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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2014年04月10日

活動報告

2014年4月10日

参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 今日は、少し時間短くなりましたが、お時間いただいておりますのでいろいろ質問をさせていただきます。まず、前回の積み残しの質問を若干させていただきます。
 それは、普天間基地の辺野古移設案についてでございますが、いわゆる緊急時、有事の代替施設として、国連軍をこの辺野古沖、あるいは有事対応の九州の新田原あるいは福岡県の築城基地において活用できるのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 朝鮮国連軍につきましては、国連軍地位協定第五条に基づきまして、一つは、我が国における施設で合同会議を通じて合意されたもの、そしてもう一つは、在日米軍の施設・区域で合同会議を通じ我が国政府が同意するもの、こういったものを使用できるとされております。この規定のうちの一につきましては該当する施設がなく、二に該当するのが七か所ということで、その中に普天間飛行場が含まれております。
 ですから、現在、この国連軍地位協定に基づいて普天間飛行場を使用することはできますが、その代替施設における扱いについては、今後、この規定の二に従って、国連軍地位協定、当事者間の協議で協議していく、こういったことになります。
 そして、二〇〇六年のロードマップにおいて、普天間飛行場の移設に当たって、緊急時に新田原基地そして築城基地、これを緊急時の使用のために整備を行う、こういったことが合意されておりますが、新田原基地そして築城基地につきましては、国連軍地位協定に基づいて、いわゆるこの規定のうちの最初の方の規定に基づいて、国連軍地位協定に基づいて設置された合同会議において合意をすれば使用することが可能である、こういった取扱いになると認識をしております。
○藤田幸久君 ちょっと何かよく分かりませんが、米軍の場合と米軍以外のイギリス、カナダ等で違うと思うんですけれども、米軍以外の、つまり英連邦系の軍は兵たん基地としてのみ可能だと。そうすると、新しい辺野古では難しくて、かつ、米軍の場合にはいわゆる朝鮮半島有事にも出動が可能なわけですが、米軍以外はそれ難しいんじゃないかと思うんですが、その場合に、辺野古沖と九州の二つの場合に、実際の出動する目的等が変わってくると思うんですが、その点について説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まさに、御指摘の点につきましても、この地位協定、国連軍地位協定の規定に基づいてこれ取扱いが決まるものだと考えております。ですから、普天間基地の代替施設についても、この国連軍地位協定第五条に基づいて決まることでありますし、御指摘の新田原基地、そして築城基地、これにつきましても国連軍地位協定第五条、先ほど御紹介させていただきました規定に基づいて取扱いが行われるものと認識をしております。
○藤田幸久君 米軍と米軍以外の違いについて、これは既に規定されているわけですが、実態として、普天間から二つに分かれた場合に違いが出てくると思うんですが、それについて答えてくださいと言っているんです。
○国務大臣(岸田文雄君) 御紹介させていただきました地位協定の中には、米軍、そしてそれ以外の軍との違いは何も記載されていないと認識をしております。
○藤田幸久君 五条以外も含めて、米軍と米軍以外の国連軍の地位協定について違いがあると思いますけれども、それも含めてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 国連軍地位協定におきましては、国連軍という形で定義されております。その中において、米軍とそれ以外の国の軍との違いあるいは区別、こういったものは記載されていないと認識をしております。
○藤田幸久君 時間がないので、その後についてもう一度後で答弁をいただきたいと思いますが。
 この辺野古沖の、今現在の建設が予定されている基地ですけれども、津波に対してどのような対策を講じているのか、それから大体何メートルぐらいの津波を想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(小野寺五典君) 普天間飛行場代替施設建設事業については、平成二十五年三月二十二日、公有水面埋立法に基づく公有水面埋立申請願書を沖縄県知事に提出し、同年十二月二十七日、沖縄県知事から埋立承認を得たところであります。
 代替施設の埋立地盤の高さは、埋立承認願書の提出時における沖縄県地域防災計画で示された事業実施区域周辺の津波水位より高く設定しております。具体的には、沖縄県地域防災計画平成二十四年三月修正版での事業実施区域周辺の津波水位の高さ、瀬嵩で三・二メートル、久志で二・二メートルに対し、代替施設の最低地盤高さを四・五メートル、滑走路中心線の高さを八・八メートルとしております。
○藤田幸久君 これから幾つか質問させていただきますけれども、私、三月の十九日に硫黄島、それから二十四日に広島、それから三十日からワシントンを訪問してまいりまして、これ全部日米関係に重要な地域でございまして、硫黄島とワシントンにおきましては、特に北米局の外務省の皆さんに大変お世話になりました。
 その中で、次に広島について御質問したいと思いますが、明日から岸田大臣が参加をされる、NPDI広島外相会議に出席をされると。私どももお役に立ちたいと思って二十四日に訪問してまいりましたけれども、明日からの会合の現在の準備状況と、何を期待されておられるか、まずお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は唯一の戦争被爆国として、軍縮・不拡散、核兵器のない世界を目指す国際世論をしっかりとリードしていかなければならない道義的責任を負っていると考えております。
 その中で、明日から開催されます第八回NPDI外相会議ですが、八回目にして初めて日本で、そして被爆地で開催することとなっております。来年予定されております五年に一遍のNPT運用検討会議に向けて是非しっかりとした政治的メッセージを発出したいと思っておりますが、今回初めて被爆地で開催されるNPDI外相会議ですので、是非、各国の外相、今八か国から閣僚級が出席することが想定されていますが、各国の閣僚には、しっかりと被爆の実相に触れていただいた上で、しっかりとした政治メッセージを発出していただきたいと考えております。
 そして、この目指すものですが、もちろんこれは会議の中で決まるものではありますが、是非、こうした広島宣言と言えるようなしっかりとした政治メッセージの中に、核軍縮につきましても、従来の米ロのみならず、他の核保有国にもこうした核軍縮交渉を多角化させていく、あるいは透明化を図っていく、こうした具体的な提言も盛り込みたいと思っておりますし、不拡散の議論におきましても、北朝鮮の問題あるいはIAEAの保障措置システムの強化など、こういったものを盛り込みたいと考えておりますし、また昨今、核兵器の非人道性の議論が国際社会の中で行われています。様々な立場にある国々を結束させる触媒としてこうした議論が期待されているわけですが、こうした議論も是非深めていきたいと考えております。
 こういった内容を盛り込んだしっかりとした政治メッセージを発出して、来年のNPT運用検討会議に貢献をしていきたいと考えております。地元の協力もいただきながら、準備に万全を期しているところであります。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 資料をお配りしております一枚目に、二十四日に、民主党の核兵器のない世界を目指す議員連盟、これはNPDIの生みの親とも言える岡田外務大臣が会長をしております議連で、福山委員と私も行ってまいりましたけれども、その際に、広島県知事、広島市長、それから被爆者の方の代表の方等にお会いをいたしましたけれども、その中でこういう六項目の提案をしてまいりました。
 これ全部についてコメントをいただきますと時間が掛かりますので、特に、岸田大臣、一番目の非人道性に関する徹底的な議論、それから四番目のG8広島サミットの開催とアメリカ大統領の広島、長崎の訪問の実現、それから五番目の核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定する唯一の目的にと、この三つが肝かと思いますけれども、この三つについてコメントをいただければ幸いです。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、民主党のこの非核議連の提言につきましては、大変貴重な御提言をいただいたと受け止めております。是非、こうした御提言も踏まえてNPDI外相会議の議論を充実させていきたいと考えております。
 そして、その中で三点御質問をいただきました。
 一点目の核兵器禁止条約を視野に入れた核兵器の非人道性に関する徹底的な議論ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、核兵器の非人道性の議論、これは、今、国際社会において様々な国々を結束させる触媒として大変注目をされている議論であります。是非、こうした議論を国境や世代を超えて広げていく、あるいは科学的な見地を深めていく、こうした方向でしっかりと議論を深めていきたいと存じます。
 そして、その中の核兵器禁止条約を視野に入れたという部分がありますが、この部分につきましては、核兵器のない世界を目指すという目標においては多くの国が共有しているわけですが、そのアプローチにつきましては様々なアプローチがあります。我が国は、北朝鮮を始めこの厳しい安全保障環境の中でより現実的な、そして具体的なアプローチを考えているわけでありますが、それぞれのアプローチを尊重しながら、是非、核兵器のない世界に向けて全体で前進をしていく、こういった取組を進めていきたいと存じます。
 そして、次のこの四にあります、二〇一六年G8広島サミット開催と米大統領の広島、長崎訪問の実現ということでありますが、まず、各国の政治リーダーが被爆地を訪問するということは、国際的な軍縮・不拡散の機運を盛り上げるという意味で大変意義あることであると存じます。アメリカを始め核保有国、そしてそれ以外の国々のリーダーにも是非被爆地を訪問していただく、これは意義あることであると考えております。
 G8広島サミットの開催等につきましては、これはまだ何も具体的なものは決まってはおりません。来年は是非国連軍縮会議を開催したいと考えております。こうした様々な日程についてまた議論が行われるものと考えております。
 そして三点目、更なる核兵器の役割の低減、特に唯一の目的について踏み込んだ議論をということでありますが、これは、核兵器の重要性を下げていく、低減していく、こういった議論の一環かと思います。
 私も、今年一月に長崎大学で軍縮・不拡散につきまして講演をさせていただきましたが、この部分につきまして、やはり多くの国々の中に核兵器を持っている国が現実存在いたします。そして、そうした国の中には核兵器の使用の範囲を広く取っている国があります。こうしたものをだんだんと縮めていくことによって核兵器のない世界という大きな目標に前進していくべきである、こういった考え方を述べさせていただきました。
 この唯一の目的という部分につきましては、これはその方向性においては一致するかと思いますが、唯一の目的というこの部分につきましては引き続きしっかりと議論を続けていきたい、こういった課題であると考えております。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 この間、私参ったときも御紹介したんですが、資料の二ページ目の一番上に書いてございますが、昭和二十五年に広島の浜井市長という方が長崎の市長とかとアメリカに行かれて帰ってこられて、広島の原爆記念碑の碑文ですが、元々は「安らかに眠って下さい」、下に書いてありますように過ちは繰返させませぬからというふうになる予定であったものを、現在のように「過ちは繰返しませぬから」というふうに変えたと。今になってみると、もし繰返させませぬからと書いていたならば永遠に恨みをほかの人に残すものを、繰返しませぬからということで、これは全人類が同じく反省をして平和を誓うというふうに変えてあるということで、大変今になってみると重い言葉だろうと思いますが、その経緯も当時、三月に広島市長、知事等にもお話ししてまいりましたが、是非そんな精神で進めていただきたいと思います。
 それから、次でございますけれども、連合軍の元捕虜の招聘についてお尋ねをいたします。
 資料の二枚目の方に整理をしてございますけれども、実は外務省は、イギリスからは十五年にわたって八億五千万円近くを投じて九百人以上これまで捕虜の方を招聘しておられる。オランダからも、新しい外務省からの資料によると六百人以上実は招聘がある。それからオーストラリアからは、これやっぱり七十人以上、一億円以上の予算を使っていると。ところが、アメリカからは、始まったのが遅いせいもありまして、この四年間で元捕虜の方が二十四名、未亡人三名で合計二十七名と、一桁少ない状況です。
 前も実は質問いたしましたが、この間、アメリカに行ってまいりまして、日系人の方とかあるいはアメリカのいろんな方ともお会いをしてまいりましたけれども、ほとんどの元捕虜の方々が九十歳以上でございますので、桁がアメリカは違いますから、始まったのが、ですから是非、今年と来年、来年が戦後七十周年でございますので、この二倍とか三倍ぐらいの方をお呼びいただいて、一区切りを付けていただくべきではないかと。
 参考までに申し上げますと、アメリカの捕虜招聘活動が遅れて二〇〇九年から始まったことになっておりますが、これは民主党政権になってからではなくて、私も関係しておりますMRA議連というのの玉澤徳一郎先生とか谷川和穂先生とか、実は自民党政権の概算要求で決めたやつでございますので、そういう超党派でやってきたこともございますので、是非来年に向けて、桁が違いますから、増やしていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の元捕虜の招聘事業につきましては、大変有意義な事業であると認識をしておりますし、是非、今の政府におきましても前向きに取り組んでいきたいと考えております。そして、人数について大幅に増やすべきではないか、こういった御質問をいただきました。具体的な人数等につきましては、被招聘者の希望ですとか、あるいは健康状態ですとか、相手側の意向等をしっかりと確認した上で是非丁寧に進めていきたいと存じます。
 基本的な姿勢として、この事業の意義は強く感じますし、前向きに検討していきたいと考えます。
○藤田幸久君 ありがとうございます。
 では、前向きに検討していただいて詰めを是非やっていただきたいと思いますし、いろんな情報を私どもの方からも提供させていただきたいと思います。
 次に、資料の次のページですけれども、こんな関係で調べてみました。質問主意書を二回ほど出させていただきましたが、実は、戦後六十九年をたった現在、もちろん最近は韓国や中国の裁判所において日本企業の戦時中の労働に対する賃金支払などの訴訟が広がっているわけですが、それとは別に、日本国内で日本の関係者の債務処理の現状について質問をしましたところ、このページにあるような資料が出てまいりました。これ、膨大な実は額でございます。それで、これがかなり休眠しているわけでございます。
 これは、いろんな形で戦後苦労された日本の国民の債務に対する政治の不作為ではないかと思っておりまして、これはやはり、今後、いろんな意味で日本がいろいろな国々との関係を築いていって、来年の戦後七十年であるわけですけれども、こういう実は質問をしましたところ、各省庁ばらばらでございます。
 外務大臣にまとめてお答えいただきたいんですけれども、やはり政府の中にこうしたものを調査検討する機関を設けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の確定債務問題につきましては、外務省として個別の債務の処理状況を把握しているわけではありませんが、未払の債務については、債務の種類に応じて所管の省庁又はその債務を有する機関において債務の履行を行ってきていると承知をしております。
 我が国としましては、戦後七十年を迎えるに当たりまして、今日まで平和国家として歩んできたことを振り返り、そして、こうした基本的な立場はこれからも変わらないということをしっかりと示していかなければなりません。こうした確定債務問題についても精力的に取り組んでいくということを通じて、東アジアの平和と繁栄に一層貢献していきたいとは考えております。
 ただ、現状は、今申し上げましたように、各省庁あるいは関係機関において対応しているということでありますので、やはりこうした全体をどうするかということにつきましては、内閣官房なりがまた対応するべき課題ではないかと存じます。せっかくの機会ですので、委員からのこうした御指摘については内閣官房に伝えたいと存じます。
○藤田幸久君 今日、各省庁呼んだんですが、既に質問主意書出したので、取りあえず外務省が答えるということで答えていただきましたが、実は、実際管理しているのは内務省とか旧郵政省とかが多いわけですけれども。ただ、この影響については、今おっしゃっていただいたように、中国、韓国等で起きていることにつながることでございますので、その重さを踏まえて官邸の方に、これは政府の問題ですからやっていただきたいと思います。
 その関係で、中国と韓国で今いろいろな裁判が起きております。いわゆる戦争中の労役に関する裁判でございますけれども、韓国においては、今年の夏にも最高裁判所で判決が出る予定だと。そうすると、一人当たりかなり、一千万円とかいうような額も言われております。一旦別の主権国で司法判断が出てしまうと、それを変えることは難しいと思いますので、これやはり法廷外で外交努力をするとすると、やっぱり判決の前しかないと思うんです。
 ですから、ただ手をこまねいているだけではなくて、外交努力をする今時期だろうと思いますし、前も申し上げましたが、ドイツの場合に、二〇〇〇年に記憶・和解・未来基金という基金をつくりました。このときは、ドイツもさることながら、アメリカのクリントン政権がかなり後押しをしました。法廷外で外交努力でまとめる方が企業活動にとっていいだろうということからそういう知恵も出たわけですが、私は、そういう意味ではかなり類似性もあるというふうに思っております。
 例えば、現在の経団連の会長、住友化学ですね、次の経団連の会長の東レ、一番大きな海外の工場は韓国だと言われておりますし、そういった観点から、やはり外交努力をするならば判決の前かと思うんですけれども、それについて外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の中国や韓国における動きにつきましては、こうした動きは、日中間あるいは日韓間の戦後処理の枠組みあるいは経済関係に深刻な影響を及ぼしかねない問題だと認識をしております。御指摘の問題につきましては、日本政府として関心を持って注視をしており、また、中国、韓国との間においても様々なレベルで意思疎通を行うなど、対応をしてきているところであります。
 中国、韓国、これ実情は、それぞれ裁判における進み具合等も異なりますし事情も異なりますが、是非、引き続き、詳細は明らかにすることは控えますが、我が国企業などとも連絡をしつつ、こうした請求権に関する我が国の一貫した立場に基づいて適切に対応していきたいと考えております。
○藤田幸久君 是非、外交努力、やるなら今ですから、お願いしたいと思います。
 それでは、本題の国家安全保障戦略、新防衛大綱、新中期防について質問いたします。
 四月四日の本会議において北澤議員に対する安倍総理の答弁、あるいは八日の世耕官房副長官の外交防衛委員会における趣旨説明において、国家安全保障戦略は我が国で初めて策定したと発言されておられます。基本的には、国家安全保障戦略というのは、昭和三十二年、岸総理のときに決定した国防の基本方針で述べているわけですが、今回のように初めてということで国家安全保障戦略を作成したというのであるならば、そもそもの既にあった国防の基本方針はどこに行ってしまったのかについてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(小野寺五典君) 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で国家安全保障のための方策に取り組んでいく必要があります。こうした考えの下、我が国が取るべき国家安全保障上のアプローチを示す国家安全保障の基本方針として、国防の基本方針の内容を包含し、これに代わるものとして国家安全保障戦略を策定いたしました。
 したがって、国防の基本方針の政策文書としての有効性は失われることになりますが、その内容は国家安全保障戦略に発展的に包含されるということになります。
○藤田幸久君 ということは、初めてじゃないですね。
○国務大臣(小野寺五典君) 私が初めてという言葉を使ったかどうかは別として、政府で話をされております国家安全保障戦略、これは言わば戦略としての初めてのことになると思っております。
○藤田幸久君 ということは、三十二年の岸総理には戦略がなかったということでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) その時点では、その時点の内容として国防の基本方針というのがあったのだと認識をしております。
○藤田幸久君 それでは、動的防衛力から統合機動防衛力に変わっていったということについて質問したいと思いますが、小野寺大臣は、大臣に就任された当初は動的防衛力の見直しについて発言をされておりましたが、その後、動的防衛力には自衛隊を機動的に動かすという意味もあるので、人員、装備の維持や効率的な運用ができるのであれば、言葉の表現には余りこだわる必要はないとおっしゃっておられましたが、それで間違いございませんか。
○国務大臣(小野寺五典君) その時点でそのように発言したと承知をしております。
○藤田幸久君 でありますけれども、四月四日の北澤議員の本会議での質問に答えては、動的防衛力の運用水準を高め、活動量を増加するという趣旨を本会議で答弁されておられるわけですが、ということは、動的防衛力と基本的に同じことではないかと思いますけれども、じゃ、動的防衛力のどこに問題があってその統合機動防衛力という新たなコンセプトを掲げることにされたんでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 動的防衛力というのは、従前の基盤的防衛力構想と比較すれば、これは警戒監視等の平素からの活動の常時継続的な実施、各種事態への迅速なシームレスな対応、国際協力への積極的な取組といった運用を重視した防衛力ということで、これは評価できる内容だと私どもも承知をしております。
 ですが、その後、二二大綱以降の様々な安全保障環境、これは尖閣国有化以降、中国、尖閣をめぐる様々な動きもありますし、あるいは、昨年は北朝鮮が初めて日本の具体的な地名を挙げて威嚇的な発言を行うなど、安全保障環境は厳しさを増していると私どもは認識をしております。
 さらに、その後、東日本大震災等が起きまして、災害対応についてもこれは自衛隊に対する役割が大変必要だということで、私どもとしては、この活動量を下支えする防衛力の質と量の確保が必ずしも十分とは言えないという状況になっておりました。
 加えて、今回、新防衛大綱を策定するに当たりまして、従来、能力評価というのを行っておりました。能力評価というのは、従来のやり方は、これは自民党政権下でも同様でありましたが、空対空の場合の能力評価はどうなのか、海対海の場合の能力評価はどうなのか、陸対陸の場合の能力評価はどうなのかという、それぞれ別な形で陸海空が能力評価を行ったことが今までの経緯だったと思っております。
 今回は、東日本大震災のときに統合運用という形で初めて陸海空の統合的な運用ができたということの前提を踏まえて、能力評価を行うに当たりまして、今回は統合した形での能力評価をこれは初めて行うことができました。
 このような経緯を踏まえまして、今回、この全体としての呼び方という形で、統合機動防衛力という形で表に出させていただいたということであります。
○藤田幸久君 私の資料の最後のページをちょっと御覧いただきたいと思います。
 これは、昨日大変話題になりました小保方さんのコピペという言葉がありましたが、これ二つ並べてみると、何かコピペのような気がいたします。
 上の方が、これ、北澤大臣のときの防衛大綱、二十二大綱、下の方が新防衛大綱でございます。要は、この動的防衛力を形容する言葉として、上の方でいきますと、アンダーラインを引いておりますが、「即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性」、それから下の方の統合機動防衛力の形容詞が「即応性、持続性、強靱性及び連接性」と書いてあります。これが直接的な形容詞であります。
 そうしますと、共通しておりますのは、即応性が両方に入っております。持続性も両方に入っております。違った形容詞は、上の例えば柔軟性と下の強靱性。ところが、英語で読んでみますと、フレキシビリティーとレジリエンシーと書いてありまして、これは両方とも弾力性とかいう意味で、共通をしております。それから、上の方の多目的性と下の連接性というものも、これ英語版を読んでみますと、バーサティリティーとコネクティビティー、これも、上の方は融通性とか汎用性、下の方は接続性、結合性。つまり、英語で読みますと同じ形容詞でございます。
 加えて、形容詞以外のところも上と下とを見ておりますと、この二国間・多国間の協力関係、国際平和協力活動、より積極的に、あるいはより実効的に、一番最後のところも、高度な技術力と情報能力、これ、アンダーラインしたところ、これだけ共通がありまして、これはコピペじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 私ども防衛省、今まで累次大綱を作ってまいりました。これは、それぞれ一つのつながった中で、私ども防衛力整備をしてきていると承知をしております。
 その中で、特に二二大綱で示していただきました動的防衛力という考え方は私どもは評価をするところであります。そして、累次お話をさせていただいておりますが、その後、様々な安全保障環境の問題、それから特に大きいのは、初めて能力評価を陸海空を統合運用した形での能力評価で今回大綱を作らせていただきましたので、その統合運用で評価をしたということで今回はこのような名称になったというふうに思っておりますが、私どもとしては、基盤的防衛力から動的防衛力に変わったということは高く評価できる検討ではないかと思っております。
 若干補足をさせていただきますと、新防衛大綱におきましては、統合運用を踏まえた能力評価を実施し、総合的な観点から特に重視すべき機能、能力等を検討したところ、強靱性や連接性に新たに着眼したところであります。
 そして、今お話がありました二二大綱から新たに加えられた強靱性及び連接性の意義につきましては、強靱性とは、各種活動を下支えする防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保するとともに、幅広い後方支援基盤の確立に配意し、訓練演習、運用基盤、人事教育、防衛生産・技術基盤などに関する各種施策も推進し、防衛力の能力発揮のための基盤についても一層強化をすることを重視すること。連接性とは、総合的な防衛体制を構築する観点から、関係府省、地方公共団体、民間部門等との連携を重視するといった関係機関との連携を重視するということであります。
 他方、二二大綱にありました機動性、柔軟性、多様性に関し、まず機動性については、統合機動防衛力の中核概念として、多様な活動を統合運用によりシームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行い得る実効的なものとして防衛力構想そのものの要素として説明をさせていただいております。また、柔軟性とは、様々な事態に対して防衛力を活用し得ることであり、多様性とは、装備が複数の任務に対応し得ることを念頭に置いたものでありますが、これらは防衛力の構築に当たって当然踏まえるべき事項であるものの、今後の安全保障環境においては強靱性などを強調すべきと考え、重点すべき特性についてポイントを絞って記述するということでありますが、御指摘がありましたように、私どもとして二二大綱の考え方というのは評価できるものと承知をしております。
○藤田幸久君 是非、そういう考え方、苦しいあれでしたけれども、生かしていただきたいと思います。
 時間の関係で、ちょっと別の観点から質問したいと思います。
 昨年八月五日の隊友会の機関紙「隊友」に、陸上幕僚長をされた冨澤さんという方がこういうことを書いてあります。
 安保法制懇の四類型の第一類型、これは公海上で並行して航行する米艦の防護について、日本の個別的自衛権でもないことを集団的自衛で可能にするというのは元々無理な相談だと。日本の現法制では、自分が撃たれたときには正当防衛で撃ち返すことができるが、日本の僚艦が撃たれたとき、それに代わって撃ち返すことは、総理大臣の防衛出動が発令される前にはできないことになっていると。だから、この問題は、まず防衛出動発令前の個別的自衛権の在り方を検討した上での話だと知らなければいけないと。これは、四類型のようにできるのでやってもよいというポジティブリストというけれども、集団的自衛権を持ち、その権利を行使することは世界各国共通のものだから、これだけはやってはいけないというネガティブリストで決めてほしいと。そして、こうした軍事に絡む問題提起に当たっては、問題そのものの妥当性を軍事を知る者に相談してほしいと言っておられます。
 これは佐藤さんたちの先輩ですけれども、これについて、防衛大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(小野寺五典君) 御通告がありましたので、私も見させていただきました。
 昨年八月に冨澤元陸幕長が機関紙「隊友」に集団的自衛権に関する自身の見解を掲載しているということであります。詳細については、これは冨澤元陸幕長のお考えということで承知をする内容ではありますが、その上で事実関係について述べさせていただきますと、冨澤陸幕長は平成七年に退官をされております。大変貢献のある方だと承知をしております。
 実は、その後、自衛隊は、平成十一年に能登半島沖不審船事案がございまして、初めて海上警備行動を発令しております。また、安全保障環境の変化を踏まえまして、これまで、平成十三年、これは警護出動、治安出動下令前に行う情報収集の創設、あるいは治安出動、海上警備行動時の武器使用権限の強化、これを改正で行っております。また、平成十七年の改正では、弾道ミサイル等に対する破壊措置の創設を行っています。平成二十五年の改正では、在外邦人等の輸送における輸送手段の追加というように、自衛隊法の一部改正が進む中で、自衛隊の権限等の強化に一つ一つ努めてまいりました。さらに、自衛隊の部隊等が様々な事態において、その時々の情勢や現場の実情に応じて的確な行動を取ることができるように、能登半島不審事案を踏まえ部隊行動基準の整備を進めてきております。
 この十数年におきまして自衛隊の役割というのは拡大し、それに適切に対応できるような体制を努めてきておりますので、私どもとしましては、現在の体制でしっかり対応できると考えております。その中で、更に少し述べさせていただければ、このような時代に部隊運用に携わっていた者といない者では、法制度の在り方に関して世代間のギャップというのは当然あるものだと思っております。
 私どもとしては、今後ともしっかり安全保障環境を整えるための努力を続けていきたいと思っています。
○藤田幸久君 ただ、そういうことだけではなくて、基本的に集団的自衛権と集団安全保障の混同についてのことと、それからやっぱりネガティブリストを作るということが現場にとって重要だというものは、今大臣が答弁されたこととは違った意味で普遍的な意味がある、それを是非考えていただきたいということを申し上げて、ちょっと時間がないので次の質問に移りたいと思います。
 オバマ大統領が来日をされることになっております。それで、今回の大統領の訪日の準備を日本政府側で主に担当しているのは外務省でしょうか、それとも、先ほどは世耕さんいらっしゃいましたけれども、国家安全保障局でしょうか、どなたが主務の大臣でしょうか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) オバマ大統領訪日の準備を担当しているのは外務省でございます。
○藤田幸久君 先週、私、ワシントンに行っておりまして、アメリカの国務省の方とホワイトハウスのNSCの方とお会いをしました。聞きました。答えは、国務省ではなくてNSC、ホワイトハウスがやっておりますと、国務省の方もはっきりおっしゃっておられて。
 ということは、もちろん外交関係ですからいろいろなロジその他は外務省あるいは国務省がやると思うんですけれども、こういう複合的な、しかも政治的な意味があることについてはホワイトハウスがやっているわけです、NSCですね。先ほど来聞いても、NSCが機能していないと。本来は日本もNSCがこれ担当していなければいけない。例えば、これからTPPについて質問しますけれども、これは小泉政務官が答えるわけですね、それで、あることについては小野寺さんと。ですから、窓口のロジ等は外務省がやるにしても、戦略的なこと、継続的なことはやっぱり官邸がやらなければいけないと思うんですけれども。
 そういう体制ができていないことについて、これ外務省だけが一元外交というんじゃなくて、やっぱりこれから有望な外務大臣でございますから、そういう意味でNSCがやっていかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) NSCにつきましては、我が国の外交あるいは安全保障の司令塔として大きな役割を担うものとして昨年十二月スタートをしました。そして、この我が国のNSCの在り方につきましては、各国のNSCの運用の仕方等も参考にしながら、より良いものに絶えず磨き上げていかなければならないと存じます。
 今御指摘の点につきましては、我が国におきましては、オバマ大統領訪日、外務省が担当させていただいておりますが、他の国のありよう等も今後の参考、検討にしていければと思っております。
○藤田幸久君 時間がなくなってまいりました。
 小泉政務官にTPPについてお答えをいただきたいと思います。
 まず、この間の日豪EPAの関税維持決定というのがされておりますけれども、これ質問通告していないんですがお答えになれると思いますけれども。これは衆参の両院で決議がされております、重要品目が除外又は再協議の対象とすることということですね。それから、十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないことという衆参の決議がありますが、この決議に違反しているんじゃないでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 私は、ここの委員会に来る前にも農水委員会の方で御答弁をさせていただきましたが、民主党の篠原委員からも、今回の日豪のEPAに対しては前向きな評価をいただきました。
 今回、日豪で何とかまとまったこの内容を、これから具体的な詰めということになりますが、私は、この決議を十分に踏まえた上で日豪EPAに当たったと思っております。
○藤田幸久君 いや、文面からすると決議違反だろうと思っておりますけれども。
 それから、この日豪EPAで最恵国待遇が入っているということは、TPPが成立をすると、それがなくなってしまうといいますか損なわれてしまうということはないんでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) TPPは、まさにあと二十分ほどすると甘利大臣とフロマンの交渉が終わりますけれども、今は真っ最中でありますので、その交渉の中身、また日豪EPAとの関係等はお答えすべきではないと思いますが、日豪EPAでまとまったもの、そして今まさにTPPでまとめようとしているもの、それはそれとして全力を尽くして、これからオバマ大統領もいらっしゃいますが、それはデッドラインではなく一つの節目として、交渉は前に進めていくために全力を尽くしていきたいと思っています。
○藤田幸久君 今朝の新聞で、アメリカの牛肉関税率を一桁台後半に引き下げるという譲歩案が浮上していると報道がありましたが、これは間違っていますか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 全く知りません。
○藤田幸久君 アメリカで議員の方とお会いしてきましたら、ファストトラックの件もございまして、いわゆる外交交渉でやっている部分はこれは実質権限がなくて、大統領自身が意思を決めなければこれは動かないというのがアメリカの議員たちの言葉でありました。
 としますと、この間のオーストラリアとのやり取りとか、今日その甘利大臣がやっていること以上の、オバマさんの周辺で動かなければTPPは進まないという印象を持ってきましたが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 二月にシンガポール会合がありましたが、その場で甘利大臣から、交渉の閣僚会合において、実務担当者の政治的な指示、そして十分な権限を与えた上で交渉を、実務的に協議を、調整を進めていくようにという、まさに大臣としての政治的な指示を出したところであります。
 そういったことに基づいて、今まさに日米のいわゆる重要五品目、そして自動車についてフロマン代表との交渉に当たっているわけでありますが、最終的な政治的なリーダーシップをどのように発揮して妥結に向かっていくのかというのは、委員の御指摘のとおり、様々な段階というのはあるかもしれませんが、今まさにやっていることが政治的なリーダーシップを発揮しなければいけない交渉だと、そういうふうに認識しております。
○藤田幸久君 その政治的なリーダーシップの発揮の仕方が、このせっかく作った国家安全保障会議、そこで統合するという政治的リーダーシップの発揮の仕方だろうということを申し上げて、時間でございますので、質問を終わります。
 ありがとうございました。