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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2009年03月24日
活動報告
2009年03月24日
参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録
○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
今日は、外務大臣、防衛大臣、それから官房副長官もおいでいただきましたが、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、北朝鮮のミサイル問題でございますが、人工衛星の打ち上げと称して四月の四日から八日まで弾道ミサイル発射実験に備えていると。これに対して防衛省は、弾道ミサイル等破壊措置、ミサイル防衛システムの命令を今月中に発令すると報道をされております。
この命令には、八十二条の二で、いわゆる日本に飛んでくる可能性の高いもので閣議決定を必要とする一項の命令と、日本に飛んでくる可能性は定かでないけれども防衛大臣が決定をする三項の命令があるということで、大臣はどちらの命令を考えているのかというのが昨日の質問通告でございましたが、今朝の報道によると、三項の命令で決めると。非公表で命令をする、そして命令を発動した後、記者会見で報告をするというような報道もありますが、これでよろしいんでしょうか、浜田大臣。
○国務大臣(浜田靖一君) 先生、その件に関しましては、その内容についてはもう先生の方が御存じでございますので、私の方からは説明は省かせていただきますが、基本的に我々とすれば、政府部内でまだ議論、いろんな各省庁において考えをまとめておるところでございまして、まだ現時点においてそのどちらというふうなことを決定してはおらないところでございます。
いずれにいたしましても、我々としては、適切に判断することが極めて重要でありますので、この問題につきましては万全の体制で臨んでいきたいというふうに思っているところであります。
○藤田幸久君 それではお伺いしますが、つまり、日本に飛んでくる可能性ありやなしかということと、この一項の命令か三項の命令かというのは関係しているのか。つまり、日本に飛んでくる可能性というものが断定できない場合には防衛大臣の決定とせざるを得ないという関係はありますね。
○国務大臣(浜田靖一君) それは、基本的に飛んでくるおそれがあるかないかというのが問題でありますので、その意味においては今後、それも含め、人工衛星ということを北朝鮮は主張しておるわけでございますので、我々とすればその辺も含めて今後政府部内でしっかりと議論していきたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 政府内で議論、議論とおっしゃっておりますところ、今朝のやはり報道で政府筋という方が、突然撃ってきたら当たるわけがないと。発射から七、八分で日本に到達すると。浜田大臣から麻生首相に報告したときにはもう終わっている、だから間に合わないと。あらかじめ迎撃の準備をしているだろうという政府筋の報道がありますが、これは御存じでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) 報道では承知をしております。
○藤田幸久君 政府筋の方がこういうことをおっしゃっているということについて、主管の大臣である浜田さんとすれば、この内容についてこれは当を得ていると思うんでしょうか、それとも外れていると思うんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) そういう意味では、余り内容を把握されていないかなという気がいたします。
○藤田幸久君 であるならば、大臣として、この政府筋の方がこういう形で出ているということに対して訂正を求めるべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) その政府筋というのが、私とすれば今現時点でどなたかということは分かりませんが、基本的にもう一度その八十二条の二項をきちっと、理解するように努力をしていきたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 三項じゃないんですかね、今二項とおっしゃったけれども。
○国務大臣(浜田靖一君) 済みません、間違えました。八十二条の二であります。ですから、二の中の一項と三項ですから、私とすると、その法律部分を読んでいただければ分かるように、これは当然、対処するにはこの法律をしていざというときに、そのための法律をここに作ってあるわけですから、そこをもう一回読んでいただければと思います。
○藤田幸久君 一つ飛ばしまして、それで、今防衛省の体制として、弾道ミサイル防衛のウエポンシステムの配備状況で、イージス艦二隻、ペトリオットPAC3が首都圏に四個隊、静岡に四個隊、岐阜に一個隊と報道されておりますが、間違いございませんか。
○国務大臣(浜田靖一君) 我が国の整備を進めている弾道ミサイル防衛システムの現在の配置状況は、今先生がおっしゃったように、イージス艦が二隻に対して弾道ミサイル対処機能を付加するとともに、ペトリオットPAC3については、おっしゃるように計九個高射隊の配備が完了しているところであります。
○藤田幸久君 北朝鮮から飛んでくる可能性に関しては、このPAC3を東北地方に移動させる考えはあるかというのが昨日の質問通告でございましたが、これまた今朝の報道で秋田と岩手に配備をするという報道がありますが、岩手と秋田で対応できるんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) そのことも含め、今我々とすれば検討の最中でありまして、まだそれを決定しているわけではございません。
○藤田幸久君 じゃ、この報道についてはかなり可能性が高いと。したがって、訂正を求める必要はないということでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) 報道については、私どもあることは承知しておりますけれども、我々とすればあらゆる可能性を含めて対応していきたいというふうに考えておるところでありますので、その報道いかんに問わず、我々のなすべきことをしっかりやりたいというふうに思っているところであります。
○藤田幸久君 かなり可能性の高い報道というふうに認識をいたしました。
大臣は、先週金曜日に北京を訪問され、中国の国防大臣ほかと会談をしたということでございますが、北朝鮮のミサイル発射問題について中国の国防大臣は、撃たないなら一番いいし、日本などが冷静な態度を取った方がいいと自制を求めたと報道されておりますが、実際に直接お話しになったニュアンスをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(浜田靖一君) これは、今報道にあったことは、これはもう私とすれば、実際に梁国防相とお話をしたわけでありますけれども、北朝鮮がまず発射をしないことが一番いいということはおっしゃいました。それがもう要するに彼らの言わんとするところで、ただ、我々の方も、日本も、そこは日本の認識もよく分かるけれども、各関係国がやっぱり冷静に対処すべきだということを併せておっしゃっておりましたので、そういう意味では、とにかく北朝鮮が発射するということに対しての問題意識はしっかりと持っていて、それが、北朝鮮が自制してそれを撃たないというのが一番いいということをおっしゃったというふうに私自身は思っているところであります。
○藤田幸久君 この報道だけですと、それから今のお話でも、先方の国防大臣は浜田大臣にそういうことをおっしゃったということは伝わっているわけですが、私は逆で、浜田大臣の方から中国の防衛大臣に対して、北朝鮮に働きかけをして発射しないように自制を求めるべきであったと思うんですけれども、そういう発言は浜田大臣の方から中国の大臣に対してはおっしゃっていないんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) 当然私の方からもそのお話はさせていただきましたが、とにかく梁部長の要するに考え方とすれば、私の言ったことを含めて認識をして関係各国が冷静に対処すべきだということをおっしゃっているわけでありまして、その点については私の方からも、その前にお会いした呉委員長とも我々の立場をしっかりとお話をしているところであります。
○藤田幸久君 確認ですが、浜田大臣の方から中国の防衛大臣ほかに対して北朝鮮に対する自制を求める働きかけをおっしゃったわけですね。
○国務大臣(浜田靖一君) 今お話ししましたように、呉邦国・人代の常任委員長にお話をしたときに、そのときにも国防部長もそこに同席をされていましたので、その点は私の方から申し上げたところであります。
○藤田幸久君 つまり、国防大臣と一対一のときには自制を求めていないということですね。つまり、呉邦国、大臣同席したときはおっしゃったけれども、一対一のときにはこちらから自制を求めることを先方の国防大臣にはおっしゃっていないということですね。
○国務大臣(浜田靖一君) いや、それは、私の方から申し上げたのは、我々とすればそれに対して懸念を持っているということは申し上げた上で、それに対する問いに対してお答えをしたということでありますので、当然のごとく、我々の立場を承知した上で国防部長がお話しになったというふうに思っております。
○藤田幸久君 つまり、懸念は表明したけれども自制は求めていないというふうに理解をいたしまして。
次に、これまた今朝の報道によりますと、中国の関係者が北朝鮮ミサイルの発射中止はあり得ないというふうにおっしゃっているという報道がありますけれども、これは発射中止はあり得ないとかなり強いことでおっしゃっている。ということは、中国側は、つまり、せっかく防衛大臣行ったにもかかわらず、もうこれは止められないとあきらめ切っているというようなニュアンスですけれども、やはり先週かなり努力をされたけれどもなかなか止めることは難しいという感触を持ってお帰りになったんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) それは、我々の立場は申し上げて、そしてまたそれを理解をしていただいていることは事実でありますので、その後のことに関しては、私の方としては感触だけで今ここでお答えすることではないと思いますので、更に我々とすればそれを求めていきたいというふうに思っているところであります。
○藤田幸久君 更に求めているというよりも、直接先週直談判したけれども、その後にこういった形で強い報道が出て、まあ報道が全部正しいとは思いませんけれども、もっと強く働きかけを更にしていただきたいというふうに思います。
次に、拉致問題について移りたいと思いますが、先週の十六日に参議院の北朝鮮拉致問題等に関する特別委員会で新潟県の佐渡市を視察してまいりました。委員会として曽我ひとみさんにお会いをいたしましたが、いわゆる家族の方とお会いしたことはあるそうですけれども、被害者の方とこういう形で委員会でお会いしたのは初めてだということでございましたが、六年間という帰国から歳月がたち、その家族の方々の状況も私どもも聴取をした状況でございますけれども、この方々の最近の状況について政府の方でどういうふうに把握をされておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
○大臣政務官(並木正芳君) 先生のお話のとおり、平成十四年の十月に拉致被害者が、地村さん夫妻、また蓮池さん夫妻、そして曽我ひとみさんですね、帰国されて既に六年がたったわけですけれども、この間、政府としましては、拉致被害者等支援法に沿って、地元の関係自治体とも連携協力して、帰国の被害者及びその家族に対して鋭意支援を実施してきたところであります。
その効果というのも考えられるかと思いますが、帰国被害者の御努力によって、現在、地元の自治体や大学へ就職され、また御家族も大学や専門学校で勉学に励んでおられる、こういうふうに着実に自立の道を歩んでいられると。しかし、また同時に、先生もお聴き取りなられたように、将来への不安というのも大きいというふうに承知しております。そうした面でこれから更に配慮をする必要もあるかと、そういうふうに承知しております。
○藤田幸久君 おっしゃるとおり、この間、佐渡市長さんもずっと同行していただきましたけれども、非常に細やかなケアをしておられるということを伺って、意を強くした次第でございます。
帰国被害者の具体的な支援として、支援法による給付金の支援がございます。曽我さん、地村さん、蓮池さんとその家族が二〇〇五年の三月に日本に永住をすることを宣言をされた。それ以来、毎月この支援金の支給を受けているわけですけれども、ちょうど来年の三月にこの五年間の期限が終わってしまうと。ジェンキンスさんは六十八歳だと。この方は日本人と違って年金も受け取れない。それから、曽我さんとお話を伺いましたら、大変お嬢さんたち二人の将来も心配されておられました。それから、当然のことながら、二十四年間日本にいらっしゃらなかったということもございますので、お父さんも亡くなられました。したがって、家族としての蓄えもないと。したがって、来年期限が切れてしまうというのは大変不安があるということでございますけれども、この支援法の五年というのは期限が短いんではないか。それで、是非延長を検討してほしいと思うんですけれども、その辺について政府はどうお考えでしょうか。
○大臣政務官(並木正芳君) 政府としましては、先ほども申し上げましたように、関係地方自治体と連携協力しながら、拉致被害者等支援法と、同法に先立って取りまとめられました政府の総合的な支援策と、こういう二つの支援枠組みの下で拉致被害者等給付金の支給や自立・社会適応促進施策を実施しているところであります。
今お話しのとおり、永住の意思決定後、平成十七年四月ということになりますけれども、五年を限度としてその給付金の方は支給しているわけでありまして、平成の二十二年三月が期限となっております。そうしたところで、今お話しのとおり、五年というのが短いのじゃないかというふうなことがありましたけれども、先生ももう重々御承知のとおり、拉致被害者等支援法制定時には適度な年数を設定して被害者等の自立支援と、そういう自立実現という一つの目途とすることがむしろ望まれているということを総合的に考慮して決めたものだと、そういうふうに承知しております。
そうしたところでありますけれども、二十二年四月以降の問題になりますが、先ほどのように、給付金だけじゃなくて支援は必要な支援というのを行っていくわけでございますけれども、この自立の状況というのもそれぞれに違っておりますので、そうしたものを御本人、御家族の要望等や御意見を伺いながら、必要な見直しを含め適切に対応してまいりたいと、このように思っております。
○藤田幸久君 必要な点を勘案して、見直しも含めてというお言葉、是非更に進めていただきたいと思います。
それから、給付金の運用上の問題についてお伺いしたいんですが、恒常的な所得が年額五百八十万円を超える場合、その五百八十万円を超えた分の二分の一に相当する額を給付金から減額することになっていると。もちろん、自立をという認識もあるんだろうと思いますが、ただ、元々支給を受けてきた給付金が減額をされるというのは、余りにも過酷な運命をたどってこられた拉致被害者に対して、これは非常に酷なことではないかという印象を持ちました。
曽我さん親子の自宅のちょっと手前で拉致されて、川に連れていかれて小舟で、しかも政府も認定しておられるように、女性の工作員が先導をして、まさに日常の生活のすぐ近くで、曽我さんおっしゃっていましたけれども、自分がお母さんを買物に誘わなければお母さんと別れる必要はなかったんだと、いまだに八月十二日が来ると自分は自責の念に駆られますというふうなこともおっしゃっておられます。
してみると、この減額も含めて大変酷ではないかと思いますが、政務官もお感じていらっしゃると思いますけれども、改めて政府の見解をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(並木正芳君) 支援法の目的というのは、今申し上げたとおり自立を促すということなんですけれども、減らすということは、五百八十万円という収入、これは大体今の平均的な年金被保険者とかそういう収入を勘案してのことですけれども、更にそれをプラスして今給付金がいただくということになると九百何十万、一千万近い額になっているわけです。それに対して、この五百八十万より増えれば、その増えた分のところの半分でございますので、その九百何十万から収入としては半分ずつはどんどん増えていくということで、一千万を超えるような収入になる、例えばですけれども可能性が多いと。そういうことからしますと、自立というふうな面からは一つの目的は達しているんじゃないか。
さらに、補償とかそういう問題になるとまた違うとは思いますけれども、そういった考えからすれば、ほかの支援ももちろんあるわけですから、収入としてはある程度の目的を達したという考え方ですけれども、さらに、先ほども申し上げましたとおり、今後生活基盤の更なる充実に向けた取組に向かって支援に遺漏がなきようにしていきたいというふうに考えております。
○藤田幸久君 自立という場合に、生まれてから日本で大人まで教育を受けて育った人の基礎的な要素がそろった上での自立と、いわゆるジャンプ台の部分がない人が自立をする場合の条件が違うんだろうと思います。その部分を、かつ一千万云々の話がありましたが、来年までのあと一年の話でございます。その後、年金のないジェンキンスさん、それからジャンピングボードとしての社会的な経験のないお嬢さん方お二人ということも是非勘案をして、今の点も是非前向きに検討していただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたい。もし、コメントあれば一言。
○大臣政務官(並木正芳君) 年金等については、御存じのとおり政府が代わって、今まで納めることができなかったわけですから、それは納めていくということなんですけれども、ジェンキンスさんの場合いろいろまた違った境遇というのもあります。だから、そういうものも更に検討する必要はあろうかと思います。
○藤田幸久君 ありがとうございました。
次に、捕虜問題について移りたいと思いますが、中曽根大臣、先日も予算委員会で麻生総理に質問したんですが、二〇〇六年に麻生外務大臣の在任中に、実は旧麻生鉱業で捕虜として使役をされていたという方がオーストラリアに現存されておられて、オーストラリアの国営放送、ABCとか全国紙で報道されていたと。そういう報道があったということをオーストラリアの在外公館から外務省には報告をしたと。ところが、麻生当時の外務大臣自身が自分は全然そんなこと聞いていないという報告をこの間予算委員会でおっしゃっていましたけれども、ということは外務省には届いたけれども、どこかで止まって、当事者である外務大臣に報告が行っていなかったということですけれども、だれのところで止まって、かつ、外務大臣の名誉にもかかわる重要な案件が大臣そのものに到達しなかったというのはなぜかということについてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 海外における報道につきましては、外務省には、もう委員も御承知のとおり、毎日山ほどの報告が在外公館から寄せられているわけでありまして、そのうち重要な報道につきましては、随時外務大臣に報告をされているわけでありますが、御指摘の報道につきましては、麻生外務大臣、当時でございますが、大臣に報告されるべきものと認識をされていなかったと、そういうことでございます。
○藤田幸久君 外務大臣自身のお父さんがおやりになっていた会社で、数人じゃなくて三百人もの捕虜の方がいたということが、実際に生きておられて、そしてNHKのような公共放送機関でインタビューを受けていろいろ訴えられていたということを、当事者であり、麻生大臣にとっては極めて名誉にかかわる重大なことを、それを報告すべき案件であると判断されなかったとはどういうことなんですか。だれが判断したんですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今申し上げましたけれども、一つは、恐縮でございますが、情報の伝達について、外務省の中での、それについてお答えすることは差し控えたいと思いますが、当時のその担当ですか、受け取ったところが大臣に報告されるべきものではないと、そういう判断をされたという、過去のことでありますが、その結果そういうことになったということでございます。
○藤田幸久君 その結果、外務省は、翌年だったと思いますけれども、この年の秋かな、ニューヨークの総領事館のホームページに、つまりニューヨーク・タイムズが言っていることはけしからぬと、間違っているという掲載までして、昨年実は、いや、それが正しかったと、三百人捕虜がいたということに分かった途端に削除しているわけですね。これ、国としても、外務省としても、麻生大臣としても、大変なこれ名誉を傷つける、そして信頼を失うことをやってしまったという判断をこの方も非常にかかわったということですよね、外務省として。これ、その程度で放置していていいんですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) だれが担当してどうだったかという詳しいことを私は存じませんけれども、今委員がおっしゃいましたことにつきましては、委員のお話のとおり、ホームページで訂正のということでありましたけれども、外務省の調査が十分でなかったということで、そのことにつきましては、当時の対応について私からも遺憾であったということは表明させていただいているところでございますが、麻生総理の個人の名誉にもかかわるというお話でございますが、確かに麻生鉱業ですから麻生総理の御関係した会社でありますが、多分ですよ、多分担当者からすれば、総理御自身が今経営していることでもないというようなことから判断されたのではないかと私は推測いたします。
○藤田幸久君 しっかり検証していただきたい。これは御自身が今経営しておられないということではなくて、実際に御自身が社長のときに厚い本を書いてそれに触れていないというようなこともあるわけですから、私は、その当時のことを麻生今の総理に旧悪を逆なでて問うことは一切しておりませんけれども、ただ国の信頼の問題でございますので、しっかり検証していただきたいと思います。
それで、次の質問に移りますが、実は昨年、厚生労働省の資料が出てきて初めて、麻生総理自身もこの三百人の捕虜がいたということをお認めになったわけですが、実はその厚生労働省の資料以外にも、この防衛研究所の図書館にもたくさん資料が存在しております。要するに、防衛研究所の図書館は旧日本軍の資料を全部引き継いで、全部でないかもしれませんけれども、あるんですね。
ということは、これ、それから一般の書物、文書等もありますけれども、結局、政府全体としてこの捕虜問題に対する担当の部署も決まっていない。外務省の中でも、これ質問主意書で出てきましたけれども、担当の恒常的な主管の部署がないと。したがって、結局情報の引継ぎ、共有ができていないのでこういう間違いを犯してしまうんだろうと思うんですけれども。
実はこれに関して、小泉内閣の当時の福田官房長官及び細田官房長官が、こういう戦後処理問題を官邸で対応するというふうに言明しておりますけれども、具体的にどういう形で官邸が総合的に対応するという仕組みができたのかということについて、官房副長官の方からお答えいただきたいと思います。
○内閣官房副長官(松本純君) 政府といたしましては、これまでの取組を踏まえまして、次の対応をすることとしております。
戦後処理問題は、内容が非常に複雑多岐にわたり、種々の経緯があることにかんがみまして、政府として統一的な対応を行う必要があるため、内閣官房が総合的な政策調整を行うこととしております。また、対外関係事務の側面を有する戦後処理問題は多岐にわたるところでありまして、その窓口業務については外務省が一義的に行うこととしております。
なお、個々の戦後処理問題につきましては、これまでどおり関係府省が各々の所掌に従って処理を行っていくことといたしますが、所掌が明らかではない事案が出てきた場合には内閣官房がこれを明らかにするなど、内閣官房の総合調整の下、関係府省間で連携を密にして適切に対応をしてまいりたいと存じます。
○藤田幸久君 今の引用は、二〇〇五年の内閣委員会の福田官房長官の答弁書と全く同じです。それから、その後の細田官房長官の答弁書と全く同じです。
ということは、二〇〇五年に当時の福田官房長官がおっしゃっていながら、今申し上げて、あるいは先日来申し上げているように、二〇〇六年にこんなことやっちゃっているわけですよね。ということは、官邸としてのこういう調整機能が機能していなかった。つまり、官邸が調整をしていたならば厚生労働省の資料も発見できたはずだし、防衛研究所の図書館にも資料があることを官邸として把握できたはずじゃないですか。つまり、去年の段階で厚生労働省から出てくるまで知りませんでしたというのでは、この二〇〇五年のその当時の福田官房長官のこの答弁どおりのことができていないということになるんじゃないんでしょうか。
松本官房副長官、いかがでしょうか。いや、要するに、二〇〇五年に官房長官としては答弁をしながら、実際にそういう機能をしなかったから去年こういうことが出てきたということになるんじゃないですか。いかがでしょうか。
○内閣官房副長官(松本純君) 今、個々の戦後処理問題についての取組でありますが、これは関係府省が各々の所掌に従って処理を行っていくというこの基本で動いておりまして、この多岐にわたる諸問題の対応につきまして、その事項に応じて、政府において担当するそれぞれの責任を持つ部局が担当するということでの動きでこれまでどおり進めさせていただいているところでございます。
○藤田幸久君 つまり、個々にやって失敗した例じゃないですか。去年から、つまり厚労省に資料があるのを知らなかったという、総理自身が知らなかったという、大変信頼を失うようなことになってしまった。
それから、捕虜の問題というのは、これは中曽根外務大臣も、それから総理もおっしゃっていただいているように、ポツダム宣言受諾とサンフランシスコ平和条約で義務付けられた戦後日本の最大の国際公約であります。ほかのその戦後処理問題と質が違うんですね。日本の戦後の国際社会における信頼の基礎になることでありまして、それを、個々の省庁で云々のレベルをはるかに超えたものにもかかわらずこういうふうになってきたということについては、これはやはり、まるで体制をつくり直していただかないと、同じようなことがまた起きてしまうということだろうと思いますけれども、うなずいておられる中曽根大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今の捕虜問題につきましては、今副長官からも御答弁ありましたけれども、外務省におきましては、いろんな事案があるわけでありますけれども、この捕虜につきましては、捕虜の例えば出身国との関係とか、それから関連の国際法規、そういうものの様々な事情があるわけでありまして、そういう関係する部局が連携をして、そして今までは対応してきているわけであります。例えば、細かいことを申し上げてもあれですが、国際法は国際法課とか、海外報道担当とか、捕虜出身国との関係とかあって、そういうところの連携が確かにうまくいっていないということもあったかもしれませんが、こういうところはやっぱり緊密に連携をしっかりやるということが大事だと、そういうふうには当然思っております。
○藤田幸久君 ですから、そのレベルでは対応できなかったということが外務省としても政府全体としても明らかになったということでございますから、しっかりそういった恒常的な部局をつくっていただきたいと思います。
それで、ちょっと次に移りますが、昨年の十二月のこの委員会で中曽根外務大臣は、戦争中にインドネシアで日本海軍の「電」と「雷」という船が英国の軍隊の船を撃沈したけれども、その四、五百名の英国の兵士が海上に漂っているのを全員助けて、服を与えて食料を与えたと。そのとき助けてもらったイギリスの軍人が来日をし、その歓迎会を行ったと。自分もその実行委員を務めたという大変美しい、いいお話を紹介されましたが、その四、五百人の方々が日本の工藤艦長の下で救助をされたと。その後、そういう方々がどこに連れていかれたのか。例えば日本の炭鉱などで働かされたようなことがないのか、その辺については御存じでしょうか。
○政府参考人(谷崎泰明君) お答えいたします。
ただいま御質問ありました日本海軍の「雷」の話でございますけれども、これは元海上自衛隊の恵隆之介氏の書いた本がございます。これによれば、日本海軍の「雷」に救出された英国人兵士は、ボルネオ島バンジェルマシンに停泊中のオランダの病院船、オプテンノールと申しますけれども、これに収容されたということでございます。
○藤田幸久君 ですから、どこに連れていかれたかということ。
○政府参考人(谷崎泰明君) はい。
その後、先日来日したフォール卿によりますと、その後、マッカサルの捕虜収容所に収容され、その後、セレベス島東岸に移され、そこで終戦を迎えたということでございます。
○藤田幸久君 資料を三枚ほどお配りしておりますが、その二枚目に、麻生鉱業で終戦の二週間ぐらい後、つまり八月末に撮られた写真がございます。これはオーストラリアの御家族から提供いただいたもので、現在生きていらっしゃる方もこの中にいらっしゃいますが、実は最近確認をいたしましたが、この一番後ろの列の右から五番目、一番後ろの右から五番目の方がこれはジェームズ・マクアナルティという方で、この「雷」「電」に救出をされた方のお一人だそうでございます。この方がつまり後に麻生鉱業で捕虜として使役をされたということを、このジェームズ・マクアナルティさんの息子さんのジェームズさんという方とアイリーン・サンテンさんという方が数日前ですが確認をしております。つまり、この救助された方の中にも麻生鉱業を含めて日本の炭鉱等で働かされた方がいるという事実を確認をいたしました。
したがいまして、私は、この工藤さんですか、大変いい功労をされて、いいことをどんどんどんどん伝えるというのは賛成でございます。ただ一方で、こうした現実もあるし、そして次の質問に移りたいと思いますが、この私の資料の一枚目が、オーストラリアに今生きていらっしゃる数名の方のうちの三名が今年、麻生総理に手紙を出されました。つまり、麻生総理が初めて三百人麻生鉱業に捕虜がいたということを確認をされた後、この手紙を出されたわけでございます。この手紙に対して、官邸の方で接受、受けたと。ただ、まだ対応を検討しているところであり、返事は出していないということでございましたけれども、二月四日付けの手紙ですから、もう一か月半以上たっております。
それで、私、三つの要請のようなことが書いてありますけれども、これ、今までの捕虜の方と違って、直接的な金銭補償は求めておりません。むしろ、六十三年間無視をされてきたことに対する謝罪とか、我々が存在したんだということをまず認めてほしいという言葉を求めているということが、私は九十歳近い捕虜の方々の大変思いやりのある言葉ではないかと思っておりますけれども、これに対して政府として、官邸としてどのような返事をされるおつもりなのか、官房副長官の方からお答えをいただきたいと思います。
○内閣官房副長官(松本純君) 先般、総理も御答弁の中で触れられていると存じますが、このお尋ねにつきましては、その対応につきまして引き続き検討をしているところでございます。
○藤田幸久君 先ほどの「雷」等々の救われた方の、このイギリスの方については、御自宅までリムジンで迎えに行って、相当な待遇のことをして日本に呼んでこられているんですね。もう九十近い方々がまだ生きていらっしゃる。私はこの間も総理に申し上げましたけれども、こういう方々こそ日本にお呼びになって、言葉を求めていらっしゃるんですね、この方々は、お金というよりも。そういうやっぱり交流の、是非発信を私はしていただきたいということを、官房副長官、是非総理にもお伝えをいただきたいと思います。
それから、時間がないので、ちょっと海賊対策のことについて数分お時間をいただきたいと思います。
資料の三枚目に、去年ですか、海上保安庁が、瀬戸内海でフェリーの中で盗難事件が起きたと、そのときに、ある方がどうも高校生らしい人たちがその現場にいたということで、指紋を採取したそうです。五十三名の高校生が指紋採取を受けたと、ところがその犯人ではなかったと。結果的に、その五十三名の方々、地元に帰っても、結局その高校というのは泥棒がいたんじゃないのとうわさも立ってしまったというようなことで、大変傷ついたというようなことを聞いております。それで一部には、したがって、自分の子供をその高校に行かせるのをやめようというふうに言ったというようなうわさもあるそうですけれども、こういうやり方で、結果的にこれ犯人捕まえてないんですね。その第一通報者という人の存在もはっきりしていないようですけれども。
こういうやり方、これ海上保安庁、やがてソマリアの方にも行っていただくわけですけれども、こういったことの事例について不備はなかったのかどうか、まず確認をしていただきたいと思います。
○政府参考人(城野功君) お答え申し上げます。
先生お尋ねの、平成二十年十一月十八日に発生しました瀬戸内海を航行中のフェリー船内で発生しました窃盗事件についてでございますけれども、海上保安庁は、同フェリーから事件の通報を受けますや否や、直ちに巡視艇により職員を現場に臨場させ、関係者からの事情聴取、指紋の採取等所要の捜査を実施したところでございます。本件につきましては、フェリーや乗客に与える影響を最小限にすべく、関係者からの事情聴取の結果等を総合的に勘案した上で、高校生の方から指紋を採取したところでございます。
結果的に、先生おっしゃられましたように、現場に残された指紋とは一致しなかったわけでございますけれども、指紋の採取は捜査上必要なものでございまして、また、採取に当たりましては、引率されております先生の理解を得ますとともに、高校生の同意も得ているところでございますので、適正に捜査をしたものと認識をいたしておるところでございます。
○委員長(榛葉賀津也君) 藤田幸久君、時間が来ておりますので、おまとめください。
○藤田幸久君 それで、一言、一つだけ、済みませんが、これに関係して、こういった逮捕の事例、捜査というものが今後のソマリア沖の行動においても必要だろうと思うんですけれども、現在想定されております八名とか、いろんな装備とかやり方について、海上保安庁の方で十分な体制取られておるかどうか、それだけについて簡単にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(城野功君) 海上保安庁では、今回のソマリア沖の海賊対策につきまして、八名の海上保安官を犯罪捜査のために派遣しているわけでございますけれども、この八名につきましては、海賊事案発生時における必要な初動捜査を行うこととなりますが、その初動捜査に必要な身柄拘束のための手錠やあるいは現場鑑識用の資機材等必要な装備、機材等を携行させて適正な捜査手続をできるように準備をしたところでございます。
○藤田幸久君 しっかりやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
今日は、外務大臣、防衛大臣、それから官房副長官もおいでいただきましたが、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、北朝鮮のミサイル問題でございますが、人工衛星の打ち上げと称して四月の四日から八日まで弾道ミサイル発射実験に備えていると。これに対して防衛省は、弾道ミサイル等破壊措置、ミサイル防衛システムの命令を今月中に発令すると報道をされております。
この命令には、八十二条の二で、いわゆる日本に飛んでくる可能性の高いもので閣議決定を必要とする一項の命令と、日本に飛んでくる可能性は定かでないけれども防衛大臣が決定をする三項の命令があるということで、大臣はどちらの命令を考えているのかというのが昨日の質問通告でございましたが、今朝の報道によると、三項の命令で決めると。非公表で命令をする、そして命令を発動した後、記者会見で報告をするというような報道もありますが、これでよろしいんでしょうか、浜田大臣。
○国務大臣(浜田靖一君) 先生、その件に関しましては、その内容についてはもう先生の方が御存じでございますので、私の方からは説明は省かせていただきますが、基本的に我々とすれば、政府部内でまだ議論、いろんな各省庁において考えをまとめておるところでございまして、まだ現時点においてそのどちらというふうなことを決定してはおらないところでございます。
いずれにいたしましても、我々としては、適切に判断することが極めて重要でありますので、この問題につきましては万全の体制で臨んでいきたいというふうに思っているところであります。
○藤田幸久君 それではお伺いしますが、つまり、日本に飛んでくる可能性ありやなしかということと、この一項の命令か三項の命令かというのは関係しているのか。つまり、日本に飛んでくる可能性というものが断定できない場合には防衛大臣の決定とせざるを得ないという関係はありますね。
○国務大臣(浜田靖一君) それは、基本的に飛んでくるおそれがあるかないかというのが問題でありますので、その意味においては今後、それも含め、人工衛星ということを北朝鮮は主張しておるわけでございますので、我々とすればその辺も含めて今後政府部内でしっかりと議論していきたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 政府内で議論、議論とおっしゃっておりますところ、今朝のやはり報道で政府筋という方が、突然撃ってきたら当たるわけがないと。発射から七、八分で日本に到達すると。浜田大臣から麻生首相に報告したときにはもう終わっている、だから間に合わないと。あらかじめ迎撃の準備をしているだろうという政府筋の報道がありますが、これは御存じでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) 報道では承知をしております。
○藤田幸久君 政府筋の方がこういうことをおっしゃっているということについて、主管の大臣である浜田さんとすれば、この内容についてこれは当を得ていると思うんでしょうか、それとも外れていると思うんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) そういう意味では、余り内容を把握されていないかなという気がいたします。
○藤田幸久君 であるならば、大臣として、この政府筋の方がこういう形で出ているということに対して訂正を求めるべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) その政府筋というのが、私とすれば今現時点でどなたかということは分かりませんが、基本的にもう一度その八十二条の二項をきちっと、理解するように努力をしていきたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 三項じゃないんですかね、今二項とおっしゃったけれども。
○国務大臣(浜田靖一君) 済みません、間違えました。八十二条の二であります。ですから、二の中の一項と三項ですから、私とすると、その法律部分を読んでいただければ分かるように、これは当然、対処するにはこの法律をしていざというときに、そのための法律をここに作ってあるわけですから、そこをもう一回読んでいただければと思います。
○藤田幸久君 一つ飛ばしまして、それで、今防衛省の体制として、弾道ミサイル防衛のウエポンシステムの配備状況で、イージス艦二隻、ペトリオットPAC3が首都圏に四個隊、静岡に四個隊、岐阜に一個隊と報道されておりますが、間違いございませんか。
○国務大臣(浜田靖一君) 我が国の整備を進めている弾道ミサイル防衛システムの現在の配置状況は、今先生がおっしゃったように、イージス艦が二隻に対して弾道ミサイル対処機能を付加するとともに、ペトリオットPAC3については、おっしゃるように計九個高射隊の配備が完了しているところであります。
○藤田幸久君 北朝鮮から飛んでくる可能性に関しては、このPAC3を東北地方に移動させる考えはあるかというのが昨日の質問通告でございましたが、これまた今朝の報道で秋田と岩手に配備をするという報道がありますが、岩手と秋田で対応できるんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) そのことも含め、今我々とすれば検討の最中でありまして、まだそれを決定しているわけではございません。
○藤田幸久君 じゃ、この報道についてはかなり可能性が高いと。したがって、訂正を求める必要はないということでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) 報道については、私どもあることは承知しておりますけれども、我々とすればあらゆる可能性を含めて対応していきたいというふうに考えておるところでありますので、その報道いかんに問わず、我々のなすべきことをしっかりやりたいというふうに思っているところであります。
○藤田幸久君 かなり可能性の高い報道というふうに認識をいたしました。
大臣は、先週金曜日に北京を訪問され、中国の国防大臣ほかと会談をしたということでございますが、北朝鮮のミサイル発射問題について中国の国防大臣は、撃たないなら一番いいし、日本などが冷静な態度を取った方がいいと自制を求めたと報道されておりますが、実際に直接お話しになったニュアンスをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(浜田靖一君) これは、今報道にあったことは、これはもう私とすれば、実際に梁国防相とお話をしたわけでありますけれども、北朝鮮がまず発射をしないことが一番いいということはおっしゃいました。それがもう要するに彼らの言わんとするところで、ただ、我々の方も、日本も、そこは日本の認識もよく分かるけれども、各関係国がやっぱり冷静に対処すべきだということを併せておっしゃっておりましたので、そういう意味では、とにかく北朝鮮が発射するということに対しての問題意識はしっかりと持っていて、それが、北朝鮮が自制してそれを撃たないというのが一番いいということをおっしゃったというふうに私自身は思っているところであります。
○藤田幸久君 この報道だけですと、それから今のお話でも、先方の国防大臣は浜田大臣にそういうことをおっしゃったということは伝わっているわけですが、私は逆で、浜田大臣の方から中国の防衛大臣に対して、北朝鮮に働きかけをして発射しないように自制を求めるべきであったと思うんですけれども、そういう発言は浜田大臣の方から中国の大臣に対してはおっしゃっていないんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) 当然私の方からもそのお話はさせていただきましたが、とにかく梁部長の要するに考え方とすれば、私の言ったことを含めて認識をして関係各国が冷静に対処すべきだということをおっしゃっているわけでありまして、その点については私の方からも、その前にお会いした呉委員長とも我々の立場をしっかりとお話をしているところであります。
○藤田幸久君 確認ですが、浜田大臣の方から中国の防衛大臣ほかに対して北朝鮮に対する自制を求める働きかけをおっしゃったわけですね。
○国務大臣(浜田靖一君) 今お話ししましたように、呉邦国・人代の常任委員長にお話をしたときに、そのときにも国防部長もそこに同席をされていましたので、その点は私の方から申し上げたところであります。
○藤田幸久君 つまり、国防大臣と一対一のときには自制を求めていないということですね。つまり、呉邦国、大臣同席したときはおっしゃったけれども、一対一のときにはこちらから自制を求めることを先方の国防大臣にはおっしゃっていないということですね。
○国務大臣(浜田靖一君) いや、それは、私の方から申し上げたのは、我々とすればそれに対して懸念を持っているということは申し上げた上で、それに対する問いに対してお答えをしたということでありますので、当然のごとく、我々の立場を承知した上で国防部長がお話しになったというふうに思っております。
○藤田幸久君 つまり、懸念は表明したけれども自制は求めていないというふうに理解をいたしまして。
次に、これまた今朝の報道によりますと、中国の関係者が北朝鮮ミサイルの発射中止はあり得ないというふうにおっしゃっているという報道がありますけれども、これは発射中止はあり得ないとかなり強いことでおっしゃっている。ということは、中国側は、つまり、せっかく防衛大臣行ったにもかかわらず、もうこれは止められないとあきらめ切っているというようなニュアンスですけれども、やはり先週かなり努力をされたけれどもなかなか止めることは難しいという感触を持ってお帰りになったんでしょうか。
○国務大臣(浜田靖一君) それは、我々の立場は申し上げて、そしてまたそれを理解をしていただいていることは事実でありますので、その後のことに関しては、私の方としては感触だけで今ここでお答えすることではないと思いますので、更に我々とすればそれを求めていきたいというふうに思っているところであります。
○藤田幸久君 更に求めているというよりも、直接先週直談判したけれども、その後にこういった形で強い報道が出て、まあ報道が全部正しいとは思いませんけれども、もっと強く働きかけを更にしていただきたいというふうに思います。
次に、拉致問題について移りたいと思いますが、先週の十六日に参議院の北朝鮮拉致問題等に関する特別委員会で新潟県の佐渡市を視察してまいりました。委員会として曽我ひとみさんにお会いをいたしましたが、いわゆる家族の方とお会いしたことはあるそうですけれども、被害者の方とこういう形で委員会でお会いしたのは初めてだということでございましたが、六年間という帰国から歳月がたち、その家族の方々の状況も私どもも聴取をした状況でございますけれども、この方々の最近の状況について政府の方でどういうふうに把握をされておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
○大臣政務官(並木正芳君) 先生のお話のとおり、平成十四年の十月に拉致被害者が、地村さん夫妻、また蓮池さん夫妻、そして曽我ひとみさんですね、帰国されて既に六年がたったわけですけれども、この間、政府としましては、拉致被害者等支援法に沿って、地元の関係自治体とも連携協力して、帰国の被害者及びその家族に対して鋭意支援を実施してきたところであります。
その効果というのも考えられるかと思いますが、帰国被害者の御努力によって、現在、地元の自治体や大学へ就職され、また御家族も大学や専門学校で勉学に励んでおられる、こういうふうに着実に自立の道を歩んでいられると。しかし、また同時に、先生もお聴き取りなられたように、将来への不安というのも大きいというふうに承知しております。そうした面でこれから更に配慮をする必要もあるかと、そういうふうに承知しております。
○藤田幸久君 おっしゃるとおり、この間、佐渡市長さんもずっと同行していただきましたけれども、非常に細やかなケアをしておられるということを伺って、意を強くした次第でございます。
帰国被害者の具体的な支援として、支援法による給付金の支援がございます。曽我さん、地村さん、蓮池さんとその家族が二〇〇五年の三月に日本に永住をすることを宣言をされた。それ以来、毎月この支援金の支給を受けているわけですけれども、ちょうど来年の三月にこの五年間の期限が終わってしまうと。ジェンキンスさんは六十八歳だと。この方は日本人と違って年金も受け取れない。それから、曽我さんとお話を伺いましたら、大変お嬢さんたち二人の将来も心配されておられました。それから、当然のことながら、二十四年間日本にいらっしゃらなかったということもございますので、お父さんも亡くなられました。したがって、家族としての蓄えもないと。したがって、来年期限が切れてしまうというのは大変不安があるということでございますけれども、この支援法の五年というのは期限が短いんではないか。それで、是非延長を検討してほしいと思うんですけれども、その辺について政府はどうお考えでしょうか。
○大臣政務官(並木正芳君) 政府としましては、先ほども申し上げましたように、関係地方自治体と連携協力しながら、拉致被害者等支援法と、同法に先立って取りまとめられました政府の総合的な支援策と、こういう二つの支援枠組みの下で拉致被害者等給付金の支給や自立・社会適応促進施策を実施しているところであります。
今お話しのとおり、永住の意思決定後、平成十七年四月ということになりますけれども、五年を限度としてその給付金の方は支給しているわけでありまして、平成の二十二年三月が期限となっております。そうしたところで、今お話しのとおり、五年というのが短いのじゃないかというふうなことがありましたけれども、先生ももう重々御承知のとおり、拉致被害者等支援法制定時には適度な年数を設定して被害者等の自立支援と、そういう自立実現という一つの目途とすることがむしろ望まれているということを総合的に考慮して決めたものだと、そういうふうに承知しております。
そうしたところでありますけれども、二十二年四月以降の問題になりますが、先ほどのように、給付金だけじゃなくて支援は必要な支援というのを行っていくわけでございますけれども、この自立の状況というのもそれぞれに違っておりますので、そうしたものを御本人、御家族の要望等や御意見を伺いながら、必要な見直しを含め適切に対応してまいりたいと、このように思っております。
○藤田幸久君 必要な点を勘案して、見直しも含めてというお言葉、是非更に進めていただきたいと思います。
それから、給付金の運用上の問題についてお伺いしたいんですが、恒常的な所得が年額五百八十万円を超える場合、その五百八十万円を超えた分の二分の一に相当する額を給付金から減額することになっていると。もちろん、自立をという認識もあるんだろうと思いますが、ただ、元々支給を受けてきた給付金が減額をされるというのは、余りにも過酷な運命をたどってこられた拉致被害者に対して、これは非常に酷なことではないかという印象を持ちました。
曽我さん親子の自宅のちょっと手前で拉致されて、川に連れていかれて小舟で、しかも政府も認定しておられるように、女性の工作員が先導をして、まさに日常の生活のすぐ近くで、曽我さんおっしゃっていましたけれども、自分がお母さんを買物に誘わなければお母さんと別れる必要はなかったんだと、いまだに八月十二日が来ると自分は自責の念に駆られますというふうなこともおっしゃっておられます。
してみると、この減額も含めて大変酷ではないかと思いますが、政務官もお感じていらっしゃると思いますけれども、改めて政府の見解をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(並木正芳君) 支援法の目的というのは、今申し上げたとおり自立を促すということなんですけれども、減らすということは、五百八十万円という収入、これは大体今の平均的な年金被保険者とかそういう収入を勘案してのことですけれども、更にそれをプラスして今給付金がいただくということになると九百何十万、一千万近い額になっているわけです。それに対して、この五百八十万より増えれば、その増えた分のところの半分でございますので、その九百何十万から収入としては半分ずつはどんどん増えていくということで、一千万を超えるような収入になる、例えばですけれども可能性が多いと。そういうことからしますと、自立というふうな面からは一つの目的は達しているんじゃないか。
さらに、補償とかそういう問題になるとまた違うとは思いますけれども、そういった考えからすれば、ほかの支援ももちろんあるわけですから、収入としてはある程度の目的を達したという考え方ですけれども、さらに、先ほども申し上げましたとおり、今後生活基盤の更なる充実に向けた取組に向かって支援に遺漏がなきようにしていきたいというふうに考えております。
○藤田幸久君 自立という場合に、生まれてから日本で大人まで教育を受けて育った人の基礎的な要素がそろった上での自立と、いわゆるジャンプ台の部分がない人が自立をする場合の条件が違うんだろうと思います。その部分を、かつ一千万云々の話がありましたが、来年までのあと一年の話でございます。その後、年金のないジェンキンスさん、それからジャンピングボードとしての社会的な経験のないお嬢さん方お二人ということも是非勘案をして、今の点も是非前向きに検討していただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたい。もし、コメントあれば一言。
○大臣政務官(並木正芳君) 年金等については、御存じのとおり政府が代わって、今まで納めることができなかったわけですから、それは納めていくということなんですけれども、ジェンキンスさんの場合いろいろまた違った境遇というのもあります。だから、そういうものも更に検討する必要はあろうかと思います。
○藤田幸久君 ありがとうございました。
次に、捕虜問題について移りたいと思いますが、中曽根大臣、先日も予算委員会で麻生総理に質問したんですが、二〇〇六年に麻生外務大臣の在任中に、実は旧麻生鉱業で捕虜として使役をされていたという方がオーストラリアに現存されておられて、オーストラリアの国営放送、ABCとか全国紙で報道されていたと。そういう報道があったということをオーストラリアの在外公館から外務省には報告をしたと。ところが、麻生当時の外務大臣自身が自分は全然そんなこと聞いていないという報告をこの間予算委員会でおっしゃっていましたけれども、ということは外務省には届いたけれども、どこかで止まって、当事者である外務大臣に報告が行っていなかったということですけれども、だれのところで止まって、かつ、外務大臣の名誉にもかかわる重要な案件が大臣そのものに到達しなかったというのはなぜかということについてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 海外における報道につきましては、外務省には、もう委員も御承知のとおり、毎日山ほどの報告が在外公館から寄せられているわけでありまして、そのうち重要な報道につきましては、随時外務大臣に報告をされているわけでありますが、御指摘の報道につきましては、麻生外務大臣、当時でございますが、大臣に報告されるべきものと認識をされていなかったと、そういうことでございます。
○藤田幸久君 外務大臣自身のお父さんがおやりになっていた会社で、数人じゃなくて三百人もの捕虜の方がいたということが、実際に生きておられて、そしてNHKのような公共放送機関でインタビューを受けていろいろ訴えられていたということを、当事者であり、麻生大臣にとっては極めて名誉にかかわる重大なことを、それを報告すべき案件であると判断されなかったとはどういうことなんですか。だれが判断したんですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今申し上げましたけれども、一つは、恐縮でございますが、情報の伝達について、外務省の中での、それについてお答えすることは差し控えたいと思いますが、当時のその担当ですか、受け取ったところが大臣に報告されるべきものではないと、そういう判断をされたという、過去のことでありますが、その結果そういうことになったということでございます。
○藤田幸久君 その結果、外務省は、翌年だったと思いますけれども、この年の秋かな、ニューヨークの総領事館のホームページに、つまりニューヨーク・タイムズが言っていることはけしからぬと、間違っているという掲載までして、昨年実は、いや、それが正しかったと、三百人捕虜がいたということに分かった途端に削除しているわけですね。これ、国としても、外務省としても、麻生大臣としても、大変なこれ名誉を傷つける、そして信頼を失うことをやってしまったという判断をこの方も非常にかかわったということですよね、外務省として。これ、その程度で放置していていいんですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) だれが担当してどうだったかという詳しいことを私は存じませんけれども、今委員がおっしゃいましたことにつきましては、委員のお話のとおり、ホームページで訂正のということでありましたけれども、外務省の調査が十分でなかったということで、そのことにつきましては、当時の対応について私からも遺憾であったということは表明させていただいているところでございますが、麻生総理の個人の名誉にもかかわるというお話でございますが、確かに麻生鉱業ですから麻生総理の御関係した会社でありますが、多分ですよ、多分担当者からすれば、総理御自身が今経営していることでもないというようなことから判断されたのではないかと私は推測いたします。
○藤田幸久君 しっかり検証していただきたい。これは御自身が今経営しておられないということではなくて、実際に御自身が社長のときに厚い本を書いてそれに触れていないというようなこともあるわけですから、私は、その当時のことを麻生今の総理に旧悪を逆なでて問うことは一切しておりませんけれども、ただ国の信頼の問題でございますので、しっかり検証していただきたいと思います。
それで、次の質問に移りますが、実は昨年、厚生労働省の資料が出てきて初めて、麻生総理自身もこの三百人の捕虜がいたということをお認めになったわけですが、実はその厚生労働省の資料以外にも、この防衛研究所の図書館にもたくさん資料が存在しております。要するに、防衛研究所の図書館は旧日本軍の資料を全部引き継いで、全部でないかもしれませんけれども、あるんですね。
ということは、これ、それから一般の書物、文書等もありますけれども、結局、政府全体としてこの捕虜問題に対する担当の部署も決まっていない。外務省の中でも、これ質問主意書で出てきましたけれども、担当の恒常的な主管の部署がないと。したがって、結局情報の引継ぎ、共有ができていないのでこういう間違いを犯してしまうんだろうと思うんですけれども。
実はこれに関して、小泉内閣の当時の福田官房長官及び細田官房長官が、こういう戦後処理問題を官邸で対応するというふうに言明しておりますけれども、具体的にどういう形で官邸が総合的に対応するという仕組みができたのかということについて、官房副長官の方からお答えいただきたいと思います。
○内閣官房副長官(松本純君) 政府といたしましては、これまでの取組を踏まえまして、次の対応をすることとしております。
戦後処理問題は、内容が非常に複雑多岐にわたり、種々の経緯があることにかんがみまして、政府として統一的な対応を行う必要があるため、内閣官房が総合的な政策調整を行うこととしております。また、対外関係事務の側面を有する戦後処理問題は多岐にわたるところでありまして、その窓口業務については外務省が一義的に行うこととしております。
なお、個々の戦後処理問題につきましては、これまでどおり関係府省が各々の所掌に従って処理を行っていくことといたしますが、所掌が明らかではない事案が出てきた場合には内閣官房がこれを明らかにするなど、内閣官房の総合調整の下、関係府省間で連携を密にして適切に対応をしてまいりたいと存じます。
○藤田幸久君 今の引用は、二〇〇五年の内閣委員会の福田官房長官の答弁書と全く同じです。それから、その後の細田官房長官の答弁書と全く同じです。
ということは、二〇〇五年に当時の福田官房長官がおっしゃっていながら、今申し上げて、あるいは先日来申し上げているように、二〇〇六年にこんなことやっちゃっているわけですよね。ということは、官邸としてのこういう調整機能が機能していなかった。つまり、官邸が調整をしていたならば厚生労働省の資料も発見できたはずだし、防衛研究所の図書館にも資料があることを官邸として把握できたはずじゃないですか。つまり、去年の段階で厚生労働省から出てくるまで知りませんでしたというのでは、この二〇〇五年のその当時の福田官房長官のこの答弁どおりのことができていないということになるんじゃないんでしょうか。
松本官房副長官、いかがでしょうか。いや、要するに、二〇〇五年に官房長官としては答弁をしながら、実際にそういう機能をしなかったから去年こういうことが出てきたということになるんじゃないですか。いかがでしょうか。
○内閣官房副長官(松本純君) 今、個々の戦後処理問題についての取組でありますが、これは関係府省が各々の所掌に従って処理を行っていくというこの基本で動いておりまして、この多岐にわたる諸問題の対応につきまして、その事項に応じて、政府において担当するそれぞれの責任を持つ部局が担当するということでの動きでこれまでどおり進めさせていただいているところでございます。
○藤田幸久君 つまり、個々にやって失敗した例じゃないですか。去年から、つまり厚労省に資料があるのを知らなかったという、総理自身が知らなかったという、大変信頼を失うようなことになってしまった。
それから、捕虜の問題というのは、これは中曽根外務大臣も、それから総理もおっしゃっていただいているように、ポツダム宣言受諾とサンフランシスコ平和条約で義務付けられた戦後日本の最大の国際公約であります。ほかのその戦後処理問題と質が違うんですね。日本の戦後の国際社会における信頼の基礎になることでありまして、それを、個々の省庁で云々のレベルをはるかに超えたものにもかかわらずこういうふうになってきたということについては、これはやはり、まるで体制をつくり直していただかないと、同じようなことがまた起きてしまうということだろうと思いますけれども、うなずいておられる中曽根大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今の捕虜問題につきましては、今副長官からも御答弁ありましたけれども、外務省におきましては、いろんな事案があるわけでありますけれども、この捕虜につきましては、捕虜の例えば出身国との関係とか、それから関連の国際法規、そういうものの様々な事情があるわけでありまして、そういう関係する部局が連携をして、そして今までは対応してきているわけであります。例えば、細かいことを申し上げてもあれですが、国際法は国際法課とか、海外報道担当とか、捕虜出身国との関係とかあって、そういうところの連携が確かにうまくいっていないということもあったかもしれませんが、こういうところはやっぱり緊密に連携をしっかりやるということが大事だと、そういうふうには当然思っております。
○藤田幸久君 ですから、そのレベルでは対応できなかったということが外務省としても政府全体としても明らかになったということでございますから、しっかりそういった恒常的な部局をつくっていただきたいと思います。
それで、ちょっと次に移りますが、昨年の十二月のこの委員会で中曽根外務大臣は、戦争中にインドネシアで日本海軍の「電」と「雷」という船が英国の軍隊の船を撃沈したけれども、その四、五百名の英国の兵士が海上に漂っているのを全員助けて、服を与えて食料を与えたと。そのとき助けてもらったイギリスの軍人が来日をし、その歓迎会を行ったと。自分もその実行委員を務めたという大変美しい、いいお話を紹介されましたが、その四、五百人の方々が日本の工藤艦長の下で救助をされたと。その後、そういう方々がどこに連れていかれたのか。例えば日本の炭鉱などで働かされたようなことがないのか、その辺については御存じでしょうか。
○政府参考人(谷崎泰明君) お答えいたします。
ただいま御質問ありました日本海軍の「雷」の話でございますけれども、これは元海上自衛隊の恵隆之介氏の書いた本がございます。これによれば、日本海軍の「雷」に救出された英国人兵士は、ボルネオ島バンジェルマシンに停泊中のオランダの病院船、オプテンノールと申しますけれども、これに収容されたということでございます。
○藤田幸久君 ですから、どこに連れていかれたかということ。
○政府参考人(谷崎泰明君) はい。
その後、先日来日したフォール卿によりますと、その後、マッカサルの捕虜収容所に収容され、その後、セレベス島東岸に移され、そこで終戦を迎えたということでございます。
○藤田幸久君 資料を三枚ほどお配りしておりますが、その二枚目に、麻生鉱業で終戦の二週間ぐらい後、つまり八月末に撮られた写真がございます。これはオーストラリアの御家族から提供いただいたもので、現在生きていらっしゃる方もこの中にいらっしゃいますが、実は最近確認をいたしましたが、この一番後ろの列の右から五番目、一番後ろの右から五番目の方がこれはジェームズ・マクアナルティという方で、この「雷」「電」に救出をされた方のお一人だそうでございます。この方がつまり後に麻生鉱業で捕虜として使役をされたということを、このジェームズ・マクアナルティさんの息子さんのジェームズさんという方とアイリーン・サンテンさんという方が数日前ですが確認をしております。つまり、この救助された方の中にも麻生鉱業を含めて日本の炭鉱等で働かされた方がいるという事実を確認をいたしました。
したがいまして、私は、この工藤さんですか、大変いい功労をされて、いいことをどんどんどんどん伝えるというのは賛成でございます。ただ一方で、こうした現実もあるし、そして次の質問に移りたいと思いますが、この私の資料の一枚目が、オーストラリアに今生きていらっしゃる数名の方のうちの三名が今年、麻生総理に手紙を出されました。つまり、麻生総理が初めて三百人麻生鉱業に捕虜がいたということを確認をされた後、この手紙を出されたわけでございます。この手紙に対して、官邸の方で接受、受けたと。ただ、まだ対応を検討しているところであり、返事は出していないということでございましたけれども、二月四日付けの手紙ですから、もう一か月半以上たっております。
それで、私、三つの要請のようなことが書いてありますけれども、これ、今までの捕虜の方と違って、直接的な金銭補償は求めておりません。むしろ、六十三年間無視をされてきたことに対する謝罪とか、我々が存在したんだということをまず認めてほしいという言葉を求めているということが、私は九十歳近い捕虜の方々の大変思いやりのある言葉ではないかと思っておりますけれども、これに対して政府として、官邸としてどのような返事をされるおつもりなのか、官房副長官の方からお答えをいただきたいと思います。
○内閣官房副長官(松本純君) 先般、総理も御答弁の中で触れられていると存じますが、このお尋ねにつきましては、その対応につきまして引き続き検討をしているところでございます。
○藤田幸久君 先ほどの「雷」等々の救われた方の、このイギリスの方については、御自宅までリムジンで迎えに行って、相当な待遇のことをして日本に呼んでこられているんですね。もう九十近い方々がまだ生きていらっしゃる。私はこの間も総理に申し上げましたけれども、こういう方々こそ日本にお呼びになって、言葉を求めていらっしゃるんですね、この方々は、お金というよりも。そういうやっぱり交流の、是非発信を私はしていただきたいということを、官房副長官、是非総理にもお伝えをいただきたいと思います。
それから、時間がないので、ちょっと海賊対策のことについて数分お時間をいただきたいと思います。
資料の三枚目に、去年ですか、海上保安庁が、瀬戸内海でフェリーの中で盗難事件が起きたと、そのときに、ある方がどうも高校生らしい人たちがその現場にいたということで、指紋を採取したそうです。五十三名の高校生が指紋採取を受けたと、ところがその犯人ではなかったと。結果的に、その五十三名の方々、地元に帰っても、結局その高校というのは泥棒がいたんじゃないのとうわさも立ってしまったというようなことで、大変傷ついたというようなことを聞いております。それで一部には、したがって、自分の子供をその高校に行かせるのをやめようというふうに言ったというようなうわさもあるそうですけれども、こういうやり方で、結果的にこれ犯人捕まえてないんですね。その第一通報者という人の存在もはっきりしていないようですけれども。
こういうやり方、これ海上保安庁、やがてソマリアの方にも行っていただくわけですけれども、こういったことの事例について不備はなかったのかどうか、まず確認をしていただきたいと思います。
○政府参考人(城野功君) お答え申し上げます。
先生お尋ねの、平成二十年十一月十八日に発生しました瀬戸内海を航行中のフェリー船内で発生しました窃盗事件についてでございますけれども、海上保安庁は、同フェリーから事件の通報を受けますや否や、直ちに巡視艇により職員を現場に臨場させ、関係者からの事情聴取、指紋の採取等所要の捜査を実施したところでございます。本件につきましては、フェリーや乗客に与える影響を最小限にすべく、関係者からの事情聴取の結果等を総合的に勘案した上で、高校生の方から指紋を採取したところでございます。
結果的に、先生おっしゃられましたように、現場に残された指紋とは一致しなかったわけでございますけれども、指紋の採取は捜査上必要なものでございまして、また、採取に当たりましては、引率されております先生の理解を得ますとともに、高校生の同意も得ているところでございますので、適正に捜査をしたものと認識をいたしておるところでございます。
○委員長(榛葉賀津也君) 藤田幸久君、時間が来ておりますので、おまとめください。
○藤田幸久君 それで、一言、一つだけ、済みませんが、これに関係して、こういった逮捕の事例、捜査というものが今後のソマリア沖の行動においても必要だろうと思うんですけれども、現在想定されております八名とか、いろんな装備とかやり方について、海上保安庁の方で十分な体制取られておるかどうか、それだけについて簡単にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(城野功君) 海上保安庁では、今回のソマリア沖の海賊対策につきまして、八名の海上保安官を犯罪捜査のために派遣しているわけでございますけれども、この八名につきましては、海賊事案発生時における必要な初動捜査を行うこととなりますが、その初動捜査に必要な身柄拘束のための手錠やあるいは現場鑑識用の資機材等必要な装備、機材等を携行させて適正な捜査手続をできるように準備をしたところでございます。
○藤田幸久君 しっかりやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
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