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「公共放送としてのNHKの公正さへの疑問」質問書とその回答2009年06月23日
活動報告
2009年6月23日
「公共放送としてのNHKの公正さへの疑問」質問書とその回答
公共放送としてのNHKの公正さへの疑問(6月10日)
藤田幸久
一 警察・検察の情報操作に乗った報道の危険性
- 足利事件の報道をNHKはどう検証したか?誤報を繰り返さないための改善策は?松本サリン事件での失敗が生かされていなかったのか?
- 「報道被害者への人権」はどのようにして回復するのか?
- 小沢前代表の大久保秘書に関する先走り報道が事実に反する、と明らかになった場合NHKはどう対応するのか?検察庁関係者からの情報が無かったしたら、NHKがもっともらしく事実をでっち上げたことになるのでは?
- BPOは、上記の誤報と報道被害に関して各放送機関にどのような勧告をしたのか?
二 センセーショナルな報道が真実を隠蔽する危険性
- 4月の北朝鮮のロケット打ち上げ
ロケットの軌道に届かない自衛隊のPAC3やイージス艦の配備の効果について検証・報道することもなく、ただ恐怖心を煽った報道に終始した。迎撃ミサイルで打ち落とすのは、極めて確立が低いものであることは専門家なら誰でも判ること。「ある種の誤報」ではないか?NHKが政府に協力したのであれば公正で正確な報道とはいいがたい。放送法違反の疑いがあるのでは? - 新型インフルエンザ報道
政府の尻馬に乗って連日センセーショナルな報道に終始。専門家にきちんと科学的取材をしていればどんな対策が必要か、出来ることと出来ないことの区別を視聴者に示す放送ができたはず。
フランスやドイツでは公共放送が「国内の対策は準備できている」、と国民に冷静な対応を促した。NHKは大臣らが興奮している時はなおさらのこと距離を置いて、専門家の冷静な分析を放送すべきだったのではないか?
例えば、世界中で、大勢の市民がマスク姿、というのはメキシコ以外は日本だけ?世界各国との対応の比較を報道することこそ公共放送として行うべきでは?
三 公共放送としての不偏不党性の崩壊
英国やスペインの公共放送は、政治問題を報じる時は政府・与党の取材だけでなく野党の取材も必ず取り上げる。それが目に見える公正、不偏不党の姿勢。NHKには最近、公正性、不偏不党性に疑念を抱かせる報道が多い。
- 政府の「骨太の方針」や自民党マニフェスト
政府の方針であれば当然、国会で審議されるべきもの。野党各党の反応も取り入れるべき。
「財政健全化」の時期を遅らせて社会福祉などに力を入れるとことは、民主党の主張の一部を政府・自民党が取り入れたから。8日のニュースで自民党が医療や福祉の向上など民主党のマニフェストを殆ど複製するようなマニフェスト作成の動きを伝えている。民主党など野党のマニフェスト関連については一切触れていない。自民党が民主党の政策を取り入れた解説や、背景説明をなぜしないのか?明らかに、政府・与党の宣伝になっているではないか? - 日本郵政の社長人事
問題の本質は日本郵政の税金の使い方。公共放送NHKは、もっと税金、国民の公金の使い方について調査報道をすべきではないのか? - 6月7日「日曜討論」で司会の解説委員は、項目毎に各党の意見を聞いたが、最後に必ず自民党の議員に振って、彼の話で終わるようにした。常に自民党に有利なイメージで各項目が終わっている。このように事あるごとに政府・与党だけを取り上げるニュースが目立つ。
- 横浜港開港150周年記念式典のニュースで天皇皇后が出席と言うのが英国、オランダなどの例を見ても当然。麻生総理が壇上を歩くのを長く映像で見せたのは、麻生総理のイメージアップを狙ったもの。式典は天皇の出席がメインで、横浜市長の挨拶は当然としても、麻生総理をクローズアップする必要はない。
- 5月28日のニュースで解散の時期に関し、自民党各派の動きを報じた。さり気なく自民党PR。欧米先進国では政府与党の一派閥の動きを報道することはありえない。
- 5月24日の「日曜討論」、冒頭の映像つき2点で「小沢前代表の政治資金規正法問題」が焦点との見出し。鳩山代表が誕生して1週間以上経った後にも拘らず。”政治と金”の問題であれば、自民党が真っ先に問われるべき問題ではないか?放送法との観点からも日本社会が直面し、解決に取り組まねばならない諸問題を取り上げるべきではないか?
- 5月19日の昼のニュース。「民主党新体制が正式に発足」したと、5人勢ぞろいの映像つきで伝えたニュースの後、党首討論のニュースに自民党の細田幹事長のインタビューを入れて、岡田幹事長のインタビューを入れていない。民主党新体制正式発足について自民も含めた各党のコメントを紹介し、党首討論のニュースでは改めて両党の幹事長のコメントを紹介する、というのが本来あるべき公正なニュースではないか?
平成21年6月18日
民主党総務部門会議 様
日本放送協会
理事 日向英実
日ごろからNHKニュース・番組をご覧いただき、ありがとうございます。
先日いただいたご質問一、二、三について、順に下記のような形式で回答させていただきます。
一、
NHKは、日々の取材や番組制作にあたっての基本姿勢をまとめ、「新放送ガイドライン」という形で視聴者に公表しています。差の中で、事件報道については、「逮捕段階や裁判中は犯人ときめつけるような報道はしない」として、捜査側から得た情報だけに偏らない報道をするため、できる限り幅広い関係者への取材をするよう努めています西松建設をめぐる事件などについても、こうした姿勢のもと、対応しています。
裁判員制度が施行され、事件の捜査段階の報道が裁判員になる可能性がある視聴者などに過度の予断を与えないためにも、容疑について断定的な表現を避けるなどの注意、配慮を今後も一層徹底させていきたいと考えています。
また報道が事実に反したり、人権侵害が明確になったりした場合は、訂正など適切な方法で、関係者の名誉の回復などに努めています。
二、
NHKは、放送法に基づいて、「国内番組基準」を定めており、公共放送としての権威と品位を保ち、公衆の期待と要望に沿うことを基本原則の一つとしています。
ご指摘があった北朝鮮のミサイル(ロケット)発射については、ミサイル防衛が、国内への物体の落下に備えた万が一のシステムであることや、システムが完全でないという見方があること、それに政府が冷静に対応するよう国民に呼びかけていることなどを伝えており、ご指摘のような放送違反にはあたらないと考えています。
また新型インフルエンザについては、日本国内だけでなく世界各地の状況を併せて伝えるとともに、手洗いやうがいなどの予防の徹底や冷静な対応を求める専門家の指摘も伝えています。
NHKとしては、恐怖心を煽ることのないよう冷静な報道に努める一方、視聴者の高い関心に応えるため、多角的かつ丁寧に情報を伝えるよう心がけており、今後ともこうして方針を貫いていきます。
また、政治的に公平であることや事実をまげずに放送することなど、放送法規定を守るのは当然のことと考えています。
三、
NHKが定める「国内番組基準」では、「全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保する」ことを明記しています。
その上で、NHKは、政治上の諸問題の扱いについて、あくまでも公平・公正、自主自律を貫き、何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えるよう努めています。
また、放送法第3条は、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と規定しており、NHKとしては今後とも、自らの放送の持つ公共性と社会的責任を自覚し、放送の自主自律を堅持していく方針です。
以上、ご回答いたします。
なにとぞ、NHKの報道姿勢をご理解いただきますようお願い申し上げます。
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