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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2015年06月16日

活動報告

2015年06月16日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 まず、条約に関して質問させていただきます。
 世界における国際出願の特許の推移と、日本における国際出願の推移も伺いたいと思います。その際、日本国内の特許出願件数の推移等を比較して、どのような分析ができるかについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 特許の国際出願制度について定める特許協力条約に基づく世界全体での国際特許出願件数は、増加傾向にあります。二〇〇五年の十三・七万件から、二〇一四年は二十一・四万件まで増加しております。この点に関して、我が国の出願人による国際特許出願件数は、二〇〇五年の二・五万件から、二〇一四年には四・二万件まで増加しており、米国に次ぐ第二位となっております。これらの推移は、日本企業を含む各国企業の活動のグローバル化の進展を反映しているものと認識をしております。
 これに対し、我が国国内における特許出願件数全体は二〇〇六年以降減少傾向にありますが、一方、この出願年別の特許登録件数は増加傾向にあると言えます。これは、日本企業の知財戦略が深化して、特許出願について量から質への転換が進んでいる、これを示唆するものだと認識をしております。
○藤田幸久君 日本の特許庁における特許それから商標登録のための出願手続について電子出願がどの程度の割合を占めるのか、また、本条約に電子出願手続の規定が盛り込まれたことによって出願人や各国の特許庁にとってどういうメリットがあるのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国における特許の電子出願ですが、これは一九九〇年十二月、世界で初めて受付を開始し、電子出願件数は、二〇〇五年から二〇一四年までの過去十年間、特許出願件数全体のおおむね九八%から九九%を占めております。安定的に推移をしております。
 また、我が国における商標登録の電子出願ですが、これは二〇〇〇年一月から受付を開始し、電子出願件数は、二〇〇五年から二〇一四年までの過去十年間の間、商標出願件数全体のおおむね八〇%前半、八一%から八五%を占めております。これも安定的に推移をしております。
 そして、電子出願手続に関する規定が特許法条約及び商標法シンガポール条約に盛り込まれたことによって、締約国が電子出願手続を導入している場合には、電子出願手続についても両条約に従って国際調和を図ることが明確になりました。各締約国における出願手続の国際調和が一層促進されることが期待されると考えます。
 また、出願人や各国特許庁にとっても、書面による出願手続のみならず電子出願手続においても手続の国際調和が促進されることによって、出願手続における利便性の向上あるいは負担軽減、こういった利点も得られるものと認識をしております。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 次に、私がずっと取り組んでおります元捕虜の招聘のことについて質問させていただきます。
 四月に安倍総理がアメリカを訪問された際の夕食会だろうと思いますが、私の友人でフィリピンのバターンの死の行進に参加をされた元捕虜のレスター・テニーさんを招いていただいたということについてはお礼を申し上げたいと思います。
 前から提案をしておりますが、今年は戦後七十年でございますので、象徴的な事業として、アメリカとオーストラリアの元捕虜の方々で、もう平均年齢が高いわけですが、九十以上ですが、来日を希望して健康等の観点から来日が可能な方々を是非できるだけ全員招聘をしたいと度々提案をしておりますけれども、その招聘計画、どこまで決まっているのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の事業につきましては、元POW等を我が国に招聘し、心の和解を促すことを通じて、日米間及び日豪間の相互理解及び友好関係の強化を図ることを目的とした大変重要な事業だと認識をしております。
 そして、米国に関しては、米国国務省等を通じて把握しているところによれば、訪日を希望している元POWは最大二十六名いると承知しております。外務省としては、今年が戦後七十年という特別な年であることを考慮して、この二十六名のうち、健康などの観点から訪日可能な元POWの方々全てを今年度中に招聘すべく、国務省と今調整中であります。
 一方、豪州に関しましても、これまで百名を超える関係者を招聘してきており、引き続き、被招聘者の希望、健康状態を踏まえながら、できるだけ多くの方々にこの事業に参加していただきたいと考えております。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 二十六名という数字は、前、私、委員会で申し上げたその二十六名のほぼ全員の方々を是非招聘をしていただくということでございますので、この二十六名ということは、付添いの方も含めますと、外務省の皆さんも大変御苦労をお掛けすると思いますけれども。
 私も去年、付添いで日立鉱山に行ったことがございますけれども、憲兵隊がひどい仕打ちをしたのに対して、現場の鉱山の方がその捕虜の方を守ってくださったと、憲兵隊からですね。それで、大変食べ物のなかったときにはお弁当まで分けてくれたというふうに感激をされて帰っていかれましたけれども、是非そういった事業を今年も進めていただきたいというふうに思っております。
 それから、普天間飛行場の施設の建設費について質問させていただきます。
 去年、私、質問していたことを思い出しまして、昨年の三月、当時の小野寺防衛大臣に質問いたしました。その関係が資料の一枚目にお配りをしてございます。
 滑走路や管制塔その他の建設費等を含めた総事業費が少なくとも三千五百億円以上というふうに答弁をいただきました。その部分はちょっと下の方に出てございます。
 この建設費について、中谷防衛大臣に確認をさせていただきたいと思いますが、この去年小野寺防衛大臣がおっしゃった三千五百億円というのはこのまま変わっていないのかどうか、それから、埋立費というのは百六十ヘクタールで二千三百億円程度というふうに承知をしておりますけれども、飛行場の本体それから埋立費の内訳もお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場の移設に要する経費につきまして正確な数字をお示しすることは困難でございますが、大まかな見積りといたしまして、少なくとも三千五百億円以上と見込んでいるところでございます。
 その内訳といたしましては、環境影響評価等に要する経費として約百億円、埋立て、護岸工事、仮設工事等に要する経費として約二千三百億円、滑走路、駐機場、格納庫、燃料施設等の飛行場施設整備に要する経費として約五百億円、キャンプ・シュワブの既存施設の再編工事に要する経費として約六百億円見込んでいたところでございまして、合計少なくとも三千五百億円以上と見込んでいるところでございます。
○藤田幸久君 資料一を御覧いただきたいと思います。去年、三千五百億円以上というふうに小野寺大臣から答弁があった後、国会図書館等を通して調べた数字でございます。これはかなりインターネット等で出ておりますけれども、これ全部やっていると時間が掛かりますので、この中で、静岡空港と中部国際空港と新北九州空港の中で、海上埋立工事を行ったものについてはその規模と埋立工事費及び空港本体建設費、それについて国交省の方からお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(平垣内久隆君) お答えさせていただきます。
 今御指摘のありました三空港のうち、海上埋立てを行った空港は中部国際空港と新北九州空港でございます。
 そのうち中部国際空港につきましては、三千五百メートルの滑走路一本を有する面積が四百七十三ヘクタールの空港であります。埋立工事費は三千三百四十九億円、空港基本施設等の建設費が千二百八十七億円となっております。新北九州空港については、二千五百メートルの滑走路一本を有する面積が百五十九ヘクタールの空港であります。埋立工事費は八百六十八億円、空港基本施設等の建設費は百五十六億円となっております。
○藤田幸久君 それから、防衛大臣、岩国飛行場の沖合移設事業の総事業費及び工期、埋立規模と埋立工事費をお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 岩国飛行場滑走路移設事業につきましては、同飛行場の騒音問題等を解決するため、滑走路を沖合へ一千メートル移設をするために行われました。当事業の総事業費は約二千五百億円、平成八年度に着工いたしまして平成二十二年度に完成をいたしました。また、埋立規模は約二百十三ヘクタール、埋立てに係る敷地造成に要した経費は約千五百億円となっております。
○藤田幸久君 それで、例えば静岡空港の本体建設費、これ出ておりますけれども、四百九十億円でございます。辺野古は千二百億円でございます。ということは、この静岡空港の本体建設費は、辺野古で今千二百億円の半分以下であります。それから、今おっしゃった岩国飛行場、二百十三ヘクタールですけれども、埋立経費、今聞きましたけれども、総事業費が約二千五百億円であります。ということは、辺野古は百六十ヘクタールでありますから、辺野古よりもはるかに大きな岩国が二千五百億円とはるかに低いんですね。
 これ、ほかの、ちょっと今サンプルで申し上げましたけど、全部これ比較をしましても、これ辺野古の建設費の方がはるかに高いですね。なぜこんなに辺野古の建設費というものが高騰したのか、その理由についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場の移設、また岩国事業との経費の違い等、これは民間空港と比較した場合でございますが、一概にお答えすることは困難ですけれども、一般論として申し上げれば、海上埋立ての有無や規模によりまして総工費は異なるところでございます。また、埋立ての深さなどの立地条件によって採用する工法が異なっております。また、資材の供給源が遠方にあれば、その輸送費を見積もる必要があるなどの経費面での違いが出るものと考えております。
 岩国飛行場の沖合移設事業との経費面での違いにつきましては、一例を挙げるならば、岩国の事業で使用した埋立土砂は飛行場近傍の愛宕山から調達をいたしております。一方、普天間飛行場代替施設建設事業では、使用する埋立土砂につきましては県外を含め調達することといたしておりまして、土砂の輸送コスト等を要することから、岩国飛行場の沖合移設事業に対して所要経費を多く見積もっているところでございます。
 また、岩国飛行場の沖合移設事業は滑走路を沖合に移設するものでありましたが、普天間飛行場代替施設建設事業は、普天間飛行場の移設に際して、キャンプ・シュワブ、これの既存施設等の再編成、これを行うことにいたしておりまして、そのための経費約六百億円を現時点で見込んでいる点にも違いがあると考えております。
○藤田幸久君 そうすると、私が聞いた範囲で、深さとか工法とか、資材が遠くから、土砂は、これ県外もそうですけれども、今まさに辺野古の近辺から、最初はコンベヤーみたいなもので運ぼうとして駄目になって今度はトラックで膨大にという話になっていますけれども、それぞれの深さ、工法、今おっしゃったようなことについてなぜそうなるのか、その項目を挙げていただきまして、具体的にこの理由でこうなんだという数字と、それをちょっと後で出していただけませんですかね。
 それから、民間と違うということでしたけれども、民間の方が施設整備、かえってお金掛かるんじゃないんですかね。そういう面もあるんじゃないんですかね。
 ちょっとその点に戻る前に、工期も長過ぎるんじゃないかと思うんですけれども、工期も、これ出しましたほかの空港と比べて相当長く掛かりそうでございますけれども、工期で考えますと、民間空港と違って施設整備はむしろ短くていいのではないかと。それが長く掛かってしまう、工期が民間と違ってなぜそんなに時間が掛かるのか、その点についてもお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場の移設につきましては、公有水面の埋立てに係る工事と並行いたしまして、日本側が整備する飛行場及びその施設の設置に係る工事も可能になったものから順次進めていくといたしておりますが、これらの工事につきましては開始から五年以内で完了する考えです。その後、普天間飛行場の返還までの間に日米共同で機材、施設の調整を行いまして、また、米側による飛行場の認証、代替施設の最終的な提供手続、これを進めることになりますが、これらの作業に要する期間を約三年と見込んでいるところでございますが、いずれにしましても、防衛省としては、一日も早い普天間飛行場の返還に向けて、安全に留意しながら移設作業を進めてまいりたいと考えております。
○藤田幸久君 今御説明いただいたようなことが理由であるならばほかの方法も取れたのではないかということと、途中から工法とかあるいは計画が変わってきましたね。元々の計画の方が、同じキャンプ・シュワブ近辺で建設をするに当たっても、前の方がもっと安かったんではないかと、工期も短かったんではないかと思いますけれども、今理由を挙げましたそれぞれの項目について、かつての計画に対して大分それぞれ増えてきていると思うんですけれども、その経緯について御説明いただけませんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 資料といたしまして私の手元にございますのは、公有埋立申請に係る工事の額の見積りでございますので、御質問いただいた点、後刻資料を添えて御説明に上がりたいと思います。
○藤田幸久君 まず一般的に、例えば工法、深さ、資材、どこから持ってくるか、近場か遠めかという、一般的にこういう要素の場合にはどちらが安いか高いかというその根拠、それから、そういう高くなるという根拠がありながら、そういう方法なり場所に決めていったというその経緯も含めて、まとめてお答えをいただきたいと思います。
 と申しますのは、たしかガイドライン、今回のガイドラインもそうですけれども、たしか理由の中に、唯一の辺野古沖がという中で、財政的にもというたしか言葉が、形容詞が三つあったと思うんですけれども、財政的にもという言葉が入っていたにもかかわらず、これだけ高く、ほかの空港よりも長くとなっているのは矛盾するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 掛かった費用等につきましては先ほど説明したとおり、三千五百億円の根拠ということで環境影響評価、埋立工事、飛行場の施設整備、キャンプ・シュワブの再編工事ということでお示しをして、三千五百億円の根拠を示しておりますが、どうしてそれ以上にということにつきましては、また調査をした上で御返事させていただきたいと思います。
○藤田幸久君 私は辺野古沖の案がいいか悪いかということはコメントしませんけれども、いずれにしても、これ税金でございますし、できるだけ早くと、一日も早くとおっしゃっているならば、工期というものは非常に重要でございますし、それから今、財政難の中でできるだけ安くというのは当然のこれ税金でございますから、その意味で、辺野古で決めるに当たっても、この工期とコストというもの、それから透明性というものはしっかりやっぱり説明をしていただかなければ、そういうこともやっぱり私は沖縄の皆さんの理解を得る上でも重要だろうと思って質問しておりますので、是非丁寧に明らかにしていただきたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 更に調査をした上で御報告、説明をいたしたいと思っております。
○藤田幸久君 中谷大臣は、おとといの日曜日の夜九時、NHKスペシャルでいわゆる沖縄戦線についてドキュメンタリーをやっておりまして、御覧になりましたですか。
○国務大臣(中谷元君) それは視聴しておりません。
○藤田幸久君 是非後で御覧いただきたいと思いますが、多分日本のNHK、民放を含め初めて、初めにテロップが出まして、この番組の中で御遺体が出てまいりますと、現場の、ということをお断りの上で放映をされました。私は今まで、例えば津波というものがいかにひどいものであるかというのをスマトラで感じて帰ってきまして、日本で津波の恐ろしさというものをもっと伝えるべきだなと思って、四年前の東日本大震災のときに現実をやっぱり伝えるべきだな、ということがまさに抑止につながると思った次第でございますけれども。私は、NHKが最近いろいろ問題がありますが、ああいう形で放送されて、アメリカ兵の方がもう精神的に参っている具体的な場面とかも出ておりました。
 そういう観点から、やはり沖縄の基地問題も対応が重要だろうと思って質問しておりますが、その関係で、沖縄防衛局による不服申立てについて、これはたまたま沖縄北方特別委員会の方で質問をしている中から、総務省の方で出していただいた資料が、この資料の二ページ目から五ページ目にかけてでございます。
 要は、国が行った行政不服審査法に基づく不服申立ての事例を過去十年間にわたって総務省が各政府機関に聞いていただきました。十年間で出てきた事例がこの五つしかございません。全部、この事例が結果的に却下又は取り下げたわけでございます。
 そんな中で、この四ページにございます事例の四を見ていただきたいと思いますが、これは諫早の関係の事例でございますけれども、つまり、四ページの一番下のところを御覧いただきたいと思いますが、最終的に国の方が取り下げました。理由は、国は地下水の取水によらず海水淡水化による農業用代替水源を確保する方針としたため、決定前に異議申立てを取り下げた。つまり、これ、知恵を出しているんですね。ですから、その不服申立ての手段に訴えるのではなくて、民意も尊重しながら別のより良い手段を模索したと。
 これ、この不服審査の手続というのは、行政が行政をというのはやっぱり余りにも芳しくない手段だろうと思いますので、是非そういった意味で、私は別の方法を取っていただくことが、先ほどの沖縄戦の惨状等も見ながら、何となくこういう不服審査でやっているというやり方は、あの粛々という言葉が話題になって、もう官房長官、防衛大臣の方も粛々という言葉は使わないとおっしゃっておられますけれども、こういう不服審査申立てとやるのは、何か粛々以上に、そこのけそこのけ本土が通るみたいな感じがするので、別の方法を考えられたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 岩礁の破砕手続に係る先般の沖縄県知事の指示につきましては、当方といたしましては、事実とか、また法令の解釈に誤りがあったと考えておりましたために、農林水産大臣に対して審査請求を行いました。農林水産省より、引き続き中立公平の立場から審査が進められていくものと考えております。
 本件につきまして、先ほど移設の進捗のお話がございましたが、先般、私自身も沖縄を訪問した際に、宜野湾市の市役所の屋上から普天間飛行場を視察いたしましたけれども、本当に、市街地と近接をしておりまして、学校また住宅に囲まれております。また、こういった、子供たちが野球をしておりましたけれども、普天間飛行場の固定化というのは絶対に避けなければならないと改めて確信をいたしました。これは政府と地元の皆様の共通の認識であると考えておりまして、その上で、普天間飛行場の危険性の除去、そして米軍の抑止力の維持、これを考え合わせれば、キャンプ・シュワブへの移設が唯一の解決策であると、これが政府の一貫した立場でございまして、これまで沖縄の基地問題に携わった私の信念でもございます。
 今後とも、地元の皆様方に対しまして政府の考えを丁寧に御説明を申し上げ、そして対話を行いつつ、負担軽減のための様々な取組について御理解をいただき、連携を深めてまいりたいと考えております。
○藤田幸久君 いや、ですから、対話と丁寧な説明ということと、こういう形でいわゆる不服申立てをするやり方というものは、むしろ逆ではないか。しかも、これ、沖縄防衛局長、井上局長は、私人の立場として不服申立てをやっているんですね。そういう、やっぱり筋からいってかなり無理なことをやることは対話と丁寧な説明に反するのではないかというふうに思いますが、一言、それについて、大臣、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 国の行政機関には法律によりまして一定の範囲の所掌事務が割り当てられておりまして、行政機関がその権限の範囲内において行う行為の効果は法律上専ら行政主体に帰属をいたします。
 今回、沖縄の防衛局は、一私人と同様の立場で防衛省とは異なる所掌事務を付与された行政機関であります農林水産省に対して本件指示に係る審査請求を行ったものでございまして、これを受けて農林水産省は、水産資源保護法、これを所管する行政機関として本件指示に係る事実関係及び法令の解釈等を踏まえつつ、公正中立の立場で審査がなされるものと承知をいたしております。
○藤田幸久君 いや、ですから、そういうことではないということを申し上げておきたいと思います。
 時間の関係で次に行きたいと思いますけれども、資料の六ページを御覧いただきたいと思います。
 これは、私、数週間前に政府の方に、安保法制に関する基本的な一番重要な定義、定義が重要ですから、に関して、答弁といいますか、資料を出してほしいというふうに要望したところ出てきた答えでございます。要するに、広辞苑でこう書いてあるというのが文書で出てきました。
 今まで、政府に対して定義について要望したときに、こういう辞書を引用したというような事例はあるのかどうか。なぜ、こういう広辞苑の用語を提出をしたのかについて、内閣官房からお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(前田哲君) お答えさせていただきます。
 これまでにこのような辞書を引用した形で政府がお答えをしたことがあったかどうか、ちょっと必ずしも網羅的に調べていないので手元に資料はございませんけれども、私どもがこういう御説明をさせていただいた趣旨といたしましては、これは五月二十一日の部門会議で御質問いただきまして、平和、独立、安全、事態、存立、これらの用語の定義ということでございました。
 平和安全法制におきましても、これらの用語は一般的な意味で用いられているところでございまして、特別な意味を持たせているものではございません。そこで、法令におきましては、様々な語を組み合わせて条文とすることにより規範としての一定の意味内容を表すとしておりますところ、そこで用いられる個々の語について、お尋ねの各語のように、その意味が日本語として一般に理解されるものである限り、その一つ一つについて定義をして用いられているものでは必ずしもございません。そのため、一般的な意味の一例といたしまして、こうした辞書、広辞苑でございますが、これから引用した用語の意味を提示をさせていただいたところでございます。
 部門会議におきまして、当初からこういった御趣旨を丁寧に申し上げるべきだったと思いますが、必ずしも、不十分であったこと、そして部会におきまして藤田先生の御質問の趣旨を十分踏まえていなかったということもあったと認識をしておりまして、その点についておわびを申し上げたいと存じます。
○藤田幸久君 まず、網羅的には調べていないとおっしゃいましたけれども、前田さん、知っている範囲で見たことありますか、辞書を文書で出したという事例。
○政府参考人(前田哲君) 私は存じ上げておりません。
○藤田幸久君 私もそれなりに国会にいますけど、見たことないですね。多分、これは自民党、各党の先生方も含めて、今までこういった文書を見たことありますかね。ないと思いますね。
 それから、私の趣旨がどうこうであれ、定義について質問しているわけですね。そして、今の答えの理由であっても、だからといって広辞苑のものを出すというふうにはつながらないんじゃないですか。全くこれはけしからぬ話であって、今の理由と、それから趣旨がどうであっても、広辞苑を引用して紙で出すということはあり得ないんじゃないですか。どうですか。
○政府参考人(前田哲君) 辞書の定義をお出しした例があるかどうか、これはもう一度調べさせていただきたいと存じます。
 このような形でお答えをさせていただいた趣旨は先ほど御説明いたしたとおりで、必ずしも各語について定義をしているというものではないものですから、その一般的な意味をお示しをする意味でこのような資料を出させていただいたところでございます。
○藤田幸久君 少なくとも、我々が見たことがないということが十分な私は事実だろうと思っています。
 それから、これだけ定義についてこういったことを出してくるということは、いかにその定義に対して不安があるからこういった出し方をせざるを得なかったということだろうと思いますので、これは自衛隊の皆さんだけじゃなくて、それこそまさに国民の命に関わることに関して、こういった出し方をやっているという姿勢そのものを変えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、時間の関係で移りますけれども、新聞報道ですけれども、礒崎総理補佐官が、最高裁が違憲判決を出した場合は法律を変えないといけない、憲法上のルールなので当然だと発言したと聞いておりますけれども。
 そこで、法制局長官に伺いますけれども、ある法律について最高裁から違憲判決が出た場合、その法律はどうなるんでしょうか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 最高裁判所の違憲立法審査権と申しますのは憲法に明文で規定されております。日本の裁判所は、いわゆる憲法裁判所ではなく司法裁判所というものに分類されるものでございまして、具体的な事件を前提として、それに法律を当てはめて事件を解決すると、そういう役割でございます。
 その意味で、その違憲判決というものですけれども、違憲判決につきましても前提となる具体的な事件があります。その上で、どのような理由によってどのような違憲の判断がなされたかということによって、その判決の持つ意味というのは様々であろうかと思います。いわゆる一般的にその法律を違憲無効とする、そういうような判断をするという、そういう権能はございません。
 その意味で、実際に、どのような事件についてどのような理由によってどのような違憲の判断がなされたかということに応じまして、政府としてはその具体的な対応を決めていくということになります。
○藤田幸久君 その具体的な対応に関して、法律はどうなるんですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 最高裁判所の判決そのものによってその法律が無効になるわけではございませんので、その指摘された点を是正するための法改正ということになろうかと思います。あくまでも一般論でございます。
○藤田幸久君 そうすると、違憲判決が出ても、その法律が無効にならないこともあり得るんですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 司法裁判所でございますので、その判決によってその法律の規定そのものが無効になるということではございません。
○藤田幸久君 そうすると、その法律がそのまま生き続けて、司法裁判所であるところの最高裁が違憲判決を出したと、その後もその対象になっている法律は有効として生き続ける。例えば民法とか刑法であっても、違憲判決が出た、にもかかわらず、そのまま民法なり刑法が生き続けちゃうと。そうすると、非常にそれによって被害を被る対象の人等も出るということですね。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 立法権は国会に専属するということでございまして、判決によって法律の規定そのものが無効になるわけではございません。
 もとより、裁判としての効力は当該事件のみでございますけれども、違憲立法審査権を有する最高裁判所の判決で指摘されたことといいますのは、行政といたしましてそのままその法律を適用し続けるということはもちろんできません。ですから、先ほど無効にならないと言った意味は、法的に無効になるというわけではないということで、それをそのまま適用し続けるということではもちろんございません。
 その法律を是正するというか、裁判所で指摘された事項について対応するというためには、その指摘された法律を必要に応じて改正するということが必要になる場合がございます。
○藤田幸久君 国会において改正等をするんだろうと思いますけれども、政府の方はちゃんと準備をしております。それが八ページと九ページでございます。
 内閣官房と防衛省に先日要請をしたところ、「今回の平和安全法制について、憲法解釈の変更を受けて、改正が行われている部分を明示されたい。」。ということは、今回の例えば憲法解釈、去年の七月一日以降変更をされて、改正がされている部分がここなわけです。
 そうすると、例えば、盛んに今憲法学者の皆さんもおっしゃっているように、この憲法解釈が違憲だということになった場合には、この八ページと九ページに書かれている部分が、これは改正されなければいけないということになるかと思うわけでございますけれども。ということは、もし違憲判決によって、今長官がおっしゃったように、この改正部分が執行できないと、その場合には、防衛大臣、不都合が生じると思うわけですが、どのような不都合が生じて、その生じる不都合をどうやって解決しようとするのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) まず、昨年七月に閣議決定を踏まえた以降、平和安全法制を提示をしておりますが、これは憲法第九条の解釈の基本的な論理、これを維持しておりまして、これまでの政府の憲法解釈との論理的整合性及び法的安定性は保たれているのでありまして、違憲無効となるものとは考えていません。
 その上であえて申し上げますが、仮に万が一、最高裁の判断により集団的自衛権の限定容認に関する部分が違憲無効とされるとすれば、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合における我が国の対応が不十分なものになるおそれがあります。そのような場合であっても、政府としては、その時点におけるできる限りの対応を取るということに尽きますが、法の不備により切れ目ない対応を行うことができなくなるとの懸念があり、国民の命と平和な暮らしを守り抜くという政府としての最も重要な責務が果たせないことにもなりかねないと考えます。
 このような事態を避けるためにも、今般の平和安全法制の成立をお願いしているところでございます。
○藤田幸久君 答えていただきたい私の問いは、不都合が生じるか、その不都合をどうやって解決しようとするのかということについて答えていただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) そのような場合でありましても、政府としては、その時点におけるできる限りの対応を取るというところに尽きるわけでございます。
○藤田幸久君 要するに、違憲判決で執行できないというところについて聞いているわけです。執行できないということに関して、頑張りますという話じゃないと思うので。先ほど大臣は、万が一にもとおっしゃったけれども、万が一のことが起きた場合に違憲判決によって執行できないと不都合が生じるわけですから、それについてどう対応するのかというのが質問であります。頑張りましょうという決意を聞いているんじゃありません。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 私どもは違憲の判決が出るとは思っておりませんが、一般論として、先ほどお答えしたとおり、仮に違憲判決が出るとしても、どのような具体的な事件についてどのような理由によってどのような違憲の判断がなされたかということに応じてその対応は様々でございますので、一概に違憲になったらどうかというお尋ねについては答えることは難しいわけでございます。
 今般の全般について、総体として見た場合どうなるかということになりますと、元に戻って、我が国に対する武力攻撃の発生を待たなければ武力の行使ができない状態になるという、そういうことになろうかと思います。
○藤田幸久君 いや、法制局長官、私は呼んでいないので。
 私は、資料として八ページ、九ページ、出しています。これは明らかなわけです。つまり、憲法解釈の変更を受けてこれが改正されているわけです。ところが、その憲法解釈が違憲となった場合に、これが、この法律として、この部分が、改正されている部分がこれ無効になるわけですね。この部分について、いや、長官に聞いているんじゃなくて、大臣、これ、官房、防衛省の方で具体的にこのことが解釈変更によって変わると言っているわけですから、この部分に対して違憲というふうになった場合には、これ行政上対応しなければまずいんじゃないですかと、どう対応するんですかと。それに対して、頑張りますという話じゃないので、これ具体的な話をしているので、どうなんですか。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 先ほど法制局長官もお答えになりましたけれども、私ども政府としては、今回の法令、政府の憲法解釈と論理的整合性、法的安定性を保っていると、このような立場でございますので、違憲無効となるものとは考えておりません。
 ただ、その上で、万が一、最高裁判所で違憲判決が出るような場合には、政府としては、判決の具体的な内容に応じて、従来政府が対応してまいりました例も踏まえまして、法治国家として適切に対応してまいる、このようなことになろうかと存じます。
○藤田幸久君 今までそういった例はあったんですか。つまり、私が聞いているのは、行政の対応について聞いているわけです。だから、法制局長官の一般的な話を聞くんじゃなくて、しかも、具体的に改正が行われる部分って書いてあるわけですから、具体的な私は質問をしているわけで、つまり、違憲の判決が出た場合に行政として対応すると、具体的な法案の中身についてどう対応するんですかと聞いているわけです。
 行政として答えてください。
○政府参考人(前田哲君) これも先ほど法制局長官からも御答弁ございましたけれども、最高裁においてどのような事件についてどのような内容の判決が出るか、それが様々な場合があろうかと存じます。その事件、また判示の内容を踏まえまして政府としては対応を決定していかなければならないと思いますので、誠に恐縮でありますが、一般的な形でその問いにお答えすることは難しいのではないかと、このように考える次第でございます。
○藤田幸久君 内閣が合憲だと解釈して法律案を国会に出してきています。立法権を有する国会が例えば合憲だと解釈して法律を成立させたとします。だけれども、内閣あるいは国会の憲法解釈は誤っているというふうに司法が認定をしたというケース、万が一のケースを聞いているわけです。そういうケース、国会の法律案で通過したものが、その後に憲法解釈が誤っている等で違憲の判決が出たと、そういう事例はあるんでしょうか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 過去の違憲判決の例とその場合の対応ということでございますが、そんなに違憲判決は多くございません。
 有名なのが、昭和四十八年四月四日の尊属殺重罰規定の違憲判決というのがございます。
 当時、刑法第二百条におきまして、通常の殺人罪とは別に尊属殺の法定刑を死刑又は無期のみに限っていたものでございます。
 その当該事件については、大変被告人に同情すべき事情が、特別な事情があった事案でございましたけれども、その事案につきまして、死刑、無期しか定めのない尊属殺の規定を適用するということを迫られた裁判所としては、やはり刑法二百条の規定は、尊属殺であるというだけでこれだけの重罰にするということは不合理な差別的な扱いであるということで違憲であるということで、刑法百九十九条、通常殺人の規定を適用するという形で処罰をするということをしております。
 行政の側としては、その後の尊属殺人の事件につきましては、この二百条の規定を適用せずに、全て刑法第百九十九条の通常殺人の罪で起訴するという形で対応したわけでございます。
 では、二百条の規定はどうなったかというと、尊属殺人について一定の重罰化をするかどうかというような議論もございましたので、この二百条の規定が廃止されたのは平成七年に至ってからでございます。
 次に、昭和五十年四月三十日の薬事法の距離制限規定の違憲判決というのがございます。それは営業の自由等との関係で問題になったわけでございますけれども、その違憲判決を受けまして、もう当日にこれは厚生省において通達を発しまして、実際の配置の適正化については条例で定められることになっていましたので、その規定を適用しないということを要請する文書を発出して、そのような規定、その違憲として指摘された規定の執行を止めまして、その後、これは議員立法ということになりましたけれども、二か月に満たない、一か月半程度ですか、ぐらいで法改正が行われたということがございます。
 それから、近い例……(発言する者あり)
○藤田幸久君 時間の関係で。
 この憲法解釈について、今多くの憲法学者の方々がこれは違憲だとおっしゃっておられまして、長谷部教授は九五%の憲法学者が反対するんじゃないかとおっしゃっておられますけれども。
 それで、特に問題になっておりますのは、小西委員がこの間も質問しておりましたけれども、その政府見解、法理に関する集団的自衛権の内閣の認識の関係でございますけれども、六月十一日の小西委員とのやり取りの中で、法制局長官は、集団的自衛権に関する政府見解を発表した昭和四十七年の当時、個別的自衛権がそのような事態に当たるという事実認識であったと、この間答弁されました。
 つまり、集団的自衛権は昭和四十七年の事実認識には含まれていなかったというふうにおっしゃったわけですけれども、この小西委員の資料を使わせていただきますと、これは十ページでございますけれども、言わば①と②を引き継ぐと言いながら③の結論を変更して、限定された集団的自衛権の行使を憲法上許されると言っているわけですね。
 ところが、閣議決定で引き継いでいるはずの②には限定された集団的自衛権は事実認識として入っていなかったとなっているわけでございまして、これが引き継いだはずの②に限定された集団的自衛権は入っていないのに、ということは、結論として認められると変更するということは、これはおかしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) かいつまんで申し上げますが、①の部分は我が国は自衛のための固有の権利を有しているということ、②の部分は外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する場合における自衛のためのやむを得ない必要最小限度の武力の行使までも憲法が禁じているものではない、そのような結果、禁ずることによって国民が犠牲になるということもやむを得ないということを命じているものとは解されないというのがその①、②の基本的な論理と申し上げているところでございます。
 それでは、どのような場合がこれに当たるのかということでございますが、当時におきましては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこれに該当するんだという事実認識を持っていたということを申し上げているわけです。その後の安全保障環境の変化等によりまして、今回お示ししております新三要件を満たすようなもの、これにつきましても、この①、②の要件を満たし得るのだという、そういうことを申し上げているわけでございます。
○藤田幸久君 ということは、環境が変わったということは、今政府が認められていないという集団的自衛権一般の行使までも認めてしまうということになるんじゃないですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) まさに、この三要件でお示ししているものは、国際法上は集団的自衛権ということで違法性が阻却されるものでございますが、その全てではなくて、その第一要件において、まさに国民の生命、自由云々ということで、根底から覆される明白な危険ということで限定しております。これは憲法上の限定でございます。また、第二要件におきましても、我が国の存立及び国民を守るための必要最小限度ということで、我が国を守るためであるということで限定しております。
 その意味で、限定された集団的自衛権について今は議論をしているということでございまして、国際法上認められる集団的自衛権一般を認めるものでは決してございません。
○藤田幸久君 もう時間がないんで、最後のページ、十二ページを御覧いただきたいと思います。
 これもやはり先週の質問の関係でございますけれども、先週、法制局長官は、「限定された集団的自衛権と申し上げているのは、フルスペックでもフルセットでもいいのですけれども、集団的自衛権一般の中の部分集合ということ」というふうに発言をされておられます。
 ところが、四十七年の政府見解では集団的自衛権一般を否定しているわけですね。そうすると、この図でいうところの昭和四十七年では集団的自衛権一般を否定しているわけですけれども、その一部分にすぎない右側の限定された集団的自衛権なるものを七月の閣議決定で認めることは、これ、だから、引き継がれていると言いながら、この全体に入っているところの限定的集団的自衛権を認めるということは全く論理矛盾じゃないんですか、これ。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) その一部分ということを、あるいは限定されたということをどのように理解するかということかと思いますけれども、我々が申し上げていますのは、一部に限るから、限定するから憲法に適合するのだということを申し上げているわけです。
 別の言い方をしますと、集団的自衛権一般といいますと、やはり他国を防衛するためにその他国まで出かけていって、外国まで出かけていって戦うということも当然含んでいるわけでございますけれども、そういう部分ではないもの、つまり我が国を防衛するための必要やむを得ない最小限度のものに限ると、そうであるならばこれは憲法に適合するだろうということを申し上げているわけで、まさに一部分にすぎないからこそ憲法に適合するということを申し上げているわけでございます。
○藤田幸久君 つまり、自分が決めたものは該当しないと言っているように今聞こえましたですね。つまり、横畠さんが言っていることのみは可能なんだと。これは今までの歴代の法制局長官はそういう自分だけはというようなことをおっしゃっていませんですよね。
 法制局長官は、私は実体的に憲法の番人なんだろうと思いますね。実体的に憲法の番人であり、あなたの先輩方が守ってこられたこと、そしてそれに基づいて歴代総理がまさに日本の国民の命と安全を守るために守ってこられたことを、それを変えているんじゃないですか。その責任と横畠長官が今、毎日国会でおっしゃっておられることの罪科といいますかね、罪科、罪。罪というのはいろんな意味が、肯定的、否定的な意味もありますけれども、ある意味では実体的に一国会議員以上に重い任務を背負われて、そして歴代の皆さんが積み重ねられてきたことを、今の一部分はということに対するその主観的な表現は、これはまさに立法事実といいますか、というのと懸け離れた主観的な、そして御自身が描かれた中に限定をされ条件を付けられて、これだけは可能だと言っている。
 例えば、この図解からしても、長官はどういうふうにこれ図を描かれるんですか、一部分というものを。これは要するに、図には描けない。状況によって、そして自分だけが決定することができるかのような言い方をしておられます。それは法律じゃないんじゃないですか、どうですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 法制局長官として私が決定しているということでもございませんし、主観的な意味で一部分と申し上げたわけではございません。
 まさに、お示ししています新三要件そのものを是非よく御覧いただきたいと思います。まさにその中にこそ、この限定という意味が明らかにされているというふうに解しております。そのことは、仮に図にするならば、新三要件を満たす場合の集団的自衛権という部分と、それに当たらない、恐らく他国防衛が中心になる、そういう集団的自衛権という区分になるんだろうと思います。
○藤田幸久君 新三要件の方が憲法よりも上位であるということですね。それを法制局長官が、憲法よりも新三要件の方が重要である、それをお読みになれば分かると。そして、多くの憲法学者の方々が、こんなに一つの法律について憲法学者の方々が反対をしている、その法律というのに対して、これ法的な安定性ってあるんですか。官房副長官まで、この違憲の可能性について話が出ている。
 今まで、この法案の途中で、これだけ違憲の可能性について専門家がいろいろな内外で発信をされて、そしてそれに対して官房副長官まで言及している、そういう中における、法制局長官が憲法以上の何か解釈を、主観的にと取れるような、つまり説明が付かないような形でおっしゃっているということについて、どうお考えになるんですか。あなたの責任を考えてください。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 主観的に申し上げているわけではございませんで、まさに新三要件に明記されているとおりでございまして、その新三要件は、まさに憲法の下、第九条の下でどこまでの我が国としての武力の行使が許されるかというその憲法の解釈を述べているものでございまして、その解釈はこれまでの憲法解釈と整合しているということをるる述べているわけでございます。決して主観的な判断を述べているわけではございません。
○委員長(片山さつき君) 藤田幸久君、お時間がそろそろ終わっておりますが。
○藤田幸久君 専門家が全く反対のことをおっしゃっているということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

20150616委員会配布資料