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アフリカ開発銀行年次総会に出席2012年06月04日
5月30日から6月1日にかけてアフリカ、タンザニアのアルーシャで開催されたアフリカ開発銀行(AfDB:African Development Bank)年次総会に出席しました。アフリカを中心に、60カ国程から財務大臣などが出席しました。
アフリカの名峰キリマンジャロを望む標高1400メートルのリゾート地ですが、欧州経由で片道24時間以上かかり、実質機中泊4泊の2泊6日の強行日程となりました。
アフリカ開発銀行は、アフリカ53カ国に対し、開発のための融資等を実施する機関で、加盟国は77 カ国。最大の出資国はナイジェリア (8.8%) です。日本の出資は5.5% (第3 位、域外国では第2 位)です。
私が会議で行った演説の概要は以下の通りです。
アフリカ開発銀行カベルカ総裁と
●東日本大震災支援へのお礼
昨年3月の東日本大震災で、アフリカ諸国の皆様から頂いた温かい御支援に感謝の意を表します。皆様から、救助隊、食料、飲料、寄付など多くの支援を頂きました。
●アフリカとの関わり
私とアフリカとの関わりは長いものです。私は難民支援のNGOの出身で、1984年にザンビアとジンバブエでモザンビーク、アンゴラ、ザイールなどからの難民支援のために、井戸掘りや医療のプロジェクトを立ち上げました。1984年以来「アフリカに毛布を送る運動」に関わり、今でも日本から多くの毛布が多くのアフリカ諸国に届けられています。1995年にはタンザニア西部でルワンダとブルンジの難民支援を行いました。また、南アフリカのネルソン・マンデラ氏が大統領になる以前に日本を訪問された際に、連合の会長との会談の通訳を務めるという光栄な機会も得ました。
これらの経験から学んだことは、アフリカの人々の憎しみを超える心の力と、異なる立場の人々と和解する力です。私は、アフリカは希望と未来の大陸であると確信するに至りました。
(左の写真)中央がケニアのギタエ財務相と日本財務省の石井菜穂子副財務官
(右の写真)コモロのソイリー財務予算投資副大臣
●アフリカの開発課題
アフリカにおける環境問題については、地域のみならずグローバルな重要課題として、AfDBを含む国際社会全体が着実に取り組んでいかなければなりません。特に、経済成長と環境保全を両立させるグリーン成長を目指す必要があります。日本は、アフリカにおけるグリーン成長を推進するため,「アフリカ・グリーン成長戦略」を策定しており、先般のTICADフォローアップ会合で中間報告を提示しました。AfDBにおいても、多様な開発パートナーと協調しつつ取り組んでいくことを期待します。
アフリカ諸国は、近年、政治的安定の拡大や資源価格の上昇等を背景に高成長を実現しています。特に最近の特徴として、資源国のみならず非資源国において、BOP(Base of the Pyramid)ビジネスが拡大し、アフリカ諸国に経済成長をもたらしています。これまでアフリカ諸国が取り組んできた投資環境の改善や人材の育成が着実に実を結びつつあることを証明しています。
アフリカ諸国が包括的かつ持続的な経済成長を実現するためには、様々な産業の育成を更に推し進めることにより、外部環境の変化に脆弱な鉱業部門への依存から脱却し、民間セクターが主導する多角的な産業構造を目指す必要があります。AfDBが、民間セクター開発に取り組んでいることを評価します。
● アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ「エプサ」(EPSA(Enhanced Private Sector Assistance for Africa))
右からJICA田中明彦理事長、カベルカ総裁 タンザニアのムクロ財務相
民間主導の経済成長を通じて、貧困削減を図る観点から、日本は2005年、AfDBと共にEPSAイニシアティブを立ち上げ、10億ドルの円借款供与を表明し、既に目標を達成しました。更に、先の米国でのG8サミットに際して日本は、EPSAの下で、今後、5年間で、新たに10億ドルの円借款を供与することを決定しました。また、引き続き、日本が資金貢献しているアフリカ民間セクター向支援基金(FAPA ( Fund for African Private-Sector Assistance))を通じて、中小企業に対する経営指導等の技術協力を実施してまいります。
●アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)
日本は、1993年にアフリカ開発会議(TICAD)を立ち上げ、アフリカの近年の目覚しい経済成長に貢献してきました。来年6月には、TICADプロセス20周年の節目の会合となるTICAD Ⅴを横浜で開催します。TICAD Ⅴが有意義な会議となるよう、カベルカ総裁を始め、アフリカ各国及び国際機関・地域機関といったアフリカの開発に重要な役割を担う皆さまと共に取り組んでいきたいと思います。
●アフリカ開発銀行東京事務所開設
昨年、AfDBが東京におけるアジア代表事務所の開設を決定したことを歓迎します。アジア代表事務所は、世界の成長センターであるアジアとアフリカを結ぶ上で大きな役割を担うものです。
●アフリカにおける日本企業の貢献
ゼンショーの母子健康プログラム 左端がゼンショーの山縣マネージャー
日本は、タンザニアとは、昨年国交50周年を迎えました。ご当地アルーシャにおいては、2008年に住友化学とタンザニア企業との合弁による世界最大のマラリヤ対策の蚊帳(Olyset Net)の製造工場が建設され、マラリヤ撲滅に大きく貢献しています。
また、ゼンショーはここのキリマンジャロ・コーヒーを直接買い付けることにより得られた資金をタンザニアのNGOと協力して母子健康プログラムを支援するという社会貢献活動を行っています。
こうした友好関係を基盤として、アフリカの未来の繁栄のために協力していく所存です。
住友化学オリセットネット工場 右からハリア社長、藤田、AfDB菅理事
以上
石井菜穂子財務省副財務官が「地球環境ファシリティ」理事長選挙に立候補
エチオピアのミスラック国際金融機関局長 モロッコの予算担当特命大臣
また、6月5日から開催される、世界銀行の「地球環境ファシリティ」の理事長選挙に立候補を予定している石井菜穂子財務省副財務官に対する支援要請を、各国の財務大臣などに精力的に行いました。石井副財務官は、開発・財務・環境の3分野に精通し、世銀等の国際機関での実績も豊富な女性です。またアフリカを15回も訪問し、様々な支援援助活動を行って来ました。私は4月のワシントンでの世界銀行開発会議でも石井さんを各国代表にお願いしました。お陰さまでインドとオランダの候補と3人による最終選考に残っていますので、5日からの会議での当選をお祈りしています。
コンゴ民主共和国のキテビ財務大臣(右から二人目)
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