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第2回国家公務員宿舎削減検討委議事要旨2011年10月29日

第2回国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会 議事要旨

第2回国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会
[議事要旨]
 
1  .  日 時 平成23年10月21日(金)10:00~12:00  
       
.  場 所 財務省国際会議室(本庁舎4階)  
       
.  出席者  
   

[委       員]

 井之上喬 大貫康雄 緒方瑞穂 川口有一郎 西久保浩二 畠中誠二郎

 (敬称略)

 
       
   

[有 識 者]

 野田健 前内閣危機管理監

 
       

[財 務 省]

 藤田幸久財務副大臣、吉田泉財務大臣政務官、三谷光男財務大臣政務官、

 田中理財局長ほか

 
 
概要  
       
   ○    財務省事務局より、資料に沿って説明。   
       
   ○    野田氏より、資料に沿って、概要以下の通り説明  
   

・ 

  現在の政府の危機管理体制は、平成7年にあった阪神淡路大震災等を契機として整備された
 
   

・ 

  緊急参集チームは、事案ごとに関係省庁の局長が指名され、審議官、最低でも担当課長が常時30分以内に必ず集まれるようにしており、また、各省庁からも連絡要員として3人程度が官邸に来ることとなっている
 
   

・ 

  危機管理要員以外に、各省においても緊急参集要員が集まり対策本部を迅速に立ち上げることが不可欠。さらに、首都直下型地震が深夜に発生したような場合を考えると、緊急参集要員が被害に遭う可能性もあることから、霞ヶ関全体として集まれるものが集まって、必要不可欠な業務を遂行していくことが必要
 
   

・ 

  東日本大震災は珍しく勤務時間内に起きたが、官庁の勤務時間中と勤務時間外の割合は、勤務時間外が7/9となっており、色々なことが勤務時間外に起きても手当てできるよう、必要な要員がどこに住んでいるかが重要
 
   

・ 

  危機管理監という制度を作ると同時に重要なこととして手当てしたのが危機管理宿舎であるが、必ずしも十分ではない
 
   

・ 

  業務をきちんと継続することができるかということから人を確保しておかなければならない。自分で家を確保させようとすると、どんどん外に出てしまうため、宿舎を自分で手当てすればよいというのは大変乱暴な議論。人事異動、即転勤という役所にとっては宿舎がないと非常に困る
 
       
   ○    西久保委員より、資料「国家公務員宿舎のあり方についての検討」に沿って、概要以下の通り説明。  
   

・ 

  人的資源管理の観点から見ると、宿舎というのは重要な福利厚生の施策
 
   

・ 

  民間企業の法定外福利費のほぼ半額が住宅に投入されており、特に全国に事業所を展開している企業は、転居・転勤があるので、その際は家族が住めるものを社有社宅として用意している
 
   

・ 

  法定外福利費が住宅に非常に偏った構造というのは日本特有のもの。地価が上昇してきたことで居住費が高いということや、低廉で質の高い公共住宅というものがなかったことから、企業が直接用意せざるを得なかった
 
   

・ 

  日本経団連の調査によると、社宅の戸数を維持しながらも管理コストが上がっているのが実情
 
   

・ 

  国家公務員の福利厚生面から宿舎を考える場合、前提とすべきは労働市場において人材の獲得競争をしているということ。宿舎がないということは、若年層の獲得において、かなり劣位になる
 
   

・ 

  民間でも、超過勤務時間の長い中核部門の社員は優先的に本社近郊の社宅を割り当てる傾向は大手の会社にある。金融保険関係やIT関係は、色々な突発的な事故・事件も多いので、役員に対する社宅も用意されており、23区内で何かあった時にすぐ来れるようにして、緊急時の即応性を確保している
 
   

・ 

  国家公務員宿舎は、国家公務員の優秀な人材を確保して、あるいは長期勤続を維持する観点からいうと福利厚生は1つの手段として非常に重要な手段。最終的には国民に対する良質な行政サービスを維持・向上することを目標とし、その手段として一定レベルの福利施策を整備することは重要。ただし、国家公務員ということを考えると、運営課題として、国民の理解を得られるためには、施策の内容、費用、財源は完全に透明化をして、施策の効果も含めてきちんと管理することが求められる
 
       
   ○    川口委員より、資料「国有不動産とPRE戦略」に沿って、概要以下の通り説明。   
     

・ 

  公務員宿舎については、コストの比較という観点で所有が良いのかあるいは、手当てが良いのかを考える必要。ただし、詳細を検討していくと、国債以上に割安な資金調達の方法がないため、結果的に(他の条件が一定ならば)所有以外の形態は割高となる
 
   

・ 

  基本的に国有財産(国民の財産)は有効活用することが原則であるが、財政危機の中で、不要な財産を特定し、財政貢献していくことも重要。ただし、国を継続していく上では、要不要というのは慎重になされなければならない

   特に、都心の土地は一度手放したら戻ってこないため、売却に当たっては慎重な議論をしなければならない。

 
   

・ 

  公務員宿舎については、公務の必要性が優先されなければならない。そういう観点から現在の必要戸数というのは計算されている。我々委員は、その戸数の具体的な算定にあたっては作業に関わったわけではないが、こうした基本的な考え方のもとで今回の戸数が出されていると理解している
 
   

・ 

  公務員の転勤率が11.3%ならば、宿舎の空き家は10%程度持っていた方が人を動かす上で効率的であり、バッファーの数については全体最適の中で考えなければならない。また、緊急時において未利用国有地や公務員宿舎が被災者のために使われたことから、国はある程度バッファーを持っていないと、平時、緊急時ともに対応できない
 
   

・ 

  宿舎を集約化して財政収入を極大化するというやり方が、復興していかなければならないという時に国民感情に沿わないということは理解できるし、考慮しなければならない。
 
   

・ 

  宿舎を提供すべき職員の類型については合理的であり、真に必要な戸数は確保しないと国のBCP(業務継続計画)がダメージを受ける。真に必要な戸数の根拠については具体的に説明を受けながら、具体的な数字を策定していくことが課されている
 
       
   ○    質疑応答における発言の概要は以下のとおり  
       
   

  危機管理用宿舎のみならず、緊急参集要員のための宿舎も、なるべく役所の近くに必要ではないか

 
   

  危機管理用以外の都心3区内宿舎の廃止等は平成18年の自民党政権当時からの方針であり、その後仕分け、PRE戦略(不動産の最適化戦略)があり、それから野田総理の朝霞訪問後における安住大臣の指示によって今回の削減に関する検討会が開かれた。こうした経緯、さらには3月11日以降の世論の動向等も踏まえて、削減のあり方の方向について検討していくことが必要
 
     

  公務員の中には勤務時間以外も拘束されている人もいるので、宿舎の考え方というのは、民間と同列に比較し難く、宿舎を含めた危機管理上の立地戦略が極めて重要。特に、日本周辺ではこれまでとは異なる動きが領土を巡って具体的に出ており不安を感じる国民もあり、国内で、公務員の人がどこにどのくらい住んでいるかということは危機管理上非常に重要
 
     

  大地震はいつどこで起こるという予測はほとんど当てにならないため、いつ起きてもそれに対応できるようにしておかなければならない
 
     

  東京一極集中が続く場合、住宅政策に限界があり、危機管理上、国家機能を分散することをしないと行き詰ることになる。危機管理の問題というのは、これをきっかけにもう少し議論していかなければならない

   例えば、ワシントンのように100万以内の都市というのは管理のあり方が全然違い、アメリカのFEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)の職員は公務員宿舎に入っていない。ロンドンでも大都市圏において警察官や消防署員が都心に住めないということで危機管理上問題があるという話になった。他方、カナダでは公営住宅を一般の人に広く開き、その中で危機管理を考えて、対応職員も住めるようにしていた。

 
     

  日本の場合、借家法において、借りる人の権利を大切にしたため、持ち主が家を貸しづらくなり、借家がなくなった。公的な賃貸住宅はあったとしても非常に少ない。その中で、家を確保するというのが簡単ではないということが問題

 
     

  危機管理用等の「等」について議論することが要諦。平成18年から20年に有識者会議でも整理されているが、危機管理以外に、例えば緊急参集のためにリエゾン(連絡要員)の人や秘書官などが必要との説明であった。危機管理用宿舎だけでなく、こうした者への宿舎も必要
 
     

  新型インフルエンザのようなことが起きたときに、どうやって各省庁の業務を継続させるのか、都心部が本当に大災害を受けて、仕事ができない場合に、どういうような体制を確保するのかという点についても、もう少し議論する必要があるのではないか
 
     

  どこまでの緊急性に対して人員を配置するのか、それについて議論が必要。これはこの検討会の役割ではないが、宿舎の立地場所に関係してくるので、どこかでその論議を把握しておく必要がある。また、転勤の頻度が多いが、同じ住宅から通うことができるようにするなど、異動のあり方を考えるべきではないか
 
     

  転勤の頻度等は難しい問題。国税職員等は、地元との癒着をできる限り断たなければならないため、頻繁に転勤をさせている。大きい役所では東京の話だけでなく地方まで含めて異動があり、色んなところを経験させなければならないというキャリアアップの一環という点もある

 
     

  民間企業の保有社宅は、間違いなく廃止の方向にベクトルが向いているため、全体の流れに合わせて国家公務員も考えるべき。また、同じ問題が今後出てこないよう基本的なところから考えて、公務員住宅の問題を見直すべき

   資料における比較対象は大企業の数字が中心であるが、どうして他のところとは比較しないのか。この検討会においては、気をつけて数字を扱い、分析していかないといけない。

 
     

  人事院における民間企業との比較は、かつては調査対象を100人以上としていたが、今では50人以上に変えている

   無駄な宿舎の廃止は当然だが、必要な宿舎まで廃止となると業務にも支障が出るので、代替措置が必要。民間でも、借上げ、融資など代替措置は講じているので、ぜひ検討いただきたい。

 
     

  官民の比較については国民に分かりやすくしないといけない。今日の資料で宿舎の保有と賃借のコスト比較をしているが、民間も同様に比較をしているけれども、国債で調達できるかという調達コストの違いによって、保有か賃貸かが違ってくる。また、民間は立地場所によって、保有か賃貸かが変わってくるというような違いが存在するということをきちんと伝えていかなければいけない。さらに、民間は日本から出て行くことができるが、国は出て行くわけにいかないので、そういった違いというのを前提に比較をしなければいけない

 
     

  世界的に見ると、シンガポールは、いわゆる社宅付きの大学を造って世界中から人材を集めているが、日本の大学は世界中から応募させても福利厚生や給料が悪く良い人材が世界から集まってこないといった状況がある

 
     

  社宅については、最近の若い人の教育がなかなか家庭や学校でできないので、独身寮が見直されているなど、人事政策と宿舎というのはかなり関連している

 
     

  国家公務員をどの企業レベルと比較すればいいのかは大変重要な問題。50人以下の企業だと、その事業所に自宅から通勤できる社員を採用しており、全国に事業所がないので転居に対する手当ての必然性も低い。大企業は、業務上全国に支社があってビジネスをしているから、社宅を持つという構成になっており、国と大企業を比較することに合理性はある

 
     

  3月11日の大震災があったということ、それから派遣村ができたり非正規雇用が増えたりということ等を含めて、今までの平時の分析だけでなく、今は有事の分析が必要。公務員の方は税金で仕事をしているということがベースになっているので、民間に比べてハンディを課して考えるべきだ

 
       
   

 (以上)

 
 

担当及び連絡先

  財務省理財局国有財産企画課企画第2係
  電話 代表 03-3581-4111(内線5718)

 

 

     本議事要旨は、取り急ぎ取りまとめたものであり、今後字句等の修正があり得ることを念のため申し添えます。

 

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