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日本・EU議員会議で原発問題などで発言2011年05月21日

 19日(木)と20日(金)の両日、日本と欧州議会の代表団が参加して、第32回日本・EU議員会議が、参議院議員会館において開催されました。

 日本・EU議員会議は、1978年に第1回会議がルクセンブルクで開催されて以来、原則として年1回、日欧交互に開催されています。

 今回の会議では「東日本大震災の現状と対応、将来的な課題」(原子力発電所の事故について/復旧・復興に対する取組みについて)及び「日本・EU関係」(日本及び欧州の政治情勢/日本・EU経済協力(EPA)/エネルギー政策及び気候変動)を議題として、セッションが行われました。

 私は日本側の副団長として出席しました。

 

私はEUから学ぶべき課題」としてスピーチしましたが

概要は以下の通りです。

                      

一 福島原発事故は各国の市民生活、生態系、経済に直結する世界の大問題。

 

ジャック・アタリ(仏、初代欧州復興開発銀行総裁)

「国際社会は、世界経済のメルトダウンや、リビアの大虐殺を阻むために共に行動したように、今や日本に地球を毒させないように、介入しなければならない。主権国家が自国民を守ることができず、危険が国境を越える時、世界には『介入する責任』がある」

 

スティグリッツ教授(米、ノーベル経済学賞受賞者)

「福島原発のメルトダウンと1929年の金融大恐慌には類似点がある。原子力や金融界の専門家たちは、大惨事のリスクはほぼゼロになると保証していたが、それが間違っていたことを実証した。損失は社会で負担させ、利得は私有させるシステムはお粗末なリスク管理しかできない。」

 

二 紛争や問題解決の実行機関としてのEUから学ぶべきこと

 

1 EUの原点は、戦争を起こさせないシステム作り。戦争の原因としての鉄と石炭の共同管理→経済共同体→通貨統合→憲法制定。

 

2 政治的意思で問題解決のアジェンダを掲げ、それを実現するメニューと行程表、ルールを提示する。多国間での信頼を維持するための高度な透明性と説明責任の実行。経済協力さえ進めれば道が開けるといったやり方とは異なる、戦略的な手法を日本はEUから学ぶべき。

 

3 原発の場合。2008年のIAEA勧告の受け入れ(安全規制機関の独立性、実効的なシビアアクシデントへの対応、実効的モニタリング)。IAEAの調査団派遣受け入れ(これまで要請を拒否した国は北朝鮮、イラン、リビアと日本だけ)。

 

三 欧州政治から学ぶこと

 

○ 健全な政権交代プロセス=民意の反映度、マニフェストの実現性が高い         

 

○ 連立政権の知恵=安定した連立政権。特定政党のみを利さない。

 

○ 政治と官僚の役割分担=政治任用。政治家と官僚の役割と責任の指針。

(欧州の例)「官僚の現状維持志向、政治家に微笑みつつサ  ボタージュする」

(日本の例)「普天間問題での官僚による妨害」

 

○ メディアの独立性=民意の反映度、政府のチェック機能が高い。

  「世論操作」は少ない。透明性と説明責任が高い。

 

○議会や政党が外交や援助活動を担う組織と国家予算を持つ。

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