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予算関連法案の年度内不成立による混乱2011年01月28日

国会は衆・参の本会議での代表質問が終わり、来週から衆議院の予算委員会が始まります。予算案や予算関連法案が年度内に成立しなければ、菅内閣が総辞職か解散に追い込まれる、といったマスコミの観測記事が多くなっています。

予算案は、民主党が多数を占める衆議院で通過することは可能ですが、参議院で予算関連法案を通過させることは相当な困難が予想されます。この予算関連法案の多くが、私が委員長を務める、参議院財政金融委員会で審議されます。

 もし年度内に成立しない場合、国債の発行や、子供手当ての支給、地方への財源移譲ができなくなる他、税制改正法案が年度内に成立しない場合、以下のように、国民の経済活動に大きな混乱が生じます。

 

税制改正法案が年度内に成立しない場合の影響

 

○ 税制改正法案が年度内に成立しなければ、適用期限が切れてしまう特別措置をはじめ、改正部分について課税関係の見通しが立たなくなる

⇒ 経済取引への影響を通じて国民生活に混乱を与えるおそれ

 

<国民生活等への影響>

◆ 住宅用家屋の売買等に係る登録免許税の軽減措置が失効

⇒ 住宅用家屋の売買による所有権移転登記等に対し、本則税率が適用され、重い税負担が発生(平成23 3 月末まで 0.3% → 本則 2.0%)

⇒ 上記のほかにも、登録免許税の各種減免措置が失効するため、様々な取引等の当事者にとって想定外の負担増が発生

◆ 不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例が失効

⇒ 不動産譲渡契約書等に対し、本則税率が適用され、税負担が増加(平成233 月末まで 1.5 万円(契約金額1千万円超5千万円以下の場合)→本則2 万円)

⇒ 不動産取引の当事者にとって想定外の負担増が発生

◆ 「携帯品輸入」(旅行者等が入国の際に行う紙巻たばこやウイスキー等の輸入)に係る税率の特例が失効

⇒ たばこ税(又は酒税)と消費税とを統合した特例税率が失効

(たばこ税 特例:10,500 /千本 → 本則:11,424 /千本+消費税5%)

⇒ たばこ税(又は酒税)の税額と消費税額とを別個に算出する必要が生じ、旅行者等が行う通関時の納税手続が煩雑化し、スムーズな通関に支障が発生

◆ 農林漁業用A 重油に係る石油石炭税の免税措置が失効

⇒ 農林漁業用A 重油の安定的調達、中小零細農林漁業者の経営の安定に支障

⇒ 具体的には、農林漁業用A 重油(漁船燃料、ビニールハウスの加温用燃料)の価格上昇が中小零細農漁業者の経営を圧迫する可能性(いか釣漁者で年間17.9 万円の負担増)

◆ 特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例が失効

⇒ 航空機燃料税 19,500 /kl → 本則:26,000 /kl

⇒ 特定離島路線航空機の運賃が上昇する可能性があり、同航空機の利用者である離島の住民に影響

 

<企業活動等への影響>

◆ 企業関係租税特別措置をはじめ、各種特別措置の適用関係が不透明な状態に置かれるため、例えば医療用機器や船舶の特別措置償却等が期限切れとなり投資計画が立てられなくなる等、様々な事業・取引活動や経理処理に支障が生じかねない。

 

 何とか、予算関連法案を年度内に成立させるよう最善の努力を傾けて参ります。 ----