないという特別な地域でもあると思います。それは、トルコの地震だったり、コソボだったり、アフガンだったりするのとはまたさらに一味違うところがありますので、いい対応をしなければならないと思います。



 それから、JICAの国際協力人材登録制度等では、五千七百名を超える専門家が登録されておるわけでございます。五千七百六十八名ということでございますが、そういった人たちを活用し、またお願いをしながら、団を組んで積極的に派遣するというようなことを考えていかなければ、これだけ大規模な災害にはなかなか対応しがたい。



 しかも、どうも、日本だけで対応できるのかというと、やはり国際的にも対応しなきゃならない面がございまして、一地点に、一隅を照らすという援助でいいのかということを考えますと、インドネシア全体の復興に対する考え方とも深く関係をいたしますので、私は、一刻も早くそういった構想のもとで日本がきっちりとした対応をする、貢献をするということも必要ではないかと思います。



○藤田幸久 今の国際緊急援助隊の医療関係者六百名とかJICAの専門家等々五千七百人というのは、意味が違うんです。



 つまり、一つの特定の分野に限った技術専門家ではなくて、柔軟性があって、機敏であって、その場で判断ができて、そして、ほかの文化、やり方が違う人ともコーディネートができる。そして、その場で例えばアセスメントをして、別の人間がニーズ調査をしたものに対してどう仕事をするか。あるいは、命令を受けてその場で仕事をするというタイプの方々だけで済むならばそれで済むんですが、先ほど来、エンゼルといいますか、コーディネートができるNGOのような方々、国際的な方々の層が一番薄いので、今官房長官がお答えになった人のカテゴリー以外の部分が一番すそ野が狭くて、薄くて、伸び切っちゃって、そして緊急のときのお金が出にくい。その部分の強化が必要ではないかということで申し上げているんですが、いかがでしょうか。



○細田内閣官房長官 おっしゃいます必要性については、私もそのとおりだと思っております。



 これはもちろん、日本の制度あるいは関係省庁の協力なくしては、外務省、厚生労働省であったり、あるいは警察、防衛庁、消防庁その他さまざまな部署、協力が必要な問題であると思いますので、全体が連携して取り組んでいかなければならないと思っております。



○藤田幸久 というよりも、コソボのジャパン・プラットフォームができたときもそうですけれども、むしろ、政党同士というか超党派で、政治家の方が例えば企業の社長なんかにも呼びかけてとか、あるいは広報活動もしながらそういったキャンペーンをやっていくとか、労働省にこの部分を聞いて、どの省庁にどこの部分を聞いてという以上のものが必要になってきているのではないかという意味で申し上げ、したがって官房長官にお聞きしたということでございますので、その点よく御理解をいただき、努力を続けていただきたいというふうに思います。



 それから、時間の関係で、これから外務大臣に少し細かい質問をさせていただきます。



 今回、日本が、五億ドルの援助も含めて、インドネシアあるいはスリランカ等外国の被災者に対する支援は、したがって相当な評価を防衛庁・自衛隊も含めて得ていると思いますが、一方で、今回、いろいろ調べてみますと、外国の人に比べて日本人に対する支援はどうだったのということをいろいろなところで聞いております。



 つまり、被害を受けた、お亡くなりになった方も含めて、インドネシアそれからスリランカ、それから日本の被害者に関しましては、タイのプーケット島が多いわけですけれども、まず、被害に遭われた日本人に関して、例えば財布やパスポートも失った日本人被害者に対する帰国のための渡航証明書、これはタイの場合ですけれども、九百二バーツ、二千数百円ですけれども、これは九百バーツがその手数料であって、二バーツがコピー代だといううわさがあって、外務省に聞きましたら、いや、二バーツも含めて手数料だと言うんですけれども、手数料ならば、なぜそんな半端な数字が出てくるのか。



 いずれにしても、こういった渡航証明書を発行し、ところが、後に、この大災害に関しては、大臣の判断で渡航証明書を発行しなくてもいいようにしたとか、あるいは一たん、九百二バーツ、二千数百円払った人に対しては、今度は世論の動向もあったせいかと思いますけれども、返しているという話がございますが、その経緯、実際の状況について、まず外務大臣に伺いたいと思います。



○町村外務大臣 全体の姿勢のことについて申し上げるならば、私も、インドネシアあるいはタイの大使館の方々ともお話をいたしました。



 あの十二月二十六日、その日の夕方からとにかく可能な限り現地に行ける人は行くというようなことで、その後、もちろん休みも返上してずっと現地に張りつく。少しずつ今引き揚げてきているという状況でありますけれども、私どもとしては、それはいろいろな細部にわたっての御批判があることは承知をしておりますが、最善を尽くしてやっている、こう思っております。これは、本当に私は、現場にいる大使館の諸君、よく一生懸命やっていたな、こう思っておりますので、その点はぜひお認めをいただかなければならぬ、こう思います。



 ただ、その中で、今委員御指摘の九百二バーツ問題が発生をしたようでございます。二千五百円をバーツに換算すると九百二バーツであるということでありましたが、こうした大規模災害においては、渡航書を無料で発給するための制度を今度整備いたしまして、したがって、既に手数料をいただいた方々、タイが七十三件、スリランカ九件、計八十二件につきましては、これらの方への手数料をお返しするという措置を今進めているところでございます。



○藤田幸久 もう一つ、被災者の方々は、もちろんパスポートばかりではなくて、全部お金がなくなっちゃったわけですから、最低、格安航空券なりで日本に帰ってくるということ、あるいは友人、家族と連絡をとるというようなことも含めて、とりあえず当面必要なお金が必要だということで、五万円までの範囲で日本大使館が貸し出しをしたということですけれども、これは実際にいろいろな方に伺ってみますと、とにかく大使館員に、もうしつこくしつこく、本当に返してくれるのか、どうやって、どこで連絡をとったらいいのかということを随分しつこく聞かれて、それで貸したというんですね。



 それで、外務省の資料ですと、これは二つの国で二十二件で六十六万四千円だろうと思います。そうすると、外国には五百億円支援をしていて、その大変な被害に遭った日本の方に、そんな場面において、渡航証明書で九百二バーツ、それから、着のみ着のままの人に対してお金を貸すに当たっても、それを取り逃げする人がいると思ったのかどうか知りませんけれども、しつこく、本当に返してくれるんですかというふうに迫ったという証言が随分ありますけれども、その点についてはどういうふうに認識されておられますか。



○鹿取政府参考人 今委員が御指摘になりました、貸し付けに際して時間がかかったり、あるいは手続的に必ずしも円滑に進まなかったという状況は残念ながら一部あったと思いますけれども、我々は、今回の件をも反省しまして、今後はできるだけスムーズにこういう事態に対応できるようにしたいと思います。



 なお、我々の領事部の担当者もそれぞれ、規則等があったものですから、その規則を踏まえて対応したと思いますけれども、これからこういう経験も踏まえまして、今後できるだけ円滑に進むように努力してまいりたいと思います。



○藤田幸久 それからもう一つ、残念ながらお亡くなりになった方々の御遺体ですけれども、家族の方が御遺体を日本に搬送したい、ところが、どうやったらばそもそも搬送できるかということについても、在外公館の方からのいろいろな支援、アドバイス等もないまま、皆さん方が本当に手探りで御遺体をプーケットなりから日本まで搬送された。もちろん自腹でございますけれども、これは、御遺体を搬送するとなると特別な料金が必要だということで、大体百万円以上だというふうに聞いております。



 実際に、この亡くなった方々が、百万円以上かかって御遺体をそれぞれ日本まで運んでこられているわけですが、そういった御遺体の移送方法について、在外公館の方は何もしなかったのか。何もとは言わないけれども、いろいろな意味で便宜を図ってもらわなかった、あるいはいろいろなアドバイスなりをしていただけなかった方が圧倒的に多いと聞いておりますが、その事実認識について、正確に報告がされているのかどうか、どういう情報を得られているのか。これは大臣に直接お答えいただきたいと思います。



○鹿取政府参考人 事実関係について、私の方から御説明いたします。



 私どもとしては、もしもそういうことで御家族の方にそういう気持ちが残っているとすれば、非常に私どももまた反省したいと思いますけれども、我々としては、葬儀社の紹介、だびの手続、死亡証明、遺体、遺骨証明の発行等、可能な限りの支援を行ってまいったつもりでございます。また、今回、残念ながら二十九名の方の遺体が確認されましたが、タイにおいてはそのうち十五名が現地でだびに付されております。また、遺体を日本に搬送された方におかれても、かなりの方が保険でカバーされたというふうに承知しております。



○藤田幸久 政府委員の方の受け入れに関しては、私が指名したときのみお答えいただくという条件で私は受け入れたわけですから、もしその条件が守れないということであれば、今後の委員会において私は政府委員の出席を断らざるを得ない。それは、私はきのう申し上げたはずでございます。



 したがって、事実関係を大臣が知らないということを今遠くで答えられておりましたけれども、これは人命にかかわることでございますから、大変なことですよ。人命にかかわることの事実関係について大臣が事実を知らないということであるならば、これは政策判断ができないということであります。しかも、条件をつけて私は参考人を認めたわけですから、それを守っていただきたいと思います。確認をして出てきてもらってもいいわけですから、今後、参考人、気をつけていただきたいと思います。



 それで、大臣、葬儀社を紹介した、あるいは結果的には保険で済んだじゃないかという話、あるいはいろいろな証明を出したというのは、これは後づけの問題でありまして、私は黙っておりましたが、大使館員はベストを尽くしたという話でした。それから、細かい規則に忠実であったというお話も承りました。



 しかし、被害者の方々にとっては、細かい規則とかあるいは大使館員がベストを尽くしたということ以上に、そういった待遇を受けたということを認識したということは事実なんです。これは、単に細かい規則の問題ではなくて、大変大きな政治的な問題でありますし、もしこういったことが起きた場合に、そういった細かい規則を超えるような体制、危機管理がないということの証明でもあります。



 さらに申し上げるならば、私は、たまたまほかの国の方々が同じような地域で同じ被害に遭ったときの、在外公館が大変温かく自分の国の国民を迎えてくれたという話も聞いております。



 具体的に言いますと、例えば、十二月の二十六日に日本の大使館に駆け込んだ日本人の方々が、外で数時間待たされて、裸同然だったけれども衣服も与えられずに食事も与えられなかったのに対して、同じ仲間であった別の外国人は、やはりそれぞれの国の大使館で迎え入れられて、食事等も与えられて、衣服も与えられて、本当に親切に困ったときに介してくれたというのが、ほかの国の方々の同じ場所で起こった証言であります。



 そうしますと、これは、大臣自身が、政府委員に事実関係を報告させなければ自分でわからない。それから、これは日本人に対する危機管理でもあり、被害者に対してどういう扱いをするかという、大変大きな政治的な課題でありますけれども、全然そんな意識がない。大使館員がベストを尽くしたという次元をはるかに超えた対応が必要であり、ほかの国ではそういうことをしていたということと比べますと、これはやはり無責任であり、全く新たな対応が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。



○町村外務大臣 まず、事実関係を政府委員が答えることは、別に何ら本委員会において差しさわりがないことであるということをまず申し上げます。



 その上で、今のお問い合わせでございますけれども、私どもは今、例えば委員、二十六日に何か着のみ着のままで大使館に駆け込んだと、そのこと自体があり得ないことだと私は思うんですよ。なぜならば、二十六日、大使館がですよ、プーケットに大使館はございません。バンコクですからね。それから、コロンボまで行くことは、それは何らかの方法で可能であったかもしれないけれども、しかし、私どもとしては直ちにそれは対応をとる、現地にも飛んでいく。それこそ飛行機が飛ぶかどうかわからないから、車で行く人、飛行機で行く人、両方のチームをつくって、例えばタイのバンコクの大使館からはプーケットに直ちに派遣をするというようなことをやっております。



 ですから、それは現地の対応に、私も一〇〇%十分であったと、すべての事象を私だって知っているわけじゃありませんから、そう申しかねますけれども、しかし、私どもとしては最大限の努力をしているということはぜひ委員、お認めをいただきたい。



 それから、遺体の葬儀社の紹介等々、これは事後的な話ではないかと。それは事前か事後か、そこまでも正直言ってお一人お一人のケースについて私が承知をしているわけではございませんが、しかし、私どもとしては、葬儀社の紹介とかだびの手続、死亡証明書等々、これらについてはもちろん先方政府、あるいは先方の保健所とかそういうのもあるんだろうと思いますが、そういうところのかけ合い、交渉も含めて、それこそ不眠不休の努力をしてやっているという実態もあったということはぜひ御理解をいただきたいと思います。



 ただ、その中で、それらがすべての御家族の方々が満足のいくものであったかどうか。それは、ああいった特殊な状況でございますからいろいろな思いがおありになるであろうかもしれませんけれども、しかし、私どもとしては最大限の努力をしてきたということだけはどうぞひとつ御理解を賜りたいと思います。



○藤田幸久 大臣がいかに事実を知らないかということを証明したと思っています。



 コロンボの大使館というのは、この地図でもわかりますけれども、海岸沿いにあるんです。スリランカというのは、東海岸ばかりではなくて、コロンボという島全体が被害が出ているんです。したがって、コロンボに、その日、日本人の方々が駆け込んでいるんです。



 二十六日というのは確かに休みの日でありましたけれども、ほかの国の大使館でコロンボに駆け込んだところはちゃんと受け入れて、食事も出して、衣服も出して、そしていろいろな帰還手続までとってくれているんです。これは新聞の記事にもはっきり実は出ております。したがって、プーケットだけではなくて、コロンボにおいては十二月の二十六日に日本人がしっかり駆け込んでいるんです。タオル同然の人もあった。



 ですから、そんな事実を知らないで、政府委員だけに頼っていて、プーケットでそんなはずがないと。コロンボで実際に大使館に日本人が駆け込んでいるんです。そんな事実も知らないで、そして日本人に対するそういった対応がなかったというような答弁をするならば、事実が間違っているんだから訂正してくださいよ。



○町村外務大臣 どういう事実があったか、それならばお示しをいただきたい。



○藤田幸久 今言ったじゃないですか、十二月二十六日、コロンボの日本大使館に日本の方が駆け込んだと。そんなはずはないというふうに先ほど大臣は言ったじゃないですか。コロンボの日本大使館に日本人がちゃんと駆け込んでいるんです。



○町村外務大臣 これについては、私どもスリランカの大使館から報告が来ておりまして、十二月二十六日の夜、スリランカ南西部ベルワラ地区のホテルに宿泊していた女性より大使館に緊急電話で、津波の被害に遭い、現在十六名の日本人と安全な宿泊先に避難しているという電話があった、お名前もそれぞれいただいた。大使館から各人の家族等へ連絡するので電話番号を教えてもらいたいということをお話しし、直ちに電話をもらって、家族の方に連絡をして感謝されたというお話。



 それから、二十七日、再度同じ方から連絡があり、宿泊施設では車の確保ができない、それから、コロンボのホテルの確保ができないので、可能ならば大使館でホテル等を手配してほしいという要請があったので、ホテルに関してはガラダリ・ホテルというものを確保できたということを先方に連絡し、そして、その後ホテルには入っていただいたというような話があります。



 そのほか、個別に挙げますと、いろいろなケースがタイ及びスリランカ等々から来ておりまして、私どもとしては、そういう方々、だから、さっき申し上げたように、すべての方に完璧であったかどうかという点については、それはいろいろ現実に反省すべき点もあるのかもしれませんが、総じて私どもとしては最大限の対応をしたということを先ほど来から申し上げているわけでございます。



○藤田幸久 ですから、スリランカで、それは電話のことだけしか言っていないけれども、実際に大使館の外に行った人がいたわけですから、コロンボの大使館に日本人が来るはずがないというのが先ほどの発言でございましたから、全く事実関係と違っておるわけですから、しっかり訂正をしていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)



○甘利委員長 静粛に。静粛に。



○藤田幸久 さっきは、コロンボの大使館に日本人が来るはずがないというお話があったわけですけれども、実際に、そういった連絡をしたり、行っているわけですから、訂正をしていただきたいと思います。



○町村外務大臣 プーケットのお話はいたしました。私は、もしコロンボという趣旨で申し上げたら、それは私の不正確な表現であったことはおわびをいたします。



○藤田幸久 つまり、被災者、被害を受けて自分が家族を失ったり、あるいは自分が死に直面した人の気持ちに対して、大使館の方々はベストを尽くしたのかもしれませんけれども、その受けとめ方がどうだったかということと、それからほかの大使館等がしたことに対する差が余りにも大きいという事実関係もあるんです。



 ですから、例えばいろいろな細かい規則があるならば、今回のことを、教訓を受け入れながらそれを改善する必要もあるし、それから、このことは、先ほど領事部の方がという話がありましたが、領事部の問題ではなくて、それぞれの国の大使なり、責任ある方々が対応し、かつ、その情報に基づいて外務大臣なりがしっかり指示を出す対応が必要である。そして、そういったことが起こった場合には、柔軟性を持って対応ができるという体制が在外公館においては必要だろう、そしてほかの国ではそういうふうな対応をしたということを申し上げているわけであります。



 そして、例えば遺体の身元確認に関しても、いわゆる歯形の専門家が三人行ったという話がありますけれども、ほかの国は、例えばDNAの専門家をたくさん派遣して、それぞれの国の御遺体の捜索活動を積極的にしているんです。例えば、香港というのは小さな地域ですけれども、百人ぐらいDNAの専門家が行って捜索活動をしている。日本の場合には、本当に受け身の確認作業しかしていない。



 つまり、ほかの被災国支援以前に、まず被災した日本人を保護する仕組み、体制がないということが今回非常に明らかになったわけですから、その対応について抜本的な改革を求めたいと思います。



 例えば、私、パスポートを持ってまいりました。このパスポートには「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣」とあるんです。日本人に対して、ほかの国の政府に対しては、保護扶助を与えるよう要請をしておきながら、自国の国民に対して保護扶助を、まして、命からがら、あるいは命をなくした、そしてあるいは自分の親族なり家族が亡くなった、けがをした、そういった人々に対する、そういう場面においての保護扶助なんですよ。



 ふだんの、日常における細かい領事部の規則の問題を言っているんじゃないんです。こういう事態が起きたときの、自国民が助けを求めてきたときの保護扶助に対してどうするか、そういう体制がないということについて、かつ、そういうことに対して、先ほどのいろいろな、遺体の搬送から、渡航証明書の関係から、借り入れに関しても、こういった危機が起きたときの抜本的な対応の仕方の変更が必要ではないかと思いますけれども、今回の反省を踏まえて、大臣、いかにお考えになりますか。



○町村外務大臣 まず、御遺体の確認のことでございますけれども、タイあるいはスリランカでは、政府関係者それから専門家によって構成される津波被災者身元確認情報管理センターというものができておりまして、そこで身元不明遺体の身体的特徴でありますとか指紋、歯医者さんの治療記録、DNAサンプル等と行方不明者の生前情報とを照合して、データの一致によって身元が特定される、こういうプロセスを踏んでやっているところであります。



 スリランカに対しては日本から一名、それからタイには十名派遣をしておりまして、タイには現在もまだ二名の方が残って、引き続きこの作業をやっていただいているところでございまして、在プーケットの日本大使館連絡事務所、それからスリランカの大使館では、行方不明者の家族から得られた情報やこのセンターが収集した情報に基づいて確認作業、支援活動をやっているということであります。



 それからさらに、日本国内でもこういう作業ができるということで、警察庁の協力も得まして、行方不明者の生前情報を採取いたしまして、鑑定したデータを現地に送付し、また、順次各国の、これは外交ルートで送付をして、その確認作業をやるということであります。



 その結果、これはここまでやらなくてもわかった方がたくさんいるわけでありますが、最大限三千三百名を超える安否の問い合わせがあり、そして現在時点では、二十九名の方々の死亡が確認をされ、なお邦人で行方不明の方々が十六名いるというところまで減ってきているというのが今の姿でございます。



 こういうことで、こうした確認作業というものが、まず着々と進んでいる。しかし、まだ十六名の不明、プーケットの地域がどうも多そうだということで、現在もまだ二名の方が専門家として現地に滞在しながらその確認作業をやっておりますというのが現状でございます。



 そして、今回の状況を踏まえて、さらに緊急事態への反省はないのかということについては、もうちょっと落ちついた段階で、今回の一連の動きというものをしっかり検証した上で、さらにそれぞれの現場でどういう対応をしたらいいのかということをしっかりまた反省をして、見直していくべきは見直すというふうにやっていこう、こう思っているところでございます。



 なお、私どもは、それはいろいろな方の御不満、あるいは、おかしかったという御指摘が確かにあろうと思います。そういった点も含めてしっかり受けとめますが、全体としては、私ども、申し上げましたように、随分一生懸命対応したんだということだけは、ぜひこれは藤田委員にもお認めをいただきたいということを申し上げさせていただきます。



○藤田幸久 随分長答弁でしたが、結局、確認作業について聞いたんじゃなくて、捜索活動がなかった、不十分だったということを申し上げたわけです。



 済みません、大分長い答弁だったので、最後に谷垣財務大臣に一つ。



 この間、財務大臣もお会いになったスリランカの財務大臣、スモールグループの方なんですけれども、結局、あの方がおっしゃったのは、住宅建設資金のために最高二十五万円のキャッシュをもう払い始めている、既に六億円ぐらい住宅支援のお金を実は払い始めたという話でございました。



 日本には、中越大震災、阪神大震災を初め、こうした直接支援がないんですね。これは、やはりこういうことが本当に必要になってきたんじゃないかということを感じましたけれども、それについて一言だけ感想をお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。



○谷垣財務大臣 短く答弁いたしますが、これは補正予算のときから随分議論の重なっているところでございます。



 全体状況としては、今のような御議論も日本でもあろうかと思いますが、地震保険と、それからJAの住宅のあれのと合わせますと、もう三割ぐらいの方が加入しておられるという状況で、政府のやるべきことは、そういう自助努力をもっとやりやすい形、それから公共的なものをもう一回再整備していく、こういうあたりに重点を置くべきではないかというもとで、昨年、ああいう法の改正をやっていただいた。



 現段階では、感想を言えとおっしゃいましても、そういうことを繰り返して申し上げることになるわけでございます。



○藤田幸久 ありがとうございました。



○甘利委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。


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