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総務委員会 麻生総務大臣と日本郵政公社生田総裁に質問2004年11月16日

活動報告

総務委員会 会議録

平成16年11月16日(火曜日)
午前10時開議

衆議院TVへリンク*『衆議院TV』ではこちらの審議中継をビデオで配信しています

○会議に付した案件
・郵政事業に関する件
(日本郵政公社平成十五年度財務諸表の承認に関する報告)
・日本郵政公社平成十五年度財務諸表に関する件


○実川委員長 次に、藤田幸久君。
○藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。
麻生太郎大臣に国会で質問ができるということを大変光栄に存じます。この決算の問題に入る前に、政治家としての麻生先生に二つほど質問をさせていただきたいと思います。

麻生大臣の選挙区で香田証生さんという方が、イラクで残念ながら命を落とされたわけですけれども、御家族のところに弔問に行かれたかどうかわかりませんけれども、大変残念な結果になったわけでございます。

私どもも、いろいろな意味でこの人質解放に努力をしてきたつもりでございます。それで、前、本会議でも質問させていただいたんですが、私は、これは自衛隊の撤退問題とは別に、人命支援と援助ということが重要だったろうと思うのですけれども、政府の対応の印象で、いわゆるテロに屈しないということと香田さんの生命を守るということが、何か二者択一的な印象を受けて仕方がないんです。

ですから、テロに屈しないということと香田さんを救うということ、これの両立のための最大限の努力というものが必要ではなかったかという印象を持っておるわけですけれども、選挙区の大変貴重な人材を落とされたということも含めて、大臣の方から率直な所感をお伺いできれば幸いです。よろしくお願いします。
〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

○麻生国務大臣 郵政公社の決算とは関係ない話がここで議論をされる前提というのは、今、理事の方一人もいらっしゃいませんけれども、御了解を得ているという上で答弁をさせていただきます。確認しますけれども、よろしゅうございますね。(藤田(幸)委員「はい」と呼ぶ)

香田証生の自宅に行ったか。伺いました。本人を知っておるか。本人の身内を知っておりますけれども。本人の一族、あの辺はみんな香田という名字なんですけれども、みんなとは言いませんけれども、香田というのは四つか五つあの辺はあると思いますが、知っておりますので、伺ったことは事実です。
大変お気の毒だったと思いますし、両親としては、たしか兄貴がもう一人いると思いますけれども、非常に残念なことになっておると思って、お悔やみを申し上げる次第です。

今の、イラクに屈しない話とやり方はどうあったかというのは、所管外の話に対して口を挟めというような話は、この種の委員会というような議事録の残るところではいたしかねるというのが率直なところであります。自分の個人的見解を述べても、ここでは大臣として呼ばれていると思いますので、所管外のことなのでお答えいたしかねます。

○藤田(幸)委員 もう一つ、所管とは直接関係ないかもしれませんが、関連づけて質問したいんです。
おじいさんに当たる吉田総理に関して、最近出た本で、これは小倉和夫さんという前のフランス大使が書かれた本で、「吉田茂の自問 敗戦、そして報告書「日本外交の過誤」」、お読みになったんだろうと思うのですけれども。

要するに、吉田総理が総理の現職であられたときに、政府の人間に検証させたんですね。つまり、軍部だけではなくて、日本の政策としての間違いがあったんではないか、例えば、国際連盟を脱退したとか、軍縮会議を脱退したとか、南方進出をしたとか。これは、現職の大臣が当時のいわば政府の関係者に数年後に検証させた、これは大変意味があるんだろうと思っているんです。

例えば麻生総理大臣が実現した際に、今の国際情勢の中で起こっております、単独行動主義とか、アメリカと国連との政策対立とか、あるいはイラクの特別措置法の非戦闘地域とか、こういった問題について、私は、麻生総理大臣として検証されると非常に意味があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣 仮定の問題につきましてはお答えいたしかねるというのが一番簡単な答弁で、はっきりしているんですけれども、今の話は松井の話ですか。読まれたんでしょう。(藤田(幸)委員「はい」と呼ぶ)読まれたら、それは担当したのは松井という課長になっていますか。吉田茂が命令した名前が松井という課長になっているでしょうか。(藤田(幸)委員「はい」と呼ぶ)なっていますね。フランス語しかできない松井さんが何で英語の担当になったんだとまずきっと疑問に思われたと思うのですが、当時、立場上その松井というのが受けた、私の記憶でも昭和二十四年だったと思いますね、それは。

その反省は、たしか私の記憶では、日露戦争が終わって、当時、あのナポレオンすら勝てなかった帝政ロシアに勝った、今からちょうど九十九年前の話です。そのときの戦勝国だった日本は、勝ったがゆえに反省なく、二百三高地の攻撃方法はいかがなものだったか等々の反省なく、作戦を分析してみればいかがなものだったかという方も皆偉くなられた結果、どのようなことになったかといえば、あのような形になったのではないのか。それが一番最初の原点だった、そういう記憶に基づいて松井という人に命令をした、私の記憶ではそうです。

したがいまして、今のような形で、勝ったからどうとか、負けたからどうとかいう話ではなくて、基本として、常に政策が決められて、その決められた結果に基づいて、どのような形でそれを評価するかというのは、今私どもの役所でも政策評価というのをいろいろな形でしておりますけれども、政治決定に対しての評価というものを役人にさせたのはいかがなものかと思わないわけではありませんけれども、当時、昭和二十四、五年のことだったと思いますので、第二次吉田内閣が始まった直後だったと記憶しますが、そういった形で、評価をいろいろな形でするという努力は常に行われてしかるべきものだと思っております。

○藤田(幸)委員 ありがとうございました。大変いい答弁をいただいたと思っております。

例えば、この郵政民営化という問題ですけれども、けさからいろいろ議論が出ておりまして、有識者会議というものがある。それから、いろいろな会議に竹中大臣がかかわっておられる。それから、総務大臣がいらっしゃる。それからもう一つ、公社の総裁、総裁の英語の肩書を見ましたら、プレジデント、CEOというから、最高経営責任者というふうになっておられる。

そうすると、その三つの関係、それから、こういう政策決定がされて、行政が絡んで、そして今民間会社ができようとしている、その決定のプロセス自身を、今大臣がおっしゃいましたように、後々役人の方が評価をされるかは別にして、今回のこの内容というのは、後々、麻生総理になったときかどうかわかりませんけれども、非常に検証する価値があるんではないかと思います。

済みません、この部分は質問通告しておりませんけれども、大臣、所感で結構ですけれども、この郵政民営化の現在の流れ自身を後で総合的に検証する非常にいい題材だし、必要ではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

○麻生国務大臣 政治も経営も基本的には結果責任だと思っておりますので、動機が幾らよくても結果がだめならだめです。動機が少々不純でも結果がよければそれでよしと思わないかぬところだ、私は、政治というものはそういうものだと思っております。

そういう意味では、この郵政公社というものが仮に民営化なり、先ほどの五十嵐さんの言葉をかりれば株式会社化ということになろうかと思いますが、その結果、仮にいい結果が出たにしても、公社のままでそれはできなかったかというような疑問は常に持ってしかるべきだと思います。先ほどの総裁の答弁にもありましたように、三年なり五年たったときにレビューしたときに、もっといい方法がというのが、その時代にまた別の考え方が出てくるのであれば、それはそれなりにその場で検証してしかるべきだと思われますし、公社が株式会社化された結果、その結果がいい、悪い、両方検証されてしかるべきだと思いますので、三年に一遍のレビュー等々の努力、評価というものはされてしかるべきだと思います。

これが特にいい題材と思うわけではありませんけれども、一つのアイデアとしては、きちんとして評価されてしかるべきものだと思います。

○藤田(幸)委員 ありがとうございます。
今御答弁をいただきましたので、質問通告をしておりました、中身は変えません、順番を若干変えてお聞きしたいと思いますが、大臣と総裁と両方でございます。

それは、先ほどちょっと申しましたが、有識者会議、それから経済財政諮問会議、民営化準備室、すべて管轄は竹中大臣であります。それで、けさからもいろいろ問題になっておりますけれども、そういった会議で議論された内容、それについての報告は、大臣及び総裁にどういう形で報告をされているのか。そして、それぞれの報告に対して異論や疑問があった場合に、逆にどうやって大臣の意見を竹中大臣にお伝えになっているのか、まず麻生大臣からお答えいただきたいと思います。

○麻生国務大臣 基本方針ができるまでの間とその後、もしくは準備室ができるまでの、後と前とでは少し違うと思いますが、準備室ができるまでの間は、よくこの種の話がありましたし、特に最初のうち、基本方針ができるまでのところは、極めて煩雑に両方であっておりました。内閣の改造が終わりました後、郵政担当大臣は竹中大臣になっておられますので、それ以後は竹中大臣が主に、有識者会議それから準備室等々はいずれも竹中大臣の所管で、私どもの所管ではございませんので、その意味に関しましては、かつてほど煩雑に報告を受けることはありません。

ただ、経済財政諮問会議において、これは確実に上がってまいりますので、その場において財政諮問会議の議員として、基本方針以後、ちょこちょこ出てくる話に関しましては、いろいろやらせていただきましたし、あの中で、特に出ていなかったところで私の方から申し上げましたのは、労働組合との話は、有識者会議の方々、学者、役人というのは労働組合等の経験のほとんどない方でありますので、そういった点の配慮は全くされていないのはいかがなものかという点は、きちんと反映されたと思っております。

いろいろな意味で、先ほど申し上げましたように、結果責任を問われるのはあなたじゃありません、あなたはそのころいないわけですから。しかし、そのとき社長をやらされている人が、その枠の中でやらされるという人の立場をよく考えてもらわないと、これは民営化された結果、前より悪くなった、責任はその社長だけにおっかぶせられるというのであれば、それは制度設計した方が間違いだということも考えられますので、そういったことのないように、基本的には、新会社というものは、事業として、いわゆる経営として成り立つようにしてもらうというのが一番肝心で、そこにユニバーサルサービス等々の義務がくっつきますので、それを賄えるだけの余力がなければ、こっちで先ほどの二百十六億等々御質問があっておりましたように、三種郵便だけで二百十六億から赤が出るわけですから、その分を補えるだけの利益を出す部分がなければ、そこも枠をはめてこっちのサービスだけやれと言われても、それはとても成り立つ話ではありません。

そういったところを考えて、この基本方針の枠組みというものに関しましては、きちんとしてもらわねば、これは財政諮問会議でこの種の話が出るたびほとんど毎回申し上げていると思っておりますので、ほかの議員の方々も、その点に関しましては、きちんと経営として成り立つ、かつ行政サービス等々は落とさないの五原則に基づいて成り立つという点が一番肝心なところだ、これは毎回申し上げているところであります。

○藤田(幸)委員 懇切な説明をありがとうございます。

同じ質問でございますが、生田総裁に関しては、竹中大臣がかかわっておられますいろいろな会議等々については、準備室ができる前、後も含めまして、どういう報告がなされているか。それに対して総裁の方から意見書を出されたりとか声明を出されたりしておるようですけれども。

ということは、直接何か会って総裁の方からこれは違うというような話をする機会がないのかどうか、どういう方法をとっておられるのかについて、総裁から御答弁いただきたいと思います。

○生田参考人 まず、経済財政諮問会議でございますけれども、これは、郵政問題を本格討議されるとき、三回私も招集を受けまして、参考人ということで参加させていただいたわけでありますが、その際は、冒頭、一定の時間を下さいまして、公社としてどう考えているかというお話をさせていただいて、それを中心に後の議論が進むというような形でありまして、非常に緊密な話し合いをさせていただいたと理解しております。ただし、三回ですから、それ以外の問題については、終わったらすぐにきちんとした議事録といいますか内容を受ける、こういうことであります。


それから、いよいよ閣議で基本方針が決まった後は、民営化準備室ができました。これに関しましては、竹中大臣から直接私の方に、もうこうなった以上は、公社と民営化準備室も二人三脚で一緒に協力してやっていかなきゃならないので、全面協力をお願いしますというお話がありまして、私も、もちろんそうだと思いましたから、全面協力を約しまして、あらゆる可能なデータ、その他スタッフの提供も含めまして、全面協力をして今日に至っております。

それから、システムの検討委員会と有識者会議、この二つにはオブザーバーとして人を出してくださいということで、その人には発言は認めるけれども意見は聞くにとどめる、オブザーバーですから当然ですけれども、そういう格好でうちの山下専務が出席させてもらっておりまして、一応意見は言っておりますけれども、聞いていただいているかどうかは別問題ということでございまして、ただし、何が議論されているかは、正確に出席している山下専務から報告を受けている、こういうのが実情であります。

そのうち、例えば有識者会議の問題あるいは情報システムの問題なんかで、オブザーバーですから何を言っても余り聞いてもらえない、ましてや、システムのところについては全く事実無根の記者会見が行われたというふうなことが起こった。そういったときには、オブザーバーを通じて物を言うというのでは間に合いませんから、私自身が直接意見を申し上げる、あるいは訂正をお願いするというふうなことで、有識者会議の問題につきましては、十二ページの提案書といいますか意見書を差し上げたというところであります。

これについては、特に返事はいただいていませんけれども、返事をいただく筋のものでもないと思っております。有識者会議そのものが、これはあくまでも意見を言うだけであって、制度の決定権はお持ちでないと理解していますので、竹中大臣として、あちこちから意見を聞いておくということのプロセスとして処理されているのかなというふうに思います。

システム検討の問題の間違った記者会見が行われたものは、これはちょっと看過できない。公社として方針を変えたという全く事実無根のことをおっしゃったわけですから、これはどういう背景でそういうことになっちゃったのか、信頼を回復するためにどういう御措置をおとりになるのかというのは、これはお返事をいただこうと思っておりまして、今のところ御返事をいただいていないので、きょう、あすじゅうにでも一度また渡辺さんにお電話をしてみようかなというふうに考えております。

今後とも、折に触れ、これは重要と思う点がありましたら、今やっていますようにきちんと書面でお願いすることも考えますし、場合によったら、手っ取り早く竹中大臣ないしは渡辺室長にお電話して、両方の間にそごが出ないように、少なくともこっちの考え方を聞いておいていただくような努力を重ねていきたいと思っております。

いずれにしましても、私ども、別に何もどれもこれも反対しているわけじゃなくて、どうせ民営化するのであればよい民営化にしたい、こういう思いからやっているわけでありまして、すべてのことが公正かつ透明にとり行われる、本当にいい格好で整々と事が発展するといいますか、制度設計がなされていくことを期待して、それに必要な措置はすべてとっていく、こういう考えでおります。

○藤田(幸)委員 冒頭で申し上げませんでしたが、民間の会社から大役を担って大活躍をされておられます生田総裁に敬意を表しながら、きょう、いろいろ質問させていただきたいと思っております。

今、私は大臣と総裁からお話を伺いまして、大臣もとにかく五つの原則が重要だとたびたびおっしゃっている。ところが、生田総裁から、この十二ページの意見書ですか、十一月九日、これを見ていますと、要するに、有識者会議の内容は五つの原則を逸脱しているのではないかということがポイントなんですね。それで幾つか指摘をされておられるわけですけれども、そうしますと、大臣の方も、せっかく民営化するので、やはり国民経済的な立場からいい会社をつくってほしい、そのためには五つの原則、基本原則を重視してとたびたびおっしゃっている。

ところが、この有識者会議の方は、まさにここまで総裁が書いたくらいに、五つの基本原則をむしろ離れたような内容の議論が進んでいる。私は、これはやはり、一つは、内容的に五つの基本原則に戻させるような、大臣と総裁の間のより緊密な連携がやはり必要だろうということと、それから、実際にその五つの原則にのっとっていい株式会社ができるように詰めていく際には、もう少し工夫が必要なのかなという気がするんです。

例えば、この意見書の中を見ますと、官と民の差を強調することになっていないかとか、あるいは、結局、市場の活性化を阻害し、国民、消費者へのサービスをよりよくするという民営化の本来の目的が達成できなくなるのではないかというような心配も書かれております。それから、先ほど来出ておりますけれども、余りに監視が強過ぎて、手足が縛られて、郵便事業を無用に劣化させるのではないかというような指摘もございます。

となってきますと、もう少し直接的にこういった実際に経営をされておられる総裁の現場での立場なり考え方なり経験が反映されるようなシステムが必要ではないかという気がいたしますけれども、その点について、総裁、どうお考えでしょうか。

○生田参考人 お考えの御趣旨には全く同感なんですが、それを、今行政的に進めていらっしゃる方式、やり方としてどうするのかというのは、ちょっと私を超えた問題で、まさに担当大臣にお考えいただくことだと思うので、私から申し上げるのはいかがと思うのであります。

いずれにしましても、竹中大臣とシステム関係でお電話したときの感じでは、私は、竹中大臣は十分御認識になっているんじゃないかなという感じでおります。いろいろな、私の意見も大臣から見れば一つの意見でしょうし、それから有識者会議から出ている意見も一つの意見でしょうし、諮問会議を常に取り仕切られた竹中大臣としての御責任と御認識がもちろんあるでしょうし、政府の基本方針のまさに提案者でいらっしゃるので、そういうことは十分踏まえた上で、いろいろな意見が出尽くしたといいますか出そろったところで、全部織り込みながら、きちんとした適正な、五原則を生かし基本方針にのっとった具体的な法制化の案が示されてくるのであろう、このように期待しています。もしそれが違うようであれば、また御意見を申し上げたい、こう思います。

○藤田(幸)委員 その関連で、ちょっと違った角度から御質問したいと思います。

生田総裁は、経済同友会の副代表幹事時代に政策提言をまとめられて、当時は郵貯、簡保の廃止を含めた政策提言を行っておられる。その中では、例えば郵便事業については、高コスト構造と効率性の低さを是正し、高質のサービスによる利便性の向上を図るため民営化すべきであるというふうな提言をされておられる。それからもう一つ、やはり公社方式はできるだけ短期間、最長でも二年間程度で終了させ民営に移行すべきであると考えるというふうに、数年前のこれは二つの違ったレポートですけれども、提言をされておられる。

ここで言っていらっしゃる内容は、割と今の有識者会議等で出てきている部分と似ているんです、ある意味では。それから、最近、これは十月の経済同友会、今、北城さんの郵政改革に関する考え方も、かなりダブっているところもあるんです、このスピードの問題を含めて。

私は、これを別に取り上げて、考えをなぜ変えたんだという詰問をするというよりも、多分、同友会におられたときにはそういう一般的な考え方を持っておられたけれども、実際に社長になってみると、そしていろいろな政治的、行政的制約の中で、いい民営化を進めるためにはこういったことが必要だろうということで今進めていらっしゃるのではないかなというふうに好意的にとっておるわけです。

まず一たん、今私が申し上げた、つまり、同友会時代にはそういうふうにおっしゃっておられて、今は社長になって立場を変えて考え方も変えられた。恐らく、今実際経営をされて、今主張されておられることが当然のことながら正しいと思っていらっしゃると思うのですが、その変わったいきさつと、現場での責任者として、やはりこれが必要なんだということについて、少し説明をしていただければ幸いです。

○生田参考人 数年前、私、経済同友会の経済政策委員長をやっておりまして、二十一世紀の日本国はどうあるべきかという二十一世紀に向けての、たしかマスタープランというものをまとめたんです。ちょっと題名を間違えたかもわからないけれども、たしかマスタープランだったと思います。

これは、経済同友会の中の政策委員会というのは、本当に全般を取り仕切る委員会でして、その委員長をやっておりまして、大きな、基本的な現状及び二十一世紀初頭にかけての経済予測とか、どういうふうな経済政策であるべきかとかいうふうな大まかなことは私どものこの委員会が書くんですけれども、各専門分野にはそれぞれ委員会がありまして、例えば憲法問題調査委員会というのもありますし、IT委員会というのもあるし、金融委員会とか財政委員会とか、そういった横並びの中に郵政改革委員会というのがありまして、そういう特殊分野については、各特殊分野の委員会の中の意見をまとめてもらって、委員長が紙を出してくるんです。それで、その特殊部門については、それのいわば集約をやるんですよね、政策委員長というのは。

その意味において、私は、責任逃れとか言いわけをするとか、そんな振る舞いをする気はみじんもないんですけれども、形を言うとそういうことになりまして、実は、憲法問題も含めて、書いてあること全部、委員長の意見というよりも各組織の意見が出てきているわけです。

そういった意味で、大変恥ずかしいことを言えば、その当時は、私は、郵政改革委員会から出てきた意見というものをばあっと集めていくときに、まあそんなものかなということで、余り深い委員長としての考え方でそれに加筆修正するというようなことはないままにまとまってきて、それで委員会の名前で出ているということは紛れもない事実であります。

ただ、そういう過程で出てきているもので、そのときに言った、例えば憲法改正に関する問題で、おまえ、そのときの考えが変わったのかと言われても、そのとき憲法調査委員会が何を書いてきたかなというのを今思い起こさなきゃならないというふうな形で、組織の取りまとめというのは出てくるものだということを、まず御理解いただきたいと思います。

そこで一遍仕切りまして、あとは私の本音でいきますけれども、今言ったように、おととしの八月末に総理からどうしても受けろというお話でお受けするまで、正直言って、郵政問題、そんなに関心を持っていませんでした。だから、そんなに深い知識があるとか哲学とか、何か方針を自分で考えたということはありません。

それで、いよいよ入ることになってから七カ月の余裕があったわけなんで、その間に事業庁に日参いたしまして、本当に日参でした。かけ持ちでしたけれども、商船三井の会長と。それで、勉強させてもらうと同時に、自分で地方回りする、職員と一杯飲んで話してみる、組合とも話すというようなことで、自分の考え方を形成していくわけですけれども、そこで得た自分の考え方というのは全然変わっておりません。入る前も、入ってからも、今も変わっておりません。

民間にいたときと違って、何となくぼやっと外から見て違ったのは、どこが変わったかということをあえて申し上げると、二つあると思います。

一つは、経済人として、東京に住んで東京に通っている、社会が見えている、日本国が見えているつもりでも、実は円のうちの二百七十度ぐらいしか見えていなかったというのに気がつきました。入る前から、入った今もやっていますが、地方回りして、ぐるぐる回って地方の方と話し合うと、こういう生活があるんだ、地域社会でこういう生活インフラが必要なんだ。地域の方たちの御意見を直に聞くわけですから、北は北海道から沖縄まで。これはやはり大きく視界に入れて考えないと過つというふうに深く今思っております。視界が九十度加わったつもりでおります。

それからもう一つは、外にいるときは評論でいいんですよ。評論というのは、時々、世の中を動かすために過激なことを言ってみるのも、これも一つの真っ当な手法だと思います。だけれども、私は今は経営責任を負っておりますから、評論家では絶対にあり得ないわけです。結果責任が自分がとり得る、とれる、少なくともとる責任を持って決めているという覚悟で、すべてのものを判断し、リードしていく。いいかげんな、可能性があるからやってみようとか、失敗してもいいからやってみようというようなことは一切許されず、計算し得るリスクの幅の中でベストを求める。ただし、計算はできるだけ大きい計算をする。

こういう格好で、評論ではなくて実務者としての責任ある物の見方をしていかなきゃならない、こう考えているという点が、かつてと違う点ではないかというふうに思っております。

○藤田(幸)委員 経緯が大変よくわかりました。ありがとうございました。

同友会も外の評論家のような存在かもしれませんが、それはさておきまして、大臣と総裁に違った角度からお聞きしたいと思います。

私は、今、公社が置かれている存在、実は総裁の肩書はCEO、つまり最高経営責任者というふうになっているんですが、先ほど来、いわゆる有識者会議があって、それから総務大臣がいらっしゃって、それで生田総裁の公社がある実態は、実際にはCEOというよりもCOOではないかなという気がするんです。つまり、最高経営責任者というよりも最高執行責任者といいますか、本当の意味での結果責任がとれる権限というか体制にまだないんだろうと思うのですね。それが一つ。

それからもう一つは、この意見書にも書いてございましたと思いますけれども、いわゆるいろいろなステークホルダーズに気配り、目配りをしながら経営をしなければいけない。それで、会社が劣化してはいけないし、本当の民営化をしなければいけない、国民経済それから経済活性化に役立たなければいけないということがあるわけですが、結局、何か仮想のステークホルダーズといいますか、つまり、この郵政公社というのは、普通の民間経営会社であれば、従業員から始まって、仕入れ業者、従業員、それから最近は地域に広がって、企業城下町からさらに広がって、もう少し大きなマーケット、それから環境。いろいろな、民間の経営責任者であれば、ステークホルダーズというのは、普通、そういう利害関係者といいますか、企業を取り巻く利害関係者というのが普通のステークホルダーズのコンセプトだろうと思います。

私も不勉強ですが、日本郵政公社を見ておりますと、それ以外のステークホルダーズに対しても責任を負えというふうに言われて、しかも、実際にはCOOである総裁がCEOであるかのように責任をとれというふうに言われているような気がしまして、それが、きょう議論になっておりますところの、溝といいますか、カバーできていないグレーゾーンといいますか、あるいは、いろいろな意味での負担が、麻生大臣と生田総裁、あるいは、当然のことながら、この公社で働く郵便局の職員の方、家族の方、そういった方々に対しても、影が当たっているんではないかという気が非常にしてならないんです。

したがって、そのいわゆる普通の企業でないステークホルダーズを押しつけられているということと、実際には、CEOではなくてCOOではないかという印象を持っておりますが、その点について、生田総裁のコメントというか、お答えをいただき、それを何か変える方法がないかということについて、麻生大臣にお伺いしたいと思います。

○生田参考人 大変難しい御質問になってきたので的確にお答えできるかどうかあれなんですが、いわゆる民間の株式会社におけるCEOとは明らかに違うと思います、これは官ですから。それはいい悪いの問題じゃなくて、公社としてはやむを得ない。官としてのモディファイされた、修正されたCEOであろうと思っております。単なるCOOではないと思っております。民であれば、株主総会、取締役会、それが決めた枠内、そして定款で許されている範囲で、合法的に、社会的規範に反しない限りCEOは何でもできるという意味では、いろいろな規制がありますし、監督官庁の監督も受けるわけですから、CEOにも限度があるのはやむを得ない事実であろうと思います。

では、ステークホルダーというものを余り認識しないでどうやってやっていくのかという点を指摘されたんだろうと思うわけでありますが、私は、そういう監督官庁、それから公社法その他関連法規という枠組みがありますけれども、その枠組みの中では、限られた分野においては、やはりいろいろな経営計画その他の立案ができ、決算という格好で責任が出てくるわけでありますから、CEO的役割は果たし得ているし、果たさないといけないと思っております。

その場合のステークホルダーがないじゃないかと思われると、そうではないわけで、なるほど株式会社じゃないですから株という格好ではありませんけれども、結局一兆三千億、今回自分で積んだのではありますが、四兆を超える自己資本というものはやはり株主資本と考えるべきで、それはタックスペイヤー、税金を払っていらっしゃる方たちが株主であると私は位置づけ、その代表として政府がいらっしゃる、それを株主と考えようということを去年の四月に職員に呼びかけております。そういった意味では、株主はいるという認識でおります。

客は客で、これは全国のお客様、すなわち国民の皆様方だと思っております。それから、取引先は、これはもう普通の民間会社と同じようにあります。それから、地域社会への貢献という意味では、これは民間会社でもステークホルダーとして重要なファクターなんですが、それこそユニバーサルサービスを通じまして、日本国じゅうの地域社会に貢献する努力をさせていただいているわけであります。普通の民間会社が持つ職員は無論職員で、二つの組合を中心に、職員とは、何とか満足度を高めるような努力をさせている。

そんなことを言っても、株主総会がないとおっしゃるかもわかりませんが、私は、この席、まさにこの席が株主総会だと思っております。これは、タックスペイヤーである国民を代表する先生方に囲まれて決算の内容にお答えしているわけですから、これが民間の株式会社における株主総会だと認知しております。

それでは、ガバナンスがきいているか。ガバナンスがきいているかというのはいろいろな切り口があるんですけれども、唯一、一点に絞ってそれを答えるとすれば、CEOが不適任の場合にだれかが首が切れるかどうかがガバナンスがきいているかどうかの決め手なんですね。通常、それは株主総会が過半数で決めるんだけれども、それがないじゃないか。これは、普通の会社以上にガバナンスがあるんですよ。後ろに座っていらっしゃる麻生大臣が、おまえ、首と言われたら、その場で首になるわけですから、これほどきついガバナンスがきいている組織はない、このように認識いたしておりまして、もちろん、普通の民間の会社とは違った形で、官庁型に修正された一定の付加的な制約を受けた枠内ではありますけれども、私は、民間の株式会社と同じような責任を感じながら経営していくことが重要であろう、こう思っております。

○麻生国務大臣 藤田先生、基本的には、明治四年、前島密逓信卿でスタートしたこの組織をさわる、しかもその対象は二万四千七百の支店、従業員、パートを含めて約三十九万、それだけの大組織を、いわゆる変えるという話は、それは簡単な話じゃありませんよ。

そういった意味では、本来は、郵便、貯金、保険というような、このユニバーサルなサービスというものを、少なくとも法律上からいけば政府が提供するというのが目的の組織ですから、この郵便局というものは。それをできるだけその枠の中で自律的にやればもっとうまくいくんじゃないかというので公社ということになって、それが経営しようとしているのが今やられている制度なので、公社というのは多分そういう制度になっているんだと思うのですが、それを民営化することによって、さらに経営が自由化することによって、よりよいサービスができるのではないか。例えば、安くなるかもしれぬとか、もっとサービスがよくなるかもしらぬということを考えて、民営化、株式会社化とか、いろいろな表現があるんでしょうけれども、そういった形で今進んでいる、ちょうどその経過の途上にあるんだと思うのですね。

そういった意味では、公社のままでもよろしいのではないかと、これは先ほどの例で申し上げましたように、いろいろ反省点として、民営化された後、株式会社化された後出てくる一つの案なのかもしれませんけれども、少なくとも、今私どもは、この形でやってみた方が、五原則に基づいてよりよいサービスができるような形の組織、枠組みというのをつくり上げねばならぬということで今努力している経過の途上にあるというように御理解いただくのが一番いいのではないか、私自身はそう思っております。

○藤田(幸)委員 したがって、そういう経過の中であるがゆえに、先ほど来聞いております、いろいろな有識者会議等々で出てくる中身と、それから今の、変形的なCEOであり、それから国会が株主総会のような役割を得て、それで麻生大臣のもとで責任を担っておられる総裁、社長ですね。その中で、それだけ大きな事業を過渡的に、今プロセスで進行しているわけですけれども、そうすると、その中身をいい形で、いい民営化をするためには、一番経営をされておられる方の経験、つまり、同友会にいらっしゃったときには、いわば評論家的に外部からで済んだけれども、実際に日参して七カ月勉強されて中身を熟知してみると、こういうやり方だと。そうすると、そういうやり方を支援する仕組みが、今大臣自身は、経済諮問会議以外のときには、あるいは有識者会議が出た後は直接担当ではないという。そうすると、先ほど来の、けさからのお話を見てみましても、やはりそれでは、五原則から離れたような議論がどんどん出てきてしまって、そちらが既成事実化して進んでしまうというような実態が、かなり私ははっきりしていると思っておりますので、それをもう少し実態的に内容面で変えていく仕組みが必要ではないか。

そうしますと、この委員会が株主総会だけれども、首にする権限が、我々にないけれども大臣にあるということは、やはり大臣の方で、単に郵政民営化というのは竹中大臣の所管だという紋切り調で答えずに、もう少し工夫が必要ではないかということが、今のお二人の議論からの、答弁からのエッセンスではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣 藤田先生、これは法案ですから、でき上がりますときには。そうすると、あなたもそのときに、立つか座るか、投票するか、それは法案が出されたところでもう一回ここで議論になるという点も忘れないでいただかなきゃいかぬので、政府が決めて、はい、それまでよということはない種類の話だから、理解を得るためにどうするかという汗をかいていただかぬといかぬのであって、一部の方だけでこそこそとやられて、はい、これが答えというわけにはいきません。

それが私どもの申し上げているところでありまして、いろいろな方の意見を聞いていただかないと、これは、御党の中にもいろいろ御意見があるでしょうし、自民党の中にもありますでしょうし、世間もいろいろあるわけですから、そういった意味で理解を得る努力をしていただかなきゃいかぬというところだと思います。いろいろな意味で、私どもの意見が今あったところで、法案に出るときにまた別のが出てきたら意味がありませんので、法案が出されるときが一番の問題だし、またその法案の審議の内容、審議の経過等々がきちんとした枠組みをつくっていく上で一番大事なところだ、私はそう思っております。

○藤田(幸)委員 同じ質問、実際に総裁の立場からですと、今のような、つまり意見書を出したりとかいう形以外に、実際に意見を反映させる方法、あるいはこういうふうにもう少し反映をさせたいという考えがおありでしたらば、言っていただきたいと思います。

○生田参考人 政府の側で有識者会議に意見も言わせながら、私どもはボランティアですけれども、自分でも意見を出し、またいろいろな先生方も意見をおっしゃっていると思います。そういうものを集約されつつ、政府として、いつか私は存じませんが、また諮問会議に移っていくんじゃないかなと思っているのでありますが、そういったプロセスを見ながら、言うべきことがあるとすれば、今言うべきことは一応私は申し述べたつもりでおります、申し述べるべきことがあるとすれば、僣越を省みず、適切なタイミングにきちんと対外的に申し上げていきたい、こう思っております。

それから、特に有識者会議の今後の推移について、私どもが意見があれば、引き続き書面で意見を出しながら、それをホームページで開示していくということは、もう準備室の方にも、これは決して対決するとかけんかするとかそんな意味じゃなくて、我々の意見をきちんと表明し、それを社会的にも知っていただくという意味において、開示していきますよということで、それはもうぜひやってくださいと、こういう非常に納得ずくの和やかな感じで、ただし建設的に、きちんと意見を申し述べていきたい、こう思っております。

○藤田(幸)委員 例えば財政問題で、郵便に存在するという約五千五百億円の債務超過、こういう具体的な問題に関しても、最近、政府・与党の方で、郵政民営化会社に国債一兆円を投入する方策を検討というようなことも報道されておりますけれども、この中身について、あるいはほかに債務超過対策をお考えなのか、この点について総務大臣にお伺いしたいと思います。

○麻生国務大臣 たびたび申し上げますように、新聞は努めて読まないようにしていますので、この話を御質問いただいて、初めてその文を読ませていただきました。

政府・与党は二〇〇七年四月に発足予定の郵政民営化会社に国費一兆円を投入する案の検討に入った、日本経済新聞の文だけは読ませていただきましたが、この種のような検討に入ったというのは、私は全く関知しておりませんし、私の知らないところでこれが進むはずがありませんので、このような事実はないと思っておりますので、今申し上げたとおりなんです。

現在の勘定を四社に分けて分社化を図る観点からいきますと、これは四社に勘定区分を分離するんだと思うのですね、当たり前の話だと思うのですが、今一つではないから。そうすると、四機能別に勘定を全部分けるわけでしょう。その上で、その一兆円という話、ではどういうものにやるのか。私は、ちょっと、正直、何を基準にどうやるんですか、従業員の数別ですか、何別にやられようとしているんですかが、この新聞記事からではさっぱり理解ができませんので、少なくとも私の承知している範囲では全くこの種の話はございません。

○藤田(幸)委員 では、どういう債務超過対策が必要とお考えでしょうか。

 まず、大臣。

○麻生国務大臣 これは基本的には、基本方針の中にもその種の話が、一応積み上げていくというお話になっておりますので、先ほどの話は国鉄の長期債務処理のときの話で、平成十年度から十四年度において、郵便貯金特別会計の方から毎年約二千億ずつで、掛ける五ですから約一兆円繰り入れたという実績は確かにあるのは御存じのとおりですけれども、私どもとして、今穴埋めの方式として、少なくとも利益というものが出てくるわけで、その利益の中できちんと対応していくということになるのが基本だとは思っております。

利益が二兆とか四兆とか出てくることになりますので、その間、三年なり四年なりの間でそこのところをきっちり埋めていくとかいうような形になる。それは四社に分けるときにやることになるという感じでやる以外にほかにないんじゃないかなとは思っております。

○藤田(幸)委員 では、総裁。

○生田参考人 決して総務大臣と意見が違うわけじゃございませんけれども、公社まとめて、どこまで自己資本を積んでいけるかとなりますと、公社法で七兆円までは自分で積みなさい、その間税金はおまけするから、こういう仕組みで来ておりますが、多分六兆円内外ぐらいのところまでしか積み立てられないだろうと思います。そうすると、公社全体としても過少資本という問題が起こります。

その中の内訳で、郵便だけを見ると五千八百億の債務超過でスタートしまして、公社は四年でそれを五千三百億まで改善しなさい、すなわち五百億は利益で補いなさい、こういう中期経営計画をいただいているわけなんですが、これは政府で承認された内容ですね。

それに対して、私どもは何とか黒字の幅を少しずつでも広げて、五千億内外までは縮めていこうとしておりますが、それを全部埋めるのは、五千億を全部埋めるなんというのはとてもできない相談であります。したがいまして、公社全体としての過少資本をどうするのか。

それから、その中でも、内訳として、郵便の債務超過をどうするのか。債務超過で会社がスタートできるはずがありませんから、やはり応分の資本金は必ず必要ですから、それをどうするのかというのは大変大きな課題でございまして、実は当事者としてそれに対して回答を持つというのは、ちょっとそういうことはできない。そういう能力がないわけでございまして、最終年度にたまるであろう自己資本、例えば六兆内外で適当に四つに割れと言われるとみんなが過少資本ということになるわけなので、それでいいのかどうか。

制度設計の中で、何とか健全な民営化をして、将来株を売って民有民営にしようというのであれば、それを本当にそうするんだというのであれば、スタートのときのバランスシート、ストックの方は健全にスタートさすということがお国にとっても必要なことじゃないかと思いますので、制度設計の過程でよく考えていただきたいなと。

その関連で、この一兆円の新聞記事を読みまして、政府方針がこう決まったという記事を見ますと、大体非常に怒り狂う記事が多いんですけれども、これだけは非常に喜んで拝見したわけでありますけれども、今総務大臣のお話を承るとそんなことは聞いていないということなので、実現できればいいなと。

この記事が出たときに、実は、私は職員連中に、何だ国鉄に一兆円貸していたのなら、貸していたものは返していただくのが当然じゃないかと言ったら、ちょっと筋が違うかもわからないから、そんな下品なことは言っちゃいけないと言われたので、そういうことを申し上げる気はないわけでありますけれども、できればそういうことも含めまして御措置をいただければありがたいなと思っております。

○藤田(幸)委員 時間が参りましたので、一言ずつ、大臣と総裁から、結果責任を十分果たせるという自信、見通しについてお答えをいただきたいと思います。

○麻生国務大臣 システムを含めて、かかってでき上がる枠組みが、どのような形ででき上がり、かつそれを審議いただくことになりますので、その御審議をいただく内容で、藤田先生の御意見で、悪い方に修正されたらかないませんから、常に、必ずこれがよくなる方向に、これはよっぽどみんなで詰めたところででき上がらないと、これだけ大きなものをやるんですから、ちょっと、数名かの思いつきでできるような話とは全く思いませんので、私どもは、議会においていろいろ御審議をされた結果、最上のものが出てくるようにしなければならぬと思っております。

○生田参考人 何に対する結果責任か、ちょっと正確に私は理解できなかったんですが、全般に関して言いましたら、私は、日本国の生産性を高め、国際競争力も高めていくというマクロの立場からいくと、あらゆるものが改革の対象になるだろう、そう思っております。私が今お預かりしている公社について考えれば、公社で持たせていただいている経営資源というものが必ずしも最適な格好では配置されていないわけでありまして、それを、意識の改革、それから官庁文化からの脱却という意味での文化の改革も経まして、持っている公社の経営資源をできるだけ最適に再配分することによりまして、一番生産性高く、結果もいい内容にしていこうと思っております。しかも、職員に喜んでもらえるような、職員の士気が鼓舞されるような格好でできればいいな、そのことについて最善の努力を尽くしていきたい。自分自身としては結果責任を負うつもりである。それは、結果が悪いかどうかは客観的に評価していただく以外ないわけで、自分ではできないわけでありますけれども、いかなる御批判を受けてもいいというつもりで最善を尽くしていきたい、こう思っております。

○藤田(幸)委員 ありがとうございました。

午後3時40分散会