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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2017年05月11日

活動報告

2017年05月11日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民進党の藤田幸久でございます。
 まず、今日は、憲法改正問題についてお伺いしたいと思っています。
 資料をお配りしておりますけれども、岸田外務大臣の方がこの九条に関して幾つかコメントを出しておられます。
 まず、平成二十七年の十月、二〇一五年ですが、岸田派の研修会で、当面憲法第九条自体は改正することを考えない、これが私たちの立場ではないかとおっしゃっております。これに関連しまして、翌年二〇一六年の七月の記者会見において、憲法九条の改正は当面必要ないとしたこの岸田派の研修会の発言について、考え方は変わっておりませんというふうにおっしゃっておられます。この考え方は変わっておられませんということについては、今も変わっておられませんか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、憲法改正については、国会の憲法審査会で各党各会派が議論すべきものであると考えております。したがって、政府の一員である外務大臣としての立場から見解を述べることは控えたいと思いますが、御指摘のこの発言については一昨年の宏池会の研修会での私の発言であります。要は、宏池会の会長としての発言についての御指摘でありますので、その点についてはお答えしようと思いますが。
 これは、当時、平和安全法制について二百十六時間国会で議論をし、結論を出したその直後の段階での発言であります。平和安全法制の議論、我が国が厳しい安全保障環境の中でどこまで対応しなければならないのか、一方で、九条を始めとする平和憲法の関係でどこまで対応が許されるのか、この二つの大きな課題について大変な議論を行い、そして結論を出したわけであります。この直後の段階ですので、私としては、その基準でありました憲法九条について当面改正することは考えない、まずは平和安全法制の実際の成果を見極めるべきだ、こういったことで発言をさせていただきました。
 そして、御質問は今でも変わらないのかということでありますが、今現在、この考え方は変わっておりません。
○藤田幸久君 ということは、安倍総理がこの間発言をされましたけれども、いわゆる九条の三項について話をされたわけですが、ということは、この安倍総理の九条三項改憲に反対するということでよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) この資料をお借りすると、まさに委員もここに掲げていただいておりますように、先日、私は、憲法改正に向けていろいろな意見、考え方が示されるということは議論の活性化という意味で意味があるというふうに申し上げております。これは一般論、当然のことでありますが、様々な意見が出され議論が活性化することは意味があることであると私は認識をしております。
○藤田幸久君 したがって、上二つは変わらない、で、下の今三つ目の、つまり五月九日の会見においてはいろんな意見が意味がある、つまり、自分の意見は変わらないけれども、安倍総理が御自身で言われることについては、議論は意味があるけれども自分とは違うということでよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 私の考え方は先ほど申し述べたとおりであります。ただ、憲法をめぐりましては、いろんな意見があって議論が活性化するということ、これは大変意味があると私は思っております。事実、総理の発言以後、衆参の予算委員会での議論を見ましても、手続論も含めて様々な議論が行われています。議論が活性化することは意味があると考えております。
○藤田幸久君 つまり、この間、安倍総理はある意味では総理総裁分離のような答弁をされておりましたけれども、自民党総裁として発言をしたことについて質問を受けたわけですけれども、ということは、岸田大臣は、先ほどおっしゃったように、宏池会の会長としては、九条三項については、先ほどおっしゃったように、一昨年おっしゃったように、九条自体改正することに変わりはないということで、宏池会の会長としては考えは変わっていないということでよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、今現在、考え方は変わってはおりません。
 ただ、議論はこれから活性化するものと期待をしております。様々な議論、しっかりと話を聞きながらあるべき、国民にとって何が必要なのか、こういった観点からこの結論を得ていくべく努力をしていくべきだと考えております。
○藤田幸久君 要は、自民党総裁の発言と宏池会会長の発言がこの九条に関しては違ったということを確認できましたが、それでよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 世の中、憲法について、憲法九条についていろんな意見があります。いろんな意見が世の中に存在するということはそのとおりだと思っております。
○藤田幸久君 また戻ってまいりますが、稲田防衛大臣について伺います。
 これも資料で出しておりますけれども、これは二〇一六年、昨年の衆議院の予算委員会において稲田防衛大臣は、九条のもとで最小限度の自衛権の行使ができるというのは最高裁でも判示がされておるわけでありますけれども、憲法学者の多くが、素直に文理解釈をすれば、自衛隊が違憲であると解釈するような九条二項、もう既に現実には全く合わなくなっている九条二項をこのままにしていくことこそが私は立憲主義を空洞化するものであると考えますというふうにおっしゃっておられますけれども、この発言は今も同じ考えでよろしいですね。
○国務大臣(稲田朋美君) 憲法改正に関しては、国権の最高機関であるところの国会の場の憲法審査会において御議論いただくものであって、政府の一員である私からコメントすることは差し控えたいと思います。
 今委員が御指摘になった平成二十八年二月の予算委員会での私自身、このときはまだ大臣に就任する前の自民党政調会長としての発言でございますので、この国会の場の、政府の一員である防衛大臣としてお答えする立場にはない、憲法に関しては様々国民の間で国会において議論がなされるべきものだというふうに考えているところでございます。(発言する者あり)
○委員長(宇都隆史君) 御静粛にお願いします。
○藤田幸久君 先ほどは、お隣の岸田大臣は宏池会会長としての見解を示されたわけです。ということは、自民党の政調会長としてのこの発言は、それでよろしいわけですね、妥当性があるわけですね、自民党の政調会長としてのこれは立場としてよろしいですね。
○国務大臣(稲田朋美君) それは、現在は自民党の政調会長ではないということでございます。
 当時は、自民党の政調会長、しかも党是として憲法改正を掲げているところの自民党の衆議院議員として総理に対して質問をしたということでございます。
○藤田幸久君 ということは、安倍総理が総理と総裁を使い分けたように、稲田大臣も大臣と大臣でないときの発言を使い分けるのであるならば、自民党衆議院議員としては九条三項の改憲に反対するわけですね。
○国務大臣(稲田朋美君) 私は、今ここに政府の一員としてお答えをしておりますので、政調会長時代の一衆議院議員として、自民党の衆議院議員として質問をしたことについてコメントをする立場にはありませんけれども、けれども、ただ、当時、この予算委員会の場で質問いたしました趣旨は、憲法学者の多くが自衛隊を憲法違反というふうに主張している状況について、当時、政調会長として総理に対し質問をしたということでございます。
○藤田幸久君 つまり、一自民党の衆議院議員とすれば、九条三項改憲に反対ですね。
 先ほど岸田大臣は、正直に宏池会の会長としての考えについてお答えいただいたわけです。ですから、稲田大臣も衆議院議員としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(稲田朋美君) 私は今、何度も申し上げますけれども、防衛大臣として答弁をいたしておりますので、当時の衆議院議員としての質問についてお答えする立場にはないということを御理解をいただきたいと思いますし、また、当時の私の質問の趣旨は、まさしく自衛隊が憲法違反と多くの憲法学者が考えている、そういう状況についていかがなものかという趣旨で質問をしたということでございます。
○藤田幸久君 したがって、その一衆議院議員とすれば、これ九条二項をやっぱり改正すべきだというふうに進言するのが当然だろうと思いますが、そのお考えそのものは否定されませんね。
○国務大臣(稲田朋美君) 自衛隊が合憲であるということを明記すべきであるということについては、例えば自衛隊のOBである隊友会の皆さん方からも要望をいただいているところでございます。
 そして、この憲法については、自民党にとっては党是でありますけれども、様々な考え方があり、そしてその様々な議論の中で、そして国権の最高機関であるところの国会において議論をすべき問題だというふうに考えております。
○藤田幸久君 実際に本音として、一議員として憲法改正はすべきでないという岸田大臣と改正すべきであるとお考えの稲田大臣が今のように一緒に座って2プラス2の会合に出られたり、あるいはこれからいろいろほかの国との交渉もされたり、あるいは議論をされたりしていく場合に、これはやっぱり統一していただかないと、まして、加えて安倍総理がまた別の、第三のまあある意味では考え方を示されたわけですから、これはそれぞれお三人が、御本人とすれば、肩書は別にすればですね、三人三様のこの九条に関して二項、三項、お考えを持っているわけですから、これは統一していただきませんと、これはやはりいろいろな、2プラス2を始めとする様々な交渉等について支障が出ると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 私は今現職の外務大臣ですし、稲田大臣は現職の防衛大臣です。この現職の閣僚、これは憲法の下で職責を全うする、これは当然のことだと思います。憲法の下でしっかりと共に力を合わせて外交・安全保障の職責を果たしていきたいと考えます。
○国務大臣(稲田朋美君) 今外務大臣がおっしゃったことに尽きるわけでありますけれども、法治国家のもうその最高の基本法であるところの憲法を遵守をして職務に当たることは当然であるというふうに考えております。
○藤田幸久君 そうすると、九条二項はこのままで、今の憲法のままで、稲田大臣御自身のお考えと、防衛大臣として職務が全うできるというふうに思っておられるわけですか。このままでよろしいんですか。この政調会長のときおっしゃった考え方自体と矛盾しておりますが、それでもよろしいんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今の憲法の下で、厳しさを増す我が国の状況の中で我が国を守るために万全を尽くすことが私の職務だというふうに考えているところでございます。
○藤田幸久君 時間の関係で次に移りますけれども、非常に矛盾がはっきりしたということを指摘しておきたいというふうに思っております。三人三様だということが明確になったと、非常によく分かったということを確認をしてまいりたいと思っております。
 次に、フランスの大統領選挙、お聞きしようと思っておりましたが、時間の関係で韓国の大統領選挙の方に移ってまいりたいと思っております。
 今回、共に民主党の文在寅氏が当選をされましたけれども、この文在寅さんが今まで日韓関係について幾つかいろいろな点を指摘しております。
 で、その内容について、従軍慰安婦問題、それから竹島問題、安保協力、通貨協定などの課題について意見を言っていらっしゃったわけですが、これが日韓にとって大きな課題だろうと思っておりますけれども、まず、従軍慰安婦問題について再交渉という話をしておられますが、これについてはどういうふうに対応されるんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的には、文在寅大統領、御当選されたわけですが、これから首相を決め、閣僚を選任し、そして具体的な政策が出てくるのはその先ということですので、具体的な政策、具体的な内容が明らかになるまでは一定の時間を要すると思いますので、引き続きしっかり注視をしていかなければならないとは考えます。
 ただ、御指摘の慰安婦問題については、一昨年末、日韓の間で合意がなされました。一昨年末のこの合意、これは日韓両国間で約束をしたものであり、国際社会からもこれ高く評価された合意です。こうした合意ですので、日韓それぞれが責任を持って実施することが重要だと考えております。
 政府としては、引き続き韓国側に対し粘り強くあらゆる機会を捉えて合意の着実な実施、これを求めていきたいと考えます。
○藤田幸久君 政府間の合意ですが、他方、これ一般論ですけど、民主主義社会において民意によって新しい指導者が選ばれた。そして、その国は主権を持っているという場合に、民意に基づいて新しい政権のトップが政策を変更した場合に、日本としてはそれを尊重するんでしょうか、それとも政府間合意があるのでそれを踏襲しろと迫るんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 文在寅新大統領については選挙期間中等において様々な発言をされていること、これは承知をしております。ただ、新政権として具体的にどういった政策を取られるのか、こういったことについては引き続き、人事が確定し、そして具体的な政策が示されるまで、これは注視をしていかなければならないと考えます。その上で、慰安婦問題、日韓合意については先ほど申し上げました考えに基づいて日本政府としては対応していきたいと思っております。
○藤田幸久君 いや、大臣、私の質問をよく聞いてください。
 一般論として、ある国において民意において政権が替わった。そして、民意に基づいてそのある国のトップがいろいろな政策を変えようとする場合に、それに対して、外国である日本側から、それまで合意があったからといってその合意を守れというその政府間合意、一方で、主権を持った国が民意に基づいて政策を変更すると言ってきた場合に、それを政府間合意ということで、その主権を持った相手国の政策を変えろということを強引に要は実現することが可能なんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、予断を持って何か申し上げるのは控えなければなりませんが、委員の方から一般論という御質問でありましたので、一般論として申し上げるならば、これは国と国との約束、これは大変重たいものがあり、外交において継続性というものは大変重要であると認識をしております。
○藤田幸久君 トランプ大統領と昨日、文在寅新大統領がお話しされたときに、トランプ大統領の方から、新しい政権の下による新しい政策はどんなものか、それを伺いたいというような話をされたように伝わっております。
 もちろん、慰安婦像を建てたりとか、これはひどい、けしからぬことはそうなんですけれども、私もう一つ注目しているのは、対日世論調査で、例えば言論NPOの調査によると、対日イメージが良くないという韓国の方が六一%いるんです。そうすると、今回例えば四人、五人立候補されて、どなたが大統領であって、対日関係の姿勢が多少違っていても、あるいはかなり違っていても、そもそも対日世論が六一%悪いということは、誰がトップになろうとしてもやっぱり対日関係については非常に強い反日的なといいますか、日本に対して距離を持った政策を誰がトップになってもしようとすると思うんですね。
 ですから、私は、基本的にはやはり対日世論が良くなるような政策をやっていくということが私は非常に重要だろうと今回強く感じているので、その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 新政権の政策について今の段階で予断を持って申し上げるのは控えなければならないと思いますが、日韓関係、これは戦略的利益を共有する大切な隣国関係であり、地域の平和と安定を考えましてもこの両国の関係の強化は大変重要であると認識をしています。是非そういった思いを新政権とも共有しながら、日韓関係を安定化するよう努力を続けたいと考えます。
○藤田幸久君 続いて、新しい大統領は、北朝鮮とも、昨日の会見でも、必要ならワシントン、東京、北京に飛んでいくし、条件が整えば平壌にも飛んでいくということで北との融和的なイメージがあるわけですが、他方、今まで核開発の可能性について実は韓国がいろいろ検討したことがございます。
 それを見てみますと、実は一九七〇年代の朴正熙大統領の時代に核兵器の開発に乗り出そうとして米国の圧力で頓挫したということもありますし、二〇〇〇年には金大中大統領のときでのウラン分離実験が実施されたというようなこともありまして、実は、その金大中さんというようなある意味では北朝鮮との融和的な人のときでも場合によってはそういうことがあるということは、今回の大統領の場合も、盧武鉉大統領の側近だということで、単に北との融和政策というだけではなくて、逆にそういった面もあるのではないかということも言われておりますが、その可能性についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、韓国はNPT、核兵器不拡散条約、この締約国であります。韓国は国際社会との間においてこうした条約を通じて自らの方針を明らかにしています。そして、文在寅新大統領も、この公約を見ますと、朝鮮半島の非核化、これを公約に掲げておられます。そうしたことを考えますときに、今後、韓国が核開発を進める可能性があるとは認識はしてはおりません。
 この朝鮮半島の非核化については、かつて六者会合共同声明においても共通の目標として掲げられているわけであります。安保理決議等においても再三強調をされています。是非我が国も朝鮮半島の非核化に向けてしっかりと努力をしていきたい、このように思います。
○藤田幸久君 その北朝鮮に関する政策ですが、堀井筆頭とも先週アメリカへ行ってまいりまして、国防省、国務省あるいは議会の方々等とお話をさせていただきましたけれども、アメリカの北朝鮮政策、大体こういう感じだなといろいろ伺ったわけですが、基本的にアメリカ、トランプ大統領になってからかなり強い姿勢を示しておるようにも見えますけれども、基本的に北に対しては、いわゆる北風政策か、あるいは太陽とまで言わないけれども対話政策なのか、アメリカはどういうふうに対応しようと思っておるか、どういうふうに見ておられますか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、地域の安全保障環境が厳しさを増す中にあって、米国の抑止力を確保するということは重要であると考えます。そういった観点から、四月二十八日、日米韓の外相会合を行いましたが、私の方からは、全ての選択肢がテーブルの上にあることを言葉と行動で示すトランプ政権の姿勢、これを評価いたしました。日米同盟の抑止力、対処力を強化していかなければならないと考えます。
 ただ同時に、北朝鮮問題への対処に当たり、外交努力が重要であるということも言うまでもないと考えます。
 四月二十七日ですが、ティラソン国務長官、マティス国防長官、コーツ国家情報長官による共同声明で示されておりますとおり、米国政府は、外交的、経済的手段を通じて北朝鮮に対する圧力を強化するとともに、中国に対して更なる対応を求めていく、こうした方針を示しています。
 こうした方針、米国のこの方針、立場と我が国の方針、これは一致しているものであると考えています。
○藤田幸久君 外交的努力ということがそこに出てくる前のしばらくの間は、安倍総理の発言等もかなりアメリカは強引だよと、強いよというイメージが、そして日本の報道も相当強くなって、邦人保護等々の話が随分出てきましたけれども、どうもその頃から安倍総理やあるいは岸田大臣の発信の仕方もちょっと変わってきた、連休の直前ですけれども、という気がしております。
 一日ですか、安倍総理とトランプ大統領が電話会談をしたと後で伝わっているわけですが、この時期にトランプ大統領が北朝鮮に対して、幾つかの条件を満たせば北朝鮮との対話を行う、あるいはその後には、大統領自身が、トランプ大統領自身が北のトップとも会っても構わないという発信が出てきた。どうもその五月一日辺りはそういう感じがしまして、その間、安倍総理も岸田大臣も外遊をされて帰ってこられて、安倍総理は何回かゴルフをされている。
 どうもその辺りから、アメリカの方はしばらく外交努力に専念するので、いわゆるXデーというようなものはあり得ないという辺りのことが伝わってきたような印象が残っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国は北朝鮮問題について、対話と圧力、行動対行動の基本方針の下に対処しているわけでありますが、この対話と圧力の関係については、先ほど申し上げましたように、日米において方針は一致をしていると考えています。
 そして、委員の御質問で、最近少し言い方や方針が変わったのではないかということですが、トランプ大統領の発言、金正恩国務委員長との対話に言及した発言についても、その直後のスパイサー報道官の発言を見ますと、トランプ大統領の発言に触れた上で、この報道官は、適切な状況の下であればという表現を使用していたことを指摘し、現時点では諸条件が満たされていない、さらに、近いうちに実現するとは考えていない、こういった発言をしています。
 これについては、我が国は今、対話、もちろん大事でありますが、対話のための対話であってはならないと。意味ある対話にするためには、北朝鮮の真摯な意思や具体的な行動が必要であるというふうに申し上げているわけですが、こうした我が国の姿勢とも一致するものではないかと思います。
 いずれにしましても、日米で政策のすり合わせはこれからもしっかりやっていかなければならないと考えます。
○藤田幸久君 連休前は、カール・ビンソンの話とかいろいろ、Xデーとかいう言葉が飛び交って、かなりそういった発信、雰囲気が日本政府からも感じられたわけですが、今回アメリカに行って、アメリカの方はずっと基本姿勢として外交的解決を目指すというのが非常に一貫しているなという印象を堀井筆頭とも感じてきたわけですが、ということは、どこかの段階で、少なくともしばらくはXデーはないよというので、安倍総理もゴルフをされておられた。その辺の、つまりアメリカ側とのその辺の意思疎通はあったわけですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 日本政府としては従来から、北朝鮮問題において地域の平和と安定のために米国のコミットメントは重要である、さらには日米同盟における抑止力、対処力の向上は重要である、こういったことを申し上げてきました。
 一方で、北朝鮮問題に関しましては、核・ミサイル開発と併せて拉致問題という問題が我が国は大変最重要課題として持っているわけでありますので、対話ということについても重要であるということは申し上げてきました。この方針は従来から変わっていませんし、連休を挟んでも変化することは全くないと考えています。表現が変わった、マスコミの報道が変わったというような御指摘ですが、日本政府の言い方としては変化はないと認識をしております。
○藤田幸久君 トランプさんの方で、北朝鮮が核放棄をするならば米朝首脳会談を行っても構わないということを中国に伝えたと。その際に、体制転換や米軍による進攻をしないという四つのノーも保証したというふうに言われておりますけれども、それに対して中国は、北朝鮮が核放棄に応じる可能性は低いとして、核・ミサイル開発放棄の引換えとなる経済援助の実施等の、あるいは米朝の敵対関係を終わらせるための朝鮮戦争の休戦協定に代わる平和協定の締結、国交正常化交渉の開始などを中国側は提案したという報道がありますが、これについては情報を把握されておりますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 米中のやり取りについて何かコメントする立場にはありません。これ、いろんな報道があることは承知をしております。
 いずれにしましても、しっかりとした政策のすり合わせ、米国とは行っておりますし、中国との間においても、日中の外相会談、二月も四月も行いましたし、様々な意思疎通には努めていきたいと考えます。
○藤田幸久君 もし、この米朝首脳会談が実現をするということ、つまり米朝二国間による対話というものは日本政府としては望ましいと考えているんですか、それとも米朝対話が先行するということは日本が対話から取り残されるということを懸念されるんでしょうか、どちらでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 米朝のトップ会談については、先ほど米国のスパイサー報道官の発言を紹介させていただきました。適切な状況であればという表現が使われています。現時点では諸条件が満たされていない、近いうちに実現するとは考えていない、こうした発言であります。
 これは、対話のための対話では意味がないと申し上げている我が国の対話の姿勢と一致するものであると考えます。是非、意味ある対話を行わなければならないということで、北朝鮮に影響力のある国々、北朝鮮以外の六者会合の参加国としっかりと連携をしていかなければならないと思っています。
○藤田幸久君 質問に答えていただきたいんですが、米朝トップ会談は日本として望ましいと考えるのか、もしそれが意味ある対話であるならば日本としてもそれは評価するという意味でしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 米朝のこの対談がどんな形でどんな条件で行われるのか予断を持って申し上げるのは控えなければ、そういった条件等が分からない段階で予断を持って申し上げるのは控えなければならないと思いますが、対話を行うのであるならば、対話のための対話では意味がない、しっかりとした意味ある対話でなければならないと考えています。
○藤田幸久君 意味ある対話であれば歓迎するということでしょうか、評価するということでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) どのような条件で対話が行われるのか予断を持って申し上げるのは控えなければなりません。ただ、対話という要素、北朝鮮問題を考えるに当たって、対話という要素もこれは重要であるということは認識をしております。
○藤田幸久君 同じように、新しい韓国の大統領が、必要に応じてはワシントン、東京、北京、そして状況が整えば平壌にもという話がありますが、この南北の首脳会談について、これが意味あるもし南北の対話が実現をするということであるならば、それは評価をされますでしょうか。それとも、それは日本にとって取り残されるということで評価はしないのか、どちらでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、対話と圧力、行動対行動の原則の下に、核、ミサイル、拉致問題、こうした諸懸案を包括的に解決するために努力を続けていきたいと考えます。その中にあって、対話というものは、対話という要素は大変重要であると思います。
 ただ、対話のための対話であってはならない。特に、北朝鮮側から非核化に向けて真摯な真剣な意思、具体的な行動を示されることが重要であると認識をしています。
○藤田幸久君 済みません、日朝関係の質問じゃなくて南北間の話をしているんですが。で、その際に、非核化に関する北側からの前向きな姿勢があれば南北首脳会談については評価をするということですね、今の答弁ですと。
○国務大臣(岸田文雄君) 基本的な考え方を申し上げていますが、意味ある対話のためには、北朝鮮側から非核化に向けた真摯な、真剣な意思や具体的な行動を示されることが重要であると考えています。
 具体的な対話について評価するかどうかについては、予断を持って申し上げるのは控えたいと思います。
○藤田幸久君 トランプ大統領が就任した直後、安倍総理がアメリカに行かれました。秋ぐらいからトランプさんの周りとのパイプづくりをやってきたということですが、今回の韓国の大統領選におきましても、これはかなり優位な候補でありましたので、このパイプづくりというものを、長嶺大使が帰って、韓国に、されてこられたのか。
 今のお話聞いていますと、新しい大統領とも北とも、あるいは中国がどうアメリカに反応するかについても何か余り外交努力をしていない、パイプも薄いという印象でずっと通って聞いておりますけれども、そういう何かこの朝鮮半島問題という今非常に緊迫した中で、様々な外交努力をほとんどやっていないかのような答弁が続いておりますが、そういう新しい大統領とのパイプづくりを含めて、そういう外交努力はしてきたんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 当然のことながら、北朝鮮情勢が緊迫し、そして韓国において新しい政権がスタートすることが予定されていた段階から様々な準備をしてきたわけです。外交の分野におきましても、様々な情報収集、分析、人脈づくり、様々な努力を続けてきた、これは当然のことであります。
○藤田幸久君 その際に、長嶺大使が三か月空けておられたということ、もちろん、前政権の大統領代行の方とお会いするのは一か月も掛かったと。と同時に、新しい大統領候補とのパイプづくりというものが相当遅れたのではないかと、これから相当挽回をしてやっていただく必要があるのではないかということを思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 長嶺大使の帰国については、昨年末、釜山の日本総領事館前に慰安婦像が建てられた、このことに対する我が国のしっかりとした意思を示し、そして国内においての情報交換のために帰国したということであります。そして、その後、新政権の誕生、この五月九日に大統領選挙が行われるなど、そして北朝鮮情勢の変化など、様々な情勢を総合的に勘案して韓国に帰任したわけであります。
 そうした中にありましても、様々な事態を想定して日本政府としては最大限の努力を続けてきました。今後とも新政権との関係構築に向けて努力を続けていきたいと考えます。
○藤田幸久君 時間ですので終わります。