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参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における藤田幸久の質疑議事録2015年08月19日

活動報告

2015年08月19日

参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。 まず、夏の間、国会が延長になりまして、三大臣を始め大変精励いただいて、ありがとうございます。 そんな中、安倍総理が最近、随分ゴルフをやっていらっしゃるという報道がされておりますけれども、せっかく閣僚の皆さん始めこれだけ精励して、まあ国会議員もそうですけれども、そんな中、安倍総理がゴルフをされている、あるいは静養されているという話もありますけれども、そうした姿勢において、この安保委員会が続いておりますけれども、やはりそういった姿勢についてはいかがなものかということをまず申し上げた上で、精励をしておられますこの三人の大臣を中心に質問させていただきたいと思います。 まず、岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、ホルムズ海峡というのはイランの領海の一部でしょうか。 ○国務大臣(岸田文雄君) ホルムズ海峡の沿岸国としては、イランとそしてオマーンと両国があると承知しております。 ○藤田幸久君 領海の一部でしょうかという質問です。 ○国務大臣(岸田文雄君) イランの領海とオマーンの領海が含まれると承知いたします。 ○藤田幸久君 そのイランの関係でございますが、八月五日、本委員会におきまして白眞勲議員の方から質問がございまして、六月にイランとそれから日本の外務省の局長会議があったと。その内容について、一部報道によりますと、このいわゆるホルムズ海峡が事例に挙げられているということに関して抗議と遺憾の表明があったという報道があるけれどもいかがなものかという質問に対して、それはないということでございましたが、一方で、大臣は、その内容については承知していないとその委員会で答弁されているわけですが、承知されていなかったわけですが、その後、報告を聞いたんでしょうか。 ○国務大臣(岸田文雄君) たしか今月の初旬の委員会で御指摘をいただきました六月十五日のこの日・イラン局長協議につきまして、内容について、その後、確認をしております。報告を受けております。 ○藤田幸久君 その議事録について提出をしてほしいという白議員からの要請に対して、外務省の方からは出せないという意向のようでございますが、出せない理由について大臣あるいは上村局長からお答えをいただきたいと思います。 ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の六月十五日の日・イラン局長協議に限らず、非公開を前提として行った協議を公開するということになりますと、我が国の信頼を損ねるとか、あるいは今後真摯な意見交換の実施に支障を来す、こういったことになります。御指摘の協議のみならず、全て非公開を前提に行った国際的な協議につきましては公開をしない、こうした方針であります。 そして、六月十五日の日・イラン局長級協議も非公開を前提に行われたものでありますので、記録を明らかにするのは控えさせていただきたいと考えている次第でございます。 ○藤田幸久君 先週、私は福山議員と一緒にイランのナザルアハリ大使にお会いをしてきました。内容についても、大使の方から語っていただける範囲についてはいろいろお話を伺ってまいりました。この話の内容については、大使の方は、既に外務省の立場というのは公開されている内容であるので、この内容について明らかにすることについては大使の方に関していえばやぶさかでないという話でございましたが。 ということは、先方は内容については透明性の観点からも構わないとおっしゃっているわけですけれども、であるならば、外務省の方から、いわゆる議事録を出すという方法と、あるいは内容についていろんな公開の仕方があると思いますけれども、公開していただけませんか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 先方に確認されたということでありますが、外務省としましてもイラン側と様々なやり取りはしております。そのやり取りの結果として、今、現状においてはこの協議の記録を公にすることは控えなければならないと考えています。 ○藤田幸久君 今申しましたように、形は別にして、先方は構わないとおっしゃっているんですけれども、そもそも前回、大臣は内容について承知していないとおっしゃったわけですよ。つまり、大臣に報告がされない、あるいは大臣が重要でないと言って報告を聞かなかった内容について、先方がいいと言っているものを出さない理由がないじゃないですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 委員の方でそういったやり取りをされたということですが、外務省として正式にイラン側とやり取りをした結果として、今現在公表するのは控えなければならないと考えております。 ○藤田幸久君 その公表しないというふうに確認したというのは議事録に関してですね。いつ確認をされましたか。 ○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。 今大臣より御答弁申し上げましたとおり、いろいろやり取りを行っていることは事実でございます。詳細について明らかにすることは差し控えさせていただきますけれども、少なくとも六月十五日の日・イランの局長級協議は非公開を前提に行われたと。こういう前提についてはいまだに日・イランの間に共通認識がございます。 ○藤田幸久君 先ほどの大臣の答弁は、その後イランとやり取りをした結果、公開しないことにしたということですけれども、それは八月五日以降にイラン側とやり取りしたんですか。今の話と答弁違いますよね。 ○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。 八月五日以降に我々はやり取りをやっております。 ○藤田幸久君 いつですか、日にちを教えてください。八月の何日ですか、教えてください。 ○政府参考人(上村司君) 私ども、イランの在京の大使館とは日々やり取りをやっております。(発言する者あり) ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。 ○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。 八月五日以降にイランの在京の大使館と我々はコンタクトをしております。私も話をしております。 いついつ誰とということにつきましては、外交上のやり取りですので差し控えさせていただきたいと思います。 ○藤田幸久君 私は八月十三日に大使とお会いしておりますが、お盆の最中でしたが、十三日以降に連絡取っていますか。 ○政府参考人(上村司君) 私は八月十三日以降も連絡を取っております。 ○藤田幸久君 後でもう一度質問いたしますが、局長会議が六月にございましたが、実はその前に、このナザルアハリ大使は外務省を訪れています。 それで、局長会議で出たような、つまり、この事例にホルムズ海峡が入っているようなこと等々について話をしたということでございますけれども、このナザルアハリ大使が二か月ほど前、つまり局長級会議の前に外務省を訪れておりますけれども、お会いしたのは上村局長ですか。 ○政府参考人(上村司君) ちょっと日程を確認させていただきたいと思いますけれども、多分局長が対応しているものと、私が対応したものと思います。 ○藤田幸久君 局長御自身なんじゃないですか。会っていないですか。ナザルアハリ大使と二か月ほど前、つまり局長級会議の前に。 ○政府参考人(上村司君) 会っております。ただ、いつどこで会ったということについては……(発言する者あり)お会いしております。局長級前にはお会いしておりますし、私どもは、ナザルアハリ大使とはそれぞれ、ほぼ月に一回とは言いませんけれども、やっております、会っております。(発言する者あり) ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。 ○藤田幸久君 それでは、六月の日本とイランの局長会議の前に大使がわざわざ外務省まで行かれた、それで局長が会われたと。そのこと自体が、非常に曖昧な答弁自身がおかしいと思いますが、大使が行かれたということは重い話ですよね。それで、具体的にいつですか。 ○政府参考人(上村司君) 現在、至急日程を確認しておりますので、しばらく御猶予いただきたいと思います。(発言する者あり) ○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めて。 〔速記中止〕 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こして。 ○政府参考人(上村司君) 申し訳ございません。お答え申し上げます。 六月八日にお会いしております。 ○藤田幸久君 大使が外務省に行かれたということは、この安保特でいろんな形でこの事例についてホルムズ海峡が出ているわけです。これは、イランでも、日々、イランの政府あるいはメディアには伝わっているわけです。そうすると、もうしょっちゅう事例としてホルムズ海峡というのが出てくるということは、これはイランが対象国になっているということをみんな心配して大使にいろんな圧力が掛かっていると。それで、やむにやまれず外務省に行ったという経緯でございました。 そこで、まずこの資料の一枚目を御覧いただきたいと思いますが、そもそも、これ岸田外務大臣が一昨年の十一月十日にイランを訪問され、外務大臣と一緒に共同声明を出されておりまして、ペルシャ湾とシーレーンにおける法の支配の尊重及び貿易及び航行の自由の意義を強調しということを、これ声明で出しているんですね。 ということは、領海に存在をする海峡についての封鎖の話が出ること自体が、両国でこういう声明を交わしたならば、領海の中が集団的自衛権行使の対象にされること自体、もし逆の立場、日本の領海の中にまるで遠い国が集団的自衛権行使のためにやってくるということになったら、これ抗議しますよね。 だから、そもそもこういう共同声明がありながら事例として入れること自体がこれは外交上失礼千万のことであって、こういう声明があるならば、事例として挙げること自体がこれは全く不当なことじゃないんですか。いかがですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) これは度々申し上げていることですが、今回御議論をいただいているこの平和安全法制、これは特定の国を対象にしたものではありません。 そして、ホルムズ海峡について御指摘がありました。ホルムズ海峡につきましては、先ほど委員から御指摘がありましたように、沿岸国あるいは領海を持つ国としてイランとオマーンがあるわけですが、この周辺にはアメリカの第五艦隊の基地を始め多くのアメリカの拠点も存在いたします。また、多くの国々がこの関係国として存在し、ホルムズ海峡につきましても日々多くの国々の艦船が通航しています。よって、機雷の敷設につきましても、攻撃国、非攻撃国に該当する国というのは、今の時点で特定する、そういったことはできません。これは様々なケースが想定されます。その様々なケースの中にあって、このホルムズ海峡の機雷の敷設が行われたならば、我が国として存立危機事態に該当する場合もあり得る、こういった議論をお願いしている次第であります。 イランだけを特定して議論をしているという、イラン等特定の国を想定して議論をしているわけではない、これは重ねて申し上げたいと存じます。 ○藤田幸久君 この共同声明あるならば、今の論理でいけば、イランは該当しないというふうに声明しなきゃまずいんじゃないんですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 中東をめぐりましては、様々な動きが引き続き存在いたします。不安定な状況が続いていると認識をしています。イエメンを始め、新たな事情も存在しています。こういった不安定な状態ですので、ホルムズ海峡をめぐって想定される事態を、あらゆる事態を念頭に、我が国として、我が国の国民の命や暮らしを守るためにどうあるべきなのか、これは議論をすることは大変重要な課題であると考えています。 ○藤田幸久君 このイラン大使が、局長級会議、それから先ほど言いました六月八日に外務省を訪れたときにも、この声明のことと、そもそもイランはホルムズ海峡を封鎖するといった基本政策は掲げていないということを言明しておられるということですが、この六月の中東局長会議は白眞勲さんに対する答弁で報告がなかったということですが、六月八日の大使が局長に会われたことについては報告受けていますか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 御質問は、六月八日に上村局長が先方大使に会ったということにつきましては、内容について報告は受けてはおりません。 ○藤田幸久君 つまりこの五日の白眞勲議員の前までには、外務大臣は、大使がわざわざ外務省を訪れたこと、それから局長級協議があったこと、その中でこうした基本的な声明、それから、その封鎖をする政策がないと言っている基本政策というのは、イランにとって大変大きな政策を外務省側に伝えたにもかかわらず、大臣が知らなかったということですよ。 だからおかしなことになってしまって、この二枚目御覧ください、資料。これは、七月十日の安倍総理の衆議院における答弁になります。この一行目の後半ですけれども、「イランが機雷を敷設した段階において、」と言っております。それから、下から三行目の後ろの方に、「例えばイランが停戦に向かって進んでいく」と。 つまり、停戦に向かっているということは参戦しているということです。これは、いわゆる実質的な停戦合意と正式な停戦合意についての答弁でありますけれども、両方においてイランを特定した答弁を七月十日に総理はしているということは、六月に、大使がわざわざ外務省に行き、局長級協議をやったにもかかわらず、大臣にも伝わっていない。 したがって、総理が政府として、イランという、つまりホルムズ海峡が領海として有する国がこの敷設活動を知らないと言って、かつその航行の安全について外務大臣が正式に声明を出しているにもかかわらず、最高責任者である総理が具体的に国名を挙げて言っていること自体が、これは外交的にいいますと断交に近いようなことを日本政府がやったんじゃないんですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) まず、七月十日の総理の答弁についてですが、この答弁は質問者側からイランという国名を挙げて質問がされています。そして、総理の方から、例えばイランという国を挙げておられますがということで、こうした答弁をしていると承知をしております。 そして、イラン側に対しまして、我が国の平和安全法制の議論、これは、このホルムズ海峡の機雷掃海につきまして日本として特定な国を想定しているものではない、これは再三イラン側には説明をしてきております。そういったことにつきましては、しっかり私としては報告を受けております。 その中での六月八日の上村局長の先方大使との会見であったと承知をしておりますし、六月十五日の日・イラン局長級協議、これにおきましても、私自身、後に報告を受けた内容としまして、上村中東アフリカ局長からは、モハージェル東アジア大洋州局長に対しまして、ホルムズ海峡における機雷掃海に関して日本として特定の国を想定したものではない、こういった説明を行ったと聞いておりますし、これに対して、この事実として、イラン側からは抗議、遺憾の意の表明はなかった、このように報告を受けています。 このように、イラン側に対しまして、特定の国を想定をしていない、この基本的な考え方につきましては、以前からイランに対しまして様々ルートを通じまして説明を続けています。そういったことにつきましては、私自身、大臣としてしっかり報告を受けた中での御指摘の動きであったと承知をしています。 ○藤田幸久君 先ほどの答弁と総理が違った答弁ですね。 それで、もし、たまたま質問者がそのある国を挙げたというのに応じて答えたと言うならば、ある国と友好関係があってこういう声明まで結んでいる、それに対して、ある方がたまたま質問で言ったならば、それに乗ってその例示を受けてしまうということになったならば、この声明とか外交関係というのは成り立たないじゃないですか。 いずれにしましても、答弁とこの安倍総理の答弁というのは全く矛盾していますね。特定の国を想定しているわけですね。しかも、その相手国が敷設をしないと言っているわけでして、しかも、その航行の安全について岸田外務大臣自身が声明まで結んでいるわけですから、この安倍総理の答弁を撤回していただくか、あるいはイランは特定の国には入らないということを声明していただかなければ、これは外交成り立たないんじゃないですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 六月十日の総理の答弁につきましては、先ほども申し上げましたように、これ質問者側からイランという国名を挙げて質問がされました。それに対しまして、総理側から、イランという国を挙げて、例えばイランという国を挙げておられますがということで答弁をしております。これはあくまでもこの質問に対して仮定の問題として答えた、この質問者自身がイランという国名を挙げたからして、それに答えた答弁であると認識をしております。これは撤回すべきものではないと認識をいたします。 ○藤田幸久君 ホルムズ海峡というのを事例として挙げたのは、政府そのものじゃないですか。そのことについてイランという国を特定して言っているわけで、しかも敷設という、具体的な敷設という言葉まで使って、これは総理は答弁しているんですよ。 ですから、今までの、今日に限っても、先ほどの岸田大臣の答弁と違うことを総理がおっしゃったんじゃないですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) ホルムズ海峡の例を政府として挙げさせていただいております。そして、ホルムズ海峡につきましては、先ほど申し上げましたイラン、オマーンという沿岸国のみならず、アメリカも多くの拠点を持ち、そして周辺国があり、そして日々多くの国の艦船がホルムズ海峡を通過しています。こういった状況ですので、様々なケースが想定されます。特定の国を想定したものではないということ、これを再三申し上げております。 そして、その議論の中で、六月十日の総理発言につきましては……(発言する者あり)失礼、七月十日の総理答弁につきましては、質問者側からイランという国名を挙げて質問をされた、こういったことであります。あくまでもホルムズ海峡の機雷敷設については特定の国を想定したものではないということ、これは再三申し上げておりますし、全く変わっていないと考えています。 ○藤田幸久君 では、なぜホルムズ海峡という地域を特定しているんですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 今、平和安全法制の中で存立危機事態について御議論をいただいております。しかし、その中にありまして、海外派兵ということについては、もう一般に憲法との関係においてこれは許されない、こういった議論をさせていただいておりますが、ホルムズ海峡の例はその唯一の例外として挙げている、こういったことでホルムズ海峡を取り上げさせていただいていると承知をしております。 ○藤田幸久君 その唯一の例外というのはどういう理由ですか。なぜ唯一の例外。その国は特定していない、だけれども、その領海であるところのイランという国が敷設はしないということを国の政策と言っていて、その国と外務大臣自身が航行の安全について責任を担うということを声明をしておいて、そして、しかもその地域だけが特定されているということは、当然領海にある国というものはやはり対象になり得ると。 先ほどの、駐日大使がわざわざ外務省に行かれたり局長会議でおっしゃっていることは、日本の国会でホルムズ海峡ということが言われるたびに、メディアを通してイランの人々は、当然イランが対象になっているだろうと、だって領海がホルムズ海峡なわけですから。そういう中で、この懸念があるのでということが、外務省に行ったり、局長級会議の中でイラン側から懸念が表明されているわけです。それに対して、きちっと外務大臣にも伝わっていないし、だからこういうことが総理の答弁に七月に出てくると。 ですから、これはやっぱり撤回をしてもらわないと、これ外交関係自身が成り立たないじゃないですか。やっていることと想定していることとが、まるで矛盾じゃないですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) ホルムズ海峡につきましては、先ほど申し上げましたように、特定の国を想定したものではありません。そして、先ほど説明させていただきましたように、様々な国々が関連してまいります。これは様々な国、ケースが想定されます。 そして、そもそもホルムズをどうして挙げたのかということでありますが、先ほど申し上げましたように、海外派兵の唯一の例外ということで申し上げております。ホルムズ海峡、我が国にとりまして大切なシーレーンであり、日本のエネルギー等を考えた場合に、存立危機事態に該当する可能性はあり得る、こういったことを念頭に、海外派兵の唯一の例外として挙げさせていただいている、これがホルムズ海峡であると認識をしております。 ○藤田幸久君 まず、イランは敷設しないということを国の政策としてはっきり言っていて、それを外務省にも伝えている。そして、その国とこういう声明をもって航行の安全については一緒にやろうと言っている。 そうすると、それをあえて地域を特定して、この事例だと言っていること自体が理論的にも外交的にもあり得ないんじゃないですか、立法事実として。外交的にも、これはイランと国交を、これからむしろ解除しようかと、制裁を、言っているときに、逆にイランとこれ、国交関係、非常に外交関係おかしくするようなことをやっていると。つまり、外交的にも法律的にもあるいは事例的にも、いわゆる立法事実として三重の意味で存在し得ないんじゃないんですか。 ○国務大臣(岸田文雄君) ホルムズ海峡の機雷敷設については、特定の国を想定したものではありません。 そして、その上で、我が国の外交・安全保障を考える場合に、まずは外交努力を通じて我が国にとって好ましい国際環境をつくっていく、これが基本であると思っています。 日本とイランにつきましては、様々な課題が、国際的な課題がある中にあっても、歴史的な友好関係を我が国は持っていると認識をしております。そして、我が国はこの歴史的な友好関係に基づいて、イランに国際社会としっかり対話をするように、こういった働きかけをずっと続けてきました。こうしたイランと国際社会、そしてイランと我が国、こうした国の友好関係をしっかりと維持し発展させる、これは外交の大変重要な役割だと思っています。 こうした役割をしっかり果たしつつ、今、平和安全法制でお願いしているのは、万が一の場合に切れ目のない対応をしっかりと用意しておかなければいけない、こういったことで、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、こうした議論をお願いしている次第であります。 外交において努力をする、これは当然のことであります。その上での、万が一の対応というのが平和安全法制のありようであると認識をいたします。 ○藤田幸久君 確認をする上で、上村局長、八月五日以降、大使館の誰と、どういう方法で連絡を取ったのか、それから八月十三日以降、つまりお盆休みの最中でございましたけれども、いつ、誰と連絡を取ったのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。 私が在京のイラン大使と連絡を取っておりますのは、一番最近は昨日のことでございます。 ちょっと手元に手帳がございませんので、例えば電話連絡ですとか、そういうものをいつ、あるいは我々の課長レベルで連絡を取っているかにつきましては、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。 いずれにしましても、最新の私と大使の接触は昨日のことでございます。 ○藤田幸久君 質問通告、昨日しておりますけれども、八月五日以降の、つまり白眞勲議員が質問した以降ですね、それから、六月八日の事例については今日大臣に初めて質問したわけですけれども、つまり、その八月五日以降、イラン大使館とどういうやり取りをしたのか、それから、六月八日の大使が訪問したものが誰に外務省の中で報告をされたのかということを後で理事会の方に出していただきたいと思います。 委員長に、理事会の方で提出をいただくように取り計らいをお願いしたいと思います。 ○委員長(鴻池祥肇君) 本件につきましては、後の理事会で諮ることといたします。 質問を続けてください。 ○藤田幸久君 少なくとも、これ国の国会において安倍総理がイランと特定をしているわけですから、そのことと今までの答弁と違うということについての外交的な対応についてどうするかということについて改めてお答えをいただきたいと思いますけれども。 ちょっと時間の関係で、七十年談話について質問させていただきたいと思います。 資料で四枚目が、これは実は安倍総理の談話の英語版の抜粋です。それから、その次が十五日の天皇陛下の慰霊祭におけるお言葉の英訳でございます。 ちょっと比較で、時間がないので英語だけ持ってまいりましたけれども、まず総理のこの英訳の抜粋でございますけれども、例えばこの一ページ見るだけでもアイという主語がこれ二つ目の段落に二つ言葉が出ております。これは一部でございますけれども、三千字にも及ぶ安倍総理の談話、これは閣議決定をされているわけですが、このアイという、つまり英語で主語が出てくるのは二か所だけであります。一か所について言葉のアイというのは二か所、三か所ありますけれども。 その二か所はどういうことかといいますと、日本語で言いますと、戦後七十年に当たり、国内外に、全ての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、哀悼の誠をささげますというのが一か所です。それからもう一か所は、当然の事実をかみしめるとき、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。つまり、これだけの長い中でアイという主語が英語版で出ているのは、この哀悼の誠をささげるという箇所と断腸の念を禁じ得ないというところしか出ていないんです。 他方、比較をして恐縮でございますけれども、次のページ、これは天皇陛下の八月十五日のお言葉の宮内庁の英訳でございます。これ全部主語がアイでございます、全ての段落。それから、一番上の行の右から三番目の部分でマイ・ソーツとありますから、自分の考えはと、これも含めますと全部アイでございます。 そうすると、次のページに日本語の陛下のお言葉がございますが、これを英語から日本語に戻しますと、例えば一行目の、全国戦没者追悼式に臨み、私はさきの大戦において、というふうに英語からは直せます。それから次の行で、真ん中辺ですけれども、私は深い悲しみを新たにいたしますと。それから、その下の二行先の後半ですけれども、戦後という前に私はという言葉が入り、それからその下、二行行きますと、さきの大戦に対する深い反省とともに、私は今後、となって、切に願い、となって、そして次の行の一番左の方ですけれども、私は全国民とともに、ということになります。つまり、陛下のお言葉は全部これ私はということになります。 他方、この安倍総理の三千字の方は、先ほど申しましたようにアイという部分は二か所でございまして、それ以外はウィーか、あるいはジャパン。したがって、主語がない、あるいは受け身ということでございまして、いわゆる四つの言葉が話題になりましたけれども、この四つの言葉は名詞で入っておりますので、いわゆる形容詞、動詞的な使われ方をしていないので、つまり、誰がどこで何をという部分が欠けたのがこの十四日の言葉でございます。 したがって、官房長官にお聞きをしたいと思いますけれども、これは比較の問題で恐縮でございますが、陛下の八月十五日のお言葉の英訳と比較をいたしましたが、安倍総理のこのいわゆる談話、しかも英語版はキャビネット・ディシジョンと書いていますから、閣議決定ということをあえて英語版で出しておられるんです。 閣議決定をされたこの談話が、つまり、今までの歴代の総理の言葉を踏襲したと言いながら、実は肝腎の安倍総理、閣議決定をされた中での意思というもの、気持ちというもの、それから今後行動するという部分が非常に欠けている談話と思いますけれども、今の私の説明に対してコメントをいただきたいと思います。 ○国務大臣(菅義偉君) 天皇陛下のお言葉については、私の立場で発言することは、ここは控えさせていただきたいと思います。 ただ、内閣総理大臣談話については、閣議決定をされたものでありますので、安倍内閣としてその内容に賛同をしたものであります。 今回の総理談話について、安倍総理はさきの大戦について、我が国が痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきたとした上で、こうした歴代内閣の立場は今後も揺るぎないものであるという決意を明確にされているというふうに思います。さらに総理は、さきの大戦への深い悔悟の念を示し、国内外で犠牲になった方々に対し深くこうべを垂れ、そして痛惜の念を表すとともに、永劫の哀悼の誠をささげるというふうに述べておられます。 このとおり、総理はまさに、自らの言葉で、自らの真剣な気持ちを述べておられるというふうに考えております。 ○藤田幸久君 したがって、三千字の中で、つまり御自身が主語なのは二か所しかないという、今おっしゃったとおりであります。 他方、この総理談話が発表される直前に、外務省のウエブサイトから歴史問題に関するページが削除されたということであります。その削除をされた部分をちょっと見てみますと、まさに、例えば政府の歴史認識に関して、「かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」とかいう部分とか、いわゆる歴史問題に関する部分がこれ全部削除されちゃっているんですね。 ということは、今の総理談話を今回のような、つまり主語がほとんど入らない形、今その歴史問題に関して読み上げた部分については主語がないわけです。そして、外務省がこれを削除しちゃったということは、この八月十四日以前まで外務省のホームページにあった立場と違った形でのこの総理談話が発表されたがゆえに、外務省はこれ、ホームページを削除したんじゃないですか。つまり、矛盾があるからじゃないんでしょうか。 ○国務大臣(岸田文雄君) まず、外務省のホームページについては、削除したのではなくして、新たな総理談話を受けて整理し直した上で、新たなものをこれからアップするつもりであります。基本的な部分については変わりはありませんが、一方で、新たな談話の中にあって、この過ちの部分についても、より具体的に内容を明らかにする、こういったことを総理も会見の中で申しておられます。 こうした内容もしっかり整理した上で、外務省として新たなホームページのQアンドAをしっかりアップしたいと考えています。 ○藤田幸久君 であれば、改訂すればいいわけですね。明らかにこの削除した部分と今回の談話は、読み比べてみるとかなり違っています。 ですから、これはやはり今までの歴代の総理あるいは外務省が取ってきた政策とは違った内容の談話であるということを、これは対照表を作れば明らかでございますので、速やかに、この元のものを生かす、踏襲するならば、復元をした上で必要な部分だけ修正をして、これ、たくさんのページですよ、あの削除しちゃった部分は。ということは、よっぽど今の談話が、今回がこれまでの政策と違った談話であるということをある意味では証明していることになるんじゃないんでしょうか。 ○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、これは削除したのではありません。新たな総理談話に基づいてしっかり整理をし、外務省としてしっかりとしたQアンドAをアップさせていただきたいと考えております。 ○藤田幸久君 ほかのものは、例えば総理談話、すぐ英語その他で掲載しているぐらいのものを、それを掲載すればいいだけのことでありまして、それを削除しちゃった、これだけはですね。ということは、内容が違っていたんだろうということを申し上げておきたいと思います。 時間が参りましたけれども、これ、いろんな意味でこの談話というものが今までの政策と違ったものであり、そして例えば英語と読み比べてみても相当誤解を与えているということで、かなり方針が違っていると思いますので、これはまた改めて追及をさせていただきたいと思います。 時間が参りましたので、終わります。