ブログ
参議院本会議における藤田幸久の質疑議事録「新テロ対策特別措置法改正案」について2008年10月22日
活動報告
2008年10月22日
参議院本会議における藤田幸久の質疑議事録
新テロ対策特別措置法改正案について
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田幸久君。
〔藤田幸久君登壇、拍手〕
○藤田幸久君 民主党・新緑風会・国民新・日本の藤田幸久でございます。
アメリカのブッシュ大統領の時代が間もなく終わりを告げます。戦いに明け暮れたこの八年間の世界が大きく変わるとの思いから、新テロ対策特別措置法改正案について質問いたします。
本来は麻生新総理を想定した質問も含め、関係大臣からお答えいただきたいと思います。
サンフランシスコ講和条約を締結した吉田茂元総理は、戦争に負けても外交で勝つとの理念で、非軍事国家としての戦後復興と高度成長の道を築かれました。その功績を私は高く評価するものです。しかし、今日のアメリカによる北朝鮮へのテロ支援国家指定解除は日本外交の大きな敗北であり、極めて残念です。日本外交がそでにされたと言われるこのアメリカの決定に対する河村官房長官の所感を伺います。
そして、新しい質問として、中曽根外務大臣に伺います。
今朝の報道によれば、北朝鮮が核施設を無力化する見返りとして受け取る重油支援のうち、日本が拉致問題を理由に支援を延期している分について、オーストラリア等が肩代わりする方向で調整中とのことであります。六か国協議の拡大との観測もございます。これが事実なら、日本外交の大敗北ではありませんか。この報道について、その真偽と、今後の日本外交の対応について中曽根外務大臣にお伺いをいたします。
そして、テロ撲滅作戦の名の下に無実の市民を大量に巻き添えにするブッシュ大統領による戦争への自衛隊のなし崩し的協力も、吉田元総理が描いた平和主義の精神に反する外交的敗北ではありませんか。官房長官の見解を伺います。
イラクでは、米軍が攻撃を開始した二〇〇三年以来、国際保健機関、WHOによれば十五万人、ほかの調査でも数十万人のイラク人が死亡したと伝えられています。また、アフガニスタンでは、米軍に対する爆破テロが二〇〇二年には二十二件であったものが二〇〇七年には二千六百十五件に増えたとアメリカの戦略国際問題研究所が伝えています。今やテロとの戦いというよりも、市民生活の場に外国人兵士が踏み込み、市民の怒りを招く市民との戦いと化しているのではないでしょうか。こうした戦いに加担し続けることがなぜ日本の国益と言えるのか、官房長官の見解を伺います。
ノーベル経済学賞受賞者である、アメリカの経済諮問委員長も務めたジョセフ・スティグリッツ教授は、昨日、国連の金融危機対策部会長に任命されたと報道されています。彼は、「世界を不幸にするアメリカの戦争経済」という本の中で、数千人の死亡に加え、イラクで五万八千人以上のアメリカ兵が重軽傷又は深刻な病を負い、アフガニスタンでは七千三百人の兵士が重軽傷又は深刻な病を負った、十万人の兵士が深刻な精神障害に陥って帰国した、帰還兵の補償金、恩給、障害手当なども含むこの戦争の長年にわたる財政的、経済的コストは約三兆ドルに達し、ほかの国々に課せられるコストは恐らくその二倍になろうと述べています。そして、日本経済への負担を三十兆円以上と計算し、戦争は世界的な原油高やサブプライム問題などへの長期的な損失をもたらしているとしています。アメリカ発の金融危機の拡大を防ぐためにも、ブッシュ大統領による戦争の幕引きを図ることこそアメリカの良き友人としての日本の責務ではないでしょうか。官房長官の見解を伺います。
幕引きが必要な具体的状況がインド洋に存在します。本年二月に再開した海上自衛隊の補給支援活動の実績は、過去三年間の給油量と比較しても明らかに減少しています。政府は各国軍隊からの給油のニーズがあるとの説明を繰り返していますが、大きな疑問を感じます。給油量が減った理由、給油等のニーズについて防衛大臣に伺います。
また、政府が示した海上阻止活動の実績は、特措法の対象である九・一一米国同時多発テロに関連したものなのか。補給を受けた外国の艦船がテロ関連の海上阻止活動に従事しているのか検証するのに必要な艦船の名称も明らかにしていません。
そもそも、現行の特措法の期限を一年としたのは、補給活動の継続の必要性について一年後に改めて国会が判断することになっていました。にもかかわらず、継続の可否を判断するこれらの情報を提供しないのはいかなる理由なのか、官房長官の見解を求めます。
また、海賊対策の法的枠組みづくりが必要と考えますが、政府としては、自衛隊の活動に関する法的整備も含め、その実現に向けてどのような対応をお考えか、官房長官の所感をお伺いします。
また、米国からは、アフガニスタン本土への自衛隊派遣要請や、二百億ドルとも言われる戦費負担要求がなされたと報道されています。現下の厳しい経済情勢に加えて、九・一一テロ以降の在日米軍基地はアフガニスタン戦争とイラク戦争に特化した出撃と後方支援の中核を担っているという実態があります。佐世保基地からの強襲揚陸艦エセックス、横須賀基地からの空母キティーホークやイージス巡洋艦、三沢基地からのF16戦闘機、沖縄からの陸軍のグリーンベレー、海軍のシールズ、海兵隊の第三一MEUなどの特殊部隊も作戦に参加し、クラスター爆弾などの投下も行っています。在日米軍基地なくしてアフガニスタン戦争、イラク戦争なしというのが現実です。
麻生総理は国際社会の一員としての責任を強調しますが、日本は給油活動などとは比べ物にならないほど貢献していると米国に堂々と反論すべきではありませんか。また、在日米軍のこうした実態を国民に情報開示すべきと考えますが、官房長官からお答えをいただきたい。
昨年十一月の参議院本会議において、テロとは犯罪ですか、それとも戦争、つまり武力紛争ですかという私の質問に対し福田総理は、典型的なテロ行為は犯罪であるとした上で、九・一一テロ攻撃は高度の組織性、計画性が見られるなど、武力攻撃に当たると答えました。
テロという犯罪が組織性、計画性を持って行われた以上、だれがどのように犯罪を行ったかの裏付けに基づき戦いを進めるべきと思われますが、官房長官、いかがですか。また、この戦争は一体だれのだれに対する戦いなのか、明確にお答えください。
また、刑法改正に伴い、ミャンマーの長井カメラマンやアフガニスタンのペシャワール会の伊藤和也さんなど、海外で殺害された邦人の事件捜査のために近年は捜査関係者を現地国に派遣しています。九・一一調査委員会の報告が出たのが刑法改正後の二〇〇四年七月であることから、アメリカに捜査関係者を派遣して日本人犠牲者二十四名に対するテロ行為の事実関係を捜査すべきと考えますが、官房長官の見解を伺います。
そもそも、事件後七年も経過していながら、アメリカ司法省はビンラディンを公的に告発する手続を取っていません。また、FBIのホームページは、世界の最重要指名手配者の一人であるビンラディンの容疑として、タンザニアとケニアの米国大使館爆破事件のみを挙げ、九・一一とのかかわりを挙げていません。九・一一直後にアメリカ政府が特定した十九名の実行犯のうち八名が中東諸国で市民として生活している、つまり人違いであったとイギリス国営放送、BBCなどが報道しています。実際、FBIのミューラー長官は、実行犯とされる十九人が実行したという確たる証拠を見付けることができなかったと二〇〇二年に認めています。
テロとの戦いの原点であるこれらの基本的事実を日本政府としても米国政府に確認すべきですが、いかがですか。もし確認ができないならば、不朽の自由作戦に関連する海上阻止活動への協力の根拠に欠けるということであり、いったん補給支援活動などを停止すべきではありませんか。官房長官、いかがですか。
日本政府は、テロとの戦いに参加する正当性の一つとして、日本人二十四名が犠牲になった、テロとの戦いは決して他人事ではなく、日本も当事者なのですと繰り返しています。しかし、日本政府はその二十四名の犠牲者の御家族に対して心の通った対応をほとんどしていません。
事件の一年後の二〇〇二年九月十二日、被害者家族の一行はニューヨークで小泉純一郎元総理と面会しましたが、その一人で一人息子の敦さんを失った白鳥晴弘さんは、小泉元総理に以下のように直訴しました。
日本政府は知りませんよという態度を取っているように思えてならない、補償をしてくれというのではなく、何が起こったのか、どういう状況なのかという情報の集約と公開、そして最低限の通訳やガイドなど、私たち被害者に対応していただきたい。
これに対して歴代総理が白鳥さんたちに何もこたえていないという事実を官房長官はどう認識されますか。また、日本政府として御遺族のこうした訴えにこたえるつもりがあるか、お答えいただきたい。
また、遺族の一人は、外務省に対してアメリカ政府や関係機関と連絡を取って対応してほしい、被害者に対する補償金に対して所得税が課税される、アメリカでは全額控除されている、日本でも控除する対策を講じてほしいとお願いしましたが、補償交渉に対しても何ら支援もアドバイスもないと述べています。実際に、日本政府が被害者の家族を集めて状況を説明する会合は一度も開かれていません。政府からは時折、各家族にアメリカの各官庁や州政府が作成した分厚い英文の文書、保険や補償に関する重要書類などが何の日本語による説明もなく送り付けられております。そして、日本赤十字から限られた渡航費支援があったものの、日本政府からはその後の度々の渡航費や宿泊費などの支援も一切されていないとのことです。御家族のこうした要望に誠実にこたえるのがテロとの戦いの第一歩と考えますが、こうした要望への対応について外務大臣からお答えいただきたい。
二〇〇四年に成立した犯罪被害者等基本法では、海外での犯罪被害者も区別することなくその対象となっており、犯罪被害者給付金制度の充実を求めています。本年四月十五日、犯罪被害者給付金等に関する法律が改定され、交通事故被害者並みの給付となりました。しかし、依然として海外における被害者は対象外になっています。フランスは全世界を対象とし、イギリスでもEU諸国が対象になっています。
アメリカでは九・一一を契機に、国際テロ被害者費用補償制度を設立しました。これにより、国外でテロの被害に遭った米国民は、死亡補償金、医療費、対物損害、葬儀埋葬代、精神面のケアなどの補償が受けられるのです。日本においても早急にこうしたテロ被害者を救済する制度を創設すべきです。政府の決断を求めますが、官房長官、いかがでしょうか。
また、アメリカ航空事故調査委員会は、米国人遺族に対しては事故の内容についての報告義務があると認識しています。四月の外交防衛委員会で木村副大臣は、事故の原因について説明を受けたいという日本人遺族からの要望はないと答弁していますが、私がお会いした家族の皆さんは是非希望したいと言っております。そもそも、そうした仕組みがあるということを御家族に対して紹介するのが日本政府の責任ではないでしょうか。今からでも調査委員会にそうした申入れを行う意思があるのかどうか、外務大臣の見解を伺いたい。
官房長官、本年六月十一日に米国下院で以下の決議案が可決され、司法委員会に付託されたことを御存じですか。第二条、侵略戦争を不正に正当化するため、イラクが安全保障上の脅威であると誤った宣伝を行い、二〇〇一年九月十一日の攻撃を、不正に、組織的に、犯罪的な意図を持って利用したこと。第三条、戦争のための間違った論拠を捏造し、イラクが大量破壊兵器を所有したと米国民と国会議員をミスリードして信じ込ませたこと。第八条、国連憲章を侵して主権国家イラクを侵略したこと。第三十三条、九・一一以前に寄せられた、テロリストが米国の攻撃を計画しているというハイレベル情報の警告を度々無視し、その対応に失敗したこと。第三十五条、二〇〇一年九月十一日の攻撃に関する調査を妨害したこと。
長官、これはブッシュ米国大統領に対する弾劾決議案の条文の一部なのです。民主党のクシニッチ議員の提案によるもので、ロン・ポール元大統領候補など二十四人の共和党議員を含む二百五十一人が賛成し、百五十六人が反対とする百票ほどの大差となりました。任期中に本会議でこの決議が通ることはないようではありますが、アメリカ内部から地殻変動が起きているのです。ブッシュ政権で国務長官を務めたパウエル長官がオバマ大統領候補への支援を決めたこともその流れと思われます。ブッシュ大統領の戦争の政治が終えんを迎えていると思います。また、今後アメリカに対して大きな転換を求める流れが世界中から沸き上がる兆候を感じます。こうした流れに対する官房長官の所感を伺います。
九・一一テロで亡くなった私の高校の後輩、小川卓さんの父親小川繁さんは、テロリストの背後にある民衆のすさまじい怨念を想像してほしい、その怨念をどうしたらなくせるか多くの人々に考えてほしいと述べ、自衛隊のイラク派遣に反対を表明されました。家族の皆さんは、拉致問題では政治家が動いたが、九・一一に関してはだれも全く動いていない、拉致家族は忘れられないが、九・一一被害者家族は無視されているとの強い思いをお持ちです。テロの温床を根絶することこそ、テロの犠牲となった自分たちの肉親が浮かばれると御家族は考えておられます。これらの御家族やアフガニスタンの無実の市民が真に望む政策の実現を強く訴えてまいります。
官僚答弁ではなく、御自分の言葉でお答えいただくことを三人の大臣にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣河村建夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(河村建夫君) 藤田議員の御質問にお答えいたします。
まず、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除についてのお尋ねがありました。
米国は従来より、北朝鮮が検証措置に関し十分な協力を示した場合には、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除するとの立場を明らかにしてまいりました。
我が国といたしましては、六者会合の目標である朝鮮半島の非核化のためには、実効的な検証の具体的枠組みの構築は極めて重要であると考えており、米国が一連の検証措置を北朝鮮に受け入れさせるための手段としてテロ支援国家指定解除を効果的に利用することが肝要と考えてきました。
このような問題意識から、我が国は米国との間で相当緊密に協議を行ってきた経緯があります。米国は、そのような日米間の協議を踏まえながら北朝鮮との協議を行った結果、未申告施設への訪問、サンプル採取などを含む検証措置についての合意が得られたことを受け、現在停滞している六者会合のプロセスを再度動かすことが重要であるとの判断から、北朝鮮のテロ支援国家解除を行ったものと理解をしております。
我が国としては、米朝間の合意を基礎とし、早期に六者間で検証の具体的枠組みに関する文書を採択することが重要と考えており、米国を始めとする関係国と連携し、取り組んでいく考えであります。
次に、米国を始めとする国際社会のテロとの闘いにおける自衛隊による貢献についてお尋ねがありました。
テロとの闘いは国際社会の最重要課題の一つであり、その一翼を担って我が国が行っている補給支援活動は、我が国の国益を懸け、我が国自身のためにしてきた活動であります。インド洋における海上阻止活動は、テロリストや武器及び麻薬の移動の抑止、防止を通じてテロリストの行動の自由に大きな制約を与えるという意味で、テロとの闘いに大きな役割を果たしております。
我が国が行っている補給支援活動は、この海上阻止活動の重要な基盤となっており、テロとの闘いにおける国際的な連帯において重要な役割を果たしてきており、国際的にも高い評価を得ております。
政府としては、我が国が国際社会の中でその国力にふさわしい責任を自覚し、国際的に信頼される国家を目指し、世界平和に貢献する外交を展開してまいります。
イラクやアフガニスタンにおける各国軍隊の活動と日本の国益に関するお尋ねがありました。
アフガニスタンやイラクにおける現在の各国軍隊の活動は、アフガニスタンのISAFのマンデートに関する安保理決議第一八三三号や、イラク多国籍軍のマンデートに関する安保理決議一七九〇号を始めとする累次の安保理決議を踏まえて実施されておるものであります。無論、一般市民の被害を最小限にすべきことは当然であり、米国等各国もこの点を最大限考慮して活動を行っているものと承知をいたしております。
例えば、アフガニスタンにおいては、カルザイ大統領が、米国等がアフガニスタンの領域内に実施している活動に関し、一般市民に被害が及ばないように要請したことを踏まえ、現在、アフガニスタンと関係国との間で被害を回避するための方策について議論が行われていることを承知いたしております。
いずれにせよ、テロとの闘いは依然継続しており、多くの国が尊い犠牲を出しながらもアフガニスタンでのテロ対策への取組を強化している中で、我が国としても、国際社会の一員として引き続きテロとの闘いの一翼を担うために、補給支援活動を継続することが是非とも必要であります。
アメリカの良き友人としての日本の責務についてお尋ねがありました。
アフガニスタン及びイラクの安定と復興のために、米国を始めとする多数の国々が、多くの犠牲や負担を伴う治安・テロ対策と人道復興支援に引き続き全力で取り組んでいます。イラクの治安情勢が改善傾向にある中で、アフガニスタンの安定、復興は道半ばであり、息の長い取組が必要であります。
我が国は、国際社会の責任ある一員として、米国を始めとする国際社会と緊密に協力し、イラク、アフガニスタン両国の努力を粘り強く支援していく所存であります。
次に、インド洋における海上阻止活動の成果と九・一一テロ攻撃の関連についてのお尋ねがありました。
不朽の自由作戦、すなわちOEFの下で行われている活動は、九・一一のテロ攻撃によってもたらされている脅威を除去するための活動であると承知をいたしております。
その上で、インド洋における海上阻止活動がOEFの一環であることについては、本年九月二十二日に採択された国連安保理決議第一八三三号にも、アフガニスタンにおけるテロとの闘いの枠内で実施される海上阻止活動の要素を含むOEF連合と記述されているとおり、関係国の共通の認識があります。政府が示している成果は、このような海上阻止活動の成果として関係国が公表したものであります。
次に、我が国が補給した各国の艦船名の公表についてのお尋ねがありました。
各国は、個々の作戦の円滑な遂行や作戦参加者の安全を確保するとの理由で、作戦の詳細までは原則として公表していないために、我が国としては、当該国が差し支えないと判断した場合を除いて公表しない方針であります。
他方、御指摘の補給相手国艦船名については、今般の国会における関心も高く、衆議院における議論も踏まえて、その公表について現在各国政府へ問い合わせを行っております。その結果を踏まえて適切に対応したいと考えております。
海賊対策についてのお尋ねがありました。
海上交通の安全確保は、我が国の繁栄と発展に不可欠であり、特に海賊への対処は国際社会が一致して対応すべき重要な課題と考えます。
政府としては、総合海洋政策本部の下、関係府省が、自衛隊の活用を含めた海賊対策の在り方について、法制面の整備を含め所要の検討を進めております。
アフガニスタンに対する我が国の支援に関し、在日米軍基地が果たしている役割を踏まえ米国に反論すべきとの御指摘がございました。
アフガニスタン情勢に関し、日米間では常日ごろから緊密な意見交換を行っておりますが、米国は、我が国がどのように支援を行うかについては我が国自身が決定する問題であるとの立場を一貫して取っております。
補給支援活動は、テロとの闘いの一翼を担い、我が国の国益を懸け我が国自身のためにしてきた活動であります。我が国がこの活動から手を引く選択はあり得ません。その上で、アフガニスタンの平和と復興のためにいかなる協力を行うことができるのか、引き続き主体的に検討してまいります。
なお、日米安保条約に基づき我が国に駐留する米軍は、同条約第六条に基づき、あくまでも我が国及び極東の平和と安全の維持という目的達成のために我が国の施設・区域を使用することを認められているものであり、このことをもってアフガニスタンに関する我が国の貢献について米国に反論するような性格のものであるとは考えておりません。
アフガニスタン戦争、イラク戦争に特化した出撃と後方支援の中核を担っている在日米軍の実態を情報公開すべきとの御指摘がありました。
日米安保条約に基づき我が国に駐留する米軍は、同条約の第六条に基づき、あくまでも我が国及び極東の平和と安全の維持という目的のために我が国に駐留しているものであり、在日米軍がアフガニスタンやイラクへの出撃と後方支援の中核を担っているという指摘は当たりません。
テロとの闘いについてお尋ねがありました。
日本政府としては、九・一一同時多発テロ事件以降、様々なレベルで米政府の関係機関に対し、事件関連情報や各政府機関の対応につき照会し、情報交換を行ってまいりました。
我が国は、このように入手した非公開情報や外国政府等が作成した報告書等の公開情報を総合的に勘案して、九・一一テロ事件はタリバンにより支援された国際テロ組織アルカーイダによって実行されたものと判断しております。
テロはいかなる理由をもってしても正当化できず、断固として非難されるべきものであります。また、テロは我が国の平和と繁栄がよって立つところの自由で開かれた社会に対する挑戦であり、国際社会が一致結束して取り組むべき問題であります。我が国としては、テロとの闘いを我が国及び国民の安全確保に直接かかわる問題と認識した上で、国際社会と連携してこれに取り組んでいく考えであります。
次に、米国における同時多発テロ事件の捜査に関するお尋ねがございました。
この事件は、御指摘の国外犯規定に関する平成十五年の刑法改正が行われる前に発生したものであり、当該規定を適用しての捜査を行うことはできないものと承知をいたしております。
九・一一同時多発テロ事件の実行犯についてのお尋ねがありました。
FBIのホームページに掲載された最重要指名手配者としてのビンラーデンの容疑について、九・一一同時多発テロ事件への言及がないことは承知をいたしております。しかしながら、二〇〇二年二月六日、米国連邦捜査局、FBIは、議会証言において九・一一同時多発テロ事件をアルカーイダ及びビンラーデンとリンクさせる証拠は明確であり反証不能である旨述べたと承知をいたしております。
我が国としては、各種情報を総合的に判断して九・一一同時多発テロ事件はアルカーイダにより実行されたものと判断しており、この点につき現時点で改めて米国政府に事実関係をただすことは考えておりません。
いずれにしても、我が国は国際社会によるテロとの闘いの一翼を担い、国際社会の連帯において責任を果たしていくとの決意であります。補給支援活動は我が国の国益を懸け、我が国自身のためにしてきた活動であり、補給支援特措法の延長は是非とも必要であります。
米国同時多発テロ事件の被害者御遺族への対応についてのお尋ねがありました。
政府としても、事件直後から御家族の御意向も踏まえつつ、御遺体の確認、米国政府が支給する補償金の請求手続や補償金の非課税に関する情報提供等、御遺族に対して種々の支援や情報提供を誠実に行ってまいりました。今後とも、御遺族から御要望があれば、可能な限り御遺族の支援に当たってまいりたいと考えております。
日本でも早急に海外でのテロ被害者を救済する制度を創設すべきとの御指摘がございました。
犯罪被害者等基本計画に基づく検討会において、テロ事件の被害者について、一般の犯罪被害者等とは別に特段の救済策を取ることをあらかじめ包括的に定めることは困難であると提言をされております。海外でのテロ被害者については、無差別大量の死傷者が生じた場合等に当該テロ事件を指定した特別措置法を迅速に制定することなどの対応が考えられますが、具体的事案に応じた必要な救済措置が検討されるべきものと考えます。
ブッシュ大統領に対する弾劾決議案に対するお尋ねがありました。
本年六月十一日、米下院会議においてブッシュ大統領を弾劾する決議案を下院司法委員会に付託する動議が可決されたことは承知しておりますが、同決議案が下院で可決された事実はありません。
今後の米国外交、アメリカ外交に対するお尋ねがありました。
イラク及びアフガニスタンについては、米国大統領選挙において活発な議論が行われていると承知をしております。これら両国に対しては、米国を始めとする多数の国々が多くの犠牲や負担を伴う治安・テロ対策と人道復興支援に引き続き全力で取り組んでいます。特に、アフガニスタンにおけるテロとの闘いは正念場にあり、多くの国が尊い犠牲を出しながらもテロ対策への取組を強化していると承知をしております。
我が国は、国際社会の責任ある一員として、米国を始めとする国際社会と密接に協力し、イラク、アフガニスタン両国の努力を粘り強く支援していく考えであります。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根弘文君) 米国の同時多発テロ事件の被害者の御遺族への対応についてのお尋ねがございました。
政府といたしましては、事件直後から米国政府が支給いたします補償金の請求手続や補償金の非課税化に関する情報提供等、御遺族に対して種々の支援や情報提供等、御要望を踏まえた支援を行ってまいりました。今後とも可能な限り御遺族の支援に当たってまいりたいと考えております。
次に、米国国家運輸安全委員会への申入れに関するお尋ねでございますが、米国同時多発テロ事件に伴うハイジャック事件につきましては、同委員会が説明を行うべき事故に含まれるか否か必ずしも明確ではございません。これまでも御遺族に対しまして様々な情報の提供を行ってきておりますが、今後具体的な御要望があれば、政府として何ができるか検討したいと考えております。
次に、六者会合での経済・エネルギー支援についてのお尋ねでございますが、これは質問通告のない突然のお尋ねでございました。
そのような報道がありましたことは承知をしておりますが、我が国といたしましては、拉致問題を含む日朝関係で進展があれば、経済・エネルギー支援に参加する用意があるとの立場に変わりはございません。他方、御指摘の点につきましては承知をしておりません。また、何ら決定もされておりません。
いずれにいたしましても、経済・エネルギー支援につきましては、引き続き六者会合の枠組みの中で議論されることになっております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕
○国務大臣(浜田靖一君) 藤田議員にお答えいたします。
給油量が減少した理由、給油等のニーズについてお尋ねがありました。
自衛隊による補給支援活動にかかわる給油量が旧テロ対策特措法の下で活動を開始した当初と比較して減少している理由は、補給対象となる艦船が中小規模のものとなっていることなどによるものでございます。
他方、海上自衛隊の補給支援活動は、インド洋におけるテロリストや武器、麻薬等の海上移動を阻止、抑止する海上阻止活動の重要な基盤として定着し、各国から高い評価を得ております。海上自衛隊による高い技術と能力を通じた給油活動は、海上阻止活動の作戦効率の向上に大きく寄与するものとして、引き続き各国からのニーズがあるものと認識をしているところでございます。(拍手)
- アーカイブ
-