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前川前事務次官の勇断と常総市水害支援の前川製作所2017年05月28日

 前川前文部科学事務次官の加計学園の獣医学部新設に関する記者会見に対する菅官房長官の個人攻撃がやみません。「次官の時に、地位に恋々としがみついていた人だった」とか、バーへの出入りに対する批判など常軌を超えています。  前川前事務次官は、総理や官房長官の関与に関しては何も言及しておらず、松野文科大臣が否定した文書は本物であるということを、これまでの地位も名誉も課して明らかにしたことが本質です。  これはただ単に文科省だけのことではなく、政治家の思惑などで政策が歪められてはならないとの決意を、日本の行政を担ってきた真面目な官僚の人たちに代わって示したとも言えると思います。実際、最近ある別の省庁の人たちも、同じような官邸主導の人事などがまかり通ってきた実態を私に話してくれました。  官僚が自分たちで局長クラスの人事まで決めるという既得権行使ではなく、内閣人事局の主導で各省庁の幹部人事を行うことには意味があると思います。しかし、第二次安倍政権になってからは、日銀という中央銀行の総裁、実質的に憲法裁判所の機能も持つ内閣法制局長官、NHKという国営放送の会長が安倍首相の好む人によって交代させられ、これまでの歴代内閣が積み上げてきた政策を大きく変えました。読売新聞が政府の広告塔であることは、今回の前川前事務次官の個人的な行動を報じた週刊誌的記事でも明らかです。  こうした「権力ファーストの政治」を変えることは、民主主義の根幹にかかわることです。行政府が、国会(立法)、司法、メディアを一元的に抑え込んで「権力ファーストの強権政治」を進めることは国民生活の向上と民主主義に反することです。  最後に、前川前次官の関連の事実をご紹介します。2015年9月に常総市などで起きた鬼怒川などの決壊による水害の際、警察、自衛隊などの多くのヘリコプターが出動して多くの市民を救出しました。この多くのヘリコプターの出撃基地の場所を提供したのが、守谷市の前川製作所の駐車場でした。また数日後に始まった5日間のシルバーウィークで1万2千人ともいわれるボランティアが全国から駆け付けた際も、ボランティアが車からバスに乗り換える駐車場を提供してくれたのも前川製作所でした。前川次官の兄弟がこの企業の社長であり、妹さんは中曽根康弘元総理のお嫁さん(長男の夫人)にあたり、名門の家系の人です。  つまり、次官を辞めさせられた恨みで文書について暴露したとかいうレベルでなく、永田町や霞が関の現在を憂いての国士的な勇断であると拝察します。 20170528.01 20170528.02 20170528.03 20170528.04