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参議院財政金融委員会における藤田幸久の質疑議事録2015年08月06日

活動報告

2015年08月04日

参議院財政金融委員会における藤田幸久の質疑議事録

○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 久しぶりに財政金融委員会に参りましたが、十五分でございますので、麻生大臣、簡潔な答弁をお願い申し上げます。
 昨年以来、私が質問主意書等で取り上げております特定未払債務の件であります。資料をお配りしておりますけれども、戦後処理でやり残した大きな課題でございますけれども、ここで言う特定未払債務とは、戦前戦中に発生し、国等の支払義務が確定している債務について、その支払が行われないまま放置されているものという観点から質問させていただきます。
 今まで質問主意書を提出をし、本年三月の予算委員会でも質疑を行いました。その結果、資料にございますけど、この①と②の、例えば郵便貯金・簡易生命保険管理機構の保管分が四十七億円、日本銀行の保管分が四百十七億円などの未払債務が存在していることが明らかです。一方、財務省の保管分に関しては約百八万件の未払債務の存在が明らかでございますが、総額については回答が困難であるということでございますが、であるならば、その百八万件の現金とかあるいは国債等の種類別の内訳はどうなっているのか、まずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる旧未払債務ということの御質問なんだと思いますが、これは、終戦に際し引揚者等から寄託されております寄託物が約百八万件ということでありますが、その内訳は、旧日本銀行券等が約三万件、国債等が約二十二万件、預貯金証書、現金預かり証、生命保険証書、その他の証書類等で約八十三万件というようになっておるのが実態であります。
○藤田幸久君 外地から引き揚げてこられた方々というものがあるわけですけれども、例えば、昨年問合せが年間が一千人前後、それから返還物件数も五百件近くに減少しておると。それから、払戻し実績というのが平成二十二年から二十五年まで七十七件、約二十万円というような話も聞いております。これは先ほどの郵便貯金・簡易生命保険等四十七億円に対してでございますけれども、照会数に関しては千人程度と。ですから、特定未払債務は大体四百億円前後程度とも推測されるわけですが、言わば休眠状態といいますか塩漬け状態にあるわけで、これは内容が必ずしも確定をされていないといいますか、はっきりしていないと。
 先ほど来申しましたように、郵便貯金・簡易生命保険機構あるいは日本銀行の方では把握をされているのに対して、財務省についてはまだそこまで調査が行われていないわけですから、まずできるところから調査を行っていただくべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) お尋ねの終戦直後までに生じた未払になっております国の債務、いわゆる未払債務についてと理解しますが、財務省が所管する未払債務につきましては、終戦に際しまして引揚者から寄託された寄託物のほかに、外国債が約六千万円、旧連合国総司令部、いわゆるGHQでありますが、GHQから引き渡された旧日本銀行券約八百万円、旧臨時軍事費特別会計におきます閉鎖機関、いわゆる外資金庫及び横浜正金銀行からの借入金が四百十四億二千万円ございます。このほかにも総務省が所管いたしております軍事郵便貯金約二十二億円、ほかに外地郵便貯金約二十五億円等があるということになっております。
 お尋ねの、いろんな活用というようなことを言われましたけれども、その意味は、これらの未払債務というものは、求められればこれは履行されるべきものでありまして、何らかの活用できるというものではないのではないかと思っておりますが、いずれにしても、この未払債務に見合いの活用可能な資産というものを有しているわけではございません。
 なお、そもそも債権者や所有者が不明の方が極めて多いということもありまして、旧臨時軍事費特別会計が閉鎖機関から借りた債務の処理を進めるために当たっては、閉鎖機関の有します他の債権債務の処理も必要になりますが、その中には旧外地に関するものも含まれておりますために、処理が極めて難しくなっていると理解をいたしております。
 したがいまして、本件につきましては、これはちょっと容易に解決できる問題ではないというように理解をいたしております。
○藤田幸久君 それは次の質問の答えでございます。今の答弁は私がこれから質問しようと思っていた質問に対する答弁でございまして、つまり活用の部分はですね。
 それで、重要なことは、前回予算委員会で大臣は、所有者が判明すればというお話、答弁されているんです。ということは、先ほど申しましたように、そもそも照会する方も少なくなってきて、実際に返還される方も少なくなってきていると。それは、おじいさんが、おじさんがということでたまたま見付かって照会をした数がそうでございますので、戦後七十年でございますけれども、これが五年、十年たっちゃいますと照会する方もいないと。ということは、利用者が判明しないと未来永劫これ塩漬けになってしまうと。
 私は、それは決して、政治の不作為といいますか、行政の不作為といいますか、そのまま本来は放置されずに支払義務が確定している債務については国としてやっぱり確認をすべきではないかと。これからますますそういう照会をする方、つまり所有者が判明されないまま放っておいていいんですかということなんです。
 それに関して、財務省に関しては、調査が不十分でございますから、ほかは確定しているところがあるわけですから、まず調査をすべきじゃないかということをまずお聞きしているわけです。
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほど申し上げましたように、この調査が外地であってみたり、いろいろな方々が、申し込んでこられた方々でないと、これはなかなか判別の仕方が極めて難しいというのは当然でありまして、私どものところに申し込んでこられた方々に関してはきちんと対応させていただいております。
 今後、これがなくなっていくんじゃないかと。当然です。なくなってまいります。もっと減ります。言ってこられる方の数も減ると思います。このお金を、今後、じゃ、そのままずっと眠った金になって休眠預金とか休眠資金とかということになりかねないという御指摘のことだと思いますが、それも十分に考えられると思いますが、その点についてどうするかというのは、これは財務省の一存で決められるような話ではないと思っております。
○藤田幸久君 先ほど、臨時軍事費特別会計の話、質問したのでお答えになりましたが、これは、河野太郎衆議院議員が以前質問されて、それでその決算処理については対応したと思っています。
 それから、大久保勉議員がいわゆる戦後処理に関して財務諸表的な観点の処理がなされていないということを質問されておられますけれども、私も、そういういろいろな方法、角度からやはり調査をして把握をすると。その上で、実は台湾の方々には、一九九五年から二〇〇〇年にかけて百二十八億円、実際に支払われているんですね。ですから、私は、政治的に判断をすれば、そういう調査をした上で支払をしていくということも可能だろうと思うんです。
 そのための詳細な内訳、それからいわゆる財務諸表的な対応、それから特別会計がそのままになってきたというような問題点もありますから、そういう点も含めて、単に物理的に大変なので放っておくでは済まされないのではないかという観点から、是非、大物財務大臣ですから、政治的な大所高所からのもう少し踏み込んだ対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、きちんとした証書、書類等々の提出がない限りはなかなか簡単には、どなたさんの御紹介ですからといって、それに対する証明もないのに出すというのは、これはなかなか難しいというのは当然であって、あのフィリピンのときも、御記憶かと思いますけれども、きちんとした書類等々が付随しておりましたのであれはそれなりの対応ができたというように聞いております。
○藤田幸久君 いわゆる寄託したものに関してはそういう対応が必要だろうと思うんですが、寄託したもの以外のものも含めていろいろまだあるんだろうと思っています。それは実際に職員を派遣したりして一件一件見たりするのは大変かと思いますけれども、ただ、大変だからといって放っておくべきものではないという意味で申し上げているんですけれども。
 そのフィリピンの例の場合は、そういう確認作業の一つの角度でございますけれども、ほかのやっぱり確認の仕方というものもあるんだろうと思いますが、その辺も含めて、どういうものに対してどういう確認の仕方が物理的にやろうと思えば可能なのか、その辺も含めて調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) あのときの記憶ですけれども、確認できるものとできないものとがあの段階では既にかなりはっきりしていたと記憶しております。フィリピンに限らず、台湾の方がもっと書類はしっかり残っていたと記憶をしますけれども、あのときに随分いろいろ話が出ていたと思いますけれども、対応できるものに関しましてはその段階できちっと対応させていただいたというように記憶をしております。
○藤田幸久君 では、その記憶も含めて、それから実際に対応できるものとできないものも含めた確認を含めて、是非もう一度確認をしていただきたい。
 それから、二〇〇〇年以降、つまり台湾に関する支払が行われた後、政府の中で、関係する省庁の中で確定債務に関して政府内で議論をしたということはないというふうに質問主意書等で聞いておりますけれども、ということは、やはり、ほかの省庁も含めて様々な確認作業も含めた調査を是非行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 検討はさせていただきます。やる、やれない、改めて検討させていただくとしかお答えのしようがありません、この段階では。
○藤田幸久君 たまたま柘植先生いらっしゃいますけれども、実際に郵便関係は、いわゆる独法になった後、ちゃんと管理機構が把握をしているんです。九州の郵便局でというふうにしているんですね。だから、そういう方法も含めて、全体的に私は必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 十五分ですから、あと時間が限られていますので、もう一問、財政健全化計画について御質問いたします。
 六月三十日に、政府は経済財政運営と改革の基本方針二〇一五を閣議決定いたしました。二〇二〇年までの基礎的財政収支の黒字化等の達成に向けた改革工程等を定めたわけです。二〇一六年から一八年度までの三年間を集中改革期間、二〇一八年度の基礎的財政収支赤字をマイナス一%程度を目安と書いています、目安を設けたと。国の一般歳出の水準については、安倍内閣の三年間における一般歳出の実質的な増加の基調を継続するという目安ということになっているんです。
 この六月三十日の閣議決定に基づいて、内閣府は七月二十二日に中長期の経済財政に関する試算を表したと。これも二〇二〇年度における国と地方のプライマリーバランスが、国がマイナス六・二兆円、地方がマイナス四兆円と。ですから、黒字化は達成できない将来像となっています。二〇一八年度の基礎的財政収支もマイナス一・七%。ですから、これも財政健全化計画の目安、マイナス一%も達成できないということです。
 そこで、御質問ですが、民主党政権の場合にはいわゆる歳出の大枠を定めて歳出規模に上限を設けたわけですが、今回は目安ということを設けているだけにすぎないわけですね。これではなかなか財政健全化目標の達成は難しいのではないかと。それから、このやり方ですけれども、閣議決定ではなくて、自民党さんが野党時代に主張していたように、拘束力の高い、例えば財政健全化法といったような立法化が必要ではないかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化に係ります実効性を確保する方法の話ですけれども、法制化を含めましてこれは議論のあるところです。
 現政権におきましては、これは法制化せずとも、歳出改革などをしっかり進めて、平成二十七年度予算では基礎的財政収支の赤字半減目標を達成すると。最初の頃は全く達成すると言った人はいなかったんですけれども、これは実際に達成するということが、ほぼその目安が付きつつあるという状況になっていると思っております。
 法制化といった形式面をどうするかというよりも、これは引き続き政府として定めた目標をしっかりコミットして責任を持って現実化していくということが重要なのであって、私どもとしては、その目標をきっちり押さえて、今後とも対応してまいりたいと考えております。
○藤田幸久君 とはいっても、それは努力目標ということですから、結果が出ない場合にはやっぱり法律でやった方がいいということになると思いますけれども。
 それで、もう一つ、経済見通しに関してですけれども、この政府の経済成長率は高い経済成長率を前提とした財政健全化を描いているようですけれども、やはりその経済成長率自身は慎重な率を前提に進めるべきではないかと思いますが、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、内閣府の中長期試算におきます経済再生ケース等々、いろいろなケースがありますので、その中で中長期的に名目三%以上、実質二%以上の経済成長を実現するとのシナリオを試算にして行っておりますが、こうした前提が楽観的であるという御指摘なんだと思いますけれども、政府としては、アベノミクスと言われるいわゆる三本の矢というものを総動員して、これデフレ不況からの脱却を目指しているところであります。
 経済再生ケースの実現を全力で図ることを前提とするに当たっては、これは今の安倍政権では当然の方針と考えておりまして、実際、安倍内閣になってからこの三年弱の間に、少なくとも、企業の経常利益見ましても、賃金の引上げ見ましても、失業率見ましても、有効求人倍率見ましても、これはいずれも極めて高い水準になっているということは事実であります。財政面におきましても、国、地方の基礎的財政収支というのは二〇一二年の二十六・三兆円の赤字から三年後の二〇一五年では十五・四兆円へと約十一兆円赤字は改善をいたしておるというのも事実であります。したがいまして、デフレ脱却、経済再生と財政健全化というのは双方とも大きく前進したのがこの二年半の実績だと思っております。
 いずれにいたしましても、重要なのは経済再生と財政健全化の両立というのに向けて骨太の方針二〇一五というものを具体化していくことなんだろうと思っておりますので、この三本の柱の改革を一体として推進して、これまでのいわゆる取組を継続、深化させてまいりたいと思っております。
○藤田幸久君 過去二年ではなくて、今後の見通しだということが重要だということを申し上げまして、時間ですので質問を終わります。
 ありがとうございました。