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  • 【2014年5月2日】

    普天間飛行場の移設問題に関して国会で質問を続けて参りましたが、その結果明らかになった建設費について、軍事アナリストの小川和久さんが、最新号の「ストラテジック・アイ」です分析しておられますので、転載させていただきます。
    ◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)

    ◇◆普天間移設――辺野古の建設費は高すぎる
         国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

    Q: 2014年4月27日、沖縄市長選が投開票され、元自民党県議の桑江朝千夫氏(自民・公明推薦、民主・維新支持)が当選しました。12月までに沖縄県知事選も予定され、今年は米海兵隊普天間飛行場の辺野古移設問題が大きく動きそうです。そんななか、この3月には移設先の辺野古飛行場の総工費は3500億円以上、という話が出てきました。今回は、これについて考えを聞かせてください。

    小川:「実は、名護市辺野古に新しく建設する飛行場の『総工費』を日本政府が公表したのは、今回が初めてです。これまで政府は、沖縄県に提出した書類などで、埋立工事費だけについて約2311億円としてきました」
    「きっかけは3月13日、参議院外交防衛委員会における藤田幸久議員(民主党)の質問です。答弁に立った小野寺五典・防衛大臣は、滑走路や管制塔その他の建設費や環境整備費などを含めた総工費が少なくとも3500億円以上と見込まれることを、初めて明らかにしました。この政府答弁を引き出したのは、藤田幸久議員のお手柄です。藤田さんのブログ記事と『琉球新報』の記事を引用しておきましょう」

    【資料1】民主党・藤田幸久議員のブログより(2014年03月13日「参議院外交防衛委員会で質問」)

    参議院外交防衛委員会で質問
    2014年03月13日(木)
    13日は、参議院外交防衛委員会で主に防衛大臣に質問しました。冒頭で、3年前の東日本大震災で10万人以上の自衛官が援助活動で活躍されたことにお礼を申し上げました。そして、福島原発事故後の自衛隊ヘリによる注水活動に際して、自衛官からの要請もあり、私が死亡の賞じゅつ金(弔慰金)を6千万円から9千万円に上げてもらうよう北沢防衛大臣に要請して、引き上げを認めてもらったことを報告しました。後には、ご遺体処理活動の日当が1日1千円だったものを、4千円近くまで上げてもらいました。

    質問は普天間基地の移設案についてです。質問の結果以下の点が明らかになりました。 (1~3は略)

    4 辺野古の埋め立て工事費用は約2311億円とされているが、飛行場を含む全体の工事費はどの程度かと質問したところ、最低3500億円と大臣は答弁した。これまで検討された辺野古以外の主な代替施設案の想定される工期と建設費を質問したが、大臣は答弁を避けた。私は普天間と同規模の静岡空港は、1900億円。シュワブ陸上案は3000億円、埋め立て方式のホワイトビーチは1兆円とも言われ、3500億円の想定は低すぎ、辺野古案は相当な予算額になるのではないかと指摘した。
    (5以下は略)

    【資料2】「琉球新報」2014年3月14日付記事
    辺野古総工費3500億超 防衛相が試算公表

    【東京】小野寺五典防衛相は13日の参院外交防衛委員会で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設にかかる費用総額について「少なくとも3500億円以上と見込んでいる」と述べ、2006年のV字形滑走路建設で合意後、政府として初めて試算額を明らかにした。

     小野寺氏は、埋め立て工事費用2311億円に加え、環境保全措置、飛行場施設の整備、キャンプ・シュワブの陸上部分の整備などの費用がかかるとした。辺野古移設に向け、沖縄防衛局が県に提出した公有水面埋め立て承認願書で、政府は埋め立て工事費用を2310億8700万円としている。
     仲井真弘多知事が要望する普天間の5年以内の運用停止の中身に関して、小野寺氏は「知事の要望であり、その内容、意味について答えるのは適当ではない」と明言を避けた。
     一方、岸田文雄外相は基地内の環境保全について日米地位協定を補足する新たな特別協定締結について、「騒音が対象に含まれていない」と述べ、日米間で騒音に関する交渉は行われないとの認識を示唆した。藤田幸久氏(民主)、井上哲士氏(共産)への答弁。
    (http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-221327-storytopic-3.html)

    ◆比較すればわかる「飛行場の相場」

    Q:総工費3500億円以上という数字を、どう見ますか。安いのか高いのか、まずまず妥当な見積もりなのか?

    小川:「普天間移設問題に長くかかわってきた私が、まず強調したいのは、3500億円以上という見積額は、いくらなんでも高すぎるし、予定されている工期も長すぎる、ということです」

    「というのは、この10年ほどの間に日本で開港した空港が7つあります。その総工費を見ると、空港島470ヘクタールを埋め立て、3500メートル滑走路を持つ国際空港の中部国際空港セントレアだけが6400億円以上と別格ですが、それ以外の空港は、最大でも新北九州空港の1024億円。あとは200~500億円程度で済んでいるからです。以下は、さきほどの藤田幸久議員が国会図書館を通じて集めたものですが、公開されたデータですから、マスコミや一般の市民でも入手可能です」

    【資料】最近10年で開港した空港の総工費と工期(供用開始順)
    名称……総工費/着工年月/滑走路供用年月/工期
    中部国際空港……6431億円/2000年8月/2005年2月/4年6か月
    神戸空港……530億円/1999年9月/2006年2月/6年5か月
    新北九州空港……1024億円/1994年10月/2006年3月/11年5か月
    新種子島空港……240億円/1992年11月/2006年3月/13年4か月
    静岡空港……490億円/1998年11月/2009年6月/10年7か月
    茨城空港(百里飛行場)……220億円/2005年7月/2010年3月/4年8か月
    新石垣空港……451億円/2006年10月/2013年3月/6年5か月
    ※出典
    国土交通省サイト「航空関係公共事業に係るこれまでの評価結果」(http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000249.html)、各県サイト、各空港会社サイトなど。
    ※注
    中部国際空港と新北九州空港以外は、事業終了後のデータが未発表で見込み額。

    「なお、ここでいう総工費は、空港本体の工事費・用地費などを含んだ建設費を指しています。たとえば静岡県サイトの富士山静岡空港資料室ページによると、静岡空港の全体事業費(計画額。以下同)は1900億円。このうち空港本体整備費は490億円で、これは用地造成費や2500メートル滑走路・誘導路・エプロン・航空灯火などの整備費を含みます。これに空港周囲の整備505億円、緩衝緑地の環境対策、アクセス道路整備、河川改修、代替農地、生活生業・騒音対策(以上各160~190億円)、その他を加えれば1900億円となります」

    ●富士山静岡空港資料室
    http://www.pref.shizuoka.jp/kuukou/contents/ayumi/yosan/zaisei.html

    「ところで、辺野古飛行場の総工費は3500億円以上で、埋立費が約2300億円ですから、空港本体の建設費は1200億円以上ですね。辺野古は1600メートル滑走路がVの字に2本建設される予定ですが、静岡空港の2500メートル滑走路をもう1本余分に建設するより、はるかに高くつくことになります」
    「160ヘクタールの埋立費2300億円も高い。中部国際空港には、埋立によって空港島の面積を約200ヘクタール広げ、現滑走路の300メートル沖合に3500メートル滑走路を新設する構想がありますが、その事業費見込みは2007年時点で約2000億円でした。また、新北九州空港の空港島は373ヘクタールですが、関門港港湾整備事業としておこなわれた埋立土砂投入・護岸築造の事業費は1500億円でした。デフレ下の物価上昇を考えても、160ヘクタール2300億円は高すぎるでしょう」
    「そこで結局、防衛大臣が答弁した総工費3500億円以上とは、いったい何なのだ、という話になるわけです」

    ◆業者主導で価格が決まる

    Q:私(坂本)は昔、建設談合をさんざん取材しました。たとえば高速道路の建設費がいくらかということは建設省(現・国土交通省)にはわからない。だからゼネコン大手がボーリング調査などを重ねて積算し、建設省が総事業費いくらと公表して、予算化する。調査したゼネコン大手は先行投資をしているから、当然そこに発注する──こう話してくれたゼネコン談合係の某建設会社役員は「だから主たる事業者は最初から決まっている。これを『談合』といえばその通りだが、官の要請に応じて談合するんだ。新聞が書く『談合体質』なんてまったく的外れで『談合構造』ですよ。談合というのは、つねに『官製談合』なんだ」と言っていました。「3500億円以上」も、業者がはじいた数字ですね?

    小川:「そうです。建設省や国土交通省でもわからないコストを、防衛省がわかるはずがありません。防衛省で主力として動いてきたのは旧防衛施設庁グループですが、金額をはじいたのは建設業者でしょう」

    「辺野古の場合、関係しているのは2社とされています。1つは、沖縄県名護市に本社がある土木建設の『株式会社東開発』で、砂利山を所有して砂販売をしている。この会社が熱心に移転先を辺野古に引っ張りました」

    「もう1つは、沖縄最大のゼネコンで、仲井真知事と波長が合うと言われている『株式会社國場組』です。この会社は土木建設や砕石事業を得意とし、過去に米軍の仕事を数多く経験しています。これも辺野古移設問題に深く関わっているとされています。この2社以外の建設会社は、辺野古とは一線を画していますね」
    「ですから、3500億円以上という話は明らかに癒着の結果と指摘する声もある。業者にいいようにされている印象が濃厚です。最近建設された国内空港の総工費は、特定秘密でも何でもなく、国土交通省サイトその他に書いてあり、公表されているのです。それすらも調べずに、『少なくとも3500億円以上の見込み』などとはいわないでもらいたい、という話です」

    「マスメディアも、公表されたデータが存在するのに、この問題をほとんど報じません。それでいて、特定秘密保護法が成立すればすべて闇の中、というような主張をしているのですから、これはおかしい。問題を闇の中から出そうとしないのは、自分たちでしょう。ちょっと、つける薬がない感じですね」

    「最近、3500億円以上という政府の見込み額について自民党の有力な若手議員に話したら、『それは小川さんのいうとおり。きちんとやらなければダメですね』と言っていました。もちろん、現地調査や計画提案に協力した業者はじめ、建設にかかわる業者は、どこもそれなりに儲けてもらわなければ困ります。しかし、ほかの空港と比べて話にならないような高価格では、国民を納得させることはできません」

    ◆米ゼネコンは軍用飛行場を1年半で建設

    Q:工期については、どうですか?

    小川:「政府が沖縄県に提出した名護市辺野古沿岸部の埋立承認申請書には、埋立工事の施行に要する期間が5年と明記されています。埋め立てるだけで5年ですから、飛行場の完成までには、さらに2~3年以上かかるでしょう」

    「辺野古を埋め立てて1600メートル滑走路2本をV字型に配置する現行案は、2006年5月に米軍再編協議の最終報告『再編実施のための日米のロードマップ』が日米両国政府間で合意されたとき、これに含まれる形で承認されたものです。このとき、普天間代替施設は今年、つまり2014年までに完成とされました。2006年段階では工期8年と見込んでいたのです」

    「この工期も長すぎます。上に挙げた空港の総工費と工期をもう一度見てください。新種子島空港は、2000メートル滑走路1本で年間利用客が7万人余の小さい空港ですが、工期は13年4か月もかかっています。1992年11月に設置許可が下りたときの開港予定は1999年3月でしたが、用地買収などが進まず、開港が7年間延期されたからです。この延期がなければ工期は6年余りです」

    「新北九州空港は旧北九州空港からの事実上の移転という特殊事情がありました。静岡空港も建設反対派との土地収用問題が長引きました。ですから、この2つは10年以上かかっています。そういった問題がなければ、空港というのは、長くても4~5年もあれば建設できます」

    「まして辺野古は軍用空港ですから、旅客施設のようなものはいりません。埋立地の完成後、せいぜい2年もあれば建設できるはずです。アメリカは、ロッキード・マーティン社がインドへの輸送機売り込みに成功したとき、オマケとしてインドに2700メートル滑走路のある軍用飛行場を建設しました。2008~9年のことで、建設には1年半しかかかっていません。私は、これを例に挙げて、『なぜ、辺野古はこんなに高く、工期も長いのか』とアメリカ政府に迫ったことがありますが、先方は黙ってしまいました」

    「いずれにせよ、辺野古に新設する飛行場のコストはほかの国内空港と比較して妥当なのか、あるいは各地の埋め立て工事と比較してどうなのか、という議論が、そもそも国会でなされていないこと自体がおかしいのです。この点で、国会はまったく機能していません。それに、問題は辺野古だけにとどまりません。これは、政府のカネの使い方を国民の代表である国会が充分チェックできていないという、日本の民主主義の根幹にかかわる大問題だということを、忘れないようにしたいものです」
                                (聞き手と構成・坂本 衛)

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