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IC国際フォーラム報告2022年11月15日

11月3日第44回IC国際フォーラムが国連大学で開催されました。セルギー・コルソンスキー駐日大使に基調講演を頂きました。  私は国際IC日本協会会長として挨拶させて頂きました。先ず「『心の開国』 ウクライナを通して見る日本 ~まず、知ること。そして、考える」というテーマの説明をしました。これは、国際IC日本協会の相馬雪香元会長が1979年に「難民を助ける会」(AAR)という日本初の難民支援NGOを創設の際の、難民支援を通じて「日本人の心の開国を目指す」という理念からです。  次に、ノルウェーの国際ICの指導者、イエンツ・ウィルヘルムセンさんから頂いた以下のメールをご紹介しました。 「ノルウェーとロシアが有事となれば、私のひ孫の6人が徴兵されます。欧州は2度の世界大戦を起こしました。3度目を起こしては決してなりません。最近ノルウェーのストーレ首相に手紙を送り、戦争当事者間の交渉の実現に全力を尽くすよう要請した。しかしプーチン大統領が悪意を持っているので難しいが」と。  このイエンツさんは、国際ICの前身の国際MRAで、第二次世界大戦後のドイツとフランスとの和解や日本とアジア諸国との和解の橋渡しを担った一人です。 しかし、ウクライナとロシアは戦争の真っただ中にあり、和解以前の停戦交渉に持ち込み、犠牲者を増やさないことが第一歩と思われます  コルソンスキー駐日大使は、「日本人と世界が、ウクライナから学ぶこと」 いうテーマで講演しました。以下が主なポイントです。(詳細は改めて報告します。)  「ウクライナはソ連が崩壊した後、平和な、武器のいらない国として、また敵対する国がない国として、経済成長と国民の生活水準の向上に焦点を当てて30年間発展してきた。国境を接する周辺諸国に脅威やリスクは見当たらないと考え、軍隊を急速に削減し、核兵器を放棄した。しかし、領土保全が守られないまま、2014年から紛争が始まった。国内には、汚職とかオリガルヒ(新興財閥)の問題も存在した。 (ロシアが侵攻を開始してからの被害の詳しい状況を写真などを使って詳しく説明)  この8年間の教訓としては、自分の国を守る、という意識を国民が持つことが必要である、ということだ。  日本の皆さんからの様々な支援に感謝したい。」 ロシアの専門家の袴田茂樹青山学院大名誉教授から「2014年のロシアによるクリミア侵攻に際し、ウクライナ軍は全く抵抗せず、ロシアによる併合を許したが、その判断は正しかったのか」との質問に対し、当時のウクライナ政府にはロシアに近い人々が多く存在していた。個人的な見解だが、ウクライナ軍が抵抗すれば、ロシアは侵攻を諦めたと思う」と答えました。  また小学生や、中学生からの素朴な質問にも丁寧に答えて頂きました。  大使の講演に先立ち、国際IC推進議員連盟中曽根弘文会長(元外務大臣)が挨拶し、日本ポーランド友好議員連盟、日本リトアニア友好議員連盟会長としてウクライナ避難民の受け入れを行っている両国への様々な支援活動を行っていることを紹介されました。  また難民を助ける会(AAR)の穂積武寛さんから、AARのウクライナとモルドバ、そして日本国内における避難民の支援活動について報告を頂きました。  午後の部では、首都キーウに残って支援活動を行っている国際ICの女性活動家や、日本ウクライナ友好協会(KRAIANY)の女性などによる4回の講演会の報告がありました。  また、参加者による体験報告やグループ対話が行われました。そして、小中学生も含む和やかな一日が、橋本徹名誉顧問(元みずほ銀行頭取)の挨拶で閉会しました。                 私たちは、様々な問題に傍観者でいるわけにはいかないと思います。独裁や、市民に対する抑圧や汚職などに対抗できる強靭な民主主義とそれを支える道義的基盤を私達自身が築いていくことが必要ではないでしょうか?それには、いわゆる西側の民主主義諸国で拡大している分断や格差を抑えることも重要です。日本もその一つであり、日本人の生き方も問われていると思われます。  「心の開国」とは、他の人々が抱える問題を自分自身の問題として知り、考え、行動することだと思います。  司会を務めた佐々木淳さんを初め、この素晴らしいフォーラムの実現に協力して下さった多くの関係者の皆さんに心からお礼を申し上げます。  (写真 弓場睦)