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2015年09月11日「安保法制採決前夜―紛争屋からの警告」伊勢崎賢治氏の講演

9月9日の「第54回藤田幸久政経フォーラム」で、東京外語大学大学院国際学研究科教授の伊勢崎賢治氏が講演しました。伊勢崎さんは国際NGOでアフリカ各地で活動し、国連上級民政官として東チモール暫定政府の県知事を務め、国連事務総長副特別代表上級顧問としてシエラレオネの武装ゲリラを武装解除、そしてアフガニスタン武装解除日本政府特別代表として活躍してきた方です。また私が創設メンバーの「難民を助ける会」の副会長です。

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 国連での武装解除や、紛争地域での内戦の状況下で活動してきた方だけに、現実的な目線で安保法制の問題点を挙げていました。

1. 日本の国際感覚の無さが露呈する「平和安全法制」の論議

 「自衛」とは武力行使以外に武力攻撃に対処する方法がない時に自衛権が発動できるが、この場合、日本が言う「武器使用」ではなく、「武力行使」なのだ。武力行使は憲法違反なので、特別な言葉として「武器使用」と言うが、現場では武力を行使しなければ命を守ることができない。「武器使用」は自衛官個人が行うので、自衛隊という組織が行う「武力行使」とは異なるという理屈で、憲法上の問題を逃げている。

 国際的には、PKOでさえ危険な活動である。 PKOは軍事組織であり、軍事組織が防衛をすると応戦になる。 応戦とは戦争である。

2. 変わりつつある国連の役割

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 国連の大命題は「停戦監視」であった。しかし、ルワンダの停戦活動で停戦を維持するために武力行使を行わなかったために、政府軍が100万人の反政府軍を大虐殺した。これを傍観した国連は、「停戦監視」から「住民保護」に方針を転換し、この「住民保護」と「集団的自衛権」の名の下に武力行使を開始するようになる。

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 国連の武力行使の例がリビアへの空爆。もはや日本のPKO五原則は成り立たない。PKOを派遣をするということは、武力行使をするということになるのが国際的常識である。

3. 日本独自の解釈は戦場では通用しない

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 PKO活動とは国連的措置であり、集団安全保障の概念の下の活動である。日本独自の言葉である「後方支援」というのは存在しない。英語では「Logistics」である。すなわち「兵站」である。国連活動における「後方支援」とは戦場の最前線でテントを張り、武器輸送をし、弾薬を詰める作業である。要は戦争参加なのである。

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 今の時代、集団的自衛権の行使は自分たちだけの自衛の概念にとどまらず、他国を防衛する集団安全保障の概念とイコールになる。PKO活動への参加は、国連的措置への参加であり、国連的措置への参加というのは集団安全保障である。

4. 自衛隊の根本的な法的地位を国民に問うことなしに自衛隊を海外に送ってはならない

 安保法制の下、自衛隊を国連に派遣し、国連軍の指令が出て、自衛隊が武器使用を行い、防衛の名の下に人を殺してしまったらどうなるか。その自衛官は、日本の国内で犯罪者となる。殺人罪が適用される。国際紛争解決に参加し、指令に従い、犯罪であるという裁きを自分の国で受けるようになる。

 また、国連は今、武力行使を行う軍である。しかし、日本国憲法の下、武力行使は行ってはいけない。従って、日本がPKOに参加しても、帰らざるを得ない。帰るのであれば最初から来るなと言いたい。その中で自衛隊は任務遂行で自ら残って法的リスクを負って現地で頑張っている。

 日本が国連PKOに参加する国際的ニーズはない。滑稽なことに、他の先進国はアフリカなどの内戦紛争地域に派遣などしていない。日本しか出してないのだ。

「自衛隊の法的地位を国民に問うことなしに自衛隊を海外に送ってはならない。 違憲のまま自衛隊に意志なき戦争はやらせてはいけない」