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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2009年05月27日

活動報告

2009年05月27日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 藤田幸久でございます。
 四回ラブコールを発信させていただきまして、三回お出ましいただけませんでしたけれども、お忙しい中、谷内政府代表、委員会にお越しいただきましてありがとうございます。
 谷内代表のお人柄や外交官としての能力を疑う人は私はだれもいないと思っております。ただ、四月十七日以降の新聞報道等については国益に関することであるので内外の関心を集めている、そんな観点から率直な質問をさせていただきたいと思います。
 先週の予算委員会、そして今の風間委員の質問に対しても、谷内さんの政策論とか考え方をおっしゃいましたけれども、今日の委員会でお聞きしたいのは、新聞記事に出たと、それを外務省としても否定をしていないと、正式にですね。そうすると、外交官でおられますからお分かりと思いますけれども、一国の政府が声明を出す、あるいは文書を出す、あるいは一流紙の一面に新聞記事が出たというのは、これ、外交上の事実であります。それにどう対応するかということが重要でありますので、その観点からの質問でございます。したがいまして、谷内さんのそもそもの考え方というよりも、この事実関係にのみ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 この毎日新聞の記事でございますが、今日、幾つか資料で毎日新聞、産経新聞、ファクタ、お配りをしていると思います。先ほどの答弁で要約したものだということでございましたが、この毎日新聞の記事が。であるならば、まず幾つかお聞きしたいと思いますが、三・五島という言葉を使われたかどうか、イエスかノーかでお答えいただきたい。
○政府参考人(谷内正太郎君) 三・五という言葉は使いましたけれども、今まで御指摘いただいている文書の中で使うということはやっておりません。
○藤田幸久君 当然、インタビューですから、記者に対して、私は、私は、私はと主語を使ってお答えになっていたこと、あるいは主語を使っていなくても、日本語独特の省略をしたけれども、私はという主語に近い表現だったということが度々あったと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 発言の中には、私はということを言ったことはもちろんございます。
○藤田幸久君 では、産経新聞の記事もお渡ししておりますけれども、つまり、十七日に毎日新聞に出て、電話で恐らくインタビューを産経新聞がされたんだろうと思いますが、その産経新聞のインタビューに対して記事は捏造だとおっしゃっておられますが、捏造と言うからには、具体的にどの部分が間違っているという自信がなければ、確信がなければ捏造と言い切れないと思うんですが、では捏造はどこの部分でしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 記事が捏造かどうかという話とは別に、私自身の考えは既に風間先生にお話ししたところでございます。
 それで、私が反省しておりますのは、そういった発言自体は、先ほど申し上げている発言自体はしていないけれども、全体の中で誤解された部分はあるかもしれないと、こういうことでありまして……
○藤田幸久君 質問にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(谷内正太郎君) はい。それで、その誤解している部分がどこなのか、それはその誤解する方の問題でありますから、私はそこはつまびらかにしていないと、こういうことでございます。
○藤田幸久君 誤解ではなくて捏造だという、この発言によりますと、産経新聞によりますと、これは捏造と書いてあるわけですから、そうすると、要するに毎日新聞が捏造したということですか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 私の発言について、これを捏造だとか間違いだとか、いろいろな性格付けをすることは理論的には可能だと思いますけれども、私自身の立場はもう既にはっきり申し上げているわけですから、それをいろいろな表現で実はこうですと、あるいはこう考えるべきだと言うことは私は差し控えさせていただきたいと思います。
○藤田幸久君 事実関係でお聞きしております。産経新聞をお配りをしております。資料の一ページ目でございます。三行目から引用があります。「「インタビューでは北方四島の面積について説明はしたが、三・五島の返還で解決させてもいいとは発言していない。記事は捏造されたものだ」と強調した。」と。この引用が間違っているんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) その後に、「「そうした発言はしておらず、私の真意が伝わっていない」とコメントを修正した。」というふうに書いておりますけれども、いずれにしても、産経新聞と私の間でどういうやり取りをしたかということ自体について私がコメントすることは控えさせていただきたいと思います。
○藤田幸久君 そうしますと、プーチン首相が、これは五月の十日、来日の前日に合わせるように、共同通信、日経新聞、NHKですか、このプーチン首相は、三・五島返還論については日本国内でも固まっていないと聞いており、反応するのは時期尚早だというふうに発言したと。これは谷内さんの新聞記事がなければこういう発言に至っておりませんが、そうすると、谷内さんの新聞記事があったんでこのプーチン発言が出てきたという因果関係についてはお認めになりますか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 私、三・五島という言葉は私の報道以前にいろんな形で出ていたという記憶はございませんので、そういう意味では、その各紙とのやり取りは具体的にどういうことか知りませんけれども、三・五島という言葉が出だしたのは私の発言を契機にしていると、こういうふうに認識しております。
○藤田幸久君 同じように資料の中に、これは五月の十一日に三つ四つぐらいの全国紙に出た緊急アピールというものが出ております。お配りしておると思いますけれども。
 これは御承知のとおり、十五名の大使経験者がこの名を連ねております。それで、この十五名の大使経験者のこのアピールでございますが、二つ目の段落になりますかね、の後半、「つまり、日本政府の首脳が、初めて四島返還という対露外交の基軸を否定するかのごとき発言をしたわけです。」と。これもやはり谷内さんの毎日新聞の記事がなければ、これだけの、まあ谷内さんにとっても先輩の方が多いわけですが、外交官としての先輩の方々がここまで書かないと思うわけですが、これもやはり谷内さんのこの、まあこの二段目の段落の冒頭に出ていますけれども、やはりこういう方々もそういうふうに取ったという事実はお認めになりますか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 先輩の方々を含めてこのアピールを出された方々があの報道をどのように受け止められたか、これは私が発言すべき立場にはございません。
○藤田幸久君 政府代表、閣議で決定をされたお立場にあります。そうしますと、常に、今、谷内さんが発言をされる場合には政府代表でございます。そうしますと、全く民間人であれば別ですけれども、交渉の相手側のプーチン首相、そして外務省十五人のこの大使経験者がこういうふうに断定をして取られているということは、自分が知ることではないというような御発言でございましても、やはりこれは責任を持ってこれに対応しなければ、外交交渉事が実際に動いてしまった、プーチンさんの来日を前にして、ということにはなりませんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) したがって、私がどういう発言をしたかということについては今申し上げたとおりで、そういう発言はしていないと、こういうことであります。
 他方、報道はあるわけでして、その報道をいかに認識したか、これはちょっと私が申し上げるべき立場にはないんで、その方々があの報道を正しいという前提でこういうアピールを出した、これは普通常識的にそう考えたのであろうと、これはそういうふうに思います。
○藤田幸久君 報道をした方の責任にされますが、これは両方言い分があるわけですけれども、結果的に、その相手国の首相、そして国内においてもこれだけの方々がそういうふうに認識をされたということでありますから、それを是正をしなければ、これは事実として事が動いてしまっている典型例ではないでしょうか。それに対して何もされないんでしょうか。単に新聞社側の誤解だということで済まされることでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 是正の措置は、外務省がどういうふうにしておられるか必ずしもお聞きしておりませんけれども、私自身は、具体的なだれに対してどのようにということは申し上げませんけれども、ロシア側に対して私の発言が正確に伝わってないということはメッセージとして伝えてあります。したがって、そのこともあってロシア政府の関係者は、日本政府の立場はこれについては何も固まっていないと、こういう認識を取っているのだと理解しております。
○藤田幸久君 ちょっと違った観点から、質問通告にないことを幾つか質問したいと思います。
 谷内さんは昨年ロシアを訪問されましたでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) しておりません。
○藤田幸久君 それから、瀬島龍三さんという方がいらっしゃいますが、瀬島龍三さん、亡くなられましたが、かつてアメリカの大統領にお会いになりましたね。で、アメリカの大統領にお会いになられたときのアポの手配を谷内さんがかかわったという話がございますが、事実でしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) ちょっと私の記憶ははっきりいたしませんけれども、瀬島龍三さんがいつどの大統領にお会いになったのか、それから、そのこと自体私はよく存じませんし、そのアポの取付けを私がやったということはないと思います。
○藤田幸久君 それから、谷内さんは今個人事務所を内幸町、東電ビルですか、お持ちですけれども、この事務所の家賃はどなたがお払いになっているんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 私、谷内事務所ということで、何といいますか、例えば外国の要人が会うときとかいうときに部屋を使わせていただいているということでありまして、私の事務所自体は、内幸町と、これはある会社の顧問をやっておりますのでそこの部屋と、あと大学の研究室等々を使わせていただいております。
○藤田幸久君 では、その部屋を借りられているということでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 借りているわけではございません。
○藤田幸久君 そうすると、谷内事務所というのは、ではどなたがその家賃をお払いになっているんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 今日は北方領土の問題について御質問があるというふうに聞いておりましたので、その点についてはこれ以上お答えは差し控えさせていただきます。
○藤田幸久君 いや、北方領土の関係の具体的なことをやっているわけですけれども。
 それからもう一つ、先ほどの言葉の問題に戻りますけれども、谷内さんのこの毎日新聞の記事に戻りますけれども、谷内さんはこの中で、いわゆる返還後の北方四島は非軍事的な地域にすることを日ロ間で合意するという案もあり得ると述べたというふうに毎日新聞になっておりますが、非軍事的な地域という言葉は使われましたでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 正直言いまして、四月九日のインタビューでありますから、具体的にどの言葉を正確に使ったかというのを確かめられましても、そこはちょっとよく覚えていないですけれども、あそこに書いてあるような趣旨のことは述べたような記憶がございます。
○藤田幸久君 そのよく覚えていないで、事がこれだけ大ごとになっているわけですね。それで、よく覚えていないと言いながら、その新聞社の方が間違っているというか、否定をされていると。
 他方、これだけ交渉事の日本の主権にかかわることがこういう形になっているということに対して、それで御本人は責任を果たせると思っているんでしょうか、政府代表として。
○政府参考人(谷内正太郎君) 問題になっていますのは、三・五島ではいいのではないかというところが問題にされていまして、これは毎日の記事が出た時点からそういうことを言っているんですかと、こういう質問を受けているわけですから、それは、そういうことは言っていませんと、これは記憶としてはっきりしているわけであります。
 他方、このインタビューそのものはたくさんあるわけですから、一時間ぐらいやっているわけですから、ほかの問題も含めてですね。そこの個々の表現を正確にどう使ったのかと言われても、これは私は記憶にない部分が多いということは申し上げざるを得なくて、ただ、他方、この趣旨のことを言ったのかと言われれば、この趣旨のことは申し上げましたと、こういうふうに申し上げているわけです。
○藤田幸久君 政府関係者、例えば大臣が公器の新聞に対して、質問をして、それで自分が一時間のインタビューだったので何を言っていたか分からないという、それで政府代表としては責任果たせないと思います。やはり一字一句に対して説明責任を果たさなければ、これは相手もあることですし、これだけ大使経験者まで実際に新聞の考え方のとおりに理解をしているわけですから、覚えていないで済まないんじゃないんですか、どうなんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) どんな人間でも覚えていることと覚えていないことはあるというふうに心得ております。
○藤田幸久君 そもそも、政府代表に推薦したのは麻生総理でしょうかということが一つと、政府代表になってから今まで、かなり具体的な指示あるいは報告は総理からかなり来ていますですね。
○政府参考人(谷内正太郎君) 具体的には、外務大臣の申出によりまして、内閣の方から政府代表を今年の一月二十日に任命されたと、こういうことでございます。
 他方、総理との関係で、あるいは政府代表として何をやったのかと、こういうふうに言われますと、例えばいろんなシンポジウムに出たり、総理のごあいさつを私自身がしたりとか、それから、委員御承知のサハリンでの首脳会談の際に同行するとか、あるいはまた、麻生総理といろいろと僣越ですけれども意見の交換をさせていただくと、こういうことは度々ございます。
○藤田幸久君 先ほどの瀬島龍三さんの件ですが、多分栗山大使のころだろうと思いますけれども。
○政府参考人(谷内正太郎君) いずれにしても、私がアポイントメントを取ったという記憶はございません。
○藤田幸久君 それでは、毎日新聞がこれだけの大きなことを一面に書いて、そして政府代表の発言で谷内さんが言っていらっしゃらないということを書いて、これだけ外務省全体も、敵にとまでは申しませんけれども、これだけ異論が出ている、もうOBがこれだけ書いているということは、外務省の方もそういう考えの方が多いんだろうと思いますけれども。これだけのことになってしまっても、これ毎日新聞が勝手に書いたんだ、誤解をしたんだでは済まさないと思うんですけれども、これ、毎日新聞に対して抗議なりあるいは訴えをするなり、そういったことは考えられないんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) この記事が出たときから、私はそういう発言はしていないということ、それから、私の真意はそういうところにはないということは毎日新聞に申し入れております。
○藤田幸久君 中曽根外務大臣がいらっしゃいました。
 実は、その報道に関して、昨年の十月二十二日ですけれども、外務省は週刊朝日に対して抗議をしています。これは、中曽根大臣と齋木アジア局長に関しての記事でございますけれども、これに対して日本政府・外務省は抗議文を出しているんですね。最後の部分ちょっと読み上げますけれども、外務省として、週刊朝日に対し、「事実に反する記事の掲載により読者に誤解を与え、また、名前を言及された中曽根外務大臣及び齋木アジア大洋州局長の名誉を著しく傷つけ多大な迷惑をかけたことにつき、厳重に抗議するとともに、今後記事の訂正を含め適切な対応を取ることを強く求めます。」とあるんですね。
 これ、今回の毎日新聞の方がはるかに、これ以上にこういう抗議文を出す事態に、つまり個人の名誉以上に国家の領土と主権のかかわっていることでございますけれども、全く四月十七日以来外務省としてこういう具体的な動きをしていないので、四月十七日から三週間たった後プーチンさんがこういうことをおっしゃっていて、そして五月十一日にこれだけの大使経験者がこういったものを出しているということは、具体的に対応していないのでこうなったんではないかと思いますけれども、こういう毎日新聞に対して具体的な対応をするお考えはないんでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) まず委員が、週刊朝日でしたか、私と齋木局長に関することについての今お述べになられましたけれども、もちろん領土問題というのは国家の最重要中の最重要課題ですから大変重要なことでありますけれども、私個人にとりましては、私のことに関して名誉毀損的なことがあれば、これも個人的には重要なことであります。
 これとこれを一緒に並行して、こっちが抗議したのにこっちはというのはちょっといかがかと思いますけれども、この今の谷内政府代表の発言に関しましては、私が本人から事情をお聞きし、そしてそういうような発言はなかったということは報道陣にもそれを公開をし、またこれは御本人からのそういうような説明もあったということであります。
 毎日新聞社に対しましては、既にインタビューに関しますこの谷内代表の説明ぶりとともに、政府の立場、これはもう基本的な、繰り返しませんが、立場というものもしっかりと伝えてあるわけでありまして、そういうところから申入れを行うということは考えていなかったということでございます。
○藤田幸久君 おっしゃったと言いますけれども、要するに谷内さんがまだアメリカにいらっしゃったときに電話で厳重注意しただけですよね。
○国務大臣(中曽根弘文君) 電話で本人のこの発言について私が確認をしたということでありまして、その後、帰国をされてからでしたかね、誤解を与えるような発言があったということなので、私としては厳重注意をしたということでございます。
○藤田幸久君 前の答弁によりますと、四月二十日に電話で厳重注意したとありますけれども。
○国務大臣(中曽根弘文君) ちょっと日にち等、今ちょっと正確には覚えておりませんが、電話で、アメリカに滞在中の谷内政府代表と電話で話をして、そのときに注意したということだったと思います。
○藤田幸久君 それから、ロシア側に説明をしたとおっしゃっていますけれども、前の委員会の答弁ですと、ロシア側には照会も説明もしていないと。結果として、プーチンさんがこういうふうに日本では意見が固まってないと、つまりばらばらだというふうに見られてしまったという事実は外交上のこれは大変な失点じゃないんですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) プーチン首相が意見が固まってないと思われたのか、あるいはそれを発言されたのかについて、私実は……
○藤田幸久君 新聞の記事、お渡ししていますし、前も何回も。
○国務大臣(中曽根弘文君) いずれにいたしましても、我が方の政府の考え方というものは度々これは表明しておるところでありますし、国会でも総理また私からも答弁もいたしておりますので、そういうことで私はロシア側が誤解をする余地はないものと、そういうふうに思っております。
○藤田幸久君 谷内さんにもう一度戻ります。
 三・五島論という言葉をおっしゃった、それから非軍事化という、あるいは非軍事的な地域ということもおおむねおっしゃったということをお認めになった。私はという主語も、しばしば、頻度の表現は別にしておっしゃっておられた。そうすると、政府代表という方が毎日新聞のインタビューを受けているということを御存じですから、報道されるという前提で、この時期でそういったことを言及されるということは、これは述語の読み方、使い方は別にして、選択肢としてそういうことを麻生総理の下で官邸に事務室を持っている谷内代表がおっしゃったということは、選択肢の一つとして思われるということがごく当然じゃないんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 繰り返しになりますけれども、自分は三・五島でもいいのではないかという、これは言ってみれば北方四島問題の出口の話だと思うんですね。私はそういう趣旨のことは一切言ってないということを何回も申し上げておるわけでありまして、これはまさに交渉中の話でありますから、そんな出口の話を言うわけがないわけですね。したがって、そこの部分は言っておりませんと。
 ただ、全体の流れの中でいろいろ解説的な部分もありますから、その中に、三・五島論とおっしゃいましたけど、論という言葉はこれまた使っておりません。これはまた大変デリケートな問題ですから、そういう言い方はしておりません。ただ、三・五島というのは説明の中で入ったかもしれない、入ったと記憶しております。そういうことでございます。
○藤田幸久君 出口の話を交渉に臨んでおられる方が言うこと自体が、この交渉の原点の、つまり入口が重要なんですよね。つまり、入口の問題で、帰属の問題でずっとやってきているわけじゃないですか。その入口の話をほとんどされないで、これもまた入口の話を十分したけれども毎日がはしょったというなら別ですけれども、ただ、はしょられるのは、これは新聞のインタビューで常にあり得ることじゃありませんか。これはぶら下がりもそうでございますし……(発言する者あり)
○委員長(榛葉賀津也君) 御静粛に願います。
 藤田幸久君、質問を続けてください。
○藤田幸久君 北方領土問題では入口が重要なわけですね、帰属の問題。谷内さんの著書でも書いていらっしゃる。そのことについて余り説明をされずに、この選択肢の一つとして、あるいはその解説として三・五島と言うこと自体が、三・五島論とプーチンさんも取っている、十五人の大使も取っている。そういう前提でインタビューをされたということは、当然それはそういうふうに取られるというふうな認識が外務次官経験者あるいは政府代表とすればあり得るというふうな考えはなかったんですか、インタビューを受ける際に。
○政府参考人(谷内正太郎君) 度々で誠に恐縮なんですけれども、入口のところは何も言われなかったとおっしゃいますけれども、これは先ほど申しましたように、戦略的な利益をお互いに見出していくということをまずやる必要があると。そして、全体の構図の中で北方領土を考えなくちゃいけないと。こういうことを言っているわけですから、その場合に出口はこうなりますよということを言ったんでは話にならないので、そんなことは申し上げておりませんと。どんな形にしろ出口はこうあるべしということは私は言うわけがないんです。
 だから、その点はどうして誤解されてしまったのかというふうに私は申し上げていて、そこのところは皆さんの誤解を何とか解きたいと思って、現にこの委員会でもるる御説明しておるところでございます。
○藤田幸久君 戦略論というのは前提の話でありまして、考え方の問題であって、交渉事の場合には、日ロに関して言えば帰属問題が原点、入口だろうと思うんですけれども、その説明をされずに戦略論、パイプライン云々の話、パイプラインは別かもしれません、これはファクタの引用だけれども、環境その他という話になると、これは要するに帰属を決めた後の、その後の、場合によっては段階論か、あるいはいろんな選択肢というふうに今までの交渉経過からいえばなるわけですから、そうするとそれを政府代表の方が言及すること自体が、これは出口論というふうに取られるのが当たり前なんじゃないですか。それを知りながら発言をしたということは、やはりそれを許容し、そして観測気球を上げたというふうに取られるのが当然と思われるんですが、いかがですか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 大変申し訳ありませんけれども、繰り返しになってしまいます。
 私は、両国間で戦略的な利益がどこにあるのか。それを大いに議論し合ってそれで大きな構図をつくっていく、その中で北方四島の問題を解決するようにいろいろ知恵を絞っていくと、こういうことを申し上げておるわけでございまして、出口だとか入口とかというところは慎重に議論は避けてきたつもりであります。
○藤田幸久君 今ロシアは、交渉的には立場弱いんだろうと思うんですけれども、日本に比べて。弱い立場のロシアと交渉する場合にはなおさら入口の部分をしっかり繰り返す、強調するということが交渉上重要だということは、済みません、釈迦に説法で恐縮ですけれども、その観点からすると、こういう出口の選択肢の背景も含めてかなりおっしゃるということは、それはそういうふうに先方は取るというふうに外交上は推測ができたんじゃないんですか、いかがですか。
○政府参考人(谷内正太郎君) ロシアの関係者と話し合うところは、今先生がおっしゃいました点も含めて十分に議論させていただきたいと、こういうふうに思います。
○藤田幸久君 今回の四月の十七日以降、麻生総理にはどういう報告されました。
○政府参考人(谷内正太郎君) これは、ここの場でも申し上げましたように、基本的に発言はしていない、それから誤解云々というところの基本的な考え、それから自分の政府方針に対する考え方は政府と全く同じですということを申し上げただけでございます。
○藤田幸久君 それでは、中曽根外務大臣にお伺いいたしますけれども、政府としてこの毎日新聞に抗議をする、あるいはこれに対して具体的な措置をとるということは、今のところお考えありませんか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 谷内政府代表の発言に関しては、本人からもいろいろな場で御説明があり、また政府の北方領土問題に対する基本的考え方もこれは度々表明をしているところでありまして、毎日新聞社に対しまして抗議を行うと、そういう予定はございません。
○藤田幸久君 谷内さんにもう一度お伺いしますが、この十五名の大使が書かれた緊急アピールの三段、三段階の……(発言する者あり)
○委員長(榛葉賀津也君) 御静粛に願います。
○藤田幸久君 三段落目の後半に、こういった「「面積折半」のような利害・得失論に転換して、」と云々で、「むしろロシア側はより強気となり、問題解決の展望はいっそう遠ざかるのではないでしょうか。」というふうにこの大使方おっしゃっていますが、このことについて谷内さん、どう思われますか。
○政府参考人(谷内正太郎君) この諸先輩を始めこのアピールを出された方はそういうふうに思っておられるんだというふうに認識しておりますが、それ以上に私がそれについて何らかのコメントをするということは、また新しい問題になりかねませんので、お答えは控えさせていただきます。
○藤田幸久君 それでは、ちょっと数分の間で、浜田さんからのあれもありますんで、ちょっとほかの質問をさせていただきたいと思いますけれども、一つは、今月の三十日に、土曜日ですけれども、アメリカの捕虜組織であるアメリカン・ディフェンダーズ・オブ・バターン・アンド・コレヒドールという、ADBCというものの解散式が行われます。
 これ、前も中曽根大臣にも質問したことがございますけれども、バターンの死の行進で参加をされた捕虜の方々ですけれども、解散式をされると。これは要するに、皆さんお年寄りになってしまってもうメンバーが少ないというので残念ながら解散をされるわけですが、これに対して日本の藤崎大使に出席要請が出ていると思いますけれども、藤崎大使あるいはほかのどなたか御出席する予定はございませんでしょうか。
○副大臣(伊藤信太郎君) バターン・コレヒドール防衛兵連盟、いわゆるADBCの会合が五月二十六日から三十日まで米国のテキサス州サンアントニオで開催されることは承知しております。同会合に我が国政府関係者が出席する予定はございません。
○藤田幸久君 先週ですか、イギリスの新聞にも出ておりましたけれども、これはアメリカの捕虜、オーストラリアの捕虜、イギリスの捕虜の方で生きていらっしゃる方、もう八十歳から九十歳。だんだんそういう方々が御高齢になって、残念ながら亡くなってしまっていると。日本政府はそれに対して何か時間稼ぎをしているんじゃないかというような論調までありましたけれども、是非そういう方々がお元気でいらっしゃるうちに適切な対応をすべきだろうと思いますが、捕虜問題全体について、これについて何か大臣あるいは副大臣からコメントございませんでしょうか。
○副大臣(伊藤信太郎君) 今の件も含めて、この件については先方との間で種々のやり取りがございます。ただ、まだ今般の会合については、招待状そのものは接到していないこともあり、総合的に勘案して、政府として出席することになってはおりません。
 いずれにいたしましても、先方との間でこれまでも緊密な連絡を取っておりますし、今後とも取り続けるという所存でございます。
○藤田幸久君 北朝鮮による核実験について、二、三最後に質問をいたします。
 前回の四月の場合には、伊藤外務副大臣がニューヨークに行かれて、議長声明に向けて随分活動されました。途中まで非常に活躍をされたわけですが、何か途中から米中の方でかなり動いたというようなこともございますけれども、その評価は別にして、やはり日本から政治家が出ていく、そして国連のいろんな関係者と直接話をするということは、私は非常に今後も含めて重要だろうと思いますが、大臣かあるいは副大臣の方から、大臣から副大臣を派遣するあるいは副大臣の方から自分が行きたいと、どちらでも結構ですけれども、日本政府として派遣をされるお考えはありませんか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 前回のことを今お述べになりましたけれども、伊藤副大臣に国連の場に行ってもらい、そして大変各国との折衝をやっていただいて私は良かったと思っております。伊藤副大臣は、各国の代表等とかねてから面識も多いということもありまして、前回の議長声明においては大きな役割を果たしてもらいました。
 今回もこのような事態になりまして、今外務省としては、これは緊急を要することでありますが、このことについては今検討しているところでございます。
○藤田幸久君 是非積極的にやっていただきたいと思います。
 それから、今回の安保理の緊急招集を日本政府が求めたということですけれども、ということは、今度は決議ですよね。その文案の作成を日本政府もかかわるというようなお話、今朝も我が党の部会で外務省の方がおっしゃっておられましたけれども、大臣、この決議案の文案作成を日本がかかわり、日本がその文案を提示をするというお考えはありませんか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 安保理での決議案の文案につきましては、これは安保理の理事国が中心で協議をするものでありまして、御案内のとおり、我が国は、この緊急会合の招集を要請をしてこれが開かれることになったわけでありますし、また、北朝鮮のこのような事態は我が国にとりましても大変重大なこれは事態でありますので、積極的に、また主導的にこの文案作成にはかかわっていくべきであると、そういうふうに思っております。
○藤田幸久君 谷内さんに、済みません、一つ聞き忘れたのでもう一度お聞きしますけれども、先ほどの、この毎日新聞で非軍事的な地域というようなお話を、言葉を使われたということですけれども、この意味は、日本の領土、やがて戻ってきた北方領土に日米同盟が適用されないような聖域をつくると、非軍事的な地域というのはそういう意味でよろしいんでしょうか。どういう意味でしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) これについては、実際にどういうふうな適用関係があり、またどういうことであれば日ロ間で合意し得るかというところに懸かってまいりますので、今の時点で、それこそまた、どういう格好であれば自分はいいと思っているというたぐいの議論は控えるべきだというふうに思っております。
○委員長(榛葉賀津也君) 時間が来ておりますので。
○藤田幸久君 はい。
 今後とも政府代表としてお務めを続けられるつもりか、最後に一問お聞きして、質問を終わります。
○政府参考人(谷内正太郎君) 私としては、外務大臣から続けるようにという御指示を既に受けておりますので、そういうものとして受け止めて、続けるつもりでございます。
○藤田幸久君 終わります。