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「週刊NY生活」論壇抄 二大政党向き党首の同時誕生2024年10月05日
「週刊NY生活」の論壇抄の論考が掲載されました。ご一読下さい。
二大政党向き党首の同時誕生
藤田幸久
■総選挙で「勝てる顔」が決め手
自民党石破茂総裁と立憲民主党野田佳彦代表が同時に誕生しました。10月27日の総選挙で、国民が日本の舵取りを担う首相を審判します。二人の共通点は紙を読まずに答弁ができる政策力と演説力。総選挙で「勝てる顔」同士です。政敵に対しても敬意を持って接する政治家同士で、安倍晋三元首相の国葬での野田さんの追悼演説の格調の高さは歴史に残ります。防衛族として知られる石破さんが主張する日米地位協定の改定が実現すれば、独立国日本として当然のことを行った首相となります。クリーンな点も含め、二大政党政治向き党首の初の同時誕生と言えます。
■党内基盤の弱さが豹変を生む
しかし、二人とも党内基盤が弱く、総裁・代表選で支援してくれたキングメーカーが君臨します。犬猿の仲と言われる菅義偉元首相と岸田文雄前首相が2回目の決戦投票で石破さんを支援し、1回目一位の高市早苗さんを大逆転。この二人が石破さんのキングメーカー。他方、以前「反小沢一郎」勢力により首相になった野田さんが、今回は「恩讐を超えて」支援を得た小沢さんがキングメーカー。
早速、石破さんは党幹部などの進言により、自論を豹変して早期解散を決定しました。国会論戦での野党の追及を避けて、総裁選でのご祝儀相場で支持率が高いうちに選挙を行う魂胆が見透かされ、支持率と株価が下落しています。
このドロドロした永田町の実態は、日本の民主主義の根本的欠陥を示しています。それは、首相と一般国民との間に存在する「二重の壁」です。首相は国民に選ばれるのではなく、国民に選ばれた国会議員によって選ばれという壁。党首は国会議員と党員によって選ばれますが、その党員と一般国民との間に壁が存在します。日本の党員は企業、農協、医師会、労働組合、宗教団体などの利害関係者が多く、一般国民が少ない。これが第2の壁です。
■政治への無関心が政治を悪くする
同じ議院内閣制の英国、豪州、ドイツなどでは一般国民の意志を反映して首相が選ばれ、政権交代も起きています。投票で政治を変えられるという国民の実感が存在します。日本でも「政治とは税金、医療、所得を決める自分の利害そのものである」という事実を受け止め、国民一人一人が考え、行動するまともな民主主義が必要です。国民が政治に無関心であるほど、政治が悪くなります。
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