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非核と原発平和利用との両立について質問2014年04月16日

15日に外交防衛委員会で質問しました。

 

  1. 原発の稼働や核廃棄物の処分場建設などについて

    フィンランドのオンカロ核廃棄物最終処分場の視察などを参考にし、日本の原子力行政のあり方について質問しました。フィンランドでは地元住民、地元議会、中央政府、国会、独立した規制機関という立場の異なるステークホールダーが重層的な相互チェックを行う認定プロセスがあります。また、地質、環境、地球科学などの調査、廃棄物の保管方法や事故対応、リスク管理などは海外の専門家や組織などの協力も得て徹底的に調査を行っています。日本でもこうした透明性と客観的合理性の高いプロセスを構築すべきではないか?と赤羽経産副大臣に質問しました。 

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    赤羽副大臣からは、「原子力行政においては、透明性と客観的合理性は非常に重要で、フィンランドのケースも研究している最中です。我が国では3.11の東日本大震災以降、原子力規制委員会を設け、世界で一番厳しい規制基準を設けています。また、国際経験豊かな人材をアドバイザーに迎え入れ、新たな規制などにも意見をいただいています。また、原発再稼働や最終処分についても事業者だけでなく、国が前面に立って地元の住民や関係者に説明に上がる所存です。」と答弁がありました。 

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    私からは省庁間にまたがる行政ではなく、統括的に束ねるプロセスとチェックできる体制を構築してほしいと申し伝えました。

     

  2. 原子力規制委員会の信頼性向上について

    フィンランドの原子力規制機関STUKは、その科学的知見、専門性、独立性などに対する国民の強い支持があります。原子力推進機関の幹部ですら「国民の多くは原子力について十分理解しておらず、感情レベルでの判断しかできない。信頼のおける規制機関が原子力を安全と言い切って初めて国民も信用してくれると思う。」と信頼している。一方、日本の原子力規制委員会は、組織再編を経たとは言え、国民からの信頼を十分獲得できているとは言い難い。原子力規制委員会は、自らの信頼性向上のために何が必要であると考えているのか。また、原発の安全性を確保するため知見や専門性をどのように向上しようと考えているのかを伺いました。

    原子力規制委員会原子力規制庁森本次長から、「規制委員会だけでなく、規制行政そのものがまだ国民からの信頼を回復出来ていません。信頼を高めるためには、科学に頼って、独立性、中立性、透明性を保って、行政の仕組みづくりに励んでいかなければならないと思っています。また、IAEAが各国の法整備や行政のしくみなどについてレビューを行っていますので、その評価制度を受け入れ、国際的な目で評価してもらうようにしています。」と答弁がありました。

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    私からは、再度、専門性について日本の専門性のレベルが低いのではないかという点について質問しました。森本次長からは、「今年の3月より規制委員会傘下の専門家集団ジェイネスを統合し、1000人弱の専門集団を形成しています。また専門家の職員も採用していくことになっています」との答弁がありました。

     

  3. 原子力政策の理解と周知について

    フィンランドのオンカロの地下を案内してくれた事業会社のスンデル社長は徹底した透明性の導入を紹介してくれました。「透明性は最も重要で、見学者に対しても、無理に説得をするのではなく、現場のそのままを見てもらい、その解釈を彼らに委ねています。いずれにしても原子力に反対する人はいますが、それらの人々の意見を謙虚に聴いて、安全について最善を尽くすことが重要である」とおっしゃっていました。そこで、経産副大臣に「日本でも、事業会社だけでなく、行政、推進機関、地方自治体も含めた透明性を徹底するシステムと文化を政府の責任で構築すべきではないか。それこそが国民の支持の最大の武器となるのではないか?」と質問しました。

     赤羽副大臣からは「まだまだ国民の原発政策への正しいご理解が不足していると感じている。教育、啓蒙活動だけでなく、国が積極的に関与して、地域における情報共有を推進していくために努力していきたい」と答弁しました。私からは、その方針が末端の作業員、そして地域住民までしっかりと浸透するように方法論も含めてしっかりと着手してもらいたいと伝えました。

     

  4. 原子力規制委員会への圧力について

    政府や与党からは原子力規制委員会への圧力ともとれる言動が相次いでいます。経済産業大臣の発言や、与党幹部の面会だけでなく、先週11日のエネルギー基本計画の改定も、ある意味で圧力ともとれます。私も今月初めにアメリカでお会いした米国NRCのヤツコ元委員長も、ある雑誌のインタビューに「原子力をベースロード電源と位置付けると、他に解釈の余地がなく、再稼働と感じてしまう」「選択肢があって初めて安全性を重視した判断ができる」と答えています。政府は今回エネルギー基本計画を改定するに当たり、かつての規制基準で建設した現在の原発が、全て新規制基準を満たさず、1つも再稼働できない状況があり得ることを想定しているのか。安全であることを前提に「重要なベースロード電源」とし位置付ければ、原子力規制委員会が全ての原発の再稼働を不可とする余地がなくなってしまうのではないか?と政府の見解を伺いました。

    赤羽経産副大臣は「全く我々はそのように考えていません。今の日本の原発は世界で最も厳しい規制を設けており、全ての基準を満たさなければ原発再稼働はありません。ベースロード電源というのは、昼夜問わず電力を供給できることであり、火力、水力、地熱発電なども含まれています。ベースロード電源と原発再稼働は全く関係がないと考えています。」と答弁されました。

    私は、恐らく基本計画の英語訳が誤解を生んでいる部分もあると指摘し、しっかりと見なおすように伝えました。

    4.15.5

     

  5. 最終処分について

    日本では、使用済核燃料を再処理した上で地層処分を行うという基本方針をとっています。フィンランドでは、「使用済核燃料は再処理をしても高い放射線を出すので結局は最終処分場に隔離しなければならない」との理由から、直接処分が採用されています。フィンランドは、「監視を必要とし、長期的な配慮義務を後世に残し、また、未来の社会がいずれ放棄するかもしれない貯蔵に頼る」よりも、「最終処分という方法をとる方が、未来世代に対する私たちの責任をよりよく果すことができる」という経済協力開発機構(OECD)の「長寿命放射性廃棄物の地層処分の環境的および倫理的基礎」(1995年)」の世代間及び世代内の公平という理念と排出者責任という原則に則った考え方です。このフィンランドの進め方も傾聴すべきではないか。放射性廃棄物における直接処分のメリットと、検討状況について、また直接処分と再処理による地層処分との経済合理性の優位性の比較根拠を示されたいと質問をしました。また、もんじゅに対する公明党の見解を問いました。

    赤羽副大臣から「もちろん次世代に先送りできない国家的な課題と位置づけています。また人的管理によらない最終処分を考えています。直接処分のkw/hのコストは1円で、核燃料サイクルは約1.4円なので、直接処分の方が優位性があります。また、核不拡散という視点で言えば、良いのですが、直接処分であれば高レベル放射性物質が天然ウラ並みになるのを考えますと10万年危険な状態であり、有害物質の減容を考え、漏れを防ぐのをどうするのかなどを考えますと、最終処分に関してはまだまだ結論が出ていない状況です。幅広い見地で検討しなければならないと考えています」と答弁。また、もんじゅに関しても放射性物質の減容のためにも必要な施設だと公明党としても捉えていると答弁されました。

     

  6. 避難計画の策定について

    避難計画の策定は、原子炉の設置や稼働の条件となっていません。一方、米国では、原子力事業者も防災計画の作成の主体として位置付けられているとのことです。また、FEMAが避難計画と対策をしっかり担っています。原子力規制委員会田中委員長も以前に避難計画策定は、原発再稼働に不可欠である旨の発言をしています。実際に再稼働を許可する立場にある原子力規制委員会は、避難計画の策定を再稼働の条件とすることについて、どのように考えるのかを伺いました。

     原子力規制委員会田中次長より、「原子力規制委員会は規制法に基づいて規制基準を策定し、規制基準との適合性を審査しています。再稼働そのものを審査しているわけではありませんので、そのことについてはコメントを差し控えます。 また、避難計画は災害対策基本法に基づいて県や市町村が作成されるので、指針策定などで国がバックアップするということでは関与は可能です」と答弁しました。

      

  7. 国と都道府県の避難計画策定について

    日本の場合、都道府県や市町村が避難計画を策定することとなっています。国は支援を行うにとどまり、策定された計画を審査することもありません。昨年の9月、国は支援を強化するとの決定を行っているが、報道を通して知る限り、避難計画が充実したものになっているのか懸念されます。また、避難計画が実効性あるものなのかどうかを作成者である自治体自らが確認しても十分な信頼は得られません。

    先週11日に国会内で会見した避難計画の策定に懸念を表明する自治体の首長の意見として、「巨大な人口の避難策の見通しがつかず、県の広域避難計画も策定できていない。」「国や県は情報伝達、情報提供のあり方を洗い直す必要がある」「物資供給体制を市町村に丸投げせず検討してほしい」「策定自体非常に難しい」などの意見が相次いだと報道されています。いずれも、東海村から30キロ圏内の人口が100万人の茨城県内の自治体の意見です。

    ここは、国が実質的に審査していく手法を導入するべきではないかと思うと、見解を井上内閣府副大臣に問いました。

     井上副大臣は「避難計画は地域のニーズに従って作成されるものなので、都道府県などの地方自治体が作成するのが望ましい。実効性については、避難訓練などによって検証を重ねていくものなので、国は物心の両面で支えていくのが望ましいと思われます。巨大な人口を抱える都市に関しても、政府としては地域ごとにワーキングチームを設け、策定支援とフォローアップを進めていきます」と答弁。 

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    丸投げ的な発言でしたので、アメリカの場合はしっかりと規制委員会が主導権を握って策定していることを強調し、日本でも国の関与を強めてほしい旨を申し伝えました。

     

  8. 統合的な仕組みづくりについて

    行政面で省庁横断的に原子力行政を統括する統合的、戦略的な体制作りが必要です。昨年11月に私がウィーンの国際原子力機関(IAEA)を訪問した時の担当者とのアポ取りに際して、IAEAの各部局を担当する日本側の組織が、経産省、外務省、文科省、環境省、原子力規制庁、原子力委員会などに分かれているのに愕然としました。アメリカの場合、エネルギー省と原子力規制委員会(NRC)とに集約しています。日本のようにバラバラでは、透明性も合理性も機能しないのいではないか。政府全体として、統合的、戦略的な体制をつくるべきではないか?と質問しました。

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    岸田外務大臣からは、「確かに沢山の省庁にまたがっている問題ではあるが、IAEAとのやり取りに関しては外務省がコーディネートする役割であります」と答弁がありました。私からは「連絡の調整ではなく、原子力政策自体の調整をしっかりと行える機関が必要である」と訴えました。

     

  9. トルコとの条約について

    「トルコにおける地震等に対する安全確保」に関して、トルコの災害緊急事態管理庁や国立地震モニタリングセンターあるいはボアジチ大学カンデリ地震観測研究所などの数値等を基に安全確保ができたと政府は衆議院で答弁していますが、これらの数値等を日本政府は独自に検証したのか?と質問しました。

    岸田外務大臣の答弁は「第一義的にはトルコの安全確保はトルコ政府がしっかりと確保する問題であり、様々な機関が安全確保を行っています。我々の支援としては、原子力安全の協議や、調査の支援を行っています」というものでした。

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     最後に、非核と平和利用、そして福島原発の経験を踏まえ、政府としてやっていかなければならないことをしっかりと推し進めてほしいと申し伝え、質問を終わりました。

 

この質問について、茨城新聞4月16日版「国会通信 茨城選出の議員」でレポートされました。

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