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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2018年03月29日
活動報告
2018年03月29日
参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録
○藤田幸久君 おはようございます。民進党の藤田幸久でございます。今日は、河野大臣と一対一で、よろしくお願いいたします。
在外公館名称位置給与法の改正案でございますが、NATOの日本政府代表部設置が提案されておりますが、その必要性と、あわせて、なぜNATO加盟国でない日本が政府代表部を設置し、大使を任命するのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 最近のアジアの情勢というのは安全保障を中心に深刻化していると言ってよろしいかと思いますが、このアジアの安全保障問題に対処するためには、ヨーロッパを含めた国際社会に、広くこうした北朝鮮問題を始め関心、関与を喚起する必要があるというふうに思っております。特に、基本的価値観を共有する日本、アメリカ、ヨーロッパ、こうした国々のネットワークを強化していくことが必要だというのが一つ目でございます。また、戦後の経済発展を支えてきたリベラルな国際秩序、法の支配に基づいた国際秩序を維持していくためには国際社会全体で負担を分かち合う必要があり、こうした観点からでも日本とヨーロッパの協力というのが今後重要になってくると考えております。
こうした大きな構図の中で日本とNATOの協力も進めてきているものでございまして、私も、昨年の十月、来日されたストルテンベルグNATO事務総長と会談をし、北朝鮮問題あるいはテロ、サイバーといった国際的な問題に日本とNATOが協力していく必要性がある、重要性があるという認識で一致をいたしました。
NATOは、協調的安全保障という考えの下、NATO域外の国々とのパートナーシップも発展をさせてきておりまして、今、日本を含む四十一か国のパートナーのうち二十九か国が政府代表部を設置をしております。
今まで、日本は、外務大臣の職務命令で駐ベルギー大使をNATOに対する我が国の代表として任命をし、NATO側に通知をしてまいりました。今回、この法改正をお認めいただいて代表部の新設を認めることができれば、ベルギー大使が兼ねる形でNATOに今度は正式に接受される外交使節として受け入れられるということになります。この結果、日本のプレゼンスが強化され、それを通じて、NATO加盟国、NATO事務局あるいはパートナー国の代表部の長との意思疎通が円滑に行われ、職務の執行がより効果的になるというふうに期待をしているところでございます。
○藤田幸久君 私も、十年ほど前ですか、野党の議員としてNATOを訪問しましたら、国会議員がNATOに来たというのは珍しいということで、大変その意味ではいいディスカッションをしていただきましたが。
今おっしゃった中で、法の支配、リベラルな価値、それから協調的な安全保障、つまり軍事的な機関であるNATOであっても、それ以外の部分が重要であるという点を是非強調してやっていただきたいと思います。
それから、早速ですが、北朝鮮問題、昨日、大きなニュースがありました。習近平国家主席と北朝鮮の金正恩委員長の首脳会談だったわけですが、今回もまた日本が、通報があったというものは遅かったということでございますけれども、そもそも日本政府は、今回の首脳会談の情報をいつどういう方法で把握したのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) メディアはよく通報があったかなかった、どうだったということを殊更報道するわけでございますが、これまでこの北朝鮮問題に関して言えば、日米韓を中心に中ロの協力もいただいて、国際社会挙げてこの北朝鮮に対して、安保理決議で定めた経済制裁を、国際社会で一致して圧力を掛けていくということをしっかりとやっております。
様々な情報についてはこうした国々の間でしっかり情報の共有をしているわけでございまして、いつどういう連絡をもらったかどうだというのは対外的に申し上げておりませんので、こうしたやり取り一つ一つについてコメントするのは差し控えたいと思いますが、これからも日米韓あるいは中ロを含め、国際社会と緊密に連携をしてまいりたい。
つい先日もカナダの外務大臣がいらっしゃいましたが、カナダの外務大臣とも様々北朝鮮問題について情報交換、意見の交換をやってきたところでございますし、非核化に向けて、完全かつ不可逆的、なおかつ検証可能な非核化に向けての動きを北朝鮮が明確に行動として取るまでは国際社会は挙げて圧力を維持しなければならないという認識が全く一致しているところでございますので、これからも一つ一つの事象をしっかり見ながら、しかし慌てずにこの朝鮮半島の非核化に向けて国際社会で努力してまいりたいと思います。
○藤田幸久君 しかし、アメリカは、はっきりとホワイトハウスが早い段階で中国から説明があったと。それから、トランプ大統領に対する習近平主席からのメッセージも含まれていたと。それから、それに対してトランプ大統領自身がツイッターでコメントをしております。それから、韓国も事前に知らされていたと。中国の楊潔チ政治局員が今日、習近平主席の特使として韓国を訪問し、報告をすると。
何もこれ、はっきりとアメリカなり韓国が言っているわけで、日本の方で何にも隠す必要がなくて、つまり、そういったことが言えないということは、なかったというふうにこれは断定せざるを得ないということだろうと思いますが、いかがですか。逆に、隠し立てするということは、なかったというふうに蓋然性を見られてしまうと。メディアのせいじゃなくて、そういうふうに、ほかの国もそう思うと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 恐らく、どこの国もどの国とどういうやり取りをしているかというのを明確にしないというのが外交上の通常例だというふうに思っております。
中国の楊潔チさんが韓国に訪問するというのは、今回の事象と関係なく以前から決まっていた話でございますし、トランプ大統領は様々なことをツイートされますから、それはそれということなんだろうというふうに思っております。
○藤田幸久君 済みません、事実関係ですが、ホワイトハウスがはっきりと早い段階から説明があったと、それからトランプ大統領に対する習近平主席のメッセージも含まれていたと、これはホワイトハウスの声明ですけど。これは、こちらがどういうふうに交渉しているんじゃなくて、先方からこういうふうな連絡があったということをはっきりと韓国もアメリカも言っている話でございます。で、日本に対してはなかったんですね。
○国務大臣(河野太郎君) 我が国は、一々外交上のやり取りを公表することは差し控えております。
○藤田幸久君 では、なぜ、電話会談をした、こういうことがあったというふうなことは頻繁に、これは安倍総理にかかわらず、河野大臣もよく、誰々と電話会談をしたと、あるいはこういうことをするというふうなこと、あるいは今度こういう訪問をしながらこういうことをやっていくとよく明示的にされておりますけれども、なぜ今回はされていないんですか。
○国務大臣(河野太郎君) 会談、電話会談等について、外相レベルのもので先方と公表することを合意しているものについては公表しておりますが、先方との間で公表しないことになっている、あるいは公表することについて合意が得られていないものについては公表をしておりません。外相レベルは、なるべくそうした会談、電話会談について、公表できるものは公表していきたいというふうに思っておりますが、事務レベルのものについて一々公表しておりません。
○藤田幸久君 ある報道によれば、金杉アジア局長が二十八日ですか、いろいろ情報収集に当たっていたと報道されておりますが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほどから申し上げているとおり、事務レベルでのやり取りについて公表はしておりません。この件については公表しているようでございますが、やり取りの中身については公表しておりません。
○藤田幸久君 その報道によりますと、要するに、情報がないので情報収集に当たっているということを金杉局長はメディアに語っているわけですから、要するに先方から情報がないということを明らかに認めているわけですが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 情報がないというときのどのレベルの情報のないかということについては公表を差し控えているはずでございます。
○藤田幸久君 今回の中身の話でございますけれども、非核化ということが言われております。ただし、中国側は非核化ということについての言及があったというふうに報道しているのに対し、北朝鮮側は非核化ということについては明示しておりませんが、この非核化について両首脳間に関するどういうやり取りがあったのか、あるいは、少なくとも公表されている情報に関して、非核化ということについて大臣はどのようにこの意味を理解されておられるのか、認識をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 御指摘のとおり、中国はこの非核化について対外的に発表をしておりますが、北朝鮮はこの非核化について発表をしてきていないというのが今のところの現実でございます。
中国は、北朝鮮が朝鮮半島の非核化の実現に努力することは変わらぬ立場、南北関係の改善を決心し、南北首脳会談を行い、米朝対話ひいては米朝首脳会談を開催したい、仮に韓米が和平実現のために段階的かつ同じ歩調の措置をとれば半島の非核化問題は解決すると金委員長が述べたと発表しておりますが、北朝鮮側はこれについて発表をしていないというのが現時点でございます。
○藤田幸久君 それは私が申し上げて、それについてどうお考えかというのが質問であります。
○国務大臣(河野太郎君) 北朝鮮の意図というのが対外的に発表されていない、あるいは北朝鮮の核関連施設で非核化という話が出た後も動きがあるというようなことを考えると、この北朝鮮の非核化に向けての意図というのはまだまだしっかり見極める必要があるというふうに思っております。
○藤田幸久君 今のお話の流れでいいますと、和平実現のための段階的な措置というような条件が付けられておりますが、これはある意味ではアメリカに対して圧力路線の転換を求めている可能性があるので、これは警戒すべき、あるいは注意をすべき条件ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会は対話に対する対価はないということを明確にしてきております。北朝鮮が完全かつ不可逆的、なおかつ検証可能な非核化に向けて具体的な行動を取らない限り国際社会からの対価はないということでございますので、そこはしっかりと国際社会一致団結していけるように努力をしてまいりたいと思います。
○藤田幸久君 国際社会の一致ということに関して言えば、もし今回の首脳会談によって、中国がある意味では、対北朝鮮包囲網を少しでも緩めれば北朝鮮の非核化というものは実現しない可能性があるので注視が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 中国は、責任ある国際社会の一員として行動を取るというふうに言っておりますので、中国も国際社会の一員として同様の行動を取るというふうに認識をしております。
○藤田幸久君 今回は、国際社会の一員としての中国というよりも、やはり特別の関係としての中朝関係をある意味では表したわけですが、したがって、中国が国際社会の一員としての圧力を掛け続けるか、それとも中朝関係という中で、この米朝首脳会談の前に中国なりの、しかも隣接する北朝鮮の安全保障問題を考えながら、独自の中国としての判断を示す可能性についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 中国は、国際社会の一員として責任ある行動を取ると発言をしておりますので、そのような行動を取るものと認識をしております。
○藤田幸久君 では、今回、北朝鮮の首脳が中国を訪問した、これは国際社会の圧力の効果だとお考えなのか。であるならば、どの圧力、例えば中国からの圧力、あるいはアメリカからの圧力等、あるいは日本からの経済的な圧力、どの圧力が今回の米朝首脳会談に至る圧力として成果があったのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会は、国連の安保理決議でこれまでにないレベルの経済制裁を北朝鮮に対して行ってきております。様々な国が真剣にこの北朝鮮の問題を、アジアだけの問題としてではなく、ヨーロッパ、アフリカ、中近東、中南米に至る国々までが国際社会に対する脅威だと認識し、この国連の安保理決議を履行するための努力をしてくれている、そうした国際社会全体としての圧力が北朝鮮を様々な形で後押しをしているというふうに認識しています。
○藤田幸久君 トランプ大統領が先日の安倍総理との電話会談の後で、安倍首相は北朝鮮との対話にとても夢中だというふうに述べておりますが、今回のこの米朝首脳会談を踏まえて、あるいは南北首脳会談等の流れの中で、拉致問題解決のために、日朝間の対話あるいは首脳会談に至るという可能性が高まってきたかどうかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 当面、南北の首脳会談、そして米朝の首脳会談が予定をされておりますので、その状況を見ながら、何が一番適した方法かというのは考えてまいりたいと思います。
○藤田幸久君 何が一番ということは、そういう方向性というふうに認識をいたしますが。
二〇〇〇年ですかね、金正恩さんのお父さんの金正日総書記が訪中をされた直後に、二年後ぐらいでしょうか、日朝首脳会談が実現した。経過的に言うと非常に類似している面もありますが、それから韓国の高官も、最近、北朝鮮は経済支援が望めず日朝会談も視野に入れていると、こういう状況的なコメントあるいは事実関係もございますが、日朝関係の対話あるいは拉致問題の解決について、そういう方向性の可能性は高まったでしょうか、それとも余り高まってない、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほども申し上げましたように、南北首脳会談あるいは米朝首脳会談といったものがどのようになるのか注視し、その上で、何がこの核、ミサイル、そして拉致問題の解決に最適なのか、国際社会と一緒に考えてまいりたいと思います。
○藤田幸久君 六者会議への復帰についても言及されておりますが、六者協議の開催の可能性が高まったと思うのか、あるいは仮に六者協議といった場合に、これまでもいろいろな形で北朝鮮側は遅延行為なりをしてきたという経緯もありますが、その可能性と、あるいはそういうふうになっていった場合の注意点について認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 繰り返しになりますが、南北首脳会談、米朝首脳会談の結果を見極めながら様々なことを考えてまいりたいと思っております。
○藤田幸久君 やはり、日本が今回の南北あるいは米朝首脳会談、そして今回の中朝首脳会談の中で、これは与党側の中からも日本が蚊帳の外に置かれているんではないかという認識が非常に強くなっていると思いますので、せっかく河野大臣でございますので、紋切り調の答弁ではなくて、こういう努力をしている、あるいはこういう問題点がある、こういう方向性で河野外交やってきたんだと、そういう点をお話しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 申し訳ございませんが、外交の手のうちを明かすことは考えておりません。
○藤田幸久君 国民の理解があっての、それから議員の理解があっての外交だろうと思いますし、少なくともここにいる我々は与野党の立場を超えて、これは財金委員会でもございませんので、そういう意味では国民の理解を得た外交の応援をしようと、だから、今回の在外公館法あるいは外務大臣の専用機の使用なんかについても応援しているわけですから、手のうちではなくて、手のうちを見せることによって国民の支援もあると思いますんで、いかがですか、河野大臣。
○国務大臣(河野太郎君) 有り難いお言葉をいただきましたが、この場は当然に北朝鮮にも話が通じているわけでございますので、この場で話を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。
○藤田幸久君 この場を使って間接的に伝えるという手法もあると思いますので、それを申し上げて、ちょっと答弁が長いので時間がありませんので、カンボジアの問題について話を移していきたいと思います。
今日、二枚の新聞の記事をお配りしております。近年の、今のフン・セン政権による野党救国党のサム・レンシー党首の海外追放、それから、その後任のケム・ソカ党首の逮捕、野党議員の公民権停止、そして、二月の上院選挙においては与党人民党の議席が実質的独占というような状況が続いておりますが、こういう状況についてはどう認識されておられますでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 藤田議員がカンボジアに大変お詳しく、また御関心を強く持たれているというのは、私もよく認識をしております。
二〇一五年以来、カンボジアの国内の政治的緊張が高まってきて、昨年の十一月、前回の選挙で多くの国民の支持を得た最大野党が政党法違反を理由に解党をされました。こうした事態を非常に懸念をしておりまして、カンボジア政府に対して様々な形で、今年の七月の国民議会選挙が国民の意思が反映される形で実施されるように我が国としても働きかけを行ってきているところでございます。七月の選挙までまだ時間もございますので、現地の情報、状況を注視しながら必要な働きかけといったものを続けてまいりたいというふうに思います。
○藤田幸久君 今、アメリカとそれからカンボジアの関係が良くないということを言われておりますが、それに対する認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 米国につきましては、米国開発省、USAIDがこれまで在カンボジアNGOに国家選挙管理委員会職員の能力強化といった支援を行ってきたわけでございますが、昨年の救国党の解党後にこうした支援を中止をしたというふうに承知しております。
○藤田幸久君 それから、日本が今度八億円ですか、投票箱の支援なんかしたわけですが、日本がそういう選挙支援をやめてしまうと中国の方にどんどん行ってしまうので、日本は選挙支援を続けるべきだという見方がありますが、それについてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 昨年六月の地方選挙において、日本の支援を通じて選挙人登録や投開票の作業の改善というのが図られました。これは、当時の選挙プロセスに対する信頼性の向上に寄与したというふうに思っております。
今回、カンボジアに対して投票箱などの選挙用物品を供与いたしますが、これはカンボジアにおいて国民の意思を反映した形で選挙が実施されるために最低限必要なものだというふうに考えておりますので、この七月の選挙が国民の信頼を得るような形で行われたときに物理的にそれが可能になる、そんな支援ということでやっているわけでございます。
カンボジアについて、中国との関係あるいはアメリカとの関係、様々言われているのも事実でございますが、それだけでこの日本とカンボジアの関係というのは推し測れるものではないと思いますし、中国がこのインドシナ半島に対して経済を始め様々な影響力を高めているというのもあると思いますが、それだけでカンボジアの外交が左右されるわけではないと思っております。
日本としては、こうした選挙あるいは司法制度といった国家としての、何というんでしょうか、インスティチューションビルディングにしっかりと関与をして、カンボジアが民主的に発展をする、そうした後押しをしてまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 そうしてみますと、お配りしております資料の二枚目、これは朝日新聞の記事でございまして、済みません、字が小さくて恐縮ですが、左の方に「日中大使の見方」という、これは堀之内大使のコメント、新聞に出ております。そうしますと、上の段の左から八行目ぐらいですか、「日本が関わりをやめると、どんどん中国の方に行ってしまう」と。それから、下の段の右から四行目ですが、「いま問題なのは、米国とカンボジアの関係がよくないことだ。」。
これ、大使が、アメリカとカンボジアの関係良くない、日本が関わりを避けると中国の方に行ってしまう、だからこれ選挙を支援するんだと、ここまでおっしゃっている。今大臣がおっしゃっていただいたことは違うわけで、今大臣がおっしゃっていただいたのは、インスティチューションビルディングもあるし、それからこのサム・レンシーさんの「私の視点」というところを見てみますと、「道徳的欠陥がある選挙を支援する理屈が思いつかない」。
これはやはり、民主的な国民の意思を反映する、そのための支援をしてきたということからいたしますと、日本が影響力を行使して国民の意思が反映できるような選挙の支援をやっていくということではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) おっしゃるとおりだと思います。
我が国は、カンボジアを、長年にわたって民主化するカンボジアの努力というのを後押しをしてまいりました。遡れば、明石さんが国連の代表としてカンボジアで努力をされた、また多くの日本人の関係者がカンボジアで努力をされ、犠牲もあり、そんな中でカンボジアが平和裏に民主化するような努力をしてまいりました。日本としては、今後もそれをしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 国連、アメリカ、EU、あるいは、つい最近ですが、列国議会同盟という私どもにとっては重要な国際的な議員連盟もこの最近の野党に対する弾圧、あるいは国会議員としての議席剥奪について警鐘を鳴らしておりますが、詳細は別にして、そういうところからいろいろな警鐘が鳴らされているという点について、そういうことがあるということだけを確認いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 米国については先ほど申し上げましたが、EUについては選挙人の登録用機材を供与してまいりましたが、昨年の救国党解党後に支援を中止をいたしました。
また、列国議会同盟、IPUは、カンボジアにおける議会民主主義を破壊するとして国会議員の人権侵害や懸念を表明をし、五十五名の救国党国会議員の即座の復帰と対話の再開を呼びかけているというふうに承知をしております。
○藤田幸久君 九七年に当時のラナリット派とフン・セン派の対立が深刻化し、武力衝突に至ったわけですが、このとき小渕外務大臣が両派の対立を解消させるために四項目の提案をされまして、これを国際社会が支援をし、双方が受け入れたというような実績があります。
同じように、日本が影響力を行使していただく仲介役としてますます重要な役割を果たせると思いますが、その展望についてお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 今回の一連の事態につきましても、日本政府としてはカンボジアの中でカンボジア人同士で解決策を見出されることが望ましいというふうに思っております。国内の政治関係者の間での信頼関係の回復と対話を促してまいりました。また、これからも促していきたいというふうに思っております。
そういう意味で、今年七月の国民議会選挙が国民の意思を反映される形で実施されることが日本としては重要と考えているというメッセージをカンボジアに送ってきておりますので、今後ともしっかりと日本として仲介努力を始めできることをやってまいりたいというふうに思います。
○藤田幸久君 安倍内閣が策定した国家安全保障戦略の中に、民主化や法制度整備支援にODAを積極的に活用をすると。これはJICA等が進めてきているわけですが、このODAに整備された法律が逆に野党やメディアなどを攻撃するために使われたといった指摘もありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほど申し上げましたインスティテューションビルディングの中で、法の整備、司法制度の確立というのは極めて重要な部分だというふうに思っております。
日本は、内戦終結後、カンボジアに対するODAの中で、法整備分野についても、民事関連法令の整備のために、人材育成を含め、日本のこれまでのノウハウを活用したきめ細かな支援を実施しております。この支援は国家安全保障戦略の趣旨にも合致しているというふうに考えております。
日本の支援により整備された民事関連法令、あるいは日本が人材育成に携わってきた方々が野党やメディアを攻撃するために使われたとは承知をしておりませんが、法の支配を通じた民主主義の定着には一定程度の時間を要するものというふうに考えております。我が国としては、引き続き、カンボジアで法の支配の確立を含むガバナンス強化がカンボジア人の手で行われるように、それをしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
○藤田幸久君 先週、山本一太議員が中東、河野外交とおっしゃいましたが、是非、ミャンマー、カンボジア等も含めた東南アジアの河野外交を是非頑張っていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
在外公館名称位置給与法の改正案でございますが、NATOの日本政府代表部設置が提案されておりますが、その必要性と、あわせて、なぜNATO加盟国でない日本が政府代表部を設置し、大使を任命するのかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 最近のアジアの情勢というのは安全保障を中心に深刻化していると言ってよろしいかと思いますが、このアジアの安全保障問題に対処するためには、ヨーロッパを含めた国際社会に、広くこうした北朝鮮問題を始め関心、関与を喚起する必要があるというふうに思っております。特に、基本的価値観を共有する日本、アメリカ、ヨーロッパ、こうした国々のネットワークを強化していくことが必要だというのが一つ目でございます。また、戦後の経済発展を支えてきたリベラルな国際秩序、法の支配に基づいた国際秩序を維持していくためには国際社会全体で負担を分かち合う必要があり、こうした観点からでも日本とヨーロッパの協力というのが今後重要になってくると考えております。
こうした大きな構図の中で日本とNATOの協力も進めてきているものでございまして、私も、昨年の十月、来日されたストルテンベルグNATO事務総長と会談をし、北朝鮮問題あるいはテロ、サイバーといった国際的な問題に日本とNATOが協力していく必要性がある、重要性があるという認識で一致をいたしました。
NATOは、協調的安全保障という考えの下、NATO域外の国々とのパートナーシップも発展をさせてきておりまして、今、日本を含む四十一か国のパートナーのうち二十九か国が政府代表部を設置をしております。
今まで、日本は、外務大臣の職務命令で駐ベルギー大使をNATOに対する我が国の代表として任命をし、NATO側に通知をしてまいりました。今回、この法改正をお認めいただいて代表部の新設を認めることができれば、ベルギー大使が兼ねる形でNATOに今度は正式に接受される外交使節として受け入れられるということになります。この結果、日本のプレゼンスが強化され、それを通じて、NATO加盟国、NATO事務局あるいはパートナー国の代表部の長との意思疎通が円滑に行われ、職務の執行がより効果的になるというふうに期待をしているところでございます。
○藤田幸久君 私も、十年ほど前ですか、野党の議員としてNATOを訪問しましたら、国会議員がNATOに来たというのは珍しいということで、大変その意味ではいいディスカッションをしていただきましたが。
今おっしゃった中で、法の支配、リベラルな価値、それから協調的な安全保障、つまり軍事的な機関であるNATOであっても、それ以外の部分が重要であるという点を是非強調してやっていただきたいと思います。
それから、早速ですが、北朝鮮問題、昨日、大きなニュースがありました。習近平国家主席と北朝鮮の金正恩委員長の首脳会談だったわけですが、今回もまた日本が、通報があったというものは遅かったということでございますけれども、そもそも日本政府は、今回の首脳会談の情報をいつどういう方法で把握したのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) メディアはよく通報があったかなかった、どうだったということを殊更報道するわけでございますが、これまでこの北朝鮮問題に関して言えば、日米韓を中心に中ロの協力もいただいて、国際社会挙げてこの北朝鮮に対して、安保理決議で定めた経済制裁を、国際社会で一致して圧力を掛けていくということをしっかりとやっております。
様々な情報についてはこうした国々の間でしっかり情報の共有をしているわけでございまして、いつどういう連絡をもらったかどうだというのは対外的に申し上げておりませんので、こうしたやり取り一つ一つについてコメントするのは差し控えたいと思いますが、これからも日米韓あるいは中ロを含め、国際社会と緊密に連携をしてまいりたい。
つい先日もカナダの外務大臣がいらっしゃいましたが、カナダの外務大臣とも様々北朝鮮問題について情報交換、意見の交換をやってきたところでございますし、非核化に向けて、完全かつ不可逆的、なおかつ検証可能な非核化に向けての動きを北朝鮮が明確に行動として取るまでは国際社会は挙げて圧力を維持しなければならないという認識が全く一致しているところでございますので、これからも一つ一つの事象をしっかり見ながら、しかし慌てずにこの朝鮮半島の非核化に向けて国際社会で努力してまいりたいと思います。
○藤田幸久君 しかし、アメリカは、はっきりとホワイトハウスが早い段階で中国から説明があったと。それから、トランプ大統領に対する習近平主席からのメッセージも含まれていたと。それから、それに対してトランプ大統領自身がツイッターでコメントをしております。それから、韓国も事前に知らされていたと。中国の楊潔チ政治局員が今日、習近平主席の特使として韓国を訪問し、報告をすると。
何もこれ、はっきりとアメリカなり韓国が言っているわけで、日本の方で何にも隠す必要がなくて、つまり、そういったことが言えないということは、なかったというふうにこれは断定せざるを得ないということだろうと思いますが、いかがですか。逆に、隠し立てするということは、なかったというふうに蓋然性を見られてしまうと。メディアのせいじゃなくて、そういうふうに、ほかの国もそう思うと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 恐らく、どこの国もどの国とどういうやり取りをしているかというのを明確にしないというのが外交上の通常例だというふうに思っております。
中国の楊潔チさんが韓国に訪問するというのは、今回の事象と関係なく以前から決まっていた話でございますし、トランプ大統領は様々なことをツイートされますから、それはそれということなんだろうというふうに思っております。
○藤田幸久君 済みません、事実関係ですが、ホワイトハウスがはっきりと早い段階から説明があったと、それからトランプ大統領に対する習近平主席のメッセージも含まれていたと、これはホワイトハウスの声明ですけど。これは、こちらがどういうふうに交渉しているんじゃなくて、先方からこういうふうな連絡があったということをはっきりと韓国もアメリカも言っている話でございます。で、日本に対してはなかったんですね。
○国務大臣(河野太郎君) 我が国は、一々外交上のやり取りを公表することは差し控えております。
○藤田幸久君 では、なぜ、電話会談をした、こういうことがあったというふうなことは頻繁に、これは安倍総理にかかわらず、河野大臣もよく、誰々と電話会談をしたと、あるいはこういうことをするというふうなこと、あるいは今度こういう訪問をしながらこういうことをやっていくとよく明示的にされておりますけれども、なぜ今回はされていないんですか。
○国務大臣(河野太郎君) 会談、電話会談等について、外相レベルのもので先方と公表することを合意しているものについては公表しておりますが、先方との間で公表しないことになっている、あるいは公表することについて合意が得られていないものについては公表をしておりません。外相レベルは、なるべくそうした会談、電話会談について、公表できるものは公表していきたいというふうに思っておりますが、事務レベルのものについて一々公表しておりません。
○藤田幸久君 ある報道によれば、金杉アジア局長が二十八日ですか、いろいろ情報収集に当たっていたと報道されておりますが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほどから申し上げているとおり、事務レベルでのやり取りについて公表はしておりません。この件については公表しているようでございますが、やり取りの中身については公表しておりません。
○藤田幸久君 その報道によりますと、要するに、情報がないので情報収集に当たっているということを金杉局長はメディアに語っているわけですから、要するに先方から情報がないということを明らかに認めているわけですが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 情報がないというときのどのレベルの情報のないかということについては公表を差し控えているはずでございます。
○藤田幸久君 今回の中身の話でございますけれども、非核化ということが言われております。ただし、中国側は非核化ということについての言及があったというふうに報道しているのに対し、北朝鮮側は非核化ということについては明示しておりませんが、この非核化について両首脳間に関するどういうやり取りがあったのか、あるいは、少なくとも公表されている情報に関して、非核化ということについて大臣はどのようにこの意味を理解されておられるのか、認識をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 御指摘のとおり、中国はこの非核化について対外的に発表をしておりますが、北朝鮮はこの非核化について発表をしてきていないというのが今のところの現実でございます。
中国は、北朝鮮が朝鮮半島の非核化の実現に努力することは変わらぬ立場、南北関係の改善を決心し、南北首脳会談を行い、米朝対話ひいては米朝首脳会談を開催したい、仮に韓米が和平実現のために段階的かつ同じ歩調の措置をとれば半島の非核化問題は解決すると金委員長が述べたと発表しておりますが、北朝鮮側はこれについて発表をしていないというのが現時点でございます。
○藤田幸久君 それは私が申し上げて、それについてどうお考えかというのが質問であります。
○国務大臣(河野太郎君) 北朝鮮の意図というのが対外的に発表されていない、あるいは北朝鮮の核関連施設で非核化という話が出た後も動きがあるというようなことを考えると、この北朝鮮の非核化に向けての意図というのはまだまだしっかり見極める必要があるというふうに思っております。
○藤田幸久君 今のお話の流れでいいますと、和平実現のための段階的な措置というような条件が付けられておりますが、これはある意味ではアメリカに対して圧力路線の転換を求めている可能性があるので、これは警戒すべき、あるいは注意をすべき条件ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会は対話に対する対価はないということを明確にしてきております。北朝鮮が完全かつ不可逆的、なおかつ検証可能な非核化に向けて具体的な行動を取らない限り国際社会からの対価はないということでございますので、そこはしっかりと国際社会一致団結していけるように努力をしてまいりたいと思います。
○藤田幸久君 国際社会の一致ということに関して言えば、もし今回の首脳会談によって、中国がある意味では、対北朝鮮包囲網を少しでも緩めれば北朝鮮の非核化というものは実現しない可能性があるので注視が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 中国は、責任ある国際社会の一員として行動を取るというふうに言っておりますので、中国も国際社会の一員として同様の行動を取るというふうに認識をしております。
○藤田幸久君 今回は、国際社会の一員としての中国というよりも、やはり特別の関係としての中朝関係をある意味では表したわけですが、したがって、中国が国際社会の一員としての圧力を掛け続けるか、それとも中朝関係という中で、この米朝首脳会談の前に中国なりの、しかも隣接する北朝鮮の安全保障問題を考えながら、独自の中国としての判断を示す可能性についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 中国は、国際社会の一員として責任ある行動を取ると発言をしておりますので、そのような行動を取るものと認識をしております。
○藤田幸久君 では、今回、北朝鮮の首脳が中国を訪問した、これは国際社会の圧力の効果だとお考えなのか。であるならば、どの圧力、例えば中国からの圧力、あるいはアメリカからの圧力等、あるいは日本からの経済的な圧力、どの圧力が今回の米朝首脳会談に至る圧力として成果があったのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会は、国連の安保理決議でこれまでにないレベルの経済制裁を北朝鮮に対して行ってきております。様々な国が真剣にこの北朝鮮の問題を、アジアだけの問題としてではなく、ヨーロッパ、アフリカ、中近東、中南米に至る国々までが国際社会に対する脅威だと認識し、この国連の安保理決議を履行するための努力をしてくれている、そうした国際社会全体としての圧力が北朝鮮を様々な形で後押しをしているというふうに認識しています。
○藤田幸久君 トランプ大統領が先日の安倍総理との電話会談の後で、安倍首相は北朝鮮との対話にとても夢中だというふうに述べておりますが、今回のこの米朝首脳会談を踏まえて、あるいは南北首脳会談等の流れの中で、拉致問題解決のために、日朝間の対話あるいは首脳会談に至るという可能性が高まってきたかどうかについてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 当面、南北の首脳会談、そして米朝の首脳会談が予定をされておりますので、その状況を見ながら、何が一番適した方法かというのは考えてまいりたいと思います。
○藤田幸久君 何が一番ということは、そういう方向性というふうに認識をいたしますが。
二〇〇〇年ですかね、金正恩さんのお父さんの金正日総書記が訪中をされた直後に、二年後ぐらいでしょうか、日朝首脳会談が実現した。経過的に言うと非常に類似している面もありますが、それから韓国の高官も、最近、北朝鮮は経済支援が望めず日朝会談も視野に入れていると、こういう状況的なコメントあるいは事実関係もございますが、日朝関係の対話あるいは拉致問題の解決について、そういう方向性の可能性は高まったでしょうか、それとも余り高まってない、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほども申し上げましたように、南北首脳会談あるいは米朝首脳会談といったものがどのようになるのか注視し、その上で、何がこの核、ミサイル、そして拉致問題の解決に最適なのか、国際社会と一緒に考えてまいりたいと思います。
○藤田幸久君 六者会議への復帰についても言及されておりますが、六者協議の開催の可能性が高まったと思うのか、あるいは仮に六者協議といった場合に、これまでもいろいろな形で北朝鮮側は遅延行為なりをしてきたという経緯もありますが、その可能性と、あるいはそういうふうになっていった場合の注意点について認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 繰り返しになりますが、南北首脳会談、米朝首脳会談の結果を見極めながら様々なことを考えてまいりたいと思っております。
○藤田幸久君 やはり、日本が今回の南北あるいは米朝首脳会談、そして今回の中朝首脳会談の中で、これは与党側の中からも日本が蚊帳の外に置かれているんではないかという認識が非常に強くなっていると思いますので、せっかく河野大臣でございますので、紋切り調の答弁ではなくて、こういう努力をしている、あるいはこういう問題点がある、こういう方向性で河野外交やってきたんだと、そういう点をお話しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 申し訳ございませんが、外交の手のうちを明かすことは考えておりません。
○藤田幸久君 国民の理解があっての、それから議員の理解があっての外交だろうと思いますし、少なくともここにいる我々は与野党の立場を超えて、これは財金委員会でもございませんので、そういう意味では国民の理解を得た外交の応援をしようと、だから、今回の在外公館法あるいは外務大臣の専用機の使用なんかについても応援しているわけですから、手のうちではなくて、手のうちを見せることによって国民の支援もあると思いますんで、いかがですか、河野大臣。
○国務大臣(河野太郎君) 有り難いお言葉をいただきましたが、この場は当然に北朝鮮にも話が通じているわけでございますので、この場で話を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。
○藤田幸久君 この場を使って間接的に伝えるという手法もあると思いますので、それを申し上げて、ちょっと答弁が長いので時間がありませんので、カンボジアの問題について話を移していきたいと思います。
今日、二枚の新聞の記事をお配りしております。近年の、今のフン・セン政権による野党救国党のサム・レンシー党首の海外追放、それから、その後任のケム・ソカ党首の逮捕、野党議員の公民権停止、そして、二月の上院選挙においては与党人民党の議席が実質的独占というような状況が続いておりますが、こういう状況についてはどう認識されておられますでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 藤田議員がカンボジアに大変お詳しく、また御関心を強く持たれているというのは、私もよく認識をしております。
二〇一五年以来、カンボジアの国内の政治的緊張が高まってきて、昨年の十一月、前回の選挙で多くの国民の支持を得た最大野党が政党法違反を理由に解党をされました。こうした事態を非常に懸念をしておりまして、カンボジア政府に対して様々な形で、今年の七月の国民議会選挙が国民の意思が反映される形で実施されるように我が国としても働きかけを行ってきているところでございます。七月の選挙までまだ時間もございますので、現地の情報、状況を注視しながら必要な働きかけといったものを続けてまいりたいというふうに思います。
○藤田幸久君 今、アメリカとそれからカンボジアの関係が良くないということを言われておりますが、それに対する認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 米国につきましては、米国開発省、USAIDがこれまで在カンボジアNGOに国家選挙管理委員会職員の能力強化といった支援を行ってきたわけでございますが、昨年の救国党の解党後にこうした支援を中止をしたというふうに承知しております。
○藤田幸久君 それから、日本が今度八億円ですか、投票箱の支援なんかしたわけですが、日本がそういう選挙支援をやめてしまうと中国の方にどんどん行ってしまうので、日本は選挙支援を続けるべきだという見方がありますが、それについてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 昨年六月の地方選挙において、日本の支援を通じて選挙人登録や投開票の作業の改善というのが図られました。これは、当時の選挙プロセスに対する信頼性の向上に寄与したというふうに思っております。
今回、カンボジアに対して投票箱などの選挙用物品を供与いたしますが、これはカンボジアにおいて国民の意思を反映した形で選挙が実施されるために最低限必要なものだというふうに考えておりますので、この七月の選挙が国民の信頼を得るような形で行われたときに物理的にそれが可能になる、そんな支援ということでやっているわけでございます。
カンボジアについて、中国との関係あるいはアメリカとの関係、様々言われているのも事実でございますが、それだけでこの日本とカンボジアの関係というのは推し測れるものではないと思いますし、中国がこのインドシナ半島に対して経済を始め様々な影響力を高めているというのもあると思いますが、それだけでカンボジアの外交が左右されるわけではないと思っております。
日本としては、こうした選挙あるいは司法制度といった国家としての、何というんでしょうか、インスティチューションビルディングにしっかりと関与をして、カンボジアが民主的に発展をする、そうした後押しをしてまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 そうしてみますと、お配りしております資料の二枚目、これは朝日新聞の記事でございまして、済みません、字が小さくて恐縮ですが、左の方に「日中大使の見方」という、これは堀之内大使のコメント、新聞に出ております。そうしますと、上の段の左から八行目ぐらいですか、「日本が関わりをやめると、どんどん中国の方に行ってしまう」と。それから、下の段の右から四行目ですが、「いま問題なのは、米国とカンボジアの関係がよくないことだ。」。
これ、大使が、アメリカとカンボジアの関係良くない、日本が関わりを避けると中国の方に行ってしまう、だからこれ選挙を支援するんだと、ここまでおっしゃっている。今大臣がおっしゃっていただいたことは違うわけで、今大臣がおっしゃっていただいたのは、インスティチューションビルディングもあるし、それからこのサム・レンシーさんの「私の視点」というところを見てみますと、「道徳的欠陥がある選挙を支援する理屈が思いつかない」。
これはやはり、民主的な国民の意思を反映する、そのための支援をしてきたということからいたしますと、日本が影響力を行使して国民の意思が反映できるような選挙の支援をやっていくということではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) おっしゃるとおりだと思います。
我が国は、カンボジアを、長年にわたって民主化するカンボジアの努力というのを後押しをしてまいりました。遡れば、明石さんが国連の代表としてカンボジアで努力をされた、また多くの日本人の関係者がカンボジアで努力をされ、犠牲もあり、そんな中でカンボジアが平和裏に民主化するような努力をしてまいりました。日本としては、今後もそれをしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 国連、アメリカ、EU、あるいは、つい最近ですが、列国議会同盟という私どもにとっては重要な国際的な議員連盟もこの最近の野党に対する弾圧、あるいは国会議員としての議席剥奪について警鐘を鳴らしておりますが、詳細は別にして、そういうところからいろいろな警鐘が鳴らされているという点について、そういうことがあるということだけを確認いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 米国については先ほど申し上げましたが、EUについては選挙人の登録用機材を供与してまいりましたが、昨年の救国党解党後に支援を中止をいたしました。
また、列国議会同盟、IPUは、カンボジアにおける議会民主主義を破壊するとして国会議員の人権侵害や懸念を表明をし、五十五名の救国党国会議員の即座の復帰と対話の再開を呼びかけているというふうに承知をしております。
○藤田幸久君 九七年に当時のラナリット派とフン・セン派の対立が深刻化し、武力衝突に至ったわけですが、このとき小渕外務大臣が両派の対立を解消させるために四項目の提案をされまして、これを国際社会が支援をし、双方が受け入れたというような実績があります。
同じように、日本が影響力を行使していただく仲介役としてますます重要な役割を果たせると思いますが、その展望についてお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 今回の一連の事態につきましても、日本政府としてはカンボジアの中でカンボジア人同士で解決策を見出されることが望ましいというふうに思っております。国内の政治関係者の間での信頼関係の回復と対話を促してまいりました。また、これからも促していきたいというふうに思っております。
そういう意味で、今年七月の国民議会選挙が国民の意思を反映される形で実施されることが日本としては重要と考えているというメッセージをカンボジアに送ってきておりますので、今後ともしっかりと日本として仲介努力を始めできることをやってまいりたいというふうに思います。
○藤田幸久君 安倍内閣が策定した国家安全保障戦略の中に、民主化や法制度整備支援にODAを積極的に活用をすると。これはJICA等が進めてきているわけですが、このODAに整備された法律が逆に野党やメディアなどを攻撃するために使われたといった指摘もありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほど申し上げましたインスティテューションビルディングの中で、法の整備、司法制度の確立というのは極めて重要な部分だというふうに思っております。
日本は、内戦終結後、カンボジアに対するODAの中で、法整備分野についても、民事関連法令の整備のために、人材育成を含め、日本のこれまでのノウハウを活用したきめ細かな支援を実施しております。この支援は国家安全保障戦略の趣旨にも合致しているというふうに考えております。
日本の支援により整備された民事関連法令、あるいは日本が人材育成に携わってきた方々が野党やメディアを攻撃するために使われたとは承知をしておりませんが、法の支配を通じた民主主義の定着には一定程度の時間を要するものというふうに考えております。我が国としては、引き続き、カンボジアで法の支配の確立を含むガバナンス強化がカンボジア人の手で行われるように、それをしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
○藤田幸久君 先週、山本一太議員が中東、河野外交とおっしゃいましたが、是非、ミャンマー、カンボジア等も含めた東南アジアの河野外交を是非頑張っていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
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