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オバマ大統領訪日に関する評価について2014年05月05日

先月の訪米も踏まえて、立憲フォーラムとして、憲法記念日に以下のコメントを発表しましたので掲載させて頂きます。

    オバマ大統領訪日に関する評価について(コメント)
                        立憲フォーラ
 オバマ大統領が4月23日から25日までの日程で国賓として来日した。公式、非公式を含めた首脳会談、共同記者会見及び共同声明の発出は、長い歴史を有する日米関係の中に新しい一頁を加えたもので、良かったと言える。
 安倍首相自身はオバマ大統領の発言や共同声明などに関して、「画期的なものになった」と評価したとメディアは伝えている。しかし、共同声明や記者会見などのオバマ大統領の発言を見ると、大統領訪日前の4月初めに立憲フォーラム訪米団が会談したアメリカの政府関係者、議員、有識者等の発言と類似しているものや、訪米団が米国側に伝えた意見に近いものも見受けられる。訪米団の活動が反映されたものであれば一定の成果であったと考える。
 その点を考慮しつつ、今回のオバマ大統領来日における発言や共同声明を分析し、以下の通り立憲フォーラムとしての評価をまとめた。
 今回のオバマ大統領訪日で、日本政府関係者は「満額回答」などと成果を強調しているが、大統領訪日前に訪米団を派遣した我々の評価は異なっている。
 まず、共同声明の「米国は,集団的自衛権の行使に関する事項について日本が検討を行っていることを歓迎し、支持する」との文言を、政府やマスコミは大きく取り上げている。
 しかし大統領訪日前に、訪米団がワシントンで面会した米政府高官に「国会での議論もないままに解釈を変更することは、立憲主義に反する。不戦の誓いから出発した戦後日本の歩みを踏まえ、世界と価値を共有し、平和と民主主義、法の支配を大切にし、近隣諸国との協調や友好をめざしたいと思う多くの国民がいる」と基本的な考え方を伝えたことに対し、高官は「集団的自衛権行使については、それは日本側の問題で、米側が憲法解釈変更を求めているのではない」と述べていた。日本国内での憲法論争は、あくまでも日本の内政問題であり、日本の国民と政治が判断するべきものだ、と解釈できる。
 また、共同声明の文言は、4月6日にヘーゲル国防長官が小野寺防衛大臣との共同記者会見で「アメリカは集団的自衛権に関する憲法解釈の再検討を含めて、より積極的な役割を果たそうとする日本の取り組みを歓迎する」と述べたことと比較しても、解釈変更の是認からは後退したと理解できる。
 これらを併せて考えると、安倍首相が共同声明の中に「集団的自衛権」に関する文言を入れることに大いに拘ったと言われている中で、この程度の表現となったことには、アメリカが手放しで歓迎していないことが明らかである。面会した政府高官や米国議会議員は、「日本は、同盟国としての役割を果たして欲しい。しかし、周辺国との信頼関係醸成も重要である。村山談話、河野談話も継承を期待する。これは米国だけでなく韓国、中国とも同じ認識であり、日本が積極的な役割を担い、両国との関係が好転することを期待したい。他方、中国に対しても、フランス、ポーランドのドイツに対する対応を学んで欲しい」「日本が戦後のドイツのように、韓国が戦後のフランスように対応し、互いにうまくやっていけるような関係を望みたい」などと述べ、東アジアの安定と相互の信頼関係の醸成が重要であるとの認識はいずれも同じであった。
 記者会見でオバマ大統領が「私が強調したのは、この問題を平和的に解決することの重要性だ。言葉による挑発を避け、どのように日本と中国がお互いに協力していくことができるかを決めるべきだ」「日本と中国は、信頼醸成措置をとるべきだ」「尖閣問題で事態がエスカレートし続けるのは重大な誤りだ」と述べたのは、オバマ大統領による安倍首相に対するけん制であり、強い本音の表れである。政府の通訳が「重大な誤り」のところを、「正しくない」と意訳して、日本のメディアが「オバマ大統領が中国をけん制」と取り違えたことは、悪質な情報操作だと言われかねない。
 「東アジアの安定と、そのための信頼関係の醸成」こそが国際社会が望んでいることであることは明白である。靖国神社への参拝や真榊奉納などにより、いたずらに中国、韓国などを刺激することでなく、胸襟を開いて相互理解と信頼関係の再構築に努めることこそ、現政権に求められている。この点に関して我々は、安倍首相がオバマ大統領から、尖閣問題や集団的自衛権への言及を受け入れる代わりに、近隣諸国との関係改善という課題での具体的前進を強く求められたというのが、正しい分析と理解だと確信する。